「VR」の記事

2月2日を「VRの日」に、VTuberも業界キャンペーンへ参加表明

2月2日を「VRの日」に、VTuberも業界キャンペーンへ参加表明

2019.01.16

ロケーションベースVR協会が2月2日を「VRの日」に制定したと発表

同日を選んだ理由とは……?

施設型VRの運営にかかわる事業者によって構成されたロケーションベースVR協会は、2月2日を「VRの日」に制定したことを発表した。

見え……ない……?

なぜ2月2日なのかというと、両手でピースサインを作り、左手の中指を少し外に曲げれば……「vr」に見え……ない気がする。が、VR協会は「こちらシンプルにそうは見えてこないというご意見もあるかもしれませんが、じきに見えてまいると思いますのでご理解いただけますと大変ありがたいです」とコメントしている。

「VRの日」制定に関連して、2019年1月26日から2月11日の期間、「冬は家族でVR」をテーマに、業界横断キャンペーンを実施。具体的な内容はまだ発表されていないが、主要VR施設を運営している企業やVTuberがキャンペーンの参画を表明しているそうだ。はたして、2月2日にダブルピースのポーズでSNS投稿をするVTuberはどれほど現れるか。Twitterの動きに注目したい。

キャンペーンのバナー

AR/VR関連の市場は、2022年まで全世界での年間平均成長率が71.6%にもなるという予測(IDC調べ 2018年)がある一方、PS VRやOculus Rift、HTC Viveといったゲーム機器、アミューズメント施設「VR ZONE」オープンなど話題が重なり、メディアがこぞってVRを喧伝した2016年頃に比べると、今年は今のところ目立った話題がないようにも見える。この記念日が、幾度となく繰り返された「VR元年」に終止符を打ち、一般的な普及への足掛かりとなるかどうかも、気になるところだ。

新宿・歌舞伎町にあるVR体験施設「VR ZONE SHINJUKU」。2019年3月31日で営業を終了するので、まだドラゴンクエストVRやゴジラVRを体験していない人はぜひ
バーチャル世界を1つに! 標準3Dアバター規格を普及させる「VRMコンソーシアム」発足へ

バーチャル世界を1つに! 標準3Dアバター規格を普及させる「VRMコンソーシアム」発足へ

2018.12.21

VR業界の13社がVRMの普及を進めるためのコンソーシアム設立を発表

VTuber文化の興隆にともなって新たな権利概念が生まれた

ライセンス情報を内包できるVRMがバーチャル普及のカギに?

IVR、エクシヴィ、S-court、DUO、ドワンゴ、バーチャルキャスト、ミラティブ、Wright Flyer Live Entertainment、クラスター、クリプトン・フューチャー・メディア、SHOWROOM、ピクシブ、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの13社は「VRMコンソーシアム」を2019年2月に設立すると発表した。目的は、VRMの策定と普及。加入企業は随時募集していくという。

「VRM」とは、VR向けの3Dアバターファイルフォーマット。プラットフォーム共通のファイル形式で、対応しているアプリケーションであれば、異なるサービスでも同じアバターの3Dモデルを使えるというものだ。3Dの事実上の標準フォーマットである「glTF2.0」をベースに、人型モデルを取り扱うために必要な情報の拡張と制約を追加した規格。UnityでVRMファイルを読み書きする標準実装を提供しているが、プラットフォームには非依存で、ほかのエンジンや環境でも取り扱うことができる。

コンソーシアムの事務局を務めるバーチャルキャスト 取締役 COOの石井洋平氏は「今や、誰でも3Dアバターを作成、使用できる時代です。これまでは、複数のプラットフォームを利用する際に、アバターを自由に使える環境が整っていませんでした。そこで、プラットフォームに依存しないで、どこでも共通で3Dアバターを使うための標準フォーマットを作成しようと、今回VRMを提唱しました」と、VRMを提唱することになった背景を語った。

バーチャルキャスト 取締役 COOの石井洋平氏

また、今年に入って飛躍的に市場が拡大したバーチャルYouTuber(VTuber)の存在も大きく関係しているという。

「VTuberの普及によって、3Dモデルの知的財産権・VTuber自身の人格の取り扱いなど、新たな権利保護の概念も生まれました。演じる人の制限やキャラクターの設定など、細かいルールがある場合もあれば、自由に使っていいと自分の作ったモデルを配布するクリエイターもいるでしょう。アバターは誰のものかという新たな権利の概念を考える必要が出てきたのです」(石井氏)

その権利関係を明確にするため、VRMには「キャラクターを演じていいのは誰かという許諾範囲」や、「暴力/性的表現を演じることの許可」、「商用利用の許可」といったライセンス情報を内包することができるという。

コンソーシアムの会員制度としては、各コミッティーでの検討、OSSでのブランチ設定、理事会への上程など、VRM方針兼用に参画でき、議決権を持つ「正会員」、仕様・ガイドラインなどの策定情報について優先的に共有される「賛助会員」、各コミッティーへの参加、提言を行える「オブザーバー会員」の3タイプを設置する予定だという。現在は発起人13社に加えて、オブザーバーとして任天堂が参入を決めている。また、「glTF2.0」を開発しているアメリカのクロノスグループとも連携を進め、世界的にも標準化を進めていく。

VRMコンソーシアムのミッション(案)

VTuberは6000人を超え、2019年1月からはVTuberのアニメ化も決定しており、バーチャル市場はますます盛り上がりを見せる。見るだけだったバーチャルキャラクターも、今では自分で簡単に作れるようにもなった。これからさらにVR業界が発展していけば、誰もが第2の自分として3Dアバターを持つ時代がやってくるかもしれない。

現場業務のMR活用をリードする東電「クアンタムアール」の実力は?

現場業務のMR活用をリードする東電「クアンタムアール」の実力は?

2018.12.04

MRを活用した「クアンタムアール」の実証実験を見学

仕様書や回路図などがヘッドマウントディスプレイに

多くの企業からの引き合いに応えるため販売開始

今年5月に、東京電力ホールディングスとゲームの拡張パックなどを手がけるポケット・クエリーズの共同研究について紹介した。研究では「Mixed Reality」(複合現実、以下、MR)を活用した「QuantuMR」(クアンタムアール)というデバイスの開発を行っており、点検や整備といった“第一線現場業務”での利用が期待されている。

このときは、まだ試作段階のものが披露されたレベルで、実際の業務には活用されていなかったが(イメージ映像はみせていただいた)、7月から実証実験が開始され、その途中報告が東京・世田谷区にある変電所で行われた。

ヘッドマウントディスプレイ型の「QuantuMR」(クアンタムアール)

ちなみにこの変電所は25~50万ボルトで送られてきた電力を6,000ボルトまで落とし、家庭やビルに配電する「配電用変電所」である。つまり、ここから電柱や地下に張られた電線を伝って、われわれの生活に電気が届く。

変電所という舞台でMR技術の有用性を実感

MRはVR(仮想現実)とAR(拡張現実)をミックスしたテクノロジー。ゲーム機などで採用されているVRヘッドマウントディスプレイに、「Pokémon GO」のようなARが投影される。VRはヘッドマウントディスプレイにより視界が遮断され、ARはスマホやタブレット上に情報を映す限定的なものが多い。だが、クアンタムアールは肉眼での視界の上に各種アイコンなどのインタフェースを投影。肉眼で目の前の機器などを確認しながら、各種情報にアクセスできる。

5月に共同開発が発表されたときは、東京電力本社の会議室でクアンタムアールを着用したが、イスやテーブルばかりで歩行進路を示すマーカーぐらいしかテクノロジーを体感できなかった。だが、今回は変電所という実際の事業所だ。変圧器がズラリと並んだ部屋でクアンタムアールを装着すると、多くの情報にアクセスできることを確認することができた。

歩行進路を示す矢印状のマーカーのほか、各種情報にアクセスできるアイコンが表示されている

では、なぜMRが第一線現場業務で有効なのだろうか。これまで、点検・整備といった業務は、紙の仕様書やタブレットがメインだった。だが、ともに片手がふさがってしまい作業効率が落ちる。また、仕様書の読み違えがないか、二人一組で行動しなくてはならなかった。そして仮に管理する機器に異常が発生し、処置が必要になった際、膨大な紙資料のなかから該当するものを探す必要があるだけでなく、電力のようなインフラは、異常発生の際、速やかに処置・復旧させなくてはならない。初動が遅れることは、それだけわれわれの生活へのダメージとなる。

クアンタムアールでは、紙資料を持ち歩かなくても、アイコンをタッチしていくことで各種仕様書や操作手順書にアクセスできる。おおよそ必要な情報を呼び出せるので、仕様書や手順書を間違ったからといって管理室や資料室に取りに戻る必要はない。また、クアンタムアールによる点検・整備も基本的には二人一組だが、紙資料の場合とは役割が異なる。実際の機器の前に進むのはクアンタムアールを着用した作業員。もう一人はパソコンでクアンタムアールから送信される映像をモニタリングし、ボイスチャットやマーカーなどで、機器を前にした作業員に指示を送れる。こうした遠隔コミュニケーション機能は、特許出願中だそうだ。

指で上下から挟むようにしてアイコン操作を行う
回路図を呼び出したところ
パソコンで作業状態をモニタリングできる。左のディスプレイはクアンタムアールをとおした映像、右のディスプレイは3Dマップ。3Dマップ右側には作業手順の指示が表示され、その作業が終了すると時刻が記録されていく
外部カメラにより映された映像で、作業員の様子をチェックできる
丸印などを描くことで、具体的な点検箇所を指示可能

MRによる業務支援機器のなかでリードする存在

こうしたなか、東京電力とポケット・クエリーズは、クアンタムアールの販売開始を発表した。実は、実証実験はまだまだゴールしていない。これからも試験を進めながら、機能や使い勝手をブラッシュアップしていく段階だ。ではなぜ、クアンタムアールの販売開始をリリースしたのだろうか。

東京電力によると、多くの企業から引き合いがあるのが理由らしい。クアンタムアールは、複数の事業所で汎用的に使えるデバイスではない。その事業所が必要とする仕様書・手順書、3Dマップなどの準備、クアンタムアール使用者のトレーニングが必要。その期間を見越して販売開始を早めにリリースしたとも考えられる。

クアンタムアールの優位性を語る、東京電力ホールディングス 経営技術戦略研究所 経営戦略調査室の大木功氏(左)と、ポケット・クリエーズ 代表取締役の佐々木宣彦氏(右)

実際にどのような企業から引き合いがあるのか、具体的な社名には触れなかったが、電気・ガスといったインフラ事業が多いらしい。電力自由化・ガス自由化により、エネルギーに関わる新企業が増えたことも影響していそうだ。また、両社は今後、水道事業者などにもアプローチしていきたいとも語る。

MRを活用した業務支援サービスは、各社で研究開発が進められている。だが、大木氏も佐々木氏も「実証実験にこぎ着けられたクアンタムアールは、頭ひとつ抜け出している」と胸を張った。