「SNS」の記事

バズらせ屋メルカリが「新元号の発表」を見逃すワケがなかった

バズらせ屋メルカリが「新元号の発表」を見逃すワケがなかった

2019.04.02

新元号発表の2時間後、メルカリが新元号イベントを実施

「令和」の文字をプリントしたTシャツを配布

このプロモーションの目的は? 仕掛け人に話を聞いた

昨年末、リアル店舗のような折込チラシを配布してSNSで“バズった”メルカリ。これまでも、何度も巧みなプロモーションを仕掛けてきた同社が「新元号の発表」という国民的イベントで黙っているワケがなかった。

メルカリは新元号の発表後間もなく、渋谷ストリーム前にてイベントを実施した

「速さ」で注目を奪った、巧みなプロモーション

4月1日14時、新元号が「令和」と発表されてからわずか2時間半後、国民の興奮冷めやらぬ頃に同社は、渋谷で「メルカリ新元号発表イベント」を実施した。

イベントで行われたことは2つ。まず1つ目は、「美しすぎる書道家」こと涼風花氏の書道パフォーマンスだ。力強く「令和」の文字を書くそのパフォーマンスは、通行人の目をくぎ付けにした。

書道パフォーマンスを行う、書道家の涼風花氏

もう1つは、事前に涼氏が書いていた「令和」の文字をプリントしたTシャツの無料配布だ。この「令和Tシャツ」は元号の発表後、急ピッチで大勢のスタッフによって制作され、合計500人に渡された。

パフォーマンスに足を止めた人たちがTシャツを受け取るための列に並び、またそれを見た人が後列に続く。時間が経つごとに人が集まってきて、会場には長い行列ができていた。

「令和」プリントTシャツの受け取り時には人が多く集まりすぎて、ちょっとしたパニック状態に

新元号発表直後ということもあり、このイベントには多くの報道陣が参加した。さらには渋谷の通行人を巻き込み、SNSでの発信にもつなげさせるという、メルカリの上手なプロモーションを見せつけられた。

このイベントは、どのように企画され、何を狙って行われたのか。イベント終了後、この企画の担当者であるメルカリ マーケティング部 マーケティングスペシャリストの星賢志氏に話を聞いた。

メルカリ マーケティング部 マーケティングスペシャリストの星賢志氏

服が情報を伝える、再利用可能な「新しい号外」

――今回のイベントの狙いはどういったものだったのでしょう?

星賢志氏(以下、星):日本中が盛り上がる新元号の発表を、メルカリがいち早くお祝いしよう、というのが今回の企画でやりたかったことです。

涼さんの巨大な書き初めは、新しい時代が始まることを示したいという想い、そしてTシャツの配布は、これまでなかった「号外の新しい形」を提案したいという想いのもとに実施しました。

配布された「令和」Tシャツ

――号外の新しい形とは?

星:今まで「号外」というと、主に新聞などの紙媒体で配布されることが多かったかと思います。しかし、それらは渡されたあとには使い道がなくて、ゴミになってしまうことが問題でした。

そこで今回メルカリが配布したのは、新元号を伝えるための情報をTシャツにプリントした「再利用可能な号外」です。Tシャツを着たり、写真を撮ったりして楽しめるので、受け取ったあともゴミになりません。

また、このプロモーションには、当社が提供する「メルカリ」のサービスのメッセージも込めています。メルカリによるCtoCのマーケットプレイスは、本来価値のなくなったものをゴミとして捨てるのではなく、次の人に渡す、という仕組みを作り出しています。

Tシャツを受け取った人の中には、その場で着用して写真を撮る人もいた

――元号の発表後に、すぐ配布用のTシャツの制作に取り掛かったとのことですが、イベントの準備時間が短く、トラブルもあったのではないですか?

星:もともと、「新元号が発表されてすぐに動く」という前提で組んだ施策だったので、大きな問題はありませんでしたね。むしろ、イベント運営側の「ドタバタ」を絵にできたのも、面白かったんじゃないでしょうか。

元号の発表後、数十人のスタッフが1枚1枚のTシャツに「令和」の文字をプリントする様子も、メディアに公開されていた

メルカリは、世間を投影するプラットフォームに

――イベントを終えたばかりで、まだ確認できていないかと思いますが、元号発表直後から、メルカリで「令和」関連の商品が売れていることが話題になっています。こうした盛り上がりについてはどう捉えていますか?

星:メルカリでは昔からよく、世間の話題を投影するような現象が起こってきました。例えば、大坂なおみ選手が全豪オープンで優勝した時には、関連グッズが多く売れたり、検索されたりするようになりました。

そういった現象は、メルカリが世の中に浸透している証でもありますので、今回、メルカリ上でいろんな商品のやり取りがなされていることは嬉しいですね。

――最後に、イベントを実施した今の心境を教えてください

星:多くの方にイベントに来て頂き、非常にありがたく思います。

それと同時に、「新しい元号」「新しい時代の始まり」に多くの人が注目していることを客観的に感じられました。令和はいい時代になればいいなぁと、一個人として思いますね。メルカリでも、「新しい時代の日常的なマーケットプレイス」として、これからもさまざまなことに挑戦し続けたいと思います。

メルカリの存在感は、「新しい時代」でも増していきそうだ
Twitterがカメラ機能を新しくした狙いとは?

Twitterがカメラ機能を新しくした狙いとは?

2019.03.20

Twitterのカメラ機能が新しくなった

共通のトピックに関する「会話」の促進を目指す

『カメラを止めるな!』ブームに見る、Twitterの特徴

Twitterのカメラ機能が新しくなった。

「まだ使ってない」という人は、アプリを立ち上げ、ホーム画面を左にスワイプしてみてほしい。Instagramのストーリーズのような操作感で、タップで写真を、長押しで動画を撮ることができる。さらには画像にテキストを重ねたり、ツイートの背景色を変えたりといったことも可能だ。

Twitterがこの機能を追加した目的について、Twitter Japanが行ったプレス向け説明会の様子を踏まえて読み解いていく。

狙いは「会話」の促進

新カメラ機能について、Twitter Japanの公式アカウントは、以下のように説明している。

✔︎Twitterカメラへワンタップでのアクセス:アプリを開いてホームタイムラインで左にスワイプすれば即時にTwitterカメラが起動します。このように瞬時に写真を撮ってツイートできるのです。

✔︎ツイートを逃してほしくない相手にも確実に届くよう:イベントに参加し、Twitterカメラの位置情報をオンにすれば、Twitterカメラで関連のあるハッシュタグや位置情報が提案されるようになります。(こちらは、米国のスポーツ試合とイベントのみで提供を行い、今後世界各地での提供を予定してます)

✔︎アップデートされたTwitterカメラで撮影する写真や動画はより大きく表示され、没入的になります。写真や動画は会話のきっかけになることが多いので、会話の流れがわかりやすく、会話の視認性を向上しデザインをアップデートいたしました。

✔︎今回の取り組みはまだ開始したばかりです。引き続きTwitterカメラは改良を重ねて、皆さんがTwitter上の会話へ快適にご参加いただき、ご共有しやすくしていきます。

この機能が実装されてから、タイムライン上に通常よりも大きく表示される投稿を見て違和感を覚えた人も多いだろう。テキストよりも写真や動画が占める割合が増え、視認性が上がったことで、投稿が印象に残りやすくなったように思う。しかし、Twitterが目指すのはもっと先のユーザー体験だ。

Twitter Japan 上級執行役員 兼 広告事業本部長 日本・東アジア事業開発本部長の味澤将宏氏は、新カメラ機能について「1つのトピックに対して、みんなで『会話』をしてもらうのが狙いです」と説明する。

Twitter Japan 上級執行役員 兼 広告事業本部長 日本・東アジア事業開発本部長の味澤将宏氏

実は、この「会話」を促進するための機能はまだ日本では実装されていない。

ではどういった機能かというと、まずは「リプライ」の表示が変わる。新カメラ機能を用いたツイートを開くと、これまでは下にスクロールをしないと見れなかったリプライが、画像の横に一覧で表示されるようになるそう。

Web版のデモ。縦長の画像の横に、リプライが並ぶ形になっている

また、もう1つ面白いのが「ハッシュタグ」に関する機能だ。位置情報をオンにした状態でツイートする際、周囲のTwitterユーザーが多く使っているタグを提案されるようになる。これによって、タグを付与する面倒が解消されるほか、自分の投稿がより見られやすくなる。

これらの機能は、まずはアメリカのスポーツイベントなどで提供していき、今後世界に展開していく予定となっている。

『カメ止め』ムーブメントに見るTwitterの特徴

なぜTwitterが「会話」に重視した機能を実装するに至ったのか。

それは、Twitter上での会話が、現実に大きな影響をもたらすという確信があるためだ。味澤氏は、その事例として2018年に起こった『カメラを止めるな!(以下、カメ止め)』の一大ムーブメントを挙げる。

少数の映画館での上映から始まった映画『カメラを止めるな!』は、Twitter上で話題になり、一気に人気になった

Twitter Japanでは、3月8日の同作の地上波初放送に合わせ、カメ止めが一大ムーブメントを起こすまでの軌跡とTwitterの相関性を調査した。

その結果、『カメ止め』鑑賞者の内、7割がTwitterを利用していたほか、カメ止めを認知するキッカケがTwitterだったという人が多くの割合を占めていたことがわかった。

『カメラを止めるな!』を劇場でひた人の内、17% がTwitterで作品を知った人だった

さらに同社は、実際のツイートデータを基に、少数の発信に始まり、情報が急速に拡散していく流れを一本の動画にまとめた。動画では、初めは少数だったツイートが徐々に広がり、Webニュースやテレビ放送によってさらに広がり、それがまた広がり……という流れが見られる。

Twitter Japanブログより】

このカメ止めのムーブメントに見られるように、味澤氏はTwitterの特徴を「何かの事象に対する『これ面白いよね』という会話が増幅していくこと」と説明する。新機能は、その特徴をさらに伸長させるための一手というわけだ。

日本では、2020年には東京オリンピックが、直近では今年のラグビーワールドカップが控えている。アメリカのスポーツイベントを皮切りにスタートする、新カメラ機能は、どのようなムーブメントを起こすことになるのか。ひとまずは日本での提供開始を待ちたいところだ。

“プロの犯行”が物議を醸した「Twitterマンガ」論争

カレー沢薫の時流漂流 第29回

“プロの犯行”が物議を醸した「Twitterマンガ」論争

2019.02.25

漫画家・コラムニスト カレー沢薫さんの社会派連載!

第29回は、読む人と描く人の意識がすれ違った「Twitterマンガ論争」について

「ツイッター漫画」というものをご存じだろうか。ツイッターをやっている人なら、タイムラインに短い創作漫画が流れてきたことが一度くらいはあるだろう。

ツイッターの性質上、あまり長いページ数は載せられないため、大体4ページくらいで一区切りついており、ページ数が少ないが故に、その設定は出オチと言って良いほど斬新かつ簡潔なものが多い。

そういったツイッター漫画は、「○○が××する話」というタイトルをつけられていることが多い。こうすることにより、どんな内容か一発でわかる上に「ナンバーガールが再結成する漫画だって!? 気になる!!」などと、ツイートを見た人の興味を引くことができる。

様々なものが流れてくるツイッターでは、まずは何より人の目を引き、その上で内容を読むまでに至らせないといけないので、タイトル付けが非常に重要なのだ。その点で、「○○が××する話」という定型は実に良くできている。

最近、その「○○が××する話」が物議を醸したのだそうだ。

実は私もこのツイッター漫画には腹が立っていたので「やっとか」という気持ちである。

何故なら1万リツイートとかされているツイッター漫画を見かけると、瞬時に「この漫画はこのまま書籍化し100万部売れてアニメ化するに違いない」とまで考えてしまうからだ。そうなると「汚ねえぞ!」と謎の義憤に駆られてくる。

よって今回、「○○が××する話」に憤った人がいると聞いて「わかる」と思ったのだが、その怒りは私とは全く別方向のものであった。

漫画は「自然に」売れない

そもそも「○○が××する漫画」は、プロではないアマチュア作家がやりだしたことだとされている。しかし今回物議を醸したのは、アマチュアではない商業作家が、ちゃんとしたタイトルがある自らの連載作を、「○○が××する話」というツイッター漫画の体で発表し、後から「実はこの漫画はこういうタイトルの商業作品です、気にいったら買ってください」とコメントした、つまるところ著作の宣伝に使った行為である。

もちろん漫画自体は本人が描いたものであり、違法性は全くない。つまりこのツイッター漫画形式を使った漫画家の宣伝ツイートに物申している人は、怒っているというよりはその行為に「モヤモヤしたものを感じている」と言った方が良いだろう。

まず、ちゃんとしたタイトルがある商業作品なのに、それをあたかもツイッター発の「ツイッター漫画」作品のようにして発表されたことに「騙された」と感じた人がいた、ということだ。

また、アマチュアがあげた漫画がツイッターでバズり、そこから商業化されるのが今までの定石だった。そのため、プロがその手法を宣伝に使う行為に違和感を持ったというのが、主なこのモヤモヤの正体ではないかと言われている。

これに対しては、自分が描いたものを、しかも無償で公開して何が悪いと擁護する意見も多い。だが、私は「同業者のサクセス」というもっとさもしい理由でツイッター漫画に怒っている人なので、「モヤモヤした」人の感覚も否定することはできない。

とはいえ、宣伝漫画苛立ち派の中には「○○が××する話」に限らず、漫画家がSNSで宣伝に奔走する行為自体が嫌な人も含まれているような気がする。そういう人は「面白けりゃ宣伝なんかなくても売れる」と思っているため、作家の宣伝を「面白くない作家の見苦しい悪あがき」と捉えてしまうのである。

しかし作家の立場から言わせてもらうと、どれだけ不愉快に感じ嘔吐する人がいても、SNS上での宣伝をやめることはできない。この出版不況なご時世、作者自身が宣伝しないと、そういう漫画が存在していることすら誰にも知ってもらえないことはザラにあるからだ。SNSは宣伝費をかけずに、上手く行けば作品のことを広く知らせることができる一攫千金ツールなのである。

面白い漫画は自然に売れるというが、いくら面白くても風に乗って広まることはない。口コミで広がろうにも、まず発信源である最初の数人に知られるための宣伝は必要なのだ。

しかしSNS上での宣伝に本当に効果があるかどうかは未知数であり、「場合による」としか言いようがない。

私の妄想通り、ツイッターでバズり単行本が100万部売れアニメ化するものも存在するが、ツイッターではバズったが書籍化したらそうでもなかった例もあるようだ。私も自分の著作のコマの一部がツイッターでバズったことはあるが、それで単行本自体が売れたかというと、今のところ手ごたえを感じたことはない。

だが「ツイッターでバズったことにより売り上げが下がった」ということは、よほどの大炎上でなければないだろうし、数字には出なくても、ツイッターでバズれば「とりあえず知ってもらう」ことができる、これは非常に重要なことだ。

よって、今の作家は「嘔吐する」と誰かに批判されても、そういう人には「それは失礼つかまつった」と言って、嘔吐せずに買ってくれる人に向けてSNSで宣伝をしていくべきだろう。

そうしないといずれは餓死し、宣伝よりももっと見苦しい「死体」をさらすことになる。

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