「NEC」の記事

7割の人がシャットダウン? NECがPCの高速起動にこだわる理由

7割の人がシャットダウン? NECがPCの高速起動にこだわる理由

2019.01.30

NECPCが2019年春モデルのPC新製品を発表

シャットダウンを常用するユーザー向けに「高速起動」をアピール

新機能「ボイス起動」を搭載したモデルも登場

NECパーソナルコンピュータ(NECPC)が2019年春モデルのPC新製品を発表した。スマホの普及により個人向けPCは売れないといわれる中、進学や新生活のシーズンである春は商戦期となっており、学生のレポート作成用途などに向けて各社が新製品を投入する。

NECPCが2019年春モデルの新製品を発表

その中でNECPCがこだわりポイントとして挙げているのが、「高速起動」と「サポート」だ。背景には、PCの進化によって起動速度が劇的に速くなった一方で、多くのユーザーが依然として「シャットダウン」を使っているとの実態があるようだ。

PCへの不満は「起動速度」と「使い方」がトップ

2019年はNEC初のパーソナルコンピューター「PC-8001」が登場してから40周年を迎える。その節目の年に向けて、NECPCは2018年に「PCとは、愛だ。」というブランドスローガンを掲げ、ユーザーが実際に直面している不満に寄り添うという開発方針を採っている。

果たしてPCユーザーは、何を不満に感じているのか。NECPCによる2017年の調査では、「起動が遅い」と「使い方がよく分からない」が、上位2つを占めているという。

PCユーザーの不満は「起動が遅い」と「使い方がよく分からない」

PCの起動速度に影響する大きな要因が、ストレージだ。フラッシュメモリを用いたSSDなら起動は速いが、容量が大きいものは高価になる。HDDなら安価に大容量を得られるが、起動には時間がかかる。このHDD搭載機のユーザーから不満の声が多いという。

そこでインテルが開発したのが、HDDを高速化する「Optaneメモリー」だ。NECPCはこのOptane採用機を増やすことで、HDDで大容量を確保しつつ、起動の高速化を実現している。

Optaneメモリーにより、起動速度は目に見えて速くなる

使い方がよく分からないという不満についても、無償の使い方相談サービスを提供。それに加えて、2019年春からは有償サポートも追加し、落下にも対応した「安心保証」や「オンライン自動バックアップ機能」を月額700円のサブスクリプションで提供する。

新たに有償のサポートサービスも開始する

最近の学生はPC操作が苦手といわれるが、実際に購入すればすぐに使いこなせるようになるとの声も多い。だが、落下の保証やバックアップは長期的な需要がある。そこで有償サポートにより、大学生活の4年間をしっかり保証するのが狙いというわけだ。

だが、起動速度の不満については疑問を持つ人も多いのではないだろうか。なぜなら、PCをスリープ状態にすれば、すぐに復帰させることができるからだ。これに対して、NECPCによれば実に7割もの人が「シャットダウン」を日常的に使っているという。

7割の人がシャットダウンを常用

PCを使い終えるとき、シャットダウンとスリープにはどのような違いがあるのだろうか。シャットダウンは完全に電源を落とすことができるが、再び起動するにはシステムの立ち上げに時間がかかってしまう。

これに対してスリープは、メモリーの状態を保持することで、わずかな電力を消費するものの、素早く復帰できるというメリットがある。ノートPCの画面を閉じればスリープになる機種がほとんどのため、多くの人は無意識のうちに使っているかもしれない。スマホやタブレットでは、画面をオフにするスリープが当たり前のように使われている。

だが、NECPCによれば7割のユーザーがシャットダウンを使っているという。その背景には、長年の習慣があると同社は見ている。スリープ機能が登場するからPCに慣れ親しんできたユーザーの中には、いまでも忠実にシャットダウンを実行している人が少なくないというわけだ。

NECPCとして、より便利なスリープを使ってもらうよう、ユーザーを啓発していくという方向性もあるだろう。それと並行して、ユーザーがいま直面している不満を解消すべく、シャットダウン状態からでも高速起動する技術の採用を進めている。

他にも27型のディスプレイ一体型モデルには、新たに「ボイス起動」機能を搭載した。シャットダウンで電源を落とした状態でも、声で呼びかけるだけでPCを起動できる機能で、NECPCによれば世界初だという。

シャットダウンした状態から音声だけで起動できる「ボイス起動」も

PCは家電に比べてはるかに複雑な製品であり、備わっている機能を正しく使えるユーザーばかりとは限らない。そうしたユーザーの不満を技術で解決していく姿勢こそ、NECPCが積み上げた40年の歴史から得られたものなのかもしれない。

レノボ傘下でも独立運営、富士通PC事業の行く末は?

レノボ傘下でも独立運営、富士通PC事業の行く末は?

2017.11.06

富士通とレノボ・グループ、日本政策投資銀行は11月2日、PC事業における富士通とレノボとの戦略提携について正式契約を締結したと発表した。

今回の提携により、富士通の100%子会社として運営されている富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の株式のうち、51%をレノボに、5%を日本政策投資銀行にそれぞれ譲渡することで、FCCLを3社の合弁会社とし、PCおよび関連製品の研究開発・設計・製造・販売を行う。

FCCLの社名はそのまま継続して使用されるとともに、現在の製品ポートフォリオや開発、製造体制も維持し、引き続き富士通ブランドの製品を提供していくことになる。商品の販売やサポートは、法人向け商品が富士通から販売パートナー経由か直接提供し、サービスも富士通が提供する。国内個人向け商品については、FCCLから販売店経由、または直接提供し、サポートもFCCLが提供することになる。

エッジコンピューティングへの対応が一つの課題

富士通 代表取締役社長の田中 達也氏は今回の提携について、「富士通が30年以上にわたり培ってきた製品開発力と製造能力に加えて、レノボの持つ世界屈指の調達力、スケールメリットを活用することが目的」と話す。富士通ブランドPCの商品力強化によって、富士通グループにとっても有意義なものになるというわけだ。

一方でレノボ・グループ 会長 兼 CEOのヤンチン・ヤン氏は、「当社の中核事業はPC事業であり、今回の信頼できるブランドである富士通とのパートナーシップは、PC市場で世界第3位の規模を誇る日本はもちろん、グローバルでのビジネスをさらに強固なものにしてくれるでしょう」と述べ、今回の提携がレノボと富士通の双方に大きなメリットをもたらすだろうと、提携についての期待感を示した。

提携について説明する、富士通 代表取締役社長 田中 達也氏
レノボ・グループ 会長 兼 CEO ヤンチン・ヤン氏

今回の提携では、PCのみならず、タブレットやシンクライアント、VRヘッドセットなど、関連製品の研究開発、設計、製造、販売までをカバーする。FCCLは独立した専任の組織として運営されるため、経営陣や販売ルート、現在行われている業務などに変更はなく、ユーザーにとっては「これまでと変わらない存在になる」(レノボ・グループ シニアバイスプレジデント 兼 アジアパシフィック地域プレジデント ケン・ウォン氏)という。

ウォン氏は、日本市場について、法人向けを中心に2020年まではPC市場の成長が見込めるとした上で、レノボと富士通それぞれの強みが補完しあい、より良いデバイスの提供やサービスを展開することで、さらなる成長を実現できるとアピールする。

現在のFCCLは「付加価値の進化」をキーワードに、PCやタブレットの既存製品に対して「モビリティ」や「セキュリティ」といった特定機能の強化を進めてきた。一方でFCCL 代表取締役社長の齋藤 邦彰氏は「分散型エッジコンピューティングなどへの対応が足りない」として、トレンドの追従、先取りを意識した商品・サービスの展開を模索すると話す。

今回の提携によってレノボグループは、「レノボ」と「NEC」「富士通」という3つのブランドを抱えることになる。これらをどう活かすかについてレノボ・グループのウォン氏は、市場で競争があるからこそ、より良い製品が提供できるとした上で、日本市場が依然として成長市場であり、それぞれのブランドで製品を提供することで、より多くの選択肢を提供できるとした。

また、NECパーソナルコンピュータとの統合や、工場などの廃止も現時点では一切考えていないと明言。今回の提携は、あくまでFCCLが独立した専任企業としての運営が前提だ。質疑応答でも、将来に合弁会社の組織・社名の変更などを一切考えていないと説明されていた。そうした点では、レノボの開発陣と連携しつつ製品を開発している、NECパーソナルコンピュータという前例とは位置づけが大きく異なる。

しかし、過半出資の合弁会社である以上、将来的にレノボ側が製品開発に関与してくる可能性は排除できない。そのため、これまで通り自前での設計や製造、サービス提供をどこまで続けられるかという点が今後の課題となりそうだ。

ただ、FCCLはレノボの調達力やスケールメリットを得て、これまで以上に積極的な製品開発が行えるようになることは十分期待できる。その上で、レノボの経営陣に対して「FCCLは引き続き独立運営がいい」と思わせるような、魅力がありイノベイティブな製品を開発し続けることが、今後FCCLには求められると言えるだろう。

たぶん、日本一わかりやすい資本政策の基礎

現役社長が語る!ベンチャーの資金調達 第4回

たぶん、日本一わかりやすい資本政策の基礎

2017.06.12

自ら会社を立ち上げ、これまでに8社のベンチャーキャピタルと事業会社2社の合計10社から、総額3億円を超える資金を調達してきた伊藤一彦氏。自社の経営だけではなく、中小企業診断士として企業支援やベンチャーキャピタルの資金調達にまつわる執筆もされています。

本連載では、現役経営者である伊藤氏が、これまでの経験をもとに、ベンチャーキャピタルからの資金調達についてリアルな現実を語ります。

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みなさんは、「資本政策(しほんせいさく)」という言葉を聞いたことがあるだろうか?

ベンチャー企業で有名な楽天は、資本金が約2000億円で、その株式の約37%を創業者の三木谷社長の関連で保有している(2016年末)。つまり、三木谷社長は2000億円×37%=740億円も投資をしてきたのか??すごいな。どれだけ役員報酬をもらえば740億円も投資ができるのだろう・・・。

そんな疑問が「資本政策」を知る前の、私の頭には浮かんでいた。

もし、この意味がわからなければ「資本政策」を学んでおいた方が良いだろう。経営者にとって自社の株式はとても重要であり、失敗すれば取り返しがつかないのが「資本政策」だからである。しかし、未上場企業の「資本政策」を理解している人は少なく、学ぶ機会もあまり多くはない。

そこで今回は、資本政策の基礎の基礎をなるべく簡単に解説することを試みる。今回もまたリンゴを使って解説する。

(1)リンゴのタネを植えて一生懸命に育てた。ある年、そのリンゴの木には10個の実がなり、1つ100円で佐藤さんに売れた。

佐藤さん=100円×10個=1000円

(2)次の年、同じ木にリンゴが10個なった。去年よりも大きな実がなったので、鈴木さんに1つ200円で売れた。つまり、このリンゴの木は、佐藤さんから1000円と鈴木さんから2000円の合計3000円の価値を生んでいる。

佐藤さん=100円×10個=1000円
鈴木さん=200円×10個=2000円
―――――――――――――――――
合計金額     20個=3000円

リンゴを持っている数は、佐藤さんも鈴木さんも同じ10個である。しかし、同じ木からできた同じ個数のリンゴを手に入れるのに佐藤さんは1000円、鈴木さんは2000円かかっている。

まさに、これが資本政策なのである。リンゴの値段が株価、合計金額が資本金と考えると良い。

続いて、企業の事例で同じように考えてみる。

(1)社長が株価1万円で1000株の会社を設立すると
株価1万円×1000株=1000万円の資本金となる。

(2)ベンチャーキャピタルから株価2万円で1000株の投資を受けると
株価2万円×1000株=2000万円の資本金が増える。

このとき、この会社は、資本金3000万円で発行株式数2000株になる。持ち株比率は、社長:ベンチャーキャピタル=1000株:1000株で50%ずつである。同じ会社の株式を社長は1000万円でベンチャーキャピタルは2000万円で手に入れたことになる。

このようにして、_株価をあげてベンチャーキャピタルからの投資を受けることで社長の持ち株比率を保ちながら、必要な資金を確保することができる。

これが資本政策の基礎である。

つまり、冒頭の楽天の三木谷社長も役員報酬でたくさんの資本金を会社に投資していったのではなく、高い株価で外部から資本を調達できた結果として、設立当初に投資した株価があがっていったのである。

では、どのようにして株価は決まるのか?

それは、すでに上場している企業の株価と比較して、自社の株価も決めていくことになる。上場している企業は利益も株価も公開されている。それと比較して、自社の利益にそって株価を決めていくのである。しかし、それは単純な比較ではなく、未来にどれだけの利益があがるのかという期待なども考慮されて決まっていく。またベンチャーキャピタルとの交渉によっても株価は変わるのだ。

同じような業種で、同じ利益をあげていても株価が全く異なることがある。同じ品種のリンゴが、近所のスーパーで買うのと、高級百貨店で買うので全く値段が異なるように。

近年では、私が講演で「当社は資本金1000万円からスタートして、2005年と2007年に合計1億4000万円の出資を受けて、資本金1億5000万円の会社になった」というと、「そんなにたくさん投資を受けて会社をのっとられたりしないのか?」という質問を受けることがある。しかし、実際には、当社の株式のうち70%近くを経営陣で保有しており会社がのっとられることなどありえないのである。

これらを理解していくことが資本政策の最初の第一歩であり、最も重要なことである。

 

伊藤一彦

1974年大阪生まれ。1998年大阪市立大学を卒業後、日本電気(NEC)入社。ベンチャー企業を経て、2002年営業創造を設立。2012年スマイル・プラスをグループに迎える。2016年にグループ全社を統合し、BCC株式会社代表取締役社長に就任。経営の傍ら中小企業診断士として公的機関での中小企業支援をおこなう。著書「【新訂3版】バランス・スコアカードの創り方(同友館、共著)」「ベンチャーキャピタルからの資金調達〈第3版〉(中央経済社、共著)」