「Amazon」の記事

アマゾンの物流を支える、ロボット化された最新倉庫が大阪に誕生

アマゾンの物流を支える、ロボット化された最新倉庫が大阪に誕生

2019.04.05

アマゾンジャパンが大阪・茨木市に新たな物流拠点をオープン

配送の人手不足が課題、アマゾンの対策は?

4月からは「社会科見学」の受け入れを予定

4月4日、アマゾンジャパンが大阪・茨木市に新たな物流拠点をオープンした。日本国内に10カ所以上の拠点を持つアマゾンだが、茨木の特徴は最新のロボット技術「Amazon Robotics」を導入したことだ。

アマゾンジャパンが茨木に物流拠点をオープン

国内Eコマース市場が成長を続ける一方で、配送の時間短縮や人手不足対策など、課題も増えている。その中でアマゾンが取り組む最先端の物流拠点はどうなっているのだろうか。

商品棚が走り回る最新ロボット技術を導入

アマゾンがオープンした「茨木FC」(フルフィルメントセンター)における最大の特徴は、商品棚が縦横無尽に走り回る「Amazon Robotics」の導入だ。従来の倉庫のように商品棚の間を人間が歩き回るのではなく、棚自体を動かすシステムで、国内での導入は川崎に続いて茨木が2例目となる。

茨木FCの中を商品棚が縦横無尽に動き回る

黄色い商品棚「ポッド」を乗せて走るのは、自走式のロボット「ドライブ」だ。床に置かれたQRコードを頼りに、秒速1.7メートルで移動する。川崎で稼働中のモデルよりも積載重量が6割以上増えており、より大きな商品棚を動かせるという。

地面に置かれたQRコードに沿って移動する「ドライブ」

商品棚が動くことから、スタッフは定位置での作業になる。商品の入荷時は、空いている棚にどんどん商品を詰めていく。書籍や生活用品といった種類に関係なく、サイズだけで分けていくのが面白い。

入荷した商品を棚に入れる作業

注文された商品の出荷時には、画面の指示にしたがって棚から商品を取り出し、コンテナに詰めていく。このコンテナは梱包エリアに運ばれ、お馴染みの段ボールに詰められて出荷される仕組みだ。

出荷時には棚から商品を取り出していく

商品の出し入れ作業自体は、人間の仕事だ。アマゾンが取り扱う商品は書籍や家電、生活用品など大小さまざまで、まだ機械化は難しいという。とはいえ、人間が倉庫内を歩き回る従来の配送センターに比べれば、はるかに効率化された印象だ。

安全確保や地域との共存に注力

アマゾンの配送センターでは、安全確保も重視されている。構内では「走ることの禁止」「一定以上の声量での声かけ」「重たい物の持ち方」などの厳しいルールがあった。

安全確保に関する配送センター内の掲示物

また、配送センター内の随所にウォーターサーバーを設置するほか、空調管理はモニタリングしたり、作業員の近くに空調ダクトを置いたりするなど、快適に作業できる環境を整えたという。

カフェテリアでは食品メーカーに特注したカレーを200円から提供する。休憩スペースや作業員が相談できるカウンターの設置など、働きやすい環境作りを進めていることを挙げた。

茨木FCのカフェテリア
200円のカレーライスなどが提供されている

アマゾンジャパンのジェフ・ハヤシダ社長は、地域との共存についても強調した。4月には近隣の小学校に通う生徒が見学しに来るそうで、今後も社会科見学などを受け入れていくという。地元から通う作業員も多く、敷地内には多数の自転車が置かれた駐輪場があった。

地域との共存について説明するアマゾンジャパンのジェフ・ハヤシダ社長

一般にアマゾンの倉庫作業といえば、膨大な商品が置かれた倉庫内を歩き回る「キツい」イメージがあった。だが、人手不足が進む中でキツいままの職場では求人が難しくなることは明らかだ。ロボット化や快適な作業環境の整備、地元との共存に取り組むといった取り組みには、そうした印象を払拭したいという思惑がありそうだ。

アマゾンは、こうした取り組みの背景として、同社が掲げる「お客様第一」の方針を挙げる。物流拠点を効率化し、事故を減らすことは、注文された商品を顧客のもとにより安く、より速く届けることにつながるからだ。

「音声」巡り覇権争うアマゾンとグーグル、立ち止まるアップル

「音声」巡り覇権争うアマゾンとグーグル、立ち止まるアップル

2019.01.21

CESで存在感を放つアマゾンとグーグル、各社の最新動向は?

レノボはGoogleアシスタント、Alexaに対応した新製品を発表

アップルは各社にプライバシー問題を警告、独自路線を貫くか

米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES 2019」で、別格の存在感を放っていたのがアマゾンやグーグルだ。2018年はグーグルがCESに初めて本格出展したことで話題となったが、2019年も大がかりなブースを設置して来場者の注目を浴びた。

ラスベガスのCES会場前に設置されたグーグルのブース

アマゾンやグーグルは音声アシスタントで競争しており、家電製品への組み込みを進めている。2019年のCESではどうだったのか、両社の最新動向をレポートする。

グーグル対アマゾンの音声争いが加速

グーグルは今年もCES会場に「Googleアシスタント」を目玉にした大型ブースを設置。巨大な壁面広告やモノレールのラッピング広告で存在を示し、家電メーカーのブースには白い帽子のスタッフを派遣するなど、CESを乗っ取る勢いだった。

「Googleアシスタント」に対応した家電製品が並ぶグーグルブース

一方、Alexaで先行するアマゾンも展示エリアを拡大。業界やメーカーの枠を越えた「Alexa対応製品」を一挙展示することで、エコシステムの強大さを示した。家庭向けのスマートホーム用途だけでなく、オフィスで使う事例も示すなど、応用範囲を広げている。

アマゾンは「Amazon Alexa」対応製品をブースに集めた

具体的な対応製品として、音声で操作できるスマートスピーカーやスマート電球はもちろんだが、これまでにないジャンルの製品も増えている。たとえばレノボは「目覚まし時計」と「タブレット」の2機種を発表した。

レノボの目覚まし時計「Smart Clock」(左)とタブレット「Smart Tab」(右)

Googleアシスタントに対応した「Smart Clock」は、目覚まし時計の置き換えを狙った製品だ。音声だけでなく画面のタッチ操作にも対応しており、カレンダーの予定や寝覚めのいい音楽、室内の照明と連動した目覚まし機能を提供する。

一方、Amazon Alexaに対応した「Smart Tab」は、一般的なAndroidタブレットとして使えるほか、ドックに置くと音声とタッチで操作するスマートディスプレイに早変わりする。自宅でも外出先でも1台2役で使えるお得さが特徴だ。

アップルが投げかける「プライバシー」問題

CESに両社が注力する背景には、音声アシスタント市場におけるシェア争いがある。「Amazon Echo」や「Google Home」といったスマートスピーカーの売上ではグーグルがアマゾンを猛追しており、2018年第1四半期には逆転劇を果たした(英Canalys調べ)。しかし第3四半期にはアマゾンが再び首位に立つなど、接戦が続いている。

その勢力はスマートスピーカーを越えて、家電全体に広がりつつある。家電の操作といえばスイッチやリモコン、タッチ操作が一般的だが、音声に対応する製品は増えている。これまで独自の音声アシスタント「Bixby」を展開してきたサムスンも2019年にはグーグルとアマゾンとの連携を発表した。

サムスンはスマートTVでグーグル、アマゾンと連携

このまま音声が普及していけば、世界中の人々がインターネットのサービスやコンテンツにアクセスする手段になる可能性がある。音声アシスタントのシェア争いは、スマホOSのシェア争いと同じくらい重要というわけだ。

ただ、音声操作はプライバシーに関する懸念もある。音声操作を受け付けるには、マイクが常時オンになっている必要があるからだ。マイクをオフにする機能はあるとはいえ、家庭内のプライベートな会話を常にマイクに拾われるのは心地よいものではない。

この問題に一石を投じたのがアップルだ。CES会場からよく見えるホテルの壁に意見広告を掲載。ラスベガスの有名なコピーをもじって「iPhoneで起きることはiPhoneの中にとどまる」と訴え、サードパーティと広く連携するアマゾンやグーグルを牽制した。

アップルはCESでプライバシー重視をアピール。元々の言葉は、「What happens in Vegas stays in Vegas.(ラスベガスで起きたことはラスベガスに残る)」というもの

アップルも独自の「Siri」をiPhoneに搭載し、スマートスピーカー「HomePod」も販売している。だがサードパーティとは積極的に連携していないため、音声のシェア争いでは不利な立場に追い込まれている。アップルがこのまま「プライバシー重視」路線を貫くかどうかも、音声アシスタント市場の行方を左右しそうだ。

「Hey Siri」と言えない日本人は、世界市場から取り残されるのか

「Hey Siri」と言えない日本人は、世界市場から取り残されるのか

2018.12.26

日本人の音声認識機能の利用率は低い

スマートスピーカーの市場は2025年、12.5倍に

「デジタルアシスタント」攻略は生き残りのカギ

SiriにGoogleアシスタント。最近、スマホの音声アシスタントを利用したという方はどれほどいるだろうか。

筆者はiPhoneとGoogle Pixelを併用しているが、「Hey Siri」も「OK Google」も言わないし、Pixelに採用されている「Active Edge」(本体をギュっと握ることでGoogleアシスタントを起動する機能)を使ったのも、Pixelを手にしてからのほんの数日だけだった。

デジタルパフォーマンス・マーケティングエージェンシー iProspectの調べでは、APAC地域における18~50歳の1800人以上のスマホ利用者のうち、過去6カ月以内に音声認識機能(音声検索、音声対応アプリなどを含む)を使った人の割合は62%。この割合は日本では約40%といい、APAC平均にかなり見劣りし、中国(77%)やインド(82%)と比べると半分に過ぎない。

なぜ日本では普及しないのか。調査を発表したiProspect社に実態を取材し、その理由を探ると、スマホ、スマートスピーカーに限らない「音声アシスタント」の現状と未来が見えてきた。もしかすると、音声アシスタントを活用しない国は、世界市場から取り残されてしまうかもしれない。

米iProspectがAPACにおける音声認識機能の使用率を調査。同社のAPAC Head of Innovation & North Asia Commerceのネイト・シュリラ氏(左)、COOの渡辺大吾氏に話を伺った

地域によって「音声認識」への印象は違う

――なぜ日本では音声アシスタントの使用率は低いのでしょうか

渡辺大吾氏(以下、渡辺):文化的な影響はあるでしょう。日本人は、集団の秩序を守る傾向にあります。注目されたくない、恥をかきたくないと思う人が多い。人前で「Hey Siri」と言って、認識されなかったら恥ずかしいですよね。

ネイト・シュリラ氏(以下、シュリラ):反対に、中国やインドなどの地域では音声アシスタントを使用しているのが「格好いい」というイメージを持っている人が多い。そもそも音声認識機能を使えるようなデバイスを持っていることが1つのステータスであり、彼女の前で「OK Google、美味しいレストランを教えて」と言うのが、スマートだという価値観があるのです。

――使っている姿を見られたくない?

渡辺:かつての失敗体験も影響しているでしょうね。2011年にSiriが登場した時、人々は「人間の声を認識して機械が応えてくれるなんて、素晴らしい」と思ったことでしょう。しかし、いざ使ってみると誤認識することが多かった。

その頃のSiriの認識率は77%ほどでした。つまり4分の1ほどの言葉を間違って認識するのです。今では性能はかなり上がり、2017年には(英語で)95%ほどの認識率を達成しました。人間の認識能力と同程度です。しかし、当時の経験がもとになって未だに「大丈夫かな?」と不安になる人も多い。

――地域によって音声アシスタントへの印象が異なるのはなぜなのでしょう

渡辺:頻繁に利用されている地域で共通しているのは、“テクノロジーの変化に慣れている”点。中国やインドは、ここ数年で急激にテクノロジーが成長しており、新たなテクノロジーに触れる機会が多い。しかし、日本はそうではありません。テクノロジーの進化は緩やかに市場に受け入れられてきました。日本は常に最新のテクノロジーに囲まれており、豊かな生活をおくっていました。だからこそ、急激な変化に保守的になってしまうのです。

「音声アシスタント」がもたらす市場への影響

――スマホに限らず、最近は「Google Home」「Amazon Alexa」など、音声認識技術を活用した「スマートスピーカー」が普及しています

渡辺:家では人の目を気にする必要がないこともあり、音楽を聴く、天気情報を確認する、照明やエアコンのオンオフを切り替える、といった用途でスマートスピーカーを使う人が増えてきています。

シュリラ:最近は、メルセデスが音声アシスタントを取り入れたことも話題になりました。人前での音声認識機能の使用に抵抗のある日本人も、車や家などの「クローズな空間」で使用できるスマートスピーカーは、徐々に普及していくことでしょう。そうやって音声認識を使う人が増えてくると、デバイスに声をかけることへのハードルが下がります。

「Pokemon Go」のリリース当時、スマホを見ながら歩き、急に立ち止まるような人を見ると、違和感がありました。しかし、今はそんな人を見ても特に驚きはしません。これは私たちの慣れが原因でしょう。音声認識においても、いつかブレイクスルーのタイミングが来ることでしょう。

――現在のスマートスピーカーの市場規模はどれほど?

シュリラ:ニールセンの調査では、2018年の第2四半期、米国におけるスマートスピーカーの普及率は25%という結果も出ています。それに比べると日本はまだまだ普及が少ないですが、市場規模はこれから多くなっていくでしょうね。2018年、日本のスマートスピーカーの売り上げは46億円だと言われています。2025年にはその12.5倍にもなると言われています。

情報革命の主戦場は「デジタルアシスタント」へ

――今後のグローバル市場における音声アシスタントの役割はどのように変化していくのでしょう?

渡辺:注目すべきは、音声に限らない「IoT化の流れ」と言えるでしょう。音声は、消費者との接触ポイントとして注目すべきことの1つにすぎません。

シュリラ:そういう意味で言うと、音声アシスタントというよりも「デジタルアシスタント」について考えた方が良いでしょう。今は音声アシスタントが徐々に日常に入り込んでいますが、今後はビジュアル面で、ARやVR、ホログラムなどと連携していくことでしょう。

情報革命の主戦場はPCに始まり、モバイルへと続いてきました。その次に来るのが、デジタルアシスタントだと言われています。2017年に公開された映画『ブレードランナー 2049』では、物語の中で主人公は家庭用AIとともに暮らしていました。これは未来に起こり得ることでしょう。デジタルアシスタントはデバイスの壁を越えて、人とより密に接する存在になっていきます。

――パナソニックはIoT家電に舵を切りAmazonもAlexa対応家電を増やことに力を入れているように、スマートホームの普及に合わせて、デジタルアシスタントの存在感は増していくことになりそうです

渡辺:利用者との接触ポイントが増えると、そこで新たなマーケティングのチャンスが生まれます。今のデジタルアシスタントは受動的にしか動きませんが、今後は能動的になってくるでしょう。例えば、冷蔵庫内にカメラやセンサを入れることによって、飲食料品の減少を検知し、「〇〇が少なくなってるので注文しますか?」と購買を促したり。

シュリラ:スマートスピーカーの2台巨頭であるGoogle・Amazonは、デジタルアシスタントを、ありとあらゆる場所で使えるようにしようと考えています。例えば、個人の保有するデバイスに限らず、街の中に「スマートバス停」を作ったり、「スマート案内所」を作ったりすることによって、街全体をスマート化しようという動きを始めています。

自分好みにアシスタントをカスタマイズすることもできるようになるでしょう。Googleは今年、歌手のジョン・レジェンドの声をGoogleアシスタントに搭載すると発表しています。これは、想定されるすべての質問に対する返答を録音したわけではなく、いくつかのセリフを録音し、機械学習技術に基づいて、彼のクセや言葉遣いなどを分析して作られたものです。

【Googleの発表後、ジョン・レジェンドの妻クリッシー・テイゲンは、「もう人間のジョン・レジェンドは必要ないね」とツイート】

デジタルアシスタントは、より人々に受け入れられやすい形に姿を変え、ライフスタイルに寄り添う存在となっていくことでしょう。

企業に求められる「ボイスストラテジー」

――私たちの生活はどう変化していき、企業にはどういった取り組みが求められるのでしょう?

シュリラ:マーケティングの観点から言えば、デジタルアシスタントが利用者の好みを深く理解することによって、“利用者にメリットがない広告を排除する”ようになることが考えられます。例えば、「ナイキが大好きな人」にアディダスが広告を打つ際に、アシスタントが「この人はアディダスの靴は履かないから」とブロックするようになるかもしれません。

私たちはGoogleアシスタントやAlexaを用いたマーケティング手法の研究をしていますが、それぞれのアルゴリズムは異なるため、当然アプローチの仕方は変わってきます。これは難しい作業です。しかし、そこで身を引いてしまったら、これからのデジタルアシスタントが普及する時代に取り残されていくことでしょう。将来のビジネスチャンスを見越して、今のうちにテクノロジーにキャッチアップしていくことが求められるのです。

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現状の利用率は低いが、『ドラえもん』や『鉄腕アトム』を見て育った日本人に、デジタルアシスタントを受け入れる素地がないとは思えない。Googleがアシスタントにジョン・レジェンドの声をあてたように、日本向けにはドラえもんの声でも使ってくれれば、この現状は変わるのかもしれない。呼びかけるときはもちろん、「Hey」や「OK」といった横文字ではなく、「聞いてよドラえも~ん」なんかだと、楽しそうだ。