「5G」の記事

5G実装まで1年、CEATECで未来を先取りしてきた

5G実装まで1年、CEATECで未来を先取りしてきた

2018.10.19

5Gの実装が1年前倒しされることに

「CEATECH」で5G技術を体験してきた

恐竜ハントや建機の遠隔操作などの技術を紹介

「5Gで世の中が大きく変わる」とは、ここ数年で聞き飽きた言葉だ。同時に、変わる未来に期待を持たされるのも確かである。

5Gとは第5世代移動通信システムの略。あらゆる物がインターネットに繋がるようになったIoT時代をさらに次の次元へと導く技術であり、世界中で研究開発が進められている。もっとも身近な存在であるスマホはもちろん、遠隔医療や自動運転などへの活用も期待されている。

さまざまな業界から社会実装が待ち望まれる5Gであるが、数年前から語られていた「2020年の実用化」を目前にして、「実用化を1年前倒しする」との報道がなされた。まず大手キャリア3社は、5G対応端末の貸与で限定的なサービスを開始し、2020年からユーザー所有のスマートフォンで使えるようにするとのことだ。

では具体的に、5Gの登場によって世の中がどう変わるのか? 2018年10月16日~19日にかけて千葉県・幕張メッセにて開催されている「CEATEC JAPAN 2018」における携帯キャリア各社の展示から、変わる未来の一部を覗いてきた。

例えば、無人島で恐竜を狩れる

まずはauのブースから紹介する。ブース内でもっとも目を引いたのは、森をモチーフにした大きな展示とそこに吊るされた大きなモニター、そして何やら楽し気にしている高校生。気になって近づいてみると、なぜか大きな銃を手渡された。

ブースに入ると、大きな銃を渡された

「CEATEC会場内に恐竜が侵入しました…! おちおちブース見学なんてしてられませんよ!」(auブースの説明員)

ただならぬ緊張感が漂うauブース……。もちろんブース内に恐竜なんていない。銃をよく見てみるとそこにはスマホが搭載されており、『ジュラシックアイランド』という表記が。

スマホを覗くと『ジュラシックアイランド』と表示されている

数秒経つと、スマホがカメラモードに切り替わり、恐竜の足跡が表示された。その足跡を辿って銃先を向けると、スマホ越しにCEATEC会場を歩き回るティラノサウルスを見つけた。

登場したティラノサウルス(のイメージ)。筆者が片手で銃を持ち、画面を撮影していたところ「銃は重いので両手で持ってください」と注意されたので、実際のプレイ画像は撮れなかった

実はコレ、長崎のハウステンボスですでに実装されているもので、一世を風靡した『Pokemon Go』よろしく、AR技術を用いて現実世界で遊ぶことのできるゲームだ。

現状、このアトラクションは4Gにて提供されているそうだが、5Gを使用することで、より多くの人数でプレイができたり、恐竜の出現位置を共通化させたりできるようになるそう。筆者が体験したのも4Gを用いたものであったが、ティラノサウルスのほか、『ジュラシック・ワールド』で活躍したヴェロキラプトルなども登場して、思いのほか楽しめた。

「5Gによって大量のデータを迅速に端末に送信できるようになれば、従来モバイル側で行っていたデータ処理を、クラウド側で担当し、それをモバイルに送信することができるようになります。現在はハウステンボス内の特定のエリアにいるユーザーがプレイできるこのゲームですが、この技術を応用することで、将来的には遠隔地にいる人同士でも同じ恐竜を狩ることができるようになるでしょう」(技術説明員)

例えば、空を飛べる

次に目を引いたのは、大きな半球体のスクリーンに映された綺麗な映像だった。

「半球体スクリーンによる非日常体験」と題された展示。auブース内でもっとも行列が長かったのがこの展示だった

これは、エアレースやドローン、もしくはSUPER GTのマシンで撮った映像を、リアルタイムでスクリーンに映して体験できるというもの。ブースで実際に使用されていたのはすでに撮影された映像であったが、それでも雄大な映像を見ながらまるで自分が飛んでいるかのような体験ができるため、多くの人たちが並んでいた。

例えば、建機を遠隔地から動かせる

次はKDDIブースへ移動。こちらでは、同社がコマツと共同実験を進めている「5G活用による建設機械の遠隔制御」などの展示が行われている。

少子高齢化が進み、かつ職種が徐々に増えている今、人手不足に悩まされる業界は多い。建設業界もその1つであり、その問題を解決しようと開発されているのが同システムである。

遠隔操作コクピット。実際の建機と同じような操縦感で操作することが可能
遠隔で動く建機側で撮った映像を、リアルタイムで確認することができる

「これによって、例えば東京にいる建機の操縦者が、地方の建機を動かせるようになります。建機を操縦するタイミングは、ほかの工程との兼ね合いによって決まるため、デッドタイムが多いという問題がありました。しかし、このシステムを用いることによって、人が1カ所に留まりながら複数の場所で建機を動かせるようになります」(技術説明員)

ほかにもau、NTTドコモブースでは、好きな場所からスポーツを観戦できるシステムや、遠隔でのロボット操縦を実現するシステムなど、数多くの展示を行っており、そのどれもがどこか未来を感じさせるようなものであった。

5G実装まで1年

CEATECでは、紹介した2ブースのほかにも多くの企業が5Gに向けた取り組みを展示していた。それらを見ていると、「5Gで何ができる?」という疑問に対して「なんでもできる」と解答したくなるほど、どの技術も、仕事や日常生活がより便利に、より楽しくなりそう、と思えるものばかりであった。

なお、NTTドコモはラグビーワールドカップが開幕する2019年9月に「プレサービス」を始め、2020年春から「商用サービス」をスタートする予定だとしている。つまり、5Gの実装まで残り1年を切ったこととなる。

CEATECで体験したいくつもの技術が社会実装される日は近い。5Gという、どこか未来的な技術の足音が、もうすぐそこまで迫ってきている。

「4G」で満足している人が多いのに「5G」が必要とされるのはなぜか

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第21回

「4G」で満足している人が多いのに「5G」が必要とされるのはなぜか

2018.07.12

意外と知らない、ケータイ業界の疑問を解説!

第21回は、「5Gが必要とされている理由」について

2020年に日本でも、携帯電話の次世代通信規格「5G」のサービスが提供される予定だ。携帯電話の通信方式は、約10年毎に世代交代が進んでいるのだが、そもそもなぜ、一定期間毎に新しい通信規格を導入する必要があるのだろうか。

日本では2020年に「5G」の商用サービスを開始

携帯電話の通信規格、要するに音声やデータをやり取りするための仕組みは、約10年毎に世代交代がなされる傾向にある。現在多くのスマートフォンで用いられている主流の通信方式「LTE-Advanced」は、「4G」、つまり「第4世代」の通信方式であり、2010年に標準化がなされている。

そしていま大きな注目を集めているのが、4Gの次の通信規格「5G」だ。2018年6月には5Gの通信方式「5G NR(New Radio)」の主要機能の標準化が完了したことが発表されており、日本では2020年、米国や韓国などより早い国では2019年から、5Gを用いたサービスを提供する予定となっている。

日本に先駆けて2019年の5G商用サービスを実施予定の韓国では、2018年2月の平昌冬季五輪で5Gの実証実験が実施されていた

5Gは従来の4Gと比べ、「高速・大容量」「低遅延」「多接続」といった特徴を備えている。高速・大容量は文字通り、4Gより通信速度が速いことで、4Gの最大通信速度は3Gbpsといわれているが、5Gでは最大20Gbpsの通信速度を実現するという。

2つ目の低遅延は、IP電話で通話した時に、自分が話した声が相手に遅れて届くといった、いわゆるネットワーク遅延が非常に小さいことを示す。4Gの遅延が約50ミリ秒であるのに対し、5Gの遅延は1ミリ秒と大幅に遅延が小さくなるとされており、医療や車の運転など、ずれのない遠隔操作などを実現するのに大いに役立つ。

そして最後の多接続は、多くのモノがインターネットに接続するIoT時代に備え、1つの基地局に対して同時に接続する端末の数が、4Gの100倍になるというもの。ただしサービス開始当初の5Gにはこの仕様は盛り込まれておらず、後から追加される形になるとのことだ。

こうして見れば、確かに5Gは4Gよりも大幅に進化していることが分かる。だが現在スマートフォンを利用している人達からすると、現在の4Gの環境でも動画は快適に視聴できるし、別段困ったことはないと感じていることだろう。これまでにも、2Gから3G、3Gから4Gといったように、通信規格の世代が変わる毎に「キャリアが多額の設備投資をしてまで、新世代の通信規格を導入する必要があるのか?」という声は起きている。

増大し続けるトラフィックへの対処が最大の目的

では一体なぜ、携帯電話の通信規格は一定期間毎にアップデートする必要があるのかというと、その本質的な理由は非常にシンプルである。トラフィック、つまりユーザーが携帯電話やスマートフォンでやり取りするデータの量が増える一方なので、新しい技術を用いた通信規格を導入しないと、いずれパンクしてしまうためだ。

やや古い資料になるが、総務省が公開している「平成29年版 情報通信白書」を見ると、移動体通信のダウンロードトラフィックは、1年で約1.3倍という急速なペースで伸びているという。さらに世界の移動体通信によるトラフィックは、2015年から2020年の5年間で、トラフィックが7.8倍にまで増加すると予測されているのだ。

国内の移動体通信トラフィックの推移(総務省「平成29年版 情報通信白書」より)

ちなみに1Gから2Gにかけては、携帯電話自体が多くの人に広まり音声通話の利用が増えたこと。2Gから3Gにかけては「iモード」などの登場によって、音声だけでなくデータ通信の利用が広まりつつあったこと。そして3Gから4Gにかけては、スマートフォンの広まりによって音声からデータ通信へと利用の主体が大きくシフトしたことが、トラフィックの増加に大きく影響している。

そうしたトラフィックの伸びに対処し安定した通信を実現するべく、キャリアは基地局を増やすなどしてネットワークの改善を進めている。だがそれでもなお、これだけ急激なペースで伸びるトラフィックに対処するには不十分で、根本的な対処をするには通信の仕組みそのものを変える必要がある訳だ。それゆえ通信規格がアップデートされる毎に、従来使用できなかった電波を使えるようにしたり、電波の利用効率を高める技術を導入したり、一度に通信するアンテナの本数を増やしたりするなどして、より大容量通信に耐えられる体制が整えられている。

だが新しい通信規格を導入しても、それを利用するためのインフラやデバイス、サービスが整っていなければ、ユーザーは利用してくれず普及が進まないという問題も抱えている。それが顕著に表れたのが、2Gから3Gへの移行時である。

世界初の3Gによる商用サービスを2001年に開始したのはNTTドコモの「FOMA」である。だが2Gと比べると端末サイズが大きくバッテリーが持たない、3Gの利用に適したサービスが少ないなどの理由から長い間ユーザーの不評を買い、2004年に従来の2Gの携帯電話と同じ感覚で利用できる端末(「900i」シリーズ)が登場するまで、なかなか普及が進まなかったという経緯がある。

それゆえ3Gと同じ轍を踏まないよう、キャリアは5Gの導入に際して、ネットワークや端末に加え、5Gの利用を促進するためのサービス開発にも力を入れるようになった。実際NTTドコモは、東京・お台場や東京スカイツリータウンなどで「5Gトライアルサイト」を展開、5Gを活用したサービス創出に向けたさまざまなデモやサービスの一般展示を実施している。5Gに関してもそうした取り組みの成否が普及を大きく左右するだけに、2020年までキャリアが5Gに向け、どのような取り組みを見せるかはしっかり注目しておく必要があるだろう。

NTTドコモは5Gの早期普及に向け、東京スカイツリータウンなどで5Gを活用したサービス創出に向けた「5Gトライアルサイト」を展開している

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