大手飲料メーカーが相次ぎ参入! “トクホ”のお茶市場で競合が激化

大手飲料メーカーが相次ぎ参入! “トクホ”のお茶市場で競合が激化

2018.11.08

お茶の巨人とは異なる市場を生み出す大手飲料メーカー

特定保健食品に緑茶を投入したサントリーと日本コカ・コーラ

高齢化社会が進めばトクホのお茶の需要アップが見込める

1980年ごろまで、緑茶といえば茶葉を急須に入れ、お湯を注いでそれを湯飲みで飲むのが一般的だった。あるいは、飲食店で無料サービスとして提供されるものだった。つまり、当時は茶葉代のみで済む、またはただで飲むというのが常識。緑茶にお金をかけるという認識は皆無だったといっていいだろう。

ペットボトルのお茶は、今では誰もが認める定番商品に

そんな折、1989年に伊藤園が「お~いお茶」(缶入り)という商品の販売を開始した(缶入り煎茶は以前からあった)。当時、「お金をかけなくても飲めるお茶を、果たして消費者が購入するのか!?」という疑問を、何かの報道番組か雑誌でみたことがある。

ところが「お~いお茶」の語呂の良さを生かしたCMを多用したり、ペットボトルで手軽さを追求したりで、消費者に受け入れられていった。そして業界大手企業も次々にこの市場に参入していった。

ところが、先駆者である伊藤園の牙城はなかなか崩れない。緑茶における伊藤園のシェアは35~40%ともいわれ、圧倒的な強さをみせている。

巨人に真っ向から対抗するのではなく、新たな市場を創出する動きもみられた。雑穀などを原料にした、アサヒ飲料の「十六茶」や日本コカ・コーラの「爽健美茶」といったお茶である。折しも健康ブームに火がつき、健康志向をうたったこれらの商品は順調だ。

「トクホ」のお茶に熱視線

そして、また新たな市場が創られた。特定保健用食品、いわゆる「トクホ」に指定されたお茶の市場が生まれたのだ。この市場の競争が激化しそうな様相をみせている。

トクホの緑茶といえば、サントリー食品インターナショナル「伊右衛門 特茶」や花王の「ヘルシア緑茶」あたりが有名だ。緑茶以外にもサントリー「胡麻麦茶」、日本コカ・コーラ「からだすこやか茶W」、アサヒ飲料の「十六茶W」などがある。

ただ、やはりトクホ飲料でリードしているのはサントリーといえるだろう。特茶はトクホ飲料で4年連続ナンバーワンとなっており、9月からは新しい取り組みも始めた。ヘルスケアとAIを活用したライフサイエンス分野を研究するFiNCと協力。食事・運動・特茶を組み合わせ、日々の健康を管理する「特茶スマートアプリ×FiNC」を提供し始めた。

FiNCと協力し、スマートアプリの提供を始めた特茶

また、緑茶だけではなく「黒烏龍茶」を投入。脂肪を分解する効果を前面に押し出し、多量の広告を打って、健康+サントリー飲料という意識を根付かせた。

一方、清涼飲料水大手の日本コカ・コーラも健康志向というキーワードを強調している。前述した爽健美茶などは、まさにその象徴だろう。

「綾鷹」ブランドでお茶飲料トップを猛追

日本コカ・コーラは他社と比べると、お茶の市場で出遅れた感がある。だが「綾鷹」ブランドで巻き返しを図り、現在ではサントリーと2位争いでデッドヒートを繰り返している。そして、やはり健康を意識したトクホの新製品を投入してきた。それが「綾鷹 特選茶」だ。

そこで、綾鷹 特選茶を主導する日本コカ・コーラ マーケティング部 緑茶グループの成岡誠氏に話をうかがった。覚えている方も多いだろうが、綾鷹のCMはお茶の「濁り」を強調したものが主だった。綾鷹の特徴である、この濁りを生じさせるために、特選茶では相当な研究開発を繰り返したと成岡氏は話す。

確かに急須で入れたお茶には濁りがあるが、ペットボトルのお茶はクリアだ。本格的なお茶を楽しみたい層には違和感があるかもしれない。

特選茶の特徴を説明する日本コカ・コーラの成岡誠氏

実は健康をうたった機能性飲料は、ここ5年で2倍に成長している。この先も高齢化社会や健康志向が進めば、こうした機能性緑茶飲料の需要は伸び続けるだろうと日本コカ・コーラではみている。特選茶の投入はその布石だ。

問題もあった。それは機能性飲料は「あまりおいしくない」というイメージを消費者が抱いている点だ。そこで、消費者に目隠しによるモニタリング(ほかのお茶との飲み比べ)などを徹底的に行い、評価を行った。その結果「これならいける」と確信できるおいしさが実現できたそうだ。

一方で、お茶を含む清涼飲料水の市場変化にも対応しなくてはならない。特に近年、“プレーンな炭酸水”の躍進がめざましい。その炭酸水人気に押されて、健康志向という面では競合する緑茶は、先行きに不安もあるのではと聞くと、成岡氏は「まったくそんなことはありません。むしろ緑茶のマーケットは伸びています」と話す。需要のパイ自体がひろがっていくと見ているようだ。

日本人にとって、緑茶はある意味アイデンティティともいえる。それを考えると需要は普遍的なのかもしれない。機能性をうたう新たな付加価値を持った緑茶の盛り上がりが、この市場をさらに活性化させそうだ。

伸び悩むアルコール飲料市場で、クラフトビールが注目されている理由

伸び悩むアルコール飲料市場で、クラフトビールが注目されている理由

2018.11.08

近年、「クラフトビール」が市場で存在感を増している

大手・キリンも自社レストランなどでクラフトビールを提供

人気の高まりの背景について、SVB社長に聞いた

日本の酒文化でもっともポピュラーな飲料といえばビールだろう。一般的にビールというと、淡い麦色で強い炭酸が入っており、キレがあるものが多い。商品によって細かい違いはあるが、コンビニやスーパーで販売されていたり居酒屋で飲めたりするビールはほとんどがこのタイプだ。

一方で、そうした従来のものとは異なるイメージのビール――クラフトビール――がここ数年、存在感を増している。クラフト(手工芸品)という名前の通り、小規模なブルワリー(ビール醸造所)で職人が工夫をこらし丁寧につくりあげたビールのことである。現在では大手ビール会社も参入し、クラフトビールを提供するレストランも次々にオープンするなど、クラフトビール市場は順調な伸びを見せている。

なぜ今、クラフトビール人気が高まっているのか。市場の成長と共に今後、どんな展開を見せるのか。キリンビールが運営するブルワリー併設レストランSVB TOKYO(スプリングバレーブルワリー)の代表取締役社長を務める島村宏子氏を取材した。

SVB TOKYO 代表取締役社長 島村宏子氏。キリンビール運営のブルワリー併設レストランSVB TOKYO(代官山)で取材を行った。

地ビールブームを越えたクラフトビールの今

――クラフトビールという言葉はかなり定着してきていますが、曖昧なイメージで捉えている方も多いと思います。あらためて定義について教えていただけますか。

島村:酒税法による定義もありますが、そうするとかなり狭い部分しかクラフトビールと呼べなくなってしまいます。ですので今回は、私たちが思うクラフトビールについてご説明します。クラフトビールとは、ブルワリー(ビール醸造所)やつくり手の個性、思いが詰まった、独創的で奥深いビールのことをいいます。

副原料にいろいろな素材を使うなど、チャレンジできるのもクラフトビールの特徴といえます。たとえばSVBでは塩を使ったゴーゼというビールや、マスカットを使ったフルーツタイプのビール、バラを漬け込んだビールなど、今まであまりなかった副原料を使ったスタイルにチャレンジしています。

――以前、地ビールがブームになったこともありました。地ビールもクラフトビールといえるのでしょうか。

島村:地ビールは94年に解禁され、町おこしの一環として盛り上がりました。地ビールもクラフトビールと呼んでいいとおもいますが、以前の地ビールと今のクラフトビールは少し違います。クラフトビールをフックに町おこししようとしていた頃とは違って、さらに社会貢献的な意義も付加したブルワリーや若い生産者が増えています。こうした流れは海外とも似ています。

――具体的にはどんなブルワリーがありますか? 

島村:たとえば(岩手県の)遠野です。私たちもお世話になっているホップの産地ですが、こちらの遠野醸造さんなどは国産ホップのブランド化を進めており、自分たちでもブルワリーを立ち上げています。また、大阪のうめきたプロジェクトでは、梅田のど真ん中でホップ作りにチャレンジされています。

クラフトビールの広がり

――キリンビールでもクラフトビールをつくるブルワリー併設のレストラン・SVBを運営されています。どんな思いでオープンされたのでしょうか。

島村:キリンビールの社員は当然、ビールが大好きです。ただ、一般的なビールは、ワインやウイスキー、日本酒や焼酎などブランドとして立ったものに比べると、どうしてもスタイリッシュさに欠けるところもありました。実はビールも奥深い飲み物なんだということを知ってもらい、新しいビールの未来を作っていきたいという思いでオープンしたのがSVBです。

SVB TOKYOの店内には醸造用のタンクがある

――代官山以外にも横浜、京都、銀座と4店舗展開されています。それぞれのコンセプトなどを教えてください。

島村:代官山店は革新性がテーマです。新しいスタイルを創造するべく、素材や作り方などの情報を海外から入手して取り組んでいます。たとえば出汁を使ってみたり、ワインのように樽で熟成してみたり、いろいろなことに挑戦しています。キリンビールにも味の知見があるので、それらを融合することで新しいクラフトビールの楽しみを広めていきたいと考えています。

SVB YOKOHAMA(左)、SVB KYOTO(右)

横浜店はビール発祥の地ということもあり、歴史や伝統をテーマに。京都店は日本の伝統の美意識を革新的に伝えること。そして銀座はふらりと立ち寄れる場所をコンセプトにしています。

――客層はいかがですか。

島村:本当に様々な方に楽しんでいただけています。特に最近は若い女性がクラフトビールを楽しむ姿を見ることが増えました。SVBもそうですが、先日銀座で開催したフレッシュホップフェストでも思った以上に若い女性が多かった印象です。ワインや焼酎ブームも女性が牽引しましたが、そういった流れがクラフトビールにも起こりつつあるのかもしれません。

意外な料理とのペアリング

――SVBでは様々な種類のクラフトビールを丁寧な解説つきで楽しめるだけでなく、ワインのように料理とのペアリングで楽しむこともできますよね。

島村:色、味、香り、それらを料理と共に楽しんでいただくのがSVBでのスタイルです。注ぎ方にもこだわっていますし、ものによってはワイングラスでお出しするなど、従来のビールのイメージと違う驚きも楽しんでいただければと思っています。

――ビールとおつまみの組み合わせを6種類一気に楽しめるペアリングセットはユニークな試みだと思いました。

6種類のビールにあうおつまみを楽しむ「ペアリングセット」

島村:ビールといえば枝豆や揚げ物のイメージですよね。その組み合わせもおいしいのですが、それだけではなく魚料理や肉料理に合うビールもあるのです。たとえば濃厚なソースを用いた肉料理の場合、通常のビールは負けてしまうのですが、クラフトビールなら受け止めることができます。

また、ジャズベリーというフルーティーなクラフトビールがありますが、最初はスタッフもそれが肉料理と合うとは思っていませんでした。ところが試してみたところ、まるでロゼワインのように肉料理に合わせることができたのです。

――ビールでそういったペアリングを楽しめるのは面白いですね。驚きと発見があります。

島村:まさに私たちがご提供したいのは驚き――ビアサプライズなんです。飲み比べやペアリングもそのための一つの表現です。SVBのスタッフはビールファンを一人でも増やしたいという使命感で仕事をしています。ブルワリー同士も交流が多く、よく他のブルワリーさんからの相談に乗ったりもしているんですよ。そうやって切磋琢磨しているところも、従来のビール会社の競争とは違う部分かもしれません。

――今後のビジョンやクラフトビールの展望についても教えてください。

島村:たくさんのブルワリーさんと連携しながらビールの未来を作っていきたいですね。現在、キリンビールではクラフトビールを提供するためのタップマルシェという小型の機械を飲食店向けに提案しています。それが広がっていくことで、クラフトビールを楽しむ場作り、機会作りにつながるのではと思っています。

調査をすると、首都圏の88%の方が「クラフトビールを知っている」と答えてくださるのですが、そのうち一度でも飲んだことがある人はまだ20〜25%程度しかいません。逆にいうと、クラフトビールを知っているけれどまだ飲んだことがない人がたくさんいるわけです。そうした方に今後、どう提案していけるかがポイントだと思います。

***

ブルワリーの個性や副原料による味の違い、さらに料理とのペアリングといった楽しみ方は、これまでの一般的なビールにはあまり見られなかったクラフトビールならではのものである。同じビールと名のつく飲料ではあるものの、クラフトビールは従来のビールの延長線上ではなく、まったく別の飲み物として支持されているのだろう。一方で、手軽さや価格面、知名度では居酒屋での「とりあえず生」にはまだまだ及ばない。クラフトビール市場の成長を今後も見守りたい。

コーヒーマシンとウォーターサーバーが「合体」 開発の狙いは?

コーヒーマシンとウォーターサーバーが「合体」 開発の狙いは?

2018.10.18

ネスカフェ日本とアクアクララがマシンを「合体」

水もコーヒーも使えるプランで需要の拡大を狙う

コーヒーの給水を自動化したことで新たな設置可能性も

ウォーターサーバーとコーヒーマシン。オフィスや家庭で利用されるふたつの機器が「合体」した新製品が発表された。

これは、ネスレ日本とアクアクララが、両者の製品をドッキングするために共同開発を行い、実現したもの。10月17日より予約受付を開始し、11月1日から発売する。

両社とも機器を無料で貸し出し、消費財の購入で利益を徴収するビジネスモデルは共通しているが、今回あえて機器を「合体」した狙いはどこにあったのだろうか。

ネスレ日本 代表取締役 社長兼CEO 高岡浩三氏(左)、アクアクラ 代表取締役 社長 赤津裕次郎氏(右)
製品概要

「合体」したマシンがもたらす利便性

今回発表された「一体型マシン」は、ネスレのコーヒー専用マシン「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ 50」、あるいはコーヒーや紅茶、抹茶も利用可能な「ネスカフェ ドルチェ グスト ジェニオ2 プレミアム」のいずれか1台と、アクアクララのウォーターサーバー「AQUA WITH」と一体化したもの。

この「一体型マシン」の開発は1年がかりで、「AQUA WITH」の開発と並行して行われた。コーヒーマシンは上記2機種決め打ちで、筐体にはめ込む格好。複数の機器を家庭用電源で稼働させるため、コーヒーマシンと水の利用を切り替えて行う仕様になっている。

水のタンクを下に置くタイプのサーバー「AQUA WITH」に、コーヒーマシンがドッキング。コーヒーマシンのとなりにあるのが水/湯のタップだ

「合体」したことによる利用側のメリットは、コーヒーマシンへ都度行う給水、余った水の廃棄といった手間を省けること。そして、コーヒーマシン単体の契約では得られない、温水・冷水の利用権も1つのプランに含むことだ。

コーヒーマシンを利用する時は、ウォーターサーバー側の「コーヒーモード」ボタンを押下してから操作する。

機器を「合体」した理由はこの上なくシンプルだが、両社がタッグを組んだ狙いはどこにあったのだろうか。ネスレ日本の高岡浩三 代表取締役 社長兼CEOが挙げた理由の一つは、「共働き世帯の増加」。夫婦がともに多忙な中で求められる家事の"時短"の一環として、この「一体型マシン」が利便性を提供できるとした。

もうひとつの理由は「季節」による需要変動。ネスレ日本側からすれば、夏はアイスコーヒーが、冬はホットコーヒーが求められるという違いがあり、オフィス向けのレンタルサービス「ネスカフェ アンバサダー」にはアイスコーヒー専用機もラインアップしている。

一方、アクアクララの商材である宅配水は、サーバーで温水も提供できるが、夏場の需要の方が高いという。それぞれが強い季節・商材を「一体型マシン」の展開で穴埋めし合い、両社の消費財の売り上げ向上を見込む。

現地で実際に使ってみたところ。コーヒーマシンの使い心地自体は当然変わらないが、給水の工程が無くなった分、煩わしさは減ったように感じた

また、従来給水が必要だったことからコーヒーマシンの設置をためらっていた、顧客のセルフ利用を想定した店舗での設置も提案。テスト稼働時には調剤薬局やスーパーマーケットのイートインコーナーに設置したところ、顧客満足度が向上したという。

テスト稼働時の利用者のコメントは2分50秒ごろから。

なお、利用の申込は両社でそれぞれ受付。マシンの設置は窓口問わずアクアクララ側で実施する。利用料金は、オフィス利用(ネスカフェ アンバサダー)も家庭設置も同額で、月額1,500円。ただし、家庭利用の場合は2年間のウォーターサーバー継続利用と、ネスレ定期便の申込が必要となる。

ネスレ日本の高岡社長は、「2019年までに5万か所に設置」と目標を明言。この数値は「宅配水業界の中ではとても大きな数字」であるとしながらも、これ以上の数が出るのではないかと予測していることを言い添えた。

2019年までに5万か所への設置を目指す

コーヒーマシンの給水・排水は、特に水場が近くにないオフィス利用においては大きく利便を損なう要因となりうる。また、本体下部に水タンクを置くタイプであれば、交換の際の負担も小さくなる。

既存製品が内包していた顧客の"小さな不便"を取り除く共同開発マシンで、どの程度需要を広げられるか注目したい。