「飲料」の記事

“駅”ならではの市場で飲料を販売するJR東日本WBの独自路線

“駅”ならではの市場で飲料を販売するJR東日本WBの独自路線

2018.12.12

産地を強調した果汁飲料が目立つJR東日本の自販機

出勤時の需要を狙いうちした充実のスープ飲料

鉄道駅がおもな市場である飲料ベンダーの強みと弱み

普段から何気なく利用している飲料の自動販売機。大手飲料メーカーが設置している自販機では、全国一律で商品が提供されているのがほとんどだが、独自路線で商品選択をしている飲料ベンダーがある。JR東日本ウォータービジネス(以下、WB)だ。

街中の自販機の場合、日本コカ・コーラなら「コカ・コーラ」「綾鷹」「ジョージア」、キリンビバレッジなら「生茶」「午後の紅茶」「FIRE」、サントリー食品インターナショナルなら「伊右衛門」「ペプシコーラ」「BOSS」といったお馴染みのラインアップが販売されている。

ところが、出張や旅行などで、新幹線や在来線を利用する際、駅の自販機で飲料購入時に「オヤッ」と感じることがある。上述した街中の自販機ではあまり見かけない飲料がディスプレイされており、しかもメーカーもバラバラだからだ。特に産地を前面に押し出した飲料が多い。もっとも有名なのは「愛媛みかん」。これは果汁飲料で有名なPOMジュースとタイアップした「acure」(アキュア)ブランドの製品だ。acureとは、JR東日本WBが販売する飲料の主力ブランド。このほかにも、「From AQUA 徳島ゆず×ジャスミン」「青森りんご つがる」「青森りんご きおう」といった飲料がある。

左から「愛媛みかん」、「From AQUA 徳島ゆず×ジャスミン」、「青森りんご つがる」。産地を強調した果汁飲料が多い

スープの取り扱いが多いJR東日本WBの自販機

そして、JR東日本WBのラインナップのもうひとつの特徴が、スープ類。定番の「濃厚deli コクとろ コーンポタージュ」「じっくりコトコト とろ~りコーン」「濃厚deli オニオングラタン風スープ」のほかに、「じっくりコトコト 濃厚デミグラススープ」や「トマトのスパイシースープ」、そして「しじみ70個分のちから」まである。さらに今秋、「ふかひれスープ」まで加わった。スープ類のラインナップをこれほどそろえている自販機飲料ベンダーはなかなか見かけない。

スープや味噌汁といった飲料が多く並んだ自販機。スープコーナーの上には「自販機のスープ飲料は異端か!?」というキャッチが貼られている。これは2019年1月31日まで実施されるキャンペーンの告知のため。右は新投入された「ふかひれスープ」

だが、1台のacure自販機に、これらのスープ類すべてが用意されているわけではない。JR東日本WB 営業本部 商品部 齋藤誠氏は、「駅の特性を考えて商品のラインアップを決めています」と話す。たとえば住宅街の駅。朝出勤する際に、遅刻しそうになったら朝食を抜くことがあるだろう。そうした場合に、手軽に朝食気分が味わえるコーンスープ類などの需要が高くなる。また繁華街近くの駅では、お酒を飲み過ぎた人が多いと考え、しじみ汁を用意する。スープというわけではないが、近くに学校が多く存在する駅では、夕方になると炭酸飲料が多く売れるらしい。これは、下校時に学生たちが炭酸や甘めの飲料を購入しているためで、それを考えて炭酸・果汁飲料などを多く並べる戦略を採るのだという。

JR東日本WB 営業本部 商品部 齋藤誠氏

工夫を凝らした自販機で独自の販売効率を追求

では、どうやって駅ごとに最適な飲料のデータを入手しているのだろうか。それは「Suica」で購入した情報をビッグデータとして利用しているからだ。Suicaの登場以来、小銭で飲料を購入せず、Suicaのタッチで済ます人が多くなった。そうした情報を無線LANで収集し、「この駅ではこういう需要がある」という判断に活用する。もしJR東日本の駅でacureの自販機を見かけたら、商品ディスプレイ左上部分に注目してほしい。無線LANアンテナを確認できるだろう。ただ、こうしたデータ収集は「いたしかたなく」というのが本音だそうだ。JR東日本WBの飲料販売チャネルは、ほぼ自販機。対面販売の機会が少なく、POSデータの収集が行いにくいという事情がある。

Suicaでの購入データを蓄積して、商品ラインナップの参考にする。右の写真のディスプレイ左上に黒い突起が確認できる。これが、無線LANアンテナだ

このように、JR東日本WBは飲料ラインアップだけではなく、自販機にも工夫がされている。その代表例が「イノベーション自販機」だろう。これは、商品ディスプレイ部分にタッチパネルを採用した自販機。「acure pass(アキュアパス)」というスマートフォンアプリを導入すれば、事前に飲料を選択しておき、イノベーション自販機にスマホをかざすだけで購入できる。また「LINE」「Facebook」「Twitter」などでURLを家族や友人に送れば、本人でなくとも飲料を入手可能だ。

ただ、このイノベーション自販機にも泣き所はある。まず、上述した機能があまり知られていないこと。そして高齢者や外国人の多くが購入の仕方で悩む場合がある。以前、若者がイノベーション自販機で飲料を購入した際、遠巻きで見ていた外国人から驚嘆の声が上がったのを見たことがある。とにかく知名度を高めるには、まだまだイノベーション自販機の設置台数を増やしていく必要がある。

先進的な技術が投入されたイノベーション自販機。ただそれだけに、「購入の仕方がわからない」という層が生じるジレンマもある

そしてJR東日本WBの最大の強みは、路線での販売をほぼ寡占できること。以前、新潟に取材した際、東京駅で「谷川連峰の天然水From AQUA」を購入。新潟では偶然「JR東日本ホテルメッツ」に宿泊したが、客室には谷川連峰の天然水From AQUAがサービスウォーターとして2本置いてあった。さらに復路の新潟駅でacureブランドの「朝の茶事」を1本、そして東京駅に着いてから朝の茶事をもう1本購入。つまり、1泊2日の行程で、JR東日本WBの飲料を5本飲んだことになる。まさに“線”で販売していることの好例だろう。

一方、弱みもある。それは、独自に飲料を生産できず、純粋なオリジナル商品に乏しいこと。オリジナル商品となると天然水From AQUAぐらいで、ほかは飲料メーカーから仕入れたり、共同企画したりとなる。前述した濃厚deliシリーズはダイドードリンコ、じっくりコトコトシリーズはポッカサッポロフード&ビバレッジから仕入れている。acureブランドのスープ、ふかひれスープは永谷園と、朝の茶事は伊藤園との共同企画だ。設置自販機が“線”に限定されているので、大量生産する拠点が必要ないというのが純粋なオリジナル商品が少ない理由だ。ただ言い換えると、それだけに小回りの利いた仕入れが可能となり、駅ごとのニーズに合わせた商品選択が行えるのだと思う。

左は永谷園と共同企画したフカヒレスープ。右は伊藤園と共同企画した朝の茶事

さて、最後に「ごく一部の人に御社がなんて呼ばれているか知っていますか?」と、少々脱線した質問を投げてみた。すると、齋藤氏もインタビューに同席した同社 企画本部 企画部 小室塁氏も「もちろん知っていますよ。『ウォータービジネス』だけに“水商売”と呼ばれていることですよね!?」と、“ニヤッ”と笑みを浮かべながら答えた。以前は、企業名の改称という意見もチラホラあったそうだが、今は立ち消えた。両氏とも「あだ名で呼んでもらって親しみを覚えてもらう方が、企業としてはありがたいですから」と結んだ。

「食事に合う」缶チューハイをつくってしまったストロングゼロの仕掛け

「食事に合う」缶チューハイをつくってしまったストロングゼロの仕掛け

2018.11.20

サントリー「ストロングゼロ」の新商品が11月20日より発売

「食事に合う」を押し続けた広告展開の狙い

-196℃製法は居酒屋の「不味い」チューハイから誕生?

サントリーの缶チューハイ「-196℃ ストロングゼロ」という商品に、どのような印象を持っているだろうか?

飲みやすい、度数が高い、お手頃価格――。さまざまなイメージを想起することかと思うが、サントリーの打ち出すメッセージは、一貫して「食事に合う」だ。特に、「唐揚げとよく合う」という点を全面に押し出した広告を見たことがある、という人も多いのではないだろうか。

確かに、味そのものを広告で伝えるのは難しいし、度数が高いからお得に酔えるとお茶の間に出すのはなんだか気が引けるのも想像できる。とはいえ、コーンポタージュ味のガリガリ君くらいディープなイメージになりかねない「食事に合う」缶チューハイというメッセージも、かなりの勇気が要ったのではないだろうか。

なんで缶チューハイが食事に合うなんて言ってるの? サントリー商品開発センター(神奈川県・川崎市)で聞いてきた

居酒屋の「美味しくない」チューハイがキッカケに

そもそも、ストロングゼロのきちんとした商品名で記載される「-196℃」とは何だろう。これは、果実などを-196℃で瞬間凍結し、パウダー状に微粉砕したものをアルコールに浸漬してチューハイに仕上げるという、サントリー独自の「-196℃製法」を意味するもの。

ストロングゼロの開発に携わるサントリースピリッツ商品開発研究部の藤原裕之氏によると、この製法が誕生したキッカケは、居酒屋での「美味しくないチューハイ」にあったのだという。

「居酒屋で飲む“生絞りチューハイ”って、美味しいですよね。でもある日、レモンは入っているのに、全然美味しくないチューハイがあったんです。なぜ同じ組み合わせなのに、味が変わるのか。それは“自分でレモンを絞る・絞らない”の違いにあったんです」(藤原氏)

「-196℃」製法、誕生のキッカケは居酒屋にあった

つまり、美味しさの要因は「手についたレモンのフレッシュな香り」にある、というのだ。

そこで、「レモンを、丸まる1つ使ったチューハイを作りたい」というコンセプトのもと、「果実」だけではなく、「果皮」に含まれる香り・美味しさ成分まで余すことなく作る製法として、果実を瞬間冷凍し、まるごと砕いてお酒に入れる「-196℃製法」を開発した。同じようなコンセプトのチューハイは他社でも見られるが、この製法はサントリーの特許技術だ。

こちらは「-196℃製法」を再現した実験。写真は液体窒素を容器に流し込んでいるところ
ちなみに、液体窒素の中に花を入れると、すぐに凍ってしまう。軽く握っただけでパラパラと粉々に砕ける
レモンを数十秒いれると、こちらも完全に凍ってしまった。さすがに素手で砕くのは無理だそうで、本来は機械でクラッシュしてパウダー状にしているそう

市場拡大の追い風に乗り、「食中酒」として存在感増す

余談になるが、ここ最近はストロングゼロを筆頭に、「ストロング系チューハイ」がSNSで異様な広まりを見せている。昨年末には「#ストロングゼロ文学」という大喜利ネタが流行り、今年も「#わたしのストロングゼロ」なるハッシュタグが誕生し、盛り上がった。このあたりの話題に興味のある人は、こちらの記事(「ストロング系チューハイ」、なぜ人気? 愛飲者が理由を分析)も読んでみてほしい。

では、なぜここまでの人気がある商品になったのか。それは、市場全体の盛り上がりをタイミングよく追い風にできたことも大きい。

「RTD(Ready to drink:缶チューハイやカクテルなど、フタを開けてすぐにそのまま飲める飲料のこと)市場は、2007年から、10年連続で伸長しています。この傾向は2018年も継続しており、本年度は1~9月だけで、前年比111%増えています」(藤原氏)

RTD市場・アルコール度数別販売状況。ちなみにサントリーが「-196℃」シリーズを発表したのは2005年、ストロングゼロシリーズが生まれたのが、2009年だ

RTD市場の中でも、特に高アルコール(アルコール8%以上のもの)飲料が市場を牽引する存在になっていて、これらは2012年に市場シェア24%だったところ、2017年には33%にまで伸長している。

高アルコール飲料が伸びている理由は「お得に酔える」ことが求められたからと考えられるが、「経済性のみでここまでの伸びがあるとは思えない」と藤原氏は説明する。

「なぜ、高アルコール飲料を飲む人が増えているのか。我々の見解としては、それは『食』にあると考えています。2015年、2018年の『食事中にRTDを飲んでいる数』を比較すると、ここ3年で約5%伸びていることがわかりました」(藤原氏)

特に40~50代の伸びが大きく、これまで食事中にビールを飲んでいた所を、チューハイに置き換える傾向にあるようだ。スーパードライやプレミアムモルツ、一番搾りといった人気ビ―ルの度数は、5~5.5%。そこから流入した層が、「低アルコールのチューハイでは物足りないから」と、高アルコールのものを選ぶようになっているのかもしれない。

そこでサントリーは、「食事に合う」チューハイという立ち位置を明確にする戦略に動いた。味の改良だけでなく、世の中のニーズの変化にも敏感に反応した結果の、「食事に合う」だったのだ。

「食事に合う」というイメージ訴求を続けてきたサントリー

市場を牽引する「ストロングゼロ」、次の一手

サントリーが初めて「-196℃」の缶チューハイを商品化したのが2005年。それ以降、RTD市場の成長に沿って売り上げを伸ばし続けている。特に、-196℃のラインアップに高アルコールの「ストロングゼロ」を追加してからの成長が顕著だ。市場の成長に沿って、というよりはむしろ同社のイメージ戦略も相まって、「市場を牽引している」ともいえるかもしれない。

「-196℃」シリーズの販売実績。ストロングゼロが誕生したの2009年以降、急激な成長を遂げている

「食事中のお酒にチューハイが選ばれるキッカケとなったのは、『レモン』味のフレーバー。今後もレモンをRTD市場の成長のキードライバーと捉え、力をいれていきたいと考えています」(藤原氏)

既存の人気商品「ストロングゼロ ダブルレモン」に続き、ストロングゼロが次に指す一手も、やはり「レモン」だ。さらにレモンを”マシマシマシ”した、その名も「ストロングゼロ トリプルレモン」で、まだ食事中に缶チューハイを飲んでいない新規層への訴求を目指す。

「-196℃ ストロングゼロ トリプルレモン」は、11月20日より販売開始。価格は350mlが141円、500mlが191円(税抜き)
同社が押し出す「食事と合う」チューハイ。見ているだけで仕事を放棄したくなってくる
お酒の原料を国内生産にこだわるキリンの意図

お酒の原料を国内生産にこだわるキリンの意図

2018.11.14

さまざまな個性を楽しめるクラフトビールが人気

ワイナリー新設を急ぐメルシャンの狙いは?

国内各地に農園保有はCSV活動の側面も

大手飲料メーカー、キリンホールディングス(以下、キリン)から相次いで取材のお誘いがあった。ひとつは岩手県・遠野市、もうひとつが長野県・塩尻市。

お酒好きなら、この2つの地名を聞いてわかる方もいるかもしれない。そう、遠野市はホップ生産が有名なところ。塩尻市はブドウのヴィンヤード(農園)が点在する場所だ。つまり、ビールとワインの原料生産地となる。

まず遠野について。遠野は、作家・柳田國男が記した「遠野物語」でも有名だ。柳田は“民俗学の父”とも呼ばれ、多くの物語を集め、遠野物語を完成させた。なぜ、遠野に多くの物語が伝わったのか。それは、7つの街道が集まる交通の要衝で、旅人や商人が各地の伝承を伝えたといわれているからだ。そして、雪に閉ざされた冬に、民家で地元の方々がその物語を語り合ったため、多くの物語が伝承されたというのが有力な説だ。

さて、遠野物語から離れてビールの話に移ろう。実はビールは苦戦している。昭和期にはもっとも人気のあるお酒として、親しまれた。ただ、今は当時の約3割減の消費量といわれている。

クラフトビールに視線を注ぐビールメーカー

こうした状況のなか、ビールを扱う企業は、新たなジャンルに注目し始めた。それは、いわゆる“地ビール”だ。20年ほど前、地ビールブームが訪れたが、現在はそう呼ばれていない。「クラフトビール」という名前が定着している。

遠野で醸造されているビールもクラフトビールだ。遠野の農園で生産されたホップを、地元のビール工場に運び、そして醸造。そうして生まれたクラフトビールを、キリンが流通させている。

正面奥のこんもりした場所がホップ畑
収穫を待つホップの実
ホップのツルは、約5mまで伸びる。そのためリフト搭載のクルマで収穫する
痛んだホップなどを選別して取り除く

もちろん、「一番搾り」や「ラガー」のような流通量ではない。ほんのわずかの流通量だが、ビール人気の復調のためにもクラフトビールは期待されている。そして、毎年この時期には遠野産ホップを使用した「一番搾り とれたてホップ生ビール」が販売される。遠野産ホップを使ったビールに興味があれば、手にとっていただきたい。

農園の近くにあるレストランで自家製のクラフトビールなどが楽しめるほか、ビールに合うおつまみ、週替わりの数量限定カレーが味わえる
遠野醸造では6種類のビールが用意されている。壁から突き出た6本のレバーとカランが、なかなか壮観

ワイナリーの新設を急ぐメルシャンの動き

一方、長野県・塩尻市ではワインの原料となるブドウが生産されている。塩尻市にある桔梗ヶ原という場所にヴィンヤードを拓き、ブドウ栽培が行われている。なお、ワインに関しては、キリン傘下のメルシャンが事業主体だ。ここで生産されたブドウによる「桔梗ヶ原メルロー」は、リュブリアーナ国際ワインコンクールでグランド・ゴールド・メダルを受賞したことで有名。以来、海外からの引き合いも強くなった。

これまで「シャトー・メルシャン」のワイナリーは甲州市・勝沼町のみだった。それが昨年から大きな動きを見せている。塩尻市・桔梗ヶ原と上田市・椀子にワイナリーを新設するとアナウンスしたのだ。

メルシャンが2カ所もワイナリーを増やすのはなぜか。まず挙げられるのが、日本産ワインの人気が向上したことだろう。和食が世界文化遺産に指定され、海外で和食人気が高まった。そうした食事にはやはり日本産ワインを合わせたいという需要が増えたからだろう。もちろん、国内でも日本産ワインの人気が高まっている。

そして、もうひとつがブドウ生産のヴィンヤードが増えたこと。ワインを醸造したくても、ブドウがなければ叶わない。その課題を解決するために農園を増やし、ブドウの収穫量を上げたことが根底にあるのではないか。

桔梗ヶ原ワイナリーは1938年に建てられた歴史のあるワイナリーだ。ただ一時、醸造をストップ。今回、新設されたワイナリーで約30年ぶりの仕込みが始まった
ワイナリーの敷地には、小さいながらもブドウ畑がある。敷地にこうしたブドウ畑があると、ワイナリーの雰囲気が増す

そして、いよいよ桔梗ヶ原のワイナリーが完成した(椀子はまだ)。その新設された桔梗ヶ原ワイナリーの初仕込み式に招待された。神主さんを呼んで、ワイナリーの安全を祈願したあと、仕込みが始まった。御神酒はもちろんワイン。ワインボトルの前で厳かに大麻(おおぬさ:神事で使われる棒)を振る神主さんの姿は、なかなか見物であった。

初仕込みということもあって、厳かに神事が行われた
御神酒はもちろんワイン。しかも「桔梗ヶ原メルローロゼ」だった

地方の農業を活性化するため国内に農園を拓く

仕込みが済んだということは、もっとも早く出荷される「プリムール」(新酒)が来年の春頃には飲めるのではないか。筆者は大のワイン好きなので、このワイナリーで醸造されたワインをいただくのが楽しみだ。

農園の話に戻ろう。もちろん、国内で生産された原料により醸造されるお酒は、少量となる。ではなぜ、キリンは国内各地に農園を保有しているのか。担当者は、「品質を調整しやすいのは確かですが、地方の農業を活性化する側面もあります」と話す。キリンは「健康」「地域社会」「環境」といった社会課題に、CSVとして取り組んでいる。こうした農園もCSV活動の一環なのだろう。