「電気自動車」の記事

環境問題だけではない! 電気自動車の普及を急ぐべき理由とは?

環境問題だけではない! 電気自動車の普及を急ぐべき理由とは?

2019.01.04

2019年は中国で「NEV規制」開始、世界で加速するEVシフト

高まる市販EVの重要性、日本メーカーの本気度はいまいち?

環境対策だけではないEV普及の恩恵

2019年は中国で「NEV規制」が導入される。「NEV」とは「ニュー・エナジー・ヴィークル」の意。この規制は、米国のカリフォルニア州が主導してきた「ZEV規制」を習ったものだ。

「ZEV」が「ゼロ・エミッション・ヴィークル」であることからも分かる通り、これらの規制は「排ガスゼロ」(ゼロ・エミッション)のクルマを積極導入しようとする政策であり、強制力も伴う。ZEVと規定されるのは電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHV)の3車種で、米国では2018年から本格的な規制が始まっている。対象車種はNEVも同じだ。

世界一の新車販売台数を誇る「NEV規制」が始まれば、EVの普及も加速しそうだ(画像はジャガーのEV「I-PACE」)

中国市場攻略にEVは不可欠、日本メーカーは消極的?

ZEV規制は自動車メーカーに対し、販売するクルマの一定程度をZEVにすることを求める。2018年はその比率が4.5%だったが、それが2019年には7%、2020年には9.5%となり、2024年には19.5%と20%近くに拡大する。それに対し中国のNEV規制は、2019年から10%という比率を設定し、2020年には12%に強化する。中国の並々ならぬ意欲が感じられる数値だ。

さらにZEV規制では、年を追うごとにPHVの比率が減っていくことになっている。というのも、PHVはエンジンを搭載していて、長距離移動やバッテリーへの充電に際してはエンジンを使うので、排ガスを出してしまうためだ。それでも、PHVがZEVに含まれるのは、家庭などで充電をきちんと行うことにより、日常的にはバッテリーとモーターのみで走行することが可能だからである。

このような事情を受けてか、先日の「広州モーターショー」では、中国の国内自動車メーカーが相次いでEVを発表した。それと同時に、日本のホンダも同社初となる市販EVを公開している。

ホンダが2018年11月の「広州モーターショー」で世界初公開した中国専用EV「理念 VE-1」(画像提供:本田技研工業)

ホンダはこれまでも「フィット EV」などを限定的にリース販売してきたが、日本では見かける機会が少なかった。また、PHVの「クラリティPHEV」は発売したものの、EV版の「クラリティ エレクトリック」は国内販売を予定していないという。クラリティPHEVでさえ、販売計画は年間わずか1,000台という消極的な内容だ。しかし、中国では小型車クラスのEVを公開したのである。この点からも、EVが中国市場において戦略的商品の一翼を担う存在になろうとしていることがうかがえる。

ホンダの「クラリティPHEV」。販売計画は年間1,000台と消極的だ

一方、日本国内では、自動車メーカーのEV販売はホンダに限らず消極的な状況が続く。日本メーカーの中で、EVに積極的と見られている日産自動車や三菱自動車工業においても、車種の拡充は遅々として進まない。

また、マスメディアにおいては、相変わらず「1回の充電で走行可能な距離」に対して懸念を表明する報道が多く、それを飛躍的に伸ばすと期待される固体電池などの次世代バッテリーや、短時間での急速充電が可能な技術への期待をうかがわせる記事が目立つ。それらに対する期待は分かるが、こういった報道が、現状のEVの性能を正しく伝えきれているとは思えない。

EV化で高まるクルマの予防安全性能

EVとセットになる話題は、環境やエネルギー問題などが多い印象だが、他にも語るべきことはある。それは、EVの安全性だ。改めてEVに乗ってみると、この点においても、EVにはエンジン車を超えるポテンシャルがあると思わされるのだ。

モーター走行の特徴として、EVではアクセルペダルを戻すとモーターによる「回生」が働き、惰性で走るときの力を利用して発電すると同時に、エンジンブレーキが掛かったような減速が起こる。これを「回生ブレーキ」と呼ぶこともある。

その強さは制御によって調整できて、たとえば日産の「e-Pedal」(イーペダル)では、アクセルペダルの操作のみで加速、減速、停車の全てが可能となっている。これは、エンジン車では真似できない機能だ。

また、日産のハイブリッド車である「e-POWER」(イーパワー)は、EV「リーフ」の技術を応用した技術であるため、EVと同じようにイーペダルが使える。これが、「ノート」や「セレナ」に採用され評判になっている。

日産のEV「リーフ」

モーターによる回生をいかしたワンペダルでの加減速は、アクセルペダルを戻すと同時に回生による減速が始まるため、アクセルからブレーキへのペダル踏み替えを行う場合、「空走時間」をなくすことができる。

空走時間とは、アクセルからブレーキへとペダルを踏み替える際、速度が落ちずにそのまま前へ進んでしまう時間をいう。一般的には0.75秒といわれているが、1秒以上掛かっているとの見方もある。

仮に空走時間が0.75秒だとしても、徐行速度といえる時速10キロで走っていてさえ、ペダルを踏み替える間に2m強はクルマが移動してしまう計算になる。万一の緊急事態には、例え数メートルの空走でも結果を左右しかねない。少しでも早く減速を始められるかどうかが、衝突するかしないかの分かれ目ともなるのだ。そういう意味で、EV化はクルマの予防安全性能を高めるかもしれない。

日産の「セレナ e-POWER」

日本では経済産業省や国土交通省が「セーフティ・サポートカー」と呼んで自動ブレーキ搭載車の普及を後押ししているが、この施策とEVの親和性も高そうだ。カメラやセンサーを使っていても、衝突の危険性を認識してからブレーキを作動させるまでにはコンマ何秒かの時間が必要になる。その間に回生が働けば、より安全なクルマができあがるはずだ。

ZEV規制やNEV規制には対応しても、電動化自体には否定的な自動車メーカーがまだまだ多いのが実際のところかもしれないが、安全という視点に立てば、一刻も早いEVの市場導入が求められるのではないだろうか。

根付き始めた「必ず座れる」通勤、 鉄道に続いてバス業界も熱視線

根付き始めた「必ず座れる」通勤、 鉄道に続いてバス業界も熱視線

2018.11.19

座席指定の通勤電車から”通勤の高級化”の流れ?

ハイエンド通勤バスの実証実験を東急電鉄が実施

たまプラーザを舞台にした、日本初の郊外型MaaS

全席指定の通勤電車が首都圏の私鉄で運行され始めている。西武鉄道を主体に東急電鉄、東京地下鉄(東京メトロ)、横浜高速鉄道の各路線を乗り入れる「S-TRAIN」や、京王電鉄の「京王ライナー」などだ。座席指定ではなく、着席整理券による着席定員制の東武東上線の「TJライナー」もある。

帰宅時間に運行される京王ライナー

なぜ、私鉄各社がこうした通勤電車を運行し始めたのか。ラッシュを避けゆったり座ってオフィス街に移動できる利便性を提供するためだ。京王ライナーの場合、帰宅時間に下り方面に運行されるだけだが、これも「仕事で疲れているのに立って帰りたくない」という通勤需要に応えている。

S-TRAINやTJライナーの場合、休日には観光列車としての役割も果たす。S-TRAINはデートスポットとして注目される豊洲や、“食の街”として名をはせる横浜中華街を結んでいる。TJライナーは“小江戸”と呼ばれる川越や森林の多い憩いの場「森林公園」にアクセスできる。森林公園は今の時期、紅葉をライトアップするイベントが行われており、相当の集客がある。

ただ、どちらも平日はビジネスパーソンの脚となるという特徴を考えると、観光色の強い西武鉄道の「レッドアロー」や東武鉄道の「スペーシア」とは性格を異にする。

ハイグレード通勤バスでゆったりと

こうした“通勤の高級化”が、バスにも波及しそうだ。

東急電鉄は「ハイグレード通勤バス」の実証実験を2019年1~2月に行うと発表した。

ハイグレード通勤バスの外観(写真提供:東急電鉄)

ハイグレード通勤バスは客席が24席と広々としており、しかもかなり深めにリクライニング可能。Wi-Fi対応、USB、ACアダプタも装備し、パソコンなどが置けるテーブルも用意されている。そして、長距離バスのようにトイレまで備えているのだ。

座席は3列で、シート数は24席とゆったりしている(写真提供:東急電鉄)
かなり倒れるリクライニングシート(写真提供:東急電鉄)
テーブルにPCを置いて作業可能。写真左隅にACコンセントも確認できる(写真:東急電鉄)
通勤用バスながら、トイレ洗面台を完備(写真提供:東急電鉄)

 以前、両備グループの中国バスが運用する「ドリームスリーパー」という、超高級バスを拝見したことがある。しかもこちらは、さらに座席数が少ない14席で、個室タイプだ。とはいえ、ドリームスリーパーは東京~大阪や東京~広島を結ぶ長距離高速路線バス。睡眠を取ることが必須になると思うので、個室という選択肢になったのだろう。

一方、ハイグレード通勤バスは、読んで字のごとく“通勤”という言葉が入っている。つまり、長距離高速路線バスであるドリームスリーパーとは、まったく性格が異なる。

さて、今回の実証実験では、実験区間にたまプラーザから渋谷が選択された。このたまプラーザ駅がある東急田園都市線は、首都圏屈指の混雑路線だ。二子玉川や三軒茶屋からも乗客があり、朝の通勤ラッシュはすさまじいと聞く。国土交通省によると、ラッシュ時は185%の乗車率であるらしい。この田園都市線の混雑を少しでも緩和しようと、ハイグレード通勤バスの実証実験を開始する意図がみえる。

ただ、田園都市線の混雑は、東急電鉄そのものにも原因がある。というのも、東急の本拠である渋谷の再開発を急激に推し進めたからだ。セルリアンタワーや渋谷ヒカリエ、そして渋谷ストリームも開業した。どれもオフィス、商業施設、ホテルといった施設からなる複合ビル。オフィスが増えれば通勤客が増えるし、商業施設も朝の仕込みなどでラッシュ時に通う場合も十分に考えられる。そうした混雑を緩和するために、今回ハイグレード通勤バスを実験し、本サービスにつなげたいのだろう。

一方、東急電鉄はハイグレード通勤バスだけでなく、あわせてたまプラーザでオンデマンドバスやパーソナルモビリティ、マンション内カーシェアリングの実証実験も行う。オンデマンドバスはスマートフォンで乗車予約を行い、病院や公共施設への移動手段になる。パーソナルモビリティは、坂道や細い道路を移動しやすく買い物などに向く。マンション内カーシェアリングは、余っているクルマのリソースを同じマンション内で共有しようというものだ。

東急電鉄はこれらを日本初の「郊外型 MaaS」(Mobility as a Service:利用者の目的や嗜好に応じて最適な移動手段を提供すること)の実験だとしている。

このMaaSという考え方には、あのトヨタ自動車も積極的だ。トヨタは東京2020オリンピック・パラリンピックを舞台に「Mobility for All」を実現したい考え。パーソナルモビリティもこの施策に組み込まれる。

トヨタが実用化を進める「i-ROAD」(写真提供:トヨタ自動車)

 東急電鉄は実証実験でどのような結果を得るのか。“地獄”とも表現される通勤ラッシュの課題や少子高齢化への対応、高齢者の移動手段確保など、MaaSが貢献できる問題解決はさまざまだ。たまプラーザ~渋谷という、屈指の住宅街と屈指のオフィス街を結ぶこの取り組みが、“住みよい街づくり”にどのように関わっていくのか、楽しみだ。

テスラで“最も手頃”な電気自動車! 最新の「モデル3」が日本上陸

テスラで“最も手頃”な電気自動車! 最新の「モデル3」が日本上陸

2018.11.09

テスラが新型車「モデル3」を日本初公開

液晶パネルだけのシンプルなインパネに驚き

米国では4.6万ドルから、日本での価格はそれ以上に?

テスラモーターズは新型電気自動車(EV)「モデル3」を日本で初公開した。日本仕様のスペックは現時点で不明だが、米国での価格は4万6,000ドル(約523万円)と同社で“最も手頃”なクルマだ。

テスラは「テスラ ラゾーナ川崎プラザ」(神奈川県)で「モデル3」の米国仕様を公開した

日本での納車開始は2019年後半以降

スーパースポーツカー「ロードスター」で自動車業界に参入したテスラは、フラッグシップセダンの「モデルS」、最大7人まで乗れるSUVの「モデルX」とEVのラインアップを増やしてきた。既存のクルマよりも小さくて価格の低いモデル3は、同社のエントリーモデルといったような立ち位置となる。

米国仕様のラインアップを見てみると、モデル3には「ミッドレンジ」「ロングレンジ」「パフォーマンス」という3つのグレードがある。サイズは全長4,694mm、全幅1,849mm、全高1,443mm。最も価格の低いミッドレンジの航続距離は、フル充電で約418kmだ。

最上級グレード「パフォーマンス」の最高時速は約249km。停止状態から時速100キロまでの加速に要する時間はわずか3.3秒とのことだ

テスラは2017年7月に米国でモデル3の納車を開始した。日本でも予約を受け付けているが、納車開始は2019年後半以降となるそうだ。日本での予約件数は非公表としている。

Tesla Motors Japanの吉田篤司カントリーセールスディレクター(画像)は、「このクルマが世界を変えていくと信じ抜いている」と語る。手に持っているカード状のものは、いわゆる「クルマのキー」だ

車内は驚きのシンプルさ

実際にモデル3を見て驚いたのは、車内のシンプルさだ。インパネには、ボタンやダイヤルといった物理的な装置が全く付いていない。あるのはタブレットのような液晶パネルだけだ。このパネルでエアコンを操作したり、ナビを見たりする。

寿司屋にある白木のカウンターすら連想させるシンプルなインパネ

液晶パネルだけの車内は近未来的で、ミニマリズムという言葉が思い浮かぶような独特の魅力を備えるが、いろいろな機能が集約しているタブレットのような装置が走行中にフリーズした場合のことを考えると、少し心配になった。その点についてテスラに聞いてみると、フリーズする可能性がないとはいえないが、そういった場合にはハンドルに付いているボタンで簡単に再起動をかけられるとのことだった。

このパネルでさまざまな操作を行う

テスラは現在、1週間あたり8,000台のEVを生産している。これまでに納車した累計台数は35万台超だ。EVを見かける機会が増えてきた日本でも、例えばトヨタ自動車の「クラウン」やメルセデス・ベンツの「Cクラス」などと同じような価格帯でテスラ車を買えるようになれば、EVの普及が加速するかもしれない。ただし、日本仕様には輸送費などが上乗せになるので、米国仕様よりも価格が高くなることは覚悟する必要がある。