「航空」の記事

年末年始の空の足、旅客機の状況は?

年末年始の空の足、旅客機の状況は?

2017.12.28

これまで、フェリーや新幹線、首都高速道路といった、公共交通の年末年始の動きについて伝えてきた。残るは空の足、旅客機についてだ。

旅客機は、申すまでもなく新幹線に並ぶ、重要な移動の手段だ。だが、旅客機は移動手段としては速く優れていても、旅客量は新幹線にはおよばない。ベストセラーと呼ばれるボーイング737でも座席は160席強。目的の空港によっては、1日に数便しかフライトしない場合もある。急遽、飛行機で移動しなくてはならない状況になって、席が取れなかったという経験をした方もいるだろう。

筆者も、出張で島根県・出雲に行かなくてはならないとき、席が取れず、鳥取県・米子行きの飛行機を選び、そこから鉄道で移動した憶えがある。

とはいえ、乗機時間の短さ、空港や機内サービスの快適さを考えれば、やはり移動の手段としては第一に考えたい。

それでも、気をつけなくてはならないのが、繁忙期だ。年末年始やゴールデンウィーク、お盆といった時期に旅客機を利用しようと思ったら、細心の注意が必要となる。もし、寝過ごして予約していた便のチェックインに間に合わなかったら、次の便に乗れない可能性が十分にあるからだ。

フライトを待つJAL機

ただ、航空会社も増便で対応するのがこの時期だ。たとえばJALの場合、12月23日~2018年1月8日に羽田・沖縄間を12から13便に増便する。クリスマスからお正月というシーズンに人気の高い路線に便を増やして、対応するというわけだ。

また、JALの広報によると、国内線よりも国際線のほうが年末年始の需要が高まるらしい。海外でバカンスを過ごす日本人のほか、旺盛なインバウンド需要が影響しているのだろう。年末年始というわけではないが、成田・グアム、関西・ホノルルの期間増便を春から行うということだ。

空港の混雑も要注意

12月中旬の羽田空港出発ロビー。写真では確認できないが、保安検査場には多くのお客がいた

一方、年末年始は空港の混雑にも気を配りたい。12月中旬に、羽田空港の混み具合を確認してきたが、出発ロビーには人が多かった。普段、なんの変哲もない平日に出張に行くため、そのときとのギャップで人が多いと感じた可能性もあるが、年末年始の連休には、もっと人があふれるはずだ。

国内線は出発15分前にチェックインというのが原則だが、チェックインカウンターや保安検査の時間を考えると、余裕を持って空港に足を運ぶべきだろう。

そしてもう1点。天候だ。この原稿を執筆している時点、強い寒気が北陸地方や北日本に流れ込んでいる。そういう地から出発する場合や、目的地が積雪地帯だった場合、時刻どおりのフライトにならないことが考えられる。また、筆者の経験で申し訳ないが、豪雨のため30~40分、機内で足止めされたことがある。もちろん、先方のアポには間に合わず、機内だったので電話連絡も控えた。

いずれにせよ、新幹線などの鉄道と異なり、旅客機はイレギュラーが多い。年末年始は乗客がマックスになり、空港や機内にどんなトラブルが起きるかもわからない。余裕を持って旅客機を利用するのが先決だ。

JALとSBIがフィンテックでタッグ、まずはプリカから

JALとSBIがフィンテックでタッグ、まずはプリカから

2017.10.05

日本航空(JAL)とSBIホールディングス(SBI)は10月3日、SBIグループやフィンテック企業との協業を通じて、最先端の金融テクノロジーを活用した新たなサービス提供を行うと発表した。共同持株会社「JAL SBIフィンテック」を設立するとともに、第一弾の取り組みとして「JALペイメント・ポート」を設立。2018年度に国際ブランド・プリペイドカード事業に参入するという。

事業提携を記念し手を結ぶ日本航空 代表取締役社長の植木 義晴氏(右から3人目)、SBIホールディングス 代表取締役 執行役員社長の北尾 吉孝氏(左から3人目)ら

JALは、2017年から2020年にかけてのJALグループ中期経営計画において、「フルサービスキャリア以外の事業を創造し、育成していく」ことを表明しており、今回発表した共同事業もそれに沿うものとなる。ただ、同社 代表取締役社長 植木 義晴氏は「これまで取り組んで来たフルサービスキャリア以外に強みを活かせる場を広げることは大きなチャレンジ」とした上で、「自分たちだけで成し遂げることは容易ではない」という認識を示す。

これがSBIとの協業に至った経緯になるが、その第一弾となる国際ブランド・プリペイドカードについて植木氏は、「これまでJALには無かった新しい商品だが、お客様にとって最も便利なプリペイドカードとなるよう、品質にはこだわりを持って追求したい」と説明する。

プリペイドカードは旅行との親和性が高い?

今回のJALとSBIの共同事業は、JALの強みに加えてSBIグループが持つフィンテックのさまざまなテクノロジーやノウハウを活用することで、旅行や地上サービスにおける利便性の向上といった新たな価値を提供する。

国際ブランド・プリペイドカードは、事前に現金を入金しておくことで、国際ブランド加盟店で利用できる与信不要のカード。スマートフォンを利用してどこでも簡単に入金したり、外貨両替が行えるという。さらに、両替した外貨を使ってプリペイドカードで決済したり、海外ATMで現金を引き出すことも可能という。独自性としては、利用額に応じてJALマイレージバンクのマイルも貯まることになるという。

JAL執行役員 商品サービス企画本部長の佐藤 靖之氏は、このサービスで「海外でのビジネスや旅行の際、窓口で両替する手間が省け、旅行前や海外での時間を有効に使えるようになる」と説明。現金を持参せずに、海外でも安全安心に過ごせる環境をJALとして用意した意図も明かした。

また、AIを利用して最適な資産運用のアドバイスを行う"ロボアドバイザー運用サービス"を提供している「お金のデザイン」との提携も検討しており、その他フィンテック企業などを含め、JALの顧客に向けたサービス性の向上を目指す予定だ。

JALペイメント・ポートが提供するプリペイドカードは、フィンテック技術を活用し、スマートフォンを利用した入金や海外通貨への両替、海外での買い物、海外ATMでの現金引き出しなどに活用できる
今後も、SBIグループが出資・提携するフィンテック企業と連携し、新サービスを創出していきたいという

会見には、SBIホールディングス 代表取締役 執行役員社長の北尾 吉孝氏も登壇。北尾氏はJALにとってこの共同事業が収益の一つの柱になるという期待感に加え、「双方の本業の顧客拡大に繋がれば一番良い」と話した。

北尾氏が強調するのは、共同事業の先進性だ。「日本を代表する先進的なフィンテックのメッカにしたい」(北尾氏)と、これまでにないような実業と金融のコラボレーションを進めていく期待感が見え隠れする。

もちろん、JALが持つ約3170万人の顧客基盤、そしてSBIがもつ約2200万人という広範な顧客基盤と収益力があるからこそ、実現できるサービスもあるだろう。ただ、これらの規模の企業が本格的に協業ベースで取り組むとなれば、他業種でもこれを模範する形で追随する例が見られるかもしれない。

提携によって、新たな金融サービスや航空関連サービスを簡便に利用できるようにし、JALグループ、SBIグループ双方の顧客基盤を長期的かつ飛躍的に拡大する狙い
SBIグループが持つ革新的な技術を共同持株会社に移出し、新たな価値を提供するという

今回のプロジェクトは当初、JALマイレージ事業部の20~30代の若手・中堅社員が企画し、さながら新入社員の突撃営業のようにSBIグループに協議を持ちかけ、1年ほどの準備期間を経て実現したという。社名の"JALペイメント・ポート"には、カードの使用シーンとなるエアポートやパスポート、出発地といった意味合いを込めるとともに「新しい決済サービスを提供する起点になる」という意志を込めて名付けられたという。

なお国際ブランド・プリペイドカードの発行規模については、現在のJALマイレージバンク会員のうち、頻繁に利用している会員が1000万人、最終的な目標がその内の10%である100万人としつつ、初年度だけでもその内10%、10万人程度のカード発行を見込むようだ。

これまでセブン銀行やイオン銀行といった小売業の銀行業務、通信会社であるKDDI系のじぶん銀行など、重厚長大な金融サービスは多数見られてきたが、一部協業とする形での金融サービスがフィンテックの潮流に乗り、他産業のリファレンスモデルとなれるのか、期待したいところだ。

第一弾となる国際ブランド・プリペイドカード事業に続き、今後もフィンテック企業とJALとの協業をサポートしていくという
JALとハワイアン航空が提携、そのウラに見えるANAの「A380」

JALとハワイアン航空が提携、そのウラに見えるANAの「A380」

2017.09.28

年間150万人の日本人が利用する航空機のハワイ路線で、競争が激化しそうだ。日本航空(JAL)とハワイアン航空は9月26日、包括的業務提携を発表。2018年3月よりコードシェア便の運航やマイレージプログラムの連携を始めることを明らかにした。

日本航空(JAL)とハワイアン航空が包括的業務提携を発表。ハワイアンはANAからJALに"乗り換え"

背景には、全日本空輸(ANA)が2019年春に導入予定の超大型機「A380」への対抗という狙いがある。ハワイアンが提携先をANAからJALへと切り替えたことで、勢力図はどう変わるのだろうか。

ハワイへの旅行客を巡る航空会社間の競争が激化している

JALを代表するハワイ線で提携、新たなスタート

記者会見には、日本航空から代表取締役社長の植木 義晴氏、ハワイアン航空からも代表取締役社長兼CEOのマーク・ダンカリー氏が登壇。JALが開設して63年目になるというハワイ線について、植木氏は「JALを代表する路線。ハワイアン航空との提携により、新たなスタートを切る」と宣言した。

日本航空 代表取締役社長の植木 義晴氏
ハワイアン航空 代表取締役社長兼CEOのマーク・ダンカリー氏

具体的には、日本=ハワイ間の路線である成田、羽田、関西、新千歳、中部からのホノルル、コナ直行便のほか、それぞれの便から乗り継ぎ可能な日本国内線、ハワイ州内路線について、両社の便名を付与するコードシェアを開始する。両社のラウンジの相互利用やマイレージの積算、特典航空券の利用も可能にする。成田空港ではターミナルが分かれる両社だが、JALと同じ第2ターミナルにハワイアン航空が移転する見込みだ。

旅行商品としてはJALが販売する海外ツアー「JALPAK」でも、ハワイアン航空便を利用した商品を強化。今後は日米両国で独占禁止法適用除外(ATI)を申請し、アジア路線にもジョイント・ベンチャー(共同事業)を拡大していく構えだ。

ハワイアン航空について植木氏は、「88年の歴史を誇る航空会社。昨日もダンカリー社長と食事したが、ハワイアンは米国で13年間も定時到着率がトップ、JALも米FlightStats社の調査で5回トップになるなど、航空会社のCEOとして目指すところが似ている」と興奮気味に語った。

一方、ハワイアン航空は2010年に羽田=ホノルル便を就航。現在では東京から1日3便、大阪から1日1便、札幌から週3便を運航する。CEOのダンカリー氏もJALとの提携を歓迎し、「JALとハワイアンは多くの点でパートナーだ。搭乗した瞬間からバケーションの始まりを感じていただけるよう、温かいハワイのおもてなし精神を大事にしている」と語った。

こうして提携を発表した両社だが、実は以前にも提携の話があったことを植木氏は明かす。2010年、日本に就航したハワイアン航空が最初に声をかけたのがJALだったという。だが、折しもJALは2010年1月に会社更生法の適用を申請、経営破綻の渦中にあったことで提携を断念。ハワイアンは2012年からANAと提携するに至った。

2010年にはJALの経営破綻により流れた提携話が改めて実を結んだ

それではなぜ、ハワイアンは改めてJALと提携するのか。その理由としてダンカリー氏は、ANAが加盟するスターアライアンスのパートナーであるユナイテッド航空の存在を挙げ、「ANAはユナイテッドとの共同事業があり、ハワイアンは思うほど近づけなかった」と振り返る。

JALもワンワールドに加盟しており、アメリカン航空と共同事業を展開している。しかし日本=ハワイ路線においてはパートナーシップがない。既存のアライアンスには加盟していないハワイアンとしては、ハワイ路線でJALと組める状況、ひいては高い競争力に繋がるという判断を下したわけだ。なお、ANAと航空の提携は、2018年3月に解消する予定となっている。

こうして提携に至ったJAL・ハワイアン連合だが、当面はそのANAへの対抗が課題となる。ANAは2019年春に、総2階建ての超大型機「A380」を東京=ホノルル線へ3機投入する。座席数は500席以上で、ファーストクラスも設定する。ウミガメの特別塗装も公募で決めた。

A380の導入は日本の航空会社として初めてで、「ハワイ旅行でA380に乗ってみたい」という旅行客へのアピール効果は絶大だろう。直接的な対抗について、両社は「A380を購入する検討はまったくしていない」(植木氏)、「次世代ワイドボディも検討しているが、A330が最適な機体だと考えている」(ダンカリー氏)と否定する。

JAL・ハワイアン航空ともにA380の導入は明確に否定した

輸送力そのものは、両社の合算で座席数が上回るとみられるほか、機材の優位性についても「日本=ハワイ間の1日7便すべてを、SKY SUITE仕様の機材で運航する。年末年始には成田=ホノルル便にファーストクラスもあるフラグシップの777-300ERを投入する」(植木氏)、「すべての路線にA330-200を配備した。フルフラットは18席、エクストラ・コンフォート席も多数ある。機内食は有名シェフとコラボした」(ダンカリー氏)と強調する。

日本だけでなくアジア路線を含めた共同事業も検討する

今後は日本=ハワイ間だけでなく、その先にJALとハワイアン航空が見据える、アジア=ハワイ間での共同事業との相乗効果にも注目したい。