「携帯値下げ」の記事

KDDIが新料金プランでドコモに全面対抗、その見どころは?

KDDIが新料金プランでドコモに全面対抗、その見どころは?

2019.05.17

KDDIの新料金プラン・新機種を発表

「カウントフリー」「データ無制限」で他社に対抗

夏商戦見越し、ミッドレンジ帯端末を拡充

KDDIが2019年のau夏モデル発表会を開き、新料金プランやスマホ新機種を発表した。6月より始まるNTTドコモの新料金プランに対して、全面対抗する形として、話題になっている。

KDDIが「最大4割値下げ」をうたうau新料金プランを発表

KDDIの発表スライドには「月額1,980円から」「最大4割値下げ」と威勢の良いフレーズが並んでいる一方、「分かりづらい」「安くない」との声も上がっている。その中身はどうなっているのか。

auも「家族割」、分離プランを修正

最近の国内大手3キャリアの料金を理解する上で欠かせないキーワードが「分離プラン」だ。5月10日に電気通信事業法の改正案が成立した。施行が予定されている秋以降、auの「毎月割」のように端末代金と通信料金を一体とした割引が禁止される。

ドコモは4月に発表した新料金プランで、この分離プランに対応した。これに対してauは2017年から分離プランを提供しており、対応済みではあったものの、今回の新料金プランでは「家族割」や「中容量プラン」、「データ無制限」などを採り入れてラインアップを拡充した。

大きく変わったのが家族割だ。これまでauの家族割引は、固定回線とのセットプランしかなく、家族割を割引の中心に据えるドコモやソフトバンクの横に並べた際に、auだけが高く見えてしまう問題があった。

ソフトバンクが決算会見で示した家族利用時の料金比較。au(表内のA社)だけ高く見えていた

今回auが新たに導入した「家族割プラス」は、同居の家族を基本としており、他キャリアより「家族」の条件は厳しいものの、2人利用で最大500円、3人利用で最大1,000円の割引を実現した。

次に中容量プランの新設だ。これまでのフラットプランは20GB以上の大容量向けだったが、新たに月額5,480円で7GBの定額制が登場。段階制の「新auピタットプラン」と比べて7GB利用時には500円安くなる計算だ。

auによれば、毎月の利用量が1〜7GB未満のユーザーは45%を占めている。7GBを超える容量は、20GBの「auフラットプラン20」や25GBの「auフラットプラン25 Netflixパック」を残す形でカバーしている。

auのスマホ利用は1〜7GB未満が45%を占める

さらにauは、これまでにない新機軸として「カウントフリー」と「データ無制限」を打ち出してきた。これらの特徴についても見ていこう。

SNSカウントフリーやデータ無制限が登場

auの新料金プランでは、7GBのフラットプランに「カウントフリー」が加わった。TwitterやFacebookなどのSNSを利用してもデータを消費しない、SNSの利用が多い人ほどお得になるプランだ。

7GBのフラットプランにSNSカウントフリーを導入

カウントフリーはネットワーク中立性などの観点から議論になっており、auはこれまで導入に及び腰だったが、「どのSNS事業者ともオープンに話し合う姿勢を取っており、問題ない」との見解を示している。今後は対応SNSの拡大も予定しているという。

さらに「データ無制限」をうたうプランも登場した。ネットワークの状況により速度制限がかかる場合はあるものの、5月15日の決算説明会では高橋誠社長が「3日で6GBの制限よりは緩い」「HD動画は十分に視聴できる」と補足した。

テザリングやデータシェアなどの利用には、スマホからの利用とは別に20GBの枠が設けられている点に注意したいものの、これまでにない大容量通信が可能になる5G時代を先取りしたプランといえる。

データ量に上限のないプランが登場

これらの新料金プランはすべて分離プランとなっており、「毎月割」の対象外だ。毎月割の適用がある従来プランは8月末まで新規契約を受け付けるものの、今後の端末購入は型落ちの機種などを除けば定価での購入が基本になるだろう。

こうした変化を見越して、KDDIは夏モデルでミッドレンジモデルを拡充。本体一括4万円台という価格帯でありながら、FeliCaを搭載した「Galaxy A30」や、トリプルカメラを備える「HUAWEI P30 lite Premium」をラインアップに加えてきた。

au2019夏モデルではミッドレンジが充実

いずれにせよ、9月以降は毎月割を利用した端末の新規購入はできなくなる。特に懸念されるのが、新型iPhoneの売れ行きに与える影響だ。ここにauがどのような対策を打ち出してくるかが、次の焦点になりそうだ。

楽天モバイルが店舗攻勢、MNO開始までの半年を乗り切れるか

楽天モバイルが店舗攻勢、MNO開始までの半年を乗り切れるか

2019.05.08

楽天モバイルが池袋東口店に大型店舗をオープン

楽天が「バラ色の未来」をユーザーにアピールできないワケ

MVNOとMNOの狭間で楽天が抱える「ジレンマ」とは

格安スマホの楽天モバイルが池袋東口に大型店舗をオープンした。

これまで、多くのMVNO事業者はネット販売を中心にするなど、リアルな接点に掛けるコストを減らすことで「格安」を実現していた。しかし最近では店舗やサポートの需要が高まっており、消耗戦の様相を呈している。

楽天モバイルが池袋東口店に大型店舗をオープン

その中で楽天は、10月に自社回線サービスの開始を予定している。サービス開始まで半年を切ったいま、新たな課題が見えてきた。

国内MVNOでNo.1に、店舗数は500を突破

国内の携帯電話市場では、依然として大手3キャリアが8~9割のシェアを占めている。MVNO事業者は格安スマホを旗印にシェアを伸ばしているものの、大手キャリアの値下げ攻勢により、伸び悩みが指摘されている。

その中で、楽天モバイルは2019年3月に国内MVNOサービスで1位となり、2位以下に大きな差をつけた(MMD総研調べ)。2019年3月の月間新規契約数は前年比で39%増と順調に伸びている。また、乗り換えた人の92%が「大手キャリアには戻れない」と回答するなど、利用者の評価も高いようだ。

最近のMVNO各社が直面している課題が、店舗やサポート需要の高まりだ。楽天モバイルの調査では、86%以上の人が店舗での契約を望んでおり、インターネットでの契約を大幅に上回ったという。

86.4%の人が店舗での契約を希望

かつてのMVNOはデータ回線を求めるリテラシーの高いユーザーが中心で、店舗やサポートは不要との声が多かった。だが利用者層が拡大したことで、音声契約の比率が高まり、大手キャリア並みのサービスを求める人が増えている。

MVNO各社が体力勝負に陥っている中で、楽天モバイルのショップは国内で500店舗を突破した。単独の店舗だけでなく、プロントや西友、蔦屋書店の店舗内に楽天モバイルを出店するなど、新たな顧客層の取り込みを狙っている。

楽天モバイルショップが急拡大、500店舗を突破

さらに都市部では需要の増加に応じて、大型店舗も増やしている。4月にオープンした渋谷公園通り店(320㎡)や池袋東口店(160㎡)は、70㎡程度だった従来店舗より2倍以上大きいのが特徴だ。

楽天の強みは「楽天経済圏」とのシナジーだ。楽天モバイルユーザーの多くは楽天市場や楽天トラベルなどを利用しており、獲得したポイントを有効活用している。これらのサービスにアクセスする窓口として、モバイルが一翼を担っているというわけだ。

楽天モバイルユーザーは楽天経済圏を活用

MVNOから移行するメリットはあるのか

楽天モバイルにとって、次の大きな挑戦は自社回線への移行だ。ドコモやauの回線を利用するMVNOではなく、自前の基地局を用いたサービスを10月に開始する。移行を希望する既存ユーザーには10月以降に順次案内するという。

10月以降に自社回線移行の案内を開始する

だが、ここへ来て新たな課題も見えてきた。それがMVNOと自社回線のすみ分けだ。「移行でどういうメリットがあるのか」との質問に対し、楽天モバイル側は「世界最先端の仮想化技術を採用し、回線品質が向上する」(常務執行役員の大尾嘉宏人氏)と答えた。

楽天モバイル 常務執行役員 営業・マーケティング本部長の大尾嘉宏人氏

楽天は仮想化技術を2月のMWCに出店し、世界的に注目を浴びた。だが、ユーザーにどういうメリットがあるのか具体的な数字や機能を示すことができず、会見に参加した報道関係者らが首をかしげる場面もあった。

その背景として、同社は少なくとも10月まではMVNOサービスで新規の契約者を増やしていく必要がある。それに加えて、楽天の自社回線に不安を持つMVNOユーザーは移行を先延ばしにする可能性もあり、当面はMVNOサービスを継続していくことになりそうだ。

つまり、楽天としても「自社回線になればバラ色の未来がくる」とはアピールしにくい、というわけだ。MVNOサービス利用者の92%は高い満足を示していることもあり、うまくすみ分けながら、自社回線への移行を促していきたいところだろう。

楽天は、MVNOから自社回線への移行という前例のない挑戦に取り組む中で、困難な課題に直面しつつある。半年後の移行開始に向けて、難しい舵取りを迫られることになりそうだ。

NTTドコモの新料金プランはなぜ「分かりにくい」と感じるのか

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第37回

NTTドコモの新料金プランはなぜ「分かりにくい」と感じるのか

2019.05.05

NTTドコモの新料金プランが分かりにくい?

従来プランから仕組みを大きく変えたことで混乱

端末購入代の補助が不透明なことも一因

NTTドコモは2019年4月15日、新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」を発表した。通信料と端末代を分離する「分離プラン」を採用して料金を引き下げ、なおかつ基本料やデータ通信料などをひとまとめにして2つのプランに絞るなど、分かりやすさを重視した内容となっているのだが、発表直後から「分かりにくい」という声が相次いだ。一体なぜだろうか。

複雑な要素をなくした「ギガホ」と「ギガライト」

2018年より、通信料と端末代を分離する「分離プラン」を軸としとした、利用スタイルによって2~4割程度の料金値下げを実現する新料金プランの投入を明らかにしていたNTTドコモ。その新料金プランの内容が、2019年4月15日についに明らかにされた。

NTTドコモが2019年4月15日に発表した新料金プラン「ギガホ」と「ギガライト」。いずれも2019年6月1日より提供開始される

その内容を簡単に振り返ると、新しい料金プランの1つは大容量通信を利用する人向けの「ギガホ」(2年定期契約ありで月額6,980円)で、毎月30GBの高速通信が利用できるが、それを使い切った場合も最大1Mbpsと、多くのネットサービスを実用的に利用できる速度が維持されるというのが大きなポイントとなる。

そしてもう1つは「ギガライト」で、こちらは毎月使用したデータ通信量に応じて、1~7GBまでの4段階に料金が変化する段階制のプラン。2年定期契約ありの場合、月当り1GBまでの「ステップ1」で月額2,980円、7GBまでの「ステップ4」で5,980円となることから、主としてライトユーザー向けに位置付けられるものだ。

これらはいずれも、従来バラバラに選ぶ仕組みとなっていた、音声通話をするための「基本プラン」と、インターネットを利用するための「サービスプロバイダー料金」(NTTドコモの場合は「spモード」)、そしてデータ通信をしやすくするための「パケット定額サービス」の3つをセットにしている。通話定額、あるいは5分間の通話定額が必要な場合は別途オプションを追加する必要があるものの、基本的にはギガホとギガライトのどちらかを選べばよく、以前よりもシンプルに選びやすくなったことは確かだろう。

「ギガホ」はヘビーユーザー向け、「ギガライト」はライトユーザー向けのプランとなるが、どちらも基本料やデータ通信料をセットにし、分かりやすい仕組みとなっている

だがそれにもかかわらず、新料金プランが発表された後、SNSなどでは「安くならないのでは」「分かりにくい」という声が多く見られた。NTTドコモ代表取締役社長の吉澤和弘氏も、2019年4月26日に実施した決算説明会で「PRをもっとやらないといけない」と話すなど、消費者への説明対応に追われている様子がうかがえる。

分かりにくさは変化の大きさと端末代の不透明感にあり

なぜ、新料金プランが分かりにくく見えてしまったのだろうか。先の決算における吉澤氏の説明によると、理由の1つは新料金プランの仕組みを大きく変えたことにあるようだ。消費者は基本プランとspモード、パケット定額サービスを組み合わせて選ぶことに馴染んでいるため、ギガホやギガライトがパケット定額サービスの1つに見え、「別途基本料が必要なのではないか」と勘違いしている人が多くいたようだ。

2つ目は、新料金プランに係る新しい割引サービス「みんなドコモ割」と「ドコモ光セット割」の存在だ。これらの割引は、3親等以内の契約者同士であれば組むことができる「ファミリー割引」のグループに入っている人に対して適用されるもので、全て適用されれば最大で月額2,000円の値引きが受けられるのだが、この仕組みを伝わりにくいものにしているのが「シェア」の存在である。

というのも、NTTドコモが現在提供している料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」では、基本的に家族の代表者1人が「シェアパック」と呼ばれる家族全員分のデータ通信容量を契約し、それを家族でシェアする仕組みを採っている。だがデータ通信量をシェアできるグループは、必ずしもファミリー割引グループの契約回線全員という訳ではない。

新料金プラン向けの「みんなドコモ割」「ドコモ光セット割」は、「ファミリー割引」のグループ内回線全員に適用され、従来のシェアパックとは仕組みが大きく異なる

それゆえ現在はファミリー割引グループの存在自体がやや希薄になっており、それが「パケットをシェアしている人達同士でしか割引が適用されない」という誤解を生んでしまったといえる。こうした点は吉澤氏も認めており、改めてファミリー割引グループ自体の認知を高める活動をしていきたいとしている。

だがもう1つ、筆者が新料金プランを分かりにくく感じさせている要因と見ているのが、端末料金に関する施策がまだ明らかにされていないことだ。新料金が採用している分離プランでは、従来の「月々サポート」「端末購入サポート」のように、毎月の通信料を原資として端末価格を値引くことができなくなり、基本的にはスマートフォンを値引きなしで購入する必要がある。高額なスマートフォンを購入する人は、かえって割高になる可能性があるのだ。

しかしそれでは、最近増えつつある10万円を超えるようなハイエンドモデルの販売が難しくなることから、従来とは異なる形で何らかの値引き施策も求められている。NTTドコモも新しい形での端末購入補助を提供する考えは示しているのだが、新料金プラン発表時点ではその内容が明らかにされなかった。

それゆえ現時点では非常に中途半端な状態にあり、通信料と端末代を合計した場合、従来のプランと比べて毎月の料金が本当に安くなるのかどうかが判断できないのである。新たな端末購入補助の仕組みは夏商戦の新端末発表時点で公表されると見られているが、同時に発表した方が消費者には内容がが伝わりやすかったのではないかと、筆者は考えている。

NTTドコモが提示する事例では多くの人が2~4割安くなるとされているが、端末料金に対する施策が公表されておらず、価格を含めた場合の比較は現時点ではできない状況だ