「携帯値下げ」の記事

携帯3社、「2年縛り」の解約期間を3か月に延長へ

携帯3社、「2年縛り」の解約期間を3か月に延長へ

2019.01.17

携帯電話の「2年縛り」、解約期間が2か月から3か月に延長

契約期間の最後の月(24か月目)での解約金が不要に

携帯電話3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)は、2年間の利用を条件に基本料金を割り引く「2年縛り」契約について、契約解除料がかからない更新期間を2か月から3か月に延長すると発表した。

これによって、従来の25か月目、26か月目に加え、新たに契約期間の最後の月(24か月目)でも、解約金の約1万円を支払う必要なく、契約を解除できるようになる。変更日は2019年3月1日から。

契約解除料の免除期間に、「24か月目」が追加される。例えば、2019年3月に契約期間満了月を迎えるの2年契約のユーザーは、2019年3~5月が契約更新期間になる (ソフトバンクニュースリリース)

1月16日にKDDI(au)とNTTドコモが、遅れて17日にソフトバンクが同様の内容を発表。17日に行われた第6回の有識者会議「モバイル市場の競争環境に関する研究会」に合わせて、携帯各社の発表が揃う形になった。

2018年8月、菅官房長官が携帯電話料金の値下げに言及して以降、携帯電話各社は、通信料金と端末代金を完全分離した「分離プラン」の導入や、4年間の割賦を前提とした買い方プログラムの見直しなど、各種料金プランの変更を繰り返していた。

2019年には新規参入の楽天、2〜4割程度料金プランを値下げする方針を明言したNTTドコモによる新料金プランの発表が控えている。今後の携帯業界の動向にも注目したい。

楽天が携帯電話事業に参入すると何が変わるのか

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第28回

楽天が携帯電話事業に参入すると何が変わるのか

2018.12.20

2019年のサービス開始に向け準備を急ぐ楽天

行政が期待する料金競争より大事なもの

再び競争停滞を招いてしまう危惧も

2018年に携帯電話事業への正式参入を発表した楽天。KDDIとローミング契約を結んだことで、2019年10月のサービス開始に向けた準備が整いつつあることをアピールしているが、参入によって何が変わると考えられているのだろうか。

2019年のサービス開始に向け準備を急ぐ楽天

2017年末に携帯電話事業への参入を表明したことで大きな注目を集めた楽天。2018年に携帯電話事業を担う子会社の楽天モバイルネットワークを設立し、総務省が実施した4G向けの電波免許を申請。4月に無事、1.7GHz帯の免許を獲得し、携帯電話事業への参入が正式に決定したのである。

楽天の携帯電話サービス開始は2019年10月を予定しており、2018年12月7日には、基地局1号機の建設に向けた安全祈願祭を執り行った。現在は基地局の設置や、設置する場所の確保を急ピッチで進めるなど、サービス提供に向けた準備を着々と整えているところのようだ。

楽天モバイルネットワークは2018年12月7日に、基地局1号機の建設に向けた安全祈願を実施。楽天の代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏が参加するなど、力の入れ具合を見て取ることができる

とはいえ、楽天はゼロからインフラを整備する必要があるため、既に全国に充実したインフラを展開する携帯大手3社と、すぐ互角に競争できる訳ではない。そこで楽天は、他社のネットワークと相互接続することで一時的にエリアを補完する「ローミング」を活用するとしている。

そして楽天がローミングの相手に選んだのがKDDIだった。両社は2018年11月1に提携し、KDDIが楽天に対して、ネットワーク整備が完了するまでの間、都市部以外のネットワークでローミングを実施するという。一方で楽天はKDDIに、QRコード決済の加盟店網や、Eコマースの物流網を貸し出すとしている。単なるローミングにとどまらない契約となったことが大きな驚きをもたらしたようだ。

楽天はKDDIと提携。ネットワークが整うまでの間都市部以外でのローミングを実施してエリアを補う一方、楽天はKDDIに楽天ペイの加盟店網やEコマースの物流網などを提供する

投資金額が他社より少ないことから、依然として参入を不安視する声が少なくない楽天の携帯電話事業だが、サービス開始に向け着実に準備を進めていることは確かなようだ。では楽天の参入によって、携帯電話市場に今後どのような変化が起きると考えられるだろうか。

行政が期待する料金競争より大事なもの

特に電波割り当てを認めた総務省などの行政が強い期待を寄せているのが、携帯電話会社同士の競争が加速し、通信料金が引き下げられることだ。

携帯電話会社は20年にわたる再編を経てNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社に集約されてしまった。それに加えて、「実質0円」など端末の過度な値引きによる顧客奪い合い競争が行政によって実質的に禁止されたことなどもあり、事業者間の競争は停滞傾向にある。そうしたことから新規参入事業者の楽天が、加入者獲得のため大手3社より格安な通信料で勝負を仕掛けることで、停滞していた事業者間競争が加速し、それに伴って全社の通信料金が大幅に下がることを行政は期待しているのだ。

過去を振り返ってみれば、確かに新規参入事業者がプライスリーダーとなって、通信料が下がるという事象が起きている。携帯電話の黎明期から普及期にかけては、現在のKDDIに当たるDDIセルラーグループや日本移動通信、現在のソフトバンクに当たるデジタルホングループなどに加え、PHS事業を展開する3社が相次いで参入したことにより、かつては富裕層やビジネスマンくらいしか利用できなかった“高嶺の花”であった携帯電話が、誰でも利用できる料金にまで下がり大衆化が進んだのである。

また2005年にはイー・モバイル(イー・アクセス)が参入し、さらにPHS事業者のウィルコムがKDDIから独立。これによってデータ通信の定額サービスがより安価になったり、音声通話の定額競争が加速したりするなど、通信サービスがより安価な料金で利用しやすくなったのは確かだ。

2005年にはイー・モバイルやウィルコムなどの独立系事業者が増えたことで、データ定額の低価格化が進んだほか、音声通話定額サービスが広まるなどの効果をもたらしている

だがそこで見逃してはならないのが、消費者は携帯電話会社を価格だけで選んでいる訳ではないという事実である。確かに料金が安ければメリットは大きいが、安くても携帯電話がつながらなかったり、通信速度が安定しなかったりすれば、大きな不満を抱え使わなくなってしまうのだ。その事実を象徴しているのがPHSである。

PHSは1995年のサービス開始後、携帯電話より料金が安いことから若い人達を中心に契約を急速に伸ばしたのだが、携帯電話より電波の出力が弱くエリア整備に時間がかかる仕組みであったため、増えるユーザー数にエリアカバーが追い付かず、「つながらない」という負のイメージが定着し急速に人気を失った。その結果全てのPHS事業者が経営危機を迎え、DDIポケット(後のウィルコム、2010年に経営破たんし現在はソフトバンクのワイモバイルブランド)以外は親会社などに吸収され、消滅してしまった。

また2006年にボーダフォンの日本法人を買収して携帯電話事業に参入した現在のソフトバンクも、当初は「0円」を強調したプロモーションを展開するなど料金の安さをアピールする戦略に打って出ていた。だが消費者からはネットワークに対する不満が噴出したことから方針を改め、料金よりもネットワーク整備に重点を置くようになったことで、信頼を得るに至っている。

そうした歴史があるだけに、新規参入の楽天が競争を加速させるためにはネットワークの充実度を高めることが不可欠だ。それができなければ、仮に楽天が料金競争を仕掛けたとしてもその影響は一時的なものにとどまり、再び競争停滞を招いてしまうだろう。

なぜ総務省は「分離プラン」の導入に強くこだわるのか

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第27回

なぜ総務省は「分離プラン」の導入に強くこだわるのか

2018.12.07

総務省が携帯料金の「分離プラン」導入を強く提言

実は10年前にも分離プランは議論、導入されていた

再び「官製不況」の悪夢? 同じ轍を踏む可能性も

総務省の有識者会議で、携帯電話のキャリア各社に分離プランの導入を求めることなどを盛り込んだ緊急提言案が公表された。菅義偉官房長官の発言に端を発した、料金値下げの切り札とされる分離プランの導入だが、なぜ行政はこれほどまで熱心なのだろうか。

総務省が緊急提言案で分離プラン導入を要請

2018年8月に、菅官房長官が携帯電話料金の値下げに言及して以降、料金に関する大きな動きが相次いでいる携帯電話業界。その発言を受けて新たに実施されたと見られる総務省の有識者会議「モバイル市場の競争環境に関する研究会」で、2018年11月26日に「モバイルサービス等の適正化に向けた緊急提言」という緊急提言案が公表された。

この緊急提言案で言及している要素はいくつかあるのだが、中でも注目されているのは通信料金と端末代金の完全分離、俗にいう「分離プラン」の導入をキャリアに要求していることにある。

総務省が2018年10月より実施している「モバイル市場の競争環境に関する研究会」。11月には分離プランの導入などを求める緊急提言案を打ち出している

これまで携帯電話の料金は、通信料金と端末代を一体にし、毎月の通信料金に端末代の値引き分を上乗せすることで、「実質0円」など端末価格を大幅に値引いて販売してきた。この仕組みによって日本では高性能の携帯電話やスマートフォンがいち早く普及し、多くの人たちが最先端のネットワークやサービスを利用できるというメリットをもたらしたのだが、一方でいくつかの問題点も生み出していた。

その1つは、端末を頻繁に買い替える人は大幅値引きの恩恵を受けて得をするが、同じ端末を長く使う人は値引きの恩恵が受けられず損をするという、不公平感があること。そしてもう1つは、端末の割賦や長期契約を前提とした割引が複雑に絡み合っているため、料金の仕組みが分かりづらく、解約や他社への乗り換えがしづらいことである。

そこで通信料金と端末代を完全に分離し、通信料金への端末代の上乗せを禁止することで、毎月の通信料金を安くし、シンプルで公平な料金を実現したいというのが、緊急提言案の背景にある総務省の考えだ。分離プランの導入だけでなく、KDDI(au)の「アップグレードプログラムEX」に代表される、4年間の割賦を前提とした買い方プログラムに関しても、機種変更が値引きの条件となることで契約を強く縛るとして、抜本的な改善を求めている。

分離プラン自体は既にauとソフトバンクが導入しており、NTTドコモが2019年春の導入を発表している。だがこの提言案が通れば、キャリアは通信料金を原資とした端末の値引きが一切できなくなるため、最新のネットワークやサービスを利用できる高性能な端末を、自ら安価に販売して広める手段を完全に失うこととなる。ビジネスの大幅な転換を迫られるのは必至だろう。

NTTドコモは分離プランを軸とした新しい料金プランを2019年春に導入すると発表している

しかしなぜ、総務省はそれほどまでに分離プランの導入を強く要求しているのだろうか。その理由は、分離プランの導入が総務省、ひいては行政にとって“10年越しの悲願”だからである。

10年前からなされていた分離プラン導入の議論

実は総務省が分離プランに言及したのは2007年のこと。当時開かれた有識者会議「モバイルビジネス研究会」で、既に分離プランの導入に関する議論がなされていたのだ。

2007年といえば、iPhoneが日本で発売される直前の“スマートフォン前夜”で、「iモード」に代表されるように、キャリアがネットワークだけでなく端末、サービスの全てを用意する、垂直統合型のビジネスを展開していた頃だ。そのため携帯電話市場におけるキャリアの影響力が非常に強く、市場構造が硬直化し寡占が進んでいたことを総務省が問題視していた。より多様なビジネスができるよう、MVNOの参入や分離プランの導入、SIMロックの解除などについて議論がなされていたのだ。

さらに言うと、このモバイルビジネス研究会ではキャリアが分離プランを導入するべきという結論に至っており、それを受けて大手キャリアは一度、分離プランを本格的に導入したことがあるのだ。実際2007~2008年にかけての、NTTドコモの「バリュープラン」やauの「シンプルプラン」などで、分離プランの本格導入がなされている。

だがその後、分離プランの存在は薄くなり、再び通信料金と端末代の一体化が進んでいく。その理由の1つは、分離プランの導入によって端末代の値引きがなくなり、携帯電話の販売台数が激減したことだ。

実際、電子情報技術産業協会(JEITA)の発表によると、分離プランの導入が本格化した2008年度の国内携帯電話の出荷台数は3,585万と、2007年度の出荷台数(5,167万)からたった1年で3割以上減少している。このことが国内の携帯電話メーカーの弱体化につながる一因となっただけでなく、分離プランが「官製不況」と呼ばれ、総務省が批判されることにもなった。

そしてもう1つは、その後スマートフォンが爆発的に普及したこと。大手キャリアがスマートフォンの販売に力を入れ他社から顧客を奪うべく、実質0円、一括0円どころか5万円、10万円ものキャッシュバックが飛び交う激しいスマートフォンの値引き合戦を繰り広げ、分離プランの存在が薄れていったのだ。そうしたキャリアの過剰な端末値引きが行政の怒りを買い、結果的に今回の緊急提言案に至った大きな要因の1つにもなっている。

ちなみにモバイルビジネス研究会が実施されていた当時の総務大臣は現在の菅官房長官であり、現在の総合通信基盤局長である谷脇康彦氏は、当時は総合通信基盤局の事業政策課長として、モバイルビジネス研究会に大きく関わっていた。そうした意味でも、今回の緊急提言案と分離プランの導入は、行政側にとって10年越しの悲願だったといえる訳だ。

だが一方で、端末メーカーにとっては、10年前に起きた官製不況が再び訪れることが確実な情勢にもなっている。2020年に次世代の「5G」ネットワーク導入が見込まれる中、それに対応するスマートフォンの販売が不振などとなれば、5Gの普及にも大きな影響を与えかねない。それだけに分離プラン導入の成果だけでなく、その反動による影響がどのような形で浮かび上がってくるのかにも、しっかり注視しておく必要がある。