少子高齢化と東京膨張の狭間で、東京メトロが輸送力増強「総仕上げ」へ

少子高齢化と東京膨張の狭間で、東京メトロが輸送力増強「総仕上げ」へ

2019.01.15

巨大な鉄道網、東京メトロの大規模開発は一段落

方南町駅を6両編成に対応させ都心直結を便利に

10両編成の乗り入れで利用客増を見込む北綾瀬駅

東京メトロは巨大都市東京の大動脈であり、1日平均の輸送人員数は約742万人(2017年度)にも達している。これは、埼玉県の総人口に匹敵する。そのため、電車の編成も長大で、JR・大手私鉄の路線と相互直通運転を実施している路線の多くでは、20m級車両の10両編成で朝夕の混雑に対応している。保有車両数は、JR各社を除く私鉄では日本最多となる2,728両にも及ぶ。

西武線内を走る10000系。東京メトロは東京近郊のJR、私鉄の多くと相互直通運転も実施し、莫大な数の利用客を日々輸送している

ただし、2013年に副都心線と東急東横線の相互直通運転が始まり、2016年に有楽町線小竹向原~千川間の連絡線建設というビッグプロジェクトが完成して以来、新線の建設や編成の長大化といった、大規模な施設改良は一段落した。輸送人員数はまだ増加傾向だが、高度経済成長期のような急激な増加はもはや昔語り。むしろ「安定期」に入った感もある。 

今後、少子高齢化が進むことは間違いない状況にあって、いまだ膨張を続ける東京とはいえ、長期的には人口減少、ひいては輸送人員が減少へ転じることを見据えた経営計画が必要となるだろう。朝夕の混雑緩和を図る、ホーム増設などの工事は随所で続いているが、一方で新線建設の要望や構想は存在するものの、しばらくは具体的な着工に至ることもないと思われる。

方南町駅の改良工事が完成間近

全長200mにも達する電車が地下を行き交い、どの時間帯に乗っても混雑しているような印象がある東京メトロだが、実はわずか3両編成で運転されている線区もある。丸ノ内線中野坂上~方南町間の支線(以下、方南町支線)と、千代田線の末端区間、綾瀬~北綾瀬間(以下、北綾瀬支線)だ。

これらの線区は長年、短い編成での折り返し運転が行われてきた。東京都内であるから、決して利用客数は少なくないものの、池袋~荻窪間や綾瀬~代々木上原間(以下:本線)と比べれば、のんびりとした雰囲気がある。

しかし現在、この2線区においても本線と同じ長い編成で運転できるよう、改良工事が進捗しており、2019年に完成予定となっている。東京メトロとしては、輸送力増強のための駅改良工事は、これで当面一段落するといえよう。

方南町支線には、中野坂上・中野新橋・中野富士見町・方南町の4駅があるが、前者3駅は丸の内線本線と同じ6両編成列車の発着が可能。問題は終点となる方南町駅で、3両編成しか発着できないホームとなっている。そのため、都心部へ向かうには中野坂上駅での乗り換えが必要だった。ただ、中野富士見町~方南町の間には、東京メトロの中野車両基地が存在しており、丸ノ内線用車両の拠点となっている。この拠点を生かし、朝夕のラッシュ時のみ、中野富士見町駅発着の新宿・池袋方面直通列車を設定していた。

丸ノ内線の「本線」と方南町支線が接続する中野坂上駅。支線から本線列車にホーム対面で乗り換えでき利便性は高いが、直通列車には敵わない

方南町駅も3両編成がぎりぎりという訳ではなく、現在より多少の延長をすれば6両編成が発着できそうなホームの長さであった。そのため、方南町駅の改良工事を行い、完了すれば終点駅(方南町)から新宿、赤坂見附、銀座といった都心部へ乗り換え不要でアクセスできるようになる。

ホーム延伸が完成間近の方南町駅。1月26日までは2本の線路のうち1本を閉鎖して工事が行われている

新型車両の投入が方南町駅改良の契機

そして、方南町駅改良には新型車両2000系の投入が大きく関係していると思われる。2000系は既存の02系(1988~1996年製)をすべて置き換える新製車で、2018年度中の営業運転開始が予定されている。

方南町支線専用の3両編成も02系であるが、6両編成とは仕様が若干異なり、2本連結して本線で使うという訳にはいかない。そのため、定期検査や故障などに備えた予備車も3両編成、6両編成それぞれに準備する必要がある。方南町支線専用の3両編成は6本あり、これは1996年製の最終増備車。そのため、廃車時期はまだ先とも考えられるが、新型車両の投入が本線と支線の編成を統一する最良のタイミング。これにともない、6両編成に対応した駅に改修され、支線専用の3両編成は廃止となる。

3両から10両へ「増結」される北綾瀬支線

一方、北綾瀬支線は、わずか2駅2.1kmの路線。もとは綾瀬車両基地へ出入りする引き込み線を旅客線へ転用したもので、1979年に開業した。末端区間であるため、本線区間のような需要が見込めないとのことで、こちらも3両の専用編成(現在は東西線から改造転用された05系4本)が用意され、綾瀬~北綾瀬間の折り返し運転にだけ使われている。

綾瀬駅に停車中の北綾瀬行き。東西線から転用された3両編成によるワンマン運転が実施されている

広大な車両基地用地のため、北綾瀬駅開業当初、駅周辺は都市化がさほど進んでいなかった。だが、それだけ開発余地が残っていたということになり、しかも支線のもう一方の起点、綾瀬駅は千代田線の始発列車が多いこともあって、次第に大規模マンションなどが建った。それにともない、北綾瀬支線の利用客も右肩上がりで増えていった。

この利用客増に対応するため、本線用の10両編成列車に北綾瀬~綾瀬間の輸送も担ってもらおうという着想で、北綾瀬駅の10両編成対応工事が開始された。3月16日の千代田線ダイヤ改正と同時に10両編成運転が始まる予定だ。

10両編成への対応工事が進む北綾瀬駅。一部の改装は完了している
ホーム延伸のほか、改札口の増設工事も行われている。ホームが長くなることへの対応だ

ただ、綾瀬駅を始発終着にしている10両編成列車がすべて北綾瀬駅発着になるわけではない。現在、朝のラッシュ時間帯(7~8時台)の綾瀬駅始発は13本あるが、そのうち5本が北綾瀬駅始発に変更されるとのことだ。なお、もっとも通勤需要が高い平日朝の7時台には、北綾瀬駅始発が7本設定されている。北綾瀬支線は複線なので、もう少し本数を増やせそうだが、車両基地から綾瀬駅始発として回送される列車と共用となるため、ままならないという側面もある。

また、方南町支線とは異なり3両編成列車が廃止されるわけではない。こちらは従来通り3両での北綾瀬~綾瀬間の折り返しがそのままとなる。車両面では、新型製造といった大きな変更はなさそうである。

ただ、将来的には輸送力を強化する必要性はあるだろう。北綾瀬周辺は住宅地としての人気が高まっていているし、都心方面への始発駅として北綾瀬駅の価値は上がることになる。JR常磐線亀有駅、つくばエクスプレス青井駅、六町駅を利用している層の一部が北綾瀬へ流れる可能性も考えられる。都市開発の面でも、注目のエリアとなることは間違いなさそうだ。

JR東海の格安フリーきっぷは単なる「鉄道ファン向け」ではない!?

JR東海の格安フリーきっぷは単なる「鉄道ファン向け」ではない!?

2019.01.08

私鉄とも連携したフリーきっぷを販売するJR東海

JR東海の広報力に期待する沿線の私鉄企業の思惑

家族三代の「鉄道旅」促進で将来の需要を生み出す

JR東海が“らしくない”きっぷを販売していると話題だ。それは、2016年7月から販売されている「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」(以下「乗り鉄たびきっぷ」)。JR東海の在来線全線と、隣接する16の私鉄・第3セクター路線が土休日限定で2日間乗り放題になるきっぷだ。東海道新幹線も、熱海~米原間の「ひかり」「こだま」に限り、別途特急券を購入すれば4回まで乗車できる。

極めて広範囲のエリアに2日間乗り放題となる「JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」(写真:豊橋駅にて)

大人8,480円、こども3,990円で、熱海~米原間を往復すれば元が取れる。2日間にわたって、東海・中部地方のJRとほとんどのローカル私鉄が乗り放題となるおトクさに加え、「乗り鉄」という鉄道ファン向けを思わせるネーミングがそそる。従来、東海道新幹線を中心とした大量高速輸送に特化してきたイメージのあるJR東海としては、かなり異例の商品といえるだろう。

東海道新幹線も、特急券を購入すれば4回まで利用可能

なぜ今、JR東海からこのような商品が生まれたのか。JR東海営業本部販売促進グループの内田重光副長は「部内に、今までと違う商品に取り組もうという機運がありました」と語る。「家族三世代向けに、鉄道の旅を提供できたら面白いという発想から企画がスタートしました。そこから、地域のローカル線と組み、鉄道旅の魅力を多世代に伝えて新しい顧客を呼び込むというアイディアが生まれたのです」と話す。

家族三世代に向けた、鉄道を楽しんでもらうためのきっぷ。これは天竜浜名湖鉄道天竜二俣駅で実施している車両の洗車体験

内田氏ら企画チームは、自社線に接続している17の私鉄・第3セクター鉄道に企画を提案。そのうち16社が応じ「従来の当社のイメージとは異なる新しい商品」(大城慶吾販売促進グループ副長)が実現した。「乗り鉄たびきっぷ」というネーミングは女性社員のアイディアがもとになっているという。

商品化にあたって苦労したのは、価格設定だ。運賃単価や平均利用額は鉄道会社ごとに異なる。あまり安く設定すると、普段から通常のきっぷで利用している乗客まで利用してしまい、かえって減収となる。逆にあまり高めに設定すると、手軽さが失われる。利用者がおトク感を得られ、各鉄道会社はメリットを享受できる価格として、大人8,480円、こども3,990円という値段が導き出された。こども料金を大人用の半額以下の3,000円台に設定したところに「親子連れ向け」というコンセプトがみえる。東海道新幹線の利用回数を4回までに制限していることや、東京駅や新大阪駅などで販売されていないのは、新幹線を頻繁に利用する層にとってトクになりすぎることを防ぐためだろう。

JR東海の在来線は全線乗り放題。全国唯一となった、名松線家城駅でのタブレット(金属状の板・単線における事故を防ぐための通票)交換もみられる

私鉄がこの企画に賛同したのはJRの広報力に期待するため

では、JRから企画提案を受けた鉄道会社各社は、このきっぷをどのように受け止めたのだろうか。各社が口を揃えるのは、JR東海の広報力への期待だ。

岐阜県の明智鉄道。食堂車を連結した観光列車で有名だが「乗り鉄たびきっぷ」では乗車できない
春のサクラで有名な樽見鉄道。サクラのシーズンには「乗り鉄たびきっぷ」で花見ができそう

「従来は、エリア外へのお客様へのアピールがしにくいという問題がありました。鉄道会社同士の、横のつながりができてより多くのお客様に路線の魅力を知ってもらえるというのはとてもありがたいことです。今まではこうした事例はありませんでした」(豊橋鉄道・梅村仁朗鉄道部長)

「JR東海さんのポスターやパンフレットで、地域外の方々に広く明知鉄道を知っていただく効果は大きいです」(明知鉄道・伊藤温子総務課長補佐)

「JRさんの広報力で、これまで当社を知らなかった観光のお客様が遠方から来てくださるようになりました」(天竜浜名湖鉄道・澤井孝光営業部長)

また、乗り放題のきっぷ自体にも広報力がある。運賃が一定なら、少しでも元を取りたくなるもの。鉄道ファンならずとも、足を少し延ばして、今まで訪れたことのない路線に乗ってみようという気になる。

「今回のようなお安いきっぷを利用して、まずは乗っていただければ、沿線に魅力的なみどころがあることを知っていただけます。『それなら、次にまた来てみよう』というリピートにつながります」(天竜浜名湖鉄道・澤井氏)

浜名湖の北を走る天竜浜名湖鉄道。駅舎や扇形車庫など国登録有形文化財が36件もある“走る鉄道博物館”だ
フィンランドのブランド「マリメッコ」を多用し、おしゃれなカフェになった天竜浜名湖鉄道の都田駅。写真映えする駅として、海外からもファンが訪れる

乗車人員統計の実績にもなる

もちろん、運賃収入面のメリットもある。売上の分配については非公開だが、原則として販売枚数に応じて各社に振り分けられる。1枚あたりの収入は少なくても、実際に乗車した区間にかかわらず分配されるため、トータルでみればそれなりの収入になる。

それ以上に大きいのが、乗車人員統計への加算だ。行き止まりの路線の場合、1枚売れるごとに往復乗車したとカウントされ、乗車人員が2人加算される。仮に1万枚販売し乗客が往復すれば、2万人が乗車したことになり、利用者数を少しでも増やしたい地方鉄道にとっては、大きな実績となる。

「特に冬場は観光のお客様が減るため、とても助かっています」と明知鉄道・伊藤氏は話す。なお、JR東海が声をかけた17社のうち、唯一参加しなかったのが、機関車トーマス号などSL列車で有名な大井川鐵道だ。これには、大井川鐵道特有の事情が絡んでいる。大井川鐵道は、元々観光輸送に特化した路線であり、日常の足として利用している人の割合は他社と比較して少ない。金谷~千頭間の運賃は1,810円、1日乗車券は3,440円であり、観光客が「乗り鉄たびきっぷ」を利用すれば、かなりの減収は免れない。「乗り鉄たびきっぷ」はSLのような観光列車には乗車できないが、片道は普通列車を利用する人も多いからだ。大井川鐵道が参加を見送ったのは、やむを得ないだろう。

通勤路線のイメージが強い静岡県の遠州鉄道も参加。乗り放題だからこそ、普段乗る機会の少ないローカル鉄道でじっくり旅できる

ポイントラリーで各路線の魅力をアピール 

「乗り鉄たびきっぷ」では、スマートフォンアプリを使ったポイントラリーも実施している。これは、無料の「鉄たびアプリ」をインストールし、使用するきっぷの情報を入力したうえで各鉄道会社に3カ所設定された「鉄☆たびポイント」を訪れるとポイントが獲得でき、トータルの獲得ポイントによってプレゼントに応募できるというもの。「鉄☆たびポイント」には「鉄道に関連するみどころ」「歴史的なスポット」「写真映えするスポット」といったテーマがあり、各社の担当者が考案している。

「鉄☆たびポイント」付近で「チェックイン」するとポイントを獲得。こちらは遠州鉄道で保存されているED282電気機関車(青い車体)

例えば豊橋鉄道なら、1931年(昭和6年)に竣工したロマネスク様式の重厚な建物が美しい「豊橋市公会堂」、昔ながらの石畳の坂を路面電車が昇る「石畳を駆け上がる路面電車」がある。天竜浜名湖鉄道なら、前述したように木造駅舎をリノベーションし、「マリメッコ」に包まれたカフェとなった「都田駅」、国登録有形文化財の転車台や扇形車庫などが保存された「天竜二俣駅」といった具合だ。遠州鉄道のちょっとおしゃれな変電所である「小林変電所」のように、一般にはあまり知られていないスポットもあり、単なる観光地巡りとはひと味違った旅を楽しめる。獲得できるプレゼントが、現地で使える割引クーポンといった実利的なものになれば、もっと盛り上がるだろう。

豊橋鉄道市内線前畑~東田坂上間にある、全国でも珍しくなった石畳軌道も「鉄☆たびポイント」のひとつ
遠州鉄道八幡駅の小林変電所ように、知られざる鉄道スポットも「鉄☆たびポイント」になっている

少子高齢化時代を見据えた戦略か?

自社管内のローカル鉄道を結びつけ、家族三代での鉄道旅に結びつけようとする、JR東海の「乗り鉄たびきっぷ」。JR東海が、多世代旅行に注目する背景には、リニア中央新幹線と少子高齢化があると思われる。JR東海は、現在2037年度の大阪開業を目指してリニア中央新幹線を建設中だが、開業する頃には少子高齢化と労働人口の減少が一層進んでいるのは明らか。

そのような状況下で、東海道新幹線とリニア中央新幹線という2つのインフラを維持するには、交通機関として鉄道を選択してもらう必要がある。しかし、現在の東海道新幹線はビジネス層の利用が中心で、それほど急がない若者やシニア層には安価なLCCや高速バスが浸透しつつある。幼い頃から家族でバラエティ豊かな鉄道旅に親しんでもらい、当たり前のように鉄道を移動手段として選択してもらえる環境を整えていくことが重要だ。

天竜浜名湖鉄道天竜二俣駅で実施している転車台と扇形車庫の見学会。家族で鉄道の歴史も学べ、こどもたちに鉄道の魅力を感じてもらう

JRは、多彩な鉄道会社と共同で鉄道旅の魅力をアピールし、将来にわたって鉄道を選択してくれる「ファン層」を育成。私鉄・第3セクターは、JRの広報力を利用して幅広い層の誘客につなげる……。一見、鉄道ファン向けにみえる「乗り鉄たびきっぷ」には、鉄道会社のさまざまな戦略が隠されている。「乗り鉄たびきっぷ」を利用して旅をしたこどもたちが、将来、また鉄道に魅力を感じてもらうための布石ともいえるのだ。

いまだ世紀末が続く「外国人技能実習制度」

カレー沢薫の時流漂流 第13回

いまだ世紀末が続く「外国人技能実習制度」

2018.10.29

漫画家・コラムニスト カレー沢薫さんの社会派連載!

第13回は、「外国人技能実習制度」について

日立製作所笠戸事業所が、外国人技能実習制度を利用していたフィリピン人実習生20名を「とりあえず解雇」することにしたそうだ。

「解雇」とはそんなビール感覚のものだっただろうか。ちなみに、この「とりあえず解雇」は日立製作所の会長の発言である。

なぜ「とりあえず解雇」をすることになったかというと、グランドメニューをゆっくり見るためではない。実習生のビザが「働いてはダメなやつ」に変更され、このまま雇用すると違法になってしまうため、「とりあえず解雇」することにしたそうだ。このビザがワーキングビザになればすぐ復職させるという。

外国人技能実習制度の「世紀末」な状況

復職させるのは良いが、その前に何故ビザが変更になったか、である。

まず「外国人技能実習制度」というのは、Wikipediaによると『「技能実習」あるいは「研修」の在留資格で日本に在留する外国人が、報酬を伴う技能実習あるいは研修を行う制度』だ。目的は、発展途上地域が発展するための人材の育成、そして、少子高齢化で労働力不足の日本が人材を得るためでもある。

実習生は賃金をもらいながら技能を習得でき、日本企業は労働力が得られる。一見ウィンウィンな制度に見えるが、その実情は世紀末級に荒れている。今回の日立の問題ですら、雑魚キャラがジジイから種モミを奪ったぐらいの「氷山の一角」であり、もっとすごいサウザー級、ラオウ級の問題がこの制度により起こっているという。

この外国人技能実習制度で、実習生は最長3年日本に滞在することができる。しかし、今回「とりあえず解雇」される実習生はまだ1年程度しか働いていない。何故引き続き雇用ができなくなったかというと、国の監督機関「外国人技能実習機構」から、2年目以降の実習計画の認定を受けられなかったためだという。

認定を受けられないということは「技能実習」ビザではなくなるため、雇うと違法になる。よって「とりあえず解雇」となったわけだ。何故認定が受けられなかったかというと「技術習得」が名目なのに、目的の技能を学べない作業をさせている疑いがあったからだ。

つまり「それ初日から出来てたやろ」というような単純作業や、「汚い、くさい、カメムシいない?」というような、日本人がやりたがらない3K作業をさせていたかもしれないということである。ついでに、キツくて危険な仕事もさせていた可能性もある。

日立の真意はわからないが、このように「技能実習」にかこつけて、まったく技能の身につかない作業を低賃金で長時間やってくれる人材を確保しようとする企業がある、というのが、「外国人技能実習制度」の抱える大きな問題だ。ウィキペディアにも「実質的な奴隷労働制度であると批判されている」などと激しいことが書かれている。

最低賃金を割っていた、などまだカワイイ方で、賃金の未払い、異議申し立てをすれば強制帰国、さらには強制帰国を脅し文句に性暴力を働くなど、まさに世紀末の様相である。実習生となった外国人の多くは「日本は安全な国」と思って働きに来ただろうが、全然安全じゃない。少なくとも外国人労働者にとってはモヒカンジープの国だ。

中には、未払い賃金の支払いを免れるため、中国人労働者をだまして中国につれて行き、そのまま中国に置き去りにしたという事例もあるそうだ。ここまで来ると、諸外国から真面目で大人しいと思われている日本人も「なかなかやるじゃないか」という気になって来る。

しかしこの外国人技能実習制度問題は、メロス激怒必至の日本側の邪智暴虐だけが原因ではない。実習に来る外国人側も、最初から技能習得ではなく「出稼ぎ」が目的で外国人技能実習制度を利用している側面があるという。

そういう外国人にとって仕事内容は何でも良く、むしろ定められた仕事を決められた時間しか出来ないとなると、「思ったより稼げない」ということになってしまう。そのため、自ら稼げる目的外作業や、低賃金でいいから時間労働をさせて欲しいという外国人もいるそうである。

日本企業側が真面目に制度内容を守ろうとすると、逆に外国人側が「おい話と違うぞ」となってしまう、韓流ドラマ級のすれ違いが起きているケースもあるのだ。

このように、外国人技能実習制度が本当に「発展途上地域のための人材育成」に使われているかというと、疑問なところがあるのが現状だ。

コンビニの20時閉店、受け入れられる?

ちなみに、都会に行くとコンビニのレジが外国人であることも珍しくない(我が地元だと腰を抜かすレベルの「事件」)。

コンビニは今のところ「技能実習」には当たらないため、「留学」という名目で働いている人が多いという。これに関し、コンビニ業界からは「コンビニも技能が身につくから外国人技能実習制度に入れてほしい」という声が出ている。

それに対しては「人手が足りてへんだけやろ」と総ツッコミが入っているようだが、このままいくと人手不足でコンビニが20時に閉まるようになってしまうかもしれない。果たしてコンビニが20時に閉まる生活に耐えられるだろうか。思うに、そうなったら文句を言う人は多いだろう。

今まで通り、小腹が空いたからと深夜二時に菓子パンを買いに行ける生活を維持するためには、我々は外国人労働力のことを真剣を考えなければいけない。