「女性活躍」の記事

一風変わったCSRを続けるマツモトキヨシ

一風変わったCSRを続けるマツモトキヨシ

2018.05.01

企業が大きくなればなるほど、顧客や地域、従業員といった存在に社会的利益を還元しなくてはならない。そうした活動をCSR(Corporate Social Responsibility)と呼び、多くの企業が取り組んでいる。

近年は、社会的価値共有を実現するCSV(Creating Shared Value)を採り入れる企業が増えたが、これは企業の利益と社会貢献を両立するもの。自社の強みを生かしながら社会貢献をするというものだ。その意味で、純粋に社会貢献を目指すCSRとは別物といえる。

さて、このCSRで一風変わった活動を行っている企業がある。ドラッグストアチェーン最大手のマツモトキヨシだ。

実はマツモトキヨシは、創業86年の長い歴史を誇る。千葉県・松戸市に松本清により創業され、以来業績を拡大させ、現在は700を超える店舗数となった。

そのマツモトキヨシが行っているCSR活動はセルフメディケーションフォーラムというもので、4月に行われたフォーラムで25回目となる。セルフメディケーションとは、疾病したりケガをしたりした際に自分で服薬や薬の塗布を行うことだが、健康維持のために薬品を用いることも含まれる。

マツモトキヨシが推すセルフメディケーション

マツモトキヨシは特に健康維持の面でセルフメディケーションの訴求を行っている。ドラッグストアといえば、風邪を引いたときに感冒薬を購入したり、ケガをしたときに消毒薬を買ったりするイメージが強い。だが、日常で利用してもらうため、イメージ転換を図るドラッグストアがほとんどになった。その最大の成功例がマツモトキヨシといえよう。

同社が行ったCSRは「美と健康のエキスパートから学ぶ 今日から始めるワタシ磨き」というもの。自分の健康は自分で守るという、セルフメディケーションについて啓蒙活動を行うのがマツモトキヨシのねらいだ。

マツモトキヨシホールディングス 常務取締役 松本貴志氏

もちろん、単純に啓蒙活動しているわけではないだろう。セルフメディケーションが広まれば、健康維持のためにドラッグストアを利用する機会が増える。栄養剤や化粧品といった日常で使う製品を購入してもらうという意図もありそうだ。

さて、セルフメディケーションの様子をみてみよう。まず登壇したのはマツモトキヨシホールディングス 常務取締役 松本貴志氏。店頭で猿を飼っていたこと、アメ横に東京進出したことなど、同社の歴史を語った。

そしてゲストの登場となる。毎回、アスリートといった健康に見識があるゲストが招待されるが、今回はスキーノルディックの荻原次晴さんと、カーリング日本代表の両角友祐さんだった。荻原さんはいわずとしれた長野冬季五輪個人5位入賞、両角さんは近年大きく注目されているカーリングの立役者だ。その2人が、健康について語った。面白いなと思ったのは、両名とも兄弟で活躍したということ。ねらった人選なのかそれとも偶然なのかわからないが、ともに兄弟アスリートとして名をはせている。

左:スキーノルディックで活躍した荻原次晴さん。右:カーリングの両角友祐さんも参加してトークショーが行われた

メイクアップ講座も開催

BEAUTRIUM Hair & Make Up Artist イガリシノブさん

続いてプロのヘアメイクによるメイクアップのコツが疲労された。担当したのはBEAUTRIUM Hair & Make Up Artist イガリシノブさん。「WHOMEE」(フーミー)というコスメブランドをプロデュースしたことでも知られている。

ヘアメイクアーティストにアスリート、まさに美と健康をテーマにしたフォーラムにふさわしい内容だった。

印象的だったのは、会場のよみうりホールに訪れた招待客がほぼ女性だったということ。男性は関係者か筆者ぐらいのものといっても過言ではないくらいだ。やはり美と健康に対する感度は女性のほうが圧倒的に高いのだろう。

なお、このフォーラムには味の素と花王も協賛している。マツモトキヨシやそうしたメーカーの製品がお土産として用意されていた。帰りの電車のなかで、同じ紙袋を持った女性が多くいて、唯一男性で紙袋を持っていた筆者は、少し気恥ずかしかった。

左:協賛企業の製品が展示されていた。右:マツキヨのアイデア商品。ラジカセのようにみえるが、実はトイレットペーパーだ
化粧品最大手「資生堂」ならではのド派手な入社式

化粧品最大手「資生堂」ならではのド派手な入社式

2018.04.04

4月2日、新年度がスタートし、多くの企業で新卒者を社員に迎えたことだろう。それにともない、入社式を実施した企業も相当数にのぼるはずだ。

近年は売り手市場といわれるほど、企業が人を集めている。言い換えると、求人活動を行っても人が集まりにくい状況にある。そんななか、700名以上の新入社員を確保し、ド派手な入社式を行った企業がある。化粧品最大手の資生堂だ。

資生堂といえば、常に就活生からの人気が高い企業だ。「マイナビ2019」の文系総合ランキングでは11位だが、女子からの人気が高く、文系女子では第4位、理系女子では1位という結果となっている。化粧品をメインに扱っていることを考えれば、女子学生からの人気が高いことは至極当然だろう。

そんな資生堂が入社式を行った。一般的に入社式のような社内行事にメディアが呼ばれることはあまりないのだが、2年続けて入社式に招待されたので、今年の様子をレポートしよう。会場となったのは、舞浜アンフィシアター。2,100以上もの客席と、客席との一体感を演出できる舞台を備えたシアターだ。ちなみに昨年も500人以上の新入社員を迎え、この場所で入社式が行われた。

舞浜アンファーシアターのステージ。空いている客席は、これから新入社員が座るところだ

入社式会場は、新入社員の熱気であふれていた。何しろ700名以上が集り、入場するために長蛇の列ができていた。その列を横目で見ながら会場に入ると、すでに多くの方々が入場していたが、彼らは新入社員ではなく、先輩社員だということだ。グループ連結で約46,000人を数える資生堂だが、これから同僚となる社員の入社を祝おうという社員が1,000人以上も集まったというから、同社の社風が伝わってくる。

入社式は新入社員の入場から始まった。この際、代表取締役 執行役員社長 兼 CEO 魚谷雅彦氏が通路に立ち、一人一人とハイタッチしていく。何しろ700人以上とのハイタッチだ。魚谷社長は手のひらが痛くなったであろうが、新入社員にとっては、いきなりトップとのコミュニケーションだ。この瞬間を心に刻んだに違いない。

その後、舞台に立った魚谷社長からプレゼンテーションとなった。それによると、資生堂は業績を拡大させ、2017年はついに1兆円超の売り上げになったという。さらに2020年までには1兆2,000億円の売り上げを目指すとした。そのための成長戦略として「ブランド事業のさらなる選択と集中」「デジタライゼーションの加速・新事業開発」「イノベーションによる新価値創造」「世界で勝つ、人材・組織の強化:“PEOPLE FIRST”」「グローバル経営体制のさらなる進化」の5本を進めていくという。

左:続々と入場してくる新入社員。右:新入社員とハイタッチを交わす魚谷社長

グローバル戦略に注力する資生堂

プレゼンを行う魚谷社長

なかでも力がこもっているなと思ったのがグローバルに対する姿勢だ。まずはアジアで「Made in Japan」のコスメティクス・パーソナルケアブランドとしての地位を築き、2030年に向けて、資生堂を世界で最も信頼される会社にしていきたい考えだ。

今回、入社式に参加した新入社員にもその意識が見て取れた。というのも、魚谷社長はプレゼン中に、「グローバルな舞台で戦ってみたい方は?」という問いかけをしたところ、新入社員の4割ぐらいが挙手をした。グローバルで活躍したいという、新入社員の熱気が伝わってきた。

その後、ますますド派手さが増していく。まずステージの真ん中がせり上がり、和太鼓が登場。そしてフラッグセレモニーが和太鼓を中心に展開された。こじつけかもしれないが、和太鼓が日本、そしてフラッグがグローバルを表しているのかもしれない。和太鼓を中心にフラッグが取り囲む様は、Made in Japanをグローバルに広げるという表現のように思えた。

ステージから和太鼓がせりあがり、フラッグセレモニーが囲んだ

資生堂のCMに出演するモデルも登場

会場の熱気が最高潮に達したのは、資生堂のCMを務めるモデルらが登場したとき。「マキアージュ」のCMに出演する白石麻衣さん、「エリクシール ルフレ」のCMに出演する吉岡里帆さん、「シーブリーズ」のCMに出演する中川大志さんがそろって姿を見せると、会場からはひときわ高い歓声が上がった。

そして、新入社員全員が一人5秒という短い時間ながら、抱負を語っていく。スラスラと語る方もいれば、緊張を隠し切れていない方もいて、初々しさを感じた。

左:資生堂のCMに出演するモデル。右:一人5秒ずつで抱負を語る

さて、資生堂がこれほど派手な入社式を行った理由を考えてみた。もちろん、新入社員の士気高揚というのが第一義だろうが、「よい企業」という印象を新入社員に植え付ける意味もあったと思う。前述したとおり、人手不足が深刻になりつつある。屈指の人気企業である資生堂ならば今後も就活生が集まるだろうが、入社式の様子を大学OB・OGから話を聞いた学生は、より一層、資生堂に興味を持つのではないか。

キャンプの要素をオフィスに導入し新鮮なビジネスを!

キャンプの要素をオフィスに導入し新鮮なビジネスを!

2018.02.09

近年、働き方改革に取り組む企業が急増している。その裏には過度な労働時間、硬直した人間関係、企業による内部留保による労働条件の悪化などといった“負の要素”がある。こうした労働環境を見直す意味で改革に取り組んでいる企業も多い。

働き方改革は、当初は「ノー残業デー」や「勤務時間の時短」、「リフレッシュ休暇」などの考え方が主流だった。それが、少しずつ姿を変えてきている。

働きやすいオフィス空間を庭球する企業が増加

たとえばオフィス空間。高度経済成長期からバブル期にかけては、島形にデスクをレイアウトし、その端に上長の席があるというスタイルだった。それプラス、小分けにした会議室や打ち合わせルームを併設させ、ミーティングをそうした空間で行うというのが、現在まで続く主流のオフィスだ。

ただ、ここにきて、少しずつ変革の波が押し寄せている。その最たる例がABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)だろう。これは、自分のデスクや席を用意されながら、集中したいときはコワーキングスペース、軽く雑談したいときはスタンディングテーブルといったように、自由に働き場を選べるオフィス。米グーグルで導入されていることで知れわたってきた。コクヨといったオフィス什器のメーカーも推奨している。

さらに面白いのは、「キャンピングオフィス」という取り組みが少しずつ浸透してきていること。2017年の秋、川崎市や東急電鉄、スノーピークビジネスソリューションズが中心となって多摩川の河川敷にテントを設営し、流域の企業がそこで打ち合わせなどを行うという試みを取材した。まだ、実証実験という段階だったが、テント内で打ち合わせなどを行った参加企業からの評判は上々だった。

上段:会場に設営されたテント。ファミリー向けでかなり広い。下段:シッティング・クッションは折りたたみ式。テント内には乾電池式ランタンが吊されていた

そしてこの取り組みはさらなる広がりをみせる。2018年1月下旬、都内某所で「オフィスキャンパーズ」のイベントが開催された。このオフィスキャンパーズは、オフィス内外のアウトドア化をサービスとして法人企業に提供し、働き方改革を推進するというもの。

同イベントはロフトワーク、WORK MILL(岡村製作所)、そしてスノーピークビジネスソリューションズが中心となった。なお今回、東急電鉄は参加していないが、きっと意識しているにちがいない。

同イベントでは、オフィスフロア内にファミリー向けの大型のテントを設営し、そこでの居住性や快適性を体験するという会になっていた。徹底していると感じたのは、テントだけでなくテーブルやディレクターチェア、ベンチシートなど、すべてアウトドア向けの製品になっていたこと。フロアには人工芝のカーペットが敷かれ、オフィスの中なのにキャンプ場の雰囲気が強く漂っている。当然、普段オフィスで使っているチェアと異なり、リラックスした姿勢で座れる。

薪が置かれたテーブル。もちろんオフィス内では着火はできないが、雰囲気が増す。リラックスできるディレクターチェア

そしてテント内。テーブルの周囲にはシッティング・クッション(座布団)が置かれ、脚を崩して座ることができる。テントのルーフには乾電池式ランタンが吊されている徹底ぶりだ。

BCP対策にも一役買う

このテント内に入ってみて気づいた点がいくつかある。まず、前述したように脚を崩して座れるので、リラックスした姿勢がとれること。そして、この表現でいいのか疑問は残るが「ひざ詰め」で話ができ相手の表情も読み取りやすい距離となる。会議室の広い机の一番端に上長が座りにらみをきかせ、発言しづらいという重々しさは低減されそうだ。事実、多摩川での実験の際、参加企業のいくつかに話をうかがったが、「普段、無口な社員が饒舌になった」という意見も聞こえてきた。

BCP(事業継続計画)の観点からも役に立ちそうだ。重大な災害が起きた際は速やかに避難・帰宅するのは当たり前だが、短時間で復旧が見込めそうな停電、エレベーターの故障時など、一時避難的にテントを活用できる。公共交通に異常が生じた際、帰宅困難者に備蓄した食料を配布するベースとしても有用だろう。

とにかく、これまでのオフィスにはない開放感があるのは確かだ。キャンピングオフィスはまだ始まったばかりの取り組みだが、今後どのように広がりをみせるか注目したい。