「働き方改革」の記事

プラズマ乳酸菌で労働生産性が向上!? ヤフーとキリンが共同発表

プラズマ乳酸菌で労働生産性が向上!? ヤフーとキリンが共同発表

2018.11.16

キリンとヤフーが共同で健康経営に関する研究を実施

プラズマ乳酸菌の摂取が免疫細胞の司令塔を活性化させることを確認

免疫力アップが労働生産性の向上につながることも導き出した

キリンとヤフーは11月15日に、キリングループの研究している「Lactococcus lactis strain Plasma(プラズマ乳酸菌)」について、共同で実施した研究結果を発表した。

研究結果は、「プラズマ乳酸菌を摂取すると、労働パフォーマンスの指標が向上する」というものだ。いったいどういうことなのだろう。

プラズマ乳酸菌が活性化させるのは免疫細胞の司令塔

そもそもプラズマ乳酸菌とは何か。乳酸菌はヨーグルトなどに入っているイメージだが、プラズマとは違う物質なのだろうか。キリン社によると、プラズマ乳酸菌とは免疫細胞の司令塔を活性化する唯一の乳酸菌だという。

どうやら免疫細胞には命令系統のようなものが存在し、司令塔を活性化させることに成功すれば、司令塔の命令を受けるすべての免疫細胞が活性化されるのだという。

ただし、一般的な乳酸菌が活性化できるのは、命令系統下位の細胞のみ。そのため効果も限られる。それに対して今回研究結果を発表した、プラズマ乳酸菌は免疫細胞の司令塔である「プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)」を活性化することができるため、免疫細胞全体を活性化することができるという。

そんなプラズマ乳酸菌が労働パフォーマンスとどう関係があるのか。次は、今回の研究で行われた試験内容を見てみよう。

一般的な乳酸菌とプラズマ乳酸菌の違い

元気な体が、低労働生産性の「プレゼンティーズム」を回避

今回の試験は、ヤフー社員226名を対象として行われた。プラズマ乳酸菌1000億個含むヨーグルトを4週間摂取し、体調、気分、労働生産性に関するアンケート評価を実施。その結果、非摂取の状態と比較すると、プラズマ乳酸菌を摂取している状態のほうが、活気があり、体調も良好だと感じている人が多かった。

また、「風邪気味で頭がボーっとする」「下痢で何度もトイレに行く」といった、出勤しているが心身の健康上の問題によって十分なパフォーマンスを発揮できていない状態を「プレゼンティーズム」と呼ぶが、今回の試験によって、このプレゼンティーズムの状態が軽減され、労働生産性が向上したことを確認できたという。

つまり、プラズマ乳酸菌を毎日摂取することで、生体内の免疫が活性化し、体調がよくなり、プレゼンティーズムを改善して労働生産性が向上することがわかったのだ。

簡単に言うと、プラズマ乳酸菌を摂取して元気な状態で仕事をすれば、高いパフォーマンスを発揮できるということである。

プラズマ乳酸菌の摂取によってプレゼンティーズムが改善するという結果が得られた

キリン 代表取締役社長の磯崎功典氏は「従業員とその家族が健康であることは、社会にとってプラスの価値を生みます。健康寿命が延びることによる労働力の確保、ひいては、経済の活性化にもつながると考えました。その結果、従業員は考える時間やチャレンジする時間を持てるようになり、仕事のパフォーマンス向上や、イノベーションの実現につながっていくでしょう」と、キリンが健康経営に力を入れる理由を説明した。

キリン 代表取締役社長の磯崎功典氏

同社が乳酸菌事業に参入してから1年。すでに、初年度の売上額は、目標の1.5倍の額にあたる55億円に達しているが、さらに拡大していき、3年後には2.7倍の150億円を目指す。

たしかに筆者自身も、プレゼンティーズム状態だと感じることはしばしばある。疲労だけでなくオフィス内の騒音なども、仕事に集中できない原因の1つだと思われるが、はたして、そのようなメンタル面のプレゼンティーズムも改善されるのだろうか。実際にプラズマ乳酸菌を飲んで、試してみたいところだ。

新卒採用 2019年卒も「売り手市場」が鮮明に

新卒採用 2019年卒も「売り手市場」が鮮明に

2018.11.09

2019年卒も新卒採用は売り手市場に

若年人口の減少と団塊引退、外国人材にも課題

企業の採用環境は来年以降も厳しさ続く

人手不足が深刻な社会問題となっているなか、2019年新卒の就職活動でも、企業の採用需要に対して働き手が不足する「売り手市場」が続いていることがわかった。

人材サービスのマイナビが、2019年卒の新卒内定状況について、国内企業3,013社に今年9月~10月の期間で調査を行ったところ、企業が獲得できている内定者数を募集人員で割った「採用充足率」は84.4%と低迷。100人の募集に対し、およそ84人が集まったという数値で、ここ10年で最低だった昨年の83%には及ばないものの、今年も企業にとって厳しい状況であることが鮮明になった。

業種別で見ると「ソフトウエア・通信」業界の採用充足率が77.3%と特に低く、技術系人材や成長産業への手当てが充分ではない可能性が見え隠れする。また、上場企業の充足率が95.9%であるのに対し、非上場企業では76.5%と20ポイント近い差が出ており、非上場企業が特に厳しい状況にある。

調査時点で6割近い企業が「今後も採用を継続する」と回答しているが、既に次年度も売り手市場は継続するという見方が大勢を占めている。母数としての新卒者の減少という人口構造の問題も重くのしかかる。国の調べでは平成30年時点の20~24歳人口は約630万人だが、次世代に控える15~19歳人口は600万人を下回る591万人で、その後も世代人口は減り続ける。さらに、世代人口が937万人で最大の65~69歳は働き手からの引退が進んでいる。

外国人材の活用も議論になっているが、マイナビの調査では、2019年卒で外国人留学生を採用した企業は約1割だった。採用が進まない理由は「日本語能力(24.7%)」や「ビザなどの手続きが困難(14.6%)」よりも、「外国人が活躍できる環境が整っていない(43.2%)」や「現場の受け入れ体制が整っていない(43.8%)」といった、企業の内部要因が大きかったようだ。ただ、2020年卒では10.7%の企業が外国人留学生の採用を予定し、検討中の企業も28.8%と増加する見通しだ。

こういった厳しい採用環境へ備えるため、企業側は新卒採用におけるインターンシップや面接のスケジュールをさらに早める傾向を見せている。マイナビは、「就職戦線は今、学生が受験する企業を絞る『厳選就活』の時代。企業は学生へ魅力を伝え、深いコミュニケーションを築く採用施策が必要になる」と、今後の企業側の施策について指摘している。

ユニクロが全世界の倉庫を「自動化」 第一号は有明から

ユニクロが全世界の倉庫を「自動化」 第一号は有明から

2018.10.10

ユニクロ、有明の物流倉庫の自動化を公開

ダイフクと提携し海外拠点でも同様に自動化を展開

倉庫の自動化は全社的な改革の一環、と柳井氏

ユニクロなどを展開するファーストリテイリングと、物流システム・機器の大手企業ダイフクが戦略的なグローバルパートナーシップの構築に関して、「中長期的・包括的な物流に関するパートナーシップ合意書」を締結したと発表した。

10月9日、両社の代表者が出席のもと、記者発表会を開き、東京・有明にある物流倉庫に導入された、2社が共同で取り組みを進める最新鋭の自動化設備を公開した。

物流分野における戦略的グローバルパートナーシップを発表し握手を交わす、ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏(中央左)とダイフク代表取締役社長の下代博氏(中央右)。発表会では、ファーストリテイリング グループ執行役員 神保拓也氏(左端)、ダイフク 執行役員 権藤卓也氏(右端)も出席した

ファーストリテイリングと手を組むダイフクは、大阪市に本社を置く1937年設立の企業。"マテリアルハンドリング(マテハン)"と呼ばれる、物流における保管・搬送・仕分けを効率的に行うためのシステム製造業界では、世界トップラスに位置づけられる。

グローバル展開の拡大を企業戦略に掲げる2社がタッグを組み、有明の物流拠点の自動化システムを皮切りに、先進的な物流システムを構築し、国内外への拡大を図る。

自動化の陰には「物流の混乱」

今回のプロジェクトを指揮する、ファーストリテイリングのグループ執行役員・神保拓也氏は、ダイフク社とのパートナーシップ締結の背景には、2015年に同社内で起きた「ユニクロ物流の大混乱」があると語った。

2015年当時、物流はパートナーに丸投げしていたことから現場は混乱、配送遅延なども起こっていたという

「当時、物流パートナーに業務を丸投げしていたため、実際に現場で何が起きているのかを把握できていなかった。物流の混乱を物流部だけで解決しようとしていて、物流のあるべき全体像や戦略を考えることができていなかった」と神保氏。

そこで、物流部を解体し、企画・計画・精算・物流・販売などサプライチェーンに関わる人材から成る「グローバルサプライチェーンマネジメント部」を発足するなど、翌2016年9月から物流システムの改革に向けた取り組みを開始した。

ユニクロの物流改革の概要図

たとえば、ユニクロの人気商品であるヒートテックに関して、実売される時期は秋口であるのに、春先に生産されてすぐ大量入庫されてしまい、半年近く休眠在庫が発生してしまう問題が発覚した。こうした課題の抽出から物流パートナーとの信頼関係を再構築し、問題解決に努めた。

しかし、人件費の高騰や集人難、教育コストなどの理由から人海戦術的な手法では限界が見えることから、「遅きに失する」という考えのもと、抜本的な改革に着手するに至ったと説明した。

RFIDで検品、「モノがヒトに向かってくる」ピッキング

その結果、たどり着いたのが"世界最先端技術を用いた進化し続ける超省人化アパレル倉庫"で、最初に具現化されたのが今回報道陣に公開された有明倉庫だ。この倉庫は2017年から稼働している同社のオフィス「UNIQLO CITY TOKYO」と同じ建屋にあり、ECで注文された商品の保管から発送までを担っている。

ユニクロ有明倉庫の自動化システムの概要

ダイフク社との取り組みは、2016年12月に遡る。当初、有明倉庫の自動化は同社が過去手掛けた中でも世界最大級の規模。常識から考えると3年の工期がかかると言われており、「オリンピックまでに間に合えば」という目標を掲げていたが、実際にはわずか1年半で完成。今春に1時稼働が開始され、10月からフル稼働に入ったという。

有明倉庫は、延床面積11.2万㎡の6階建ての建物内の1~3階にあり、まずは1階部分で自動で荷物の積み下ろしを行った後、3階にベルトコンベアーで運ばれて、RFIDタグによる自動検品を経て、自動で保管倉庫に格納される。

有明倉庫の3階部分にある、自動検品エリア。コンテナ内の商品は1点1点RFIDタグが取り付けられ、自動検品機を通過してチェックが行われる

人手を必要とせず、天井の空間にまで商品を保管ができるため、保管効率は従来の3倍に向上した。出庫に関しても自動かつ迅速に行われ、唯一人手で行われるその後のピッキング工程では、商品が作業者の手前に運ばれる仕組み。そのため、既存のピッキングのように倉庫内を歩き回ることなく、一歩も動かずに作業が行える。

その後の梱包作業も、配送用の箱の組み立てから封函まで全自動。しかも内容量に合わせて配送箱の高さを調整して封函される仕組みのため、配送時の積荷容積を抑えることができる。

梱包された商品はそのまま配送先の方面別に自動で仕分けされるため、荷積みのために待機する配送業者の仕分け作業の手間も省く。物流システム内の移動に使われた商品コンテナまでもが最後に自動で折り畳まれる仕組みだ。

3階部分の自動保管倉庫。自動で格納や出庫が行われるため、人の手が届かなかった天井近くにまで保管が可能になり、これまで以上に空間を有効活用ができる

今回の自動化システムによる省人化率は90%、教育コストも80%削減。入庫時の生産性は80倍、出庫時の生産性は19倍に向上。ほぼ機械が自動的に行うため24時間稼働が可能になり、稼働開始からおよそ半年間でのRFIDによる自動検品のエラーや漏れは1件もなく、精度は100%とのこと。従来は8~15時間ほどかかっていたオーダーから出荷までの時間は最速15分、遅くとも1時間以内には出荷が可能になったという。

倉庫を自動化したことによって得られた効率化を数字で示した

記者会見では、今回の自動化システムの投資額は明かされなかったが、1つの物流センターあたりの投資額は10億~100億円、全世界では1000億円規模にのぼるとのこと。

ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏は、「ダイフクさんは日本初の自動車生産ラインの製造事業者として23の国と地域に拠点を持ち、自動車業界とともに世界へ進出した企業。今度はユニクロと手を組み、世界最先端・最大級の自動倉庫で世界へ」と語り、2~3年以内に全世界の全拠点における倉庫の自動化を目指す意向を明かした。

物流システムの改革・改善は、顧客へのサービス向上のみならず、従業員やアパレル業界の働き方改革、配送業界などECに関連する周辺業界の業務改善など社会貢献の一環でもあると意向を明かした、ファーストリテイリング会長兼社長の柳井氏

なお、既に中国、タイ、オーストラリア、アメリカ西海岸・東海岸の拠点にはダイフク社の専門家チームが入り、自動化に着手しているとのこと。また、今回公開されたシステムに留まらず、さらなる自動化を目指してロボット開発ベンチャー企業とも話を進めていると明かした。そして、今回の物流倉庫の自動化は、アパレルサプライチェーンとして、働き方改革なども含めたすべての改革につながる、会社全体での取り組みの一環だと説明した。