「中国」の記事

渦中のファーウェイ、2019年も快進撃は続くのか

渦中のファーウェイ、2019年も快進撃は続くのか

2019.01.08

米中対立、CFOの逮捕、……ファーウェイはどうなってしまうのか

中国への漠然とした不安、日本市場での立ち回りは?

「分離プラン」の後押しもあり、コスパ競争では有利になりそう

破竹の勢いで成長を続けるファーウェイが、正念場を迎えている。2018年には、米中対立が深まる中、カナダでのCFOの逮捕や米国などにおける政府調達からの排除が連日報じられ、世界的な注目を浴びた。

ファーウェイの最新スマホ「HUAWEI Mate 20 Pro」

日本市場でファーウェイは、ソフトバンク向けの基地局に加え、スマートフォンやタブレットといった各種端末を展開しており、シェアを拡大している。果たして2019年はどうなるのだろうか。

日本市場に大きく食い込んだファーウェイ

世界のスマホ市場でファーウェイは、2018年第2・第3四半期にアップルの出荷台数を抜き、シェア2位に浮上。12月25日には年間出荷台数が2億台を超えたことを発表するなど快進撃を続けており、トップシェアのサムスン電子の背中が見えてきた格好だ。

国内ではSIMフリー市場でシェア1位を維持しており、大手キャリアを含めたスマホ市場全体では5位(MM総研調べ、2018年度上期)にランクインした。秋葉原に続き、梅田にもヨドバシカメラ店舗内のショップをオープンするなど、着実に存在感を高めている。

ショップ展開も拡大

ファーウェイが急速にシェアを伸ばしている背景には、端末のコスパの良さがある。価格が安いだけの製品なら悪評が広まってすぐに売れなくなるが、ファーウェイ製品は実際に購入したユーザーからの評価が高い。コストにシビアなMVNOからも品質の高さや故障率の低さが評価され、採用が相次いでいる。

さらにファーウェイは、国内大手キャリア向けにモバイルWi-Fiルーターやタブレットなどの端末を納入してきた実績がある。2018年には最上位スマホの「HUAWEI P20 Pro」をNTTドコモが、「HUAWEI Mate 20 Pro」をソフトバンクが採用したことで大きな話題になった。

「Mate 20 Pro」はソフトバンクから1月11日に発売予定

日本の消費者を相手にする国内大手キャリアは、品質への要求が非常に高いことで知られている。日本で採用されたという実績はファーウェイのブランドイメージ向上を後押しし、海外展開にプラスに働いている面もあるようだ。

だが、一連の報道ではファーウェイの名前が連呼されたことで、ファーウェイを知らない消費者にも知名度が上がった一方、中国への不信感と同様の感情をファーウェイにも抱いた人が少なくないと思われる。これが2019年にどう影響するのだろうか。

基地局インフラからは除外も、端末販売は継続か

2018年12月19日に開かれたソフトバンクの上場会見では、ファーウェイ製の「基地局」と「スマホ」の扱いについて、CTOの宮川潤一氏が説明。基地局については政府方針に従って置き換えを検討するものの、スマホについては「『消費者が選択できることもあり、政府は言及するつもりはない』と聞いている」と語った。

ソフトバンクCTOの宮川潤一氏

基地局について宮川氏は、「技術が良くて、価格も安い。使いたいのはやまやまだが、日本政府の方針に従う」と、技術者ならではの本音を漏らす場面もあった。業界内でもこうした声は多く、安い、速い、サポートが手厚いといった理由でファーウェイを評価する向きは多い。

一方、スマホについては利用規約においてユーザー情報収集をしているとの説明があり、不安の声が上がった。だが、これは他のスマホメーカーと大差ないもので、ユーザーの同意に基づき製品の機能改善やバグ修正に必要な範囲にとどまっているという。

一連の騒動を受け、ファーウェイ・ジャパンは日本市場向けにメッセージを打ち出しており、東日本大震災における復旧への取り組みや、日本企業から6700億円の部品を調達していることなどを訴えている。中国に漠然とした不安を覚える人が増えた一方で、ファーウェイには信頼感を持った人も多いようだ。

2019年のモバイル市場では、端末と回線の分離が焦点となり、スマホ本体を値引きする端末購入補助が問題視される確率が高い。その結果、iPhoneのニーズは底堅い一方、高価格帯の国産スマホは大きく苦戦する可能性が指摘されている。

端末購入補助がなくなると、スマホ本体はコスパ重視の競争になる可能性があることから、ファーウェイで日本国内のデバイス事業を統括する呉波氏は、「端末メーカーが同じスタートラインに立てる」と予測。コスパ競争ならファーウェイが有利になるとの含みを持たせた。

ファーウェイデバイス 日本・韓国リージョンプレジデントの呉波氏

2019年10月には、楽天が自前でインフラを整備する通信キャリア事業に参入する。楽天はファーウェイなど中国メーカーの基地局は採用しないと説明しているものの、スマホについてはかつてファーウェイ製品を独占販売し、成功させた実績がある。楽天とファーウェイのタッグが再び実現するかどうかも2019年の見どころになりそうだ。

アップルのiPhone売上予測下方修正がなぜ世界経済に影響を与えるのか

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第29回

アップルのiPhone売上予測下方修正がなぜ世界経済に影響を与えるのか

2019.01.07

年明けの株式市場で波乱、原因はiPhoneの不振?

iPhone変調が米中貿易摩擦の象徴として関心に

米アップルに部品供給する日本企業への影響を懸念

2019年に入った直後から、アップルが売上予測の下方修正することを発表したことが、世界経済に大きな打撃を与えている。その要因として主に中国でiPhoneの売上が減少したことが挙げられているが、なぜiPhoneの売上が落ちることが、ここまで世界経済に影響を与えることになるのだろうか。

年明け早々iPhoneの販売不振が注目

2019年の年明け早々となる1月2日、米アップルが売上予測を下方修正すると発表したことが、世界経済に非常に大きな影響を与えている。実際、米株式市場が大幅な株安となっただけでなく、日本でも、1月4日の東京証券取引所における日経平均株価が一時700円を超す下げ幅を記録。いち企業の業績が、世界的かつ多方面に影響を与えていることが分かるだろう。

各種報道によると、アップルの業績が悪化した要因はiPhoneの販売が振るわなかったためであり、特に中国や香港、台湾などを含む大中華圏で、iPhoneの販売不振が大きく影響したとされている。中国での販売が不振となった大きな要因の1つは、ファーウェイなどの地場メーカーにシェアを奪われていることがある。

だがもう1つ、やはり米中摩擦の影響も少なからずあると考えられよう。現在米国を中心として、ファーウェイなど中国企業の通信機器を政府調達から排除しようという動きが広まっているが、これに反発する形で、米国製品の象徴であるiPhoneが中国で買い控えられた可能性も考えられる。

ファーウェイなど中国の通信企業を巡る米国側の措置が、中国側の反発を招きiPhoneの販売に影響した可能性もある

だがiPhoneの販売不振は、中国だけとは限らない様子だ。実際国内でも、iPhone新機種の販売が好調とは言えない様子を示す出来事が起きていた。それは「iPhone XR」において、発売されて間もない2018年11月中旬頃に、NTTドコモが早くも値下げを実施したことだ。

新iPhoneの中でも、数が出そうな低価格モデルとなるiPhone XRの販売が特に不振だといわれている。そして、国内でアップル製品が販売から早々に値引き販売されるケースは稀だ。それだけにこの値下げが、iPhoneの不振を象徴する動きとして関心を集めているのだ。

新iPhoneの中でも、最も低価格なモデルとして販売拡大が期待されていた「iPhone XR」だが、早々に値下げ販売がなされるなど販売不振との見方が広がっている

例年の傾向から考えると、2017年に新機軸のiPhoneである「iPhone X」が登場していることから、2018年はそのブラッシュアップを進める一方で、インパクトのある機種が登場しにくい端境期であった。それだけに2017年よりも販売の伸びが弱まる可能性は十分考えられたのだが、実際の販売状況はそれ以上に深刻だったということなのだろう。

米中経済だけでなく部品メーカーへの影響も懸念

しかしなぜ、iPhoneの販売不振でアップルが売上を落とすことが、世界経済にまで大きな影響を及ぼすことになるのだろうか。最も大きな要因はやはり、ここ最近顕著になりつつあった米中の摩擦による景気の悪化を象徴する出来事であったからだろう。

iPhoneは米国企業の製品だが、製造は主に中国の工場が担っているし、販売も中国向けが約2割を占めると言われている。そうした共依存関係にある両国の関係が悪化すれば、iPhoneだけにとどまらず、あらゆる製品の販売や生産など、さまざまな面で悪影響が起き、景気減衰を招く可能性があるわけだ。

だがもう1つ、特に日本の経済を考える上で無視できないのが、iPhoneの販売不振がアップルだけでなく、iPhoneのサプライチェーンを構成する多くの企業にも悪影響を与えることである。

アップルは製品の設計は自社でしているものの、それを作るための部品や、工場などを持っている訳ではない。そのため部品の調達や製造、物流など多くの部分を外部の企業に委託している。しかもアップルは世界トップクラスの販売数を誇る企業であるし、ライバル他社と比べモデル数が少ないことから、部品1つ当たりの調達量、そして生産数も非常に多い。

それゆえiPhoneに関わる企業にとって、アップルとの取引は売上の多くを占めることにもつながっており、iPhoneの販売拡大とともに業績を伸ばしてきた企業も少なくない。それは一方で、iPhoneの販売が落ち込めば自社の売上が大きく落ち込むことも意味している。実際に今回のiPhone販売の売上下方修正を受ける形で、アップルに部品を提供したり、iPhoneを製造したりする企業の株価も軒並み急落している。

とりわけ影響を受けやすいのが、iPhoneを生産する中国に近く、アップルとの取引が多い東アジアのハイテク関連企業である。日本国内にもiPhone向けの電子部品をアップルに供給している企業が非常に多いことから、iPhoneの販売減少が日本経済全体にダメージを与える可能性が懸念されているのだ。

成長を続ける中国ファーウェイ、快進撃を支えるのは日本的品質の高さ?

成長を続ける中国ファーウェイ、快進撃を支えるのは日本的品質の高さ?

2018.12.04

中国ファーウェイが高級スマートフォンの新型を日本投入

コストパフォーマンスではなく、技術力・高品質にシフト

世界で急成長、日本市場でもアップルの牙城に挑戦へ

11月30日、中国ファーウェイの最新型スマートフォン「HUAWEI Mate 20 Pro」が日本市場に向けて発売された。それに先立つ28日にはメディア向けの発表会も行われたが、受付に長蛇の列ができるほど多くの記者が訪れていた。会場は結婚式場として有名な白銀台の八芳園。庭園の一部を貸し切って、実際にMate 20 Proを使った体験撮影会が行われるなど、同社日本法人のファーウェイ・ジャパンも力が入っていた。

Mate 20 Proの発表会にて。左から、安田美沙子さん、呉波さん(ファーウェイデバイス 日本・韓国リージョン プレジデント)、皆藤愛子さん

これほどの注目を集めるのも無理からぬところではないか。2018年、ファーウェイのスマートフォン端末はグローバル市場、日本市場とも躍進を続けている。

・世界2位 世界スマートフォン市場 2018年第2・第3四半期
・日本1位 日本スマートフォン市場アンドロイド部門6~10月期(BCN調べ、キャリア・SIMフリーの類型)
・日本1位 日本スマートフォン市場前年同期比成長率(MM総研調べ、上位5社を対象にキャリア・SIMフリーの類型)

発表会の冒頭、ファーウェイデバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波氏は、胸を張りつつ、この輝かしい数字を発表した。

アップル、サムスンの牙城を崩した中国スマートフォン

世界のスマートフォン市場ではファーウェイをはじめ、中国勢の快進撃が続いている。出荷台数上位10社のうち7社は中国企業だ。しかし、これまでは1位サムスン、2位アップルの二強は地位を守り続けてきた。今年、四半期ベースとはいえ、ファーウェイがアップルを抜き、2位となったことは“事件”と言える。2019年には年間ベースでも2位になる可能性が高い。

日本市場での成長はそれ以上の勢いだ。2017年はトップ5にすら入っていなかったにもかかわらず、今年はアップルに次ぐ存在感を示している。その原動力となったのがキャリア携帯の発売だ。ファーウェイは2017年時点でSIMフリー市場ではトップの座についていたが、携帯電話市場全体に占めるSIMフリーの比率は10%弱に過ぎない。飛躍のためにはキャリア携帯に採用されることが不可欠だった。

そして今年、ドコモがP20 Pro、ソフトバンクがMate 10 Pro、auがP20 liteとファーウェイ携帯を採用。これによりファーウェイは日本市場でも飛躍的に成長した。今回発表されたMate 20 Proは、その状況下におけるファーウェイの最新フラッグシップモデルだけに、注目を集めたのだ。

同機種は海外では一足先に販売されている。10月26日に発売となった中国では、予約開始からわずか8秒で1億元(約16億3,000万円)の売り上げを記録したという。ファーウェイのコンシューマー向け端末事業グループを率いる余承東氏は、中国メディアの取材に対し、Mate 20シリーズの出荷台数は2,000万台を超え過去最高を狙っていると話している。

コストパフォーマンスから技術力・高品質にシフト

ファーウェイの勢いを支えるのは技術力の高さだ。同社の基本方針を定めた「ファーウェイ基本法」では売上高の10%以上を研究開発投資にあてると規定していて、2017年は売上高の14.9%に相当する896億9,000万元(約1兆4,600億円)を拠出した。米コンサルティング企業Strategy&が出している企業研究開発費ランキング「Global Innovation 1000 study」を参考にすると、ファーウェイは非上場企業のためリストに掲載されていないが、2017年実績はインテルを上回り、マイクロソフトに次ぐ6位に相当する。ファーウェイの研究開発費はコンシューマーデバイスだけではなく、通信基地局設備や企業向け製品をも含んだものではあるが、アップルを上回る資金を開発に投じていることになる。

中国企業のスマートフォンはコストパフォーマンスが売りだが、その一方で初期不良率や故障率の高さなど品質面にはまだ課題も残る。ファーウェイはその弱点を、故障しても速やかに交換するといった割り切りで乗りきってきた。筆者にも印象深い実体験がある。中国の通販でスマートフォンを購入した時のこと、箱から出して携帯を手に取ると、カラコロと音がする。中の部品が固定されていないという、なんともお粗末な初期不良だ。クレームの電話を入れると、向こうも慣れた様子ですぐに対応してくれ、翌日には代わりの製品が届けられた。とんでもない初期不良という残念さと、急速なリカバリーとの双方を見せつけられた。

この「中国あるあるエピソード」だが、ことファーウェイは初期不良率が低いとの印象がある。現時点で初期不良率などのデータが出回っているわけではないが、クオリティ的に安心できるというイメージは確実にひろがっており、他の中国企業と比べればやや高い金額でも売れる要因となっているとみられる。

筆者は今年4月、広東省東莞市松山湖近隣にあるファーウェイのスマートフォン製造工場を訪問した。完璧に整理され高度に自動化された生産ラインもさることながら、それ以上に印象的だったのは壁に張り出されたQCサークルの活動報告だ。部品の置く位置を変える、棚の高さを変えるといった、ラインで働く作業員からの提案を取りあげ、現場の改善を進める活動だが、これまでの中国では見たことがない、まるで日本の工場のようなレベルで徹底されていた。毎月、日本から専門家を招き、QCサークルを含めた現場の改善の指導を仰いでいるという。

また余承東氏は2016年に日本メディアの取材に答え、同社のハイエンド・スマートフォンの部品は50~60%が日本企業から調達したものだとも明かしている。コストパフォーマンスは高いが荒さが目立つ中国流に対し、ファーウェイは日本的な品質の高さが売りというわけだ。

日本市場でもアップル対抗の急先鋒に?

今回発表されたMate 20 Proはそのファーウェイの集大成だ。前世代から75%ものパフォーマンス向上を果たした新型SoC「Kirin 980」が搭載されたほか、スマートフォンから他のデバイスに充電できるワイヤレス充電というユニークな機能も搭載した。

Mate 20 Pro

 

新機能で特に筆者が強く印象づけられたのは、超広角レンズとAI機能の進化だ。前モデルのMate 10 Proと同様、ライカブランドのトリプルカメラを搭載しているが、モノクロレンズが廃止され、代わりに2000万画素の超広角レンズ(16mm)が搭載された。ユーザーから強いニーズがあったために搭載したとの話だったが、標準の広角レンズと比べるとその差は歴然。他のスマートフォンとは違う写真が撮影できる。

左の写真は超広角レンズ、右は広角レンズで同じ場所から撮影。近距離でも石塔の全体が撮影できる

AI機能はできることが大幅に増えた。ユニークなのが画像認識機能だ。カメラで観光地を捉えるとその名称を表示する、食品を識別するとカロリーなど栄養成分を表示する機能がある。また、動画撮影時に被写体の人物だけが彩色され背景は白黒になるAIカラーなどシネマモードも搭載された(発売時には非対応。アップデートにより機能追加される)。これはリアルタイムで動画を処理できる強力なNPU(ニューロ・プロセッシング・ユニット)を搭載したことによるものだ。NPU自体はMate 10 Proから搭載されていたが、対応アプリが少なくその恩恵を感じられる機会は少なかったが、今回は活用の幅が大きく広がっている。

AIポートレートカラービデオのデモ

Mate 20 ProはSIMフリー機が主要MVNO、大手家電量販店で販売されるほか、キャリアではソフトバンクが取り扱う(12月7日午前10時予約開始)。SIMフリー版はトワイライト、ミッドナイトブルーの2色。ソフトバンク版はブラック、ミッドナイトブルーの2色というカラーバリエーションだ。なおソフトバンク版はプレインストールアプリが異なるほか、デュアルSIMに対応していないなど仕様の違いがある。

前述のとおり、2019年には年間ベースの出荷台数でアップル超えを実現する可能性が高い。「量」に続いて求められるのは「単価」の向上だ。高価格のハイエンド機ではアップルの独壇場が続いている。10万円を超える価格帯でもユーザーの支持を取り付けられるのか。Mate 20 Proは今後のファーウェイの戦略を担う機種と言えそうだ。