「中国」の記事

渦中のファーウェイ、スマホ新製品も発売延期が相次ぐ

渦中のファーウェイ、スマホ新製品も発売延期が相次ぐ

2019.05.24

米国政府がファーウェイを輸出規制リストに追加した

ファーウェイ製品の発売延期を決定する事業者が続出

輸出規制は世界経済の混乱を招く事態に……

米国政府がファーウェイを輸出規制リストに追加したことで、米中の貿易摩擦が加速している。5月21日には国内向けにスマホ新製品の発表会を開催したものの、発売を延期する事業者が相次ぐ事態となっている。

ファーウェイはスマホ新製品を発表したが、販路の多くで発売延期に

スマホ世界シェア2位に躍り出るなど、破竹の勢いで成長してきたファーウェイだが、果たして打開策はあるのだろうか。

世界シェアは再び2位に、国内でも攻勢に

ファーウェイはスマホ世界シェアでアップルと2位争いを繰り広げている。年末商戦シーズンにはアップルが2位に返り咲いたものの、2019年第1四半期にはファーウェイが前年比50%増となる5900万台を出荷したことで、再び2位に戻る形になった。

新製品発表会に登壇したファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波氏

スマホ市場が伸び悩む中で、なぜファーウェイは劇的な成長を遂げたのだろうか。2018年後半から米中貿易摩擦が報じられる中、買い控える動きもある一方で、世界的な露出の増加によって、製品を手に取ってみる人が増えたことが背景にあるとファーウェイは見ている。

国内でも順調に伸びてきた。依然としてiPhoneはシェアの半数近くを占めるものの、直近1年間で最も売れたAndroidスマホはファーウェイの「P20 lite」だという(BCN調べ)。コスパの良さが高く評価されているのが特徴だ。

2019年夏モデルでは、NTTドコモがフラグシップ「P30 Pro」を、KDDIは「P30 lite PREMIUM」の取り扱いを発表。MVNOやオープン市場には「P30」と「P30 lite」を投入するなど、あらゆるセグメントに向けて最新ラインアップを一挙投入する予定だった。

ベストセラーの後継モデルとして期待される「HUAWEI P30 lite」

だが、こうしたファーウェイの快進撃に待ったをかけたのが、米商務省が発表した輸出規制リストへの追加だ。

複数の企業が取引を停止、国内で発売延期も相次ぐ

米商務省が5月15日にファーウェイを輸出規制リストに追加したことで、米国の製品やサービスをファーウェイに対して輸出することが同日より規制された。米国製の半導体やソフトウェアなどを利用できないのは大きな痛手だ。

その後、重要なサービスにファーウェイ製品を用いる企業向けに90日の猶予期間が設けられたものの、これからどうなるかは不透明な状況だ。グーグルやクアルコムなど米国企業をはじめ、米国技術に大きく依存している英Armもファーウェイとの取引を停止すると報じられている。

国内では早いものでは5月24日からP30シリーズのスマホが販売される予定だったが、大手キャリアやMVNO、量販店などが相次いで発売延期や予約停止を発表。既存のファーウェイ製品については販売が続いている状況だ。

NTTドコモが今夏発売予定の「HUAWEI P30 Pro」は予約受付を停止
KDDIの「HUAWEI P30 lite PREMIUM」の発売を延期した

ファーウェイは米国に頼らず必要な部品を調達する構えも見せているが、ファーウェイ包囲網は世界的に広がりつつある。OSであるAndroidはオープンソース版を自由に利用できるものの、グーグルのサービスがなければ海外展開は困難だ。

独自のKirinプロセッサーを有しているとはいえ、Armのライセンスがなければ開発継続は不可能とみられる。スマホ以外にも基地局などの通信インフラでファーウェイのシェアは高く、輸出規制が長引けば世界的に混乱を招きそうだ。

ベール脱いだファーウェイ最強スマホ「P30 Pro」、カメラ性能でライバル圧倒

ベール脱いだファーウェイ最強スマホ「P30 Pro」、カメラ性能でライバル圧倒

2019.03.28

ファーウェイが「P30 Pro」を発表

月もキレイに撮影できる驚異の「50倍ズーム」

ファーウェイの強さは新製品サイクルの速さにあった

ファーウェイがフラグシップスマホの新製品「HUAWEI P30」シリーズを発表した。最大の特徴はカメラの劇的な強化で、ライバルを圧倒する「最大50倍デジタルズーム」などの最新技術を披露した。

ファーウェイがパリで「HUAWEI P30」シリーズを発表

2018年のP20シリーズと同じく、発表イベントはフランス・パリで開かれた。日本での発売も期待されるP30シリーズだが、果たしてどのような進化を遂げたのか。

驚異の50倍ズームで月を撮影

ファーウェイは2月のMWC19で折りたたみスマホの「Mate X」を発表したばかりだが、これはやや実験的な性格の端末だった。今回発表したP30とP30 Proは、同社のフラグシップモデルにあたるHUAWEI Pシリーズの新世代製品で、特にカメラを中心に機能を強化したモデルだ。

上位モデルの「HUAWEI P30 Pro」は、本体背面に3個のカメラと1個の深度測定カメラの合計4眼カメラを搭載。3個のカメラは超広角、広角、望遠のレンズを備えており、幅広い焦点距離の撮影に対応できる。

HUAWEI P30 Pro(グローバルモデル)

特筆すべきは暗所や望遠の撮影性能だ。暗所で重要なISO感度は、前モデルの102400から4倍相当となる409600に引き上げた。望遠は35mm換算で125mmのレンズにデジタル処理を組み合わせることで、10倍までのハイブリッドズームと50倍までのデジタルズームに対応した。

P30 Proのリアカメラ。合計4眼を搭載する

アップルやサムスンの最新スマホと比べて、星空や月の撮影で特に大きな違いがでるとして、実機で撮影したという写真も公開された。他機種では真っ暗にしか撮れない夜空でも、P30 Proなら星空を鮮やかに撮れるという作例や、模様まではっきりと分かる大きな月の写真は圧巻だ。

P30 Proでは月面の模様まで見て取れる(中央がP30 Pro)

こうした作例は、事前にプロの写真家によって念入りに作り込まれたものも多い。だがファーウェイは製品発表の場で、会場の照明を落とし、実際にiPhoneやGalaxyと撮り比べ、P30 Proの撮影性能をライブで証明していたことが印象的だった。相当な自信があるのだ。

会場内のサイネージをその場で撮影して比較するデモ(右がP30 Pro)

カメラとCPUを半年ごとに強化

ファーウェイのカメラが進化を続ける背景には、世界初をうたう「RYYB」方式のイメージセンサや、5倍ズームをスマホに収めるペリスコープ構造など、多岐に渡る最新技術を開発・保有していることがある。その技術開発の中で重要な要素となっているのが、各種の処理装置や通信モデムを統合するチップセット(SoC)の進化だ。

たとえば普通のデジカメなら、50倍のデジタルズームは確実に手ぶれしてしまう。ISO感度を40万に高めてもノイズだらけになるだろう。そこで最近のスマホは、連写した複数枚の写真を合成することで手ぶれやノイズを除去し、画質を高めている。

このとき、重要になるのが画像処理のスピードだ。シャッターを押した後のわずかな時間にどれだけ多くの画像処理ができるかで、画質は大きく変わってくる。チップセットの処理性能が高速になればなるほど、画質を向上できる余地が出てくるというわけだ。

P30 Proのチップセットは、2018年秋に登場した「Mate 20 Pro」と同じ「Kirin 980」に据え置かれたため、5Gへの対応にも一切言及されなかった。それでもファーウェイはKirin 980を最適化し、さらにカメラ性能を引き出してきた。

他の端末を充電するリバースチャージなど、Mate 20 Proの新機能はP30 Proにも取り込まれた

P30 Proのカメラを開発する上で足りなかった要素は、2019年秋に登場する次のMateシリーズが搭載するであろう次のKirinチップセットに活かされる。このカメラとチップセットを交互に短期間で強化していくサイクルが、今のファーウェイの強みだ。

当面の間、スマホの開発競争はカメラ機能を中心に進行し、その鍵を握るチップセットの性能の重要度は高まる一方だ。開発力でライバルを圧倒し始めたファーウェイの勢いは、まだまだ衰えることはなさそうに見える。

シャープ、BtoB冷蔵分野で中国AUCMAと協業へ - 白物家電の提携も視野?

シャープ、BtoB冷蔵分野で中国AUCMAと協業へ - 白物家電の提携も視野?

2019.03.27

シャープが中国の冷蔵機器企業とBtoB分野で提携を発表

憶測を呼ぶ提携内容の本当の狙いは白物家電?

シャープと中国政府との関係にも影響する可能性

シャープの戴正呉会長兼社長

シャープは、中国の澳柯瑪集團(AUCMA)と、コールドチェーン関連製品の開発協力および生物サンプルなどの超低温保管システムに関して協業すると発表した。2019年3月25日に、AUCMAの李蔚董事長が大阪府堺市のシャープ本社を訪問。シャープの戴正呉会長兼社長などが出迎え、覚書の調印式を行った。

BtoBを発端に、将来的には白物家電も見据える?

AUCMAは、中国山東省青島市に本社を持つ企業で、冷蔵庫や洗濯機などの白物家電、小売店舗に導入されている冷凍ショーケースなどのコールドチェーン関連製品、電動バイク、自動販売機などの開発、製造で実績を持つ。

1987年に設立し、2000年12月には上海証券取引所に上場。従業員数は約8,000人規模の中堅企業だ。

今回の提携は、コールドチェーン関連製品での協業が中心となり、BtoB領域での展開を強化するものになる。

調印式の様子。AUCMAの李蔚董事長と、シャープの沖津雅浩常務執行役員が調印した

シャープでは、「AUCMAは、コールドチェーン技術、設備における有力企業であり、また超低温の貯蔵分野においても世界有数の技術力を保有している。冷凍冷蔵庫や低温物流などにおける協業関係を構築することで、事業のさらなる拡大を図るとともに、今後も各国の政府機関や有力な企業との連携を進める」としている。

両社とも白物家電事業を有していることから、将来的には、生産や品揃え、販売といった点で、白物家電事業における協業も考えられそうだ。実際、シャープのコメントでも触れられているように、冷凍冷蔵庫に関する協業を視野に入れていることに言及している。

だが、提携内容そのものは、シャープにとっては、コールドチェーンや超低温保管システムという新たな事業への参入という側面が強い。

調印後、握手するAUCMAの李蔚董事長(左)とシャープの沖津雅浩常務執行役員(右)

既存事業との関連が薄い協業の理由は?

コールドチェーン業界を見ると、日本では、パナソニックやホシザキ、ダイキンなどが先行しており、産地から物流、小売、家庭までをつないで、鮮度の高い食材を届ける環境を実現している。

個別の冷凍製品で展開するよりも、コールドチェーン全体でのソリューション提案を行える企業の方が高い優位性を持つだけに、その点、シャープが今回の協業をきっかけに参入したとしても、コールドチェーン全体を網羅するには、品ぞろえの面からも、まだ時間がかかることになる。

また、超低温保管システムにおいては、医療分野での提案が対象と見られるが、シャープには、この分野での実績が少ない。

シャープには、ビジネスソリューションと呼ぶ、BtoB事業を行う領域がある。複合機や電子黒板、テレビ会議システムといった「スマートオフィス」ソリューション、マルチディスプレイやインフォメーションディスプレイなどの「スマートサイネージ」ソリューション、POSシステムやハンディターミナルなどの「スマートリテール」ソリューションを展開している。

だが、どれも、今回協業するコールドチェーンや超低温保管システムとの親和性はあまりないものばかりだ。

ほかにもシャープでは、事業ビジョンとして、「8KとAIoTで世界を変える」と掲げているが、やはり、コールドチェーンや超低温保管システムと、この事業ビジョンとの関連性は低い。

つまり、今回の協業の狙いは、既存事業との関連性という点では、不透明な部分が多いと言わざるを得ない。

シャープ本社を視察する関係者

官民あげて大々的に実施された調印式の意味

だが、シャープとAUCMAの両社がこの協業にかける意気込みは、並々ならぬものがある。

3月25日にシャープ本社で行われた覚書への調印式には、中国側からはAUCMAの関係者のほか、中国山東省、煙台市、青島市の政府高官など、約40人の訪問団が訪れた。

まさに官民をあげて、この契約を重視していることがわかる。

シャープの会長兼社長の戴正呉は、「山東省の龔正(きょうせい)省長とは鴻海で事業を担当していた頃からの縁があり、大変懐かしく思う。シャープはグローバルに投資を推進しており、これを機に、さらにパートナーシップを発展させていきたい」と語った。

そして山東省の龔正省長は、「山東省を重要パートナーとして捉えてもらったことに感謝する。山東省は急速に経済発展を遂げるなか、とくに、AIなどの次世代情報産業に注力している。シャープの今後の成長を全力でバックアップしていく」と語っている。

山東省の龔正(きょうせい)省長。省長は日本の行政でいう知事にあたる

訪問団のなかには、煙台市の陳飛市長、青島市の薛慶國副市長らも参加していた。

シャープの既存事業との関連性が薄いにもかかわらず、調印式にこれだけの力が入っていることを見ると、どうしても今後の広がりが気になる。

いわば、囲碁で言えば、「飛び石」ともいえる手の打ち方にも見える。

シャープの事業構造にまで影響が及ぶ可能性も

直接的には、コールドチェーンや超低温保管システムといったシャープにとっての新規事業を、日本およびアジアでどう広げていくのかが焦点だ。

しかし、今回の協業をきっかけに考えなければならないのは、シャープが中国政府との関係をどう強化していくのか、両社が取り組んでいる白物家電事業において、どんな連携をするのか、8KとAIoTとどう結びつけていくのかだ。そして、シャープは2017年度実績で13.6%に留まっているスマートビジネスソリューションにおけるBtoB事業の成長戦略を、どう描こうとしているのか。

今回の協業をきっかけにして、様々な憶測が成り立つ。中長期でみれば、ここから発展して、シャープの事業構造に変化を及ぼす可能性もある。

この「飛び石」の一手が、シャープの事業にどう広がっていくのかを注視しておきたい。