「中古スマホ」の記事

ドコモの携帯、中古でもSIMロック解除が可能に

ドコモの携帯、中古でもSIMロック解除が可能に

2019.02.15

NTTドコモが中古スマホのSIMロック解除を開始する

中古スマホを普及させたい総務省の意向が影響

懸念の声もあるが、今後は中古スマホが買いやすくなる

NTTドコモは、SIMロック解除手続きの条件を一部変更すると発表した。中古端末販売店で購入したり、知人から譲り受けたりした中古スマホであっても、今後はSIMロック解除に応じるようにする。2月20日から受け付ける。

中古で買ったドコモのiPhoneでも、auやソフトバンクなど他社の回線で使えるように

背景には、中古スマホを普及させたい総務省の意向がある。総務省は事業者向けのガイドラインを改正するかたちで、2019年9月1日までに中古端末のSIMロックを解除可能にするよう、携帯キャリア各社に義務付けていた。

中古スマホ促進に関する一連の流れは、これも同じく総務省が推し進める「完全分離プラン」導入により、キャリアによる端末価格の割引ができなくなることで、新しいスマホが買いにくくなるため、価格の安い中古スマホを流通させ穴埋めしようとしたものだ。完全分離プラン自体は、主に通信料金を下げ、消費者の負担を減らすという目的で進められている。

中古スマホの普及推進には、5Gなど新技術の普及を阻害するという危惧や、そもそも中古スマホの商品性を誤解した施策の恐れがあるといった意見もあるが、SIMロック解除が可能になることで、中古スマホが買いやすくなることは間違いない。

今回のNTTドコモのSIMロック解除は、2月20日以降、「ドコモオンライン手続き」および「ドコモショップ」で受け付ける。ドコモショップで手続きする場合、1回の受付で最大2台までのSIMロック解除が可能で、1台あたり3,000円の事務手数料が発生する。ドコモオンラインで手続きする場合の手数料は無料。解除後は、ドコモ端末であってもKDDI(au)やソフトバンクなど他社の回線を利用できるようになる。

アップルの落日? 中国後退の影響が不可避に、日本市場でも逆風か<br />

アップルの落日? 中国後退の影響が不可避に、日本市場でも逆風か

2019.02.01

アップルが2018年10~12月決算を発表、売上減

中国経済の冷え込みが影響、iPhoneの販売不調が続く

日本市場でも「強すぎる」逆風、アップルの勝ち筋は?

米中貿易摩擦が世界のスマホ関連企業を脅かしている。

アップルは1月29日に2018年10〜12月決算を発表した。売上高は前年同期比5%減の843億1000万ドルだった。特に落ち込みがひどいのが主力商品であるiPhoneだ。今回から販売台数は明らかにしていないが、売上高は15%減の520億ドル。売上高全体に占めるiPhoneの比率は69.2%から62%にまで下がった。

中国変調はアップルだけの問題ではない

原因は、これまでアップルの成長を支えてた中国経済の急激な冷え込みだ。

アップルの地域別売り上げでは香港と台湾を含む中華圏が27%減の132億ドルとなった。アメリカやヨーロッパ、日本などは1%増の711億ドルであることから、いかに中国市場の落ち込みがアップルに悪影響を与えているかがわかる。

ただし、中国市場の影響に巻き込まれているのは何もアップルに限った話ではない。スマホ向けの液晶ディスプレイを得意とするシャープも「米中貿易摩擦によって売り上げに影響した」として、メーカー向けのディスプレイの売り上げが伸び悩んでいることを認めた。

また、韓国LGディスプレーも営業利益96%減という有様だ。オムロン、積水化学工業などスマホ関連メーカーも軒並み、決算での落ち込みが目立つ。

各社で共通しているのは、昨年11月以降、急速に中国方面からの発注が止まったという話だ。ファーウェイの幹部が、カナダで逮捕されるなど米中の関係に緊張が走る中、中国経済が一気に後退。中国メーカーが減産に走った。また、株安により、中国での可処分所得が減り、消費マインドも冷え込んだようだ。

ソニービデオ&サウンドプロダクツとソニービジュアルプロダクツの社長でもある高木一郎氏は「中国では現在、可処分所得が変化している。年初年末の株安が顕著で、3割も可処分所得が落ちている。幸いにもソニーは数量売ることを前提にした商売をしていないので、数が売れなくても価格をキープしていくことはできるのではないか」と語っている。 

中国市場の影響はアップルのみならず、スマホや電機業界全体の問題なのだ。

アップル強固な日本市場も安泰ではない?

アップルの日本における売上高は昨年同期に比べて5%減となっている。年末には、QRコード決済サービス「PayPay」が100億円あげちゃうキャンペーンを。ビックカメラにはiPad Proなどのアップル製品を購入する人たちの行列ができたが、売上げを押し上げるほどの効果はなかったようだ。

アップルとしては、2019年の日本市場はまさに正念場と言える年になるだろう。

最も影響を受けるのは、総務省による「完全分離プラン」の導入だ。これにより、携帯電話各社は、端末に割引を適用しての販売ができなくなる。スマホの本体価格は、定価のままで販売せざるを得なくなる。KDDIやソフトバンクでは、端末を分割払いしても月々の負担が少なくなるよう、4年間の割賦払いなども提供しているが、こちらも総務省や公正取引委員会から待ったがかかりそうだ。

割引がなくなり、新品のiPhoneを買うというのが難しくなる中で、これまで使っている機種を長く使い続けるという傾向が加速していくだろう。特に最新バージョンのiOS12はiPhone 5sにも対応しており、古い機種が現役バリバリで使えるとなれば、わざわざ新機種を買う必要にも迫られない。

総務省は中古スマホの流通促進に躍起だが、仮に市場に中古のiPhoneが増え、人気が高まれば、さらに新品が売れなくなる可能性がある。

アップルにしてみれば、日本市場は、いま逆風しか吹いてないくらいだ。

ユーザーとすれば、iPhoneが大幅値下げし、手に取りやすい価格になってくれればありがたい。しかし、アップルの場合、ブランドのためもあり、大幅に値下げしてまで販売台数を稼ぐという考えは毛頭ない。

ただし、為替の変動を考慮したという建前をつけて、価格調整をしていくことになりそうだ。日本においても、すでにNTTドコモが8000円、ソフトバンクは1万円の割引をiPhoneに適用させている

本体を大幅値引きすることなく、キャリアに割引させることで、お得感を出し、機種変更を促したいのだろう。しかし、今後、こうした割引を強化すれば、総務省から指摘が入ることも考えられる。

日本市場での売上げをあげるためにも、いかにiPhoneをうまいこと総務省に怒られない程度に、割引を適用して売っていくかが、アップルとキャリアには求められそうだ。

「外国は中古が多い」は本当か? 総務省の中古スマホ推進に感じる課題と矛盾

「外国は中古が多い」は本当か? 総務省の中古スマホ推進に感じる課題と矛盾

2019.02.01

総務省が推進する「中古スマホ促進施策」のズレ

日本で中古スマホの使用率が高くない理由は「修理事情」にある

端末分離プランのカバーが目的なら、本末転倒だ

総務省と公正取引委員会が、携帯電話大手3社が下取りした中古スマートフォンの流通実態調査に着手している。目的は、中古スマホの国内での流通活性化だ。

現在各社は、新品スマホの購入促進を目的に、「使っているスマホを中古として引き取る代わりに割引を行う」という施策を採っている。この際、買い取った中古スマホが「日本国内ではあまり流通せず、他国に流れている」ことを問題視しているようだ。

中古スマホがあると新品が流通しづらい。だから携帯電話大手は中古をあえて国内流通していない。中古スマホの流通量が増えれば、携帯電話の入手コストが下がり、国民の負担が下がる……。

総務省が考えているのはこういうシナリオのようだ。

だが、この話はどうにもおかしい。「中古スマホをめぐる事情をきちんと理解していないのではないか」「中古スマホの商品特性を理解していないのではないか」と思えるからだ。

そこで、筆者の目から見た「中古スマホ促進施策のズレ」を指摘してみたいと思う。

アメリカでは「古いスマホは家族に譲る」

まずポイントは「中古スマホの利用率は、本当にそこまで大きな問題なのか」ということだ。

すぐに手に入りやすい調査データとしては、2018年2月にMMD研究所がオークネット総合研究所と共同で行った「日本とアメリカにおけるスマートフォン中古端末市場調査」がある。筆者はここ10年、年に最低でも5回はアメリカへ取材に出かけており、市場的に状況がよくわかっている、という点も加味して、ここでは「海外における中古市場のベンチマーク」として、アメリカをターゲットにおいてみたい。

この調査によれば、日本での新品端末利用率は「93.9%」。アメリカの「78.5%」に対してかなり高い。ネット調査であること、調査期間が2017年12月と、すでにそれなりの時間が経過していることに留意する必要はあるものの、「日本は新品に偏っている」との指摘は正しい。

ただし、ここでいう「新品でない端末」とは、中古販売された端末だけを指すわけではない。

もともと、日本においては端末を「家庭内に保管している」人の割合が群を抜いて多い。この調査によれば、日本では60.7%の人が家庭内に保管しており、アメリカでは43.7%に減る。では、携帯電話会社による中古買取、中古販売店への売買、オークションサイトへの売買が多いのか、というとそうではない。それらは日本と差がほとんどない。日本と違うのは「家族・友人に譲った」という項目。ここが12.3%もある。

MMD研究所がオークネット総合研究所と共同で行った「日本とアメリカにおけるスマートフォン中古端末市場調査」より。アメリカも日本も、中古へ流通するスマホの比率は変わらないが、「家族・友人に譲る」率では大きな違いがある

すなわち、アメリカという市場に限って言っても、「中古スマホの販売が活発」なのではなく、「使用済み端末の融通が活発」なのだ。

日米中古事情の違いは「修理」事情から生まれる

なぜこのような違いが生まれるのか? 理由は複数考えられるが、もっとも大きいのは、携帯電話事業者による販促が活発で、新品を買うハードルが低い、ということだ。新品を買いやすい環境にあるなら、誰もが新品を欲しいと思うのは当然のことだろう。

ここで筆者が注目するのは「修理」のコストと頻度である。同じ調査の中で、日米の修理に関する意識の違いも明確になっている。

日本では、修理の費用について、実に39.6%の人が「無料だった」と答えている。理由は、半数の人が「修理を補償するサービス」に加入しているからだ。携帯電話事業者によるものが41.3%、メーカーによるものが10.2%なので、合算すれば過半数を超える。これがアメリカの場合、47.2%の人がなんの補償サービスにも加入していない、と答えている。結果的に、日本の場合、携帯電話利用料金と重畳される分月々の費用が上がり、無償修理の比率が高くなる。

日本ではスマホの修理が「無料」だった人の割合が圧倒的に多い
スマホ修理費用の違いの理由は、日本では「修理を補償するサービス」に加入している人の比率が圧倒的に高いからだ

アメリカには、日本に比べて「携帯電話修理店」の量が圧倒的に多い。日本には総務省による「登録修理業者制度」があり、登録することが必要な状況だが、アメリカではそうではない。ショッピングモールなどには安価な修理業者が必ず出店しており、低価格に修理を請け負うようになっている。

一方でこの違いは、「スマホをどのくらいキレイに使うのか」という、中古端末の品質に影響している……と筆者は見ている。

日本の場合、わざわざ売る端末は、価格下落を恐れ、かなり状態の良い形で扱われる。中古業者の話を聞いても、「日本からのスマホは状態が良い」という点については一致した見解である。

一方海外の場合、中古の品質はそこまで高くない。ケースの利用率が低いこともあるが、「カジュアルに直せる」「カジュアルに売れる」ことから、それこそ「傷一つない状態」を維持する必然性が薄い、ということがあるのだろう。

特に中国やアメリカでは、携帯電話をカジュアルに販売できる、という特徴がある。どのくらい手軽かというと、街角に「携帯電話の自動買取機」が置かれているのも珍しくないくらいだ。

筆者がサンフランシスコ市内で見つけた「ecoATM」。スマホを入れると査定して買取までを行ってくれる「自動買取機」。同社はサンフランシスコを中心に、もう5年近く地道にビジネスを展開している
筆者が中国・深圳でみかけた「携帯電話の自動買取機」。こうした端末が駅の通路などに多数あり、日本よりもずっとカジュアルに中古買取が行われている

ここで、アメリカでの中古スマホ利用率を思い出していただきたい。たしかにカジュアルに販売できるが、それでも「中古を買って利用している人の割合」は大したことがない。カジュアルにスマホを処分できるものの、「中古スマホを買う人の割合は限られている」というのが実情なのだ。

そもそも中古スマホは、よほど条件が良いものでないと長く使えない。バッテリーが劣化している可能性があるからだ。アメリカにも新品のスマホを割り引いて買う方法はたくさんあり、多くの人が利用している。ならば、やっぱりスマホは「新品で買いたい」のだ。だが、そこまでしない場合もある。そんな時は、「知り合いや家族からもらう」のだろう。バッテリーの劣化やボディの傷、ガラスの傷みなどは、修理すればなんとかなる。日本より修理がカジュアルである、ということは、そうした傾向に拍車をかけている可能性が高い。

見えない部分で巨大化した「スマホ経済圏」

では、そうやって回収されたスマホは、どこに行っているのか? もちろん、中古スマホそのものとして流通する場合も多いだろう。

だが実際には、スマホは「パーツ」になってしまうことも多い。別にリサイクル用だけではない。修理用のパーツのことだ。

スマホ修理のニーズは非常に高い。日本よりカジュアルに修理ができる環境が多い他国の場合は特にそうだ。それだけニーズがあるということは、パーツのニーズも多い、ということである。修理のパーツはメーカーから公式に供給されるものも多いのだが、それらは数も限られているし、高価になりやすい。

非公式かつ安価な修理市場に向けては、もっと安価な「非公式に」流通したパーツを使う必要がある。そうしたパーツのほとんどは、中古などの形で回収されたスマートフォンから得られたものであり、なんらかの形で「なぜかパーツだけの形で市場に流れてきた」ものである。最近は、修理用に互換性のあるパーツを製造する例もある。

深圳あたりを回れば、スマホのパーツだけを大量に販売する店舗を見つけられるだろう。そういう店舗の端では、店員がスマホのパーツをさらにバラして袋分けする姿も見られる。

筆者が中国・深圳で撮影したパーツ販売店の姿。スマートフォンのパーツが機種ごと・種別ごとに分類され、卸売されている。店の片隅では、手作業でスマホパーツを分解する姿もみられる

中古スマホは、美品は端末そのものが流通するものの、そうでないものはすぐにパーツ化されて修理に回される。PCなどと違い、機種やメーカー違いによる互換性はないに等しいため、人気機種のパーツは常に需要が高い。状態が良くなくても売れるのはそのためでもある。

中古スマホの流通とは、なにも「中古スマホがスマホのまま売られること」だけを指しているわけではない。こうしたパーツ流通も含めた巨大な流通こそが、「スマホという経済圏」なのである。

その経済圏の中で、「新品が喜ばれる日本」で、中古のスマホの流通は限定的になるのが、今は「必然の流れ」である。他国の方がよほどニーズが高いのだ。そこに流れていくのは経済原理的に言っても、まったく不思議なことではない。

「分離プランありき」の議論は本末転倒

スマートフォンの性能向上による差異は見えづらくなり、1機種の製品寿命は今後長くなっていくだろう。ハイエンド機種の価格も高くなっていく。そこで「中古を選ぶ」という選択肢はあっていい。

一方で、アメリカでの事例が示すように、そこでは「知人からの融通」のような、カジュアルな例も多くなってしかるべきだ。中古流通がカジュアルな国でも「中古スマホの販売量は多くない」ことは、もう少し真剣に考えるべきである。

なにより、今回の話がおかしいのは、「なぜ中古だけを推進するのか」ということだ。

スマートフォンの販売について、今後は、通信費と端末代を分ける「完全分離プラン」が義務付けられる公算が強い。その時、スマホのハードウェアに対する支払いは確実に多くなる。そこに対する対策のために、安価な中古を推したい……。これが、総務省の考えである。

だが、それはいかにも「完全分離プラン」ありきの議論でありすぎる。

スマートフォンのハードウェアへの出費を減らす方法は、多数あっていい。知人間での融通やネットオークションなどの活用が話題に上らないのはなぜだろうか。そもそも、携帯電話事業者による販売補填をここまで強く問題視している国はない。「消費者が高い通信料金・長期契約を強いられる」状況は是正されなければならない。だが、スマートフォンを安く買いたいと思う人が「自ら望んで長期契約を選ぶ」のは悪いことではないはずだ。

中古スマホを増やすことは悪いことではない。だが、それが「分離プラン強制のマイナス点をカバーする目的」であるなら、本末転倒も甚だしい。そしてなにより、世界のスマートフォンをめぐる経済圏の状況を理解していない言動に思える。

「選べること」「強いられないこと」が重要だ。なのに、国が「強いる側」に回るのは、明らかになにか勘違いしている、と思うのだが。