「レジャー」の記事

東京五輪控えた宿泊施設の枯渇危機、切り札は地元共生型ホテル?

東京五輪控えた宿泊施設の枯渇危機、切り札は地元共生型ホテル?

2019.03.06

東京オリンピックで宿泊施設が枯渇、野村不動産がホテル参入

安田不動産がホテルとレジデンスを共有する施設を開業

立地地域の産業・文化をホテルと結びつける新たな流れ

2018年、インバウンド訪日客が3,000万人を超えた。東京五輪を控え、ますますインバウンドの増加が見込まれる。そうしたなか、懸念されているのが宿泊施設の枯渇だ。この問題を少しでも解消するべく、デベロッパーの動きが活発になってきた。

客室数130のノーガホテル上野

まず、野村不動産。同社はこれまでホテル事業には参画していなかったが、2018年11月に「ノーガホテル上野」を始動。東上野という、少しニッチな場所にホテルをかまえた。だが、上野地区は観光資源が豊富。上野駅の西側には上野恩賜公園を中心に、パンダを飼育する動物園や世界文化遺産となった国立西洋美術、藤堂高虎や天海僧正による上野寛永寺がある。そして少し足を伸ばせば、浅草寺にもアクセスしやすい。

特に浅草寺はインバウンドに人気のスポットで、連日、雷門の前で外国人が写真撮影を行っている。さらに、もう少しするとサクラの季節だ。上野恩賜公園や隅田川のサクラを目指して来日する外国人であふれることは間違いない。以前、上野公園で花見をするという同僚たちに合流する際、まったく身動きが取れなかったのを憶えている。

ここに野村不動産のねらいが見え隠れする。前述したように、同社がホテル事業に参入するのはこれが第一弾だ。失敗はしたくないだけに、観光資源が豊富で、インバウンドの集まりやすい地でノウハウを蓄積するというのは自然な流れだ。なお、今後もノーガホテルブランドを各地で展開する予定だ。

ホテル・レジデンス・スモールオフィスからなる複合施設

客室数170室のHAMACHO HOTEL&APARTMENTS

一方、安田不動産はコンセプトのユニークさで勝負をかける。東京・日本橋浜町にオープンした「HAMACHO HOTEL&APARTMENTS」は、その名前のとおり、ホテルとレジデンス、スモールオフィスが一体化した施設だ。

ホテル・レジデンス・オフィスが一体化した複合ビルは東京の中心地に集まっているが、その多くは高層ビルによる高級路線だ。だが、HAMACHO HOTEL&APARTMENTSは地上15階と、高層ビルに入居する高級路線のホテルに比べれば若干見劣りする。そしてオフィススペースも少人数で利用する規模のものが中心。ただ、そのぶん敷居が低く、利用しやすいというイメージが強い。

そして何よりも、ホテル客とレジデンスに住む客とのコミュニケーションを重視しているのが特徴だ。ホテルのエンタランスは共用で、宿泊客とレジデンスの住人が交流できるようになっている。さらにチョコレートショップ「nel CRAFT CHOCOLATE TOKYO」を設け、このスペースでチョコレート職人による「手しごと」を見学できる。そしてチョコレートショップに併設されるカフェでは、ワークショップが開催され、宿泊客と地元住民のコミュニケーションを図る。

共通するのは地元産業との連携

そして両ホテルには共通する特徴がある。それはホテル立地付近の地域との連携を大切にしていること。ノーガホテル上野は、東上野に立地していると前述したが、この地域は職人の街でもある。江戸切り子や銀食器といった職人の手によるプロダクツをホテルで利用・購入できる。

またHAMACHO HOTELも地域住民とゲストの交流の場とすることを掲げている。nel CRAFT CHOCOLATE TOKYOのほか、宿泊客や街の人に提供するパンの工房も備えている。こうした食品により「日本橋浜町自家製」を掲げ、特色にしているのだ。

インバウンド観光客による「爆買い」はひとまず落ち着いた。その頃に売れたのは家電製品やブランド品だった。家電は日本製品の性能が高いことが彼らの消費を促し、ブランド品は日本のショップに対する信頼性が高かったため売れた。それが少しずつシフトし、「地元でしか買えないもの、地元でしか食せないもの」が外国人に受け始めている。

ノーガホテル上野で売られている木本硝子の江戸切り子
HAMACHO HOTELで手作りされているnel CRAFT CHOCOLATE

さらに言えば、両ホテルには宿泊料金にも共通点がみられる。例えばダブルルームの場合、だいたい15,000~30,000円だ(シーズンやプランによって変動、スイートルームはのぞく)。つまり、2人で宿泊すれば、1人あたり10,000円を切る宿泊費で済ませることもできる。

旺盛なインバウンド需要によって、今やビジネスホテルでさえ1泊1部屋10,000円以上ということも珍しくはない。そう考えると狭いシングルのビジネスホテルよりも、ミドルクラスのダブルに泊まるという選択肢も悪くはない。もっとも、伴侶や恋人、友人などと宿泊し、宿代を折半しないとコストパフォーマンス的にはビジネスホテルに劣るが……。

いずれにせよ、両ホテルは客室数100~200とそれほどの規模ではない。ただ、訪日外国人を刺激しそうな“地元の産物”などと連携することで、特色を打ち出そうとしている。宿泊施設の枯渇を見据えたホテル開業は続くだろうが、訪日客のニーズの変化もはじまっているなか、地域密着型を特徴とした今回の両ホテルのように、コンセプトを際立たせた宿泊施設が増えていきそうに思われる。

“日本のなかの外国”ニセコで進むゲレンデの安全管理

“日本のなかの外国”ニセコで進むゲレンデの安全管理

2019.01.30

日本のブランド雪「ジャパウ」を求めニセコに集まる外国人

スキースクール向けのTREK TRACK BIのおもな役割とは?

「いびつな観光産業」が浮き彫りになっているニセコ地区

北海道・ニセコ地区。スキー・スノボの名所であるこの地区は、多くの外国人スキーヤーが訪れる場所でもある。なぜならば「日本の雪」、とくに北海道の粉雪は世界屈指の“ブランド雪”として知られているためだ。「ジャパンパウダー」(ジャパウ)という名で親しまれている。

晴れていたと思ったら、急に降雪になる。実は“雪が降りやすい”ことが、新雪を味わいたい外国人スキーヤーを惹きつけるひとつの要因

バックカントリーを目指す外国人スキーヤー

だが、大きな課題もある。それは、外国人スキーヤーが多いからこそ起きる問題だ。「バックカントリー」といわれる、ゲレンデ以外の場所を滑るスキーヤーが外国人には多いため、遭難の危険が高いのである。確かに“ふわふわの新雪”を滑るバックカントリーの魅力は大きいだろう。だが、一歩間違えれば、遭難する確率が高いことも否めない。つい先日もポーランド国籍の7人が富良野のバックカントリーで遭難し、救助されたばかりだ(全員無事に救助された)。

こうした遭難の対策として、昨シーズン、新潟県のかぐらスキー場で導入されたのが博報堂アイ・スタジオの「TREK TRACK」。これは、デバイスの位置情報を遠隔地から確認できるというもの。万が一遭難してしまった場合、位置情報やSOSを緊急連絡先(スキー場管理者など)に知らせることができる。スキーの現場だけではなく、夏の登山でも活用されている。

スクール加入で貸与されるTREK TRACK BI

信号を発信することで遭難対策になるTREK TRACK BI

そのTREK TRACKに「TREK TRACK BI」が追加された。「BI」とは「Business Intelligence」の略で、その名のとおりB2B向けのサービスだ。これまでのTREK TRACKは、個人が借用を申し出て、それを受けてスキー場などからデバイスが貸与されるというスタイルだった。だがTREK TRACK BIはスキースクールなどにデバイスを提供し、そのスクールが利用者に貸すというスタイルを採る。つまり、これまで任意に申し込まれていたデバイス使用が、スクールに入会することでサービスの一環として貸与されることになる。

スクールのインストラクターもほぼ外国人。スクール入会時、参加者はTREK TRACK BIを装着する

このTREK TRACK BIの運用を始めたのは「二セコHANAZONOリゾート」(以下:HANAZONO)と、キロロリゾート内 「キロロマウンテンクラブ」だ。これらのエリアはバックカントリースキーが盛んな地区で、ゲレンデ以外の滑走範囲も広大。それだけに、スキーヤーの遭難という事故がいつ起こるかわからないという側面を持ち合わせている。

さらに、前述したように、「ジャパウ」を求めて来日した外国人は特にバックカントリーの新雪を楽しみたいという欲求が強い。オーストラリアやニュージーランドなどから訪日した彼らは、長期休暇を利用して長く滞在し、そしてバックカントリーといった“少しムチャ”な区域での滑走を楽しむ。ニセコはそうした外国人スキーヤーにとって“天国”ともいえる場所なのだ。

そうした訪日客の特性や立地にあるからこそ、ニセコやキロロでのTREK TRACK BIの活用が大きな意味を持つ。ただ、TREK TRACK BIは、単に遭難しそうなスキーヤーのためのデバイスではない。こどもたちの居場所を3Dで可視化することにより、保護者に安心してもらうというのがおもな役割だ。

ゲレンデの様子を立体表示(左)。デバイスを身につけたスキーヤーの航跡もチェックできる。また、「Go Pro」と連動させ、スキーヤーの視界を映すことも可能だ

家族で来日して、こどもをスクールに預け、それを管理者がチェックできるので、保護者が安心できるというわけだ。

TREK TRACK BIの導入を決めたスキー場の声

日本ハーモニー・リゾート ジェネラルマネージャー 上林宣夫氏

実際にTREK TRACK BIを導入したHANAZONOに話を聞いてみた。HANAZONOを運営する日本ハーモニー・リゾートのジェネラルマネージャー 上林宣夫氏は「これまでHANAZONOで、遭難事案は起こっていない」と前置きしたうえで、導入の背景を語った。

「これまで遭難事案が起こってなかったとしても、やはり、スキー場運営の事業者は安全管理・迷子防止へのオペレーションが不可欠」であり、「バックカントリーを楽しむ外国人が増えれば増えるほど、こうした対策に力を入れなければならない」のだという。

現状はまだTREK TRACK BIを導入したばかりなので、スキースクール向けで使っているが、いずれはバックカントリーの安全確保に用途を広げる可能性もあるだろう。

また、管理外の領域を滑ることを、HANAZONOは肯定も否定もしていないそうだ。これは各スキー場のスタンスによるらしい。同じ北海道のスキー場でも、ゲレンデ以外での滑走をよしとしないところもあれば、HANAZONOのように「ゲレンデ以外の滑走は、推奨はしないけれども、止めもしない。あくまで自己責任」(上林氏)というスタンスのところもある。

冬期のニセコが抱えるもう1つの課題とは

歩行者は、ほぼ外国人というニセコの通り

さて、ニセコには外国人が多いと前述したが、どのくらいなのだろう。夜間にニセコの街を散策して目視したところ、“外国人9割、日本人1割”ぐらいに感じた。飲食店は外国人であふれ、ある店員さんによると朝まで予約が詰まっているとのことだ。また、飲食店が少ないためか、街の中心に位置する「セイコーマート」には、30~40人の外国人がレジ待ちで列を作っていた。以前、あるスキー雑誌の編集長にインタビューした際、“冬のニセコは日本にある外国”と表現していたが、まさにそれを実感した。

実はここに問題もあるように筆者は感じた。「観光客の構造がいびつ」なのではないかと思う。「観光客が集まる冬期のニセコはいい。夏期になると観光客がグッと減ってしまい、宿泊業や飲食店などの雇用維持が断続的になってしまう」と、ニセコ関係者は話す。そのためには、日本人観光客に冬期以外にもきてもらうための観光資源が重要だと指摘する。

これだけ外国人観光客に支持されているニセコだ。筆者はてっきり成功を収めているリゾート地なのだと思い込んでいたが、多くの課題が積み上げられていた。今後もニセコがジャパウを楽しむ観光地であり続けるためには、夏場の集客にも力を入れなければならないだろう。

“脱カラオケ”に舵を切った「シダックス」の多事業戦略

“脱カラオケ”に舵を切った「シダックス」の多事業戦略

2018.12.25

シダックスが閉塞感にじみ出るカラオケ事業から撤退

中伊豆を総合リゾート&ワインの一大生産地にして集客

「500の仕事。」をかけ声に多岐にわたる事業展開を目指す

昭和期から現在にかけて、多くの人に親しまれているカラオケ。ただ、底堅い人気のレジャーではあるものの、閉塞感が漂い始めている。それは、カラオケ参加人口(以下、カラオケ人口)やカラオケボックスルーム数が微減、もしくは横ばいとなって久しいからだ。

一般社団法人全国カラオケ事業者協会がまとめた「カラオケ白書2018」によると、1995~1996年頃、カラオケ人口は約6,000万人だったが、2017年は約4,700万人にまで減少。カラオケボックスルーム数も全盛期は16万件を超えていたが、2017年には13万件ほどにまで減っている。

折れ線グラフが店舗数、棒グラフが参加人口。急激な落ち込みではないが、微減傾向だ(一般社団法人全国カラオケ事業者協会「カラオケ白書2018」より)

この最大の原因はバブル崩壊だが、それでもレジャーとしては健闘しているといえる。たとえばスキーと比べてみる。スキー人口は一時期2,000万人を超えていたといわれるが、今ではスキー・スノボ合わせても約700万人ほどまで減っている。釣りに関しても、2,000万人ほどの需要があったが、こちらも約700万人まで減少したそうだ。ともに全盛期の1/3ぐらいまで需要は減ったが、カラオケ人口は全盛期の約75~80%ほどで抑えている。冒頭で「底堅い人気」と記したのは、“落ち込みがほかのレジャーほどではない”という印象を受けたからだ。

とはいえ、不安材料がないわけではない。真っ先に思いつくのが「人口の減少」。これはすべてのレジャーに当てはまることだが、将来的にレジャー需要が下がるのは容易に予想できる。そして、カラオケの“お供”ともいってもよいお酒需要が減少していることも不安材料だ。特に“若者のお酒離れ”といわれて久しく、なかでもビール人気が落ち込んでいる。さらに、国民的な大ヒット曲が生じにくくなっているという背景も、カラオケ需要の減少を後押しする可能性があるだろう。

こうした状況に対し、カラオケ産業に関わる企業は、新たな収益源を模索している。なかでも積極的な姿勢をみせているのがシダックスだ。シダックスといえば、カラオケの大手企業と思われがちだが、2018年5月にカラオケ事業からの撤退を発表している。カラオケ事業を行っている子会社、シダックス・コミュニティの株式をカラオケ館を運営するB&Vに譲渡し、今後は“食の仕事”を収益の柱にしていく。

カラオケ事業を切り離し本来の姿に回帰

そもそもシダックスは、給食や食堂などの受託運営が本業で、レストランやホテル、コンビニ、エステ、道の駅などを手がけている。もとはカラオケ事業もこうした食の仕事の派生で、外食産業のノウハウを生かした「レストランカラオケ」という分野を築いた。だが、カラオケのイメージが消費者に強く浸透したため、シダックス広報担当者によると「外食ではなくカラオケ専門企業」という印象を持つ人がほとんどだそうだ。実は筆者もカラオケの企業だと信じ切っていた。

そんなシダックスが力を入れているのが、中伊豆での総合リゾート業。首都圏からアクセスしやすく、伊豆の名瀑「萬城の滝」「浄蓮の滝」や「天城山」といった見所もある。そしてワサビ田に代表されるように、山の幸・海の幸が豊富で、何よりも名湯が集まっているところだ。そして天気がよければ、富士山を眺められるロケーションであることもポイントだろう。何よりもシダックス創業者・志太勤氏が生まれ育った地で、伊豆に対しての思い入れが深かったことが、「中伊豆に総合リゾート業を!」という原動力になったのかもしれない。

首都圏から約2時間ほどで修善寺駅へ。そこからシャトルバスで20~30分で、シダックスのリゾートにアクセスできる。写真は伊豆箱根鉄道駿豆線・修善寺駅
天気がよければ富士山を眺められる。富士山に近いロケーションなので、首都圏から眺めるよりも迫力のある光景が楽しめる
伊豆箱根鉄道線沿いには史跡も豊富。左は国指定史跡「韮山反射炉」。右は重要文化財の「江川邸」。反射炉建設や幕末の海防政策で活躍した江川英龍の屋敷だ

この地をリゾートの一大拠点にしたいシダックスの考えに、地元観光協会も期待を寄せており、伊豆市観光協会 中伊豆支部 支部長 内田幸利氏は「今後、オリンピックの影響などで、インバウンドの需要が増すと思う。シダックスには中心となっていただき、中伊豆の観光活性化を引っ張ってもらいたい」と話す。

中伊豆を総合リゾート&一大ワイン生産地へ

中伊豆の観光資源について軽く触れたが、特筆したいのがシダックスのワインへの積極的な取り組みだ。同社は「中伊豆ワイナリーヒルズ」を2016年にリニューアルしたが、ここには「ヴィンヤード」(ブドウ農園)のほか、本格ワイナリー「中伊豆ワイナリー シャトーT.S」、温泉を備えたホテル「ホテルワイナリーヒル」といった施設が集まっている。そのほか、野球場やサッカー場、テニスコート、チャペル・式場、さらには乗馬コースなども用意され、総合リゾートとしての存在感を示している。

「中伊豆ワイナリーヒルズ」の中心的建物「中伊豆ワイナリー シャトーT.S」。周囲には約10ヘクタールのブドウ農園が広がり、9種・約30,000本のブドウが栽培されている
ブドウ農園の近くに乗馬コースがあり、乗馬体験が可能
シャトーにはワインコレクションセラーがあり、貴重なボトルが保管されている
シャトーにはレストラン「ナパ・バレー」が併設されている。ブドウ農園見学だけでなく、アクティビティや食事ができる総合リゾートとして、意識していることが伝わってくる

ここが、ほかのワイン産地と差別化できるところといってよい。一般的にワイン用ブドウというと、山梨県や長野県などがおもな産地。というのも、ワイン用ブドウの栽培地は、降雨量が少なく寒暖の差が大きいところが選ばれるので、標高数百メートルの山腹にヴィンヤードが造成されることが多い。そのため、総合リゾート施設とヴィンヤード・ワイナリーの併設は難しい。だが、中伊豆ワイナリーヒルズは急激に傾斜している山腹ではなく、高原の広々とした場所にある。そのため、グラウンドなどを併設可能で、日中にワイナリー見学や球技、乗馬を楽しみ、食事やワインが味わえ、そして温泉で疲れを癒やせる施設になっているのだ。

シャトーから歩いて10分ほどのところにある「ホテルワイナリーヒル」。サッカー場や野球場、テニスコートやプールもあり、スポーツの合宿所としても利用できる
宿泊客にはワインが1本サービスとなる。サービスウォーターはよくあるが、サービスワインは珍しい
露天風呂を備えた大浴場。日帰り温泉としても利用されている

さて、シダックスはあるスローガンを掲げている。それは「500の仕事、シダックス。」というもの。これは文字通り、500の事業を展開することを目標にしたものだ。前述した総合リゾートのほかに、多岐にわたる事業を行っている。外食産業もレストランのほか社員食堂、寮、研究所などの食事提供、医療・高齢者施設向け給食、カフェ、ケータリングなど多岐にわたる。そのほかにも食材や冷凍総菜の販売なども手がけている。

これら以外にも食器用洗剤、洗濯用洗剤、アルコール除菌ジェルといった衛生製品の販売、役員車の運行管理、路線バス、貸し切りバスといった交通業務、秘書、受付、案内業務といった企業サポートも行っている。

すべての事業の紹介はできないが、“500の仕事”というかけ声は、あながちウソとはいえない。シダックスのカラオケ店舗名は、しばらくは残るということだが、いずれは消えることが考えられる。ただ、撤退を発表したカラオケは、シダックスにとって事業の一部でしかなく、今後は“食”を中心にしたビジネスで存在感を示すだろう。