「マーケティング」の記事

マーケティングと恋愛が似てるってどういうコト?Facebookで聞いてきた

恋するSNSマーケティング講座 第1回

マーケティングと恋愛が似てるってどういうコト?Facebookで聞いてきた

2018.11.14

Facebook社員に「マーケティングのイロハ」を聞く新連載!

第1回は、講師の紹介と「マーケティングと恋愛」の関係性について

フェイスブック ジャパンのSNS運用コンサルタントに「SNSマーケティング」について聞く短期連載。初心者~中級者に知ってほしい「マーケティングの考え方」について、全5回にわたって説明します。

キーワードは「恋愛」。とっつきづらいマーケティングも、恋愛に喩えて考えてみると、意外とわかりやすいようです。

「恋愛とマーケティングは似ていると思うんです」

FacebookやInstagram、TwitterなどのSNSを活用したマーケティングは今や企業にとって欠かせないものになっている。

一方で、「どこから始めればいいのかわからない」「そもそもSNSマーケティングって?」といった疑問もまだまだあるだろう。そこで今回は、フェイスブック ジャパンのクライアントソリューションズマネージャ リードを務める丸山祐子さんを講師に迎え、SNSマーケティングを“恋愛”に喩えてわかりやすく解説してもらうことにした。

フェイスブック ジャパンのクライアントソリューションズマネージャ リード 丸山祐子さん

なぜ“恋愛”なのか。それは「日々のお客様とのやりとりの中で、恋愛とマーケティングは似ていると感じることが多かったから」と丸山さんは言う。

丸山さん自身も現在婚活中の身。これまで仕事最優先で生きてきたが、最近になってパートナーを探すべく婚活を開始したという。その過程で感じたのが、前述の恋愛とマーケティングの共通点だったというわけだ。

「流行」は人の手でつくられるモノ

今回は連載初回ということもあるので、まずは講師である丸山さんの経歴から紹介しよう。

東京で生まれ育った丸山さんは、中高大一貫校に通っていた。小学生時代から「自分の知らない世界に行ってみたかった」という丸山さんは、高校時代に初海外となるカナダを訪れる。

「知らない言語で話しかけられたり、東京では見られない地平線や水平線を見たりして、私の知っている世界はなんて狭いんだろうと思いました」(丸山)

海外に魅了された丸山さんは、一念発起してカリフォルニアの大学に進学。そのころ、「ファッションの流行は自然に生まれるのではなく、必ず裏には仕掛人がいる」ということを実感したのがキッカケとなり、「自分も人の心を動かす仕事がしたい」と考えるようになった。

大学卒業後は日本に戻り、人材業界で働くことに。長くアメリカで過ごしていたこともあり、日本の業界事情がつかめない中、「まずはいろいろな業界を知りたい」と考えたためだ。

その後、「リーマンショック」が起こり人材業界の業績が悪化したこともあり、業務を通して興味を持つようになったデジタル業界への転職を決意。転職先は、IT業界を中心にメディアプランニングなどを行う電通の子会社。メディア担当として、デジタル広告のイロハを学んだ。

そこで担当していたクライアントが、当時日本に上陸したばかりのFacebookだった。その後、それまで培ったデジタル広告のノウハウをより活かすべく、フェイスブック ジャパンへ転職し、現在に至る。

広告はラブレター「相手に届かないと意味がないんです」

丸山さんは現在、FacebookやInstagramの広告メニューについて、運用コンサルやメディアプランニングなどを行っている。また、Instagramをより企業に活用してもらうためのプロジェクトメンバーとしても活動しているそうだ。

さて、そんな丸山さんがFacebookのコンサル業務を通して常々感じていたのが「恋愛とマーケティングの共通点」である。

どんな業界でもそうだが、良い製品だからといって何もせずに売れるわけではない。“届けたいメッセージを届けたい相手にちゃんと伝える”必要がある。これがマーケティングの目的だ。

「広告はよくラブレターに例えられます。いくらラブレターを書いても、それがちゃんと届けたい人に、その人の心に響くかたちで届かないと意味がありませんよね。ラブレターを届けるために恋愛にもマーケティングが必要なんです」(丸山)

婚活において“ラブレターを届けるべき相手”とは、まだ見ぬ将来のパートナーだ。その相手はどこかに存在しているはずだが、まだ出会ってはいない状態である。運命の相手と出会うために重要なことの1つは「とにかく出会いの数を増やすこと」だという。

「1人と会ってみて、その人が運命の相手ならラッキーですし、そういうケースもあるでしょう。でも、そうでない場合には、たとえば運命の相手と出会える確率が1/100だとして、10人と会うのと100人と会うのではどちらの方が出会える確率が高いか、言うまでもありません」(丸山)

これはそのままマーケティングに置き換えても同じことが言える。自社の製品を購入してくれる潜在的な顧客の態度変容効果が一緒であるなら、できるだけ多くの人数に広告を届けた方が売上は伸びるはずだ。

「そう考えると、婚活でもせっかくの週末に部屋にこもっているのはもったいないなと思いますよね。積極的に行動をおこして、多くの人に出会う機会を増やすことが大事なんです」(丸山)

一方で、重要なのは数だけではないと丸山さんは言う。多くの人にリーチすることは大前提として、そこからさらに“出会いの効率”を上げていく必要があるのだ。

では「数」に続いて大事なこととは? 次回は効率を上げるために必要な「ターゲティング」について、これまた恋愛と絡めて聞いていく。

第2回「恋するSNS講座」は11月21日(水)に掲載予定です。

auが「ケータイ」の復活をサポートする理由

auが「ケータイ」の復活をサポートする理由

2018.05.14

「亡くなったおばあちゃんの写真が手元になかったので嬉しい」「子供たちの小さい時の写真はケータイばかりだったので」――。KDDIが「ワクワクを提案し続ける会社」を会社のミッションとして掲げる中で、2016年から進めている「おもいでケータイ再起動」というイベントがある。

これまで、名古屋と仙台、福岡のKDDI直営店で開催し、この5月にはグループ会社である沖縄セルラー電話の「au NAHA」で初めて開催した。このイベントは、auユーザーのみならず、NTTドコモ、ソフトバンクユーザーのケータイをもよみがえらせる、思い切った企画として、好評を得ている。

なぜ、KDDIはこのイベントを続けるのか。イベントの価値や、今後の展開について、KDDI コミュニケーション本部 宣伝部 ブランドプロモーショングループ グループリーダーの西原 由哲氏に話を聞いた。

KDDI コミュニケーション本部 宣伝部 ブランドプロモーショングループ グループリーダー 西原 由哲氏

他キャリア製品も"復活"

おもいでケータイ再起動はこれまで、小規模イベントを含めれば750名のケータイ(スマートフォン含む)を"再起動"してきた。古くは2000年頃の携帯から、今の主要携帯キャリア3社だけでなく、ツーカーなど、統廃合された携帯キャリアの端末を含めて持ち込まれている。

盛況だったau NAHAでのおもいでケータイ再起動。沖縄セルラー電話のキャラクター「auシカ」も来場した

持ち込まれた多くのケースは、バッテリーの過放電や充電ケーブルを破棄してしまったことで充電できなくなったというパターンだ。中には、バッテリーが膨らんでしまって使い物にならなくなったり、あるいは一部他キャリア製品については起動するためにSIMが必要だったりと、再起動できないケースもある。

一部回収したケータイは、その場で破断作業が行われる。回収した端末から、レアメタルなどを回収、スマホなどのパーツに再利用される。持ち込まれるケータイは、他キャリア製品も少なくない

ただ、KDDIは電池パックをチェック・充電する専用の機械を用意して、起動できる電圧を確保し、750名の笑顔を呼び起こしてきた。西原氏も「毎回、お客さまの反応が新鮮で、泣いている人や喜んでいる人、こちらとしても良かったなと思える」と話す。

バッテリーチェッカーで、最低限の充電を行う。携帯の端子が壊れてるなどのケースでもバッテリーに直接充電できるため、このイベントでしか復活できない携帯も少なくない

同社は、カスタマー・エクスペリエンス(CX)重視の姿勢を2016年から打ち出しているが、このイベントはまさに「お客さまが諦めていることを解決し、期待を超える体験価値」を生み出すものとして、「ワクワクを提案し続ける会社」を体現するものといえよう。

小さいようで大きい、お客さんの琴線に触れる仕掛けとして、再起動したケータイから写真をその場でプリントする企画を用意した。今回沖縄・那覇で参加したお客さんの一人は、「家ではプリンターを起動しないし、そもそもケータイが起動しないから諦めていた。こうやって写真をもらえて嬉しい」と話す。

このイベントにかかっているのはバッテリーチェッカーなどの器具の一部費用と人件費だけ。逆に言えば、西原氏らが自分たちで手を動かし、まだまだ仕組み化されていないことの裏返しだが、西原氏は「人と人が対面してやるからこそ、私たちが提供する"ワクワク"を感じてもらえるのかなと」と説明する。

「多くのお客さまから、『auユーザーでホントに良かったです』と言われるんです。多分、『こういうことをやってくれる良い会社で良かった』という意味だと思うんですが、これを他社ユーザーでも受け入れることで『ああ、auって温かいんだな』と感じてもらう。CMだけでは感じられない、"auらしさ"を感じとってもらうことが、私たちの存在を意識してもらえる一端になればと思っています」(西原氏)

実際、イベントに参加した人に質問を投げかけると、「前日にニュースで見た」「ラジオを聴いた」というドコモ、ソフトバンクユーザーがおよそ1/3ほどいた。「昔利用していたので、またauに戻ろうと思いました」「奥さんがずっとドコモなのでなかなか難しいですが、私としてはauに戻りたいですね」と、反応は様々だが、お客さんの心に響いたことに違いはない。

今はドコモユーザーという男性。「妻が許せばauに戻りたいと思いました」と話す
親のケータイの暗証番号を必死に探し当てようとする子供たち。この直後、家族みんなで暗証番号を解読した

「私たちのサービスを、他社ユーザーでも、徐々にauへと関心を寄せてもらえるに。そんな環境作りになれたらなと」(西原氏)。今回のイベントでも、5月11日~13日の3日間で100名を超えるユーザーの参加を見込む。累計で1000人の思い出を取り戻す節目が見えてくる段階だが、「まだまだCXの領域は、他部署も含めて模索中」(西原氏)だという。

現状のイベントはそれぞれが単発の"点"に見え、"線"にはなっていない。ただ、「当初から映像や写真を撮影して、思い出が復活した様子を残している。これらの蓄積を、多くの人にアーカイブとして見られるようにしたい。それは、このイベントを線として繋げて見せるだけでなく、ほかのCXの活動にも作用するような、汎用性のある工夫を進めていきたい」と西原氏は言う。

イベント開始当初は、KDDIの広報部として、オウンドメディアのいち企画としてスタートした。これを宣伝部に移管して西原氏らが進めるのは「会社として、このCXをブランド価値にしていくこと。au=CXという価値を、より広く、お客さまに伝え、ブランド化していくことだ」(西原氏)。

この女性は、中学生と高校生になった子供たちの10年前の写真をプリント。とても懐かしい画像のようで、写真を見ながら笑みをこぼしていた

携帯キャリアの存在意義は、「ケータイ」が全盛だった10年前と今で大きく変わりつつある。

どの携帯キャリアでも同じ端末が並び、スマホで使うサービスもSNSや動画、音楽など、携帯キャリアに依存しないものも増えた。さらに言えば、格安スマホと言われるMVNOが徐々に浸透してきたことで、「MNOの存在価値とは何か」をどう伝えるのか、西原氏らは宣伝部として、強く打ち出さなくてはならない状況にあるのだろう。

スマホやスマートホームなど、さまざまなデバイスがあらゆる身の回りに増えていく中で、機械ではなくあえて「人と人の接点を強く打ち出す」というKDDIのカスタマー・エクスペリエンス。この「CX」は、auというブランドが心の内側に入ることで、「ワクワクを提案し続ける会社」というミッションの前提になっているのかもしれない。

"ツール"のその先へ、アドビが教える「デジタル時代の企業の生き抜き方」

2018.04.16

「Leadership(リーダーシップ)」と「Strategy(戦略)」「People(人)」「Process(プロセス・組織)」「Product(製品)」。アドビが推奨するデジタル ガバナンスフレームワーク「L3PS」の要素だ。同社のコンサルティングサービスでは、Digital Marketing Center of Excellence(CoE)というデジタルマーケティングを推進するための中央専門組織設立をサポートするサービスも提供している。

アドビ システムズ アドビ カスタマー ソリューションズ統括本部 プロダクトエバンジェリスト 兼 シニアコンサルタントの安西 敬介氏は、同社のコンサルティングサービスについて、「(同社が)ソリューションや製品を売っているが、それらはあくまで導入した企業がデジタルマーケティングや顧客体験をデジタルでどう作っていくかのためのツールでしかない。包丁や鍋だけで良い料理が作れるわけではないように、ツールを使う人や組織をドライブさせるのがCoEだ」と話す。

もちろん、このサービスはアメリカからスタートしたものだが、日本の組織に最適化している。アメリカでは、各職能に特化したスペシャリストが多いが、「日本は企業がゼネラリスト(スペシャリストの対義語、広く領域を見る人)を作る傾向にあり、どちらかと言えばナレッジ・マネジメントが重要になる。そういった部分を日本風にアレンジしている」(安西氏)。

アドビ システムズ アドビ カスタマー ソリューションズ統括本部 プロダクトエバンジェリスト 兼 シニアコンサルタント 安西 敬介氏

アドビが教える"デジタル時代"のあり方

冒頭のL3PSは、デジタルマーケティングが文化として根付く体制を構築することを中心に

  • 一貫性を持ったマーケティング戦略
  • プライオリティ付け
  • プロセスのワークフロー設定
  • ナレッジ、ベストプラクティスの収集評価
  • 外部情報内部情報のキュレーション
  • 自社に必要な外部情報の収集
  • 各部門の集約、解釈

など、マーケティングに関連した行動要素を網羅して定着させる。デジタルマーケティングと言えばサイトの各種KPIを考えがちだが、「戦略がうまく行っているか、成熟度の度合い評価などをしっかり見ることが大切」(安西氏)だという。

デジタルマーケティングの基礎は、データに基づいた行動計画や判断だ。いかに計画を精緻化できるか、それはデータ・ドリブン・マーケティングが組織に定着しているかが鍵となる。L3PSでは、それぞれ確認項目を用意し、レポーティングする。それが成熟度として現れる。

とある顧客である銀行の例では、ログインユーザーの地域属性を参照して、地域ごとのプロモーションキャンペーンをログイン時にパーソナライズメッセージを出すようにした。ページの詳細を見た場合は、インバウンドコールさせたりなど、従来では部門ごとに縦割りで終わっていたキャンペーン施策を、組織全体で関連させるようにしている。

「デジタルマーケティングの全体戦略も重要だが、1to1のターゲティング戦略も作り込まないと駄目。ここがまだまだ難しく、各社が考えきれていない。ターゲティングのケースでありがちなのは、メインターゲット層に対してこうセグメント切って、という考えは持っていても、コミュニケーションの出し分けのような考え方が組織として成熟できていない。属性アプローチに加えて、インテントデータやサイト行動など、広くデータを組み合わせてパーソナライズする方法を考えなくては」(安西氏)

この銀行は、"文化定着"のためにL3PSのメジャーメントを受けたところ「成熟度評価では組織に踏み込んで指摘してくれることがありがたい。自社を客観的に見ることは難しく、通信簿のよう」(同銀行役員、Adobeインタビューより)というメリットを見出したようだ。

ただ、マーケティングに対する組織改革は一筋縄では行かない。「実際のクライアントで言えば、誰でも知っている、とある企業はおよそ3年かかった」(安西氏)。変化できる企業は安西氏が見る限り、1年間で効果がみえるという。逆に「1年で大きく変わった様子が見えてこないと、難しいと思う」(安西氏)。

1年が試金石である理由は、マーケティングの枠組みを超えて「デジタルトランスフォーメーションが急速に進む中で、ほとんどの業界が無関係ではいられなくなる」(安西氏)というメッセージだ。仮に、現時点で業界トップに位置している企業であっても、米タクシー業界に対してUberが殴り込んだように「競合含めて置いていかれる可能性がある」(安西氏)。だから、「自分たちはイケてる企業だ」という空気を1年で作っていけるのか、そういう意味での「勝負の1年」なのだろう。

もう少し具体的に現在のデジタル化の波で言うと、スマホ利用率は言わずもがな高まるばかり。しかも、モバイルとの親和性が高い業界の場合はPCよりスマホのトラフィックが多い。そうした環境では、従来はWebサービスのみの提供だったとしても、アプリ体験を含めて対応できるかが「かなり重要なポイント」(安西氏)。

ミレニアル世代(1980年生まれ以降のの若年層)はアプリ体験を第一に考えているアドビの調査結果もある。オフラインの業界であっても、その影響は無視できない

前述の銀行は、将来的にさらなるパーソナライズメッセージの進化を目指している。それは、オンラインからオフラインまで統合し、一貫したメッセージを伝えられるかまで検討している。現在のテクノロジーでは実現できない部分もあるだろう。ただ、将来のロードマップまで組織一体となって目標を見据えるのであれば、近くもなく、遠くもない未来のはずだ。

「マーケティングがデジタルになる、というだけでなく、私たちも製品名を『Adobe Experience Cloud』と変えたように、顧客体験を含めてデジタル化が進んでいる。顧客体験が軸になるならば、それはオンラインに限らない。意識改革のみならず、関係部署を含めて『サービスをどう売っていくか』だけではなく、『お客さまのニーズ』という顧客視点をどれだけ持てるか。視点を変えることが重要」(安西氏)

安西氏は、コンサルティングチームとして「ビジネスが上手く行くのかだけでなく、その先の顧客体験をどう上手く行くようにするのかが重要と捉えている」という。アドビのデジタル製品を使えるようにするだけでなく、その先の先、さらにその先の体験をどう作り出すか。安西氏らがやることは、もはやアドビの領域を超えた使命なのかもしれない。