「ベンチャー」の記事

「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

藤田朋宏の必殺仕分け人 第1回

「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

2018.11.15

ちとせグループCEOの藤田朋宏氏による新連載

巷を賑わす”ヘンな出来事”の問題点を、独自の解釈で洗い出す!

第1回は、「日本の科学技術投資」について

バイオベンチャー企業群「ちとせグループ」のCEOを務める藤田朋宏氏による新連載。“手段と目的の違い”によって生じた「ヘンな出来事」の問題点を、独自の視点で語ります。第1回は、「日本の科学技術投資」について。日本の科学技術への投資の問題点とはいったい何なのでしょう?

才能と“伸びしろ”に投資する、日本サッカー協会

先日、クアラルンプールに出張したときのこと。宿泊先のホテルが偶然にもサッカーの日本代表と同じだった。「日本代表」と言っても、同じホテルに泊まっていたのは本田や長友ではなく、U-16アジア選手権に参加している若い選手たち。

そこで彼らを見ていて、ふと考えた。日本サッカー協会の「選手への投資」は、実は凄く効率がいいのではないか。どうしてそう思ったのか、順を追って説明したい。

ホテルに置いてあったU-16アジア選手権のバナー

チェックインを済ませ、「部屋の準備があるから、ちょっとだけそこで待っていて」と指示するホテルマンに従い、ひとりロビーに放置されている間、何となしに選手の情報を調べてみた。それから一時間半。23名の選手一人ひとりの顔だけでなく、利き足まで覚えるくらいの時間が経っても、僕はまだロビーで放っておかれたままだった。まぁ、東南アジアではよくあることなので、腹は立たなかった。

ところで、「過去のU-16日本代表がその後、何度も日本代表に選ばれる割合はどれほどだろうか」と疑問に感じ、調べてみたところ、各年20数名の代表選手のうち、現役で活躍している選手は約1人であることが分かった。確かに16歳の段階では身体の発達に差があるし、試合で活躍できるかは運の要素も絡む。コーチとの相性やケガの問題もあるだろう。

そうは言っても、16歳の時点で日本代表に選ばれるだけのポテンシャルを持つ選手のうち、その数%しか将来も活躍できる選手がいない、という事実には驚いた。実際、長谷部、本田、岡崎、長友……など、この10年で活躍している選手たちの多くは、16歳時点ではそこまで期待されていなかった選手ばかりだ。

ではなぜ、そういった選手が後に日の目を浴びられたかというと、それは彼らにも「チャンス」を与えられていたからだろう。日本サッカー協会は、16歳時点で選抜したトップ選手だけに集中投資するだけではなく、同年代の他の有望選手にもしっかりとチャンスを与え続けられるような仕組みをつくれたのだと思う。

際立って目立つ選手だけではなく、将来の伸びしろがありえる選手にも、最低限のチャンスは回ってくることで、未来のトップ選手の育成が図れる。そうやって日本サッカー協会はこれまで、世界に通用するような選手を輩出してきた。

「科学技術に投資せよ」ではなく、予算配分の再考を

前置きが長くなってしまったが、ここから本題に入りたい。

先日、京都大学特別教授の本庶佑先生がノーベル賞を受賞したというニュースが流れた。「自分がバイオテクノロジー業界で働く人間だから」というのは関係なく、本庶先生と周りのチームの方々の長年にわたる科学に対する貢献が認められたこと、その事実に接した関係者の気持ちを想像すると、とても嬉しい気持ちになった。

ノーベル賞メダル(レプリカ)

近年、日本人のノーベル賞受賞が続いている。彼らのような日本の科学業界の仕組みをよくわかった方々は、これまで数多くのご苦労をされてきたことだろう。しかし、1つ残念なこともある。能力はもちろん、人格的にも優れたそういった先生方が、ノーベル賞受賞のタイミングでマスコミに発表する一世一代のコメントが「日本国の科学技術投資、科学技術教育のあり方についての憂い」であることだ。

僭越ながら、先生たちのコメントを解釈すると、よくニュースで取り上げられるような「科学技術にもっとお金を使え」ということではなく、その先にある「国家予算の配分」についての指摘をしていると認識している。

誰がなんと言おうと、日本の科学技術投資の選択と集中は年々進んでしまっているのが現状だ。しかし、先生方のいうような「選択と集中が進みすぎている」という指摘に対して、「日本にはもうお金がないのだから科学技術にばかり投資できない」と答えがずれてしまっている。

これこそが、日本の科学技術投資における問題ではないだろうか。

日本にはびこる「選択と集中こそが正解だよ病」

随分前からずっと不思議なのだが、そもそも「選択と集中こそが正解である」なんて、誰がいい出したのだろう。「選択と集中」の戦略で物事をうまく切り抜けられるようなことは、本当に生きるか死ぬか、背水の陣を敷いている時くらいだと思うのだ。

今の日本の「選択と集中こそが正解だよ病」はなかなか根深く、そもそもの目的を実現することよりも「選択と集中」を行うことそのものが目的になっているんじゃないかと感じることが多い。

今の日本で行われている多くの意思決定の場面で、サッカーの例で言うと、U-16日本代表を選んだ人のメンツを潰さないということが、強い日本代表をつくることよりも優先されてしまっているように思う。

そのため、16歳の時点で選んだ選手だけに集中投資し、16歳の段階で選ばれなかった他の選手のポテンシャルに賭けることもしないというような「選択と集中が正解である」という間違えた進め方で意思決定が行われているようなことが多いように感じる。

サッカー選手の育成でも、科学技術の投資でも初期の段階で選抜してそこだけに集中投資するという戦略を繰り返せば繰り返すほど、全体としての力は落ちる一方になるのではないか。歴代のノーベル賞受賞者の先生方も、そういうことを言いたかったのではないかと思う。

手段であるはずの「選択と集中」が、目的となっている?

私は、「16歳の段階で、将来素晴らしいサッカー選手になる人物を見分けられる」なんて言葉は、伸びしろのある選手に対しておこがましいと感じる。これは科学技術の研究にも同じことが言える。「その研究が将来素晴らしい成果を残すかどうか見分けられる」なんて言葉は、科学者に対しておこがましい。

もっと言ってしまえば、どの研究が将来化けるかの判断は、16歳のサッカー選手の成長を言い当てることより遥かに難しいだろう。なぜならば、サッカーという競技のルール自体は変わらないが、科学と言う競技はルール自体を決めているので、科学研究の将来性をあらかじめ予測するのは16歳のサッカー選手の将来性を予測するより難しいためだ。

そんな中、日本サッカー協会が幅広い底上げに力を入れ、紆余曲折も有りながらも右肩上がりの成長を維持できているにも関わらず、日本の科学技術投資は過剰な「選択と集中」を強めるが故に、科学技術力の相対的な低下を招いているように感じる。

その差はいったい何か? これは1つの仮説でしかないが、日本サッカー協会の強さの秘訣は、会長の独断で物事を決められる側面が強い組織であるために「目的」がハッキリしている点にあるのではないだろうか。

その一方で、日本の科学技術投資のような“数多くの人の善意の組み合わせの上になり立っている意思決定機構”では「選択と集中を進めることが正解である」という、本来手段の一つである価値観が「目的」となってしまっているように感じる。

本来考えるべきは、「日本の科学技術をどうするべきか」ということであるにも関わらず、その手段と目的が逆転しまっているのではないだろうか、と思うのだ。

Airbnbは、日本の伝統工芸の救世主となるかもしれない

Airbnbは、日本の伝統工芸の救世主となるかもしれない

2018.11.09

日本の伝統工芸に危機が迫っている

観光客との関わり方の変化から、突破口を見つける職人たち

Airbnbは「体験」サービスで新たな可能性を見出しつつある

漆に染物、能面、造園、提燈、つまみ細工――。日本には、長年受け継がれている幾つもの技術や美術、工芸がある。

そんな伝統工芸に危機が迫っている。伝統的工芸品産業振興協会の調査によると、生活様式の変化や、安価な輸入品の増大などが影響し、需要が低迷。昭和50年台のピーク以降、生産額は年々下がりつづけているという。企業数、従事者も減少に歯止めがきかない状況にあり、このままでは、日本の伝統工芸品はその多くが姿を消してしまう。

そうした状況の中、日本に救いの手を伸ばす企業がある。民泊で知られている世界最大級の旅行コミュニティプラットフォーマー「Airbnb」だ。「民泊と伝統工芸がなぜつながるか」と疑問に思う人も多いことだろう。もしかするとAirbnb自体もこうなることは予想していなかったかもしれない。

「伝統工芸品を知ってもらう機会が増えたんです」

2018年6月の住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行から数か月、Airbnbは、ホームシェアに関する情報提供と新規ホストの育成を目的として、国内10都市を巡る全国キャラバンを開始した。

キャラバンの初回となる京都では、京都で提灯を作る「小嶋商店」の小嶋俊氏、同じく京都で髪飾りや小間物などを作る「京都おはりばこ」の北井秀昌氏、Airbnb 執行役員の長田英知氏が参加するトークセッションを実施。

Airbnbの「体験サービス」(現地に住む人がホストとなり、その地特有の体験をゲストに提供するサービスのこと。Airbnbは2018年7月30日より、この「体験サービス」の提供地域を全国へ拡充している)を提供するホストが自身の体験と、今後のAirbnbに求めることを語った。

Airbnbのキャラバンカー。この車が全国をまわり、Airbnbに興味がある人と、既存ホストがコミュニケーションをとれる機会を提供する

「Airbnbのおかげで、外国の人たちに伝統工芸品を知ってもらう機会が増えました。私はもともと、旅行客に空部屋を提供する宿泊ホストとしてAirbnbを利用していたのですが、そのときに感じたのは、Airbnbを利用して日本に来る人は、『知的好奇心が高い』ということ。そのため、クリエイターの方の割合が高く、私たちのものづくりに興味を持ってくれる人が多くいました」(北井氏)

Airbnb、体験ホストによるトークセッション。左から提灯職人の小嶋俊氏、つまみ細工職人の北井秀昌氏、Airbnb 執行役員の長田英知氏

伝統工芸品の需要が低迷している今、職人達には”新しいこと”を始め、新たな需要を創出することが求められている。経産省も「観光業などの異分野との連携、海外への展開」などを勧め、そこに補助金を出すなどしてサポートしているが、職人にとっては、申請が面倒であったり、なによりこれまでに経験のない挑戦であったりと、なかなかとっつきづらかった。

そこにうまくはまったのが、「人と人」をつなぐプラットフォーム、Airbnbであったというわけだ。これまでの観光客は、指定されたツアーに行ったり、自分の行きたい場所をあらかじめ調べて置いたりと、”一定のルート”を辿りがちであったし、そもそも日本人は英語を積極的に話そうとしない傾向にある。これまでの観光客は主要な観光地を巡り、満足して自国へと帰っていた。

しかしAirbnbは、同社の掲げる「暮らすように旅をしよう」というメッセージからも伝わるように、宿泊ホストにお勧めの場所を聞いたり、体験ホストとその地でしかできない体験を共有したりと、現地の人々の暮らしを体験できるようなサービスを提供している。その結果、外国人ゲストとの関わりが増えた職人たちは、自身のものづくりを知ってもらう機会が増えているのだという。

ブレイクスルーに必要な”新しい視点”

提灯職人の小嶋氏は、まだAirbnbのホストとしての経験はなく、これから体験サービスを提供していく予定。まだホストになるための手続きを終えたばかりで、サービスの開始には至っていないそうだが、同氏はすでに広がる未来を見据えている。

「外国の人たちは、見慣れない提灯を見て、日本人とは変わった視点で評価してくれます。伝統工芸品、というよりはむしろ『芸術品』として見てくれて、実際に購入していく人も少なくない。これまで私たちの提供する提灯は、日本の神社や仏閣、お祭りで飾るものがほとんどでした。でも、その反応を見ていると『もしかすると海外でも売れるのでは』と考えるようになりました。これから体験ホストとなることで、外国人ゲストと交流していくことは、私たちのものづくりにいい影響を与えていくでしょう」(小嶋氏)

小嶋商店では、これまでの提灯のあり方を見直し、提灯にプロジェクターで映像を映し出すといった見せ方の工夫を試みたり、夜の鴨川を散歩する外国人客用に提灯を貸し出したりと、積極的に新たな需要を生み出している。

内外の建築家とのコラボも考えているそうで、「Airbnbがそういった、外国の職人(クリエイター)達と出会える場となれば」と、今後の体験ホストとしての活動への期待を語った。

人と人が繋がり生まれる、小さなオープンイノベーション

日本には、長年受け継がれている幾つもの技術がある。しかし、需要が減少し続けている今、店をたたんでしまったという職人たちは多い。歴史の長さが故、新たな需要を作り出すという視点に切り替えにくいことも原因だろう。

血液循環が悪くなってしまった企業を救うのが、その技術に可能性を見出した異業種、異分野の大学や企業、自治体などとのオープンイノベーションであれば、日本の伝統工芸(ひいては職人達)を救うのは、外国人クリエイターをはじめとした、外からの目線と技術による”小さなオープンイノベーション”かもしれない。

民泊から始まったAirbnbは今、そこに「体験」のサービスが加わったことにより、眠っていた観光資源に脚光を当てただけではなく、日本の伝統工芸の復興という新たな可能性も見出しつつある。

Airbnbは、日本の伝統工芸を後世に残すキッカケを作り出すかもしれない

これはAirbnbによって紡がれたストーリーの1つにすぎない。Airbnbは人と人をつなぐプラットフォームであるが故に、その地にいる人が、新しい視点を持った人とコミュニケーションをとることによって、課題点の突破口を見出すキッカケとなる。日本でのキャラバンは全国10都市で行われる予定で、まだ始まったばかり。

急速に広がるAirbnb経済圏は、 これからも各地に眠るさまざまな資源を掘り起こすキッカケを作り出しそうだ。

Airbnbキャラバンカーは京都(10月26日)を皮切りに、全国10都市をまわる予定
大和ハウスグループのベンチャーがキャッシュレス端末開発、その狙いは?

大和ハウスグループのベンチャーがキャッシュレス端末開発、その狙いは?

2018.11.05

多様な決済手段に対応するキャッシュレス端末の新製品

手掛けるのは住宅最大手、大和ハウスグループのベンチャー

五輪も見据えキャッシュレス関連ビジネスが一層旺盛

大和ハウスグループのロイヤルゲートが、クレジットカードや電子マネー、各種QRコード決済などに対応したハンディタイプの決済端末「PAYGATE Station」を発表した。「これ1台で決済のほとんどに対応できる」(代表取締役CEO・梅村圭司氏)というほど、豊富な決済手段をサポートする。

ロイヤルゲートの代表取締役CEO・梅村圭司氏

新端末はNTTドコモや楽天、LINEなどのパートナー企業とも協力して拡大を目指す。12月7日から販売を開始し、端末単体の価格は7万円だが、同社のソリューションと組み合わせると5万円。導入数によるボリュームディスカウントなどにも対応するという。

PAYGATE Station

多様な決済手段への対応が特長

PAYGATE Stationは、一般的な形状のハンディタイプの決済端末だが、OSにはGoogleのAndroidを採用し、大型のディスプレイを搭載する。側面に磁気ストライプ、下部にICリーダー、上部に非接触リーダーを搭載しており、例えばクレジットカードを指定すると、スワイプ、PIN、NFCのタッチ決済という3面待ちとなるので、使い勝手がいい。

製品の本体カラーは2色をラインアップ
クレジットカードは3面待ち。UIも分かりやすい
UIはAndroid標準。アプリを追加することで機能を拡張できる
プリンタも備え、SMSやメールでレシートを送信することも可能

本体底部にはカメラを搭載しており、QRコードの読み取っての決済にも対応できる。サーマルプリンターや、無線LAN、Bluetooth、4G LTEの無線機能も備えており、これ1台で決済の全てが完結する。

底面にはカメラを搭載
対応するQRコード決済

また決済端末として「世界で初めて」(同)、トレンドマイクロの組み込み向けセキュリティ機能を搭載したという。磁気ストライプやICを読み取ると同時に暗号化してゲートウェイに送信することで、安全性を高めた。

トレンドマイクロのセキュリティソリューションを搭載するほか、決済HSMとしてタレスを採用

対応する決済手段は、VISA、MasterCard、JCBといったクレジットカードの国際ブランド、VISAとMasterCardのNFCのタッチ決済、FeliCaを使った電子マネー、7種類のQRコード決済、Ponta、楽天ポイント、dポイントという3種類の共通ポイント。主要な決済手段はほとんど網羅した。

対応する決済手段

接続するアクワイアラも、クレディセゾン、三井住友カード、JCB、UCカードなど大手をカバーする。POSや基幹システムとの連携に関しても、Internet APIを用意して接続を容易にしたほか、今後に向け、有線、Bluetooth、無線LANを使った連携についても研究・開発を続けているという。

接続するアクワイアラ
今後連携機能を強化していく

キャッシュレス関連需要はさらに旺盛に

日本では、経済産業省らが音頭を取ってキャッシュレス化比率の拡大を目指しており、さらに店舗側にはカード番号非保持、P2PE(Point to point Encryption)への対応も必要となっている。インバウンドの外国人旅行者は拡大の一途であり、2019年はラグビーワールドカップ、2020年には東京オリンピックと国際スポーツイベントが相次ぐため、現金以外の決済への対応の必要性が増々高まっている。

キャッシュレス対応のソリューションは多岐にわたってしまっており、それら全てに対応でき、かつ簡単に使える決済端末が求められていた。今回の製品は大手だけでなく、中小の店舗なども一台でカバーでき、容易にキャッシュレス対応ができるとして、ロイヤルゲートでは3年間で10万台の販売を目指していく。

11月1日に開かれた製品発表会には、ビザ・ジャパン、NTTドコモ、楽天、LINE Pay、PayPay、ロイヤリティマーケティングなどがパートナーとして登壇し、同端末への期待をにじませる。例えばNTTドコモは、クレジットカードプラットフォームのiD、クレジットカードのdカード、おサイフケータイ、QRコードのd払いに加え、LTEネットワークも提供しており、この全てに対応するPAYGATE Stationとの親和性が高い。

たとえばLINE Payでは、QRコード対応のハンディ端末に加え、今回のPAYGATE Stationを追加することで、幅広い決済に対応する
2011年からロイヤルゲートのペイメントパートナーであるGMOフィナンシャルゲートが認識するPAYGATE Stationのメリット

ロイヤルゲートでは自社のソリューションとの組み合わせによる端末販売も行うが、パートナーが自身でサービスと端末を販売することも可能で、ドコモのような親和性の高いパートナーが独自に販売することもありえるだろう。

そのため、パートナーによっては端末を安価にしてソリューションや手数料などで回収するといったビジネスモデルも提供できるため、今後各社のソリューションにも期待が持てそうだ。

ゲストに登場したパートナー各社の代表者。右からロイヤリティマーケティング上級執行役員営業統括グループ長・野田和也氏、PayPay副社長・馬場一氏、LINE Pay取締役COO・長福久弘氏、トレンドマイクロ上席執行役員・大場章弘氏、ロイヤルゲートCEO・梅村氏、ビザ・ワールドワイド・ジャパン テクニカルデベロップメント ディレクター・今田和成氏、楽天 楽天ペイ事業部シニアマネージャー・中村龍信氏、NTTドコモ プラットフォームビジネス推進部ペイメントビジネス担当部長 伊藤哲哉氏、GMOフィナンシャルゲート代表取締役社長・杉山憲太郎氏

大和ハウスが決済ソリューションを提供する意味

ロイヤルゲートは、大和ハウス工業が今年4月に買収したベンチャー企業だ。大和ハウスは住宅建設だけではなく、賃貸管理、商業施設、流通店舗など、幅広い事業領域をカバーしており、例えば賃貸の家賃決済でクレジットカード対応する場合や、同社が手がける商業施設での店舗決済などで、ロイヤルゲートの決済ソリューションが利用される。

すでに、グループの大和リースによる商業施設「BRANCH札幌月寒」で導入が決まっているほか、大和ハウスフィナンシャルの契約・精算サービスでの活用など、グループのシナジーを生かしたソリューションを提供していく計画だ。

大和ハウスグループはこれまで、基本的にフロービジネスで都度課金の仕組みが中心だったのに対して、決済をはじめとしたソリューション提供による継続課金でのストックビジネスにも注力していきたい考え。その一環として、今回の決済端末の成否は小さくない意味を持つことになる。