「バーチャルYouTuber」の記事

「輝夜月 LIVE」から見えた“VRの持つ可能性”

「輝夜月 LIVE」から見えた“VRの持つ可能性”

2019.05.09

VTuberの輝夜月が2度目のVRライブを開催

VRならではの多彩な演出が光る

企業のプロモーションの場としても大きな効果を残した

2019年5月1日。「平成」が終わりを告げ、新たな元号「令和」が始まった。そんな時代の節目とも言える日に、新時代を象徴すると言っても過言でないライブイベントが開催された。バーチャルYouTuber(VTuber)の輝夜月さんによるVRライブ「輝夜月 LIVE@ZeppVR2」だ。

VR空間プラットフォーム「cluster」の仮想空間「Beyond the Moon」にある「Zepp VR2」にて、VTuberの輝夜月さんが歌やダンスを披露するという内容の同イベント。本稿では、ライブ中に随所で見られた“VRならではの演出”をピックアップしながら、VR空間の可能性について考えてみたい。

会場内では全員エビフライ

VRのライブ会場ではドレスコードが規定されていた。いわゆる「統一のアバター」を使用するわけである。実際にVR空間へ入り込むと、右も左もエビフライ。参加者は、輝夜月さんが考えたキャラクター「エビーバー」の格好をしているのだ。

clusterでは、拍手や笑い声といったアクションを起こせるのだが、今回のライブ用として、スポンサーである「日清焼そばU.F.O.」や「令和」の文字を表示させるコマンドを搭載。開場を待っている多くのエビフライたちは、その限定コマンドを試しつつ、周辺をウロウロしていた。

VR空間に入ると、大量のエビフライに出会う
画面左下のボタンから「日清焼きそばU.F.O.」や「令和」のアクションを行える。「エビフライ」や「ブロッコリー」も今回のライブ専用アクションだ

「VR空間上を移動する」体験の提供

ライブの開演時間が迫ってくると、輝夜月さんの考案したキャラクターである「エビーバー」と「パブロッコリー」が案内役として登場。すると、LOW GUYS(ロウガイズ)と呼ばれる紫色のエビフライが押し寄せてくるではないか。

「みなさん、何されるかわからないですよ! 逃げましょう」と、パブロッコリーが来場者を大きな塔へと誘導する。参加者はVR空間のなかを移動し、LOW GUYSを振り切って建物内へと足を踏み入れるという演出からライブが幕を開けたのだ。

LOW GUYSたちがどこからともなく大量発生
エビーバーとパブロッコリーの案内のもと塔へ避難する

無事に逃げ切れたエビフライたち。建物のなかは真っ暗だったが、パッと明かりがつき、ライブのステージが現れた。しかし、すでに部屋のなかには大量のLOW GUYSが。絶体絶命か、と思ったところで、「おはよぉー!」と主役が登場する。そして、そのままオリジナル曲の「Beyond the Moon」が始まった。

輝夜月さん降臨
群がるエビフライたち

おそらくほとんどの参加者は、大きな塔のなかがライブのステージになるとわかっていただろうが、これらの演出のおかげでライブがスタートする前から“ワクワク感”があった。バーチャルという移動の制約がほとんどない空間で、あえて来場者を移動させることが、まるでテーマパークのアトラクションが始まる前のような体験を提供していたのだ。

VRならではの演出群、スポンサーの露出もバッチリ

ライブは進み、さらなる演出がエビフライたちを驚かせる。まずは衣装やステージの転換だ。曲に合わせてサングラスを装着したり、一瞬でステージのデザインがガラリと変わったり、来場者のようにエビフライのコスチュームを身にまとったりと、視覚効果で楽しませてくれる。

曲に合わせて衣装やステージがチェンジ

そして、輝夜月さんが来場者とコミュニケーションを図っているうちに、ステージはエレベーターのように少しずつ上昇していき、最上階に到着。再び移動パートに突入だ。建物の非常口を抜けて、もう1つのステージへ。4月に配信されたばかりのオリジナル曲「NEW ERA」を披露すると、輝夜月さんはロケットに乗り込み宙へ飛び立っていった。

輝夜月さんと一緒に次のステージへ移動するエビフライ
ロケットで帰っていく輝夜月さん
ロケットが見えなくなるとメッセージが

輝夜月さんが帰ったあとも、会場には多くのエビフライが残っており、約5分おきに「日清焼そばU.F.O.」のCM曲に合わせて踊る輝夜月さんのホログラムが映し出される演出を取り囲んで、名残惜しそうに眺めていた。

ライブ終了後、日清のCMに合わせて踊る輝夜月さんのホログラム映像

ライブ会場に入る前の待合スペースで設置されていたテレビ画面でも「日清焼そばU.F.O.」のCMが流れていたこともあり、今回のライブに参加した人は何回CMを耳にしたかわからないはずだ。また、今回のライブはVR空間だけでなく、ライブビューイングでも実施されていたのだが、開演前にCMが流れると、会場全体でCMに合わせて「コール」のようなものが起きていたという。

VRならではの演出が目立ったが、それだけにとどまらず、仮想空間におけるプロモーション効果を実証できたと言えるのではないだろうか。野球の球場やサッカーのスタジアムにスポンサーの看板が置かれているようなイメージで、VRライブの会場でも企業ロゴの入った看板や広告ポスターの設置、CM映像などのプロモーションが行われることが一般的になるかもしれない。

藤間桜を演じる22/7「天城サリー」は、バーチャルに何を思う?

藤間桜を演じる22/7「天城サリー」は、バーチャルに何を思う?

2019.04.09

秋元康氏が総合プロデュースするデジタル声優アイドルグループ22/7

メンバーの藤間桜さんはいち早くYouTubeチャンネルを開設

デジタル声優アイドルとは何か、藤間桜役の天城サリーさんに話を聞いた

バーチャル上のキャラクターとして動画配信を行う「バーチャルYouTuber(VTuber)」。2018年には「ネット流行語大賞」の金賞と、三省堂の「今年の新語」第5位に選ばれるほど話題になった。いまでは6000以上のキャラクターが活動中だと言われている。

しかし、ブームの起きた2018年よりも前からバーチャル上で活動しているグループがあった。2016年に結成したデジタル声優アイドルの「22/7(ナナブンノニジュウニ)」だ。22/7をプロデュースするのは、「AKB48」や「乃木坂46」「欅坂46」などを手がけた秋元康氏。常にアイドルの時代を築き続けてきたと言っても過言ではない彼が次に着目したものの1つが、バーチャルの世界だったのだ。

22/7は、11人のメンバーと、彼女たちが演じるキャラクターで構成されるグループ。各キャラクターの声はもちろん、モーションキャプチャによるキャラクターの動きも、ミュージックビデオのダンスも、担当の「デジタル声優アイドル」本人が演じている。

22/7の3rdシングル『理解者』music video

一般的なVTuberと大きく異なる点は、声優本人がリアルでの公演も実施することだろう。もちろんその際は、バーチャルではなく、生身の人間として歌とダンスを披露する。

バーチャルでもリアルでも活動する22/7。声優でもありアイドルでもあるメンバーは、どのように仕事に向き合っているのだろうか。今回、メンバーのなかでいち早くYouTubeチャンネルを開設し、VTuberとして活動を始めた「藤間桜」役の天城サリーさんに、お話を伺った。

天城さん演じる藤間桜。キャラクターデザインを手がけたのは、『変態王子と笑わない猫。』『ガラスの花と壊す世界』『メルヘン・メドヘン』などでキャラクター原案を手がけたカントクさん。画像はメインキャラクターデザインを担当した堀口悠紀子さんによる藤間桜 © 22/7 PROJECT

バーチャルとリアルの境目をつなぐデジタル声優アイドル

アニメ声優の場合、決められたセリフを限られた話数のみ担当するのが一般的だ。しかし、22/7というグループでは、各メンバーがそれぞれ1人のキャラクターを演じながら、動画や番組に出演する。

つまり、自分ではないキャラクターとしても、アイドル活動をしなければならないのだ。そのあたりについて、難しさはないのだろうか。

「難しいと感じる部分はありますね。『桜ちゃんはこういう子』というメモを頭のなかに用意しているんですが、動画配信などで長い時間演じていると素の部分が出ちゃうこともあります」

藤間桜を演じる22/7の天城サリーさん

ついつい演技ではない自分の素が出てしまうという点は、声優でもありアイドルでもあるというユニークなコンセプトを持つ22/7ならではの悩みと言えるだろう。

「声のトーンを少し高めにしたり、『まみむめも』を丸めに発声したり、素の部分が出ないようにかなり気を遣っていますね。でも、ファンの人たちって、私が完璧に藤間桜を演じているときより、たまに私の素が出たときのほうが『天城が出たぞー!』って盛り上がってくれることもあるんです(笑)」

その点におけるファンの心情としては、アニメファンというよりもアイドルファンの側面が強いのかもしれない。アイドルは通常、「生身の人間」でありつつ「アイドル」を演じている。そんななか、たまに覗かせる「1人の女の子」の部分に強い関心を抱くのだ。天城さんら22/7の活動は、そうした「キャラクター」と「生身」の境目が、これまでのアイドル以上に複雑になっているからこそ、素が出たときのファン反応がより大きいのではないだろうか。

また、22/7ではバーチャルの活動だけではなく、リアルライブでファンと触れ合う機会もある。リアルのイベントでは藤間桜と天城サリー、どちらのキャラクターで臨むのだろう。

「バーチャルライブでは桜ちゃんとして、リアルライブでは天城サリーとして臨みます。ただリアルでも、ダンスに“桜ちゃんらしい動き”が入っているところは入れるようにしていますね。例えば2ndシングル『シャンプーの匂いがした』のDメロでは、みんな一列に並ぶところがあって。桜ちゃんはそこで大きくジャンプするんですが、ライブのパフォーマンスでもそこは再現するようにしています。モーションキャプチャも自分たちがやっているんだよ、ということを伝えるためにも、ちょこちょこ意識して入れてるんですよ」

『シャンプーの匂いがした』music video。4分過ぎの藤間桜の大ジャンプに注目

海外育ちのアニメファンだからこそできた動画スタイル

また、英語のYouTube動画を配信しているのも、藤間桜の特徴の1つだ。実は天城さん、両親は日本人だが生まれも育ちもアメリカ。動画では「heyguys!」という挨拶からはじまり、日本のニュースを英語で紹介したり、漢字の難しさを体を張って伝えたりと、帰国子女らしいキャラクターを押し出している。

しかし、遠く離れた異国の地で育ちながら、なぜ日本でデジタル声優アイドルを目指そうと思ったのだろう。

「日本のアニメ、特に『銀魂』を大好きになったのがきっかけです。『銀魂』で主人公の銀さんを演じる声優の杉田智和さんに憧れて、『日本で声優をやろう!』って思い立ったんです」

声優を目指したきっかけは日本のアニメだった。しかし、それ以外にもアニメは自分に大きな変化を与えてくれたのだという。

「昔はアメリカに染まろうと思っていて、日本人の部分を少し隠そうとしていました。そうした心境を変えてくれたのも、アニメだったんです。アニメを好きになってから、アメリカで開催されている『アニメ・エキスポ』に行ったんですが、そこで出会う人々に『日本人なの? 日本って、いいよね!』と、言ってもらえて。それ以降、周囲に隠そうとしていた自分の日本人の部分が、誇らしく感じられるようになりました」

天城さんが育った地域は日本人が少なかったこともあり、小さい頃は「日本語を話せること」や「日本のお弁当」を隠したい気持ちがあったという。しかし、日本のアニメに触れたことで、その考えは大きく変わった。

「それと、実は学校にあまり登校していなかった時期があったんですが、それもアニメに触れているうちに変わっていきましたね。アニメファンって、アメリカではインドアでネガティブなイメージがあったんです。だから、学校には自分の居場所がないように感じていました。でも、日本人であることを受け入れると同時に『ありのままの自分でいいんだ』と思えるようになって。それから、学校にもしっかり通うようになりましたね」

日本のアニメがきっかけで、夢ができ、日本人としての自分に自信を持てるようになり、学校にも行くようになった。まさに人生が大きく変わった天城さん。しかも、その生い立ちが、VTuberとしての活動にも大きな影響を与えているという。

「英語ができるのは自分の大きな強みだと思うんですが、それだけではなく、海外でアニメファンをしていたことが大きかったと実感しています。例えば、アメリカで日本のアニメを見ているとき、ずっとキャラクターが英語で話していることに対して、ものすごく違和感がありました。アニメ特有の柔らかいニュアンスが、英語のセリフからは感じられないんです。それは私だけでなく、海外のアニメファンが普段から感じていることだと思います」

そのため、天城さんは自分が配信する英語の動画に、1つの工夫を取り入れた。

「私はあえて英語に日本語のニュアンスをおりまぜて配信をしてるんですよ。英語に日本語のニュアンスを混ぜる言葉を、向こうでは『ジャングリッシュ』(JapanとEnglishを合わせた造語)と呼ぶんですが、英語の最後に“です”を入れたり、途中で“これです”という日本語を入れたりしています」

日本のニュースをジャングリッシュで紹介。時折出てくる「but、しかし」などの日本語が表現を柔らかくしている

世界中とつながれることがバーチャルならではの魅力

海外での生活とアニメ好きの経験を22/7の活動に生かしている天城さん。自分の演じる藤間桜のことはどのように思っているのだろうか。

「桜ちゃんは、とにかくまっすぐで明るい子ですね。演じている私のインドアで暗い性格とは正反対(笑)! でも、だからこそ桜ちゃんを演じたいと思いました。桜ちゃんが大好きで、どのキャラクターよりも幸せになってほしいと願っています」

性格が違うからこそ演じたい。そう話す天城さんだが、自分と性格のギャップが大きいキャラクターを演じるのは、難しそうなイメージがある。

「たしかに、グループに入って間もない頃は、自分と正反対の存在である桜ちゃんみたいにコミュニケーションできるか不安でした。でも、実際に番組の企画などで、積極的にいろいろな人に話にいくと、“意外とみんな優しく接してくれる”ことに気づけたんです。桜ちゃんから勇気をもらえた感じですね」

バーチャルのキャラクターを演じることで、リアルの自分が成長する。両極端に位置する2人だからこそ、得られたものなのかもしれない。

「むしろ、もともと引っ込み思案な性格なので『天城サリー』としてだったら、動画やテレビ番組で饒舌に話ができないと思います。バーチャルのキャラクターだからこそ、普段言えないようなことも言えるんです」

2018年7月には22/7が出演するレギュラー番組『22/7 計算中』がTOKYO MXでスタートした。そこでも「自分が話している」という意識より「藤間桜」が話しているというイメージなのだという。

「学校では無口ですが、沈黙が嫌いなので仕事ではよくしゃべるんです。ただ、どちらが本当の自分とかではなくて、どちらも自分なんだなと思います。よくしゃべるという自分の側面は、22/7に入ってから発見することができました」

22/7に入って、そして藤間桜を演じたおかげで、大きな成長を実感している天城さん。デジタル声優アイドルとして、どのような存在を目指すのだろうか。

「私がよく言うのは『友達になりたいアイドル』です。それを目指して、今後も活動し続けていきたいと思います。手の届かない『遠い存在のアイドル』は、自分には合わないかなと思っていて」

アイドルはかつて、なかなか手の届かない存在だった。しかし、おニャン子クラブから徐々に親しみやすい存在になり、「会いに行けるアイドル」を標榜したAKB48から決定的に親しい存在になった。

現在は、会いに行かなくても「ネット配信」で、日本はおろか、世界の人々とリアルタイムでコミュニケーションができるほど、近しい距離になっている。そんな時代で彼女が「友達になりたいアイドル」を目指すのは自然なことかもしれない。そうした距離感の存在が、今後さらに増えていくのだろう。

「以前、桜ちゃんとしてバーチャルハイタッチ会をやったんですが、そんなバーチャルライブのような取り組みが広がれば、海外にいる人も日本に来ることなく桜ちゃんに会えますし、私たちの活動を世界中の人に知ってもらえます。そうやって世界から応援してもらえるようなグループになるといいな」

世界中どこにいても会えること。それはアメリカで育ち、多くの海外ファンがいる天城さんだからこそ、出てくる視点だろう。そんな彼女にグループとしての今後の目標について聞いてみた。

「22/7には、声優として活動したいと考えているメンバーもいるので、それぞれ目標とするところでも活動してほしいですね。そこで得たものを22/7に持って帰ってきてもらい、マルチなグループに成長できたらいいなと思います」

そう話す天城さん自身も、TVアニメ『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』のベルトワーズ・ベツィー役や、アニメ映画『パンドラとアクビ』のアクビ役として、アニメの声優にも挑戦している。

彼女はそこで何を得て、何を22/7に持ち帰ってくるのだろう。デジタル声優アイドルという他に類を見ない活動をする天城さんと22/7が、どのように成長していくのか、そしてアイドル業界やVTuber業界にどのような影響を与えるのか、興味は尽きない。

VTuber制作からモーションアクターまで! コンテンツ東京のバーチャルビジネスを一挙紹介

VTuber制作からモーションアクターまで! コンテンツ東京のバーチャルビジネスを一挙紹介

2019.04.05

「コンテンツ 東京 2019」が東京ビッグサイトで開催

今回は「VTuberゾーン」が新設された

ビジネス展開が進むVTuber関連のブースを紹介する

東京ビッグサイトで4月3日~4月5日に開催中の「コンテンツ東京 2019」。ライセンシングジャパンやクリエイターEXPO、コンテンツ マーケティング EXPO、映像・CG制作展、先端デジタルテクノロジー展など、さまざまなジャンルのサービス展示、商談が行われている。

なかでも注目したいのが、バーチャルYouTuber(VTuber)のサービスが展示されている「VTuberゾーン」だ。今回から映像・CG制作展に新設されたエリアである。

ロート製薬がVTuber社員を雇ったり、サントリーが公式のVTuberを採用したり、日清食品がVTuber・輝夜月のCMを制作したりと、企業でのVTuber活用が目立ち始めた昨今。「自社でもプロモーションにVTuberを活用したい」と考えている人も多いのではないだろうか。

だが、VTuber関連のマーケットは2018年に急成長したばかり。運用のノウハウがある企業はまだ少ないだろう。そもそも「何をすべきかわからない」と頭を抱える担当者もいるはずだ。

そこで、本稿では、「VTuberゾーン」で展示されていたサービスをいくつか紹介する。VTuberビジネスを進めるうえでの参考にしてほしい。

指の動きから表情まで、すべてをとらえるキャプチャシステム

スパイスのブースでは、なんとVTuberのライブ配信の裏側を実演。モーションキャプチャを装着した2名の女性の動きと声がリアルタイムにVTuberとリンクし、ライブ映像としてディスプレイに表示されていた。いわば、“中の人”が普段どんなことをやっているのか公開していたわけだ。

スパイスのブースで行われていたモーションキャプチャのデモ。ちなみに実演していたナツとメグというキャラクターは、デモ用に同社が製作したVTuber。実際に動画などを投稿しているわけではないという

同社オリジナルのVTuberシステムでは、一般的なモーションセンサーに加えて、専用のグローブを装着することで細かい指の動きまでバーチャル上で表現できるだけでなく、オリジナルのヘッドマウントカメラで表情を認識し、そのままキャラクターに反映させることができる。キャラの表情を別の担当が操作することが一般的ななかで、すべての動作をまとめて収録できるのは珍しいのではないだろうか。

専用のグローブをつければ、指の1本1本まで動きを表現できる

また、オリジナルのVTuber制作サポートも行っており、キャラクターデザインから3DCG化、セットアップ、収録、編集まで、企画以外のVTuber制作に関する業務をすべて社内で完結できるそうだ。さらに、機材販売や技術サポートもできるので、これらのシステムを導入して自社スタジオで収録環境を整えたいと考えている企業や、キャラクターは持っているが3DCG化できていないという企業まで、幅広く対応する。

なお、同社のブースではアメノセイ、茨ひより、燦鳥ノム、富士葵によるコンテンツ東京の来場者向け動画が流れていた

バーチャルメイドアイドルが企業のお仕事をお手伝い

3DCGモデリングなどを手がけるクリープのブースで紹介されていたのは、VTuber制作サービスの「iVTM」だ。

同サービスは、キャラクターのデザインから3DCG化、撮影、音声収録、配信、運用と、VTuber映像制作のすべての工程を手がけるというもの。制作はどの段階からでも依頼できるので、すでに自社で保有しているキャラクターがいる場合は、3DCG化から依頼することも可能だ。

ブースでは実績として、パチンコパチスロ情報メディア『ぱちガブッ!』のバーチャルライター・上乗恋の動画を放送。また、同社が独自にプロデュースしたVTuber羽原ゆとり(ゆとりん)のパネルが置かれていた。クリープの所在地が秋葉原ということもあり、「バーチャルメイドアイドル」というテイストにしたらしい。

同社では「iVTM」を使ったVTuber動画制作だけでなく、ゆとりんを起用した企業コラボレーションやイベントリポーターなどの仕事も請け負う。

クリープのブースの様子
上乗恋をご存じない方は、こちらをチェック。777TOWN.netで『ぱちんこCR聖戦士ダンバイン319ver.』をバーチャル実践する動画だ
バーチャルメイドアイドル羽原ゆとりの紹介動画。バーチャルでメイドでアイドルと、アキバ要素がたっぷり

ゲーム部プロジェクトではさまざまなタイアップが可能

Unlimitedは、自社で手がけるVTuberユニット「ゲーム部プロジェクト」や「道明寺ここあ」、「あおぎり高校ゲーム部」といった、同社IPとのタイアップ企画を提案。それ以外にも、VTuberのプロデュースや2D/3Dアニメーション制作も請け負うという。

ゲーム部プロジェクトは、夢咲楓、風見涼、桜樹みりあ、道明寺晴翔という4人のVTuberによるユニット。チャンネル登録者数は35万人で、ゲーム実況動画や日常を描いた動画を中心に配信している。

道明寺ここあは「ここあMusic」というチャンネルで、「歌ってみた動画」を中心に活動をしているVTuberだ。この道明寺ここあ。筆者個人的にはバーチャル界イチ歌がうまいと思うVTuberである。ヒメヒナも捨てがたいし、富士葵も歌がうまい。YuNiの歌声もステキだと思う。もちろん燦鳥ノムも大好きだ。それでも、NHKで放送された『バーチャルのど自慢』での歌を聴いたときの衝撃は忘れられない。

ゲーム部プロジェクトのブース
道明寺ここあが『バーチャルのど自慢』で披露した『愛をこめて花束を』

VTuberのモーションはプロにお任せ

ソリッド・キューブのブースでは、モーションアクターの事業を紹介していた。VTuberで大事な要素のなかには「動き」があり、モーションキャプチャーを装着して動きをつけるのが一般的だが、「誰がやっても同じ」というわけではないらしい。キャラクターの個性を最大限引き出すための表現をする必要があるのだ。

同社は、訓練を積んだ“動きのプロ”が在籍しており、モーションアクターの派遣、育成、振り付けなどを行っている。音響制作やCG制作といった関連業務のコーディネートも行っているそうだ。

実績には『初音ミク VR』や『ウマ娘プリティダービー』、『アイドルマスター』シリーズ、『アイドリッシュセブン』などがある。VTuberだけでなく、3DCG化が進むアニメやゲームのニーズもあるのだろう。また、声優事業も行っており、VTuberであれば、声も動きもどちらも担当できる。

キャラクターに動きをつけている様子の映像とアクターさん

複数のVTuberを組み合わせてシナジー効果を生む

キズナアイで有名なバーチャルタレント支援プロジェクト「upd8(アップデート)」は、企業向けのインフルエンサーマーケティングを提案。タイアップ動画の企画やイベント出演など、親和性の高いターゲットにリーチできるプロモーションを手がける。

upd8のブース

最近では、チーズおかきやソフトバンクのiPhone発売イベントなど、さまざまなジャンルで活躍しているキズナアイだが、やはり出演料にはそこそこの金額が必要らしい。

そこで、upd8では、プロジェクトに参加しているバーチャルタレントを複数人コラボレーションさせる「PUGCモデル」を推奨。各VTuberのファンを巻き込み、比較的コストを抑えつつも多くの潜在顧客にリーチできるという。

キズナアイ以外のVTuberによるコラボを推奨してはいるものの、ブースにはキズナアイグッズがズラリ

eスポーツとインバウンドをカバーする2人のVTuber

XRエンターテインメントは、中京テレビアナウンス部所属の大蔦エルと、あいち観光バーチャルサポーターのキミノミヤ、ココンという2タイプのVTuberを紹介。大蔦エルはゲーム実況やeスポーツを中心に活動しているVTuberで、中京テレビの番組「ササシマ BASE Lab.」のゲームコーナーにレギュラー出演している。キミノミヤはバイリンガルVTuberとして、アニメを中心とした日本文化を発信。ココンはキミノミヤのパートナーの狐のようなキャラクターだ。

eスポーツとインバウンドという2領域をVTuberでカバーしている同社。訪日外国人向けの動画を制作できたり、eスポーツイベントの司会ができたりと、今後ますます盛り上がるだろうジャンルなだけに、引き合いは多そうだ。

XRエンターテインメントのブース
大蔦エルが中京テレビのアナウンサーから研修を受ける動画
キミノミヤが「中二病」を英語で紹介する動画

位置を推測して、少ないセンサーでモーショントラッキング

Moguraのブースで紹介されていたのは、「IKinema Orion」というモーションキャプチャシステム。「HTC Vive」と呼ばれるVR用のヘッドマウントディスプレイを用いて、動きのセンシングを行うというものだ。

VTuberの動きを作るには、モーションセンサー付きの全身スーツのようなものを着用するのが一般的だが、同システムでは、頭と足のセンサーと、両手に持つ専用のコントローラーから、体勢をリアルタイムに推測する。そのため、比較的低コストで、全身のトラッキングを行えるようになるという。

Moguraのブース
「IKinema Orion」の紹介動画
VTuberの響木アオもオススメ

2DVTuberをスピーディかつ低コストで運営

VtuberプロダクションのZIGは、自社のVTuber運営のノウハウを生かした、企業のVTuberマーケティングをサポート。同社では2Dモデルの制作を行うため、3Dと比較してコスト1/10程度に抑えられるという。

また、半年で50体のVTuber開発を行った実績があることからも、スピーディに制作を進めることが可能。クライアント企業の環境分析やターゲット分析を行ったうえでVTuberコンテンツを届けていく。

ZIGのブース

なお、ブースでは紹介されていなかったが、同社は4月3日にVTuberに会えるファンコミュニティサービス「MeChu」をローンチした。

これは、特定のVTuberを応援したいというファンと、活動資金を手に入れたいVTuberをつなげるというサービスで、支援金が5万1円以上になると、ファンとVTuberが1対1でコミュニケーションを行える「密会」の抽選が行われるなどの特典があるという。

ローンチ時点では、ZIGに所属しているVTuberのみが登録されているが、徐々にメンバーを増やしていく予定。個人でVTuberを始めたいと考えている人の収益源としても使えるそうだ。

低コストで動画制作できる「VTuberリース」

VTuber歌劇ユニット「麻布台歌劇団」をプロデュースするSHOWBEEZでは、VTuberのリースサービスを紹介。キャラクターデザインやモデリングにかかる初期費用などが必要なく、同サービスの利用に必要なのはランニングコストのみ。キャスティング料などがないので、低コストで動画制作を依頼できる点がメリットだろう。

麻布台歌劇団
SHOWBEEZのブース

VTuber×コスプレで、バーチャルとリアルの体験をプロデュース

キャラクターデザインや映像の制作を手がけるPXRと、コスプレを応援するアプリ「COSPO」を提供するKAWAII JAPANの合同ブースでは、数人のコスプレイヤーが呼び込みを行っており、両社が進めているプロジェクトを紹介していた。

バーチャルばかりのエリアに3次元コスプレ女子が

同プロジェクトでは、「コスプレしやすい」というコンセプトでKAWAII JAPANの新規キャラクターIPをPXRが制作。基本的に“中の人”が出てこないVTuberだが、コスプレを通じてリアルなイベントにも出ていけるような取り組みをしていくという。

3Dモデルからデフォルメ2Dモデルまで動かせる

バーチャルキャラクターの企画・設定から、デザイン、2D/3Dのモデリング、動画の作成、ライブ配信、運用サポートまでワンストップで提供するビークエストのブースでは、AIを活用した競輪予想サイト「AIcast(アイキャスト)」の広報担当である蒼月アイリーンとコミュニケーションを図れるデモが実施されていた。

ブースの写真を撮っていると、蒼月アイリーンに「かわいい顔できるから近くで撮影して」と呼びこまれた

また、ブースにはアイキャストのもう1人の広報担当である如月サライを使った表情キャプチャ体験も行われていた。内容はカメラに映った来場者の顔から表情を認識し、瞬きや口の動きをトレースするというもの。デフォルメされたパターンのキャラクターでもしっかりVTuberとして動かすことができるようだ。

如月サライの表情認証デモの様子。デフォルメキャラでもVTuberとして動かせる

手軽な機材でスタジオ外でもVTuberイベントができる

ライブカートゥーンでは、キャラクターデザインの制作からVTuber事業をサポート。特に、「KiLA」と呼ばれる持ち運びを前提にした機材を使用しているので、スタジオ内での収録だけでなく、イベントなどでもVTuberのシステム設置が容易だという。

ライブカートゥーンブースのデモで動いていたキャラクター

ちなみに、同社の事例として紹介されていたVTuberの虹河ラキは、山佐スロワールド/スロプラス+サポーターでもある。リアルのパチスロ実践動画も投稿しているので、興味のある人はチェックしてみてほしい。ただ、山佐の機種であれば、個人的には神台と名高い「鉄拳2nd」の最強上乗せゾーン「デビルラッシュ」の破壊力を虹河ラキに体験してもらいたいところだ。

虹河ラキのパチスロ実践動画