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日本のライダーにオススメ! これから乗りたい“ナイスミドル”なマシンたち

日本のライダーにオススメ! これから乗りたい“ナイスミドル”なマシンたち

2019.05.08

輸入バイクの試乗会で出会った4台を紹介

日本のライダーにも扱いやすい「ミドルクラス」に注目

手頃な価格で楽しめる欧州のデザインと走り

これから梅雨入りまでの時期は、秋とともにモーターサイクルがもっとも心地よい季節。そこで、4月に開催された日本自動車輸入組合(JAIA)の輸入二輪車試乗会で乗った中から、この季節に乗りたい“ナイスミドル”なマシンたちを紹介しよう。

欧州メーカーが提示する充実の「ミドルクラス」

今は死語扱いされているであろう“ナイスミドル”という言葉を使ったのは、今回紹介するマシン選びに、この言葉から連想される2つの意味を込めたからだ。

ひとつは本来の意味でもある“カッコいいミドルエイジ”に乗ってほしいモーターサイクルであるということ。もうひとつは、私たち日本人でも持て余さない“ナイス”なボディサイズに、輸入車ならではの個性的なデザインや走りを秘めた車種であることだ。

欧州のモーターサイクルは、日本人より基礎体力のある彼の地のライダー像を反映してか、モデルチェンジのたびに排気量を拡大する車種が多い。ただ、それはフラッグシップモデルについていえること。合理主義が根付いた欧州では、扱いやすい車体に600~900ccあたりのエンジンを積んだミドルクラスが注目を集めている。

というわけで今回は、試乗会に用意された数多くの車両の中から、このクラスにターゲットを絞り、デザインや走りが魅力的に感じた4台を紹介する。

ドゥカティ「スーパースポーツS」

ドゥカティはイタリアンバイクの代表格。我が国での販売台数も米国のハーレーダビッドソン、ドイツのBMWに次ぐ3位に付ける。最近はレトロデザインの「スクランブラー」が車種を増やしているが、ドゥカティと言えばフルカウルのスポーツモデルを思い浮かべる人が多いだろう。

頂点に位置するのはドゥカティ唯一のV型4気筒エンジンを積む「パニガーレ」。しかし、伝統のL型2気筒を搭載する「スーパースポーツ」の人気も根強い。性能は控えめだが、そのぶん力を使い切れる上、価格が約100万円も安いからだ。

ドゥカティの「スーパースポーツ S」。価格は 183万9,000円

もうひとつ、パニガーレと違うのはライディングポジションだ。見た目とは裏腹に前傾はほどほどで、ステップとの位置関係は身長170cmで胴長の自分にもしっくりくる。おかげで一体感も感じる。日本人にあったポジションだ。

試乗車は装備が充実した「スーパースポーツ S」。900ccのLツインエンジンは81kWを発生する。重量は183キロだからダッシュは強力で、回せばその名にふさわしい速さを発揮。Lツインらしい弾けるようなサウンドがその気にさせる。それでいて、細いパイプを溶接で組み上げた伝統のパイプフレームは、硬すぎない乗り心地と素直なハンドリングを届けてくれる。

スーパースポーツはデザインも魅力だ。ツインマフラーの出し方、リアサスペンションの見せ方、「S」に用意される日本限定カラーのマットチタニウムグレーなど、さすがはイタリア、見せ方を熟知している。

見せ方を熟知したイタリアメーカーらしいバイクに仕上がっている「スーパースポーツ S」

BMW「F750GS」

販売台数でドゥカティの上を行くBMWは、下は310cc単気筒から上は1600cc並列6気筒まで、クルマのBMWに負けないワイドバリエーションを誇る。イメージリーダーは1923年以来の伝統を持つ水平対向2気筒エンジン搭載車だ。

今回紹介する「F750GS」は、「F850GS」とともに、この水平対向エンジンのひとつ下を受け持つ車種だ。どちらも850cc水冷並列2気筒エンジンを積む。F850GSはエンジンが高性能になるオフロードタイプ。自分が駆るなら57kWのF750GSで十分だし、シートが同クラスの日本車より低いほどなので、こちらを選んだ。

BMWの「F750GS」。価格は129万6,000円

試乗車はリアに3つのケースを装着していて、このままツーリングに行きたくなるような姿だ。またがると液晶メーターはカラーで、左右のグリップまわりにはヒーターやクルーズコントロールなど、多彩な装備が用意してあって至れり尽くせりだった。

昔のBMWモーターサイクルは質実剛健といった感じで、クルマでいえばかつてのメルセデス・ベンツに近い雰囲気だったのだが、F750GSのエンジンは2気筒らしいパルスを伝えながら、軽快なレスポンスとともに吹け上がっていく。

しかし、それ以外の部分は昔から変わらぬBMWテイストだ。乗ってすぐにコーナリングを楽しもうという気にさせる絶大な安心感は、毎度のことながら「どうしてなんだろう?」と思う。乗り心地も快適で、走りについてはとにかく模範的だ。モーターサイクルでの移動をいかに疲れず、ピュアに楽しめるか。その点を真摯に追求する姿勢がジワジワ伝わってくる。

絶大な安心感を得られる昔ながらのBMWテイストを味わうことができた「F750GS」

モト・グッツィ「V85TT」

イタリアには日本以上に多くの二輪車ブランドがある。その中での最古参は、1921年創業のモト・グッツィだ。現在はスクーターの「ベスパ」などとともに、ピアッジオグループの一員になっている。特徴は空冷V型2気筒エンジンを縦置きし、チェーンではなくシャフトで後輪を駆動するというメカニズムで、こちらは1965年から使い続けている。

ここで紹介するのは、今年発売されたばかりの「V85TT」だ。クルマでいえばSUVに相当する人気のアドベンチャーツアラーに属するが、伝統をいかしたクラシックな造形を取り入れ、イタリアらしい鮮烈なカラーコーディネートが施されているおかげで、孤高の存在になっている。車体は大柄だが、片足なら問題なく地面に届く。カラー液晶メーターやクルーズコントロールが付くなど、装備は旅バイクらしく充実している。

モト・グッツィの「V85TT」。価格は142万5,600円

850ccのVツインに火を入れてスロットルを捻ると、車体が右に倒れようとする。シャフトドライブなので、エンジントルクの反力で車体を動かすのだ。最初は驚くかもしれないが、かつて1981年式の「850 ル・マンⅢ」というモト・グッツィを所有していた自分は、昔のしぐさが残っていることに嬉しくなった。

その後の走りは、Vツインらしいパルスとパンチを感じさせつつ、回り方は滑らかで、デュアルヘッドランプ上のスクリーンは首から下の風を効果的に逃してくれる。乗り心地はかなり快適な部類。重心が高めであることを頭に入れればハンドリングは素直だ。個性と洗練を絶妙に両立した走りに老舗の技を感じた。

個性と洗練が絶妙なバランスを見せる「V85TT」

ハスクバーナ「ヴィットピレン701」

昨年の日本上陸以来、モーターサイクルファンの注目を集めているのがこのバイクである。ハスクバーナは100年以上の歴史を持つスウェーデンのブランドで、オフロードに強い。そのノウハウを活用したシンプルなロードモデルが「ヴィットピレン」だ。

実車を目の前にして、モーターサイクルは見た目が9割かもしれないと思ってしまった。無駄を徹底的に省いて機能美を突き詰めたフォルムは、北欧だから実現できたのかもしれない。タンクとマフラーの色分けのラインを合わせるなど、細部も手抜きなし。丸いヘッドランプがクラシックな雰囲気を醸し出すが、同じ丸型のメーターはモダンでクール。とにかく見ていて飽きない。

ハスクバーナの「ヴィットピレン701」。価格は135万5,000円

低くて幅広いハンドルと高めで角ばったシートによるライディングポジションは、それなりに前傾となる。キツイと思う人にはハンドルが高めの「スヴァルトピレン」という車種もある。

エンジンはオフロードマシンにも積まれている700cc単気筒。クルマにはあり得ない形式だ。アイドリングはジェントルだが、加速に移るとダダダッと路面を蹴り上げながら進むような感触に、思わず笑みがこぼれる。それでいて、3,000回転から上はむしろスムーズで、回して乗りたくなるシングルでもあった。

車両重量は250cc並みの157キロ。でも、ヒラヒラしすぎることはなく、700ccらしい落ち着きも感じる。高速道路の直進性も満足できるものだった。美しいからと飾っておくだけではもったいないマシンだと実感した。

「ヴィットピレン701」は700ccという排気量にしては軽量なモデルだが、ヒラヒラしすぎることはない

明示しておいた価格からもお分かりの通り、今回取り上げた4台はさほど高価なバイクではない。これも、ミドルクラスならではのメリットだ。軽自動車とさほど変わらないプライスで、欧州の個性的なデザインと走りが、多くの日本人に扱いやすい車格とともに手に入る。初めて二輪車に乗る人にもオススメしたいマシンたちだ。

モーターサイクルショーの成功は二輪復活の兆し? バイク専門誌編集長に聞く

モーターサイクルショーの成功は二輪復活の兆し? バイク専門誌編集長に聞く

2019.04.12

バイク専門誌編集長・岩崎雅考氏に聞く二輪車の現状

東京モーターサイクルショーは盛況! 来場者は過去最高

2019年最大の注目作! スズキの新型「カタナ」が登場

2019年の3月22日~24日にかけて東京ビッグサイトで開催された「第46回東京モーターサイクルショー」。今年は153の出展者が合計555台のバイクを出展した。国内最大級の二輪車イベントだ。来場者数は過去最高となる14万9,524人を記録した。

ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの国内4大メーカーをはじめ、ハーレーダビッドソンやトライアンフなど、国外メーカーやパーツメーカーが一堂に会した会場内は、二輪不況などどこ吹く風とばかりに盛り上がっていた。

各メーカーのブースのほか、会場には女性ライダーをサポートするレディスサポートブースも

二輪不況が叫ばれるバイク業界だが、2019年はどんなトレンドが見られるのだろうか。二輪専門誌を多数手がける株式会社クレタで『レディスバイク』の編集長を務める岩崎雅考氏に話を聞いた。

「第46回東京モーターサイクルショー」は大盛況

まず、「第46回東京モーターサイクルショー」の内容を振り返っておくと、なんといっても注目を集めていたのは、スズキが2019年の発売を予定する新型「カタナ」だ。初代カタナは2000年を最後に惜しまれつつも生産終了となっていたが、2018年の「インターモト」(バイクの国際見本市)で後継車種が発表されていた。スズキは2019年春から欧州を中心に販売する計画としているが、ファンの多い車種だけに、国内市場投入への期待が高まる1台だ。

今後、多くの話題を集めること間違いなしの新型「KATANA」。スズキのブースには、2000年モデルの「GSX1100S カタナ」も合わせて展示された

近年、話題のニューモデルを続々とリリースしているカワサキは、2016年の「ファイナルエディション」以来の復活となる「W800 STREET」「W800 CAFE」をブースに展示。「W800 STREET」は1966年発売の「W1」を彷彿させるアップハンドル仕様のクラシカルスタイル、一方の「W800 CAFE」は専用のフロントカウルやカフェシートなどを装着したカフェレーサースタイルとなっていた。これらの車種は2019年3月に発売となっているが、昨今のネオレトロブームともあいまって人気を得そうだ。

「W」ブランドを受け継ぐ最新モデル「W800 STREET」。ボディサイズは全長2,135mm×全幅925mm×全高1,120mm、シート高770mm、販売価格は99万3,600円だ
スワローハンドル&フロントカウルを採用する「W800 CAFE」は、「W800 STREET」と比べてよりスポーティーな印象
2017年12月の発売以来、圧倒的な支持を集めるカワサキ「Z900RS」

『レディスバイク』編集長に聞く2019年のトレンド

国内外のバイクメーカーおよびパーツメーカーが集結したとなれば、気になるのが2019年のトレンドだ。長らくバイク業界を見続けてきた『レディスバイク』編集長の岩崎雅考氏は、どのように感じているのだろうか。

バイク雑誌の編集長として、二輪業界の移り変わりを目の当たりにしてきた岩崎氏

「傾向としては近年同様、ネオレトロ系やSS(スーパースポーツ)が今年も主流になると思います。ただ、今年はヨーロッパ系が小排気量(125cc)のネオレトロモデルを出してきているのが注目ですね」

そういって見せてくれたのが、ITALMOTO(イタルモト)の「Tiquattro125 Scrambler」とMUTT MOTORCYCLES(マットモーターサイクルズ)の「RS-13 125」の2台だ。

レディスサポートブースにて国内初披露となった「Tiquattro125 Scrambler」。2019年6月に43万2,000円で発売となる

1952年にイタリア・ボローニャで誕生したITALMOTO。創業以来、“Made in Italy”にこだわる同社ならではのバイク「Tiquattro125 Scrambler」は、イタリアンデザインと最新テクノロジーが融合した1台だ。スマホの充電やナビゲーションに使用できるUSBソケットが付いているところなど、レトロな見た目とは裏腹に実用性も高い。

「RS-13 125」は、イギリスの二輪メーカーであるMUTT MOTORCYCLESが2019年4月のリリースを予定するバイクだ。デザインはカスタムビルダーでもある同社役員のベニー・トーマス氏が担当。車名にもなっている「RS」は、生鉄を意味する「Raw Steel」の略だ。あえて荒削りな仕上げとしたタンクのスチール感が、カスタム色の印象を強めている。

「RS-13 125」のタンクはすべて職人が磨き上げ、ヘアライン加工を施している

近年のトレンドである「ネオレトロ」について岩崎氏は、「カワサキのZ900RSをはじめとする中型~大型二輪に加えて、小型二輪にもネオレトロ系が登場したことで、今後もこの流れは続くと思います」と話す。

女性ライダー増加の要因? 継承が進むバイク文化

東京モーターサイクルショーに設置される女性ライダー向けブース「レディスサポートスクエア」をプロデュースしてきたのが、岩崎氏が編集長を務める『レディスバイク』だ。岩崎氏自身もブースに立つ中で、1つの波を感じたという。

「今年は例年よりも若い女性が多い印象です。特に、両親と一緒に訪れる若い女性の姿が増えたと感じています。バイクブームを過ごした両親の影響で、バイクに興味を持ってくれる若年層が増えたのではないでしょうか。これはすごくいい傾向だと思います」

バイクブームが一過性のものとして終焉を迎えるのではなく、ブームを経験した世代が親になり、その子供たちがバイク乗りになる。要するに、バイクが文化になってきていると岩崎氏は指摘する。

レディスサポートブースでは、実際にバイクにまたがり撮影を行う女性の姿も多数見受けられた

「80年代のバイクブームの時と比べれば、二輪ユーザーが減っているのは間違いありません。しかし、SNSの広がりもあって、バイクで気軽に出かけて、景色や話題のお店などを写真に撮って投稿するという新しい楽しみ方も生まれています。若い世代がバイクに興味を持ってくれていることは業界にとって朗報であり、このチャンスは絶対にいかさないといけませんね」

強まる排気ガス規制や駐輪場所の減少など、バイクを取り巻く環境は必ずしも良好とはいえないのが現状だ。しかし、岩崎氏のいうように、バイクが文化になってきているのであれば、2019年は新しいうねりに期待できるのかもしれない。

スズキ「カタナ」が復活! 「ネオヒストリック」というバイクの新潮流

スズキ「カタナ」が復活! 「ネオヒストリック」というバイクの新潮流

2019.04.01

大阪・東京モーターショーにスズキの新型「カタナ」が登場

鮮烈なデザインはいかにして商品化に結びついたか

ホンダ「CB」も潮流に乗る? ヤマハとカワサキは独自路線

毎年春に大阪と東京で開催されるモーターサイクルショーは、ニューモデルが数多く展示されることもあって、その年の二輪車のトレンドを感じ取れる場となっている。ライダー歴約40年の筆者が今年のショーで感じたのは、「ネオヒストリック」の勢いが目立っているということだった。

ストーリーまで似ている新・旧「カタナ」

モーターサイクルは季節感をはっきり味わえる乗り物のひとつだ。冬は寒く、夏は暑く、風や湿気の程度も分かる。だから、春が来ると急に気になる存在になる。その気持ちを察するかのように毎年3月、大阪と東京でモーターサイクルショーが開催され、多くのニューモデルが発表される。

ただ、今年の場合は、ある車種への注目度が並外れていた。スズキの新型「カタナ」(KATANA)だ。初代「カタナ」は1980年、西ドイツ(当時)のケルンで開催された二輪車ショーに初登場すると、日本刀をイメージした前衛的なスタイリングで、世界のモーターサイクルファンから注目を集めた。その復活版である「カタナ」が今回、ついに日本で初公開となった。

スズキの新型「カタナ」

新・旧の2台に共通するのは名前だけではない。鍛錬を重ねた日本刀を思わせる、切れ味の鋭いタンクやカウルのフォルムは、モダンにアレンジされつつも継承されている。時代に合わせてLED化されたとはいえ、角型のヘッドランプも新・旧のカタナが共有する特徴だ。それだけではない。この2台、誕生までのストーリーも驚くほど似ているのだ。

こちらが旧型「カタナ」(2000年モデル)

初代カタナが誕生したきっかけは、ドイツの二輪専門誌が企画した、未来のモーターサイクルをテーマにしたデザインコンペだった。ここで注目されたのが元BMWのデザイナー、ハンス・ムート率いる「ターゲットデザイン」というスタジオの作品。スズキはその姿に衝撃を受け、次期大型モーターサイクルのデザインを依頼した。

ムートらはその意向を受け、日本刀の雰囲気を取り入れたスタイリングをスズキに提案した。これが製品化され、「ケルンの衝撃」とまでいわれた初代カタナに結実したのだ。

日本刀の雰囲気を取り入れたスタイリングが特徴の「カタナ」(画像は旧型)

一方の新型は2017年、イタリアの二輪専門誌がデザイナーのロドルフォ・フラスコーリ、技術開発企業のエンジンズ・エンジニアリングとともに、未来のカタナを形にした「カタナ3.0」を製作したことがきっかけだ。

カタナ3.0は、ミラノの二輪車ショーに前触れもなく登場したので、会場は騒然となった。それ以上に刺激を受けたのがスズキ自身だ。同社はすぐに市販化に向けて動き出し、新型カタナを2018年10月にケルンの二輪車ショーでデビューさせた。ケルンは再び、衝撃に包まれたのである。

新型「カタナ」(画像)の登場により、ケルンに再び衝撃が走った

フレームやエンジンは当時の他車種と同一で、ボディのみ異なる点も新・旧カタナに共通する。エンジンはどちらも4気筒だが、旧型は空冷の1,074cc、新型は日本でも販売している「GSX-S1000」と共通の水冷999ccとなる。ただし、トラクションコントロールやABSなどの安全デバイスは新型ならではの装備。ライディングポジションの前傾姿勢が緩くなっているのは、時代の変化を反映してのことだろう。

「東京モーターサイクルショー2019」の会場では2台の新型カタナに跨がることができたが、そこには長い行列ができており、筆者は触れることができなかった。日本での発売時期は未定だが、市販が始まれば、かなりの人気が出そうだ。

「東京モーターサイクルショー2019」では新型「カタナ」の試乗(といっても跨るだけ)に長い行列ができていた

このカタナの復活を目にして、筆者はモーターサイクルのデザインに新しい潮流が生まれていることを感じた。「ネオヒストリック」だ。

ホンダ「CB」もネオヒストリック路線に?

1950~60年代のヒストリックモデルの復刻版は、クルマでは少し前のコラムで取り上げた「ミニ」やフィアット「500」が有名で、モーターサイクルでも筆者が所有しているトライアンフ「ボンネビル」やドゥカティ「スクランブラー」などがある。いずれも丸型ヘッドランプ、ティアドロップ(涙滴)型タンク、テールカウルのないシートなどが特徴といえるだろう。

エッジを効かせたカタナの形は、それらよりも確実に新しい。初代カタナは来年、デビューから40年を迎えるが、立派に趣味の対象になっていることは、中古車の相場をチェックすれば一目瞭然だ。初代カタナが登場した時代に運転免許を取った自分のような人間にはピンとこない部分もあるけれど、気がつけばネオヒストリックバイクの代表作になっており、復活させる価値がある車種になっていたのである。

スズキが「カタナ」(画像は新型)を復活させたのも、このバイクが復活に値する魅力を持っていたからだろう

そう思って会場を見渡してみると、他にもネオヒストリック的なスタイリングの車種はあった。例えば、本田技研工業(ホンダ)の「CB」シリーズだ。

ホンダが「CB」という名前を初めて使ったのは、今からちょうど60年前の1959年にデビューした「ベンリイCB92スーパースポーツ」(125cc)だった。10年後の1969年には、最高時速200キロをマークして世界に衝撃を与えた4気筒エンジンの「CB750フォア」を発表。その後も「CB」からは、流麗なフォルムの「CB750F」など、エポックメイキングなモデルが生まれている。ホンダ・モーターサイクルの幹に相当するシリーズといえるだろう。

そのCBが生まれ変わったのは2018年3月のこと。一挙に登場した「CB125R」「CB250R」「CB1000R」の3台はスタイリングのイメージを共有しており、ヘッドランプは懐かしさを感じる丸型としつつLEDを採用し、車体はシンプルな構成ながら凝縮感のあるフォルムとするなど、新しさをアピールした。

ホンダの「CB250R」

2019年1月には250と1000の間を埋める4車種目の「CB650R」が登場。今回のモーターサイクルショーは、多くの人にとって同車を初めて目にする場となった。長年にわたりCBの核であり続けてきた4気筒エンジンを積みつつ、CB1000Rよりコンパクトで取り回しがききそうな車体には、個人的に好感を抱いた。

ホンダの「CB650R」

 

我が道を行く? ヤマハとカワサキ

ヤマハ発動機(ヤマハ)にも、この新しいCBシリーズに近いテイストの車種として「XSR700」と「XSR900」がある。ヤマハでは「ネオレトロ」と称しており、「スーパースポーツ」「ネイキッド」といった従来のカテゴリーを超え、レトロな外観や背景にあるストーリーを感じさせながら、先進技術によるエキサイティングな走りも楽しませるモデルとして販売している。

さらにヤマハには、レトロかモダンかといった二元論を超えた車種もある。1978年発表の「SR400」と1985年デビューの「セロー」だ。セローは2005年に一度モデルチェンジを行なっているが、SR400の基本設計は41年前のまま。ともに空冷の単気筒エンジンを積むので、排出ガス規制の影響で販売終了となったこともあるが、根強い人気にこたえ昨年、復活した。これらのバイクは、ユーザーがタイムレスな存在に押し上げたともいえる。

ヤマハの「SR400」

残る川崎重工業(カワサキ)は、レトロに強いという印象がある。2017年の東京モーターサイクルショーで同社が世界初公開した「Z900RS」はその代表だが、今回のモーターサイクルショーでは、ヤマハSR400と同じように排出ガス対策で販売終了となっていた「W800」を復活させた。

カワサキの「W800 STREET」

ちなみに、Z900RSは1972年に発表され、ホンダCB750フォアから最速の座を奪取した「Z1」のイメージを継承した車種だ。W800は、CB750フォアが登場するまで国産最速マシンだった1960年代の人気車種「W1」の復刻版である。

しかし、この2台には新しい提案もある。「ビキニカウル」と呼ばれる小柄なカウルを備え、ハンドルをやや低めにセットした「Z900RSカフェ」「W800カフェ」を用意しているからだ。

カワサキの「W800 CAFE」

車名にある「カフェ」とは「カフェレーサー」をイメージしたもの。1960年代の英国で、レーシングバイク風にカスタムした愛機でカフェに乗り付けるという文化を反映したものとされている。

モダンなフォルムにはついていけない。でも、レトロにこだわるほど枯れてはいない。いつの時代も、ちょっとだけカッコをつけていたいライダーたちにとって、昨今のネオヒストリックブームは願ってもない流れかもしれない。