トヨタ・ソフトバンク連合にホンダも合流! MONETが目指すのは「MaaS」の主役

トヨタ・ソフトバンク連合にホンダも合流! MONETが目指すのは「MaaS」の主役

2019.04.11

日野自動車とホンダがMONETと業務提携し、車両ログを提供

「e-Pallet」構想に基づく自動運転サービスが2023年に登場?

自動運転を活用するプラットフォームの開発は日進月歩

トヨタ自動車とソフトバンクが共同出資で設立したMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ、以下:MONET)は先日、同社の今後の方針や新たな取り組みなどを説明する「MONET サミット」を開催した。全国の地方自治体や企業に向けたメッセージを発信するイベントだったのだが、ホンダとの提携など、驚きのニュースも飛び出した。

MONET サミットには、全国の自治体関係者約280名および企業関係者約320名の計約600人が参加。同社の今後に対する高い関心がうかがえた。まもなく訪れる自動運転社会に向けて、MONETはどのような展望を描いているのだろうか。

MONETが見据える今後のビジョンをサミットで語る宮川潤一MONET代表取締役社長 兼 CEO(ソフトバンク副社長)

今後のプラットフォーム開発を占う2大ニュース

MONET サミットの冒頭では、宮川社長の呼び込みに応じ、トヨタの豊田章男社長がサプライズで登場し、会場を沸かせた。

たまたま近くを通る予定があったため、急遽会場を訪れたという豊田社長。「私も決して暇じゃないんですよ」と話して会場を沸かせた

豊田氏は「私はよくサプライズを演出しますが、今回は本当にサプライズ」と会場の笑いを誘うと、続けて「(2018年の)10月4日に(ソフトバンク会長の)孫さんと(MONET設立を)発表させていただいて、本日、こうしてサミットが開かれるということで、本当にありがとうございました。また、自動車業界にとって、オープンな形での第一歩になったのではないかと思います」と述べた。

豊田氏が語った「オープンな形での第一歩」とは、この日発表された2つのニュースを指している。

まず1つ目は、日野自動車およびホンダとMONETによる資本・業務提携の締結だ。日野とホンダは今後、それぞれ2億4,995万円を出資し、MONETの株式を9.998%ずつ取得する。これによりMONETは、これまでトヨタから提供を受けていた約170車種のデータ(ログ)と同様に、日野およびホンダからも情報を取得できることになる。

複数の自動車メーカーとプラットフォーム開発で協調することで、より高度な「MaaS」サービスの提供を目指すMONET

具体的には、日野のトラックやバスから得られる人や物の移動に関するデータと、ホンダの乗用車などを活用したモビリティサービスから得られるデータが手に入る。これにより、MONETのプラットフォームはさらに進化する。「日本で走っているクルマの全てのログが1つのプラットフォームに集まってきて、それらを共有することが最終目標」というのが宮川社長の考えだ。

目標の実現に向けては、さらなる日本企業の参画を呼びかけていく方針。すでにトヨタと協力関係にあるマツダやスバルなどは、今後の参加が有力と見られる。日産自動車や三菱自動車工業がどう動くかも気になるところだ。

そして2つ目が、MONETコンソーシアムの設立だ。MONETはモビリティイノベーションの実現に向けた「なかまづくり」の一環として、同コンソーシアムを設立。2019年3月28日現在で、すでに88社が参加している。

MONETコンソーシアムの参加企業。オールジャパン体制と呼べそうな面々が集う

中でも特に注目したいのが、宮川氏が「ベストパートナー」と強調したJR東日本との連携だ。「一次交通」と呼ばれる鉄道とMONETのような「二次交通」がシームレスに連携できれば、街作りの新たな可能性が広がるという。

宮川氏は、「MONETは20年後の日本で最も役立つ会社でありたい」とし、「これから始まる『MaaS』(Mobility as a Service)の世界において、MONETがプラットフォーマーの中心となれるよう、一歩一歩、会社を育てていきたい」と展望を述べた。

「MaaS」時代の主役に? MONETの挑戦

かつて、10余年というわずかな期間で、主たる移動手段が馬車からクルマに置き換わった。自動運転車の登場・普及は、「移動」にとってクルマ自体の誕生に次ぐ大事件となるかもしれない。自動運転技術は、クルマの在り方はもちろんのこと、さまざまな分野におけるサービスの形を一変させそうだ。

耳にする機会も多くなった「MaaS」という概念は、その最たる例といえる。これまで、多くの人はクルマを所有することで移動の自由を手に入れていた。しかし、MaaSの登場により、人と移動の関係性は変化する。さまざまな交通手段を1つに統合し、利用者にとって最適な組み合わせ、“サービスとしての移動”を提供するというのが、MaaSの根幹をなす思想だ。

近年、若年層を中心に、クルマに対する意識が“所有するモノから使うモノ”へと変化する中で、こうした考え方は広がっていくものと見られている。そして、自動運転車の登場は、この動きをさらに加速させることになりそうだ。

そうした流れの中でMONETは、MaaSからもう一歩踏み込み、「Autono-MaaS」の実現を目指していくという。これはトヨタの造語で、自動運転とサービスを組み合わせたプラットフォームの提供を指す。トヨタが次世代EV(電気自動車)コンセプトとして2018年に発表した「e-Pallet」(イーパレット)が、その中核を担うことになる。

「e-Pallet」は人や物の移動に加えて、店舗やサービスそのものをユーザーの元まで運ぶというユニークなコンセプトを持ち合わせている

例えば、商品が欲しいと思った場合、今は店舗に出向いて購入するか、インターネットショッピングなどを利用し、商品を自宅まで送ってもらう必要がある。だが、e-Palletの場合は、店舗自体が自宅までやってきてくれる。必要とされる場所に移動して、必要とする人に商品を届けるという意味では、無人移動販売車と呼べるようなサービスだ。

「e-Pallet」構想の早期実現に向けたロードマップ

車両、利用者、サービス提供者の3つを結びつける役割を担おうとしているMONETだが、山本圭司MONET取締役はこの新たなビジネスについて、「自治体や企業、サービサーの皆さまとの接点を広げ、まずはオンデマンドサービスの展開を図りながら、必要な基盤を整え、2023年にはサービスの1つとしてe-Palletを市場投入したい」とロードマップを明らかにした。

MONETの山本圭司取締役は「e-Pallet」のサービスについて、「さまざまなニーズに対応する“究極のJust in time”」と表現した

2020年には道路交通法の改正が予定され、まずは高速道路から自動運転の開始が見込まれる。今後は予想もしていないようなサービスが誕生するかもしれない。

そうした状況を踏まえ宮川氏は、MONETのプラットフォーム開発について、「現在、作り込んでいるシステムのバージョンアップは、自動運転が始まる直前まで続くと思います。しかし、その間に培ったノウハウを活用すれば、来るべき自動運転社会の中で、必ず役に立つプラットフォームを作れるはずです。また、20年後の日本でも、これはやっぱり、あってよかったなと思っていただけるものにしたいと思っています」とコメントした。

新たな元号「令和」の下で迎える自動車新時代。時代の転換期にクルマと人の関係がどう変わるのか、注視していきたい。

トヨタの新型「RAV4」が“ゴツく”なった理由

森口将之のカーデザイン解体新書 第15回

トヨタの新型「RAV4」が“ゴツく”なった理由

2019.04.10

トヨタ「RAV4」が日本に復帰、デザインは大きく変貌

都市型SUVが増える世の中に新型「RAV4」がもたらす新鮮味

オフロード試乗で体感! 見た目に負けない乗り味

トヨタ自動車のSUV「RAV4」が3年ぶりに日本市場に復活した。昔のRAV4を知っている人は「ずいぶんゴツくなったな」と感じているかもしれない。実はデザインの変貌には明確な理由がある。走りの印象を含めて報告しよう。

トヨタの新型「RAV4」

RAV4が日本市場に復活した経緯とは

前輪駆動乗用車のエンジンやサスペンションを活用してSUVを作る。今日では当たり前になっている手法をいち早く実現したのが、1994年にデビューしたトヨタ「RAV4」だった。CMキャラクターには、当時はデビューして間もなかったSMAPの木村拓哉を起用。ポップなデザインとともに、新たなジャンルのクルマであることを多くの人に印象付けた。

初代RAV4は、翌年に登場するホンダ「CR-V」をはじめ、スバル「フォレスター」、日産自動車「エクストレイル」など多くのライバルを生み出し、欧州からもフォルクスワーゲン「ティグアン」、プジョー「3008」などの競合車種が登場する要因となった。まさに、エポックメーカーだ。

ところが、生まれ故郷の日本では、初代では5ナンバー枠内に収まっていたボディ全幅が3代目で1.8mを超え、2Lだった直列4気筒エンジンが2.4Lになったこともあり、販売台数が落ち込んでいった。新型RAV4にとって先代モデルとなる4代目は、日本では販売すらされなかった。

ボディとエンジンの大型化は、主として米国市場での人気を受けたものだった。米国では、4代目の販売中にハイブリッド車を追加したことで、販売台数を大いに伸ばした。その結果、4代目RAV4はセダンの「カムリ」を抜き、トヨタのベストセラーカーになるほどの人気を獲得。この勢いを受けてトヨタは、2018年にニューヨークモーターショーで新型RAV4を発表した。

この間、日本では、レクサス「RX」の日本版として登場したSUV「ハリアー」が国内専用車として独立。現行「プリウス」と同じく新世代の「TNGAプラットフォーム」を採用するSUV「C-HR」も誕生した。他のブランドなら、SUVラインアップはこれで十分と思うだろう。

にもかかわらず、トヨタがRAV4を日本市場で復活させるのは、RAV4そのもののコンセプト転換によるところが大きかったのではないかと考えている。

コンセプトを転換し、日本市場に復帰する新型「RAV4」

新型RAV4のテレビCMを見た人は、オフロードシーンが多いことに気づいたかもしれない。最近のSUVでは珍しい演出だ。山梨県で行われた試乗会のプレゼンテーションでは、この点についての説明があった。

デザインのベースは2つの8角形

近年、さまざまなブランドから多くのSUVが登場しており、オンロード重視で快適性を重視したクルマ作りがトレンドとなっている。この流れの中で、SUVならではの「ワクドキ感」が薄れていると感じたトヨタは、新型RAV4を作るにあたり、ロバスト(robust、逞しい)であることとアキュレート(accurate、きめ細かい)であることの両立を目指したという。この造形により、ユーザー層の若返りも狙っているそうだ。

ロバストな印象になった新型「RAV4」

それを象徴するのがスタイリングだ。2つの8角形を90度ずらして組み合わせた「クロスオクタゴン」と呼ばれる手法を取り入れ、力強い造形と視界の良さを両立した。多くのクルマは真上から見ると四角形に見えるが、新型RAV4は機動性を向上させる意味もあり、四隅をカットしている。キャビン後端はオフロードの走破性を考慮してリアバンパーを斜めにせり上げた。

新型「RAV4」は2つの8角形を組み合わせた「クロスオクタゴン」というスタイリングを採用している

この方向性を明確にしているグレードが「アドベンチャー」だ。フロントのグリルとバンパー、スキッドプレート、ヘッドランプを専用とすることで、同じトヨタのピックアップや大型SUVに似た、力強い顔つきになっている。セダンやクーペに近いエモーショナルなSUVが増えつつある中では、かなり個性的に映る。

力強い顔つきの「アドベンチャー」

室内も多角形イメージをドアハンドルやエアコンのルーバーなどに取り入れており、デザインとしての統一感がある。滑り止めのゴムを施したエアコンやドライブモードセレクターなどのダイヤルを含め、独自の空間を作り上げようという気持ちが伝わってくる。

「アドベンチャー」の室内。デザインにはエクステリアとの統一感がある

しかも、スクエアなキャビンは室内が広い。新型RAV4のボディサイズは全長4,610mm、全幅1,865mm、全高1,690mm(アドベンチャーの数値)と、幅は広いものの長さはこのクラスの平均値である。ところが、後席は身長170cmの筆者が座ると足が組めるほど広い。荷室も580Lという数字を実感する。機能に裏付けられた造形である。

「アドベンチャー」のシート。全長は同クラスで平均的な数値だが、乗ってみると室内は広い

ここまで広いと、ライバルにはある3列シートを選べてもよいのではないかと思ったのだが、トヨタは北米向けに「ハイランダー」というひとまわり大柄な3列シートSUVを販売しているので、RAV4では2列シートにこだわったそうだ。

3列シートを設定する予定はないようだ

インテリアカラーは全グレードにブラックを用意したうえで、アドベンチャーにはライトブラウン、それ以外のグレードにはライトグレーを設定している。印象的なのはインパネやセンターコンソールに配されるアクセントカラーで、アドベンチャーはオレンジ、別のグレードではブラウンとしており、細部のコーディネートにまで気を配っていた。

ハイブリッド車の室内

トヨタが試乗会でオフロードを用意した意味

メカニズムでは、日本向けのRAV4では初となるハイブリッド車の投入がニュースだ。2.5L直列4気筒とモーターの組み合わせで、2Lのガソリン車と排気量が異なる。メインマーケットの北米ではガソリン車も同じ2.5Lだが、日本および欧州市場向けは税制などを考えて2Lを搭載したという。

どちらも2WD(前輪駆動)と4WDが用意されるが、ハイブリッド車は後輪を専用モーターで回す「E-Four」という仕組みであるのに対し、ガソリン車はプロペラシャフトで駆動するタイプになる。試乗会ではハイブリッド車「G」グレードの4WDと、ガソリン車の4WDのみとなる「アドベンチャー」に乗った。

「アドベンチャー」(画像)とハイブリッド車の「G」グレードに試乗

加速はもちろん、排気量で上回るうえにモーターのアシストもあるハイブリッド車の方が上だ。ガソリンエンジンのアドベンチャーは、3,000回転あたりまでエンジンを回すことが多く、エンジン音がそれなりにキャビンに響く。ただ、その音はハイブリッド車の2.5Lより滑らかで、回すことが気持ちいいと感じた。

新世代プラットフォームの剛性感、しっとりと動くサスペンション、移動距離の長い北米市場を見据えたような厚みのあるシートなどのおかげで、乗り心地は快適だった。ホイール/タイヤをインチアップしたアドベンチャーのほうが、しゃきっとした乗り味で好感を抱いた。ハンドリングも、パワートレインが軽いアドベンチャーの自然な身のこなしが好印象だった。

実は、新型RAV4のTNGAプラットフォームは、C-HRではなく、ひとクラス上のカムリと同じものを使っている。クルマ作りの過程では、オフロード走行を想定し、あの「ランドクルーザー」の開発スタッフからアドバイスを受けたそうだ。懐の深さを感じた乗り味はこうした理由によるものだった。

試乗会ではフラットなダートとモーグルなどからなるオフロードコースも用意されていた。こういった環境をトヨタが用意したのは、新型RAV4のキャラクターを強く印象付けるためだったのだろう。

試乗会ではオフロードコースも試すことができた

フラットなダートでは、E-Fourの進化にまず驚いた。これまでのE-Fourは、滑りやすい路面の発進時などに限り後輪を駆動する、エマージェンシー的な性格だった。新型RAV4のE-Fourはリアモーターが強力になり、後輪の駆動を感じながらのコーナリングを味わえるようになっていた。

一方、アドベンチャーを含む一部のガソリン車には、リアのトルクベクタリングが備わっていた。コーナーでは積極的に外輪のトルクを増やし、旋回を強めていく。また、ガソリン車は「マッド&サンド」「ノーマル」「ロック&ダート」の3モードの切り替えが可能で、200mmの最低地上高と合わせてかなりの凹凸を余裕でクリアできた。

初代RAV4を知っている人は新型の激変ぶりに驚くだろうが、初代RAV4が確立した乗用車テイストのSUVがあふれるほど増えた今だからこそ、逞しさにこだわった新型のデザインと走りが新鮮に感じた。

「RAV4」が日本に再登場! 路線変更でトヨタにとって「挑戦の1台」に

「RAV4」が日本に再登場! 路線変更でトヨタにとって「挑戦の1台」に

2019.04.10

トヨタが新型「RAV4」発売、その来歴とは

先代は米国ナンバーワンの人気車種、新型が日本市場に

思い切った路線変更の理由は? 開発責任者が語る

“RVブーム”の真っ只中に誕生し、“気軽に乗れる四輪駆動車”という新たな価値を提示したトヨタ自動車の「RAV4」。その後はボディサイズが大きくなり、米国市場では乗用車販売でナンバーワンを獲得するなど人気を博したが、日本では一時的に販売を休止していた。日本市場に再登場する新型「RAV4」は、トヨタにとって挑戦の1台となる。

トヨタの新型「RAV4」。グレードは「X」「G」「G “Z package”」「Adventure」「HYBRID X」「HYBRID G」の6種類で、価格は260万8,200円~381万7,800円だ

SUVブームの火付け役? トヨタ「RAV4」の来歴

トヨタ「RAV4」は1994年に誕生したSUV(スポーツ多目的車)だ。風変わりな車名は、「リクリエイショナル・アクティブ・ヴィークル・4ホイールドライブ」(Recreational Active Vehicle 4Wheel Drive)の頭文字をとっている。

当時、三菱自動車工業「パジェロ」やいすゞ自動車「ビッグホーン」など、悪路走破性を売りとした各車は「RV」(レクリエイショナル・ヴィークル)と呼ばれたが、それらに比べRAV4は、より身近で運転しやすく、気軽に乗れる四輪駆動車という価値を生み出した。今日のSUVの先駆けといえるクルマだったのだ。当初は2ドアハッチバックの3ドア車として登場したが、翌1995年にはホイールベースと車体を延長して4ドアハッチバックとした5ドア車を追加し、販売を伸ばした。

三菱自動車「パジェロ」(画像は1991年発売の2世代目)が牽引した“RVブーム”の中で、初代「RAV4」は誕生した

今日のクロスオーバーSUV的な乗用車感覚ではなかったが、それでも、パジェロやビッグホーンのような本格的で悪路走破性に富むRVと比べると、RAV4は市街地での利用にも適した四輪駆動車だったのである。

同じ頃、ホンダ「CR-V」(1995年)やスバル「フォレスター」(1997年)なども誕生する。少し遅れて、日産自動車「エクストレイル」(2000年)も登場した。CR-VはRAV4とほぼ同時期に着想されたと想像できるが、フォレスターとエクストレイルは、先達たちの影響を受けてメーカーが開発に着手したものとみられる。

しかし、米国市場での人気の高まりとともに、車体を大きくしていったRAV4とCR-Vは、2016年に日本国内での販売を一時中止としてしまった。日本市場では先駆者だっただけに、皮肉なものだ。一方、後発といえたフォレスターやエクストレイルは、その間も国内販売を続けたのである。

そんな経緯はあったものの、CR-Vは2018年に国内販売を再開。RAV4も、今度の5世代目で日本市場に再登場することになった。

5世代目となる新型「RAV4」。外板色はアーバンカーキとアッシュグレーメタリックのツートーンカラーで、この組み合わせは「Adventure」というグレードで選択できる

現在のSUVブームが始まったのは米国市場だった。日本ではフォレスターやエクストレイルなどが生き残っていたものの、今日のSUV人気に火をつけたのは、2012年発売のマツダ「CX-5」であっただろう。次いで、ホンダから「ヴェゼル」が登場する。また、欧州から続々と上陸した輸入車も、国内のSUV人気を盛り上げたといえる。運転の楽しさを何より大事にするBMWや、スポーツカーメーカーのポルシェでさえSUVを開発するようになった。

開発責任者に聞く新型「RAV4」の立ち位置

欧米では販売されていた4代目の空白期間を経て、トヨタは今回、5代目RAV4を再び日本で販売することを決めた。開発責任者を務めた同社の佐伯禎一チーフエンジニア(CE)は、新型RAV4について次のように語る。

「新しい『RAV4』の車名の意味は、『ロバスト・アキュレイト・ヴィークル・4ホイールドライブ』(Robust Accurate Vehicle 4Wheel Drive)としました。よりたくましく、頼もしく、かつ洗練された精緻さを備える四輪駆動車という意味です。走行性能はもちろん、内外のデザインにも、そうした方向性を持たせています」

たくましくも洗練されたデザインを目指したという新型「RAV4」。外板色はシルバーメタリック

実は、佐伯CEはトヨタのSUV「ハリアー」の開発も担当している。クロスオーバー車として、より乗用車感覚の強いハリアーに対し、RAV4には、しっかりとした悪路走破性を実現する技術の裏付けを求めたのである。その考えには、社内で異論もあったと話す。

「4代目RAV4は米国で人気が高く、2017年には乗用車部門で『カムリ』(トヨタのセダン)を抜いて1位となりました。その流れを継承するモデルチェンジを求める声が、特に営業側から強くありました」

それでも佐伯CEは、「キーンルック」とよばれるフロントの造形を持った4代目のクロスオーバー的な姿ではなく、よりSUV的なたくましさを備える造形にRAV4を作り変える決断を下した。

「4代目RAV4は、おかげさまで米国では乗用車ナンバーワンの売れ行きとなりましたが、そのままの価値観では、いずれ下降線をたどることになるでしょう。好調な売れ行きという余裕がある中で次の挑戦をしなければ、将来的な伸び代が得られないと考え、あえてクロスオーバー的で乗用車的なSUVを超えていくことを決めました。当時の副社長も、私の考えに同意してくれました」

SUVとしてのタフさを押し出した新型「RAV4」

新型RAV4で取り組んだ挑戦の1つに、新開発の四輪駆動システムがある。従来からの「トルクコントロールAWD」のほか、新開発の「ダイナミックトルクベクタリングAWD」と、後輪用のモータートルクをより高めた新開発の「E-Four」(イー・フォー)をそろえたのである。「新技術のすごさを見せるというよりも、そういう新しい技術を盛り込むことで、お客様に再び振り向いてもらいたいという思いもあります」と佐伯CEは語る。

わずか3年前、販売台数が尻すぼみとなる状況で、国内での販売を一度は終えたRAV4に、消費者が再び関心を寄せることはあるのか。そうした不安や心配は、佐伯CE自身にもある。しかし、挑戦せずには次への一歩を踏み出せないのもまた現実であろう。

SUVブームの日本で新型「RAV4」は存在感を発揮できるのか

新型RAV4のプラットフォームは、「カムリ」から採用が始まった「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)であり、「プリウス」を発端とするTNGAとは別系統だ。

TNGAとは、基本となる技術をまずは徹底的に磨き上げ、それを基に車種ごとの商品性を築き上げる開発手法のこと。その取り組みはプリウス以降、「CH-R」や「カローラスポーツ」などで車種ごとの飛躍的な進歩を実証している。カムリを発端とするTNGAの成果として、新型RAV4がいかなる商品力の高さを見せるのか。国内市場への復帰にとどまらず、TNGAの成果が試されるのが新型RAV4というクルマなのだ。