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進むべきはプレミアム化の道? 安東弘樹、マツダの技術者と語る!

安東弘樹のクルマ向上委員会! 第2回

進むべきはプレミアム化の道? 安東弘樹、マツダの技術者と語る!

2018.08.16

「アテンザ」の試乗を終えた安東さんがマツダ技術者と対話

ミニ「クラブマン」との比較で感じたこととは?

安東さんのクルマ購入リストに意外な伏兵あらわる!

マツダのフラッグシップ「アテンザ」の試乗を終え、技術者と話を始めた安東弘樹さん。話題は多岐にわたったが、最終的にはマツダのブランド戦略に直結するテーマに収斂していった。マツダはプレミアムブランドになれるのか。安東さんの考えは。

※文と写真はNewsInsight編集部・藤田が担当しました

安東さんが話をしたのは、マツダ パワートレイン開発本部の西尾貴史さんと広報本部の岡本隆秀さん。ちなみに、岡本さんは広報部に来る前、車両開発本部にいた方だ。

左が西尾さん、中央が岡本さん

8速AT採用の可能性は?

初めに話題となったのは、オートマチックトランスミッション(AT)の多段化に関する話。安東さんは6速ATの旧型と6速MTの新型のディーゼルに乗った際、時速100キロでエンジンが2,000回転も回ってしまった事に触れて(MTは1,850回転ほど)、「せっかくトルクがあって良いエンジンなのだから、(アイシン・エィ・ダブリュなど)他社から8速ATを買ってきて取り付けてはどうか」と口にしていた。ちなみに、欧州の同等スペックのディーゼルエンジンにはほとんど8速ATが組み合わされていて、安東さんの愛車は100キロで1,400回転ほどだそう。トランスミッションを多段化し、細かく変速できれば、効率のよいエンジンの回転数域を使えるので、燃費にも加速にもメリットがある。

この意見について西尾さんは、「他社から持ってこようと思えば技術的には可能」としつつも、「難しいのは、AT側とエンジン側で『トルクの協調』というのをやっていて、変速する時に、一度エンジン側のトルクを落としてから、油圧でつなぎなおして再びトルクを上げる、みたいな制御を入れてるんです。内製でやるのであれば、部署が近いので制御について密に話せるんでしょうけど、他社のトランスミッションを導入すると、それにエンジンを合わせなくてはならないので、ベストな解が出せなくなると思います」との考えを示した。

シフトポジション表示について細かい質問が!

運転に関する作業は全て自分で行いたいという安東さんにとって、アテンザにマニュアルトランスミッション(MT)の設定があることは高評価だったが、気になる点もあったようだ。それは、「シフトポジションの画面表示」だ。

アテンザでは、ドライバーが正面に見るモニターに、どのギアで走っているのかが表示される。例えば5速であれば「5」という具合だ。安東さんが疑問を呈したのは、モニター表示の切り替わりが実際のシフト操作よりも遅かったこと。ちなみに、AT車をMTモードにして走っている時、パドルシフト(ステアリングに付いていて、指でシフトチェンジできる装置のこと)で5速に入れたときには、モニター表示もすぐに反応して「5」の表示に変わっていた。

シフトポジションの画面表示に関する話題に(画像提供:マツダ)

この点に関し西尾さんは、「MTはシフトレバーに(モニター表示と連動するような)スイッチが入っているのではなくて、エンジン回転と車速の比で(どのシフトに入っているのかを)判断・計算してます。クラッチをつないだ直後はそこが不安定で、計算しきれないので表示の切り替えが遅れてしまうんです」と説明。MTでは例えば、ドライバーが3速から5速に入れるような予期せぬシフト操作もありうるので、それを見越したエンジン制御も必要になる。そのあたりにATよりも難しい部分があると西尾さんは話していた。

こんな具合で、安東さんとマツダの技術者による懇談は話題が多岐にわたったのだが、マツダのブランド戦略にまで話が及んだのは、安東さんがアテンザの後席ドアに関する感想を述べたことがきっかけだった。

100万円の違いも納得できる欧州車と日本車の違い

ポルシェ「911 カレラ 4S」、ジャガー「F-PACE」に加え、3台目のクルマを購入しようと真剣にクルマ選びを進める安東さんは、アテンザのほか、ミニ(MINI)の「クラブマン」も購入検討リストに入れている。アテンザの出来栄えには納得の表情だった安東さんだが、クラブマンも捨てがたいと感じている理由は、欧州車が持つ重厚感、あるいは上質感ともいえる部分に惹かれているからだ。それが端的に現れているのが後席のドアだという。

アテンザの試乗車に乗り込むとき、安東さんが気にしたのが後席の「開け閉め感」だ。「F-PACE」や「クラブマン」などは、ドア自体が分厚く、閉めたときには「ガチッ」という感覚があるそう。一方で、「アテンザ」に限らず、日本車では開け閉め感に軽さがあるという。

クルマは命を預けるものだけに、そういった部分から感じる重厚感、安心感といったようなものは重要というのが安東さんの考え。「きわめて少数派かもしれないが」と前置きした上で、「同じようなスペックのクラブマンより、アテンザは100万円も安く買える。逆にいえば、ドアのガッチリ感など、そこが100万円の違いかとも感じる。装備などを考えると、アテンザの方がコスパは高いと思うんですけど、ユーザーとしては悩ましい。ドアの感じだけで100万円の差が気にならなくなることもあるので」と語った。

試乗車の乗り降りでは常にドアの開け閉め感を気にしていた安東さん

マツダのハイエンドなクルマはどうなっていくのか

これに対しマツダの岡本さんは、「ドアの開け閉め感、まさにその点は開発でも議論しているところです。もちろん、欧州車のずっしりとした安心感は認識してるんですが、(マツダとしては)日米向けのニーズに応えると、なかなかそこに踏み切れない。日米のお客様はクルマに乗る時に、ドアを開けながら乗り込むという所作になります。そうすると、ドアの重さが気になってしまうんです」と日本メーカーならではの事情を説明した。

欧州車が重厚な質感を持つ背景として、「これからアウトバーン(ドイツの高速道路。速度無制限区間もある)で時速200キロ超の世界に入るという時、やはり安心感というか、包み込まれて乗りたいという思いになるんでしょう」とした岡本さんは、欧州車の後席ドアに端的に表れている質感なども考慮して、マツダとしても「ハイエンドなクルマでは、うまく作り分けるべき状況なのかもしれない」と話していた。

「アウディにするかマツダにするか」が理想?

ドアの“ガッチリ感”に象徴されるようなクルマの質感の話は、マツダのブランド戦略に直結する。マツダは先日、これからのクルマづくりの方向性として「ラージ」と「スモール」という考え方を提示し、年間販売台数200万台という目標を打ち出したばかりだが、欧州のプレミアムブランドと同じような規模感を目指していく上で、「ラージ」に属する商品群では付加価値の向上に力点を置く姿勢を見せているからだ。

「ステータスシンボルとしてのクルマには関心がないが、求めるものを具現化してくれるということで」輸入車を選んでいる安東さんも、マツダの今後に期待を示す1人。「アテンザの車体価格は500万円に上げてもいいのでは。日本車の越えなければいけない壁というか、思い切って車体を500万円にできるかどうかには注目したい。コンパクトカーは頑張って安く売ってもいいと思うんですが、フラッグシップと名乗るクルマは別に考えてもいいのではないでしょうか」

「世田谷に住んでいて、輸入車に乗っている年収1,000万円超の人に買ってもらうのか、今の顧客に少し背伸びして買ってもらうのかで、マツダ車の価格設定は変わってきそう」(安東さん)

車体価格に100万円を上乗せできるか

ただし、「どうやって日本の自動車メーカーが変わっていくか。マツダも過渡期だし、(価格帯で)上にいったときに売れるかどうかについて悩んでいるのは、痛いほど理解できます」とも安東さんは話す。

マツダの西尾さんも、車体価格を100万円引き上げられればクルマは「全然変わる」とし、ステアリングの位置を電動で調整できるようにしたり、後席ドアの質感を上げたりなど、いろいろな部分を改良できることは認めるが、「ただ、『マツダプレミアム』というのが浸透し切らないタイミングで、自分勝手に価格を上げてしまうと、お客様の気持ちが付いてこないのではという懸念もあります」と複雑な心境を明かしてくれた。この点については、「『アウディにするかマツダにするか迷う』という感じになった方が、生き残る道はあると思う」というのが安東さんの考えだ。

「マツダのクルマに乗っている自分に出会いたい。国産の、マツダのような職人気質のメーカーで、『RX-7』の新型かどうかは分からないが、シフトフィールが良くて剛性感のあるクルマに乗りたい」。最終的に、マツダへの思いをこのように表現した安東さん。差し当たり、どのクルマを購入するかについては、検討リストに浮上しているアテンザとクラブマンによる争いが混迷の度合いを深めたわけだが、ここで同リストに、新たに1台の日本車が登場することになった。

意外な感じもするが、それはトヨタ自動車の新型車「カローラ スポーツ」だった。なぜカローラが候補に浮上したのか。こちらの試乗会にも同行したので、その理由も含めて本連載の3回目でお伝えしたい。

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ダイハツの新車「ミラ トコット」に試乗、女性目線の“軽”は何が特徴?

ダイハツの新車「ミラ トコット」に試乗、女性目線の“軽”は何が特徴?

2018.08.10

女性社員の専任チーム設立、集めた“女性の声”を反映

盛らないデザインが今っぽい?

軽自動車を知り尽くしたダイハツらしい1台に

ダイハツ工業が新型の軽自動車を発売した。車名は「ミラ トコット」。何ともかわいらしい響きのある名前だ。ダイハツは女性や初めてクルマを購入する若年層をメインターゲットにこのクルマを開発したのだが、中でも興味深いのは、女性社員によるプロジェクトチームを作り、“いまどき”の女性の感性に着目したコンセプトづくりを行ったという点。女性目線のマーケティングを多分に反映させたクルマなのだ。

ダイハツの新型軽自動車「ミラ トコット」。6月26日の発売から1カ月で月販目標の3倍となる約9,000台を受注した

従来も「ミラ ジーノ」や「ミラ ココア」など、デザインコンシャスなモデルを発表してきたダイハツだが、ミラ ココアのモデルチェンジを考えた時、純粋にモデルチェンジするか、別モデルにするかという議論になったそうだ。というのも、若い女性に人気がある反面、「(ココアは)可愛すぎてちょっと……」というネガティブな意見もあることをダイハツは把握していたからだ。そこで、新型車の開発に向け女性社員のプロジェクトチームを発足させた。

軽自動車の本質は外さないクルマづくり

トコットの開発では、「かわいさ」や「カッコよさ」を強調する従来の「盛る」という発想を転換。“素”の魅力を追求し、「シンプルなデザインで肩肘張らずに乗れる軽のベーシック」を作ることにした。このように、デザインだけを見ても考え方が今までとは違う。

かわいく「盛る」のではなく、“素”の魅力を追求したデザイン

プラットフォームは「ミラ イース」と共用する。エンジンは「ムーヴ」と同じで、CVT(無段変速機、歯車ではない機構を用いたトランスミッションのこと)はミラ イースに搭載される最新のものだ。既存のパワートレーンなどを使いつつ、ミラ イースで培った軽自動車の本質的な良さを継承しながら、「ちょっといいモノ」を目指した。

エクステリアデザインは、スクエア調ながら角を落とし、丸みも感じられる愛嬌のあるもの。シンプルでありながら車両感覚をつかみやすく、死角の少ないデザインは乗る人に優しい仕上がりだ。

クルマの先端や幅など、車両感覚がつかみやすいのがスクエア調の利点だ

車内の便利なところ、欲しいもの

ドアを開けると、ほぼ90度近く開くのに驚いた。そもそも、クルマのボディサイズがコンパクトなのだから、開口部そのものの大きさは限られる。が、足つきも良く、これなら老若男女、乗り降りしやすいと感じた。

シートはシートバックがベージュ、座面はブラウンでパイピングを施してある。縦の素材違いの2トーンは良くあるが、座面とシートバックで分けるのは珍しい。これには、座面は汚れやすいから濃いめの色とし、シートバックは明るい色にすることで室内を明るく演出するという狙いがある。インテリアと実用性をディテールに至るまで考慮しているのだ。

座面とシートバックで色づかいが違う

着座姿勢もアップライトすぎないポジションが取れる。ただ、コスト的に厳しいのは承知だが、軽自動車がこれだけポピュラーになっていることを鑑み、また女性のことも考えれば、テレスコピック(ステアリングの位置を前後に調整できる機能)も装備してくれると嬉しい。

ダッシュパネル周りもスイッチ類が少なく、すっきりと極めてシンプルだ。実はトコット、価格を抑えるための努力もしている。抑えるところは抑え、必要なものは装備するというメリハリをつけているのだ。たとえばエアコンはオートではなく、マニュアルのみ。でもこれ、まったく不便は感じないと思う。そもそも、クルマのエアコンって、さほど操作しないんじゃないだろうか。人によるかもしれないが、乗り込んだ時に暑かったり寒かったりして多少の操作をしたとしても、ある程度落ち着いたら、風量や温度を頻繁に調整する必要は感じない。この割り切りはアリでしょう。

すっきりとしたダッシュパネル周り

軽では珍しく2口のUSBソケットが備わっているが、国産の登録車でも、2口が標準装備となっているクルマはまだまだ少ない印象。今や、スマートフォンの充電などにマストなアイテムだけに、ありがたい装備だ。ただ残念なのは、充電中のスマホなどを置くトレイがない……。センターのドリンクホルダーに置く感じか。いや、スマホに限った話ではなく、コンソールボックスも装備されていないので、収納が少ない。ドアポケットやシートアンダートレイ、ショッピングフックなどの装備はあるのだが、運転席から手の届く距離に隠せる収納が欲しいと思った。

女性テストドライバーが評価した走りの実力は?

ところで、トコットはデザインやユーティリティのみならず、走りの面でも、女性のテストドライバーが評価し、セッティングを行ったそうだ。

パワーステアリングの操舵力は、狭い路地や車庫入れがスムーズにできるよう、軽めのセッティング。実際に走ってみたが、街中では軽くて操作しやすく、高速道路でも、不安定な感じや頼りなさといった違和感はなかった。要は、しっかりとした手応えがあれば、操舵力が軽くても問題ないのだ。むしろ、楽に操作できるのは嬉しい。

ステアリングは軽く、操作しやすい

サスペンションチューニングもダイハツがこだわったポイント。ステアリングを切った際、大きくロールすると女性は不安感を持つということがわかり、同社は改善に注力したそうだ。

ここでもコストとの戦いがあった。ロールを抑制する「スタビライザー」(スタビ)を装着すれば話は早いのだが、このパーツ、コストがかさむ。そこで、スタビはつけずに“不安感のないクルマの動き”とした。

通常、スタビがないとスプリングレート(サスペンションのバネの硬さ)が上がることになり、乗り心地とトレードオフの関係になりがちなのだが、トコットの乗り心地は快適で、高速のランプウェイなどでも不安はなかった。ロール量ももちろん関係するが、ロールのスピードを抑えてあるだけでも、体感的には“怖さ”がかなり違う。

長年、ドライビングスクールなどで女性ドライバーと接していて思うことがある。一般的にクルマの専門用語に詳しくない女性は、クルマを運転した感想を専門用語をちりばめて詳細に語ることこそ少ないが、そのセンサーはかなり繊細で、クルマの動きにも敏感だということだ。トコットの開発に加わった女性ドライバーも、同性だからこそ、そんな気持ちを汲み取って、安心して走れるチューニングを施せたのかもしれない。そしてもちろん、トコットは、万一の際の事故被害を軽減する衝突回避支援システム「スマートアシストⅢ」を全グレードで標準装備している。

ソナーセンサーとステレオカメラを用いた衝突回避支援システム「スマートアシストⅢ」を標準装備。衝突回避支援ブレーキ機能や誤発進抑制制御機能などがついている

多様化する軽自動車、ブレないダイハツ

クルマのカタチやカテゴリーはどんどん多様化している。そして、日本のマーケットにおいては今や、軽自動車がクルマの販売全体の4割を占める。となれば、「軽」の中でもニーズに応じてセグメントやヒエラルキーが細分化していくのは当然だろう。そんな中でもダイハツは常に、シンプルで運転しやすく、低価格という「軽の本質」を押さえたモデルをブレずに作り続けている。

トコットも本質に則したクルマだし、女性目線のマーケティングも、あながち間違っていないと思う。女性が使いやすければ、そのクルマは誰にでも使いやすいはず。女性に媚びてはいないが、かゆいところに手が届くトコットは、軽を知り尽くしたダイハツらしい1台だ。

SUVブームを読みきったBMWの最新作! 試乗で感じた「X2」の完成度

SUVブームを読みきったBMWの最新作! 試乗で感じた「X2」の完成度

2018.08.09

ブームを先読み? ますます充実するBMWのSUV

スタイリッシュな最新作「X2」に試乗

取り回しのしやすいサイズ感、走りも磐石のBMW

2017年に世界で販売されたクルマのうち、3分の1がSUVだったといわれている。SUV市場の拡大は20世紀後半にはすでに予想されていたが、ここまでシェアが広がることを予測できた人は少数派なのではないだろうか。

その少数派に含まれる自動車メーカーがある。ドイツのBMWだ。BMWは1999年に同社初となるSUV「X5」を発売。それまで、セダンやスポーツカー、コンパクトカーなどを手掛けてきたメーカーが、SUVのカテゴリーに乗り出したのだ。日本の自動車メーカーは「RV」と呼ばれるようなクルマを多く生み出してきたが、BMWがこうした方向に舵を切ったのは大きな出来事だった。

SUVラインアップは6車種に

BMWのすごいところは、その後のラインアップ充実に関する加速度的な取り組みだ。2004年には「X3」を追加し、2008年の「X6」、2009年の「X1」、2014年の「X4」と次々にSUVの新作を用意。2010年にはMINI(ミニ)ブランドにも「カントリーマン」というSUVを追加設定している。

そうした中、さらにラインアップを充実させるために追加したのが「X2」だ。BMWのセダン、クーペ、カブリオレ、ロードスターのモデルは1~8までのラインアップで構成されているが、このX2の登場により、SUVのラインアップは「X1~X6」までとなった。世の中で売れているクルマの3分の1がSUVだと冒頭に述べたが、BMWのラインアップにおけるSUV比率は、世の中のシェアを遙かにしのぐことになったといえる。

BMWが生み出した6番目のSUV「X2」

低い車高が特徴、スタイリッシュな「X2」

BMWではSUVのことをSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)と呼んでいるが、X2についてはSAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)というジャンルだと主張している。

X2は同じSUVであるX1をベースとし、スタイリッシュなボディを与えたモデルだ。ホイールベース(前輪と後輪の車軸を結んだ距離)はX1と同じ2,670mmとなっている。ただし、X1が1,600mmの全高を持つのに対し、X2は1,535mmと車高が低め。スタイリングはもとより、機械式駐車場への入庫確率の向上などを行っているのだ。ただし、全幅は1,825mmと1,800mmを超えるので、車幅で制限を受けることもあるだろう。

この車高であれば機械式駐車場に入れられる可能性も高まるはずだ

全体のスタイリングを見ると、X1は2ボックス車を大きくしたようなシルエットだが、X2はスポーティな4ドアを大きくしたようなイメージとなる。BMWのアイデンティティでもある「キドニーグリル」(キドニーとは腎臓の意味。BMW伝統の形)には、上下の高さを抑えたクーペライクなデザインを採用。サイドウィンドウはリヤに向かって絞り込まれた形状で、翼断面を思わせるスタイリッシュなものとなっている。

キドニーグリルは高さを抑えてクーペライクに

ユーザーの若返りも大事な使命

X2はSUVのラインアップを充実するということ以上に、BMWのユーザーを若返らせるという大きな役割も担っている。スタイリッシュなSUVとしたのもその一環だし、プロモーションに香取慎吾さんを起用していることにも大きな意味がある。そして、忘れてはならないのがコネクティッド機能の部分だ。

プロモーションには香取慎吾さんを起用

X2には「BMW コネクテッド・ドライブ」が標準装着されている。深刻な事故が発生した際、クルマ側から自動的に緊急事態をコールセンターに知らせる「SOSコール」のほか、クルマの整備関係データをディーラーに発信し、的確な整備を受けられるようにする機能などが備わっており、万が一のトラブルの際にも迅速な対応が可能となっている。

さらに、オーナーはスマートフォンに専用アプリ「My BMW」をインストールすることにより、乗車前に車外から空調を作動させたり、ドアの解施錠を行ったり、パソコンやスマホで設定したドライブコースをナビに連動させたりすることができる。車内通信モジュールを利用すれば、ニュースの閲覧やTwitterのディスプレイ表示・読み上げなども可能となる。

室内・荷室は充実の広さ

SUVというジャンルである以上、ユーティリティの部分もしっかりと確保する必要があるだろう。X2を真横から見ると、リヤゲートにはそこそこ傾斜した形状が与えられている。ラゲッジルームの容量を少しでも多く確保するなら、この部分は垂直に近いほど有利なのだが、あまり垂直にしてしまうと、スタイリングを台無しにしてしまう。この傾斜したリヤゲートでありながら、ラゲッジルームの容量は470リットルと広大だ。ちょっとクラスは違うが、トヨタ自動車「C-HR」のラゲッジルーム容量が318リットルだから、かなり広いことがわかると思う。

ラゲッジルームはかなり広い

ラゲッジルームの使い勝手は容量だけでは決まらない。リヤシートをどのように倒せるかがとても重要になる。多くの国産車は、6対4でシートバックを前倒しにできるタイプのクルマが多いのだが、X2は4対2対4の3分割方式になっている。なので、右を4倒すこともできるし、そこに2を足して6倒すことも可能だ。センターの2だけを倒して長尺物を搭載することもできる。この自由度の高さは、さまざまな遊びに対応すること間違いなしだ。

シートの倒し方にも多くのバリエーションがある

室内の広さも余裕がある。フロントシートはたっぷりとしたサイズで、視界も開けているから、クルマを走らせているときも、ゆったりとした余裕のある雰囲気が伝わってくる。自分とパートナーというドライブならベストなパッケージングといえる。リヤシートも足元の広さは十分にあるのだが、シートクッションの前後長が少し短く、ヘッドルームも窮屈ぎみなので、長距離ドライブではちょっと疲れるかも知れない。

BMWなら当たり前? 走りはスポーティーで気持ちいい

試乗車は2リッターの4気筒ターボエンジンを搭載する「xDrive20i」というグレードだった。エンジンの最高出力は192馬力。トルクカーブがフラットなので扱いやすい特性だ。ミッションは8速とクロスレートなので、パドルシフトを使ってこまめにアップ&ダウンを繰り返しながら、ワインディングを走るとなかなかの気持ちよさだ。

ワインディングでは気持ちのよい走りを楽しめた

ハンドリングはBMWらしいシャープなもの。ステアリングを切ればススッとノーズがインを向いていく。しっかりした直進安定性を示しながらも、そこからのステアで機敏に向きを変えるところは、SUVの「S」の部分(スポーティーであること)を十分に表現しているというイメージだ。車高がある程度は高いので、ロールはそれなりに発生するのだが、ロールによる不安感などがない部分には、BMWのノウハウがいきているのだろう。