「50%還元」でGWを席巻 - 後発でも先陣を切る「メルペイ」のユニークすぎる戦略

「50%還元」でGWを席巻 - 後発でも先陣を切る「メルペイ」のユニークすぎる戦略

2019.05.08

メルペイがGW中に「50%還元」を打ち出し、話題を呼んだ

キャッシュレス「後発」のメルペイに勝機はあるのか?

「後払い」「セブン-イレブンへの導入」など、差別化を実現

メルカリのスマホ決済「メルペイ」が、ゴールデンウィークに「50%還元」を打ち出し、話題を呼んだ。また、連休中には若者がひっきりなしに行き交う原宿の竹下通りをジャックし、メルカリとの相乗効果を狙ってきた。

「メルペイ」が50%還元や竹下通りでのキャンペーンを展開

キャッシュレスの波に乗り、多くのスマホ決済がひしめく中で、メルペイは後発組だ。だが、他の事業者にはない特色を出すことで、着実にその距離を詰めてきている。

原宿・竹下通りが「竹下メルペイ通り」に

メルカリの100%子会社としてスマホ決済を展開するメルペイは、2月13日のサービス開始後、4月17日には登録者数が100万人を突破。先行する各社に比べてまだまだ規模は小さいものの、わずか63日で大台に乗せてきた。

さらにゴールデンウィークには2500ポイントを上限とした「50%還元」を実施。景品表示法による規制との兼ね合いを心配する声も上がったが、メルペイでは「法的に問題ない」と説明した。

主なターゲットはフリマアプリ「メルカリ」ユーザーの若者だ。連休中は原宿の竹下通り商店会と組んだ「竹下メルペイ通り」キャンペーンを実施。約80店舗がメルペイでの支払いに対応した。

ゴールデンウィークは竹下通りが「竹下メルペイ通り」になった

人気クレープ店「マリオンクレープ」の場合、竹下通りの店舗では現金のみの取り扱いだったが、初めてのキャッシュレスとしてメルペイに対応した。メリットとして「現金を扱う手間が減る」ことを挙げた。メルペイは店側に1.5%の手数料がかかるものの、それを考慮してもなおメリットが上回るという。

マリオンクレープ。メルペイ利用でクリームを3倍にする特典も

また、カラフルなわたあめで有名な「TOTTI CANDY FACTORY」(トッティキャンディファクトリー)は、店頭でメルペイ対応を大きくアピール。200円引きの特典を提供していた。連休中のキャンペーン終了後も、メルペイは続けていくという。

TOTTI CANDY FACTORYではメルペイの利用で200円引きに

今回、一度に80店舗がメルペイを導入できた背景には、メルペイがQRコードやバーコードを用いた「コード払い」と、FeliCaを用いた「iD」の両方に対応している点がある。すでにiDを導入していた店ではそのまま利用でき、iDを導入していない店ではタブレット端末で簡単にコード払いに対応できるのだ。

各店舗では、メルペイ以外のスマホ決済やクレジットカードの導入も検討を進めていくという。すでに訪日外国人などからクレジットカードの要望は増えているとのことから、メルペイをきっかけにキャッシュレス対応が進むことを期待したい。

後発ながら、メルカリを中心とした独自の強みあり

国内のスマホ決済ではPayPayやLINE Pay、楽天ペイが先行している。後発のメルペイに勝ち目はあるのだろうか。

大きな強みとなるのが「メルカリ」アプリの存在だ。アプリをゼロから展開するにはPayPayのように莫大な投資が必要だが、メルペイは広く普及しているメルカリのアプリをそのまま利用できる。さらにはiPhoneの「Apple Pay」に対応しているのも強みだ。

iPhoneのApple Payに登録してiDでの支払いに利用できる

フリマを利用するには金銭の授受が付きもの。他のスマホ決済ではクレジットカードや銀行口座を紐付ける手間がかかるのに対し、メルペイはフリマの売上金を支払いに利用できる。

4月23日からは、他の事業者にはない「メルペイあと払い」も始まった。審査による限度額の範囲内で、残高を超えて支払いができる。1カ月300円の手数料はかかるものの、いざというときにチャージする手間が省けるのは便利な場面がありそうだ。

ユニークな機能「メルペイあと払い」も

店舗展開にも期待がかかる。全国のiD対応店舗で利用できるほか、これから開拓していくコード払いではLINE Payと提携、初夏には加盟店を相互開放する予定となっており、一気に対応店舗が増えることが予想される。

先行する各社が踏み込めていないセブン-イレブンで、連休中に驚異の「70%還元」を実現するなど、メルペイ独自の動きもある。メルカリユーザーを原動力に、他の事業者にはないユニークな施策でどこまで追い上げてくるか、注目したい。

起爆剤はPayPay?  東京・京都に上陸したタクシー配車「DiDi」、加熱市場での勝算

起爆剤はPayPay? 東京・京都に上陸したタクシー配車「DiDi」、加熱市場での勝算

2019.04.28

タクシー配車サービス「DiDi」が東京と京都でサービス開始

大坂での試験運用データを公開、タクシー会社のメリットとは?

新たにPayPayでの支払いが可能になり、相乗効果を期待

タクシー配車サービス「DiDi」が東京と京都でのサービス開始を発表した。日本法人はソフトバンクが50%を出資しており、ヤフーのアプリやPayPayとの連携など、グループの強みを活かした施策も打ち出してきた。

DiDiが東京や京都でサービス開始、PayPay連携も

スマホでタクシーを呼べる配車アプリが続々と登場し、盛り上がりを見せている。これから全国展開を目指すDiDiはどこに勝算を見出したのか。

大阪では実車率が上昇、若年層の開拓も

2018年9月に大阪でサービスを開始したDiDiは、東京と京都でのサービスを正式に開始した。日本法人のDiDiモビリティジャパンは、中国DiDi(滴滴出行)とソフトバンクが50%ずつ出資する合弁会社で、両社の強みを持ち寄る。

スマホでタクシーを呼ぶメリットは多い。急いでいるときでも確実につかまえることができ、土地勘のない場所でもアプリの地図で容易に指定できる。運賃はアプリ内でカード決済できるので支払い手段に悩むこともない。

また、すでに大阪では「Googleマップ」と連携したサービスを提供しており、ルート検索をするとDiDiの選択肢が現れるようになっている。筆者も大阪を訪れた際にこの方法でDiDiを使うことを思い立ち、実際に呼んでみた経験があるが、地図画面には呼んだタクシーが近づいてくる様子やナンバー、車種が表示されるなど、使い勝手も良好だった。

DiDiのアプリを利用してタクシーを呼んでみた様子

同社は、他のタクシー配車とは違う強みとして、「AIの活用」を挙げる。システムの裏側で人を介することなく、AIが自動的にマッチングするという仕組みだ。海外では需要と供給を示すヒートマップを提供しているが、国内にも導入していくという。

同サービスを使うことによるタクシー会社にとってのメリットは、客を乗せて走った走行距離をあらわす「実車率」の向上だ。実際、DiDiを入れることで大阪では実車率が5%、営業収入が10%増加する一方、走行距離に変化はなく、同じ距離で効率良く稼げるとのデータが得られたそう。そうした評判が広まり、大阪でDiDiと契約したタクシー会社は6カ月で42社に増加している。

走行距離は変わらないまま、実車率や営業収入が増加した

利用者の属性はというと、中国本土でDiDiを利用する中国人観光客の需要に応えているのはもちろん、20~30代の利用者が伸びたという。これまでのタクシー客は中高年が中心だったが、スマホアプリによって新たな層にリーチできたというわけだ。

スマホアプリで20~30代の顧客層を開拓

「事前確定運賃」の導入に注目

DiDiは今後の展開として、東京、京都に続き、2019年度内に北海道や兵庫県、福岡県など全国10都市に拡大することを発表した。「Yahoo!乗換案内」アプリとの連携や、利用に応じてポイント還元率が上がる会員プログラムも導入する。

東京・京都に続き、2019年度内に10都市に展開する

さらに、ドライバー向け機能も拡充する。たとえば、1日の営業を終えたタクシーが帰庫するルートを活用したり、乗客を降ろす時間を予測して次の配車を先回りで手配したりといった高度なマッチング機能を導入していく考えだ。

国土交通省による動きにも注目だ。海外のライドシェアでは行き先を指定した時点で料金が分かるサービスがある中で、DiDiは料金メーターを利用する。これに対して、タクシーに乗る前に料金が確定する「事前確定運賃」の導入に向けた検討が進んでおり、DiDiとしても対応していく構えだという。

DiDiの仕組みでは、ドライバーと乗客が同じ地図を共有しており、どういった道順で走行するかについての透明性は高い印象を持つ。だが、タクシーを呼んだ時点で運賃が確定していれば、遠回りや渋滞によって運賃が上がる心配もいらなくなる。

現時点では、迎車料金の扱いがタクシー会社によって異なるのが気になる点だ。東京では「迎車料金無料」のキャンペーンにより、当面は精算時に迎車料金が無償になる。これも乗客にとってみれば分かりにくい仕組みであり、事前確定運賃の導入による統一を期待したい。

東京では「迎車料金無料」のキャンペーンを実施する

PayPayとの連携で相乗効果なるか

DiDiとPayPayの連携にも注目だ。5月末よりDiDiの利用時にPayPayによる支払いが可能になる。しかもQRコード決済ではなく、導入が遅れていた「アプリ内決済」にいよいよ対応する。

DiDiとPayPayが連携し、アプリ内決済に対応する

PayPayの100億円還元は5月で終わる見込みだが、買い物時の最大3%還元や懸賞、業種を絞った20%還元といった次の施策も発表されている。こうした大盤振る舞いによりPayPayはキャッシュレスを盛り上げてきた実績があるだけに、タクシー配車でも起爆剤としての役割を期待したい。

LINEがあえて「LINE Pay」専用アプリをリリースした背景

LINEがあえて「LINE Pay」専用アプリをリリースした背景

2019.04.18

LINEが「LINE Pay」のサービスや機能を強化

対応店舗のマップ表示やクーポン機能などが利用可能に

まずはAndroidのみでスタート、iOS版は追ってリリース予定

4月17日、LINEはモバイル決済「LINE Pay」の発表会で、2019年4月後半に実施する「平成最後のキャンペーン」を発表した。注目すべきは、LINE Payの決済に特化した専用アプリのリリースだ。

LINE Payのアンバサダーには女優の今田美桜さんを起用した

これまでLINEは、ほとんどのスマホに入っているLINEアプリを窓口として、さまざまなサービスを提供してきた。なぜこのタイミングで、流れに逆行するような専用アプリを出すに至ったのだろうか。

正味の還元率は20%から15%に低下

LINE Payの国内登録ユーザーは3,200万人。LINE Pay 取締役COOの長福久弘氏は「国内No.1を自負している」と強気を示す。特に注力してきたのが毎月の後半に実施する還元策「Payトク」で、バーコードやQRコードによるコード支払いの利用者は21倍に増加したという。

還元キャンペーン「Payトク」でコード支払いは21倍に

平成最後となる4月後半は「実質最大20%還元」として、4月18日から30日までの期間中に1人あたり最大5,000円を還元する。

気になるのは「実質最大」という表現だ。正味の還元率は15%で、そこに利用量に応じて決まるマイカラー制度やコード支払いのポイント増量を加えて合計20%という建て付けになっている。

3月後半には正味で20%還元だったことに比べれば、4月は還元率を下げたことになる。午前中の発表会では「2万5,000円の支払いで5000円分を還元」としていたが、夕方になって「15%分の還元として最大5,000円分」に訂正。つまり、5,000円分の還元を得るには約3万3,333円の利用が必要になる計算だ。

「平成最後」は実質最大20%還元に(2万5,000円のお支払いという表現は後に訂正された)

還元率15%が破格のオファーであることは間違いないものの、他の事業者が20%還元を継続する中、実質最大という表現でお茶を濁した印象は否めない。高い還元率をいつまでも続けるわけにはいかず、そろそろ息切れが近いのだろうか。「令和最初」は還元率20%の復活を期待したいところだ。

専用アプリでシンプルかつ便利になった「LINE Pay」

還元率がややトーンダウンした一方、LINEが新たに発表したのがLINE Payの決済専用アプリだ。4月後半のPayトク期間中にこのアプリをコード支払いに使うことで、還元上限が2倍の1万円に増加することからも、見逃せない点だ。

LINE Payの決済専用アプリをリリース

なぜ、通常のLINEアプリとは別に、LINE Pay専用のアプリを出す必要があったのだろうか。背景にはLINEアプリの複雑化がありそうだ。

LINEの月間アクティブユーザーは6,600万人に達しており、日本国内のほとんどのスマホにLINEアプリが入っていることは大きな強みだ。だが、1つのアプリに多数の機能やサービスを盛り込んだことで、目当ての機能を見つけにくいとの指摘は増えている。

もともとQRコード決済はかざすだけのFeliCaに比べて手間がかかるのに加え、LINEアプリ自体の複雑さが面倒さを助長していたといえる。そこで登場したのが、LINE Payの決済専用アプリというわけだ。

LINE Payアプリ。コードの読み取り、コードの表示の両方に対応する

アプリを起動すると、画面の上半分にはQRコードを読み取るためのカメラが、下半分には読み取ってもらうためのバーコードとQRコードが表示される。また、30万円までならFace IDやパスワードによる認証なしで支払えるようになった(認証を必須にする設定も可能)。

ほかにもアプリ内には、LINE Pay対応店舗を表示する地図や、すぐにアクセスできるクーポン画面を備えており、ライバルのPayアプリに見劣りしない使い勝手を実現している。かざすだけのFeliCaより手間はかかるものの、決済だけでなく情報提供もできる点はアプリ決済ならではのメリットだ。

LINE Pay対応店舗の地図機能や、クーポン機能を備える

ただし、Android用アプリを即日提供したのに対し、iPhone用アプリは「近日中」との表現にとどまった。アプリ開発をぎりぎりのスケジュールで回している際にはよくある話だが、アップルの審査を待っているなど、不確定要素が多く明言できない印象だった。

質疑応答にこたえる長福久弘COO。iOS版の提供時期は明言できなかった

4月末までのキャンペーンに利用したいiPhoneユーザーからは不満の声が上がっているものの、長期的な視点ではコード支払いの手間が減ることは大きな前進だ。これをきっかけにQR決済の普及に弾みが続くかどうか、注目したい。