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トラブル続出でも認知度No.1のPayPay、「次の100億円」はあるのか

トラブル続出でも認知度No.1のPayPay、「次の100億円」はあるのか

2018.12.20

嵐のように過ぎ去った「PayPay祭り」今後の展開は?

盛況の一方でトラブル続出、ソフバン社長も謝罪する事態に

認知度No.1になったPayPay、新年早々の「祭り再開」もあるか

スマホ決済サービスPayPayの「100億円還元」キャンペーンが終了した。来年3月末までの予定で12月4日に始まったばかりにも関わらず、わずか10日間で終わってしまったことも大きな話題を呼んだ

PayPayの100億円キャンペーンはわずか10日間で終了

空前の盛り上がりを見せた一方で、メンテナンスによるサービス停止やクレジットカードの不正利用などトラブルが続出し、大きくイメージダウンしたPayPay。今後の展開はどうなるのだろうか。

盛況のうちにキャンペーンは終了、トラブルも発生

PayPayの100億円キャンペーンが12月13日23時59分に終わると発表されたのは、同日の22時。この時刻にはビックカメラの店舗も閉店しており、キャンペーンの終了自体はつつがなく行われた。

キャンペーン終了後のビックカメラに掲示された案内

一方、PayPayはトラブルの多さも目立った。終了日の夕方には噂を聞きつけた客が殺到したせいか、緊急メンテナンスで1時間以上に渡ってサービスが停止。その後は他人のPayPayアカウントにクレジットカードが登録され、身に覚えのない買い物に使われたとの報告が相次ぎ、セキュリティの不備が指摘された。

問題とされたPayPayアプリのクレジットカード登録画面では、セキュリティコードの入力試行回数を制限していなかったという。つまり、セキュリティコードを総当たりで破ることもできたという状態だ。これを受け、PayPayは12月18日にはアプリを修正。12月19日のソフトバンクによる上場会見では、PayPayに共同出資する親会社の社長として宮内謙氏が謝罪する事態になった。

PayPayの不正利用問題を受け、ソフトバンクの上場会見で宮内社長が謝罪

PayPayに不正に登録されたクレジットカード情報の入手経路は明らかになっていないが、クレジットカードはその仕組み上、常に不正利用のリスクに晒されている。PayPayを使っているかどうかに関わらず、利用者は定期的にカードの利用明細を確認しなければならないのが現状だ。

これに対して、NTTドコモの「d払い」ではクレジットカードの登録時に本人認証(3Dセキュア)を求めている。アップルの「Apple Pay」では他人のクレジットカードを勝手に登録できることが2015年頃に問題になり、本人確認の仕組みが導入された経緯がある。

Apple Payにクレジットカードを登録するには本人確認が必要。当初はこうした仕組みがなく、問題になった

PayPayは残念ながら、ローンチまでのスピードや利便性を優先するあまり、セキュリティを疎かにした印象を与えてしまった。

認知度はNo.1に 「次の100億円」はあるか

一方、12月19日のソフトバンクによる上場会見では、PayPayがキャンペーン開始後に大きく認知度を向上させ、ライバルの決済サービスを追い抜いたことをアピールした。

認知度やサービス理解、利用意向がNo.1に(12月19日の上場会見にて、ソフトバンク調べ)

一連のトラブルが報じられたこともあり、必ずしもポジティブな評価だけではないとみられるものの認知度は伸びており、利用意向も大きく伸びている。スマホ決済を使ってみたいと思う人が増えたのは成功といえそうだ。これをチャンスと見たのか、後を追うようにライバルのLINE PayやOrigami Payも相次いでキャンペーンを打ち出している。

次の展開として注目したいのは、来年1月10日のポイント付与だ。100億円還元のキャンペーンにより、100億円相当のポイントがユーザーのアカウントに付与される。加盟店にとっては大きなチャンスになるだろう。

気になるのは今後の展開だ。今回の100億円だけでなく、PayPayは新たなキャンペーンを予定しているという。業界内ではPayPayの用意した予算は100億円にとどまらず、追加で費用を投じる余力を残しているという見方が多い。一連のトラブルによるイメージダウンを払拭する必要も出てきており、新年早々、再びの「PayPay祭り」が期待できるかもしれない。

PayPayが100億円「本日終了」の怪文書で停止? 現在は復旧も大騒動に

PayPayが100億円「本日終了」の怪文書で停止? 現在は復旧も大騒動に

2018.12.13

12月13日夕方、PayPayが全面的に利用できない状態に

100億円キャンペーン終了の噂が原因? Twitterに怪文書

緊急メンテナンスにより復旧したが、今後の心配は?

ソフトバンクとヤフーが展開するスマホ決済サービス「PayPay」。総額100億円のキャッシュバックキャンペーンが話題となり、PayPay狂想曲とも言える状況となっているが、12月13日の夕方頃より、一時的に全機能が利用できない状態に陥った。

PayPayが緊急メンテナンスに入り、13日18時5分~19時26分頃まで利用できなかった。記事を掲載した13日20時現在、PayPayは利用可能になっている

PayPayはこの不具合について、利用者が殺到したことにより、サービスを利用しづらい状況となったため、13日18時頃から~19時30分頃まで、全機能を停止して緊急メンテナスを実施したと説明している。広報担当者は、ここまで利用者が殺到した理由について正確に把握しているわけではないが、夕方の時間帯は利用者が多いという傾向も影響したと話している。

なお、ちょうど13日のPayPay不具合の直前、Twitter上では「PayPayの100億円キャンペーンが本日で終了する」という怪文書が出回り、SNSを中心に大きく拡散していた。出回っていたのはコンビニエンスストアの店舗向けに送付された内部資料を撮影したという体裁の画像で、投稿者もコンビニ関係者であることをにおわせていた。真偽は不明ながら13日の23時59分をもって、キャッシュバック原資が尽きることからキャンペーンを終了するといった内容だ。

Twitterで出回った問題の投稿文書。投稿は既に消去されているが、「13日でキャンペーンが終了する」「13日22時まで極秘」などと記載されている。PayPay側は「弊社が公開したものではない」と説明 (宛名部分には編集部でぼかしを入れています)

PayPay側はこの怪文書と利用者が殺到したことの因果関係について判断しかねるとし、また内容についても「弊社が公表したものではない」と話している。

同キャンペーンは2019年3月31日までの期間限定であるが、期間内であっても利用者へのキャッシュバック総額が100億円に到達した場合は終了するとされている。PayPay側は今回の騒動のなかで改めて、期間内の終了がある場合、「事前にホームページ上で告知した上で終了する」と説明している。

追記: 12月13日22:00、PayPayは、"100億円キャンペーン"の還元額が上限に達したため、同日23:59にキャンペーンを終了するとWebサイト上で告知した。同時刻に配信されたプレスリリースによれば、「今後も新たなキャンペーンの実施を予定している」とのこと。

PayPay「100億円ばらまき」開始! キャッシュレスは現金の壁を超えられるか

PayPay「100億円ばらまき」開始! キャッシュレスは現金の壁を超えられるか

2018.12.04

PayPay「100億円還元キャンぺーン」がスタート

LINE出澤社長「現金こそライバル」発言の意図

加熱するキャッシュレス市場、生き残りのカギは?

ソフトバンクとヤフーが展開するスマホ決済サービス「PayPay」は、12月4日より、決済額の20%を還元する「100億円あげちゃう」キャンぺーンを実施する。スマホ決済としては後発で“地味”な存在であったPayPayは、今回の派手なキャンペーンで大きな話題を巻き起こすことになった。

これまで「キャッシュレス化が遅れている」とされてきた日本であるが、昨今は政府による追い風も相まって各社が攻勢をかけている。11月に行われたPayPayおよびLINE Payの発表会の様子から、各社の戦略を紐解いていこう。

「100億円ばらまき」でユーザー獲得へ

「100億円あげちゃう」キャンペーンは、買い物をする際にPayPayで支払うことで、月額5万円を上限に20%の還元を受けられるほか、40回に1回の確率で全額が戻ってくるというサービス。100億円を「ばらまく」ことでPayPayを一気に普及させる狙いだ。

PayPay「100億円あげちゃうキャンペーン」の概要。合計100億円の還元策により、他の決済サービスを猛追する。ソフトバンク・ヤフーのユーザーは、抽選確率が上がる特典もある

なお、これを機にPayPayを使える店舗も急拡大する。飲食店だけでなくH.I.S.やビックカメラなどがPayPayに対応することで、旅行商品や家電といった金額の大きい買い物でも20%還元を受けられるようになっている。

旅行商品や家電にも使える

さらに全国1万7000店舗のファミリーマートと組み、そのうち2000店舗では店頭キャラバンも展開するという。かつてYahoo! BBがADSLモデムを無料配布することでブロードバンドを急速に普及させたように、PayPayにはキャッシュレスで再び社会現象を起こそうという勢いが感じられる。

ファミリーマートでは店頭キャラバンも展開

一方で、課題になっているのが中小企業や小規模店舗への展開だ。キャッシュレスが普及しない理由として、決済手数料の高さや入金サイクルの長さが指摘されている。PayPayはこれらを一つひとつ解決しながら、ソフトバンクの営業部隊が全国の店舗に訪問営業をかけるという。

加盟店向けに「手数料無料」や「翌日入金」を提供

また、普及の鍵を握るのが「QRコード決済」だ。おサイフケータイの「FeliCa」に比べれば手間はかかるものの、導入コストは低い。消費者にとっても、旧型のiPhoneを含むほとんどのスマホが対応しているメリットは大きい。

LINE 出澤社長「現金こそライバル」

大型キャンペーンで注目を集めるPayPayに対し、キャッシュレスで先行するのがLINE Payだ。8月より他社に先駆けて店舗用アプリで「決済手数料0%」を実施しており、中小企業の獲得を図っている。LINEによれば同サービスはすでに大手企業への提案がほぼ終わっており、今後は中小企業に注力していくことから、PayPayとの獲得競争は激化しそうだ。

LINE PayのQRコード決済では、スマホでQRコードをスキャンする方式以外に、専用の端末も提供。さらに11月21日には非接触決済の「QUICPay」と連携することで、全国81万か所で使えるようになった。一方のPayPayは非接触に対応する予定はないとのこと。

LINE PayはQRコードだけでなくQUICPayにも対応した

キャッシュレスの大きな需要が見込めるインバウンド市場を見てみると、PayPayが中国アリババの「Alipay」と提携したのに対し、LINE Payは中国テンセントの「WeChatPay」と提携。タイや台湾に展開するLINE Pay、韓国Naver Payを含めたアライアンスを形成し、アジアからの訪日観光客を取り込む構えだ。

LINE PayはWeChatPayとの戦略的提携

競合との差別化策を着々と打ち出すLINE Payだが、LINEの出澤剛社長は「日本では現金の信用度が高く、キャッシュレスの普及は容易ではない。現金こそライバルだ」と指摘する。国内の事業者でパイを奪い合う段階ではなく、まずは一緒になってキャッシュレスを盛り上げる必要があるというわけだ。

ライバルは「現金」と指摘するLINEの出澤社長

PayPayの100億円キャンペーンが2019年3月末で終了後、4月にはKDDIの「au PAY」が楽天ペイと組んで全国に展開することが予定されている。場合によっては、せっかくキャンペーンで獲得したユーザーが別の事業者に乗り換える可能性もあるために、どのようにしてユーザーをつなぎとめるかが課題になりそうだ。