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スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

2019.03.22

中国スマホメーカーのOPPOが独自のカメラ技術を説明

開発競争が続くスマホカメラ、トレンドは「望遠」へ

高倍率ズームスマホの登場で、デジカメの優位性に危機?

中国のスマホメーカーとしてシェアを急拡大するOPPOが独自に新開発したカメラ技術、「10倍ハイブリッドズーム」が面白い。実際に2019年の新機種からスマホへの搭載を進め、日本市場へも製品を投入するという。

OPPOが「10倍ハイブリッドズーム」技術を紹介

メーカー間の開発競争が続くスマホカメラだが、「望遠」が次のトレンドになりつつある。デジタルカメラに匹敵する10倍もの高倍率ズームを、OPPOはどのように実現したのだろうか。

1年で7機種を投入、気付いた「日本市場の難しさ」

OPPOは世界のスマホ市場で熾烈な4位争いを繰り広げている。サムスン、アップル、ファーウェイのトップ3社に続く集団の中で、2018年は中国Xiaomiに僅差で迫る5位になった(IDC調べ)。

OPPOは2018年、日本市場で7機種のスマホを発売した。OPPO日本法人の鄧宇辰社長は、これまでに国内販売チャネルを12に拡大し、あわせて認定修理店を全国に展開したことを挙げ、「日本のSIMフリー市場でいち早く成長するブランドになった」と振り返る。

オッポジャパン 代表取締役社長の鄧宇辰氏
2018年の1年間にスマホを7機種投入

2019年は国内展開をさらに加速する。日本の消費者に向けたコミットメントとして、件の「10倍ハイブリッドズーム」機能を備えたスマホや、FeliCa・防水対応のスマホ、新たに立ち上げたブランド「Reno」シリーズの市場投入を約束する。

また、話題の「5Gスマホ」の市場投入も急ぐ。日本では5Gの周波数がまだキャリアに割り当てられていないものの、ドコモ、KDDI、ソフトバンクを含む世界の事業者と標準化に向けて連携しており、準備を整えていることを強調する。

MWC19のQualcommブースではOPPOが5Gスマホを実演

一方で鄧社長は、日本市場の難しさについて、「1年の経験を通して、日本市場は他の国と違うことに気付いた。消費の習慣や求めるレベルも高い。グローバルのやり方を日本に持ってきても通用しない」とも述べている。日本市場における品質やサービスの要求水準の高さは、多くのメーカーが直面してきた課題だが、OPPOも同じ壁にぶつかったといえそうだ。

スマホカメラ、次のトレンドは「望遠」に

そのOPPOが市場攻略にあたり、特に注力をしはじめたのが「カメラ」だ。その中でも、業界では次の進化ポイントとして「望遠」技術に注目が集まっている。

そもそもスマホはデジカメと違い本体が薄いため、搭載できるレンズに物理的な制約がある。このレンズの制約から、スマホのカメラはどうしても焦点距離の狭さが弱点になってしまっていた。そこで最近はスマホに複数のカメラを内蔵し、それぞれで広角や望遠を使い分けることで、この弱点を克服しようと進化している。

OPPOの「10倍ハイブリッドズーム」技術は、この弱点に対し異なるアプローチで挑む。プリズムを使って光を屈曲させるペリスコープ(屈曲光学)構造をカメラモジュールに採用することで、レンズを従来の垂直方向ではなく水平に配置できるようにした。これにより、薄型のスマホであっても、光学レンズでは従来不可能だった高倍率ズームが搭載できる。

光を曲げるペリスコープ構造を採用

ただ、35mm換算での焦点距離は16~160mmの10倍となっており、一般的なコンデジの感覚では5倍ズーム程度の性能だ。8.1倍以上はデジタル処理を組み合わせた「ハイブリッドズーム」としているなど、いくつか注意点はある。とは言え、これまでにない望遠レンズをスマホで扱えるのは面白い。

10倍ハイブリッドズームによる画角の違い

OPPOは既に報道陣に向けて、この10倍ハイブリッドズーム技術を搭載するスマホの開発デモ機を公開している。2019年の第2四半期には製品化する計画で、日本市場へも2019年中に投入する見込みだ。

10倍ハイブリッドズームのデモ機。5Gにも対応できるという

特にカジュアルなカメラ需要の受け皿としてスマホに押されがちなデジタルカメラだが、高倍率ズームはスマホには無い、デジカメに残された得意分野のひとつだった。だが望遠もスマホで十分撮れるとなれば、いよいよその優位性も危うくなる。今回のズーム技術は、デジカメ市場をもう一段縮小させてしまう可能性を秘めているのだ。

最大のライバルであるファーウェイも「HUAWEI P30」シリーズで望遠カメラを搭載するとみられており、今後は各メーカーが高倍率ズームで競い合うことは間違いなさそうだ。

世界シェア1位の「360度カメラ」が日本市場を狙うワケ

世界シェア1位の「360度カメラ」が日本市場を狙うワケ

2019.03.14

360度カメラのトップメーカーが日本でVRカメラを展開

1台でVR撮影と360度撮影ができる「Insta360 EVO」

今年こそ本当にVR元年? VRがSNSで普及する可能性

SB C&S(旧:ソフトバンク コマース&サービス)が国内代理店となり、Shenzhen Arashi Vision社の360度カメラ「Insta360 EVO」を日本市場向けに発売する。360度カメラというと、日本ではリコーの「THETA(シータ)」、海外勢でもGoPro社の「GoPro Fusion」あたりが知られているが、実はこの分野のトップランナーなのが「Insta360」だ。

新製品の「Insta360 EVO」

Shenzhen Arashi Visionは中国・深センに本拠地を置き、製品開発のスピードを武器に市場ニーズを捉え続け、一気にのし上がってきた若いカメラメーカーだ。Insta360は、この市場の先駆者たるリコーや、スマホ大手のSamsung、アクションカムで依然強いGoProを押さえ、世界シェア1位の360度カメラブランドとして君臨している。

Insta360 EVOのスペック

「Insta360 EVO」は4月12日に販売を開始する予定で、SoftBank SELECTIONやAmazonなどの各オンラインショップのほか、家電量販店でも取り扱う。価格は税込み5万6,570円。

Insta360 EVOの仕様

本体は5センチ四方の2つのカメラを連結したような折りたたみ式で、たたんだ状態では360度カメラ、広げた状態では180度の3Dカメラとして機能する。画質は360度撮影では5.7K(5,760×2,880)画素の動画、約1,800万画素の静止画。180度3D撮影でも同様の画素数で使える。

折りたたんで360度、開いて180度3Dカメラに
2つのアクションカムを連結したような本体

撮影したコンテンツは、製品付属のスマートフォン用3Dグラスで視聴できるほか、Oculus GoやGearVRなどのVRヘッドセットでも再生できる。スマートフォンに連動アプリを入れておけば、360度/180度3Dコンテンツに対応するFacebookやYoutubeなどのメディアへの投稿も手間なく行える。

製品にはスマホ用3Dグラスが付属。撮影コンテンツの視聴や、撮影中のプレビューにも使える

拡販の理由は、日本のVR市場を有望視しているから?

新モデル「Insta360 EVO」最大の特徴は、従来機が得意とした360度撮影だけでなく、いわゆるVRコンテンツ用の180度3D撮影も、この製品1台だけで対応できる点だ。

360度撮影だけでなく、VR用の180度3D撮影も1台でできる

VR市場は2016年頃に「VR元年」が叫ばれ、PlayStation VRなど家庭用のVR機器も登場したことで、昨年はグローバルでの市場規模が2016年比で2倍の4,000億円まで拡大した。その後も任天堂がVRキットを発表したり、AppleのVR参入も盛んに噂されたりしている。調査によっては、VR市場は2022年にはグローバルで1.8兆円まで拡大するという予測もある。一方日本に限れば、アナリストの派手な市場予測やVR元年の掛け声の割には、VRが広く普及したかといえば、いまいち伸び切れていない印象がある。

だがSB C&S コンシューマ事業本部 IoT事業推進本部の東俊介氏は、「YouTubeやFacebook、PlayStation、ニンテンドースイッチといった、一般家庭でも広く利用されているプラットフォームを持つ企業が、現在VRに熱視線を送っています。また半導体大手のインテルも、大規模スポーツイベントでVR生中継を計画しており、そう遠くないタイミングで、VRという存在が身近になるのではないでしょうか」と、VR普及の大波の到来はむしろ今こそ迫っているという認識だ。

また「EVOを使うことで、3D映像と360度映像のどちらも気軽に楽しむことができる。日々の生活の思いがけない瞬間や、臨場感強く記録したいシーンを、簡単に記録・再生(3Dメガネを同梱)できるEVOは、今後急速にVRの映像体験が身近になる中で、時代の先駆者になるのではないかと思い、今回の取り扱いに至りました」と、Insta360 EVOを日本市場に投入する狙いを説明した。

本体を開くと、2つのアクションカムが連結したような形状になる。この状態で180度3D撮影ができる

これまではゲーム体験がクローズアップされたVRだが、アクションカムの手軽さで、SNSのプラットフォームを通して個人の体験を3D映像でシェアする流れができれば、より身近でカジュアルに、VR普及の余地は大きく広がることになるだろう。Insta360はそもそも、360度カメラの体験を、SNS上で気軽にシェアできるというコンセプトがヒットした商品だ。

実は土俵際だったパナソニック、フルサイズカメラ追撃の勝機と自信

実は土俵際だったパナソニック、フルサイズカメラ追撃の勝機と自信

2018.10.02

パナソニック初のフルサイズミラーレス「LUMIX Sシリーズ」

事業の撤退もありえた、土壇場で生まれた覚悟のカメラ

激戦の高級ミラーレス市場、後発参入も勝算は「動画」にあり

「どこを向いてもチャレンジ。我々に守るものはない」――。パナソニック アプライアンス社の本間哲朗社長は、フルサイズミラーレスカメラ市場への参入をこう表現した。

ドイツ・ケルンで開催された世界最大のカメラショーである「フォトキナ」において、パナソニックは、35mmフルサイズイメージセンサー搭載ミラーレスカメラ「LUMIX Sシリーズ」の開発発表を行った。本間社長は、「パナソニックには、テレビを中心とした画像処理技術が蓄積されている。カメラメーカーとは違う積み上げで勝負をする」と語る。

パナソニック初のフルサイズミラーレス「LUMIX Sシリーズ」

プロ向け前面、動画撮影とライカLマウントで強み

LUMIX Sシリーズは、パナソニックが新開発した35mmフルサイズイメージセンサーおよび画像処理エンジンを搭載。フルサイズミラーレス一眼カメラとしては、世界で初めて、4K60p動画撮影に対応する。さらに、世界初となる手ぶれ補正技術「Dual I.S.」の搭載で、暗所や望遠時といった三脚などが必要な場面でも手持ちでの撮影を可能にしている。

「プロフェッショナルな写真、映像撮影の道具を目指して開発した。基本となる操作性や堅牢性に加え、100年間の家電事業、10年間のミラーレス開発で蓄積してきた画像処理や信号処理などのデジタル技術、さらには光学技術や熱処理技術といった、すり合わせ技術などの総合力を結集させ、写真および動画撮影において新たな顧客価値を提供していく」(同社)

Sシリーズの名称は、「より高度な表現を求めるプロフェッショナルに向けて、特別な価値(=Specialized)を提供するという思いを込めて命名した」という。SpecializedのSが語源だ。

注目されるのは、ライカのLマウントを採用したことである。

これにより、発売直後から豊富なレンズ群の品揃えを実現した。パナソニックが発売する50mm/F1.4単焦点レンズ、24-105mm標準ズームレンズ、70-200mm望遠ズームレンズの3本のLマウント対応レンズだけでなく、ライカが発売する8本のレンズ、そして、今後、シグマが発売するLマウント規格の交換レンズも装着が可能だ。パナソニックは2020年末までにさらに10本以上のレンズを投入する予定で、今後も交換レンズの選択肢はひろがっていく。

パナソニックは、2008年に世界初のミラーレス一眼カメラ「LUMIX G1」を発売した。今年はちょうど10年の節目を迎える。

その節目に投入する「LUMIX S」シリーズは、「表現力の覚醒」をテーマに、写真、動画両面での表現力を徹底的に追求。ハイアマチュアの購入はあまり想定しておらず、むしろプロフェッショナルだけをターゲットにした製品だと言い切る。

「LUMIX S」シリーズ本体は、究極の表現力を求めるプロフェッショナル向けの「LUMIX S1R」と、ハイブリッドクリエイター向けとする「LUMIX S1」の2機種を用意。いずれも、来春の発売を予定している。

世界初のミラーレスから最後発のフルサイズへ

パナソニック アプライアンス社 本間哲朗社長

パナソニックが今回のフルサイズミラーレスを製品化できたのは、いくつもの高いハードルを乗り越えてきた結果だった。

パナソニックがデジカメを発売したのは2001年。デジカメメーカーとしては最後発だった。だが、薄型化や光学高倍率、手ぶれ補正といった独自の特徴を持った製品の投入により、デジカメ市場において一定のポジションを獲得。コンパクトデジカメ市場でも存在感を発揮していた。

だが、スマホのカメラ性能の向上の影響を受けて、コンパクトデジカメの市場は縮小。「ビジネスとしてのバランスを失った時期があった」と、本間社長は振り返る。

パナソニックのデジカメ事業が、失ったバランスをもう一度取り戻すことができたのは、同社が取り組んできた独自のミラーレス技術に負うところが大きかった。

ミラーレスカメラの発売からここまでに、手ぶれ補正の強化や、4K動画対応をはじめとする数々の世界初の機能を搭載し、特徴を持った新たな世界を形成することに成功した。HDR規格をデジカメに持ち込んだのもパナソニックが最初だった。

そうした取り組みの集大成が、2017年に発売したハイエンドミラーレスカメラの「LUMIX GH5」であった。

GH5は、約40人体制で立ち上げた社内プロジェクト、「ゴッホプロジェクト」によって開発された。

ゴッホとは、「GO」に、型番の「GH」を組み合わせて、「GOGH(ゴッホ)」としたところから命名された。このプロジェクトによって、パナソニックは、プロフェッショナルユースを強く意識したミラーレスカメラの開発に初めて挑むことになった。

LUMIX GH5は、主要デバイスを一新し、LUMIX史上最高となる写真画質をうたう一方、圧倒的な動画性能を実現した映像表現を革新する「ハイエンド・ハイブリッドミラーレスカメラ」と位置づけて投入。パナソニックが得意とする動画性能が評価され、GH5はハリウッドでも動画撮影のツールとして活用されるようになった。

「ノンリニア編集を行う企業などと話をすると、あのGH5を作っているメーカーなのかと、相手の態度ががらっと変わる。プロフェショナルの動画撮影を支えるカメラとして、ハリウッドでは高い認知度がある」と、パナソニック アプライアンス社イメージングネットワーク事業部総括担当の森勉氏は胸を張る。

さらに、世界初のCinema4K/60p動画記録を可能とし、動画性能をさらに進化させた「LUMIX GH5S」、20.3M画素 Live MOSセンサーを搭載し、高速・高性能AF、高速連写といった静止画撮影を進化させた「LUMIX G9」を相次ぎ投入した。LUMIXが持つ高い機動性とともに、動画画質や写真画質に対する評価が高まっていった。

実は、GH5では、約7割のユーザーが動画用途で導入しているという結果が出ている。

前出の森氏は、「動画性能の高さがプロフェッショナルに受け、使ってみると静止画でも性能が高い。静止画に『寄った』GH9を、画像に強いGH5、GH5sに続いて発売しても好評だったのは、GH5での静止画に対する高い評価が影響している」とする。

GH5が失敗すればデジカメ事業から撤退の土俵際

パナソニック アプライアンス社の本間社長は、「GH5が市場に受けなければ、フルサイズミラーレスのプロジェクトは中止すると決めていた」と明かす。

つまり、GH5の成功なしには、今回のLUMIX Sシリーズの製品化はなかったのだ。

そして、本間社長はこうも語る。

「カメラ業界の流れは、フルサイズミラーレスに一気に振れるということは想定していた。そして、伸びる領域はここしかないと見ていた。伸びるマーケットに投資をしないということは、そのままデジカメ事業をやめることにつながるのは明らかだ」

つまり、GH5が成功せず、フルサイズミラーレスの製品化につながらなければ、パナソニックはデジカメ事業の形を変えるか、あるいは撤退する……と、本気で検討する事態に陥っていたともいえる。まさに土俵際から生まれた製品だったといえるだろう。

裏を返せば、フルサイズミラーレスを投入したということは、パナソニックがデジカメ事業において、明確に生き残ることを宣言したともいえる。

パナの勝算は高い?「動画」は最大の武器に

フルサイズミラーレスカメラ「LUMIX Sシリーズ」に勝算はあるのだろうか。

本間社長は、「どこを向いてもチャレンジ。我々に守るものはない」と、この市場において攻めの姿勢をみせる。

だが、牙城を崩す切り口となるのは、やはり「動画」ということになろう。まずはこれが勝算につながるポイントだ。

激戦の高級ミラーレス市場は、「動画」が決め手に?

静止画だけで戦うのは、先行するニコン、キヤノンに比べても歩が悪い。多くのレンズ資産や顧客資産、運用資産をひっくり返すには、ハードルが高い。

しかし、動画となると話は別だ。ここは、まだまだ手つかずともいえる領域であり、ソニーもこの領域からデジカメ事業の拡大を図ろうとしている。

プロフェショナルの市場において、動画のニーズは拡大している。ハリウッドでGH5が受け入れられているのはその最たる例だ。また、静止画でビジネスをしているフォトグラファーが、動画撮影を行うビデオグラファーとして新たなビジネスに乗り出すといったケースが世界的に増えている。パナソニックのビジネス領域は、着実に生まれてくるはずだ。

また、オリンピックの公式放送機器として、最新技術を活用した映像システムを提供してきた実績は、パナソニックの動画の強みを裏づけるには十分すぎるものになる。

冒頭に触れたように、本間社長が、「パナソニックには、テレビを中心とした画像処理技術が蓄積されている。カメラメーカーとは違う積み上げで勝負をする」と語る理由もそこにある。

次いでポイントとなるのが、欧米市場でどれだけ認知を得られるかだ。

パナソニックも日本の企業であるが、それでも日本のカメラ市場という点でみれば、ニコン、キヤノンとのブランド力の差は歴然だ。だが、件のGH5の評価もあり、欧米では動画が得意なデジカメとして認知をすでに得ている。

本間社長も、「主戦場は米国、欧州になる。だからこそ、開発発表の場も、ドイツのフォトキナを選んだ」とする。

実はGH5も、ドイツのフォトキナで開発発表を行い、米国のCESで製品発表を行い、欧米でヒットしたという経緯がある。今回のSシリーズも、同じ流れを踏襲しているといえそうだ。

そうした意味では、欧米での評価が、その後の日本での展開に大きく影響することになるだろう。

そして、最後のポイントはサポート体制だ。プロフェッショナル向けにしっかりしたサポートを構築できるかどうかは重要なポイントになる。

ニコンやキヤノンは、全世界でプロフェッショナルをサポートする拠点を開設しており、オリンピックなどの大規模イベントでは、必ずといっていいほどプロフェッショナルカメラマンをサポートするエリアを設置している。そうした長年の取り組みが、プロフェッショナルカメラマンからの信頼につながっている。

本間社長は、「パナソニックは、40年以上、動画の世界で、世界中のプロフェッショナルをサポートしている。そうした実績をもとにしたサポートが可能になる」と自信をみせる。

だが、ビデオカメラのビジネスは、現在、コネクティッドソリューションズ社が行っており、デジカメのアプライアンス社とは別のカンパニーだ。これに対して、本間社長は、「すでに、国によっては、業務用映像装置と民生向けイメージング機器の部門が一緒になっているケースもある。また、アプライアンス社が放送機器もサポートしている国もある。連携体制によって、プロフェッショナルをサポートできる」と説明する。

技術、製品、サポートという点でも、映像分野での蓄積を活用することで、パナソニックは、新たなプロフェッショナル向けのデジカメを創出しようとしている。

これらがパナソニックのデジカメ戦略の軸になってくるといえそうだ。

パナソニックが、フルサイズミラーレスカメラ市場において、明確に強みを発揮できる領域は「動画」である。そして、それを切り口に静止画技術の高さも訴求していくという一手を打つことになる。

むしろ、これからは業界全体で「動画」が注目を集めることになるだろう。「動画」という強い武器を持つパナソニックのフルサイズミラーレスカメラは、我々が想像する以上に勝算が高いかもしれない。