「インバウンド」の記事

クリーンな進化系カプセルホテル「ナインアワーズ」が浅草に

クリーンな進化系カプセルホテル「ナインアワーズ」が浅草に

2018.09.25

カプセルホテルのイメージを変えた「ナインアワーズ」が浅草に

同じビルにノルウェーカフェ「フグレン」2号店が入居

気鋭の建築家が手がけたビルと内装を写真で紹介

「カプセルホテル」と聞くと、主に中年男性が泊まる安宿、あるいはサウナに併設された仮眠場所という印象を抱いている人は多いことだろう。そんなイメージを覆し、女性や若者でも気楽に入れるクリーンで現代的な空間を提供しているカプセルホテルが「9h ninehours(以下、ナインアワーズ)」だ。

すでに東京や大阪、仙台などで8つの店舗を展開しているが、9月21日、東京の下町・浅草に9番目となる新店舗「ナインアワーズ浅草」がオープンする。ここでは、19日に開催されたプレス内覧会の模様をレポートする。

浅草を「巻き取る」ユニークな建築

「ナインアワーズ浅草」の外観。ブロックを組み合わせたようなユニークなデザインが印象的。1階と2階にはノルウェー・オスロに本店を構えるカフェ「Fuglen(フグレン)」がある。日本では、渋谷区富ヶ谷の1号店に次ぐ国内2号店だ。

「ナインアワーズ」は、シャワー・睡眠・身支度といった宿泊時の基本行動に特化し、それぞれの機能性と品質を追求する考えで開発されたカプセルホテルだ。施設名は1h(シャワー)+7h(眠る)+1h(身支度)=9hという想定から出した滞在時間からきている。

今回、新たにオープンする「ナインアワーズ浅草」の建築・設計は、気鋭の建築家・平田晃久氏が手がけた。

ユニークな外観は、「歴史ある浅草の風景を、立体的に巻き取る」ようなイメージでデザインされた。岩山のような凹凸感と、14種類の異なる屋根が取り付けられたことで、浅草の街に溶け込みながらも、景観に新たな表現を加えるものとなっている。

まずは、同カプセルホテルを展開するナインアワーズ代表取締役の油井啓祐氏が、「ナインアワーズ浅草」の設計を平田氏に依頼した理由を説明した。ナインアワーズのブランド全体において、総合的なディレクションをプロダクトデザイナーの柴田文江氏が、サインやグラフィックは廣村デザイン事務所の廣村正彰氏が担当しているものの、実は建屋に関しては、毎回手がける建築家が変わっているという。

ナインアワーズ代表取締役の油井啓祐氏

その原則に反して、竹橋(2018年3月開業)、赤坂(2018年5月開業)に引き続き平田氏が"三連投"している。その理由として、「アイデアの段階で毎回感動する」ことと、「設計プランを作るまでの間に、とてつもない思考力を発揮していることが伝わってくる」からだと語った。

また、浅草に出店した理由について質問したところ、浅草は宿泊需要が旺盛でマーケットとして成立するのではないかという判断によるものだという。もちろん、インバウンド需要が高いエリアであることも理由とのことだ。

 

浅草の昼飲みスポットとして有名な「ホッピー通り」から続く道にあり、目の前が「浅草西参道商店街」の入り口という、外国人観光客にとっては堪らないロケーションだ。

続いて、平田氏が登壇し、これまでの竹橋、赤坂、そして今回の浅草に続き、今後オープン予定の浜松町や水道橋、麹町、新大阪でも設計に携わっていることを明かした。

ナインアワーズ浅草のデザインを手がけた、建築家の平田晃久氏。同カプセルホテルの設計は、竹橋、赤坂(ともに東京)に続いて3店舗めとなる。今後オープン予定の浜松町や新大阪などの設計も手がけているそうだ。

平田氏が最初に手がけた赤坂では、周りに雑多な建物や超高層ビルがあり、街の色々なレイヤーが一気に見えるような場所であったため、カプセルが街に投げ出されたようなコンセプトで設計したという。

「カプセルは一見するとニュートラルなものだが、それを通じて街を見ると新鮮に見えることに気づいた」(平田氏)

そして、今回の浅草では、浅草寺や花やしきがみえる眺望の良さを活かし、浅草独特のフィーリングをいかに絡み合わせるかをテーマに設計したということだ。

 

凸凹したデザインがユニークなナインアワーズ浅草の模型。カプセルの塊でできた岩山のようなものに、浅草の周辺の店が三次元に巻き上がったようなものをイメージしたそうだ。

平田氏は、「角地で細長い敷地なので、カプセルを効率よく並べようとしても凸凹ができてしまう。それを逆手に取り、カプセルの塊でできた岩山のようなものに屋根が所々に掛かったイメージを描き、周辺のさまざまな店をそのまま三次元に巻き上げたようなものを作ってはどうか?という提案をした」とのこと。

5階にある「ジム」には、2台のジョギンググマシンとヨガマットなどが用意され、浅草のシンボルでもある「浅草寺」を眺めながら汗を流すことが可能
7階「ラウンジ」は男女共有スペース。このほか、6階には男性専用のこぢんまりとしたラウンジがある。どちらも飲食可能となっている
8階にはノートパソコンなどで作業できる「デスク」が用意され、コンセントも備わっている

また、宿泊階を中心に3階から8階には共有スペースが用意され、それぞれの階あるいは階をまたいでくつろいだり、ヨガをしたりできる。

平田氏は「立体的な街のようなスペースがカプセルと結合し、カプセルと浅草の街をつなぐ間のような場所になっている」と述べ、「東海道五十三次のように、テーマは共通しているものが、異なる場所に出会うことによって建築が生まれていく。それが面白い」と語った。

宿泊客は建物の北側にあるエレベーターで9階に上がり、9階にあるフロントでチェックインし、支払いを済ませる

日本2店目のノルウェーカフェで朝食も

続いて、「ナインアワーズ浅草」のシステムが説明された。宿泊客はまずエレベーターで最上階の9階へ上がり、フロントにてチェックイン。男性は9階、女性は8階にあるロッカーに荷物を入れ、シャワーを浴びる。その後、各階に降りて自分のカプセルに入る――という流れだ。

シャワールーム(男女別)。シャンプー、コンディショナー、ボディソープ、バスタオル、フェイスタオル、館内ウエアは用意されている

各階に設けられたラウンジに関して、3階と4階、および6階は女性専用または男性専用となっているが、その他の階は男女共用。これは、ラウンジから浅草の街が一望できるため、宿泊客全員にその眺望を味わってもらうため。その一方で、専用エリアへはカードキーがないと入れない仕組みなので、セキュリティ面は安心という。

エレベーターは男女兼用と女性専用の2機が用意され、男女の動線が分かれるように停止階が異なる
カプセルルームの外観は黒を基調としたデザイン。フロア毎に男女別となっている
3階と4階(女性用カプセルルームのフロア)には「温室(サンルーム)」が用意される。眠れないときのくつろぎタイムなどに

なお、ナインアワーズ浅草の価格は、宿泊が4,900円~(13時チェックイン、翌10時チェックアウト)、仮眠は最初の1時間が1,000円、以降は1時間毎に500円加算~(13時から21時の間で利用可)、シャワーは1回700円(1時間以内、24時間いつでも利用可)となっている。

ノルウェーカフェ日本2号店が階下に

同じビルの1階と2階には、ノルウェー・オスロに本店を構えるカフェ「FUGLEN(フグレン)」が入居。代々木公園の1号店に続く、日本第2号店だ。

ナインアワーズ浅草の1階・2階に入るカフェ「Fuglen」

ビジネスホテル階下の飲食店では、ホテル利用者向けの割安なモーニング提供などが行われる場合もある。「ナインアワーズ浅草」とフグレンの連携があるか訪ねると、現在のところ、宿泊者の優待価格などは設定されていないが、今後検討していくとのことだった。

同店では「ノルウェージャンワッフル」やノルウェーの小麦を使った「カルダモンロール」など、ノルウェー発祥のカフェならではのメニューが用意される

2020年が近づくにつれ、急速に都市圏での出店を拡大しているナインアワーズ。外国人観光客が多く訪れる浅草の地に、既存店舗にはない有名コーヒーカフェとの同居店舗を構えたことで、どのような相乗効果が生まれるか期待したい。

オリンピック恐慌もなんのその「台湾・香港」がインバウンド最良顧客の理由

オリンピック恐慌もなんのその「台湾・香港」がインバウンド最良顧客の理由

2018.09.10

台湾・香港人に特化したインバウンド事業を行う企業

ターゲット設定のカギは”費用対効果”にあり

オリンピック恐慌の影響を受けない安定市場で勝機を狙う

地方でよく、アジア系訪日外国人を多く見かけるようになった。

「東京や大阪、京都といった、メジャーで人気のある観光スポットを回る『ゴールデンルート』ではなく、なぜここに?」と疑問に思った経験のある人は多いのではないだろうか。

この動きをコントロールする企業の1つが、台湾・香港人向けに日本の情報を発信するメディア「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」を運営するジーリーメディアグループだ。

ラーチーゴー!日本

(日本語での紹介サイトはコチラ)

同社では、北は北海道、南は沖縄まで計10のエリアにわたって、外国人客を呼び込んで地域の活性化につなげたい企業や自治体などと連携し、ゴールデンルートから外れた地に台湾人・香港人観光客を呼び込んでいる。

しかし、なぜ同社は市場の大きな中国や韓国ではなく、台湾、香港を主要ターゲットとしたインバウンド事業を行っているのか? 代表取締役社長の吉田皓一氏に話を聞いた。

ジーリーメディアグループ 代表取締役社長 吉田皓一氏。奈良県出身。慶應義塾大学 経済学部卒業後、朝日放送入社。総合ビジネス局にて3年にわたってテレビCMの企画・セールスを担当したのち退職。2013年、ジーリーメディアグループ創業。大学在学中に独学で中国語を習得(漢語水平考試最高級所持)し、現在は東京と台北を往復しながら、台湾のテレビ・ラジオへの出演、書籍・コラム執筆等を通じて、日本の魅力の発信につとめている

2国特化の理由は"費用対効果"と"リピーター率"

「当社が台湾・香港人に特化したインバウンド事業を行う一番の理由は、費用対効果とリピーター率の高さにある」と吉田社長は語る。

日本政府観光局が発表した2017年度における訪日客数を見ると、東アジアの訪日客数は、全体の74.2%(2,929万人)。同社がターゲットとする台湾・香港人はその内の約23%(679.6万人)を占めている。やはり韓国、中国向けのインバウンド事業の方が台湾、香港よりも大きな市場をもっていることがわかる。

2017年度における訪日外客数のシェア(訪日外客数日本政府観光局)

しかし、総人口に対する割合を考えると、台湾・香港の優位性が見えてくる。中国からの訪日客数を見てみると735万人で、これは総人口に対して0.5%程。対して、台湾・香港の訪日客数はそれぞれ、総人口に対して19.4%・30.3%と非常に高い。

単純計算してみると、1,000人に見られる記事を配信した場合、中国の場合にはそのうち0.5%の5人しか日本に来ないのに対して、台湾・香港の場合にはそれぞれ194人、303人が来ることとなる。

「たしかに中国人の訪日数は多く、1人当たりの旅行消費額も1位であるために魅力的な市場ではあるが、リピーター率は30%以下しかないということも特徴。一方、台湾・香港人のリピーター率はそれぞれ73.4%、80.4%と高い」(吉田社長)

一度「ラーチーゴー!」のファンになってもらえば、再び日本に訪れる際に、もう一度サイトを使ってもらえる可能性が高い。


このような背景のもと、同社では費用対効果の高い台湾人・香港人観光客にターゲットを絞っている。

そして、何度も日本に訪れている台湾人・香港人は、”すでに行ったことのある”ゴールデンルートから抜けて、地方に足を向ける割合が高い。そこを狙い、同社では”地方の情報”を提供しているというわけだ。

ちなみに、東京や大阪で”爆買い”する中国人のイメージとは対照的に、ゴールデンルートを外れた台湾人、香港人は、札幌で野球観戦をしたり、四国でハーレーに乗ったりと、多種多様な方法で楽しんでいるそうだ。

台湾・香港人に響く「現地目線の記事」

地方自治体と協力しながら、台湾人・香港人のニーズに合わせた情報を提供するジーリーメディアグループ。同社が運営するメディア「ラーチーゴー!」が多くのファンを掴むのは、理由がある。

その理由の1つは、記事をすべて台湾人のライターが執筆していていること。

インバウンド事業者の多くは、市場の大きな中国・韓国の観光客をターゲットとして執筆した記事をそのまま台湾・香港用に訳す、という方法をとりがちだが、同社ではそれはしない。

「当たり前のことだが、台湾人、香港人の流行りと、中国人、韓国人の流行りは異なる。当社のスタッフの9割は台湾人と香港人であり、ただ翻訳しただけの文章とは一味違った”現地目線での紹介”ができることが強み」(吉田社長)

こうした取り組みが功を奏し、今や台湾で一番読まれている日本観光情報サイトが出来上がった。

社長が「インフルエンサー」Facebook大国・台湾に強み

リピーターのニーズを満たすために、地方自治体と手を組み、その地の魅力発信を行う同社であるが、吉田社長は「自身のメディア露出」にも注力している。台湾のテレビに出演することもあり、街中で話しかけられることは少なくないそうだ。会社としてはメディアで情報を発信しながら、自身はインフルエンサーとして人を引き寄せる、同氏ならではの戦略である。

実は台湾のFacebook利用率は76%と非常に高く、「世界1位のFacebook大国」とも呼ばれている。実際に、「ラーチーゴー!」のFacebookページは67万人以上ものファンを獲得しており、記事を公開するたびに台湾のタイムラインを賑わせている。

ラーチーゴー!Facebookページ

SNSでフォロワー数の多い人物を使って商品をPRする「インフルエンサーマーケティング」を、すべて自社のリソースでやれてしまうことが、同社の強みといえる。

”オリンピック恐慌”どこ吹く風「市場に不安はない」

今後の展望について聞くと、「インバウンド事業のターゲットを横展開することは考えていない」と同氏。しかし、”リピーターの比率が多い”、”総人口における訪日客数の割合が多い”ことは、”今後の伸びしろがあまりない”ともとれる。その点についてはどう考えているのか。

「確かに、市場は成熟しきっている状況ではある。大きな成長は見込めないのが現状。しかし、大きな急落がなく安定的な市場であることは間違いない。オリンピック後のインバウンド市場の伸び悩みについても騒がれてはいるが、2国(台湾・香港)に限っては、純粋に”日本が好き”だから来ている人が多く、オリンピック後にも安定した訪日数があると見込んでいる」(吉田社長)

2013年に創業したジーリーメディアグループ。まだ設立年数は5年と若い企業であるが、同社が力を合わせる相手は、民間企業はもちろん、地方自治体が多くあるということもあり、地に足のついた事業を行っているようだ。地方に人を呼び込むためには、その地の魅力を深く知り、協力者を増やしていく必要もある。

そういう意味では、長い目で見た取り組みが求められることだろう。大きな事業の変更はせず、着々と現在の事業を強化していくことが大事なのかもしれない。

アウトバウンド事業も視野に

一方で、さらにその次のフェーズに関しては「明確な時期は定めていないが、当社ならではの強みを活かして、日本人で台湾に旅行を考えている人をターゲットとした、アウトバウンド事業も今後進めていきたい」とも語る。

昨年1年間の台湾からの訪日客数が450万人を超える半面、日本から台湾へは約190万人にとどまっている。台湾側も、リピーター確保に向けた観光地の情報発信を強化したり、鉄道会社が、駅で飛行機に載せる荷物を預かるサービスを提供したりとさまざまな工夫を凝らしている。

そうした状況の中で、台湾人ライターを多く抱えるジーリーメディアグループならではの”現地目線で魅力を発信する記事”が増えていけば、日本からの旅行客も徐々に増えていくことになりそうだ。

ソースネクストの時価総額を3倍にした翻訳機市場、競争激化は必至か

ソースネクストの時価総額を3倍にした翻訳機市場、競争激化は必至か

2018.08.16

過去最高を更新し続けるインバウンド需要取り込みに必須

ホテル・空港・飲食店といったサービス業に広まり始める

先行というアドバンテージを維持するため自社開発後継機

ソースネクストの翻訳機「POCKETALK(ポケトーク)」がヒットしている。訪日外国人の増加を背景に、ホテルや飲食、空港などで相次いで採用されており、発表から1年でソースネクストの時価総額は約3.3倍に膨らんだという。

ソースネクストが翻訳機の新モデルを発表

7月26日には、新モデルとして「POCKETALK W(ポケトークW)」を発表した。わずか1年という短期間でモデルチェンジした狙いはどこにあるのか。

訪日需要に伴い、ソースネクストの時価総額も急増

ポケトークのような音声翻訳デバイスが注目される背景には、訪日外国人の増加がある。政府は2020年に4000万人、2030年には6000万人の訪日客を見込んでおり、さらに日本に在住する外国人も東京を中心に増えている。

実際、東京だけでなく地方の観光地でも訪日客の姿を見かける機会は増えている。先日、筆者が訪れた福岡では、中州や天神の屋台に多数の外国人が押し寄せていた。英語だけでなく、中国語や韓国語などへの多言語対応も必要となれば、翻訳機の需要が高くなるのも当然だ。

2017年10月に最初のポケトークを発表したソースネクストの時価総額は、179億円から今年の7月25日時点で585億円へと約3.3倍に増加した。法人の導入事例として、小田急百貨店では免税手続きにポケトークを活用。かんぽの宿では料理の説明に使うなど、日本の「おもてなし」に欠かせないデバイスになっているという。もちろん、単におもてなしというだけでなく、旺盛なインバウンド需要を取り込み、業績向上につなげたいというのが本音だろう。

ホテルや飲食、空港など多数の導入事例も増えてきた

基本的な使い方は、ポケトークのボタンを押しながら話しかけることで、翻訳結果が音声で読み上げられ、画面にもテキストが表示される。端末上ではなくクラウドに音声データを送って翻訳するため、動作には通信環境が必要となる。

問題は、個人が海外旅行に持ち出して利用する際の通信環境だ。そこでソースネクストはIoT向け通信サービスで知られるソラコムと提携し、「グローバルSIM」とのセット販売を提供した。日本だけでなく海外でも本体だけでデータ通信ができるのはユニークだ。

新モデルは自社開発、翻訳精度や通信機能が向上

9月に発売する新モデル「ポケトークW」の特徴は、ソースネクストが企画した自社開発モデルという点だ。初代モデルはオランダのTravisと共同開発していたが、新モデルは翻訳エンジンのひとつとして日本の情報通信研究機構(NICT)の技術を採用するなど、独自に進化している。

新旧モデルを合わせたポケトークの販売目標として、ソースネクストは2020年までに50万台との数字を掲げているが、新モデルの具体的な目標台数は公表していない。ただ、新モデルの自社開発に踏み切ったということは、初代モデルで手応えをつかんだということだろう。そしてもう1点、ライバル企業が翻訳機市場で手をこまねいているワケではない。少しでも競争力を維持するためにも自社開発の新モデル投入が必要だったのは、想像に難くない。

新モデルでは画面がタッチに対応し、ボタン操作も使いやすくなった。アジア言語を中心に翻訳精度が向上、通信機能は3Gに加えてLTEにも対応した。首から提げて使うことを想定したストラップホールなど、細かな使い勝手も見直されている。

新モデルは画面タッチに対応し、使い勝手が向上した

自社開発になったことで、販売地域も拡大しそうだ。初代モデルでソースネクストは日本、米国、カナダでの独占販売権を持っていた。だがポケトークWはさらにグローバルに展開できるため、海外の展示会などにも出展していくという。

イメージキャラクターにはタレントの明石家さんまさんを起用するなど、プロモーションも強化。新モデルの発表後はJTBグループが取り扱いを発表し、ベルギーのサッカーチームや東京ミッドタウン日比谷も採用するなど、導入が相次いでいる。

これまで小型翻訳機シェアの大部分を占めてきたというポケトークだが、7月31日にはロクバーがiliシリーズの新モデル「ili PRO」を発表するなど、競争は激化している。

対するソースネクストは、新モデルの投入とプロモーションによりポケトークのブランドを浸透させ、ライバルとの差別化を図るのが当面の戦略になりそうだ。