NPBとKONAMIがeBASEBALLに期待する“多層なファンの相乗効果”

NPBとKONAMIがeBASEBALLに期待する“多層なファンの相乗効果”

2019.02.25

NPBとKONAMIが開催した「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ 2018」

関連資料が野球殿堂博物館へ寄贈されるほど、高い評価を得た

主催者であるNPBとKONAMIがeBASEBALLで目指すものとは

日本野球機構(NPB)とコナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)が共催した「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ 2018」は、野球ゲーム『実況パワフルプロ野球 2018』(パワプロ)を使用するeスポーツのプロリーグ。2018年11月にスタートし、今年1月の「SMBC e日本シリーズ2018-19」の決着をもって閉幕した。

NPBが手がけるプロ野球初のeスポーツリーグとして、野球界の歴史にも大きな足跡を残したと言えるだろう。その偉業を称え、eBASEBALL関連資料の「SMBC e日本シリーズに出場した埼玉西武ライオンズと横浜DeNAベイスターズのサイン入りユニフォーム」「サイン色紙」「最優秀選手 なたでここ選手使用のPlayStation 4用コントローラー」「PlayStation 4用ソフト『実況パワフルプロ野球2018』」が野球殿堂博物館へ寄贈された。これらの資料は約1年間展示される予定だ。

寄贈されたeBASEBALLの関連資料。選手の使用したコントローラーが野球のウイニングボールのように飾られている

これまで、ゲームソフトの『パワプロ』が野球殿堂博物館で展示されたことはあったが、eスポーツ関連の資料として展示されることは、画期的な事象だと言える。

そこで今回、日本の野球シーンに新たな1ページを刻んだeBASEBALLについて、大会運営を担ったNPB 総合企画室 室長 髙田浩一郎氏と、コナミデジタルエンタテインメント プロモーション企画本部 副本部長 車田貴之氏から、リーグを終えた感想などを伺った。

さまざまなファンが訪れたeBASEBALLの会場

――まずは、NPBとKONAMIが組んで「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ 2018」を開催するに至った経緯をお教えください。

髙田浩一郎氏(以下、髙田):KONAMIさんの開催した大会「パワプロチャンピオンシップス 2017」を、NPBが公認したことがきっかけです。以前より懇意にさせていただいておりましたが、eスポーツリーグの共催という文脈では、これがきっかけになりました。また、ほぼ同時期にNPB内部でも「eスポーツについて何か取り組むべきではないのか」という話が出てきていたんですね。たしか、2017年の暮れくらいだと思います。そして12球団と真剣にeスポーツについて事業研究を始めた矢先、2018年の3月くらいにKONAMIさんから今回のお話がありました。

KONAMIさんからいただいたお話では、扱うタイトルが野球ゲーム『パワプロ』だったのですが、NPB内部では「NPBだからといって、野球にこだわる必要はないのではないか」という意見も出ました。議論を重ねていった結果、最終的には「両方やってみよう(※)」という答えになり、eBASEBALLを含む2つの競技タイトルで大会を開催することにしました。

大会の形態についても、さまざまなものを検討しましたが、アメリカのプロバスケットボールリーグ「NBA」が開催しているバスケットボールゲームのeスポーツ大会などを参考にして、やはり“リーグでやること”に意味があるのではないかと結論付け、今回のeBASEBALLを開催することに決めました。

※ NPBでは今回の『パワプロ』を用いた「eBASEBALL」だけでなく、2019年5月18~19日に『スプラトゥーン2』の大会を開催する予定。「第4回スプラトゥーン甲子園」に出場し、かつ応募のあったチームのなかから選考を行い、最終的に12球団によるドラフト会議で選ばれたチームが参戦する。

NPB 総合企画室 室長 髙田浩一郎氏

車田貴之氏(以下、車田):開催が決まったあとは、NPBさんと何度も議論を重ねて、概要を決めていきました。eBASEBALLでは出場者を“プロ野球eスポーツ選手”と位置づけることにしましたが、プロになるにはプロ野球と同じようにプロテストから始めて、ドラフト指名を勝ち取ってもらうことにしました。「もう一つのプロ野球」をテーマに設定していたので、流れはできるだけプロ野球と同じにしたかったんですよね。

具体的には、2018年7月30日からオンライン予選を開始し、その成績上位者のみが参加できるオフライン選考会を西日本と東日本で実施しました。そこで合格した36人が「eドラフト会議」に参加します。そして、各球団の指名によって、12球団を代表するプロ野球eスポーツ選手が決定するわけです。

コナミデジタルエンタテインメント プロモーション企画本部 副本部長 車田貴之氏

――そうしてプロ野球eスポーツ選手の所属チームが決まり、「もう一つのプロ野球」としてスタートしたeBASEBALLですが、シーズンを通しての感想を教えてください。

髙田:eドラフト会議では、前大会の「パワプロチャンピオンシップス 2017」や選考会の成績をもとに、ドラフト指名が行われていったのですが、実際にeBASEBALLのシーズンが始まると、ドラフト下位指名選手の活躍が目立ちましたね。

プロ野球でもドラフト上位選手が必ず活躍するわけではないですし、そこにドラマが生まれることもあるわけです。今回のeBASEBALLでもそのようなドラマがあり、人の感情を揺り動かすような結果を得られたのではないでしょうか。このような視点からも、2019年はもっと多くの人に観てもらえるはずだと手ごたえを感じましたね。

車田:回を追うごとにファンが増えていくのがわかりました。KONAMIではeスポーツ大会をいくつも開催していますが、eBASEBALLは雰囲気が違いましたね。『パワプロ』のファンだけでなく、プロ野球のファンや各球団のファン、eスポーツ自体のファンなど、さまざまな人に来ていただけました。そこに相乗効果が生まれ、プロ野球ファンがeスポーツやゲームに、eスポーツファンがプロ野球に関心をもってくださればと思います。

今シーズンでも、ファンの熱量が多くの人に伝わったことで、e日本シリーズで三井住友銀行(SMBC)さまがスポンサーとして参加してくださったのではないでしょうか。

髙田:大会を開催するにあたって、プロ野球の各球団からはマスコットを呼びました。試合の解説にはプロ野球のOBに来ていただきましたし、実況もプロ野球実況を現役で行っているアナウンサーにお願いしました。ゲームをほとんど遊んだことがないプロ野球ファンにも、そのあたりが刺さったのではないでしょうか。いろいろなタイプのファンがいて、会場で一緒に声を出して応援する。ほかではなかなか見られない光景ですよね。

e日本シリーズでは、12球団のマスコットとスポンサーSMBCのキャラクター「ミドすけ」が集結。全チームのマスコットがそろうのは、プロ野球ではオールスターゲームくらいだとか

――開幕戦は明らかにプロ野球チームのファンが多い印象でしたが、SMBC e日本シリーズではeBASEBALL選手の名前とチーム名が入った旗を振っている人を多く見かけました。eBASEBALL選手がプロ野球選手と同様に応援される存在になったのだと、確信した瞬間でした。それについてはどう感じられてますか?

車田:そうですね。いろいろな層の人がいるのは本当におもしろいですし、それぞれの層の人がeBASEBALLに興味を持ちだしているのはうれしいことです。あとは、ゲームのプレイヤー解説とプロ野球OBの解説の掛け合いもおもしろかったですね。eBASEBALLの解説をオファーするときに、内容の説明をするのが難しかったのですが、今回お願いしたプロ野球OBの方々はゲームシステムにも興味を持ってくださいました。特に、元ヤクルトスワローズ監督の真中満さんは、選手とのコミュニケーションを積極的に図ってくださって、eBASEBALLのいい雰囲気を作っていただけたと思います。

――シリーズ後半では、真中さんも選手固有の特殊能力である「チャンス○」や「調子の良し悪し」などを完全に理解していましたね。

髙田:真中さんは本当に吸収力がすごかったですね。演出については、こちらが本気度を出さなければ、観客に本気になってもらえないと思ったので、「プロ野球とはこういうものだ」というものをできる限り加えました。今後も、プロ野球と同じくらいに作り込んでいきたいですね。

eBASEBALL開幕戦の様子。左からフリーアナウンサーの田中大貴氏と元ヤクルトスワローズ監督の真中満氏、プレイヤーゲストのめし原氏

eBASEBALLをプロ野球と同じような興行スタイルへ

――SMBC e日本シリーズで、eBASEBALLの来季の開催が発表されました。来季はどのような形での運営を考えてますか? やはり野球観戦というと、ビールを飲みながら応援する楽しみもあるでしょう。ビールの売り子さんが居てくれると、さらに盛り上がると思います。あとは、選手のグッズが販売されていると、観に来る人もうれしいのではないでしょうか。

車田:いまはeBASEBALLというはじめての取り組みを終えたばかりなので、まだ来期の詳細までは決定していません。現在話し合いを進めている最中です。いかにしてファンや視聴者を増やしていくか、チーム編成や選手数、メディア対応など、しっかりまとめていく必要があると思います。

髙田:個人的には物販や会場での飲食など、みなさんが想像するような取り組みをしていきたいですね。やりたいことをすべて盛り込むことは難しいですが、それでも期待に応えていきたいと思っています。

開幕戦の様子。試合前にオンライン投票での勝敗予想が行われた

――来期のスポンサーについてはいかがでしょう。e日本シリーズではSMBCがスポンサーについたこともあり、さまざまな企業がスポンサーに名乗り出てきそうですが。

髙田:特にBtoC向け企業の方が注目してくださっているようです。実際、会場にはさまざまな企業の方が視察にいらっしゃっていたようですね。eBASEBALLは、プロ野球ファンとeスポーツファンの両方をカバーできる希有な存在でもあります。そういう部分が企業にとって興味の対象になるのかもしれません。

――では、最後に来期に向けてひと言お願いします。

車田:「百聞は一見にしかず」という言葉は、まさにeスポーツ、eBASEBALLのための言葉だと思います。単語だけ知っている状態と、実際に会場や動画で観たあとでは、eスポーツやeBASEBALLの印象は大きく変わるはずです。

eBASEBALLや『パワプロ』が好きな人は、これからプロ野球が始まるので、キャンプやオープン戦も観てほしいですね。実際にキャンプ地まで行くのは大変なので、スポーツニュースやネットニュースでチェックするのもいいと思います。そうすれば、2019年シーズンのeBASEBALLをより楽しめるようになるのではないでしょうか。

髙田:来季もさまざまな施策を実施する予定ですが、その前に一度、KONAMI公式チャンネルのアーカイブに残っているeBASEBALLの配信動画を観てほしいですね。そして、いざシーズンが始まったら、ぜひ会場に足を運んでみてください。そこには野球場と同じようなドラマがあり、感動があるので、それを実際に感じていただきたいと思います。

またNPBとしては、プロ野球eスポーツ選手がしっかりと職業になるような形を目指さないといけないと思っています。そのためにも、eBASEBALLを事業としてきちんと定着させなければなりません。ゲームではありますが、プロ野球と同じような興行スタイルへと作りこんでいきたいですね。

――ありがとうございました!

プロ野球初のeスポーツリーグとしてeBASEBALLは、成功を収めることができたと言えよう。ただし、eペナントレースは各チーム1節3試合ずつ、全5節でリーグ戦が終了し、eリーグ代表決定戦やSMBC e日本シリーズが1試合のみ、3イニング交代制という形式が正解かどうかは、検討してみる余地がありそうだ。

また、動画配信に関しては視聴者数も期待以上のものだったが、実際に会場に足を運ぶとなると、観戦環境としては設備が足りないという印象も持った。プロ選手としての報酬額についても、物足りなさを感じた人もいるのではないだろうか。

具体的な運営は検討中とのことだったが、ファンとしては、プロテストやドラフトから再スタートするのではなく、選手がある程度チームに固定されると応援しやすいように思う。プロ野球の試合前にファンと『パワプロ』で対戦するようなサービスがあれば、両者がさらに一体化していけるかもしれない。

長年「プロ野球」というリーグを手がけてきたNPB。eBASEBALLの課題はあるだろうが、その手腕に期待したいところだ。

「SMBC e日本シリーズ2018-19」のアーカイブ動画
オリンピック参加より国際カップの拡大のほうが健全? 『ストV』対抗戦を終えて

オリンピック参加より国際カップの拡大のほうが健全? 『ストV』対抗戦を終えて

2019.02.12

JeSUは4つのタイトルでeスポーツの国際チャレンジカップを開催

『ストV AE』では勝ち星を積みあげる3対3のチーム戦を開催

参加選手の試合後コメントも掲載

既存イベント参加よりも国際カップ拡大のほうが健全?

日本eスポーツ連合(JeSU)は1月26日と27日に、「eSPORTS 国際チャレンジカップ」を開催した。競技タイトルに採用されたのは『ストリートファイターVアーケードエディション(ストV AE)』『鉄拳7』『ウイニングイレブン 2019』『オーバーウォッチ』の4つ。本稿ではそのうち、27日に行われた最後の試合である『ストV AE』についてフォーカスする。

『ストV AE』は、対戦格闘ゲームの火付け役である『ストリートファイター』シリーズの2D対戦格闘ゲームだ。

国際チャレンジカップの様子

1戦1戦の積み重ねが結果に響くチーム戦のルール

『ストV AE』の日本選抜は、ときど選手、ネモ選手、ふ~ど選手の3名。東京ゲームショウ2018にて開催された「CAPCOM Pro Tour ジャパンプレミア2018大会」(JeSU公認大会)の、上位入賞者から選ばれた。対するアジア選抜は、台湾のOil King選手、韓国のNL選手、中国・香港のHumanbomb選手の3名。こちらも国際大会で活躍する精鋭たちだ。

日本国旗を掲げ登場する日本選抜チーム
各国の国旗を掲げ登場するアジア競技チーム

試合形式は3対3の団体戦。BO2(3本中2先取で勝利)の星取戦方式で、先鋒、中堅、大将に分かれてそれぞれ3試合ずつ対戦し、取得セット数の総計でチームの勝敗が決定する。例えば、先鋒と中堅がそれぞれ2-1のセット数で勝利したものの、大将が0-2のセット数で敗北した場合、結果は4-4のドロー。それを3回繰り返し、合計のセット数をカウントする。つまり、ストレート負けやストレート勝ちが大きな差を生むというわけだ。チームオーダーは試合ごとに変更可能で、対戦相手の得意不得意を考慮しながら、チームで相談しながら話し合って決める。

チーム戦においてはオーダーも重要。全員で話し合い、出場順を決める

1試合目の先鋒戦はときど選手(豪鬼)対Oil King選手(ラシード)。「CAPCOM Pro Tour ジャパンプレミア2018大会」での対戦の再現となった。そのときの対戦ではときど選手が逆転勝利を収めているものの、今回はOil King選手らしい攻撃的な試合運びとリスク覚悟の無敵技がハマり、2-0でアジア選抜が勝利する。日本代表としては不安なスタートになってしまった。

ときど選手
Oil King選手

次鋒戦はネモ選手(ユリアン)対Humanbomb選手(春麗)の対戦。2試合ともラウンドは取られたものの、終始試合を支配していたネモ選手が、先鋒戦のお返しとばかりに2-0で勝利する。

ネモ選手
Humanbomb選手

大将戦はふ~ど選手(バーディ)対NL選手(キャミィ)との対戦だ。ふ~ど選手は前シーズンまではレインボーミカを使用していたが、シーズン4(2018/12/17~)になってからバーディを使用。一般的なバーディ使いがあまり使わない「VトリガーII」(キャラクターを選択する際に決める技のモード。同じキャラクターでも、IとIIではトリガー発動中に使える技が異なる)で有効な活用法を開発するほどのやり込み具合だ。そのVトリガーIIによる高い火力でNL選手を圧倒し、2-0でふ~ど選手が勝利。これで1試合目は、勝利数2-1、セット数4-2の日本選抜優位で終了した。

ふ~ど選手
NL選手

2試合目の先鋒戦は1試合目と同じく、ときど選手対Oil King選手の対戦。多彩なジャンプ攻撃と投げ抜けを誘発しての反撃が有効打となり、ときど選手が2-0で勝利。1試合目の雪辱を果たす。

次鋒戦はネモ選手対NL選手。ネモ選手はシーズン4から使い始めたコーリンを選択。ラウンドを1本取り、善戦を見せるものの、NL選手のキャミィの前に沈むネモコーリン。次のセットからネモ選手は使い慣れているユリアンに変更すると、2、3セット目を勝ち取り、2-1のスコアで逆転勝利した。

大将戦はふ~ど選手対Humanbomb選手。ふ~ど選手はHumanbomb選手が使う春麗との相性を考え、レインボーミカを選択した。最初のラウンドをパーフェクトで勝利すると、そのままの勢いで一気にたたみかけ、2-0でふ~ど選手の勝利。日本選抜の5戦連続勝利で、セット数10-3という結果になる。3試合目をアジア選抜がすべて2-0で勝利してもセット数が追いつかないので、この時点で日本選抜の勝利が確定した。

3試合目の先鋒戦はふ~ど選手とNL選手の組み合わせ。再びバーディを選択したふ~ど選手のVトリガーIIが、NL選手を苦しめ、2-0で勝利する。次鋒戦はときど選手とHumanbomb選手の対戦だ。試合全体を掌握していた印象のときど選手に対して、1セット取り返すのがやっとだったHumanbomb選手。ここでも2-1で日本選抜が勝利した。最後の大将戦はネモ選手対Oil King選手。Oil King選手らしい攻めの戦術でネモ選手を攻めるが、お互い1-1で迎えた最終戦、相手の攻めを読みきったネモ選手が勝利した。

最終的な結果は、8勝1敗、セットカウントは16-5で、日本選抜チームの圧勝となった。

ネモ選手が勝因分析、「オーダーがうまくかみ合った結果」

試合終了後には、選手たちにインタビューを実施。国を背負っての戦いを振り返ってもらった。

まず、アジア選抜のなかで一番の活躍を見せていたOil King選手は「国を背負っての試合だったので、プレッシャーを感じていました。ただ、いざ試合が始まってしまえば個人戦なので、自分自身が頑張るしかないと思い、いつもと一緒の感じでプレイできたと思います。国を背負う以上に、今回は仲間のいるチーム戦だったので、チームとして負けてしまったのは個人で負けるよりも悔しさが大きかったですね」と悔しさを見せた。

初戦で勝利したNL選手は「初めて代表として試合に臨んだので、プレッシャーはありました。いつも通りの実力を出したかったんですが、出し切ることはできませんでしたね。日本選抜は本当に強かったです。リベンジをしたいので、次回の開催を希望します」と、雪辱を誓う。

代表の経験者であるHumanbomb選手は「6年前に一度、代表として試合に出場したことがありますので、今回はそのこと以上に、チーム戦であることが重圧になりました」と敗因を語った。

アジア選抜チーム

日本選抜のネモ選手は「代表としてのプレッシャーはあまり感じなかったのですが、対戦相手が非常に強いメンツだったので、そちらの方が気になりました。試合形式としては、巻き返しができるルールで、普段のチーム戦とは違いましたね。結果として圧勝のような形で終わりましたが、オーダーがうまくかみ合った感じです。これだけの差がつくとは思ってなかったですね」と、勝因を分析した。

また、ふ~ど選手は「国を背負うとか、そういうのはあまり考えなかったです。最初ときどが負けたとき、このまま一気にやられてしまう負けルートに入ったかなと思ったくらい、余裕はありませんでしたね。まあ、(ときど選手は)攻略負けではなく、ミスで負けていたので、引きずるようなものではないとも思いましたけど」と、振り返った。

日本選抜チーム

今回の国際チャレンジカップは、4つのタイトルいずれも日本選抜チームが勝利するという結果に終わった。ただし、エキシビションの様相もあったので、試合結果はある意味二の次だったのかもしれない。それよりも、国際交流として、日本で海外の強豪選手の戦いを目の当たりにできたことが大きかったのではないだろうか。

今後、アジア選抜をそれぞれの国の選抜選手にしていけば、国際大会としてしっかりとポジションを確立できそうである。徐々に参加国を増やしていき、アジアのみならず全世界が対象になれば、一大eスポーツイベントとなりうるだろう。

オリンピックやアジア競技大会のような、既存の畑違いのイベントの末席に入れてもらうくらいであれば、独自の国際イベントを開催するほうがよっぽど健全なのではないかと感じた国際チャレンジカップだった。

次世代スターの誕生を予感させた「モンストジュニアグランプリ2019」

次世代スターの誕生を予感させた「モンストジュニアグランプリ2019」

2019.02.05

闘会議2019で開催された「モンストジュニアグランプリ」

次代を担う若き選手たちが大舞台に立つ

プロさながらの戦いぶりから将来のeスポーツの盛り上がりを予感した

XFLAGは、1月26・27日に幕張メッセで開催された「闘会議2019」内において「モンストジュニアグランプリ2019」を開催した。

モンストジュニアグランプリは、モンスターストライクのeスポーツイベント初となる「18歳未満、および18歳の高校生」を対象とした大会。プロ大会を含めたほかのモンストグランプリと同様に、『モンスターストライク スタジアム』を使用したチーム戦が繰り広げられる。闘会議に先立って、1月初旬に関西予選と関東予選が行われており、予選を勝ち抜いた各4チーム、計8チームが、幕張メッセの舞台に立った。

プロさながらの実力を示したジュニアプレイヤーたち

決勝大会のトーナメントは、当日行われたタイムアタックRoundの結果をもとに、組み合わせを決定。通過順位1位と8位、2位と7位、3位と6位、4位と5位が初戦で争うことで、タイムアタックのRound上位チームがいきなり対戦しないようになっている。

タイムアタックRoundでは、いずれのチームもプロさながらのクリアタイムを叩きだし、ジュニア大会といえど、レベルの高さを示す結果になった。そして、そのハイレベルな戦いを経て、「次世代BOX」と「寝るのは甘え。(以下、寝るのは甘え)」の2チームが決勝まで勝ち進んだ。

ジュニアグランプリとはいえ、本グランプリ出場者に劣らない実力の持ち主が集まった
観客席は超満員で、見事なショットが決まるたびに、バルーンを叩いたり、歓声をあげたりと、大きな盛り上がりを見せていた

多くの観客が見守るなかで、いよいよ決勝戦がスタート。大舞台でもノーミスでステージクリアしていく「次世代BOX」に対して、「寝るのは甘え」はちょっとしたミスが積み重なり、徐々に差を広げられてしまう。後半「次世代BOX」もミスが目立ち始めるものの、「寝るのは甘え」がそのチャンスを生かせず、結局「寝るのは甘え」がボスステージに到達する前に、「次世代BOX」がフィニッシュして優勝に王手をかける。

2戦目は「寝るのは甘え」が、2ステージ連続で雑魚敵の処理に手間取り、序盤で1ステージ分の差が開いてしまう。「次世代BOX」もボスステージで雑魚敵の処理に苦しむものの、差が埋まることはなく、「次世代BOX」が連勝で優勝を決めた。

優勝した「次世代BOX」。試合後の優勝者インタビューでは、「勝てて良かった。応援してくれて嬉しかった」(ぷんつか選手)、「巻き返して、優勝できて良かった」(じじのけ選手)、「このメンバーで勝てて良かった」(やまにぃ選手)、「思った以上にレベルが高かったが、全勝できて良かった」(Yoh選手)と、それぞれが喜びを表した
準優勝の「寝るのは甘え。」

若き選手たちの躍動がeスポーツの裾野を広げる

優勝チームには、ゴールドメダルと『モンスターストライク』のゲーム内で使える優勝者オリジナルの称号、国内外からセレクトされた旅行パック、8つのプロチームから1チームを指名して対戦する挑戦権の4つが贈られる。

挑戦権では、モンストグランプリ2018、モンストプロツアー2018の優勝チーム「今池壁ドンズα」を指名。同郷ということもあるかもしれないが、最強チームに挑戦するところは、もはやジュニア大会の優勝チームというよりは、グランプリのライバルチームとしてとらえているようにも感じた。

優勝賞品は国内外の旅行。パスポートを取るのが面倒なので、リーダー権限で国内旅行にすると宣言したじじのけ選手(写真左から2番目)
指名された「今池壁ドンズα」のそふぁ。選手。台湾で開催中のゲームショウに参加している、なんとかキララEL選手からの手紙を読み上げる。内容は「挑戦を受けて立つ」というものだった

人前でのプレイは想像以上に緊張するものであり、プロですら思わぬミスが出てしまうものだ。ましてや高校生が初の大舞台に立ったとなれば、そのプレッシャーは計り知れない。そのような環境のなかで、高いパフォーマンスを見せてくれた選手には、称賛以外の何物でもないだろう。

特に、「次世代BOX」のメンバーは高校3年生。この春、高校を卒業すれば、モンストグランプリの出場資格を得ることができる。実際に「ジュニアグランプリに優勝し、18歳以上が参加できるモンストグランプリにも出場して、優勝したい」と語っており、モンスターストライク界に新風が起こりそうな予感がした。

今回、初となるジュニアグランプリだったが、多くの高校生、中学生が参加し、優勝目指して熱い戦いを繰り広げた。eスポーツというと、高額賞金やプロなどの話が中心となりがちだが、アマチュアや学生を中心とした大会が盛り上がってこそ、裾野が広がっていくというものだ。

今後、ジュニアグランプリが第2回、第3回と続いて定着していけば、プロチームに憧れて参加した「次世代BOX」と同様に、彼らの後輩が「次世代BOX」と同じ舞台に立つことを目指して参加するようにもなるだろう。まさに“次世代”選手の活躍を目の当たりにして、この先もモンストグランプリやeスポーツの盛り上がりを予感した大会だったといえよう。