スタバがLINEと提携してアプリサービスを強化する狙い

スタバがLINEと提携してアプリサービスを強化する狙い

2019.04.09

LINEとスタバが連携、スマホでの支払いが便利に

「スタバカード利用者」と「LINE Pay加盟店」の増加でWin-Win

LINEを活用した決済サービスの普及事例はこれからも増えそう

スターバックスとLINEがデジタル領域での業務提携について詳細を発表した。LINEが誇る月間7900万人のアクティブユーザー基盤に向けて、スターバックスのリワードや1対1のコミュニケーションを提供していく。

スターバックスとLINEが業務提携の詳細を発表

だが、スターバックスはすでにアプリを利用して、モバイルユーザーにサービスを提供している。なぜ、改めてLINEと組む必要があったのだろうか。その背景からは、アプリ特有の問題点と新たな可能性が見えてきた。

LINE版プリペイドカードやLINE公式アカウントを提供

1996年に日本に上陸したスターバックスは、2018年末時点で国内に1415店舗を展開し、来店客は1週間に500万人を超える。プリペイドカードの「スターバックスカード」は、2014年にモバイル版の提供を開始しており、すでに30%を超える顧客がこれらのカードを支払いに利用しているという。

スターバックス コーヒー ジャパン 代表取締役最高経営責任者CEOの水口貴文氏

こうした取り組みを推し進めていく中で同社は、2018年12月にLINEとの間で包括的な業務提携を発表した。スターバックスの日本法人CEOである水口貴文氏は提携に至った理由を、「デジタルを活用していく上で『ぬくもり』を重視する」という両社の価値観が一致したためだと説明する。

デジタル領域で包括的な業務提携を開始

具体的なサービス内容としては、LINEアプリのウォレット機能へのスターバックスカードの追加、LINE公式アカウントの開設、LINE Payのスターバックス全店への展開の3点だ。

注目したいのが、LINE版のスターバックスカードだ。すでにスターバックスは400万回ダウンロードを誇るアプリを提供している。だが、これを利用するにはアプリのインストールと会員登録が必要で、ハードルが高いと感じる人が多かったという。

そこで、LINEと提携し、これまでアプリを入れてこなかったカジュアルなユーザーを取り込もうというのがスターバックス側の狙いだ。その上で「すでに3分の1に達したキャッシュレス決済を、どこまで伸ばしていけるかが課題だ」と水口氏は語る。

LINE版のスターバックスカードは4月8日より提供が始まっている。特徴は、カードの発行が驚くほど簡略化されている点だ。

LINE活用で敷居を下げ、自社アプリにつなげる仕組みも

LINE版のスターバックスカードは、LINEアプリで利用できる。ウォレット機能から数回タップするだけで、スターバックスカードを新規発行できるため、面倒な個人情報を入力する必要もなく、レジの順番を待つ間に登録できてしまいそうだ。

画面をタップしていくだけで新規発行が可能

初期状態では残高が0だが、LINE Payやスターバックス店頭での現金を利用したチャージにより、支払いに利用できるようになる。同時にスターバックスリワードの会員になり、独自のポイントである「スター」も付与される仕組みだ。

LINE版スターバックスカードで支払いをする様子

LINEアプリはすでに多くのスマホに入っており、毎日6600万人ものユーザーが使っている。しかもLINEによれば、この数字は昨年より600万人増えており、スマホ普及率の上昇に伴ってさらなる伸びが期待できるという。

ただし、LINEアプリから登録した人は「準会員」として扱われる。貯まったポイントを活用するには追加の情報を入力し、「正会員」への登録が必要となっている。とはいえ、手持ちのポイントを活用したいという動機がある以上、登録のハードルはかなり低いといえそうだ。

全体像として、まずはLINEを入り口にして会員を増やし、リワードを体験してもらいながら自社のアプリにつなげていく仕組みになっている。公式アカウントによるコミュニケーションも活用し、スターバックスのファンを増やしていく構えだ。

一方、LINE側はスターバックス全店へのLINE Pay導入により、キャッシュレス基盤を拡大できる。さらに利用動向などのデータをAIで分析し、1対1でのコミュニケーションを実現するなど、新たなサービスにも活かしていくという。

モバイルの重要性がますます高まっていく中で、新たなアプリを提供するだけではなかなか使ってもらえない。すでに普及したLINEを活用することで、幅広いユーザーの取り込みを狙う事例は今後も増えていきそうだ。

アマゾンの物流を支える、ロボット化された最新倉庫が大阪に誕生

アマゾンの物流を支える、ロボット化された最新倉庫が大阪に誕生

2019.04.05

アマゾンジャパンが大阪・茨木市に新たな物流拠点をオープン

配送の人手不足が課題、アマゾンの対策は?

4月からは「社会科見学」の受け入れを予定

4月4日、アマゾンジャパンが大阪・茨木市に新たな物流拠点をオープンした。日本国内に10カ所以上の拠点を持つアマゾンだが、茨木の特徴は最新のロボット技術「Amazon Robotics」を導入したことだ。

アマゾンジャパンが茨木に物流拠点をオープン

国内Eコマース市場が成長を続ける一方で、配送の時間短縮や人手不足対策など、課題も増えている。その中でアマゾンが取り組む最先端の物流拠点はどうなっているのだろうか。

商品棚が走り回る最新ロボット技術を導入

アマゾンがオープンした「茨木FC」(フルフィルメントセンター)における最大の特徴は、商品棚が縦横無尽に走り回る「Amazon Robotics」の導入だ。従来の倉庫のように商品棚の間を人間が歩き回るのではなく、棚自体を動かすシステムで、国内での導入は川崎に続いて茨木が2例目となる。

茨木FCの中を商品棚が縦横無尽に動き回る

黄色い商品棚「ポッド」を乗せて走るのは、自走式のロボット「ドライブ」だ。床に置かれたQRコードを頼りに、秒速1.7メートルで移動する。川崎で稼働中のモデルよりも積載重量が6割以上増えており、より大きな商品棚を動かせるという。

地面に置かれたQRコードに沿って移動する「ドライブ」

商品棚が動くことから、スタッフは定位置での作業になる。商品の入荷時は、空いている棚にどんどん商品を詰めていく。書籍や生活用品といった種類に関係なく、サイズだけで分けていくのが面白い。

入荷した商品を棚に入れる作業

注文された商品の出荷時には、画面の指示にしたがって棚から商品を取り出し、コンテナに詰めていく。このコンテナは梱包エリアに運ばれ、お馴染みの段ボールに詰められて出荷される仕組みだ。

出荷時には棚から商品を取り出していく

商品の出し入れ作業自体は、人間の仕事だ。アマゾンが取り扱う商品は書籍や家電、生活用品など大小さまざまで、まだ機械化は難しいという。とはいえ、人間が倉庫内を歩き回る従来の配送センターに比べれば、はるかに効率化された印象だ。

安全確保や地域との共存に注力

アマゾンの配送センターでは、安全確保も重視されている。構内では「走ることの禁止」「一定以上の声量での声かけ」「重たい物の持ち方」などの厳しいルールがあった。

安全確保に関する配送センター内の掲示物

また、配送センター内の随所にウォーターサーバーを設置するほか、空調管理はモニタリングしたり、作業員の近くに空調ダクトを置いたりするなど、快適に作業できる環境を整えたという。

カフェテリアでは食品メーカーに特注したカレーを200円から提供する。休憩スペースや作業員が相談できるカウンターの設置など、働きやすい環境作りを進めていることを挙げた。

茨木FCのカフェテリア
200円のカレーライスなどが提供されている

アマゾンジャパンのジェフ・ハヤシダ社長は、地域との共存についても強調した。4月には近隣の小学校に通う生徒が見学しに来るそうで、今後も社会科見学などを受け入れていくという。地元から通う作業員も多く、敷地内には多数の自転車が置かれた駐輪場があった。

地域との共存について説明するアマゾンジャパンのジェフ・ハヤシダ社長

一般にアマゾンの倉庫作業といえば、膨大な商品が置かれた倉庫内を歩き回る「キツい」イメージがあった。だが、人手不足が進む中でキツいままの職場では求人が難しくなることは明らかだ。ロボット化や快適な作業環境の整備、地元との共存に取り組むといった取り組みには、そうした印象を払拭したいという思惑がありそうだ。

アマゾンは、こうした取り組みの背景として、同社が掲げる「お客様第一」の方針を挙げる。物流拠点を効率化し、事故を減らすことは、注文された商品を顧客のもとにより安く、より速く届けることにつながるからだ。

ベール脱いだファーウェイ最強スマホ「P30 Pro」、カメラ性能でライバル圧倒

ベール脱いだファーウェイ最強スマホ「P30 Pro」、カメラ性能でライバル圧倒

2019.03.28

ファーウェイが「P30 Pro」を発表

月もキレイに撮影できる驚異の「50倍ズーム」

ファーウェイの強さは新製品サイクルの速さにあった

ファーウェイがフラグシップスマホの新製品「HUAWEI P30」シリーズを発表した。最大の特徴はカメラの劇的な強化で、ライバルを圧倒する「最大50倍デジタルズーム」などの最新技術を披露した。

ファーウェイがパリで「HUAWEI P30」シリーズを発表

2018年のP20シリーズと同じく、発表イベントはフランス・パリで開かれた。日本での発売も期待されるP30シリーズだが、果たしてどのような進化を遂げたのか。

驚異の50倍ズームで月を撮影

ファーウェイは2月のMWC19で折りたたみスマホの「Mate X」を発表したばかりだが、これはやや実験的な性格の端末だった。今回発表したP30とP30 Proは、同社のフラグシップモデルにあたるHUAWEI Pシリーズの新世代製品で、特にカメラを中心に機能を強化したモデルだ。

上位モデルの「HUAWEI P30 Pro」は、本体背面に3個のカメラと1個の深度測定カメラの合計4眼カメラを搭載。3個のカメラは超広角、広角、望遠のレンズを備えており、幅広い焦点距離の撮影に対応できる。

HUAWEI P30 Pro(グローバルモデル)

特筆すべきは暗所や望遠の撮影性能だ。暗所で重要なISO感度は、前モデルの102400から4倍相当となる409600に引き上げた。望遠は35mm換算で125mmのレンズにデジタル処理を組み合わせることで、10倍までのハイブリッドズームと50倍までのデジタルズームに対応した。

P30 Proのリアカメラ。合計4眼を搭載する

アップルやサムスンの最新スマホと比べて、星空や月の撮影で特に大きな違いがでるとして、実機で撮影したという写真も公開された。他機種では真っ暗にしか撮れない夜空でも、P30 Proなら星空を鮮やかに撮れるという作例や、模様まではっきりと分かる大きな月の写真は圧巻だ。

P30 Proでは月面の模様まで見て取れる(中央がP30 Pro)

こうした作例は、事前にプロの写真家によって念入りに作り込まれたものも多い。だがファーウェイは製品発表の場で、会場の照明を落とし、実際にiPhoneやGalaxyと撮り比べ、P30 Proの撮影性能をライブで証明していたことが印象的だった。相当な自信があるのだ。

会場内のサイネージをその場で撮影して比較するデモ(右がP30 Pro)

カメラとCPUを半年ごとに強化

ファーウェイのカメラが進化を続ける背景には、世界初をうたう「RYYB」方式のイメージセンサや、5倍ズームをスマホに収めるペリスコープ構造など、多岐に渡る最新技術を開発・保有していることがある。その技術開発の中で重要な要素となっているのが、各種の処理装置や通信モデムを統合するチップセット(SoC)の進化だ。

たとえば普通のデジカメなら、50倍のデジタルズームは確実に手ぶれしてしまう。ISO感度を40万に高めてもノイズだらけになるだろう。そこで最近のスマホは、連写した複数枚の写真を合成することで手ぶれやノイズを除去し、画質を高めている。

このとき、重要になるのが画像処理のスピードだ。シャッターを押した後のわずかな時間にどれだけ多くの画像処理ができるかで、画質は大きく変わってくる。チップセットの処理性能が高速になればなるほど、画質を向上できる余地が出てくるというわけだ。

P30 Proのチップセットは、2018年秋に登場した「Mate 20 Pro」と同じ「Kirin 980」に据え置かれたため、5Gへの対応にも一切言及されなかった。それでもファーウェイはKirin 980を最適化し、さらにカメラ性能を引き出してきた。

他の端末を充電するリバースチャージなど、Mate 20 Proの新機能はP30 Proにも取り込まれた

P30 Proのカメラを開発する上で足りなかった要素は、2019年秋に登場する次のMateシリーズが搭載するであろう次のKirinチップセットに活かされる。このカメラとチップセットを交互に短期間で強化していくサイクルが、今のファーウェイの強みだ。

当面の間、スマホの開発競争はカメラ機能を中心に進行し、その鍵を握るチップセットの性能の重要度は高まる一方だ。開発力でライバルを圧倒し始めたファーウェイの勢いは、まだまだ衰えることはなさそうに見える。