ソフトバンクが無難に初決算、値下げはワイモバイルで対応済みと応じず

ソフトバンクが無難に初決算、値下げはワイモバイルで対応済みと応じず

2019.02.06

ソフトバンクが上場後初めての記者会見を実施

「10兆円ファンド」活用で今後も通信事業の成長見込む

政府の値下げ圧力には、変わらず「Y!mobileで対応済み」の姿勢

2月5日、ソフトバンクグループの通信子会社であるソフトバンクが上場後初めての決算説明会を開いた。親会社のソフトバンクグループとは別の日程で開催することで、宮内謙社長が率いる同社の新体制を改めて強調する形になった。

ソフトバンクの決算説明会に登壇した宮内謙社長

昨年12月19日に東証一部に上場した際には公募価格を割り込み、携帯事業の将来性を不安視する向きもあったが、宮内社長は業績やスマホ契約数の好調をアピール。携帯事業は「マルチブランド」を展開し、料金値下げ競争にも自信を見せた。

AI/IoT時代も要は「スマホ」

ソフトバンクグループの通信子会社として上場したソフトバンクだが、通信事業の伸びには懐疑的な見方もあった。だが、宮内氏はそうした論調を否定し、「本格的にAIやIoT、ロボットの時代が到来する中で、インターフェイスとしてのスマホはさらに発展する」と反論した。

4Gに続く次世代移動通信「5G」では、単にスマホの通信速度が向上するだけでなく、世の中のあらゆるモノがつながることによる社会的なインパクトは大きい。国内の携帯キャリアが張り巡らせるネットワークはその基盤になることは間違いない。

通信事業をベースに、ソフトバンクが目論むのが新領域への進出だ。ソフトバンクグループの10兆円ファンドはAIを活用する海外の有望なベンチャーに次々と出資している。投資先と連携し、これらを日本に持ち込むことでさらなる成長を狙うのがソフトバンクの事業戦略となっている。

ソフトバンクグループの投資先と連携した新領域を拡大

携帯事業は「マルチブランド」体制が強みに

業績は好調だ。2018年4〜12月期の営業利益は6349億円で前年同期比19%増と過去最高益を達成。主要回線の1契約あたり収入(ARPU)は4380円で、「月月割」の減少などを背景に前年同期比50円増と反転した。

スマホ契約数も着実に伸びている。強いのは「格安スマホシェアNo.1」をうたうY!mobile(ワイモバイル)と思われがちだが、実はSoftBankブランドも伸び続けている。その上で宮内氏は国内のスマホ普及率が61%(2017年12月、総務省調べ)と低いことを挙げ、成長余地の大きさをアピールした。

スマホの累計契約数。「SoftBank」の契約者も伸び続けている

だが、好業績を示しても大きな不安がある。政府や総務省を中心とした携帯料金値下げに向けた議論が進んでおり、ドコモとKDDIは金融やEコマースなど通信以外の収益確保を急いでいる。これに対してソフトバンクの強みとなるのが携帯事業の「マルチブランド」体制だ。

ソフトバンクは携帯事業のブランドとして「SoftBank」「Y!mobile」、そして子会社を通じた「LINEモバイル」の3つを展開する。SoftBankは大容量、Y!mobileは低価格で中容量、LINEモバイルは低価格で小容量と性格が異なり、ターゲットごとに棲み分けているのが特徴だ。

ソフトバンクが展開する「マルチブランド」

値下げは「Y!mobile」で対応済みの姿勢

政府や総務省の値下げ要求には「対応済み」の姿勢を貫いている。安さを求めるならば、Y!mobileやLINEモバイルという選択肢がすでにあるからだ。すでにSoftBankとY!mobileの「ダブルブランド」を冠したショップは1500店に達しており、来店客には最適なプランを提案できるという。

SoftBankとY!mobileの「ダブルブランド」店舗が増えている

ここでソフトバンクが示した面白いデータが、両ブランド間で移行する客の数だ。以前は安さを求めてSoftBankからY!mobileに移るユーザーが大半を占めていたが、最近では負担増をいとわずY!mobileからSoftBankに移る客が増え、拮抗しつつあるというのだ。

最近はY!mobileからSoftBankに移行するユーザーが増加

なぜSoftBankは人気なのか。宮内氏は契約者の多くが50GBの大容量プランを選んでいることを挙げ、「スマホ初心者は安いプランを選びがちだが、やりたいことが増えてくると大容量プランに魅力を感じる」と指摘する。

その背景には、スマホの利用シーンの拡大がある。Yahoo!ショッピングでのポイント還元や、第2弾の100億円還元を発表した「PayPay」、東京でも試験的な運用を始めたタクシー配車の「DiDi」など、スマホの利用シーンが増えることで「バリュー」が上がっていくというのがソフトバンクの見立てだ。

端末と回線の「完全分離」やNTTドコモの4割値下げなど、今後も市場環境の変化が予想される中、ソフトバンクも慎重に対応する構えを見せている。その中でも「やはりスマホにはお金をかけるべきだ」と考え直す人が増えれば、ソフトバンクの思惑通りに進みそうだ。

QR決済は日本に根付く? PayPayのバラ巻き第2弾は「広く浅く」

QR決済は日本に根付く? PayPayのバラ巻き第2弾は「広く浅く」

2019.02.05

PayPayが「100億円キャンペーン」の第2弾を発表

累計登録者数は400万人を突破、それってどのくらい凄い?

お祭り騒ぎとまでは行かなさそうだが、最大7万円の還元はおいしい

2月4日、PayPayが「100億円キャンペーン」の第2弾を発表した。既報の通り、適用条件の大幅変更によって100億円の「中身」は大きく変わり、より多くのユーザーに広く浅く還元するものになった。

第2弾キャンペーンでは1回あたり還元額が上限1000円に

発表会では大いに盛り上がった第1弾の成果を振り返るとともに、不正利用などの課題についても対策が語られた。新たなキャンペーンによりPayPayのQRコード決済は日本に根付くのだろうか。

認知度やサービス理解でNo.1、課題にも対応

日本全国でキャッシュレスへの取り組みが進む中、PayPayが12月4日に始めた「100億円キャンペーン」は大盛況となった。対応店舗の1つであるビックカメラからはiPadの在庫が消え、最終日には終了の噂を聞きつけた客がレジに行列を作った

第1弾はわずか10日間で100億円を「消化」して終了したが、PayPayの累計登録者数はサービス開始から4ヶ月で400万人を突破。「ヤフージャパンの歴史を振り返っても、最速で400万人を獲得した」とPayPayの中山一郎社長は成果を語った。

PayPayの累計登録者数は400万人を突破

400万人はどれくらい凄いのか。LINE Payの登録者数は国内3000万人を超えるが、1月31日の決算では月間アクティブユーザーの目標として世界で1000万人との数字を掲げた。

PayPayのアクティブ率は不明だが、MMD研究所が2019年1月に887人を対象にした調査では、LINE Payの7.9%に対してPayPayは8.1%と上回った(1位は楽天ペイの9.4%)。名称認知やサービス理解でもPayPayはNo.1に躍り出るなど勢いが感じられる。

PayPayは名称認知やサービス理解でNo.1に

このように大きな成果を挙げた一方で、反省すべき課題もあったという。社会問題にもなった不正利用問題への対策として、クレジットカードは「3Dセキュア」による本人認証に対応。認証後は30日間で5万円、特定条件で25万円を上限とした。今後は銀行口座の接続を含め、利用者に向けて注意を喚起していくという。

「上限1000円」で広く利用促進、QR普及なるか

次に、PayPayが新たに発表した第2弾の100億円キャンペーンの中身を見ていこう。最大の特徴は、1回の決済あたりの還元額を上限1000円に制限した点だ。抽選でキャッシュバックされる確率は10回に1回と高まったが、これも1回あたり上限1000円に抑えられた。

その背景について中山社長は、「多くのお客様に、日常の決済にご利用いただきたい。長い期間、何度も使ってほしい」と語る。一方でSNSには落胆の声が広がり、キャンペーン発表直後の13時過ぎにはビックカメラの株価が急騰する場面もあったが、上限が1000円と分かるとすぐに落ち着いたことも話題になった。

毎日の買い物や移動など、日常的な利用にフォーカス

たしかに、iPadや白物家電のような高額商品を買ってもうまみは少ないことから、第1弾のようなお祭り騒ぎは期待できない。だが、PayPayで支払うだけで合計で最大5万円、抽選も含めて最大7万円の還元が受けられるのは破格のオファーといえる。

買い物時に1000円ずつ還元を受ける場合を考えると、5万円の還元を受けるには5000円の買い物を50回、あるいは1000円の買い物を250回する必要がある。一部の人だけが得をした第1弾のキャンペーンとは異なり、第2弾はコンビニやドラッグストア、タクシーなどの日常的な利用に多くの人が参加できそうだ。

日常利用を繰り返すことで大きな還元を得られる

対応店舗として、大手チェーンでは「ローソン」や「松屋」が新たにPayPayに対応する。第1弾ではビックカメラなど都市部が有利との声があったが、PayPayの営業部隊の開拓により地方にも対応店舗は広がっているという。

PayPayの対応店舗は拡大予定

今後の課題として、かざすだけで使えるFeliCaに比べてQRコードは煩雑との声も上がっている。2月2日には安倍晋三首相が商店街でPayPayを体験したことが報じられ、中山社長は「政府関係者にも触れていただき、QRコードは思ったより簡単だったと聞いている。将来は明るいのではないか」とアピールした。

QRコード決済で先行するLINEは、LINE Payを含む戦略事業に600億円を投資する構えだ。4月開始のau PAYなど競争激化が予想される中、積極攻勢をかけるPayPayはQRコード決済の普及に向けて一翼をになう存在になりそうだ。

7割の人がシャットダウン? NECがPCの高速起動にこだわる理由

7割の人がシャットダウン? NECがPCの高速起動にこだわる理由

2019.01.30

NECPCが2019年春モデルのPC新製品を発表

シャットダウンを常用するユーザー向けに「高速起動」をアピール

新機能「ボイス起動」を搭載したモデルも登場

NECパーソナルコンピュータ(NECPC)が2019年春モデルのPC新製品を発表した。スマホの普及により個人向けPCは売れないといわれる中、進学や新生活のシーズンである春は商戦期となっており、学生のレポート作成用途などに向けて各社が新製品を投入する。

NECPCが2019年春モデルの新製品を発表

その中でNECPCがこだわりポイントとして挙げているのが、「高速起動」と「サポート」だ。背景には、PCの進化によって起動速度が劇的に速くなった一方で、多くのユーザーが依然として「シャットダウン」を使っているとの実態があるようだ。

PCへの不満は「起動速度」と「使い方」がトップ

2019年はNEC初のパーソナルコンピューター「PC-8001」が登場してから40周年を迎える。その節目の年に向けて、NECPCは2018年に「PCとは、愛だ。」というブランドスローガンを掲げ、ユーザーが実際に直面している不満に寄り添うという開発方針を採っている。

果たしてPCユーザーは、何を不満に感じているのか。NECPCによる2017年の調査では、「起動が遅い」と「使い方がよく分からない」が、上位2つを占めているという。

PCユーザーの不満は「起動が遅い」と「使い方がよく分からない」

PCの起動速度に影響する大きな要因が、ストレージだ。フラッシュメモリを用いたSSDなら起動は速いが、容量が大きいものは高価になる。HDDなら安価に大容量を得られるが、起動には時間がかかる。このHDD搭載機のユーザーから不満の声が多いという。

そこでインテルが開発したのが、HDDを高速化する「Optaneメモリー」だ。NECPCはこのOptane採用機を増やすことで、HDDで大容量を確保しつつ、起動の高速化を実現している。

Optaneメモリーにより、起動速度は目に見えて速くなる

使い方がよく分からないという不満についても、無償の使い方相談サービスを提供。それに加えて、2019年春からは有償サポートも追加し、落下にも対応した「安心保証」や「オンライン自動バックアップ機能」を月額700円のサブスクリプションで提供する。

新たに有償のサポートサービスも開始する

最近の学生はPC操作が苦手といわれるが、実際に購入すればすぐに使いこなせるようになるとの声も多い。だが、落下の保証やバックアップは長期的な需要がある。そこで有償サポートにより、大学生活の4年間をしっかり保証するのが狙いというわけだ。

だが、起動速度の不満については疑問を持つ人も多いのではないだろうか。なぜなら、PCをスリープ状態にすれば、すぐに復帰させることができるからだ。これに対して、NECPCによれば実に7割もの人が「シャットダウン」を日常的に使っているという。

7割の人がシャットダウンを常用

PCを使い終えるとき、シャットダウンとスリープにはどのような違いがあるのだろうか。シャットダウンは完全に電源を落とすことができるが、再び起動するにはシステムの立ち上げに時間がかかってしまう。

これに対してスリープは、メモリーの状態を保持することで、わずかな電力を消費するものの、素早く復帰できるというメリットがある。ノートPCの画面を閉じればスリープになる機種がほとんどのため、多くの人は無意識のうちに使っているかもしれない。スマホやタブレットでは、画面をオフにするスリープが当たり前のように使われている。

だが、NECPCによれば7割のユーザーがシャットダウンを使っているという。その背景には、長年の習慣があると同社は見ている。スリープ機能が登場するからPCに慣れ親しんできたユーザーの中には、いまでも忠実にシャットダウンを実行している人が少なくないというわけだ。

NECPCとして、より便利なスリープを使ってもらうよう、ユーザーを啓発していくという方向性もあるだろう。それと並行して、ユーザーがいま直面している不満を解消すべく、シャットダウン状態からでも高速起動する技術の採用を進めている。

他にも27型のディスプレイ一体型モデルには、新たに「ボイス起動」機能を搭載した。シャットダウンで電源を落とした状態でも、声で呼びかけるだけでPCを起動できる機能で、NECPCによれば世界初だという。

シャットダウンした状態から音声だけで起動できる「ボイス起動」も

PCは家電に比べてはるかに複雑な製品であり、備わっている機能を正しく使えるユーザーばかりとは限らない。そうしたユーザーの不満を技術で解決していく姿勢こそ、NECPCが積み上げた40年の歴史から得られたものなのかもしれない。