Xperiaが危ない、ソニー決算で苦境鮮明に

Xperiaが危ない、ソニー決算で苦境鮮明に

2019.02.06

ソニーの直近決算、スマートフォン事業の不調が目立つ

もはや先進的ではない? 世界の中のXperiaの現実

MWC 2019が開催間近、Xperiaは新たな価値を示せるか

ソニーが2月1日に発表した2018年度第3四半期決算は、売上高は前年同期比10%減の2兆4,018億円、営業利益は同7%増の3,770億円の減収増益だった。金融ビジネスの不調が足を引っ張った形だが、それをのぞいても同3%減の減収となっている。さらに増益もEMIの連結子会社化にともなう再評価益が含まれ、一時益を除けば同25%減の2,601億円となっており、根は深いのかもしれない。

ソニーの第3四半期決算

その中で、不振が鮮明に現れているのがモバイル・コミニュケーション分野だ。スマートフォンの「Xperia」が主力のセグメントだが、販売台数減がたたって売上高で同37%減、営業損失は前年同期から313億円悪化して155億円のマイナスとなった。

セグメント別の業績。モバイル・コミュニケーション分野は為替影響もそれほど大きくなく、日本が主力なことが伺えるが、それでも大幅な減収減益

スマートフォンの販売台数は180万台で、同220万台減という減少幅。半分以下だ。日本、欧州、中南米の販売台数減少が響いたとしている。その結果、通期の売上高予測は200億円減となる4,900億円へと下方修正。スマートフォンの販売台数予測も50万台減の650万台とした。営業損失は950億円のマイナスで従来予測を据え置くが、これはオペレーションコストを2020年度には半減(2017年度比)させるという計画を前提としたものだ。

通期ではさらなる減収を見込む

技術、ブランドを再度点検するべき

スマートフォン事業は、世界で競争が激しい。シェアトップはSamsungだが、長くトップに君臨していたNokiaを逆転したのが2012年ごろ。それ以来、多少の変動はあったもののおおむねトップを維持しているが、そのSamsungも販売に陰りが見えはじめていて予断を許さない。

2位にはSamsungと争っていたAppleがいたが、2018年になって2四半期連続でHuaweiが2位に躍り出ている。通期の結果は出ていないが、世界出荷台数が2億台を突破して順調だ。Huaweiを含めて中国勢の攻勢は今も続いている。米中の貿易紛争は懸念材料だが、米国でのシェアがほとんどないHuaweiが世界2位に位置するという強さを見せており、Samsungの背後に迫る勢いだ。

とはいえ、スマートフォン市場自体が世界規模でやや弱含みな状況なのは確かだ。何とかしようと、カメラ機能や折りたたみ、全画面といったさまざまな特徴を盛り込もうと各社工夫を凝らしている。そうした中、Xperiaが新技術へのキャッチアップで遅れている感は否めない。

市場を席巻したデュアルカメラへの対応遅れをはじめとして、市場のブームに乗りきれなかったことは元より、それをカバーできるような市場を牽引する新しい技術や機能も打ち出せなかった。

ハイエンド端末に注力して低価格端末から撤退したことも響いた。グローバルメーカーの多くはハイエンドを技術アピール、実際の販売をミドルクラス以下の端末に頼っており、Appleでさえも比較的安価な端末を用意して中国市場などの要望に応えようとしていた。

iPhoneのように、「いつかは欲しい端末」というブランドイメージが作れていなかったXperiaが低価格端末から手を引いたことで、安価な端末からハイエンドにステップアップする新興国ユーザーが離れ、選択肢の増えた先進国でもユーザー層の確保に繋げられなかった。

現行のフラッグシップモデル「Xperia XZ3」

2月下旬に重要イベント、期待に応えられるか

これはスマートフォン市場の変化だけでは片付けられない事態だろう。端末のバリエーションや技術的先進性、そしてデザインの先鋭性でアピールして、市場での存在感をひろく高める方向ではなく、ハイエンド端末のみで勝負を挑んだことで、全体の縮小に繋がってしまった。

日本では、分離プラン導入やMVNOの伸長でミドルレンジ以下の端末の売れ行きが伸びている。グローバル的にも、主力はミドルレンジ以下となるため、こうした領域への進出を考え直す必要があるのではないか。

ソニーのXperiaは、現時点でも世界的に競争力のあるブランド力自体は維持している。そのブランド力を生かす製品開発に期待する声も残っている。今月下旬には、世界最大といわれる携帯通信見本市「モバイル・ワールド・コングレス」(MWC Barcelona 2019)がスペイン・バルセロナで開催され、ソニーもそこで新製品の発表を予定している。新しい価値を携えたXperiaや、現状をくつがえす新戦略は見ることができるのか、ここは正念場かもしれない。

値下げに踏み込むドコモ、対抗姿勢を鮮明にするKDDI、両者の思惑

値下げに踏み込むドコモ、対抗姿勢を鮮明にするKDDI、両者の思惑

2019.02.05

NTTドコモとKDDI(au)のトップが決算にあわせて会見

ドコモ販売台数は昨年同期比47万台減、分離プランが影響?

KDDIはドコモ料金プランに対抗意識、新プランを計画か

NTTドコモが2018年度の第3四半期決算を発表した。売上高を示す営業収益は3兆6,541億円、営業利益は9,020億円で増収増益だった。増収増益を支えたのは、ドコモ光などの光通信サービス収入であり、モバイル通信サービス収入は197億円減となった。

NTTドコモの吉澤和弘社長

同社は2019年度第1四半期(4~6月)に、2~4割の値下げを含む新料金プランの提供を予定している。そのため主力の携帯事業はさらなる減益となる見込みで、今後の戦略に注目が集まっている。決算会見での吉澤和弘社長の発言から、同社の戦略を読み解きたい。

ドコモの第3四半期決算。セグメント別で見るといずれも増収増益となった

「分離プラン」は今後の端末販売数にどう影響?

今期の決算では、携帯電話契約数が前年同期比2%増の7,752万契約となり、解約率は同8ポイント減の0.55%まで下がり、ARPU(1ユーザー当たりの月間平均収入)も同80円増の4,830円と多くの指標で拡大したが、端末販売数自体は597万6,000台と同47万6,000台の減少だった。

しかし、吉澤社長は「落ちているとは思えない」という認識。減少は、「ケータイ補償で端末交換などの数が減ったから」(吉澤社長)だという。とはいえ、今期は端末販売自体を維持したものの、それが継続するかは不透明な状況だ。

その背景にあるのが「分離プラン」だ。端末代金と通信料金を分離し、端末代金を割り引いて通信料金で補填するという料金プランを禁止するというもので、総務省が1月17日に「緊急提言」としてまとめており、従来以上に「完全分離」という形で徹底が求められている。

高まる「値下げ圧力」、総販売数は落ちる見込み

完全分離と合わせて政府から通信料金自体の値下げ圧力が強まったことも影響し、ドコモでは、2019年度第1四半期に新料金プランを発表する予定だ。人によって2~4割の値下げになる規模で、最大4,000億円の減収を見込む。プランの発表は第1四半期早々にも行うが、実際のプラン提供はその後になる、と吉澤社長は説明する。

ユーザーのプラン変更タイミングなどもあって、4,000億円という最大規模になるのは2020年度というのが同社の予測で、開始当初の19年度はそれよりは低くなる見込みだが、いずれにしても大幅な減益に繋がることは間違いない。

それに加え、完全分離によって端末代金への割引が難しくなる。もともと、最近の料金プランは端末代金のサポートという形で通信料金を割り引くプランが一般的だが、こうした手法が否定されるため、「正価で買い取ってもらうのが基本」(同)とする。

現在、ハイエンド端末だと10万円を超える端末もあるが、これに対して値引きがなくなるため、端末販売への影響は大きいと見られる。吉澤社長も「お客さんから見たときに端末の値段は高くなる」「全体としての(端末の)総販売数はある程度落ちるのかと思っている」という認識だ。

購入補助偏重からの転換、中古端末推進には否定的

こうした状況に対して吉澤社長は、docomo withで4万円以下の端末を提供しており、ミドルレンジの端末をさらに拡充するという方策を示す。さらに、買い替えサイクルがさらに延びるとみており、端末を長く使ってもらえるような施策を打ち出し、ドコモユーザーの長期利用を目指す考えだ。

docomo withは400万契約を突破して順調

また、高齢者を中心にスマートフォン移行が進みきっていない点を挙げ、スマホの使い方や便利な利用法などを説明してリテラシーの向上を図って移行をさらに進展させたい考えで、こういった点で、全国のドコモショップの貢献に期待を寄せる。

「フラッグシップの端末はそれなりの値段はするので、アイデアで買いやすくできないか」と吉澤社長。同時に、「まったく端末の購入補助がないというのはありえない」(同)という見解も示し、フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行での端末優遇を想定する。また、発売後1~2年経った端末については「世の中の商慣習に沿う形での値引き」はありえるという認識だ。

「過度な端末補助にはならないだろうし、するつもりもない」とも説明しており、ドコモでは、今後も新しい端末の購入施策について検討を続けていく姿勢が見てとれる。

総務省では、中古端末市場の活性化を目指して施策を打ち出している。しかし、吉澤社長は従来と変わらずドコモとしての中古端末の取り扱いについては否定的だ。基本的には、4万円以下のミドルレンジの端末の取り扱いを増やし、端末販売へのインパクトを抑える方針を示す。

ちなみに、最近話題になっている中国ファーウェイの問題については、ドコモ自身はネットワークで製品を採用しておらず、端末のみを販売している。「政府の動きはしっかりと受け止め、注視をしている。そこに動きがあれば対応する」と吉澤社長。現状は同社の調達ルールに基づいており、LTE対応のスマートフォンなどの端末は販売継続という方針に変更はないとしている。

KDDIはドコモの料金値下げに対抗する構え

こうしたドコモの戦略に対して対抗意識を見せるのがKDDIだ。1月31日の決算会見に登壇したKDDIの高橋誠社長は、「ドコモが(KDDIの料金プランよりも)さらに踏み込んできたら対応していきたい」という考えを示す。

KDDIの高橋誠社長

KDDIは、分離プランとなるピタットプラン・フラットプランを2018年から提供しており、これによって「3,800億円ぐらい還元してきた」(高橋社長)。これによってau通信ARPA(1ユーザー当たりの月間売上)は減少を続けてきたが、2018年度第3四半期には減少幅は同0.7%で下げ止まり、第4四半期には反転する見込み。これは、キャンペーンの影響が一巡し、大容量データの利用者増などが増加した結果だとしている。

auの通信ARPAは第4四半期での反転を見込んでいる

高橋社長は、すでに提供しているピタットプラン・フラットプランで分離プランはカバーしており、ドコモの2~4割値下げするという新料金プランの動向を見守る考え。3,800億円という同社と同等のプランであれば静観の構えだが、これをさらに上回る値下げ幅であれば対抗していく意向だ。

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

2019.01.22

低温加熱式のJTがライバルと直接競合する高温加熱式に参入

専用リフィルも異なる3種類の製品で広範に網を張るプルーム・テック

海外市場でも兆し見えた加熱式たばこ、日本での成功がより重要に

日本たばこ産業(JT)が加熱式たばこの新製品、「プルーム・テック・プラス (Ploom TECH+)」「プルーム・エス (Ploom S)」の2製品を発表した。シェアトップのiQOSを追撃したいJTだが、ライバルに先行を許している今、どのような戦略を描いているのか。

JTが発表した加熱式たばこの新製品、プルーム・テック・プラス(左)とプルーム・エス

新たに高温加熱式に参入、ライバルと直接競合へ

新製品は、従来のプルーム・テックを改良したプルーム・テック・プラスと、シェアを争う「iQOS」(フィリップ・モリス)や「glo」(BAT)と同様の加熱方式を採用したプルーム・エスの2つ。iQOSとgloが高温加熱式であるのに対し、もともとプルーム・テックは低温加熱式と呼ばれる方式をとっていた。30度という低温で発生させた蒸気をたばこカプセルを通して吸うため、においが少ない一方、吸いごたえに乏しいともいわれていた。

低温加熱式で吸いごたえを追加したプルーム・テック・プラスと、高温加熱式のシェア奪取を狙ったプルーム・エスを投入

そこで、たばこ葉を増やすなどして吸いごたえを高めたのがプルーム・テック・プラスだ。その結果、本体が太く大きくなり、加熱温度も40度と少しだけ高くなったが、においの少なさはそのままに、吸いごたえをアップさせたことをアピールする。

プルーム・エスは高温加熱式を採用し、iQOSやgloと同様の吸いごたえを目指した。こうした高温加熱式は、たばこ葉を高温で蒸すことで蒸気を発生させるため、従来のたばことも異なる独特のにおいを発生させる。

JT副社長・たばこ事業本部長の岩井睦雄氏は、この独特の「におい」のせいでたばこの味わいに違和感を覚える喫煙者が多かったと話す。そのため、「満足度を高めるのは味わい」として、このにおいの低減に取り組んだという。

プルーム・エスでは、たばこ葉を熱する温度を200度に抑えた。これはiQOSの300度、gloの240度に比べて低く、これによって特有のにおいを抑えたという。

吸いごたえや加熱方式が異なる3製品をそろえる意味

JTは新製品投入後も既存製品の取り扱いを継続する。つまり、プルーム・テックのラインアップは3種類となる。iQOSも複数の製品があるが、こちらは機能の違いによって3種類に分けられており、プルーム・テックはそれに対して、吸いごたえや加熱方式によって異なる製品を用意したかっこうだ。

3つの製品を投入することで、選択肢を提供する

岩井副社長は「温度で選ぶ時代」と表現し、低温のプルーム・テック/プルーム・テック・プラスと、高温のプルーム・エスという選択肢によって「好みや生活環境、ライフステージの変化に合わせて、いつでも最適な選択ができる」ことを狙ったとしている。

たばこ事業本部長の岩井睦雄副社長

たばこ部分に互換性がないという問題はありそうだが、現在でも、においの少なさを重視して自宅ではプルーム・テックを吸いつつ、味わいを求めて喫煙所では高温加熱式の加熱式たばこ、と双方を使い分けている人が少なくない。そうしたユーザーに対して、「それぞれで求められるニーズを高いレベルで満たし、両方を提供するのが顧客満足度の最大化に繋がる」(岩井副社長)と判断し、製品開発に取り組んだ。

加熱式たばこ最大市場の日本から、海外市場を見据える

岩井副社長は新製品でiQOSからシェアを奪取し、「中長期的にはRRPカテゴリでもシェアナンバーワンを目指す」と意気込みを語る。

「RRP」とは「リスク低減製品」のこと。「喫煙にともなう健康へのリスクを低減させる可能性がある」と位置づけられる製品だ。

日本では法律上、液体にニコチンを含ませて販売することはできない。電子たばこは、このニコチンを含む液体を蒸気化させるため日本で販売できず、結果、加熱式たばこが普及したという背景もある。加熱式たばこの市場規模では日本が世界最大だが、iQOSが韓国や欧州の一部で販売を強化しており、グローバルでの市場拡大を狙っている。

JTは海外ではlogicブランドで電子たばこを販売している。海外での電子たばこ事業はありつつも、まずは製品の国内ラインナップを拡大して加熱式たばこのシェア拡大を図るとともに、紙巻きたばこを含むすべての製品の価値を向上させることで、市場の拡大に繋げたい考えだ。「日本での成功がグローバルでの成功につながる」と岩井副社長は強調する。

紙巻きたばことRRP製品の双方を拡充する
日本では加熱式、海外では電子たばこを提供中

紙巻きからの移行、数年以内に大きな山場

2018年は加熱式たばこが踊り場を迎えたと言われた。日本ではここ数年で急激に加熱式たばこの普及が進んだが、市場シェアが20%を越えたところでユーザー需要は一巡したとみられる。

ただ、プルーム・テックの全国販売の開始や、他社では直近のiQOSの新モデル投入などを経て、その動向から、需要の伸びは「足踏みしていたが、止まったわけではない」(岩井副社長)との認識にあるという。加えて、紙巻きたばこによる健康懸念の高まりや、オリンピックによる喫煙場所の規制といった外的要因もあり、「必ずシガレット(紙巻きたばこ)からRRPに移ってくる」(同)という見通しだ。

課題は、紙巻きたばことは異なり、デバイスを購入しなければならないというハードルの高さだ。一度購入した後、他社のデバイスへ移行しづらいという難題につながる。

他社の後追いとなった高温加熱式では、「差別化のポイントをしっかりと伝えていく」ことで買い替えを促進する。JTが主導する低温加熱式では、「若干下方修正したが、手応えも感じている」と岩井副社長は説明する。今後は製品の良さをアピールするために、喫煙者に直接説明をする営業スタイルを重視していく方針をとるそうだ。

JTは日本市場で紙巻き、加熱式のいずれでもシェアトップを目指す

JTは1社で複数の選択肢の製品を用意することで、消費者のニーズの受け皿を最大化しようと目論んでいる。この先にグローバルで展開する上で、ユーザーからどのような示唆が得られるのかを検証していき、海外での加熱式たばこの市場拡大にも乗り出していきたいと考えているようだ。

加熱式たばこは間もなく、国内市場シェアだけでなく、海外市場の争奪戦の行方も左右する正念場を迎える。