“顔採用”をはじめた化粧品メーカー「伊勢半」の真意に迫る

“顔採用”をはじめた化粧品メーカー「伊勢半」の真意に迫る

2019.04.01

2020年3月卒業見込の学生を対象に“顔採用”をはじめた伊勢半

顔採用と言えど、容姿やメイクの技術で判断するわけではない

背景には「ブランドメッセージ」と「画一的な就活スタイルへの疑問」

――顔採用、はじめます。

1825年創業の老舗化粧品メーカー「伊勢半」が、突然こんなことを言い出した。

「顔採用」と聞くと、就職活動において「容姿の良さ」を評価の対象とする採用を思い浮かべる人が多いだろう。化粧品メーカーとはいえ、そんな採用方法を用いて大丈夫なのだろうか。

また、なぜそんな採用を始めたのか、理由も気になるところだ。美男美女を集めて社内アイドルユニット「ISH48」でも結成するのだろうか。

伊勢半 総務本部 人事労務部 部長の隅田靖氏と伊勢半 開発本部 デジタルマーケティング・広報宣伝部 課長の松本智子氏に話を聞いた。

画一的な就活スタイルでは個性をアピールしにくい

松本氏「我々が打ち出した顔採用は、容姿で判断するものでもなければ、メイクの技術などで判断するものでもありません」

どうやら伊勢半が実施するのは、世間でイメージされるような顔採用とは異なる採用方法のようだ。つまり「ISH48」の結成が目的だったわけではない。では、いったいどのような採用方法なのだろうか。

伊勢半 開発本部 デジタルマーケティング・広報宣伝部 課長の松本智子氏

隅田氏「顔採用では、まず『私らしさ』を表現している写真を最大3枚まで提出していただきます。最低1枚は顔がはっきりわかるものでなければなりません。それとともに、200文字程度で自分らしさをアピールしていただきます」

その内容を元に選考が行われ、通過者は会社説明会に参加する。そのあとは、エントリーシート(ES)による書類選考、二次選考、SPI試験、三次選考、最終選考と、一般的な選考フローが続く。特設サイトから応募する方法に加えて、インスタグラムからの応募も可能だ。なお、採用対象の職種は商品企画職とデジタルマーケティング・広報宣伝職の2つである。

伊勢半 総務本部 人事労務部 部長の隅田靖氏

これだけ見ると、そこまで特異な採用フローではないように感じる。他社の新卒採用を見ると、リアル脱出ゲームを導入したり、ゲームのスキルを評価したりと、一風変わった採用方法を用いる企業は少なくない。「顔採用」という言葉も、すでに東急エージェンシーが2016年卒の学生を対象にした採用で使っている。そのときは、WEBカメラで分析した応募者の顔の特徴に応じて、「面接時間を5分延長」「ESの提出を1週間延長」といった特典を付与するというものだった。

隅田氏「我々は、何も取って付けたような取り組みをしようと考えているわけではありません。型にはまらずに、自分らしさをしっかりと表現できるクリエイティブな人材を募集したいと考えて、今回の顔採用を実施いたしました。商品企画職とデジタルマーケティング・広報宣伝職という2つの部門では、個性的で自由な発想が必要だと認識しています。しかし、昨今の学生の就職活動では、スーツや髪型、メイクから表情まで、画一的なものになりがち。やはり個性の表現が弱くなってしまうのです」

松本氏「伊勢半は190年以上の歴史を持つ化粧品メーカーです。顔採用という表現を使いましたが、大事なのはメイクの技術などではなく、そこに込められた想いや自分らしさの表現。すっぴんでも男性でも構いません」

自由な発想で表現できる学生を採用するために、顔採用という手法を選んだ伊勢半。たしかに、全員同じ黒のスーツで似たようなヘアースタイル、そして同じようなメイクをすることが多い現在の新卒採用の環境では、自分の個性を最大限にアピールできないのかもしれない。

隅田氏「やはり、身なりがきちんとしていると、思い切った自分を出しにくいという影響はあるでしょうね。例えば社会人になってからも、ネクタイをしているかしていないかで、気持ちが切り替わることがあるようなイメージです。ただ、【自由な服装で来てください】と案内に1行書かれているだけでは、『自分だけ私服かもしれない』と不安を抱く学生も多いはず。なので、こちらがいかに真剣かを伝えることで、自分らしい格好で参加しやすい環境を作ることができるのです」

松本氏「実際に学生の声を聞いたところ、就職活動の服装について不自由を感じているという意見が多数ありました。今回の取り組みがきっかけとなって、自己を最大限アピールするために、自分らしい格好で面接に臨めるような就活の態度変容が起きればいいと思っています」

すでに「服装は問わない」と謳っている採用説明会は多い。だが、学生側からすると、「そんなこと言ったって、どうせみんなスーツで来るんでしょ」という疑心暗鬼が生まれてしまう。そこで、伊勢半は今回「顔採用をする」と大々的に宣言したわけだ。

ただ単に突飛な採用方法を導入しているのではなく、伊勢半の顔採用には、画一的な就活スタイルを打破し、学生が自分らしさをアピールできるよう、願いが込められていたのだ。

伊勢半に流れる“私らしさを、愛する”社風

また、今回の顔採用のキーワードでもある「自分らしさの表現」は、同社が展開する『KISSME』のブランドメッセージにも関連している。

松本氏「伊勢半のコーポレートブランドである『KISSME』では、『私らしさを、愛せる人へ。』というメッセージを掲げています。それを伝える活動として2018年には『あるべきってないべき』をコンセプトとしたプロジェクトを実施しました。『若いから~すべき』『女性だから~すべき』といった年齢や性別による『あるべき論』って、そもそもないべきだよねというメッセージを伝えるためのイベントです。今回はそれに続く第2弾のプロジェクトとして、顔採用という取り組みを実施しました」

2018年に実施した『KISSME』プロジェクトの第1弾の様子

2018年からスタートした『KISSME』プロジェクト。第一弾の『あるべきってないべき』では、渋谷109前で106名の女性によるキスアートを展示した。

松本氏「なので、採用活動に限らず、引き続きこのメッセージは発信していきますし、より多くの人が自分らしさを愛せるように、化粧品メーカーとしてこれからも応援していきたいですね」

隅田氏「今回は顔採用という形を取りましたが、自分らしさを表現することは我々のエッセンスと言いますか、コアの部分でもあります。なので、そこは一貫した選考基準として持ちつつ、自分らしい格好で面接に来てくださいと発信していくつもりです」

とはいえ、“顔採用”という言葉自体にネガティブなイメージを持つ人もいるだろう。社内で反対の声はなかったのだろうか。

松本氏「ほとんど反対はありませんでした。コンセプトと言いますか、企画自体はすぐに合意が取れ、コピーの部分では少し心配の声も上がりましたが、ちゃんと趣旨を説明したらすんなり決まりましたね」

隅田氏「そうですね。就活メイクが一辺倒になりつつある状況に対して、自分らしさを出すような就活が一般的になるように取り組んでいきたいという想いを伝えたら、そこまで時間はかかりませんでした。会社としても、自分らしさの表現を後押ししていく必要があることを、多くの社員が感じていたのも大きかったでしょう」

伊勢半社内では、ブランドメッセージが社員までしっかり浸透している。だからこそ、一歩間違えればネガティブなイメージを与えかねない“顔採用”というインパクトのあるメッセージについても、納得してもらえたのだろう。

プレエントリーが昨年の2倍に! 顔採用を通じて共感が広がる

2019年3月1日に掲載された新聞広告

面接では自分らしさを表現してほしい。そして、ブランドとしてもそのような人を応援したい。そんな想いのもとで伊勢半が実施した顔採用。2019年3月1日に日本経済新聞朝刊に一面広告を出すと、SNS上でも大きな反響を呼んだ。

松本氏「具体的な数字はお伝えできませんが、想像以上のご応募がありました。どこまで行くんだろうと思うほどの伸びでしたね」

隅田氏「募集開始の前日は、本当に応募があるのか不安でいっぱいでしたが、多くのご応募をいただきました。また、それは顔採用に限らず、ほかの募集職種についても同様です。今回、新卒採用で募集したほかの職種について、プレエントリー数をトータルすると、昨年の2倍まで増加しました。学生さんのなかにも画一的な就職活動に疑問を持っている人がいるという認識はしていたので、共感していただけたのかもしれません」

正確な因果関係はわからないが、おそらく同社の顔採用という取り組みから、「自由な発想が求められる会社である」と好意的に受け取った学生が多かったのだろう。今後、同様の採用方法がほかの職種や中途採用などに広がっていく予定はあるのだろうか。

隅田氏「今回の結果を見てみないと、なんとも言えませんね。ただ、いまは、我々社員も変わっていかなければいけない状況です。遊び心を大事にしながら、型にはまらず新しいものを取り入れて、自由な発想で仕事をしていけるように取り組んでいる最中。そこで一緒にやっていく仲間を募るのが、採用というものですよね。なので、顔採用という形をとるかどうかはわかりませんが、我々が大事にしているハートの部分は引き続き伝えていきたいと考えています」

『KISSME』ブランドの主力商品の1つである『ヒロインメイク』は、新卒の社員が考案して、自ら社長プレゼンまで持っていき、商品化を実現したものだという。そのように新しい発想を尊重する同社には、どんな同志が加わり、そしてどんな活躍をするのだろうか。もしかすると数年後、「顔採用で伊勢半に入社した新人の企画した商品」が、一大ブームを巻き起こしているかもしれない。

目指すはeスポーツの甲子園! テレ東と電通が高校生対象の『STAGE:0』を開催

目指すはeスポーツの甲子園! テレ東と電通が高校生対象の『STAGE:0』を開催

2019.03.28

テレ東と電通は高校対抗のeスポーツ大会『STAGE:0』を開催すると発表

採用タイトルは『クラロワ』『フォートナイト』『LoL』の3つ

「アンガールズ」田中卓志、「アルコ&ピース」が大会を盛り上げる

テレビ東京と電通は、高校対抗のeスポーツ大会『Coca-Cola STAGE:0 eSPORTS High-School Championship 2019(以下、STAGE:0)』を開催することを発表した。

3月28日から大会公式サイトにてエントリーを開始し、5月に一部オンライン予選、6~7月に北海道/東北/関東/関西/中部/中国・四国/九州の7ブロックでオフライン予選を実施する。そして、8月14日と15日に舞浜アンフィシアターで決勝大会を開催する流れだ。

STAGE:0のロゴ。ディスプレイと王冠をイメージしたという

今回の大会の参加対象者は、日本国内に在住する、2001年4月2日~2004年4月1日生まれの高校生・定時制高校生・高等専門学校生・通信高校生。同一の学校生徒から組成されたチームで参加することが条件だ。

採用タイトルは『クラッシュ・ロワイヤル』『フォートナイト』『リーグ・オブ・レジェンド』の3つ。テレビ東京 アナウンサーの田口尚平さんは「世界で活躍できる場があり、高校生の人気タイトルであること、そしてゲームパブリッシャー公認のタイトルを選びました」と、採用タイトルを発表した。

テレビ東京 アナウンサーの田口尚平さん
今回の採用タイトル

大会トップスポンサーに「日本コカ・コーラ」、ゴールドスポンサーに「Indeed Japan」「ロート製薬」、プロジェクトパートナーに「サードウェーブ」、後援に「日本eスポーツ連合(JeSU)」「オンラインゲーム・eスポーツ議員連盟」「NIKKEI」が就任。プロジェクトパートナーのサードウェーブは、「2019年度 eスポーツ部発足支援プログラム」として、3年間継続レンタルを条件に、「GALLERIA GAMEMASTER デスクトップPC」3台と「GALLERIA GAMEMASTER ノートPC」2台を、2年間無償で貸し出す。

また、大会アンバサダーにはテレビ東京で放送されている「有吉ぃぃeeeee!」に出演中の「アンガールズ」田中卓志さん、スペシャルサポーターには、同じくテレビ東京で放送されている「勇者ああああ」に出演している「アルコ&ピース」の平子祐希さん、酒井健太さんが就任。なお、発表会ではアンバサダーの田中さんに加えて、テレビ東京のアナウンサー鷲見玲奈さんと角谷暁子さんがゲストとして登場した。

「有吉ぃぃeeeee!」以外でゲームの仕事をすることに対して「有吉さんが異常に嫌がるんですよ」と田中さん。「今回もまだこの仕事のことは言ってない。事後報告しないと」と話していた

3月24日には、毎日新聞が主催した「全国高校eスポーツ選手権」が終わったばかり。しかし、年に1度きりの大会では、高校生が部活の成果を発揮するには物足りない気がしていたところだ。eスポーツ部を発足させた高校生にとっても、参加できる大会が増えることはうれしいことだろう。

また、テレビ東京にて、STAGE:0の特別番組の放送も予定されている。どのような内容になるかは検討中とのことだが、テレビ東京のもつ企画力や発信力で、新しいヒーローの活躍ぶりが日本中に波及することを期待したい。

「社内ゲーセン」は会社の聖杯? ディライトワークスとミカドの挑戦

「社内ゲーセン」は会社の聖杯? ディライトワークスとミカドの挑戦

2019.03.28

ディライトワークスは社内にゲームセンターを設置した

タイトル選定などは「ゲーセンミカド」が協力

さまざまな時代のおもしろさに触れることで創作活動に役立てる

スマホゲーム『Fate/Grand Order(FGO)』などを運営するディライトワークスは3月27日、“社内ゲームセンター”を新設したことを発表した。同施設のオープンにあたって、東京都内で2店舗のゲームセンターを運営する「ゲーセンミカド」に協力を依頼したという。

「DELiGHTWORKS × ゲーセンミカド」と名付けられたその社内ゲームセンターは、どのような意図のもとでオープンしたのだろうか。

きっかけはFGOACをいちユーザーとして遊ぶため

ゲーム開発を事業とするディライトワークスとはいえ、オフィスにゲームセンターを作るという発想はなかなか出てこない気がする。どのような流れで、社内ゲームセンターを設置することになったのだろう。

ディライトワークス DELiGHTWORKS SWALLOWTAIL Studiosでスタジオヘッドを務める塩川洋介氏は「いくつか理由はあるのですが、きっかけは弊社の開発したアーケードゲーム『Fate/Grand Order Arcade(FGOAC)』です。もともと弊社では自分たちで作ったゲームを、いちユーザーとして熱心に遊び、それを開発にフィードバックしていくことを日常的に行っています。それはFGOACも同様。なので、会社のなかにお客さまと同じように遊べるよう環境を作りたいと考えていました」と、社内ゲームセンターを設置したきっかけを述べた。

ディライトワークス DELiGHTWORKS SWALLOWTAIL Studiosでスタジオヘッドを務める塩川洋介氏

しかし、理由はそれだけではない。

「弊社では、2018年の3月に、ボードゲームカフェを社内にオープンさせました。全国でボードゲームカフェを展開している『JELLY JELLY CAFE』さんの協力のもとで開設した、250種類以上のボードゲームが遊べるという本格的なものです。どうせやるなら本物のボードゲームカフェを作ろうと、社内にオープンしましたのですが、ボードゲームカフェを作ったことで、いい影響が数多くでてきました」(塩川氏)

そのいい影響として、ボードゲームカフェがきっかけで業界交流会や業界イベントを開催したり、自社ボードゲームコンテンツを開発したりと、普段の利用から発展して、さまざまな事業へと広がっていったのだという。

「そこで、どうせFGOACを設置するのであれば、本格的なゲームセンターを開設してみようではないかと考えて、今回のゲーセンミカドさんの協力を得て、社内ゲームセンターの設置に至りました」(塩川氏)

本格的な社内ゲームセンターを作れば、ボードゲームカフェで得られたようないい影響があるのではないか。塩川氏は、そう考えたことが社内ゲームセンター設置のきっかけになったと話す。

続いて話は「パートナーの選定理由」に移り、まずは開設に協力したゲーセンミカド オーナー兼店長の池田稔氏が「ゲームセンターとひとことに言ってもさまざまなタイプがありますが、私の運営している『ゲーセンミカド』は、自分たちの企画力を活かした取り組みや大会運営、それらの配信、珍しいゲーム機などで勝負している、いわば逆張りのゲームセンターです」と、ゲーセンミカドを紹介。「ゲーセンミカド」は高田馬場と池袋で計2店舗あり、高田馬場店は今年で10周年を迎えるそうだ。企画のなかには、なんと「ゲーセンで結婚式を挙げる」という取り組みもあったとか。

ゲーセンミカド オーナー兼店長の池田稔氏

そんな枠にとらわれないゲームセンターだからこそ、塩川氏は、今回のパートナー相手に「ゲーセンミカド」を選んだのだという。

「社内にゲームセンターを設置すること自体、おそらく前例のないことだと思いますのが、ゲーセンミカドさんであれば、柔軟かつ本気でゲームセンターを作ることを一緒に考えてくださるだろうと、ご協力をお願いいたしました」(塩川氏)

タイトル選定で大切にしたのは“ライブ感”

そうして、本当に作られた社内ゲームセンター。設置されているゲームタイトルはさまざまで、ディライトワークスが手がけたFGOACはもちろん、『AC/DC』というピンボールや、アナログゲームの『国盗り合戦』まで幅広い。ゲームタイトルのラインアップ選定は、ゲーセンミカドが行ったというが、どのような点を意識したのだろうか。

「大切にしたのは“ライブ感”です。ゲームセンターにはコミュニティがあって、仲間がいるからこそ遊びたくなるというもの。自宅で1人でビールを飲むのもいいですが、居酒屋で友人と飲むビールの味はまた違いますよね。ゲームセンターもそれと同じです。ゲーム好きが集まっている場所だからこそ、100円を使いたくなるのです。なので、そんな“ライブ感”を意識しましたね」(池田氏)

なお、オープン時のラインアップは次の通りだ。「限られたスペースで1970年代から2000年代までを凝縮した」と話す池田氏。それぞれのタイトルは定期的に見直しをしていく予定だという。

ピンボールゲームの『IRON MAN PRO』(写真左)と『AC/DC』(写真右)
アナログの『国盗り合戦』
2人並んで対戦する『ストリートファイターII』
『スペースハリヤー』の筐体。法律が変わったために、現在では本機のような激しい動きのある筐体は作れないという
ディライトワークスが展開するFGOAC
今回のラインアップのなかで、塩川氏が注目しているタイトルの『MELTY BLOOD Actress Again Current Code』(写真右)
『ストリートファイターII』で対戦する池田氏と塩川氏

ボドゲカフェのような交流や創作活動のきっかけに

いちユーザーとしてFGOACに触れるところから、本格的なゲーセン作りに発展した今回の社内ゲームセンター。この取り組みを通じて両者が期待していることは何だろうか。

「社内ゲームセンターは、ディライトワークス社員を対象にした運営ですが、自社タイトルはお客さまと同じ環境でやるべきだと考えているので、FGOACはお金を払って遊んでもらいます。それ以外のゲームはフリープレイ。ただ、ゆくゆくは社外を含めたイベントを開催して、ボードゲームカフェのような好循環を生み出せればと思います。私もゲームセンターのよさはユーザー同士が集まる“ライブ感”だと思いますので、そのような企画も考えていきたいですね」(塩川氏)

また、ゲーセンミカド側から期待したいこととして池田氏は、クリエイターがアーケードゲームからインスピレーションを得ることを挙げた。

「限られた制約のなかで100円1枚でも多く使ってもらえるように作られたゲームたちに触れることで、ディライトワークスのクリエイターさんも感じることがあるはずです。そこから、新しいものが生まれること、特にディライトワークスさんがアーケードゲームを再びリリースしてくださるような未来を想像すると、期待せずにはいられませんね。今後も企画や運営面では協力していきたいと思います」(池田氏)

クリエイターに与えるインスピレーションについては、塩川氏も同様のことを考えているという。

「これまで弊社は、ジャンル、デバイス問わずゲームを開発をしてきました。アーケードゲームは自由度が高いので、多くの社員に触ってもらうことで新しい刺激があるはず。コンテンツの開発にも結び付けていければと思います」(塩川氏)

なお、ゲーセンミカドには、マンガ『ハイスコアガール』などを手がけた押切蓮介氏が「ミカドちゃん」というイメージキャラクターを制作している。今回の「DELiGHTWORKS × ゲーセンミカド」オープンを記念して、ディライトワークスコラボデザインを描き下ろしてもらった。

ゲーセンミカドのイメージキャラクター・ミカドちゃん
今回のために描き下ろされたデザインのミカドちゃん。「帝」の文字が書かれているところが「DW帝」に変更されている

ゲーム開発の会社とはいえ、「社内ゲームセンター」の設置は、思い切った取り組みであると言えよう。だが、枠にとらわれない遊び心があるからこそ、斬新でおもしろい発想は生まれてくるのではないだろうか。

それは、何もゲーム開発会社に限らないはず。ピリピリした雰囲気や、真面目な発言だけでは、なかなか新しいアイデアは生まれにくい。社内ゲームセンターとまでは言わないまでも、せめてちょっとした息抜きができるような場所は、社内にあったほうがいいだろう。