“世界一”の全画面スマートフォン、「Find X」の日本発売が決まった。

画面占有率93.8%、正面部のほぼすべてがディスプレイというインパクトあるデザインが印象的だ。処理能力を決めるSoC(システムオンチップ)はクアルコムの最上位モデルであるスナップドラゴン845。8GBのメモリと256GBのストレージを積んだハイエンド機種となる。

Find Xの日本投入、その背後に世界スマートフォン市場の変化と中国大手スマホメーカーOPPOの野心が透けて見える。

世界4位のスマホメーカー・OPPO

OPPOの日本市場参入は今春から。まだ、ニューフェイスだけにご存知の方は少ないかもしれない。だが、中国や東南アジアに旅行経験がある人ならば、一度はOPPOの広告を目にしたことがあるのではないか。空港や繁華街など目立つ場所に大々的な広告を展開している。実はOPPO、アジアのシェアはナンバーワンという大企業だ(2017年出荷台数ベース、Counterpoint調べ)。

OPPOは中国情報家電メーカー大手のBBK(歩歩高電子)のAV部門がスピンアウトし、2004年に誕生した。iPhoneと張り合うようなハイエンドでも、価格勝負のローエンドでもなく、コストパフォーマンスのバランスで勝負のミドルレンジを開拓したこと。「カメラフォン」を名乗りカメラ、特にセルフィー(自撮り)の強化と高速充電という機能面。大物芸能人を大量起用した宣伝戦略。中国の地方、農村部まで抑えた路面店展開などの戦略で着実に成長を続けた。2016年にはOPPO R9、OPPO R9sが大ヒット。中国では「国民携帯」と呼ばれるほどの人気機種となり、一気にトップメーカーの仲間入りを果たした。

鄧宇辰・OPPO Japan株式会社代表取締役

さらに海外展開も強化。アジアや欧州など世界30カ国以上で事業を展開するグローバル企業へと成長している。2017年には世界スマートフォン市場で4位の座を保持している(出荷台数ベース、IDC調べ)。

世界のスマートフォン企業といえば、米国のアップル、韓国のサムスンが知られているが、他の上位メーカーはほぼすべて中国勢だ。ファーウェイ、OPPO、シャオミ、VIVO、ZTEなどの企業がひしめきあう。ただし、通信機器メーカーとして1990年代からグローバル企業として活躍してきたファーウェイをのぞいて、先進国での展開には消極的な企業が多い。市場が成熟した先進国ではなく、大きな伸びが見込める東南アジアや南アジアなどの途上国市場を中心に進出してきた。

この状況に異変が生じている。背景にあるのが世界スマートフォン市場の構造転換だ。

スマートフォンというジャンルを切り開いたiPhoneが登場したのが2007年。それから約10年間の時代は世界にスマートフォンが普及し、また年々革新的な機種が登場しては買い換えが促されるという、勃興期ならではの急成長の時代だった。ところが2017年の世界スマートフォン出荷台数は前年比0.1ポイントの減少となった(IDC調べ)。誕生以来10年間、一貫して成長を続けてきたスマートフォン市場が、ついに天井を打つ頃合いにさしかかったことを意味している。

成熟市場でも成長を続けるためには、今まで手を付けていなかったマーケットに進出し、ライバル企業からシェアを奪うしかない。かくして中国勢も先進国市場でシェアを“奪う”必要性に迫られた。

「あなた色に染まります」 OPPOの日本戦略

こうしてOPPOは2018年、日本市場に乗り込んできた。2月に「OPPO R11s」を発売。8月に「P15 Neo」、9月に「R15 Pro」。そしてこの11月下旬にFind Xと、日本進出から10カ月間で4機種を矢継ぎ早に投入するという積極的な動きを見せている。

筆者はそのすべての発表会に出席しているが、印象的なのは「徹底的にローカリゼーションを進める」(鄧宇辰・OPPO Japan株式会社代表取締役)との姿勢が貫かれている点だ。

最初に投入されたR11sは国民携帯R9の後継機としてヒットした人気機種だが、発表会で鄧氏は「2018年、2019年の2年間をかけて日本市場のニーズを理解していく」と控えめな発言に終始した。

次回発表会ではおサイフケータイと防水機能という日本向け機能を搭載したR15 Pro、2万円代という低価格が目玉のR15 Neoが紹介された。日本市場を研究した結果、「おサイフケータイと防水機能がある携帯」と「3万円以下で購入できる携帯」に訴求力があると分かったため、この2機種を投入したという。それでも「まだ日本のユーザーニーズを集め切れていない。今後も研究して日本の顧客の要望に応えていく」と低姿勢を貫いた。

また現時点ではすべてSIMフリー機としての提供だが、NTTドコモ、au、ソフトバンクの三大携帯キャリアに採用されるよう交渉を続けると明言。そのために「キャリアの要望があれば、それに応えていく」と強調した。消費者ニーズにもキャリアの要望にも全力で答えていくと再三にわたり表明し、「あなた色に染まります」と猛烈にアピールしている。

売れるかは関係ない?技術力誇示のフラッグシップ機投入

そうした中、ついにフラッグシップ機であるFind Xの日本発売が決まったが、「日本市場のニーズをくみとります」とひたすら低姿勢だったOPPOとは姿勢が違うのが面白い。

画面占有比の説明(OPPO Japan プロダクトマネージャー 中川裕也氏)

Find Xは今年6月、フランス・ルーブル美術館で発表会が行われ、その後中国と欧州で同時展開している。ミドルレンジで戦ってきたOPPOがハイエンドに食い込む戦略機だ。画面占有率93.8%の全画面ディスプレイが印象的だが、中国テックメディア・雷科技によると世界一を誇るという。最近ありがちなノッチ(切り欠き)もない。カメラは本体内部に収納されており、カメラ機能が必要な場面になると、本体上部がスライドしてカメラが露出する仕組みだ。

スライド機構の説明 (OPPO Japan プロダクトマネージャー 中川裕也氏)

全画面ディスプレイとスライド機構が印象的だが、冒頭で紹介したとおり基本スペックも充実、アンドロイド携帯ではトップクラスの性能を誇る。カメラと並んでOPPOの売りとなる高速充電システムは新システムの「Super VOOC」が採用され、35分で充電が完了するという。

このスペックだけに値段も相当なものだ。市場想定価格は11万1880円(税別)。消費税込みで12万円を超える。日本ではハイエンド機のほとんどは割引き、分割払いのあるキャリア契約で販売されている。OPPOによると、SIMフリー市場の端末はほとんどが低価格機で、5万円を超える機種は3%程度しかないという。ましてや10万円を超える機種ではユーザーは皆無に近い。

それでも投入した理由は、鄧氏の以下の言葉に集約される。

「OPPOは安いだけのブランドではありません。日本市場でブランドを確立するには、ハイエンドモデルも投入していかなければなりません。日本のお客様にどのくらい手に取っていただけるかはわかりませんが、それでもOPPOが目指す「アートとテクノロジーの融合」をお伝えしたいと考えています」

今までひたすら日本のニーズをくみ上げようとしてきたOPPOだが、Find Xでは「私たちの実力を理解して欲しい」と訴えてきているわけだ。実際、Find XはOPPOの技術水準を示す存在であり、同時に今後のスマートフォン・トレンドをいち早く捉えた先駆的機体でもある。気軽に購入できる価格帯ではないが、興味のある方はぜひ一度店頭で触ってみて欲しい。11月上旬以降、ビッグカメラ、ヨドバシカメラ、ヤマダ電機、ノジマの家電量販店で販売される。