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鈴木恭子

Googleのお仕事。【第1回】地域のお店の手助けを、やりがいをサポートに見出すマーケター

Googleのお仕事。【第1回】地域のお店の手助けを、やりがいをサポートに見出すマーケター

2018.04.02

特集「Googleのお仕事。」の第1回は、グーグル日本法人でマーケティングマネージャーを務める森島 知恵氏に話を聞いた。森島氏の担当は、グーグルの根幹とも言うべき広告ソリューションのマーケティング担当者だ。

【特集】Googleのお仕事。

スマートフォンを通して、多くのユーザーが Google のサービスを利用している。Google 検索はもちろん、Google マップや Gmail、果ては YouTube とさまざまな Google 製品が人々の生活に浸透しているはずだ。一方で、その製品を提供するグーグルの正体を知らぬ人も多い。
アメリカのネット企業は日本で働いていない……なんてことはなく、もちろんさまざまなグーグル社員が、さまざまな職種で六本木ヒルズに居を構える日本法人で働いている。この特集では、その彼ら、彼女らが日本法人でどんな仕事を、どういうモチベーションで、どうやってこなしているのか、問うた。

Google 検索や YouTube で広告を見た記憶があるという人は少なくないはずだ。これらの広告で目につくのは、テレビCMなどで目にする大手企業のもの、というイメージもあるかもしれない。だが、森島氏が注力するのは、SMBと言われる中堅小規模ビジネスの領域だ。

Google の広告は、大企業に限ったものではなく、個人事業主が低い単価から始められる。「そのことを知らない方が(業務を通して)多いことが分かった」と話す森島氏が、どのようにその壁を乗り越えようとしているのか、語ってもらった。

グーグル マーケティングマネージャー 森島 知恵氏

SMBの成長を支えるグーグル

―― グーグルに入社した経緯を教えてください

森島氏 私が最初に入社したのは、「グーグルのアジア太平洋地域統括(以下、グーグルAPAC)です。当時は家族の転勤でシンガポールに住んでいました。そこで、ビジネススクール時代の友人に誘われたのがきっかけです。

グーグルAPACでは、主に大規模企業を対象にしたB2Bマーケティングを担当しました。グーグル入社以前は約10年間コンサルティングファームで働いていたので、少しはその経験が生かされたと思います。その後、家族の転勤に伴って日本に帰国。それに合わせてグーグル日本法人に転籍しました。グーグルには通算5年勤務しています。

―― 現在の仕事を教えてください

森島氏 主に中堅小規模ビジネス(以下、SMB)の御客様を中心に、広告戦略を支援しています。具体的には、「Google AdWords」「Google マイビジネス」「YouTube(動画広告)」といったサービスを利用していただき、ビジネスの成長に役立ててもらっています。

―― グーグルにとってSMB向けのビジネスはどのような位置づけなのでしょうか

森島氏 グーグルのデジタル広告のビジネスはは、SMB向けビジネスから始まったとも言えます。「誰でも利用できるサービスを多くのSMBの御客様に利用していただいたことで、グーグルのビジネスも大きく成長しました。SMB向けビジネスが、グーグルの重要なビジネスの一つといっても過言ではありません。

よくグーグルの広告は、「大規模企業しか利用できないような、出稿料が高いサービスなのではないか」「大勢の"マス"に向けた広告しか配信していないのではないか」と思われがちなのですが、それは誤解です。実は少額で誰でも利用を始められます。

―― SMBにとってグーグルは、「外資系企業で、ドライなビジネスをしている企業」という印象かもしれません。そうした印象を持つお客様に、どのようにアプローチをしていますか

森島氏 まずは、グーグルが提供するサービス内容を知っていただくことからはじめています。例えば、「マスに向けた広告やメッセージしか配信できない」と思い込まれているお客様には、商圏やターゲットセグメントを絞ってメッセージを提供できることを伝えています。

そもそも、グーグルの検索をあまり活用されていないお客様は、すべてのユーザーに同じ広告が表示されていると考えていらっしゃる。まずは「ターゲティングとは何か」「どんなことができるのか」を説明し、理解していただくことがスタートです。実際、小規模企業でこれまでデジタルマーケティングに触れたことないお客様は、「どこから」「何をすればよいのか」に悩んでいらっしゃる。「何かしないといけない」という課題認識はあるものの、具体的な行動の一歩に踏み出せないのです。

そうしたお客様に対しては、「誰に対して」「どのような情報を提供し」「どのような効果を得たいのか」が明確になるよう支援をしています。「キャンペーンで何を達成したいのか」を明確にしたうえで、それに対する適切な施策を打たないと、「なんとなく効果があった」程度になってしまいます。

分析結果の可視化で顧客が開眼

―― SMBのお客様に対しては、どのような支援をしていますか

森島氏 コミュニティブログを通しての情報発信やセミナーを開催したりしています。

例えば、昨年は地方6都市で「Google AdWords」「Google マイビジネス」などを紹介するイベントを開催しました。各拠点にライブ配信して、サポートチームが会場に伺って相談を受け付けるというものだったのですが、こちらの想定を上回るお客様にご参加頂き、その反響の大きさに驚きました。また、オンラインの教育プログラムやメールによるキャンペーンの支援、コールセンターでのサービス受付なども実施しています。

―― こうしたサービスに対するお客様の反応はいかがですか

森島氏 2つの側面で評価いただいています。1つは事業の成長が実感できること。AdWords を通じて、問合せの件数やどれだけ新規顧客の獲得をできたかが見える化できます。もう1つはGoogle AdWords キャンペーンの結果を、詳細なレポートとして得られることです。顧客の属性や広告効果といったデータを分析でき、新たなインサイトを得て次の施策を打てます。AdWords を利用されたことのないSMBの御客様に、レポートなどを見ていただくと、出来ることの範囲の広さに驚かれます。

その他、Google マイビジネスにご自身のビジネスを登録すると、グーグルのローカル検索などに地図やお店情報を無料で表示できます。現在は、飲食店や美容系のサロンなど店舗を持つお客様を中心にご利用をいただいていますが、Webサイトを自前で構築し、定期的に更新するよりも手軽に情報を発信できるといったメリットがあります。

また、Google マイビジネスのページにユーザーがどの経路で閲覧したのか、どの地域からの訪問者が多いか、どんな写真に興味を示したのかといった集計データが可視化されます。また、クリック数、電話での問い合わせ件数、リスティングの表示回数などもグラフ表示できます。こうした機能は、すべて無償で提供されます。

言葉で説明するよりも、実際にデータやレポート画面をお見せすると「こんなことがわかるのか」と驚かれる。こうした効果をきちんと伝えていきたいですね。

―― モバイル利用への対策を聞かせてください

森島氏 多くのお客様はWebサイトを更新したタイミングでモバイルに最適化されます。モバイルの利用率は急伸し、飲食店などでは(ユーザーが出先で検索するといった)使い方の親和性が高い。モバイルからアクセスするユーザーは、(PCサイトを利用するユーザーと比較し)"我慢の度合い"が違います。欲しい情報を自分で探してドリルダウンをせず、情報を得るステップが短いのが特徴です。

Googleは、モバイルの読み込み速度とパフォーマンスを測定できるサイトを公開しています。また、同サイトではモバイルのUX(User eXperience)やUI(User Interface)をスコア化し、レポートする機能を提供しています。

―― キャリア形成の中で、仕事に対するモチベーションは大きな割合を占めます。現在のお仕事のやりがいは何でしょうか。

森島氏 以前、大規模企業を対象にしたB2Bマーケットを担当していた時には、「グーグルが顧客企業にとってどのような価値を提供できるのか」を常に考えていました。お客様にとってはグーグルが単なるメディアプラットフォームではなく「イノベーションを起こすためのパートナー」と位置づけて欲しいと思っていました。

一方、SMBのお客様は、地域密着型のビジネスをされている方が多い。ですから、独自の商習慣や商圏のコミュニティを確立されていますが、ビジネスの成長はまだまだ伸びしろがあると感じています。

こうしたお客様は、AI(人工知能)や機械学習といった最新技術を独自に開発することは難しいかもしれません。しかし、グーグルのサービスを利用することで、最新技術にアクセスし、ビジネスを成長させることができる。そのポテンシャルを最大化するお手伝いができることは、私にとって大きなやりがいです。

先述したとおり、今一番の課題はSMBのお客様に「初めの一歩を踏み出していただく」こと。「最新の技術を受け入れて、アクションを起こして頂くためにグーグルは何ができるのか」を日々考えています。

ネット広告ベンチャー創業者に聞く、シンガポールで起業したワケ

ネット広告ベンチャー創業者に聞く、シンガポールで起業したワケ

2018.01.30

2016年4月に、シンガポールで設立されたネット広告事業を主軸とするベンチャー企業「AdAsia Holdings」。同社は2018年1月11日に組織改変を行い、AdAsiaの親会社をAnyMind Groupにすると発表した。AdAsiaを起業し、AnyMind Group共同創業者 兼 CEO(最高経営責任者)に就任した十河 宏輔氏は、ネット広告大手のマイクロアドで、東南アジア6カ国の事業立ち上げと統括を担った人物だ。

AnyMind Group共同創業者兼CEO(最高経営責任者)に就任した十河宏輔氏

起業からまだ21カ月だが、AdAsiaはアジア市場で急成長を遂げた。同社は2017年4月にJAFCO Investmentから1200万ドルの資金を調達し、現在はタイ、インドネシア、ベトナム、台湾、カンボジア、日本、中国、香港に現地法人を擁する。2017年の収益は2600万ドルで、前年の1290万ドルから2倍強となった。現在業員数は250人だが、2018年末までに400人規模に拡大する予定だ。

「伸びるアジア市場で1番を取っていく」と語る十河氏。組織改変に伴う社名変更を発表したバンコクで、アジアのネット広告ビジネス戦略と、新サービスの狙いについて聞いた。

ネット成長率、そして「ミレニアル世代」

―― シンガポールで起業し、最初にタイ、インドネシア、ベトナム市場に注力した理由を教えてほしい。

十河氏 会社を設立した当初から、アジア全域でインターネット広告事業を展開し、グローバルで通用するビジネスを立ち上げたいと考えていた。シンガポールで起業した理由は、同国はアジアの"ハブ"で動きやすいことと、スタートアップにとって税制的な優遇措置があったことだ。

前職のマイクロアドでも、東南アジア市場でビジネスをしていた。同市場におけるデジタルマーケティングの成長率は目覚ましいものがある。私たちも、拠点をフィリピンやマレーシア、インド、ロシア、UAE(アラブ首長国連邦)まで増やしていく。

―― インターネット広告ビジネスは、東南アジア諸国と日本の違いがあるのか

十河氏 東南アジアにおけるインターネット広告市場の成長率は、日本よりも高い。また、新しい新しい(タイプの)インターネット広告にもスピーデティに受け入れる土壌がある。特に、タイ、ベトナム、インドネシアといった国々は、利用者の年齢が若い。国民の平均年齢は、ベトナムが27歳、インドネシアは28歳だ。広告主もこうしたミレニアル世代にアプローチするため、デジタル媒体への広告を積極的にしている。

外資系企業が入居するオフィスの37階にあるAnyMind Groupのバンコクオフィス。若い従業員が多く在籍する

―― グループ傘下の「CastingAsia」が展開する「インフルエンサー・マーケティング」は、どのくらい普及しているのか。

十河氏 一時期、日本では「インフルエンサー・マーケティング」は、それが広告であると消費者に気づかれないように宣伝をする「ステマ(ステルス・マーケティング)」だと批判されたことがあった。しかし、現在は広告に関する制度が整い、「PR」や「広告」と明記するルールが設けられている。日本ではこうしたルールが整ったことで、(広告を出稿する)企業側も安心してインフルエンサー・マーケティングを利用している。

一方、アジア諸国は「インフルエンサー・マーケティング」=「ステマ」という意識はほとんどない。「Facebook」「Twitter」「Instagram」など、企業も宣伝手段として当たり前のように利用しているのが現状だ。特に東南アジアのeコマース企業は、インフルエンサー向けのアフェリエイトプログラムを開発している。

「憧れる人が推薦する商品/サービスに興味を持つ」「口コミは影響力がある」というトレンドは大きい。SNS(Social Networking Service)の活用に長けているミレニアム世代にとって「インフルエンサー・マーケティング」は、自然に受け入れられる手法だと考える。

しかし、同時に課題もある。それは広告を出稿する企業側が、どのインフルエンサーと組んでマーケティングを展開すればよいか把握できないことだ。

例えば、化粧品会社が新製品をプロモーションする際、「商品イメージにマッチした女性」「フォロワーが多い」という条件でインフルエンサーを選択し、プロモーションをしたとものの、期待したほど効果がなかったことがある。その要因を分析すると、そのインフルエンサーのフォロワーは、単なるアイドル好きな男性ファンが大半で、化粧品などにまったく興味がない層であることがわかった。

こうした状況を回避するには、インフルエンサーのフォロワー分析が必要だ。企業がインフルエンサー・マーケティングをする目的は、インフルエンサーを通じてフォロワーに製品/サービスを訴求すること。自社製品のターゲットとなるフォロワーを擁している最適なインフルエンサーを見つける必要がある。しかし、その作業を人海戦術でするのは不可能だ。

われわれの「インフルエンサー・マーケティング・プラットフォーム」は、こうした一連の作業を自動化し、最適なインフルエンサーをレコメンドするものだ。(インフルエンサーの)フォロワーの属性をAI(人工知能)/機械学習で分析し、企業がアプローチしたいターゲットを擁するインフルエンサーとマッチングをする。この機械学習のアルゴリズムは独自開発したものだ。

―― 今回、「TalentMind」をリリースし、HR(ヒューマン・リソース)分野に新規参入した。そのねらいは何か。

十河氏 これまでのネット広告とは業界が異なるが、ネット広告プラットフォームの開発で培った(機械学習の)技術的な部分は共通しているので、(新規市場参入でも)ゼロからの開発スタートというわけではない。最初はタイでリリースするが、言語のローカライズが完了すれば、すぐに他国でもリリースできる。

HR市場に参入した理由は、「今後必ず拡大する市場である」ことと、「われわれもHRのソリューションが必要だった」ことだ。

われわれの例を挙げると、現在は月間10人のペースで採用活動を進めている。起業当初から「LinkedIn」や現地の求人サイトなどを使用して採用活動をしていたが、最近はメディアで取り上げられることも多く、就職希望者が急増している。1つのポジションに対して200~500人の応募があるのが現状だ。

応募者全員の履歴書を確認し、面接する人材を絞り込むのには工数も時間もかかる。この作業をAI/機械学習によって自動化すれば、採用の効率化が実現できる。また、AI/機械学習が過去のデータ分析に基づきなから判断するので、クオリティの担保や見逃し防止にもなる。

利用する企業の規模や国ごとの人件費の差もあるが、「TalentMind」を利用すれば、採用にかかる現在のコストの10分の1まで削減できるイメージになっている。

組織改変/新サービス発表の会見にはタイ、中国、ベトナム、インドネシアなど、同社が拠点を持つ東南アジア各国のメディアが30人以上が参加した

―― CEOとして業績好調の要因をどう分析するか。

十河氏 われわれがビジネスをしている領域には市場がある。そして、その市場には課題が顕在化しており、(われわれは)それを解決できるソリューション/技術を有している。「伸びる市場に張れている」ことが大きな要因だと考えている。

"アジア"は一括りに語られることが多いが、国によって特性も文化も違う。アジアを制覇するには、各国に現地法人を持ち、現地の優秀な社員がビジネスをする必要がある。だから、われわれの給与水準は高い。国によっては新卒平均年収の2倍を払っている。人材流動性が高い東南アジアにおいて、離職率も低い。会社の価値観を共有し、社員は責任感を持って働いている。こうした人材を有していることも業績好調の要因だ。

人材採用からインフルエンサーの発見までAIの時代に?

人材採用からインフルエンサーの発見までAIの時代に?

2018.01.29

シンガポールに拠点を構え、アジアでネットワーク広告事業を展開するAdAsia Holdingsは1月11日、タイ・バンコクで会見を開き、AdAsia Holdingsの親会社をAnyMind Groupにすると発表した。事業拡大に伴う組織変更で、実質的な社名変更となる。

組織変更に伴い、グループ傘下には各事業体として、アドネットワーク・ソリューションを提供する「AdAsia」、インフルエンサー・マーケティング・サービスを提供する「CastingAsia」、リクルーティング事業を手掛ける「TalentMind」を擁することになる。

社名変更の理由についてAnyMind Group共同創業者兼CEOの十河 宏輔氏は、「われわれはネット広告プラットフォーム開発/提供からスタートしたが、今後はAI(人工知能)を活用したソリューションを、(アド=広告だけでなく)あらゆる業界に技術を提供していくことを意味したものだ」と説明した。

事例の一つが、リクルーティング・ソリューション・サービスである「TalentMind」だ。人材募集をした企業に対して、候補者の中から最適な人材を自動的に提示するサービスを目指す。TalentMindの事業統括責任者である近藤聖氏は、「これまでのマッチング技術では限界があった候補者の絞り込みを、機械学習/AIを利用して効率的かつ効果的に実行できるサービスだ」としている。

AnyMind Group共同創業者兼CEOの十河宏輔氏
TalentMindの事業統括責任者務める近藤聖氏

TalentMindでは、応募者の履歴書や登録者が利用している各SNS(Social Networking Service)、プリセットの質問に対する回答、業務遂行能力の高い人物に共通する行動特性(コンピテンシー)を分析する。そのうえで、募集するポジションに対して最適な候補者を、独自のアルゴリズムでスコアリングして人材募集企業に提示する。データから応募者の絞り込みをすることで、属人的なバイアスがかかることなく、人材の"タレント"を判断する。

近藤氏は、「履歴書的に"優秀な"人材と、採用企業にとって"必要な"人材は必ずしも一致しない。TalentMindは人材募集をした企業の既存社員の特性やパフォーマンス、コンピテンシーを基に人材をグルーピングし、その企業にとって理想的な人材を可視化する。同データを基に採用活動を行えば、人材のミスマッチを低減し、効率的な採用活動が可能だ」と語る。

TalentMindの具体的な仕組み(出典:AnyMind Group)

TalentMindは「スクリーニング」「アナリティクス」「スコアリング」「マッチング」の4段階に分けて、順次サービスを提供していくという。

スクリーニングは、候補者のデータ分析結果から、採用担当者がどのような職種に対しても最適な候補者を探し出せる機械学習機能を提供する。一方でアナリティクスは、企業ごとに求める候補者像を可視化し、機械学習によって独自の採用モデルを構築する。

さらに、スコアリングでは、SNSなどのオープンデータから優秀な人材の情報を取得し、AIを使って最適な候補者をレコメンドする。TalentMindプラットフォーム上に蓄積されたデータや、これまでの分析情報を相関分析することで、マッチングの精度も向上するというわけだ。近藤氏は「2018年末までにマッチングまでのサービスを提供したい」としている。

主な想定利用業界は、人材の流動性が高く、多様な人材の起用を重視するインターネット業界だ。近藤氏は、「ITによる業務効率化が注目されているが、人材採用はデータ活用ができていないのが現状であり、採用は従業員の(作業)コストもかかる。TalentMindを活用することで、スピーディな採用とコスト削減が可能になる」述べた。

なお、データ分析の一部にIBMのWatson API(Application Programming Interface)を利用している。最初はタイからサービスをスタートし、同社が拠点を構える9カ国に順次展開していく予定だとのことだ。

会見では「AdAsia」と「CastingAsia」の事業内容も改めて紹介。CastingAsia事業は、広告主とマイクロインフルエンサーをつなぐ新サービス「CastingAsia Marketplace」を、同日付けでリリースすると発表した。

インフルエンサーとは、一般消費者の購買行動に影響力を持つ人物を指す。マイクロインフルエンサーは、SNSでフォロワーが1000人から10万人程度を擁する人物だ。現在CastingAsiaにはタイ、ベトナム、インドネシアを中心に1万人を超えるインフルエンサーと、約5万人のマイクロインフルエンサーが登録している。

Marketplaceを利用することで広告主は、マイクロインフルエンサーを活用したキャンペーンを、成果報酬ベースで運用/管理することが可能になる。マイクロインフルエンサーにはどのような属性を持ったフォロワーがいるのか、キャンペーンしたい製品/サービスのターゲットなるフォロワーをどのくらい擁し、その効果はどのくらいなのかといった分析/判断はAIが担う。

CastingAsia事業統括を務める林信吾氏

Marketplaceの目的は「自動化」だ。現在のインフルエンサー・マーケティングは、個々のインフルエンサーに対するマネージメントが煩雑だという課題を抱えていた。キャンペーンごとに報酬を設定したり、プロモーションの内容を変更したりという作業を、ほぼ手動で行っているのが現状だ。

CastingAsia事業統括を務める林信吾氏は、「100万人超のフォロワーがいるようなプロの有名タレントは人数が少ないので、既存の方法でも管理できる。しかし、人数が多いマイクロインフルエンサーを既存の手法で管理することは不可能だ。Marketplaceを利用すれば、広告主は効率的にマイクロインフルエンサーを発見でき、プライシング(必要な報酬)も自動化されて表示される。マイクロインフルエンサー側も、様々な広告主のキャンペーンに手軽に参加することが可能だ」とその優位性を語った。