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重盛高雄

ビッグマックが50周年! 大定番でも認知度向上を狙うマックの戦略

ビッグマックが50周年! 大定番でも認知度向上を狙うマックの戦略

2018.04.18

今年で50周年を迎えるマクドナルドのビッグマック。誕生から半世紀を記念したキャンペーンでは、日本で初めてビッグマックのアレンジ商品が登場する。本稿ではキャンペーンの内容を確認しつつ、直近の日本マクドナルドの商品戦略についても見ていきたい。

ビッグマック50周年キャンペーンを始めた日本マクドナルド。CMには俳優の渡部篤郎さん(中央右側)が出演する

すでに大定番のビッグマックでキャンペーン?

1968年、大人のためのハンバーガーとして世に出た「ビッグマック」が、今年で50周年を迎える。日本国内においては、1971年のマクドナルド初出店に合わせて登場。以来、多くのファンに愛され、支持され続けている看板商品の1つだ。

日本ではビッグマック50周年を記念した各種キャンペーンが始まっている。その内容は「日本初の新ビッグマック登場」「ビッグマックチャンピオン決定戦開催」「コラボグッズおよびビッグマックソースの販売」「クーポンTシャツの展開」だ。これらのうち、4月14日に発売となった「ビッグマックソース」については、販売開始から間もなく完売となったという。

「ビッグマックソース」はすぐに完売となった

新商品として登場するのは「ビッグマック ベーコン」と「ビッグマックBLT」の2種類。新しく開発された商品というよりアレンジメニューだが、変わらぬ存在だったビッグマックの進化(?)した姿を楽しめるのは、ファンならずとも興味深い。これらの商品は本日発売だ。

左から「ビッグマック」「ビッグマック ベーコン」「ビッグマックBLT」

ビッグマックチャンピオン決定戦は、スマートフォンのアプリを使った企画で、参加者がビッグマックの箱に貼りついたQRコードを読み込んでビッグマック愛を競うもの。クーポンTシャツはユニクロとのコラボで作成し、ユニクロで4月23日に発売する。これらのTシャツを着てマクドナルドに行くと、4月23日から6月5日までの期間中であれば、ビッグマックMセットが何度でも100円引きで注文できるという施策だ。

ユニクロとコラボしたクーポンTシャツ

ビッグマック50周年は、日本だけでなく各国で催される予定。ビッグマックはグローバル商品という位置付けで、どこの国でも同じ味、同じ規格で作られているためだ。

定番と季節商品、二刀流のマック

今年も順調に来店者数、売り上げを伸ばしている日本マクドナルド。ビッグマック50周年キャンペーンの発表会場で、今後の戦略についてコミュニケーション本部の長谷川崇さんに聞いてみた。

まず、ビッグマック50周年キャンペーンについては、「マクドナルドは取り扱う商品をグローバル商品とローカライズ商品に分けており、ハンバーガー、チーズバーガー、ポテト、シェイク、フィレオフィッシュなどはグローバル商品という位置付けで、変えられない商品です。(グローバル商品の1種である)ビッグマックは誕生以来、味はほとんど変わっていません。それゆえ多くのファンから支持されました。(今回のキャンペーンでは)変わらない良さのビッグマックをもっと多くの人に知って欲しいと思います」とする。

左はG-SHOCKとコラボした腕時計。右はNEW ERAとのコラボで生まれたキャップだ

今年の商品戦略については「期間限定商品として特色のある新商品は今年も引き続き出していきますが、季節限定商品だけでお客様が来て下さるわけではないので、定番商品もしっかり強化していきたいです。もう一度注目していただける仕掛けや、おいしさを感じていただける効果を狙っていきます」と長谷川氏は語った。

定番商品に再び注目して欲しいと語る長谷川氏の言葉は、ビッグマックほどの定番商品でさえも認知度向上に向けたキャンペーンを展開するマクドナルドの動きと符合して興味深い。季節商品での話題づくりと定番商品の強化が、やはり同社の2本柱となるのだろう。

マクドナルドが春の採用キャンペーンを開始、積極増員の理由とは

マクドナルドが春の採用キャンペーンを開始、積極増員の理由とは

2018.03.14

日本マクドナルドが「マクドナルドは大歓迎!!」と銘打って春の従業員(パートタイマーやアルバイトのことで、マクドナルドでは「クルー」と呼称する)採用キャンペーンを開始した。背景には、外食産業における人手不足があるのではないかと考えたのだが、同キャンペーンの発表会に登壇した日本マクドナルド執行役員で人事本部長の長敦子氏は「人手については、今は充足している」とする。それでは、「大歓迎!!」キャンペーンの目的とは何なのだろうか。

「マクドナルドは大歓迎!!」キャンペーンの発表会には日本マクドナルド代表取締役副社長兼COOの下平篤雄氏(右端)と日本マクドナルド執行役員・人事本部長の長敦子氏(左端)が登壇。現役高校生で女優・声優の春名風花さん(中央右側)も駆けつけた

回復から成長へ、積極増員の姿勢を示すマック

マクドナルドは2017年の春に「クルーになろう。」キャンペーンを展開し、史上初となる全店舗でのクルー体験会を実施した。このキャンペーンでは、当初予想2.5万人のところ約2.8万人のクルーを採用したという。2017年秋には「マックなら、大丈夫」と銘打った採用キャンペーンを実施して、若者向けの職場というイメージの強いマクドナルドが自ら、主婦やシニア層の不安に対し「大丈夫」とのメッセージを発信した。

長人事本部長によると、今回の「大歓迎!!」キャンペーンは人手不足を解消するためのものではなく、マクドナルドの成長をより確かなものにするための募集だという。採用目標人員について具体的な数値は示さなかったが、「昨年と同程度を目指す」とのことだった。

マクドナルドの売上高は右肩上がりで、2017年は上場以来最高の業績を残したと下平副社長は説明する。同社のビジネスは「回復」から「成長」へとステージを変え、新たな局面に入っているそうだ。つまり、今回の採用キャンペーンについては、人手不足の解消というよりも、事業拡大に向けた増員という積極的な意味合いが強いと考えるべきなのだ。

日本マクドナルドの業績は右肩上がりで、今後も年平均5%以上の成長を目指すという。成長を支える基盤の1つが人材だ

LINEで応募が可能に! 卒業シーズンに合わせた施策か

今回のキャンペーンで発表された採用ツールは「LINE応募」とTwitter上の「#質問箱」だ。「LINE応募」は文字通り、LINEを通じてクルー応募ができるサービス。働きたい店舗、あるいは場所を打てば候補が返ってくる仕組みで、名前などを打ち込みLINE上で顔写真を送っておけば、面接希望の際に履歴書などの書類は不要となる。こういった施策からは、春の卒業により学生が抜けた穴を、若者向けのツールによって補おうとしているという印象を受けた。

アルバイトの応募は気が重いと感じる人もいるかもしれないが、LINEで応募できて、顔写真を送れば書類不要ということであれば、動きやすいだろう

クルーが約14万人で、昨年は年間を通じて7万人以上を採用したというマクドナルドだが、昨春のキャンペーンでは2.8万人を獲得したというから、年間の採用計画の中で、この時期のキャンペーンは特に大きな意味を持つものと考えられる。

2018年採用のキーワードは「多様性」

マックが「大歓迎!!」キャンペーンを展開する1つ目の狙いが積極的増員だとすれば、2つ目の狙いは何か。それは「多様性」を打ち出すことだ。

下平副社長は「マクドナルドのビジネスはピープルビジネス。働く環境を整備し、クルーの採用と育成、満足度を大切にする。昨年12月に実施したクルー満足度調査では、84%のクルーが満足しているという結果だった。クルーが充実していることが、お客様へのサービス向上につながり、ご満足いただける店舗を生む。よいサイクルの継続を目指していく」とする。クルーの満足度に直結する要因として、多様性を重視する姿勢は不可欠なのだ。

マックのクルー満足度は84%。友人による紹介採用は60%、新卒社員のクルー経験比率は75%との数字も紹介された

マクドナルドのクルーには、学生、若者、主婦、シニア、外国人が含まれる。クルーのライフスタイルはさまざまだ。今回、採用キャンペーンに向けて発表された新しいCMにも、多様な職種経歴を持つ現役クルー7名が登場する。

マクドナルドは人材採用・教育にあたり、多様性を重視する方針を打ち出す。特に教育面においては、クルートレーニングプログラム、そして働きながら学べる場所として開校46年を迎える「ハンバーガー大学」の存在を強調する。クルートレーニングプログラムは、外国語にこそ対応していないものの、ロールプレイングや画像を多用し、シニアや外国人でも分かりやすいツールとして活用している。

トレーニングツールでは動画も活用。さらに進化したシステムも開発中とのことだ

多様性の確保にマクドナルドならではの強み

マクドナルドの持つ強みは、採用やトレーニングだけではない。最大の強みは求人面における多様性だ。学生が多い町、ショッピングセンター、駅前など多くの店舗を持ち、異なる営業時間で運営しているマクドナルドでは、働き手が自分の希望に合わせて選べる店舗の選択肢が豊富だ。働く側の希望と店舗側のニーズを完全にマッチさせることは難しいが、マクドナルドは多様な店舗で間口を広くとり、このマッチングの精度や確率を上げているのではないだろうか。

いくつかの店舗のアルバイトを検索をしてみると、店舗の営業時間や特徴に加え、勤務時間・募集対象が記載されていた。店舗ごとにニーズはさまざまだ。働き方について多用なニーズを持つマクドナルドだからこそ、クルーの多様性を受け止め、尊重することが可能なのだろう。

ライフスタイルが多様化すると、働き手の要望も細分化する道理だ

人出不足の代表業種としてよく名の上がる「外食産業」。人手不足を解消するため、多くの企業が賃金を上げるなどの取り組みを重ねているが、解消されたという事例はあまり耳にしない。

賃金上昇とコスト上昇は価格への転嫁につながり、値上げは客離れに直結して業績の悪化を招く。これは企業だけでなく、消費者も幸せにならない図式だ。クルーによし、顧客によし、そして企業によし。近江商人の「三方よし」ではないが、商いの基本にのっとった取り組みが、マクドナルドの業績回復につながっているという印象を受けた。

マックが春の定番「てりたま」を発売! 垂直展開の商品戦略が奏功?

マックが春の定番「てりたま」を発売! 垂直展開の商品戦略が奏功?

2018.03.07

日本マクドナルドは今年も、春の定番商品である「てりたま」を発売した。新たに加わる「はみだすハムてりたま」は、昨年の「ギガベーコンてりたま」に続きインパクト十分な一品だ。昨今のマックを見ていると、“垂直展開”の商品展開が奏功しているような印象を受ける。

「てりたま」は単品360円、セット660円、「チーズてりたま」は単品390円、セット690円、「はみだすハムてりたま」(画像)は450円、セット750円という設定だ

ダブルチーズバーガーで考える最近のマック

春の定番商品として1996年に初登場した「てりたま」。基本ラインアップである「てりたま」「チーズてりたま」の2商品は今年も健在で、今回は「はみだすハムてりたま」という新商品が加わった。定番商品として変化は少ないものの、その分、ファンは安心して注文できる商品となっている。

近年のマックの商品戦略を見ると、昨年の「グラン」シリーズであったり、今年の「ダブルチーズバーガー」に関する新しい切り口の訴求であったりと、ベースとなる基本商品からの垂直展開によるラインアップが増えている感じがする。

ダブルチーズバーガーの場合は、パティやチーズの数量を増やしたり、チーズの種類を変化させたりして、価格的には高価になるのだが、意識させないような仕掛けを展開している。「対決」というキーワードを用いるなどの工夫も見られた。

ベースの商品があってこそのアレンジ商品

今回の「てりたま」においても、マックは同様の戦略を展開しようとしている。基本となるベースの「てりたま」に、とろけたチーズを加えた「チーズてりたま」。そして、はみでるおいしさを武器に新しく登場する「はみだすハムてりたま」だ。昨年の2つ折りベーコンが好評だったことを受けて「はみでる見栄え」を意識したのか、今回の新商品では厚さ5ミリのハムを大胆に使用している。

紙のラッピングで提供される「てりたま」シリーズ

昨年同様、紙のラッピングなので持ちやすいのも「てりたま」の特徴だ。もしボックスで提供していたら、せっかくの照り焼きソースや商品のボリューム感などが視覚的に伝わらなかったことだろう。「てりたま」は素材の組み合わせを生かし、咀嚼することによって本来のおいしさを楽しむことができる商品という印象だ。要は、かぶりつく食べ方のほうが、お勧めできる味わい方なのだ。はみ出すインパクトは、SNSでも“ばえる”のではないだろうか。

数字に表れるマックの回復ぶり

同じチーズ系であるが、チーズバーガーと「チーズてりたま」は異なる味わいだ。チーズバーガーはパティが主役でチーズはトッピングとしての位置付け。「チーズてりたま」の場合は、実はチーズも重要な役割を演じている。とろけたチーズの甘さと食感が、てりやきソースの持つ甘辛さと絡むことで「チーズてりたま」の味わいは完成する。単に「てりたま」にチーズを挟んだ、というだけの商品ではない。

「てりたま」の新商品発表会に出席し、日本マクドナルド・コミュニケーション本部の矢野明日香氏に話を聞くと、素材としてハムを選んだ理由としては、目に見えるボリューム感が大きかったという。昨年の「ギガベーコンてりたま」については、詳細な販売実績は言えないが好評だった、とのことだった。マックは最近、新商品を発表するごとにツイッターを用いたキャンペーンを展開しているが、この施策も、回数を重ねるごとに反響の大きさに驚かされているそうだ。

マックの春の定番として20年以上の歴史を持つ「てりたま」。矢野氏のコメントからも分かる通り、集客効果も良好なようだ。2017年のセールスレポートを確認してみると、3月の既存店売上高は前年比16.5%、客数は12.2%と好調な数字を残していることがわかる。

客数の伸びでいえば、マックの2017年の実績として、前年比2桁で伸びた月は6回あった。2016年は客数が減った2015年の反動があったにも関わらず、2桁の伸びを示した月が4回だったことを考えると、同社の集客力が戻ってきていることは数字が実証している。