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諸星陽一

新型の先行情報が解禁! BMW「3シリーズ」の来歴とモデルチェンジの中身

新型の先行情報が解禁! BMW「3シリーズ」の来歴とモデルチェンジの中身

2019.01.25

注目度は「Cクラス」以上? 「3シリーズ」の新型は2019年に登場

小型化と低価格化でプレミアムセダンの寵児に

横幅が1,800mm超え? 気になるモデルチェンジの内容

今年、7代目となるBMWの新型「3シリーズ」が登場する。このクルマのフルモデルチェンジはいつの時代も話題を呼び、注目度は最大のライバルであるメルセデス・ベンツ「Cクラス」をしのぐほどだが、それは3シリーズに長い歴史があり、このサイズのクルマを作る自動車会社にとってお手本となるクルマだからだ。先日、7代目3シリーズの情報の一部が解禁となったので、このクルマの来歴と合わせてお伝えしたい。

2019年登場の新型「3シリーズ」(画像)について、一部情報が先行公開となった。2019年3月9日に世界同時発売の予定だ

起源は1966年、セダンの小型化が「3シリーズ」の原点

3シリーズが登場したのは1975年のことだが、このクルマの起源となる「02シリーズ」は1966年に誕生している。一方のCクラスはデビューが1993年で、その起源となった「190シリーズ」までさかのぼっても、生まれは1982年だ。3シリーズとCクラスには、歴史の長さで16年の差があるのだ。いわゆるD、Cセグメントセダンでの経験は、3シリーズの方がずっと長く、その存在は重要視されている。これが、3シリーズのフルモデルチェンジに注目が集まる理由だ。

02シリーズで最も有名なのは、「1602」「1802」を経て誕生した「2002」というクルマだろう。「1602」は1,600cc(正確には1,673ccなので、現代流なら1,700ccとなる)の2ドアモデル、「1802」は1,800ccの2ドアで、2002は2,000ccの2ドアだった。

「3シリーズ」の起源となる「02シリーズ」の中でも有名な「2002」(画像は「2002ターボ」)

「2ドアなのにセダン?」と思った人もいるかも知れないが、これらは「2ドアセダン」というカテゴリーに分類されたクルマだった。リヤシートにも人を乗せることを前提としていながら、コストダウンやボディのダウンサイジングのため、2ドアというスタイルをとっていたのだ。「1602」以前のBMWは4ドアのセダンが主流だったが、それらのクルマはボディが大きく、現在の「5シリーズ」につながる系譜であった。その大きなクルマを思い切って小型化したことこそ、3シリーズの始まりであり、BMW成功のきっかけだったのだ。

ダウンサイジングと低価格化という戦略は、北米での販売拡大にも結びついた。人気を博した02シリーズはその後、徐々にスポーティーなモデルを追加していく。圧縮比をアップしてツインキャブとした「2002ti」、そして、キャブレターではなくインジェクションを採用した「2002tii」などが登場した後、1973年にはBMWが航空機で得た技術を応用した「2002ターボ」も追加となり、大きな話題を呼んだ。

バブルで人気爆発、あだ名は「六本木のカローラ」

1975年に02シリーズは、初代3シリーズである「E21型」に取って代わられる。E21型は1982年までのモデルだ。

日本では、「バルコムオートトレイディング」という輸入代理店がE21の正規輸入車を取り扱っていた。BMWジャパンが設立されたのは1981年のことだ。ちなみに、BMWジャパンは日本では初の自動車メーカー直轄のインポーターである。従来の輸入車は、ヤナセに代表されるような日本の輸入商社が扱っていたのだ。E21の全幅は1,610mmで、2リットル以下のエンジンを積むモデルを日本では5ナンバーの小型車として販売していた。

「3シリーズ」の初代となった「E21型」(画像)

1982年には2代目3シリーズの「E30」が登場する。E30は1994年までのモデルだ。日本経済がバブル期へと突入していくタイミングだったことも影響し、この3シリーズは爆発的なヒットを遂げる。多くの人が高い所得を得るようになったことが販売に拍車をかけた。このクルマに付いたあだ名は「六本木のカローラ」。つまり、六本木に行くと、まるでトヨタ自動車の「カローラ」のようによく見かけるという意味だ。こんな表現が生まれたこと自体、当時はまだ、輸入車が特殊な存在だったことを表している。

3代目の3シリーズは、バブル末期の1990年に日本に登場する。この3代目まで、基本ボディサイズが5ナンバーだった。バブル景気ははじけていたが、物品税の廃止や為替レートの関係もあり、輸入車の販売台数に大きな落ち込みはなく、3代目もヒット作となった。

ヒットの継続は、3シリーズがCセグメントのベンチマークとなる流れにもつながる。続く4代目から6代目までも、その販売の勢いが衰えることはなかった。ドイツのBMW AGも、日本のマーケットをどんどん重要視するようになっていく。6代目モデルでは全幅を1,800mmに抑えるため、日本仕様専用のドアハンドルまで開発・採用したほどだ。

「3シリーズ」は累計1,500万台の販売実績を誇るBMWの大定番だ(手前の赤いクルマが6代目。奥は右端の初代から世代順に並んでいる)

新型「3シリーズ」の日本専用モデルは希少価値あり?

もうすぐ登場する7代目3シリーズは、全幅が1,800mmを超える。従来、横幅を1,800mm以内に抑えてきたのは、マンションなどの駐車場に1,800mmを上限とする場所が多かったためだ。しかし、次の3シリーズは、ドイツ仕様で全幅1,827mmとなっているので、日本での登録時は1,830mmということになるだろう。BMWジャパンは綿密な調査の結果、日本では駐車場のサイズが拡大傾向にあり、1,800mmにこだわらなくてもいいという結論に達したそうだ。

カモフラージュを施された7代目「3シリーズ」

日本で販売される3シリーズの中で、最も人気があるのは「320i」というモデルだ。つまり、3シリーズの2リットルモデルということである。500cc刻みで自動車税が決まる日本の税制では、2リットルという排気量は微妙なお得感がある。それでいて、1.6リットルとは明らかに違う性能、そしてヒエラルキーを感じられる排気量なのだ。ところが、次の新型3シリーズは、初期モデルに320iが存在せず、「330i」からの販売になるという。

これでは、日本市場で3シリーズを売るBMWジャパンは困ってしまう。そこで同社は、330iをベースとするデチューン版を320iとして導入することにした。デチューンとは、あえて商品の性能を下げること。欧州仕様車のスペックを見比べてみると、例えば「330i」の最高出力が190kWであるのに対し、「320i」は同135kWとなっている。この販売戦略、「名を捨てて実を取る」という言葉とは真逆の方向性だ。

日本では「330i」のデチューン版を「320i」として販売するそうだ

BMWジャパンとしては、320iの生産が始まればが320iを日本に導入するのだろうが、それまでは、330iベースの320iという日本専用モデルを販売するらしい。このモデルは希少モデルとなるに違いない。

かつての腕白少年も今やベテランの風格…ホンダが新型「インサイト」を発売

かつての腕白少年も今やベテランの風格…ホンダが新型「インサイト」を発売

2018.12.13

ホンダが3世代目となるハイブリッド車「インサイト」を発売へ

やんちゃな男の子が社会人に? 「インサイト」のデザイン史

ホンダらしさを感じるパッケージングのうまさ

ホンダは2018年12月14日に新型「インサイト」を発売する。初代インサイトは後輪の上半分を覆い隠す「ホイールスカート」など、主張の強い近未来的なデザインが目を引いたが、3世代目となる新型は一転してオーソドックスなカタチとなった。今回は、そんなインサイトのデザイン史を振り返ってみたい。

2018年12月14日に発売となる新型「インサイト」。グレード別の価格は「LX」が326万1,600円、「EX」が349万9,200円、「EX BLACK STYLE」が362万8,800円。燃費はJC08モードでLXが1リッターあたり34.2キロ、EXが同31.4キロだ

まるで“やんちゃな10代”のように自己主張した初代

1999年にハイブリッド専用車としてデビューしたホンダ「インサイト」は、コンサバティブなノッチバック(※)セダンとして誕生したトヨタ自動車「プリウス」とは正反対ともいえる近未来的なスタイリングだった。そのインサイトも、時代を経るに従い徐々に落ち着いたデザインとなっていったのだが、その様子はまるで、やんちゃだった男の子が、だんだんとまともな社会人になっていく過程のようだった。

※編集部注:ノッチバックとは、エンジンルーム、客室、トランクルームが独立していて、横から見ると凸型になるオーソドックスなクルマのカタチのこと

世界初のハイブリッド車として1997年にデビューしたトヨタのプリウスは、トランクリッドのあるノッチバックの4ドアセダンスタイルだった。今はかなり先進的で挑戦的なスタイリングのプリウスだが、初代はコンサバティブそのもの。言葉は悪いが、まるで“華のない”見た目だったのだ。少年漫画に出てくる学級委員をクルマにしたら、きっとこんな感じだろうなあ……という雰囲気だったといえば伝わるだろうか。

優等生然とした初代「プリウス」(画像提供:トヨタ自動車)

対して、1999年にデビューしたインサイトは、プリウスとはまるで逆方向のスタイリングを採用していた。3ドアのハッチバックで、乗車定員は2人。とにかく、効率を追求し尽くす考え方で、ものすごく挑戦的な姿となっていたのだった。

やんちゃな男の子然とした初代「インサイト」(画像提供:本田技研工業)

初代インサイトのボディデザインは、徹底して空気抵抗を減らす方向で行われている。その象徴となっているのが、リヤフェンダーに取り付けられた「ホイールスカート」と呼ばれるカバーだ。ホイールの露出を避けて空気の流れを綺麗にする手法は、競技用ソーラーカーなどではよく見かけるものだが、市販車ではまれな採用例となった。さらに、ホイールもディッシュタイプで空力重視、リヤウインドウは3次元形状となっているなど、隅々まで空力デザインが徹底されていた。

アルミと樹脂を多用したボディも特徴的だ。もちろん、これは軽量化が目的だった。ホンダはすでに「NSX」でアルミボディのノウハウを得ていたから、そのテクノロジーを流用したのだ。NSXがアルミの板材を多用したのに対し、インサイトではアルミ押し出し材の採用比率を上げている。アルミ押し出し材を使ってフレーム構造を成立させ、そこにアルミ板材や樹脂パネルを組み合わせることで、軽量なボディを作り上げた。

風洞実験中の初代「インサイト」。徹底して空気抵抗を減らすボディデザインで、後輪の上半分を覆う「ホイールスカート」が特徴的だ(画像提供:本田技研工業)

もちろん、エンジンやモーター、内装品などでもホンダは効率を追求した。搭載したのは1リットル3気筒のエンジンだ。結果として、燃費は当時のガソリン自動車として世界最高となる35.0km/L(10・15モード)を達成。「燃費」という一点に対する徹底したこだわりは、思春期の少年少女が譲れないものを持って突っ張る姿のようだった。

ホンダは2006年にインサイトの生産を終了した。インサイトがラインアップから消えたとき、多くの人は「このクルマはホンダの実験だったのだ」と感じ、再び世の中に登場することはないと思ったはずだ。しかし、その予想は裏切られる。

2代目「インサイト」は“リクルートスーツの新入社員”?

ホンダは2009年に2代目のインサイトを発表する。しかし、そのクルマは初代インサイトとは似ても似つかぬ、ごくごく普通の格好をしていた。初代が2人乗りの3ドアハッチバックだったのに対し、2代目は5ドアハッチバックスタイルで登場したのだ。リヤホイールの「スカート」もなくなっていた。

初代に比べれば“ごくごく普通”のデザインとなっていた2代目「インサイト」

これは完全にトヨタのプリウスを意識したモデルであり、「インサイト」という名前だけを引き継いだモデルにも見えたのだが、一方、その中身はと言えば、やはりインサイトそのものだった。かつては自己主張が強く、突っ張っていた若者が、就職試験のためにリクルートスーツを着て就職活動を実施し、無事に企業に入社して新入社員になった。そんな姿だったのが2代目インサイトだと言えるかもしれない。

2代目インサイトは1.3リットルの4気筒エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドモデルとして登場。インサイトがハイブリッド専用車であるという基本的な部分は変わっていなかったのだ。しかし、非常に興味深いことが起きる。それは、発表から3年後となる2011年のこと。なんと、ホンダはインサイトに1.5リットルモデルを追加したのだ。

ハイブリッド車はエンジン+モーターという複雑な構造をもつため、2種類のエンジンを持つことは非常にまれなケースだ。しかし、インサイトはそれを行った。実は、この出来事の裏には「CR-Z」というクルマの存在がある。2010年に登場したCR-Zは、インサイトよりも高い出力を得るため、1.5リットルのエンジンを積んでいた。ホンダはCR-Zのシステムを使い、インサイトに1.5リットルモデルの「エクスクルーシブ」を追加した。

1.5リットルのエンジンを積んだハイブリッド車「CR-Z」(画像提供:本田技研工業)

普通の新入社員だったインサイトは、1.5リットルエンジンを手に入れたことで、「燃費重視」と「走り」という2つの顔を持つ存在となった。

しかし、2009年から2014年まで生産された2代目インサイトは、またも姿を消す。まるで突然の退職、そして失踪といったような感じだ。さすがに、2度も生産が止まったクルマが再び登場するとは誰も思っていなかったのだが、それは現実となった。

新型「インサイト」から感じる“ベテラン社員”の落ち着き

3ドアハッチバックの突っ張ったスタイルで誕生したインサイトは、2代目で5ドアスタイルを取り入れ、普通のクルマに近づいた。そして、3代目となる今回の新型では、ついにノッチバックセダンという“真面目な”デザインを採用した。新入社員のようだった2代目インサイトからみると、まるでベテランの領域。たぶん、身を潜めている間に考え方が大きく変わったのだろう。

真面目なノッチバックセダンとして登場した新型「インサイト」

初代インサイトが登場したとき、ハイブリッドというのはとても珍しいクルマだった。しかし、それが今や、ハイブリッドは当たり前の時代になった。「ハイブリッドでるあること」を強調するために突っ張っていたインサイトだが、今の時代にハイブリッドであることを際立たせても意味がない。とはいえ、3代目となる新型インサイトの落ち着きぶりには、かなり驚いたというのが本音だ。

「インサイト」は3世代目でかなり落ち着いたという印象だ(画像提供:本田技研工業)

新型インサイトのプレスインフォメーションの冒頭には、「燃費世界一への挑戦から生まれたインサイトは、魅力世界一のミドルセダンへと進化する」と書いてある。

この言葉が、新型インサイトの全てを物語っていると言えるだろう。新型インサイトのボディサイズは全長4,675mm、全幅1,820mm、全高1,410mm。ちょうど「アコード」と「シビック」の中間に位置するサイズだ。価格帯も326万~362万円(税込み)とまさにアコードとシビックの間に入る。また、アコードにはハイブリッドがあるが、今のシビックにはハイブリッドが存在しないので、新型インサイトは「シビック ハイブリッド」の役目も果たしていると言える。

ホンダ「アコード」(画像提供:本田技研工業)
ホンダ「シビック セダン」(画像提供:本田技研工業)

新型インサイトでなんといっても感心させられるのは、そのパッケージングだ。ハイブリッドはエンジン車にモーターやバッテリーを追加しなくてはならないので、増える部品をクルマの中に収めるのが難しい。にも関わらずホンダは、室内やトランクルームを圧迫することなく、新型インサイトのパッケージングを成立させている。

パッケージングのうまさが感じられる新型「インサイト」(画像提供:本田技研工業)

当時は珍しかったハイブリッドを使いながら、従来同様の機能性を実現したのが初代インサイトだった。その誕生はかなり衝撃的なもので、世の中にインパクトを与えた。今や、見た目は普通のクルマになったインサイトだが、その中身が、初代同様に挑戦的なものであることには変わりない。目立たないながらもホンダらしさにあふれたクルマ、それがインサイトなのだ。

帰ってきたホンダのSUV! 日本復活で再考したい「CR-V」の現在地<br />

帰ってきたホンダのSUV! 日本復活で再考したい「CR-V」の現在地

2018.09.10

ホンダがSUV「CR-V」を国内市場で

日本市場で味わった毀誉褒貶、当初は売らなかった5代目

日本復活は絶妙のタイミング? 「CR-V」を取り巻く状況

ホンダは先頃、しばらくは日本での販売をやめていたSUV「CR-V」を国内市場で復活させた。なぜ今、このクルマを日本に導入するのか。そもそもなぜ、このクルマは日本から姿を消していたのか。このタイミングでCR-Vの過去を振り返るとともに、その日本における可能性を考えてみたい。

日本復活を果たした「CR-V」。サイズは全長4,605mm、全幅1,855mm、全高1,680mm。価格はガソリン車が税込み323万280円~403万560円から、ハイブリッド車が378万4,320円~436万1,040円から

ライトな機構のSUVとしてデビューした初代「CR-V」

「シビック」「インテグラ」「S2000」「NSX」など、スポーティなモデルがイメージをけん引していたホンダだが、1990年代後半にはレジャーユースのクルマの開発に力を入れていく。その代表格となったのが初代「オデッセイ」だ。オデッセイは“クリエイティブムーバー”という位置づけで、「RV」(レクリエーショナル・ビークル)と呼ばれていたクルマに“走りの性能”を加味したモデルとして大ヒットを遂げた。

初代「オデッセイ」(画像提供:本田技研工業)

そのクリエイティブムーバーの第2弾として、1995年に登場したのが「CR-V」だ。初代のスタイリングを見ればわかるように、当時のクロスカントリー4WD的なパッケージングを採用してCR-Vは誕生した。パワートレインは2Lのガソリンエンジンだった。

このパッケージングでありながら、4WDシステムは非常にライトなものだった。採用したシステムは「デュアルポンプ」といわれるもの。前後タイヤの回転差を2つのポンプで検出し、このポンプを使って前後駆動力の伝達を行う方式のスタンバイ4WDだ。当時、すでにスズキ「エスクード」やトヨタ自動車「RAV4」といったSUVが登場していたが、それらに比べ、CR-Vはずっと軽微な装置で4WDを実現したモデルだった。

ライトな機構を採用していた初代「CR-V」(画像提供:本田技研工業)

当時はクロスカントリー走行が重視される傾向が強かった(といっても、日本にはそうした場所はほとんどなかったのだが)こともあり、同システムのオフロード性能は酷評を受けることもあったが、実は日本での使い勝手は非常によく、CR-Vは高い人気を得た。このクルマが登場するまでホンダは、クロカン4WD系の自社モデルを持っておらず、いすゞ自動車の「ミュー」を「ジャズ」という車名で販売したり、ジープ「チェロキー」を「クロスロード」という車名で売ったりしていたこともあって、CR-Vはホンダファンから支持された。

徐々に大きくなったボディとエンジン

大ヒットとなった初代CR-Vはその後、モデルチェンジを繰り返していくことになる。2001年に登場した2代目は、4WDシステムこそ初代同様にデュアルポンプ式だったが、そのシステムは進化していた。2代目CR-Vに搭載されたエンジンは2Lだったが、初代とは異なる型式のものであり、2004年のマイナーチェンジ時には2.4Lに置き換えている。

デュアルポンプ式という機構を引き継ぎつつ、進化も遂げていた2代目「CR-V」(画像提供:本田技研工業)

当時はSUVという言葉が根付くか根付かないかの時代で、日本国内のSUV人気はさほど高くなく、主流はミニバンだったのだが、世界的に見ると、2代目CR-Vは非常に評価され、ヒットした。初代の全幅は1,750mmとすでに3ナンバーだったが、この2代目は1,780mmにまで幅を広げた。

2006年デビューの3代目はさらに大きく、全幅は1,820mmとなった。エンジンは2.4Lのまま。このモデルチェンジの際に、デュアルポンプにワンウェイカムを組み合わせた4WD方式とすることで、後輪への伝達トルク向上とレスポンスの改善を図った。2代目までは2ボックスのクロカン4WDライクなパッケージングであったのに対し、3代目はモノフォルムとなったことも特徴だ。

横幅が1.8mを超えた3代目「CR-V」(画像提供:本田技研工業)

2011年に登場した4代目で、CR-Vは大きな転換期を迎えた。北米での販売を強く意識し、ロサンゼルスオートショーで発表を行ったのだ。ボディ全幅は1,820mmのままだったが、日本での販売台数確保のため、2Lエンジンは復活させた。

北米での販売を強く意識していた4代目「CR-V」(画像提供:本田技研工業)

現行モデルとなる5代目は、ホンダが2015年に発表したもの。しかし、日本には導入せず、北米、中国、アジア、南米、ロシアなどで販売してきた。この5代目で、ボディ全幅は1,855mmにまで広がった。

なぜ今、日本復活なのか

初代のデビュー時、CR-Vは日本でも非常に注目されたモデルだった。2代目のデビュー時も注目度は高かったように記憶しているが、3代目あたりになると、その注目度は少しずつ落ちていったような気がする。3代目のデビューは2006年で、翌2007年には「ストリーム」をベースとした「クロスロード」(前に述べたチェロキーのOEMモデルとは異なる、ホンダオリジナルのクルマ)が登場。大型化、プレミアム化したCR-Vをフォローしたのが、このクロスロードだったのだ。CR-Vが格を上げたことは、かえって注目度を落とす結果につながったのかもしれない。

ホンダオリジナルとなった「クロスロード」(画像提供:本田技研工業)

4代目のデビューは2011年だが、私の記憶では、広報活動はあまり積極的ではなく、ひっそりとしていた印象がある。ホンダの方針としても、日本でのCR-Vは、ちょっと横に置いた存在としているような感じだった。世界的にはSUVのシェアが加速度的に増えていたが、日本ではまだまだということだったのだろう。そんな流れもあり、5代目は発表当初、日本に導入されなかった。

しかし、2017年の東京モーターショーにホンダはCR-Vを展示し、日本での販売再開をアナウンスした。この背景には、日本でのSUV人気の上昇がある。2017年通年の登録車の販売台数を見ると、4位に11万7,299台でトヨタ「C-HR」が入っている。ホンダのミニバン「ステップワゴン」は4万6,457台で22位だ。すでに日本でも、レジャーユースのクルマの主流はミニバンからSUVにシフトしていると見ていいだろう。

2017年の東京モーターショーに登場し、このほど日本で発売となった5代目「CR-V」

「CR-V」を買う前に押さえておきたいポイント

CR-Vには2列シートで5名定員のモデルと3列シートで7名定員のモデルが存在する。この組み合わせのクルマは、日産自動車「エクストレイル」、トヨタ「ランドクルーザー」および「ランドクルーザー プラド」、マツダ「CX-8」、三菱自動車工業「アウトランダー」など選択肢が豊富。CR-Vは後発となるが、こうした実用性重視のモデルの場合は、じっくり選ばれることも多いので、後発で装備が充実しているモデルのほうが、販売面で有利なことも多々ある。そういう意味でも、CR-Vの売れ行きには注目していきたい。

シートは2列か3列か選べる。画像の右側に見えているのが3列目シートだ

アウトドアレジャーの盛り上がりなどもあり、今後しばらくの間、SUVが人気モデルとしてシェアを伸ばしていくことは確実だろう。ユーザーは「本当に3列シートが必要なのか?」であったり、「3列目にはどれくらいの体格の人が、どれくらいの距離ならば乗っていられるのか?」といった点を熟慮してクルマを選ぶことが大切だ。大人数で長い距離を乗るならば、SUVはミニバンに敵わない。

ただ、「ミニバンに乗っていたものの、3列目には滅多に人が乗らなかった……」という人は、SUVの良さを深く感じられることだろう。やはり、SUVの乗りやすさは、ミニバンを大きくリードしているからだ。もちろん、5名までしか乗らないなら、2列シートを選ぶのが賢い買い物だ。

荷室容量は2列シートで5人乗車時がガソリン車で561L、ハイブリッド車で499L。3列シートの7人乗車時は150Lとなる