「瀬尾俊輔」の記事

瀬尾俊輔

サイバーエージェント、アニメIP投資に特化した新ファンド

サイバーエージェント、アニメIP投資に特化した新ファンド

2017.06.12

サイバーエージェントは、連結子会社のCygamesと共同で、アニメIPへの投資を目的としたファンド「CA-Cygamesアニメファンド」を6月中に組成する。

アニメ領域におけるサイバーエージェントグループの事業拡充を目的としたファンドで、アニメ製作委員会への出資を通してアニメ作品の権利取得を狙う。アニメIPへの投資に特化して組成するもので、ファンド総額は30億円を予定している。Cygamesおよびサイバーエージェントグループにおけるアニメのゲーム化展開や、子会社のAbemaTVが運営するインターネットテレビ局「AbemaTV」でのネット配信をはじめとしたメディア事業展開を拡げていく。こうしたアニメへのファンドは昨年、同社が運営するクラウドファンディングサイトMakuakeにて「この世界の片隅に」が7000万円以上を集め成功を収めるなど、注目されている。

日本動画協会の「アニメ産業レポート2016」によると、日本のアニメ産業市場は2015年実績で約1兆8,255億円におよび、前年比12%増、3年連続で拡大している。また2015年、ついにキッズ・ファミリーアニメ(全日帯放送)と深夜アニメ(深夜帯放送)の制作本数が逆転した。同調査によると、今後、世界でもアニメが子供だけでなく大人のコンテンツとなる可能性は大いにあるという。今後大人向けアニメの需要が日本だけでなく、世界的に高まっていくと考えられる中で、話題のアニメのゲーム化権利や、先行配信、独占配信が出来ればビジネスを有利に進められるというわけだ。

「神撃のバハムート」など、ゲームの企画・開発・運営を行うCygamesは、アニメ製作および委員会への出資事業も展開している。これまでに「この世界の片隅に」等、TVアニメ・劇場アニメ作品への出資も行っており、今後日本発の世界的なヒットタイトルを生み出すために、ゲーム化展開が見込めるアニメに積極的に「CA-Cygamesアニメファンド」を通し出資していく。

サービス提供開始から約1年でダウンロード数が1,700万を突破した「AbemaTV」では、月間の番組視聴数ランキングでも上位にアニメ番組がランクインするなど、2016年4月開局当初より、アニメコンテンツの人気が高い。18-34歳がユーザーの中で最も比率が多い「AbemaTV」は、主に若年層を狙った専門のアニメチャンネルを5チャンネル有し、TVアニメ・劇場版の配信タイトル数は累計700作品を超えている。「CA-Cygamesアニメファンド」を通し、各チャンネルと親和性の高いアニメIPへの出資を行うほか、オリジナルアニメ作品の製作なども予定しており、独自のアニメコンテンツの拡充を行っていく。

2015年におけるアニメの海外販売は、契約数が前年度の4倍となり、輸出額は195億円から349億円とほぼ倍増した。「クールジャパン」の象徴となり始めている日本アニメが、「アニメ=子供が見るもの」という常識を完全に覆す時が来れば、サイバーエージェントが狙うこの「配信権」や「ゲーム化権」が大きな利益を生む存在になるのかもしれない。

ホテル事業をはじめた日販、ブックディレクションで「人と本をつなぐ」

ホテル事業をはじめた日販、ブックディレクションで「人と本をつなぐ」

2017.06.09

出版取次の最大手である日本出版販売(日販)が、ブックディレクション事業を行う新ブランド「YOURS BOOK STORE」を立ち上げた。「人と本をつないでいく」をコンセプトに、本のある空間づくりや選書などを行い、企業ライブラリーの制作や、ブックホテルなど様々な事業を手掛ける。

出版市場が年々縮小し、業界の仕組みは大きく変わりつつある。昨年、出版取次第4位の栗田出版販売ですら経営破たんしたように、取次を取り巻く状況は非常に厳しい。アマゾンや大手書店に押され、街の書店は非常に減少している。書店がつぶれては、取次はそもそも本を卸すことが出来ず、売り上げが下がる。さらに追い打ちをかけるように、一部出版社はすでに取次を介さない直接取引をはじめている。「取次の存在意義」が問われかねない厳しい時代を生き抜くため、例えば近年ではトーハンが介護事業をはじめるなど、取次各社は事業の多角化を図っている。

日販のYOURS BOOK STOREでは、持ち前の流通販売網や、日販グループ各社との連携を生かし、商品調達から物流、企画、システム構築までオール・イン・ワンで行う。企画・コンセプトメイク・選書・イベント運営・空間プロデュースといった、本にまつわる様々な領域の事業を手掛けていく。つい最近完成して話題となったファーストリテーリングの新社屋にある図書室「READING ROOM」も、この「YOURS BOOK STORE」が手掛けたもの。「CREATIVITY」をテーマに2,000冊以上の書籍をセレクトし、外国の図書館のような空間をつくりあげた。

ファストリの「READING ROOM」。外国の図書館のような仕上がり

2018年には、新潟県南魚沼市のホテル型複合施設「里山十帖」を手がける自遊人と共同で、国内良書2万冊を蔵書したブックホテル「箱根本箱」をオープンする。一見、本とあまり関係がないように見えるホテル事業だが、日販がこれに取り組む背景には、昔の駅前の本屋のように気軽に本が手に取れ、本と生活が密着した心地よい空間で、「暮らす」ように滞在しながら本を読む楽しさ、本と向き合う楽しさを存分に味わってほしいとの思いがある。客室以外にコワーキングスペース、ショップ、カフェなどがあり、宿泊客以外も本に囲まれてゆっくりと過ごすことができるという。

ホテル「箱根本箱」

事業の多角化を進めている日販だが、原点には紙の本の存在がある。YOURS BOOK STORE事業の担当者は、「本のもつ力はいまだ衰えることはなく、いまも新しい本や本のあり方、本のある場所は生まれつづけている。YOURS BOOK STOREは、日販が出版流通を通じて繋いできたカルチャーの火を絶やすことなく、人と本をつないでいく場所や企画をつくっていく」と話している。

京急、グランピングでホテル若返り

京急、グランピングでホテル若返り

2017.06.09

東京湾を一望、京急が仕掛ける都心から1時間のグランピング施設

鉄道会社の京浜急行電鉄と、キャンプ事業を手掛けるスノーピークは6月9日に、「snow peak glamping 京急観音崎」をオープンした。運営は、観音崎京急ホテルが担う。東京湾を一望できるロケーションで屋外宿泊体験が出来るほか、地元である三浦半島の食材を多く使った料理を、観音崎京急ホテルのシェフが提供する。値段は1泊1人あたり平日25,000円から、土曜・休前日は29,500円から。スノーピークは国内4カ所のキャンプフィールドを運営しているが、常設グランピング施設をオープンするのは初となる。

食事は基本、外のテラスで食べる
モバイルハウスの外側

「グランピング」とは、「グラマラス」と「キャンピング」を掛け合わせた造語。大自然の中で高級ホテルのようなサービスが受けられる新たなキャンピングスタイルとしてヨーロッパで生まれ、近年日本でも人気が高まっている。場所は、神奈川県横須賀市、東京都心から1時間ほどの場所にある京浜急行「馬堀海岸駅」からバスで10分ほどの観音崎京急ホテルの前。宿泊するモバイルハウスは、オリンピック新国立競技場で知られる隈健吾氏がデザインを担当した。

天気がいいとこんな感じ
目の前の海

「東京から1時間、こんなに素晴らしい自然にめぐまれた場所があるんだと皆さんに知ってもらいたい」。そう語ったのは、京浜急行電鉄の原田一之社長。「平日に泊まってもらってそのまま会社に行けば、平日の利用客も増えるかな」などと述べ、笑いを誘った。スノーピークの山井太社長は、「我々スノーピークのグランピング施設の第一号となります。これを機に、三浦半島のいろいろなところが注目されて、地方創生にもつながればいいなと思っています」と語った。

テープカットが行われた
京急の原田社長もおいしそうにほおばっている

モバイルハウスは、ダブルベッドが1つの2人部屋。目の前には東京湾が広がり、ゆったりと自然を楽しむことが出来る。京急の広報担当者いわく、今回のターゲットは、20代、30代の若者だ。観音崎京急ホテルの利用客は40代、50代が中心で、もっと若い層に利用してもらいたいことから、今回のグランピング事業を始めることになったという。女性などに敬遠されがちだった不衛生な環境はなく、お風呂もホテルの温浴施設SPASSOが利用でき、露天風呂だけでなく、ヒーリングやボディケア、エステも楽しめる。もちろん、モバイルハウスも清潔感のあるつくりになっている。

室内はシックでおしゃれな仕上がり
別料金で酒類も完備

夕食と朝食は、各モバイルハウスに設置してある屋外デッキにて海を眺めながら。夕食は地元の海の食材をふんだんに使ったバーベキュー形式で、準備・片づけはホテルスタッフが行うため、後片付けなどを気にせず食事を楽しめる。キャンプというと山のイメージが強いが、三浦半島の海の幸を多く使用した魚介類が食べられるのも魅力の一つ。オードブル、地元の食材を使ったフランス料理ブイヤベース、メインとして地元の海で獲れた魚介類や国産牛などが食べられる。

夕飯はバーベキュー形式
お肉や魚介類がメイン

朝食は、パンや卵、チーズなどを提供する。ホットサンドメーカーの貸し出しを行うので、自分たちの好みで好きな具材を挟んで焼いて食べられる。

朝は貸し出しのホットプレートで好きな具を挟んで作れる

モバイルハウスの室内にはエアコンがついているため、台風などの場合を除き、通年で利用可能。雨の日は、食事だけ観音崎京急ホテルを利用することも出来る。ちなみに基本的に2人で泊まる仕様となるが、貸し出しの簡易ベッドを使用して3人で泊まると、少々狭いが1人当たり1000円割引になる。現時点で100件以上の予約があるが、平日はまだ余裕があるという。