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清水和夫

清水和夫(しみずかずお)

モータージャーナリスト

1954年、東京都生まれ。武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、国内外の耐久レースで活躍する一方、モータージャーナリストとして活動を始める。自動車の運動理論や安全性能を専門とするが、環境問題、都市交通問題についても精通。著書は日本放送出版協会『クルマ安全学のすすめ』『ITSの思想』『燃料電池とは何か』、ダイヤモンド社『ディーゼルこそが地球を救う』など多数。内閣府SIP自動走行推進委員の構成員でもある。
レクサスの“末っ子”は小粋な本格派? 今冬発売のコンパクトSUV「UX」に試乗!

レクサスの“末っ子”は小粋な本格派? 今冬発売のコンパクトSUV「UX」に試乗!

2018.10.22

日本では今冬発売予定のコンパクトSUV「UX」に一足早く試乗

魅力のエンジンを搭載、スペック以上の加速を実感

見た目はファミリーカーでも走破性に文句なし

2018年3月のスイス・ジュネーブショーで発表されたレクサスのコンパクトSUV「UX」に試乗する機会に恵まれた。国際試乗会はスウェーデンの首都ストックホルムで開催され、日本からも多くのメディアが参加した。

レクサスのコンパクトSUV「UX」に一足早く試乗。日本では2018年冬頃に発売予定だ。Lexus Internationalによると価格はまだ明かせないとのこと(画像は全てLexus Internationalの提供)

開発したのはレクサス初の女性エンジニア

ステアリングを握る前に、チーフエンジニアを務める加古慈(かこ・ちか)さんのプレゼンテーションを聞いた。レクサスとしては初の女性エンジニアであり、素材の研究者としてのキャリアを持つ加古さんは、欧州に駐在していた時に訪れたストックホルムの街に強い印象を受けたそう。自らが開発リーダーとなった新型車の試乗会をこの地で開催することに、深い思い入れがあったそうだ。

「UX」のコンセプトは「Creative Urban Explorer」(CUE)。新たなライフスタイルを探求するきっかけ(cue)となることを目指すクルマなのだという

加古さんと前にお会いした時はレクサスのコンパクトカーである「CT」の開発主査だったが、今回はUXのチーフエンジニアであり、レクサスカンパニーのナンバー2にまで昇格していた。事実上、レクサスの技術部門のリーダーなのである。

夏は白夜、冬はほとんど太陽が拝めない北欧で暮らす人々は、常に自然の厳しさと隣り合わせであるがゆえに、自然との調和、人とのつながりを大切にする独特なライフスタイルを創りだし、育むことができたのかもしれない。そんな北欧の地で揺すぶられた加古さんの感性は、「新たなライフスタイルを探求するきっかけ」を目指すというUXのコンセプトにも反映されているはずだ。

レクサスの代名詞ともいえるスピンドルグリルにはブロックメッシュ形状を採用。見る角度によって表情が変わる

小粋な末っ子は中身もスゴイ

UXはエンジンを横に置く「GA-Cプラットフォーム」を採用しており、トヨタ自動車のプリウスやカローラ系などの流れを汲む。サイズ的には欧州プレミアムブランドのライバル達よりも少し小ぶりだが、個性的なデザインのおかげで存在感は強い。レクサスファミリーの末っ子として登場するUXは、コンパクトながら小粋なキャラクターといった印象だ。

しかし、その中身は兄貴達にも負けないものを持っていると加古さんは自信をのぞかせる。スタイリングはひと目でクロスオーバーSUVだとわかるが、よく見るとスポーティなハッチバックとも思える。早い話がスペシャリティカーであり、ドライバーズカーなのだと納得した。

外見はクロスオーバーSUVのシルエットだが、コックピットは低いドライビングポジションを実現している

今回、UXが搭載するエンジンは魅力的だ。2リッター直列4気筒の高速燃焼を実現する「ダイナミック・フォース」と呼ばれるもので、ロングストロークのエンジンは吸気バルブにレーザークラッドという技術でバルブシートを溶射し、吸入空気の流れをスムースに制御する。そのおかげで、タンブル(縦渦のこと。エンジンのシリンダー内でタンブルが発生すると、燃焼速度が向上する)を無駄なく生じさせることが可能となった。空気と燃料をよくかき混ぜて、一気にプラグ点火で燃焼させる。その燃焼速度の速さゆえに、エンジンの出力と効率が高まるのだ。この技術はF1のエンジンでも使われている。

ベースモデルのガソリン車は最大出力171ps、最大トルク205Nmを誇るが、AT(オートマチックトランスミッション)は発進用にギアを持つCVT(無段変速機)だ。乗ってみるとスペック以上の加速を感じられる。

乗ってみるとスペック以上の加速を感じた

ハイブリッドも選択可能、燃費と走りでライバルに差

上位グレードにはハイブリッドも用意する。ダイナミック・フォースにモーターを採用するタイプで、トルクはハイブリッドの方が大きい。燃費と走りではライバルを引き離すポテンシャルを持っているわけだ。車体にはレクサスの走りに見合うよう手を加え、ボディ剛性を高めた。ゆえにサスペンションはスムースに動き、しなやかで強靭な走りが可能となる。

局所的に目立つようなキャラクターは感じないものの、全体のバランスは素晴らしいというのがUX評のまとめだ。癖がないので、誰がハンドルを握っても好感が持てるだろう。ボディサイズは全長4,495mm、全幅1,840mm、全高1,520mmで、最小回転半径は5.2mと小回りがきく。キャビンは乗り降りしやすく、タワーパーキングも利用できる。

選ぶべきはスタンダードの17インチタイヤか、スポーティな18インチタイヤか。よきファミリーカーとしては前者、走りを楽しむには後者がおすすめだ。

日本でも取り回しがしやすいサイズ感

森と湖に囲まれたストックホルムの郊外をドライブしていると、地平線の向こうまで走りたくなる。ハイブリッドの燃費はリッター20kmを超えるので、1,000kmくらい先までは行けそうだ。北欧では北緯66度前後を超えると「ラップランド」と呼ばれる厳寒の地に踏み込む。UXにはAWDモデルもあるので、北国でも頼もしい走りが可能だ。見た目は良きファミリーカーであっても、走破性には文句がないと思った。

不易流行の極地…清水和夫のトヨタ新型「センチュリー」試乗レポート

不易流行の極地…清水和夫のトヨタ新型「センチュリー」試乗レポート

2018.08.30

皇室とは切っても切れない日本の高級車開発史

都市と融合する洗練のデザイン、類いまれな重厚感

世界で最も高級? 新型センチュリーの乗り心地やいかに

トヨタ自動車の「センチュリー」が3代目に生まれ変わった。今回の新型は「御料車」(天皇および皇族が使用するクルマ)としても使われるので、開発は入念に行われたはずだ。

トヨタの新型「センチュリー」。初代は1967年に誕生した純国産の高級車だ。この年はトヨタの原点である豊田佐吉の生誕100年にあたり、「世紀」という意味の車名はそれにちなむ

戦後はどの時代もそうだが、日本の最高級車は天皇陛下がお乗りになることを前提につくられた。クルマの開発史と御料車には、無視できない関係があるのだ。まずは、その辺りから話を進めていこう。

御料車としての使用を前提に開発された新型「センチュリー」

御料車をめぐるトヨタと日産の歴史

初代センチュリーが誕生した1967年の日本では、戦後復興の経済成長が著しく、自動車メーカーも世界と戦える技術を身につけ始めていた。偶然にも同じ年、日産自動車のプリンス事業部は、天皇陛下がお乗りになる御料車を完成させ、「プリンス・ロイヤル」という名前で納車した。

それから約40年間、プリンス・ロイヤルは皇室の最高級車であり続けた。一方のセンチュリーは、企業のトップが乗る高級車として使われきた経緯がある。台数の関係からいえば当然だが、一般の方にとってみれば、プリンス・ロイヤルよりもセンチュリーのほうが記憶に残っているはずだ。

「センチュリー」は企業のトップが乗るクルマとしての歴史を歩んできた(画像は新型)

プリンス・ロイヤルは宮内庁からの依頼で日産が開発したもので、一般人が乗るクルマではなかった。設計・開発を担当したのは、プリンス自動車の若きエンジニアだった千野甫(はじめ)さん。彼は、それまでの御料車だった「ロールス・ロイス」を研究してプリンス・ロイヤルを開発した。

プリンス・ロイヤルのサイズは全長6mを超え、重量も3.5トンを上回っていたが、トヨタが開発したセンチュリーは、あくまでも民間企業の社長が乗る高級車だったので、全長は約5.1mの大きさだった。

御料車として、約40年間にわたって活躍したプリンス・ロイヤルにも、そろそろフルモデルチェンジの必要が出てきた2005年頃、日産は大きな高級車の自主開発を断念し、御料車の開発はトヨタが担当することになった。そのとき、トヨタは2代目「センチュリー」をベースに御料車を開発し、「センチュリー・ロイヤル」として納車したのである。

「センチュリー・ロイヤル」のベースとなった2代目「センチュリー」(画像提供:トヨタ自動車)

さて、話を現代に戻すと、トヨタは今回の新型センチュリーが御料車にも使われることを当初から分かっていたので、量産車をベースに新しい「センチュリー・ロイヤル」を開発している。こちらのクルマは性格上、細かいスペックが明かされていない。

風格たっぷりのデザインに群を抜く重厚感

ここからは新型センチュリーに注目していく。

このクルマは決してドライバーズカーではないのだが、その洗練されたスタイルは、退屈なショーファーカー(運転手の存在を想定したクルマ)とは思えないほどデザインが完成されている。その風格は時代を超えた威厳すら感じさせるが、それでいて、高いところから見下ろすような嫌味はない。都市との融合――。そんな言葉が思い浮かぶデザインではないだろうか。

洗練されたスタイルが特徴の新型「センチュリー」

実際にドライバー席に乗り込んでみると、ドアが閉まる時の重厚感はたまらない。きっと、由緒あるお屋敷の扉を閉めた時というのは、こんな感覚が味わえるものなのだろう。パワープラントは先代センチュリーが搭載していたV12気筒が廃止となり、V8エンジンのハイブリッドに変わっている。もちろん、V12よりも走りは静かになった。

パワープラントはV8のハイブリッドとなり、走りも静かだ

後席の雰囲気は、どうみてもショーファーカーだ。レースのカーテンからは、いかにも昭和といった匂いがする。後席に座るVIPを、いかに快適に目的地まで送り届けるか。ショーファー(運転手)には繊細なドライビングが求められる。

昭和な後席にも風情がある

量産型センチュリーは、御料車とはスペックは異なるものの、それでも重厚感は素晴らしい。あえていえば、時速100キロ以下なら世界で最も高級な乗り心地なのではないだろうか。

ステアリングを握ると、トロッとしたハンドリングに加え、「スムースネス」という言葉以外に表現しようがないほどの加速感に感激する。試乗した箱根ターンパイクは、この日だけペルシャ絨毯が敷かれているようだった。

まるでペルシャ絨毯の上を走っているような極上の乗り心地

レクサスとセンチュリーを使い分ける人も

知り合いの大手企業の会長は、センチュリーとレクサス「LS」をTPOで使い分けている。ほかの企業のトップとの会合ではレクサスLSを使い、ゴルフにはセンチュリーに乗って行くそうだ。その理由は、センチュリーの方が乗り心地がよいので、疲れた身体を癒やすことできるからだという。

トヨタの中でもレクサスは高級プレミアムという位置づけだが、ドライバーズカーというキャラクターも与えられているから、その会長さん、LSでは時たま運転を楽しむらしい。新型LSはBMW「7シリーズ」を意識しているが、センチュリーはショーファーカーに徹したクルマなのだ。

トヨタで高級路線といえばレクサスもあるが、センチュリーにはショーファーカーに徹した魅力がある

すでに述べたように、昭和と(もうすぐ終わる)平成の香りが色濃く漂うものの、ハイブリッドや高度な運転支援など、センチュリーの技術はとても先進的だ。まさに「不易」と「流行」(時代とともに変わるべきものと変わらないもの)という言葉がピッタリと当てはまる日の丸高級車は、我らの誇りである。
 

高級車の概念を変える? メルセデス・ベンツ新型「Aクラス」に試乗

高級車の概念を変える? メルセデス・ベンツ新型「Aクラス」に試乗

2018.05.31

メルセデスブランドのエントリーモデルである「Aクラス」がフルモデルチェンジした。すでにジュネーブショーで発表されているが、改良したボディと「MBUX」(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)というユーザーインターフェースが新技術として注目されている。先頃、アドリア海に面したのどかなクロアチアのリゾート地で国際試乗会に参加したので、新型Aクラスのインプレッションをレポートする。

メルセデス・ベンツのコンパクトカー「Aクラス」の新型にクロアチアで試乗した(全ての画像:メルセデス・ベンツ日本)

高級車メーカーがコンパクトカーに踏み込んだ理由

そもそも、「Aクラス」とはどんなクルマなのだろうか。高級車メーカーとして知られるメルセデス・ベンツがコンパクトカーの路線に踏み込んだのは1997年頃のこと。ほぼ同じ時期に全長3.6mのAクラスと全長2.6mの「スマート」(2人乗り)を発表した。

初代Aクラスは1993年のフランクフルトモーターショーに出展された「Vision 93 A」の量産モデルだ。メルセデスが「カローラ」クラスのクルマを作るということで日本メーカーも驚いたが、もっとも驚異を感じたのは同じドイツのフォルクスワーゲン(VW)だった。高級車メーカーがコンパクトカーを開発する背景には、どんな考えがあったのだろうか。

なぜ高級車メーカーのメルセデスがコンパクトカーに参入したのか

メルセデスは1980年代に“小ベンツ”と呼ばれた「190E」をリリースした。オイルショックや環境問題などを考えると、大きな高級車だけを作り続けることに限界を感じていたのかもしれない。

米国や英国における自動車の歴史を見ると分かるように、大きな高級車メーカーには恐竜のように絶滅のリスクがつきまとう。環境と安全問題、エネルギーと資源問題などを考え合わせると、大きなクルマだけを作っていては、未来も事業を続けていけるとは限らないのだ。その意味で、高級ブランドのメルセデスではあるが、プレミアムなコンパクトカーを開発することには、30年くらい前からの強い信念があった。

更に大きくなった5ドアハッチバック

1997年に誕生したAクラスは、エンジンを水平15度に寝かせるという発想で、衝突時にエンジンがサンドイッチ構造の床下に落ちることで、そのエネルギー吸収を高めていた。ちなみに、全長2.6mのスマートはエンジンをリヤに搭載していた。Aクラスと同じ考えだったのだ。

今回でAクラスは4代目となるが、3代目からはモノコックボディとなり、全長4mを超えるCセグメントに移行した。メルセデスのラインアップ的には、Bセグメントは「スマート フォーフォー」(4人乗り)、Aセグメントは「スマート フォーツー」(2人乗り)となる。

4代目の新型Aクラスは、先代Aクラスよりも全長が120mm伸びて4,419mmとなっている。幅は+16mm、ホイールベースは+30mmということで、更に立派に見えるようになった5ドアハッチバックだが、来年にはセダンタイプも登場する。先代のプラットフォームを大幅に改良しているが、主な変更点は車体剛性の強化と音振動対策だ。さらに、空力特性も見直して、空気抵抗係数(Cd値)ではクラストップの0.25を実現。速度の高いアウトバーンでは燃費改善に大きく利きそうだ。

さらに大きくなった新型「Aクラス」

「高級車といえばFR」は通用しなくなる

エンジンはルノー・日産製の1.4リッターを大幅改良したものとメルセデスオリジナルの2リッターターボを用意。欧州では1.5リッターのディーゼルが搭載されるが、近い将来にプラグインハイブリッド車(PHEV)が登場することは間違いないだろう。

ギアボックスは7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を使うが、実際に乗ってみると発進時のスムースネスが進化している。2リッターターボの「A250」は、350Nm前後のトルクを発生するかなりの俊足ぶり。1.4リッターターボの「A200」も250Nmのトルクを発揮するので、これでも十分なパフォーマンスだ。

走行性能も満足のいくものだった

驚いたのはエンジンではなく、Cセグメントとしての完成度の高さと高級感だ。FF(前方にエンジンを積み、前輪で駆動)とは思えないほど、NVH(自動車の乗り心地を測る基準、「N」はノイズ、「V」は振動、「H」はハーシュネス=荒れた路面を走行する際の揺れや音)性能が高かった。

FFはフロントタイヤで駆動するので、サスペンションのブッシュ(サスペンションの連結部に装着する部品、基本はゴム製)などを固くする必要があるし、エンジンの振動もハンドルに伝わりやすい一方で、全長を大きくせずキャビンを広く使えるので、ファミリカー(大衆車)として発展した。それに対し、FR(前方にエンジンを積み、後輪で駆動)は高級車というのが従来の図式だった。だが、メルセデスが20年もかけて開発してきた新型Aクラスは静かでしなやかで、FRかFFか分からないほど、質感の高い走りが実現している。

FFとは思えないほど走りの質感が高かった新型「Aクラス」

リヤサスペンションは「A250」がマルチリンクを使うが、17インチタイヤの「A200」にはトーションビームを採用する。その狙いは、すでに述べているようにPHEV対応だ。バッテリーのスペースを確保するのが、その最大の理由。マルチリンクは4MATIC(AWD、四輪駆動)にも対応可能なので、更に高性能な「A45 AMG」の展開も視野に入っているだろう。

ということで、新型AクラスはFFの常識を打ち破るほど静かで乗り心地がよかった。エンジンに関しては可もなく不可もなく、という感じだが、気になるのはPHEVの出来栄え。きっと「EQパワー+」(EQ Power +)の名前で登場するはずだ。

インテリアは高級車「Sクラス」を思わせるほど先進的で、メーターは横長の大型液晶パネルに映し出される。今回、メルセデスがこだわったのは「MBUX」(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)というユーザーインターフェースだ。デジタル技術を駆使した操作系だけでなく、AIを使った音声認識も実用化している。

インテリアは「Sクラス」を思わせるほど先進的

「AI」はバズワード化し、言葉の意味があいまいになっている側面もあるが、メルセデスの場合はドライビング中に必要な用途に特化している。音声認識は全世界の23カ国語に対応。もちろん日本語で話しかけても大丈夫だ。試乗では実際にMBUXを使ってみた。

AI搭載のMUBX、協力サプライヤーも多彩

「ヘイ、メルセデス」と語りかけることからMBUXは始まる。従来の認識とは異なり、AIが搭載されているので使い方はロボットのよう。例えば「明日どこどこに行くけど傘は必要?」と聞けば、天気予報を調べて「傘は要りませんよ」と答えてくれる。あるいは渋滞に巻き込まれたとき、「会議に送れるのでボスにメールして」と指示すると、MBUXはメールを作成し、送信してくれる。まるで夢のようなことが可能となる。

MBUXは交通や運転環境に特化したデータベースを持つので日常的な会話はできないが、ドライバーのアシスタントとしては良きパートナーになりそうだと思った。そんな素敵なシステムが、メルセデスのエントリーモデルから実用化されたわけだ。

AI搭載のMUBXはドライバーの良きパートナーとなりそうだ

MBUXが使う音声認識技術は米国のニュアンス(Nuance)という企業が提供している。カーナビはドイツのヒア(HERE)、天気(米国)のソースは「Foreca」「Autonavi」を使うが、データベースはIBMを使用している。 インフォテイメントのOSはリナックス(Linux)、車載用コンピュータはエヌビディア(NVIDIA)と多彩なサプライヤーが協力している。

このように、車内での体験にも新味のあるメルセデス・ベンツの新型Aクラス。日本上陸は秋以降になりそうだが、高級車はFRという固定概念は捨てたほうがよいかもしれない。