「松村太郎」の記事

松村太郎

買って実感した「iPhone XS Max」の最高さ、でも「XR」に浮気しそう

買って実感した「iPhone XS Max」の最高さ、でも「XR」に浮気しそう

2018.10.16

「iPhone XS Max」を3か月使ってみた感想と、他機種との比較

動画視聴における、XS・XRの画面サイズの罠

XRはカラバリ・広角ポートレート・バッテリー持続時間等で強み

2018年のiPhoneのラインアップの中で、筆者が選ぶとしたら、「iPhone XS Max」だ。すでに使い始めて3週間が経過しており、想像していた部分、それと異なる部分、他機種との比較などをご紹介したいと思う。

筆者はケータイ世代の走りであり、インターネットへのアクセスデバイスははじめからモバイルだった。そのこともあって、スマートフォンはPCやタブレットよりも長い時間接している、いわゆる「メインデバイス」となる。

サイズのマジック

スマートフォンをメインとする一方で、手が大きい方ではなく、iPhoneが4インチから4.7インチに拡大した2014年には、片手で握りながらの操作を危なっかしいと感じるようになった。ならばと、その後はできる限り画面サイズが大きなモデルを選び、両手で使うスタイルにしている。

iPhone XS Maxは6.5インチの有機ELディスプレイを備え、これまでのiPhoneの中で最大の画面サイズを備える。ただ端末サイズでいえば、iPhone 8 Plusなど従来の5.5インチ モデルと比べ、わずかだが小さくなった。縁までディスプレイを敷き詰めるオールスクリーンによって、より大きな画面サイズと同等の端末サイズを両立させているのだ。

端末サイズ比較。「iPhone XS Max」(左)は、高さ157.5mm×幅77.4mm×厚さ7.7mm。「iPhone 8 Plus」(右)は高さ158.4mm×幅78.1 mm×厚さ7.5 mmで、iPhone XS Maxの方が小さくなっている

2018年モデルのiPhoneは全モデルでオールスクリーンが採用されたが、興味深いことに、iPhone XS、XR、XS Maxの3モデルとも、端末サイズはiPhone 8と8 Plusの間に収まっている。そのため、もしiPhone 6 Plus以降の5.5インチモデルを使っている場合は、どれを選んでも端末サイズで困ることはないだろう。

筆者の場合、操作する上ではいずれにしろ両手が前提となるため、画面サイズの拡大はキーボードなどのインターフェイスの操作のしやすさにつながり、むしろありがたい対応となる。ただそのサイズが故に、持ち運ぶ際には問題が生じる場合も多い。ズボンやジャケットのポケットに収まらない点は、ジレンマとなる。

PlusユーザーはMaxしか選べない

もう1つのジレンマは、5.5インチのPlusユーザーと画面サイズの問題だ。

iPhone Xが登場した2017年、それまでで最も大きな画面サイズとなった5.8インチのディスプレイを備えていた。しかし「最大の画面サイズ」という表現は、NetflixやYouTubeなどで映像を楽しんでいる人から反論されることになる。

確かに表示領域の対角は5.8インチかもしれないが、横幅は5.5インチのPlusモデルより狭く、縦の長辺がぐっと伸びている。そのため16:9の映像を見る際は短辺の長さで映像のサイズが決まるため、iPhone 8 PlusよりもiPhone Xの方が小さくなってしまうのだ。

iPhone XRも、横の幅はiPhone 8 Plusより狭いため、やはり映像を楽しむ際のサイズは小さくなる。結果としてiPhone 8 Plusと同じ画面の幅があるiPhone XS Maxを選ばなければ、同等の視聴体験を楽しむ事はできない。

Plusサイズでビデオを楽しんでいれば、その体験を維持するためにはiPhone XS Maxを選ぶしかなくなる。

価格はだれにとっても問題

そのiPhone XS Maxは米国で64GBモデルが1,099ドルから販売されているが、ビデオやゲームをダウンロードして楽しむ事を考えれば、1,249ドルの256GBモデルを選んでおくべきだ。ちなみに日本のApple Storeでの価格は141,800円(税抜)。

確かに値は張るが、iPhoneは他のスマートフォンに比べ、ソフトウェアのサポート期間も5年近くと長く、昨今はiOSの刷新で過去のモデルの速度向上も見られている。「A12 Bionicプロセッサ」も、2~3年はハイエンドスマートフォンの性能を発揮し続けるだろう。

それでも、SIMフリーモデルを手に入れようとすれば1度の出費は大きいし、12回払いにしても毎月の支払いは12,000円を上回る。

米国などでApple Storeが提供するiPhone Upgrade Programを利用できれば、24分割して毎月60ドル33セントを支払い、12回払った段階で新モデルに乗り換えられる。かつAppleCare+が付帯するため、日本での分割払いより有利だ。

注意が必要なのは、10万円以上の製品でローンを組むことにもハードルがあるといわれている点。これはApple Storeだけでなく携帯電話ショップでの購入の際にも障害となってくるだろう。

iPhone XRとの比較

10万円のハードルという点では、売れ筋となる128GBモデルが10万円を切っているiPhone XRは、価格面でより魅力的と言える。iPhone XS Maxと比べると、

・ディスプレイのテクノロジー
・ディスプレイのサイズと解像度
・シングルカメラ
・4×4 MIMOへの対応

の4点が性能面での違いとなる。

ディスプレイは有機ELではなく液晶となり、解像度はフルHDに満たない。

またiPhone XS Maxより画面が小さいため、iPhone 8 Plusと比較すると、映像を楽しむ際のビデオの領域もわずかに小さくなる。しかしiPhone 8と同じドットの細かさで画面を拡大していることから、画面が粗く感じるわけではない。

シングルカメラの問題もある。望遠やマクロ撮影を好む人にとっては、瞬時に2倍に切り替えられるデュアルカメラの方が便利だし、人以外のポートレート撮影にも向いているだろう。その一方で、iPhone XRで実現する広角でのポートレート撮影は、グループショットにも向いており、使い勝手が良い場面もあるかもしれない。

一方で6色のカラーバリエーションは、iPhone XRならではの特徴と言える。

ホワイト
ブラック
ブルー
イエロー
コーラル
(PRODUCT)RED

そして、iPhone XS MaxはXよりも1時半のバッテリー持続時間向上を実現しているが、実はiPhone XRはXS Maxよりも、インターネットやビデオ再生で更に長い持続時間を実現していることも知っておきたい。

XR(右)のインターネット利用は最大15時間、ワイヤレスでのビデオ再生は最大16時間を実現。これはXS Max(左)のインターネット利用最大13時間、ワイヤレスでのビデオ再生最大15時間よりも長い

まだ試していないiPhone XRに高い評価を与えることは早計だが、A12 Bionicを搭載し、長く高い性能を維持できる点はiPhone XS Maxと同様であり、2018年のiPhone体験を十分楽しめることは間違いない。

iPhone XRについてはまだ見どころがありそうなので、機会があれば実機レビューを通じて、改めて考えてみたいところだ。 

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「Apple vs Google」スマホ戦争を制すのは? 水面下で「AI」中心の覇権争い

「Apple vs Google」スマホ戦争を制すのは? 水面下で「AI」中心の覇権争い

2018.10.15

2018年モデルのスマホが出揃う今、各社動向をまとめる

注目すべきはハイエンド製品の差別化にあり

カメラはGoogle、プラットフォームではAppleが有利か

「iPhone X」ほどの衝撃はなくとも裏では大きな変革が見える

2018年モデルの新型スマートフォンが出揃いつつある。

ここで一度、各社の発表内容をまとめながら、スマートフォン競争の様子を俯瞰して見てみよう。

「5点」に絞られたスマホ競争

Appleは9月12日にiPhone XS・iPhone XRを発表し、5.8インチ・6.5インチの有機ELディスプレイを搭載したiPhone XSシリーズを9月21日に発売した。廉価版となるiPhone XRは10月19日から予約を開始し、10月26日に発売される予定となっている。

iPhone Xs、iPhone Xs Max

Samsungは8月に米国ニューヨークで、フラッグシップとなる6.4インチ有機ELディスプレイを搭載したGalaxy Note9を発表。日本でも10月下旬の発売が決まっている。

Googleは10月9日に米国ニューヨークで、第3世代となる自社ブランドのスマートフォンPixel 3、Pixel 3 XLを発表。こちらも日本で11月に発売される予定だ。10月30日にはニューヨークでOnePlusが新製品を発表する予定となっている。

ここまでの各社の発表から、新モデルのスマートフォン競争でのポイントは、以下の5つに集約されつつある。

1.画面サイズの6.5インチ程度までの拡大
2.有機ELディスプレイを採用した高画質を実現
3.サウンド再生機能
4.カメラ撮影機能
5.スマートウォッチ、ペンなどのアクセサリ

各社の動向を説明する上で、もっとも注目すべきはAppleだ。以下、同社の発表を元に説明を進めていこう。

eSIM対応で欠点をつぶしたApple

まず触れておくべき点は、新たに「eSIM」(中国では2枚のSIM)を活用した2つの回線の同時待ち受け(DSDS)のサポートを実現したこと。また上位モデルとなるiPhone XSでは4×4 MIMOのサポートによる1GbpsクラスのLTE通信を実現した。

これはiPhoneとしては初めての対応となるが、Androidの世界ではすでに実現されてきたことであり、昨年のワイヤレス充電や防水機能などと同様に、通信面での欠点をつぶした対応と見ていいだろう。

機械学習の処理能力を日々のスマホ利用に生かす

次に、AppleとGoogleが同調して仕掛けている「ハイエンドスマートフォンの差別化」要因が顕在化してきた点に注目してみる。

Appleは9月12日、ハイエンドモデルのiPhone XSからエントリーモデルのiPhone XRにまで搭載した「A12 Bionic」に備わっているニューラルエンジンにフォーカスしたプレゼンテーションを展開した。

そこでは、Appleが推進する拡張現実(AR)アプリのデモや、ただカメラで映しているだけで、バスケットボールのシュート練習の分析を行うことができるアプリを紹介。これらのデモは、今までできなかったことを実現する未来の可能性を見せるものであった。

リアルタイムのシュート分析機能が可能に

新しいカメラ機能についてもAppleは、A12 Bionicの性能を根拠とした進化をアピール。上位モデルでカメラが2つ搭載されているiPhone XS以上に、iPhone XRでその真価が発揮されている点も興味深い。

iPhone XRにはiPhone XSと同じ広角レンズを備える1200万画素の新しいセンサーが搭載されたが、望遠レンズのカメラは用意されなかった。

しかしAppleはこの1つのカメラと画像処理プロセッサ、ニューラルエンジンによる機械学習処理を組み合わせることで、2つのカメラと同じようにポートレートモードの写真を撮影することができるようにしている。

ちなみに、人の被写体を認識して背景と切り分けることから人のポートレート撮影に特化される点、そして、望遠レンズではないために近づいて撮影しなければならない点はiPhone XSとの差別要因となる。

その他にもiOS 12では、Siriがユーザーの行動からパターンを見出し、今必要なアプリの機能を提案したり、これに声の命令を割り当てて呼び出せるようにするSiri Shortcutsを用意したが、こちらも機械学習を生かして日々のiPhone利用を便利にする取り組みと位置づけられる。

Googleも、AIでPixel 3を差別化

GoogleのPixel 3の発表もまた、AIによるスマートフォンの差別化を前面に押し出すモノだった点で、Appleとの共通点を見出すことができる。

Pixel 3にも、1220万画素のデュアルピクセルセンサーを備えた1つのカメラが搭載されているが、同時にIntelと共同開発した「Visual Core」が搭載された。これは昨年のPixel 2から用意されていたチップで、いわば2つ目のプロセッサが搭載されているようなものだ。昨年のVisual Coreは8コアで、画像処理を行うことに特化されてきた。

Pixel 3 XL

Pixel 3でGoogleは「2つ目のカメラを搭載する必要はない」との結論に達し、超解像ズームやナイトショットなどのスマートフォンのカメラが苦手とされていたシチュエーションでの撮影品質の向上に加え、やはり機械学習処理によるポートレートモードの搭載、またグループショットで全員が笑顔で揃っているカットをおすすめするTop Shotなどの撮影機能を用意した。

また、Googleレンズは日本語にも対応し、映しているものの文字を自分の言語に翻訳して見せてくれる機能を利用できるようにしている。ほかにも、カメラ機能に関する機械学習処理でも非常に多くの新機能が用意されているが、Pixelの魅力はそれだけではない。

カメラを長押しして「Googleレンズ」を起動させることで、文字を認識し、日本語に翻訳することができる。URLを読み取ることも可能だ

電話機能における進化も注目だ。5月のGoogle I/Oで披露した合成音声を用いて電話でレストランなどの予約を取ることができるGoogle Duplexを11月からニューヨークやサンフランシスコなどの米国の都市で利用可能にするという。

さらに、米国で問題になっているロボットコールと言われる迷惑電話に対して自動的に応答し、端末内で音声認識をして文字でユーザーに対応を選択してもらうCall Screenも備えた。

プラットホーム化ではAppleがリード

スマホ市場を牽引するAppleとGoogleは、スマートフォンのハードウェア、OSの双方をデザインする点で共通している。彼らが、スマートフォンにおいてAIを活用して行くトレンドを作り出そうとしている点でも共通項を見いだせる。

中でも、カメラや画像処理に関するアルゴリズムの実装では、Googleが上回っている。画像認識の精度の高さや、写真・ビデオの補正、人物の認識などは、Googleの方が正確であると評価することができるし、Pixelにこれらのノウハウをしっかりと取り入れてきた。

しかし、AppleはA11 Bionicでニューラルエンジンをプロセッサに組み込み、A12 Bionicではこれを大幅に進化させている。AppleはiPhoneのカメラ機能の向上にニューラルエンジンを用いているが、CoreMLを用いて開発者もその処理性能を生かすことができ、Appleが9月12日に「新しい世代のアプリ」として紹介したツールやゲームの新規性を作り出している。

もちろん、シリコンバレーでも、人工知能や機械学習技術者の不足が叫ばれる現状を考えれば、Appleの機械学習を生かしたアプリの奨励はアグレッシブに映る。しかし、アイディア、デザイン、ユーザビリティなどで差別化するアプリ開発競争に、アルゴリズムが加わっていくことを、Appleは明確に示している。

各社の新製品群は、一見2017年の「iPhone X」から代わり映えしないように見えるが、背後では「AI」を中心として大きな変革が進行しているのだ。

新型iPhoneの予測まとめ、Appleの秘策は全モデル完全フルスクリーン?

新型iPhoneの予測まとめ、Appleの秘策は全モデル完全フルスクリーン?

2018.08.31

9月発表が噂される新型iPhoneについて考察

iPhone Xの後継モデル、および大画面モデルが登場か

iPhone 8と同程度の価格帯の液晶全画面モデルも予測

TrueDepthカメラが、今後のApple製品の武器となる

2018年9月に登場するとみられる新型iPhone。

2018年9月のカレンダーと、Appleの決算日の関係から、9月21日が発売日となり得る可能性が高いと筆者は予測する。それでは、AppleはどんなiPhoneを用意しているのだろうか。

iPhone X化するラインアップ

2017年にAppleは3つの新しいiPhoneを用意した。既存の画面サイズを踏襲した4.7インチ液晶のiPhone 8、5.5インチ液晶のiPhone 8 Plus、そして新たに有機ELパネルを使用し画面サイズを拡大した5.8インチのiPhone Xだった。

2016年までは4.7インチと5.5インチの2種類のiPhoneを発売してきたが、2017年はiPhone Xが加わり、3モデル構成となったことが変更点だった。その体制を続けるならば、2018年も3つのiPhoneを期待することができる。

「iPhone X」

まず、有機ELパネルを搭載した5.8インチのiPhone Xは、後継モデルが登場することは想像に難くない。また、iPhone Xの画面サイズを拡大させた大画面モデルの登場も期待され、6.5インチに設定されると予測されている。

既存の5.8インチモデルのiPhone Xは、iOSの挙動から、iPhone 8 Plusのような「大画面モデル」の扱いではないことが読み取れる。例えば、横長のランドスケープモードで構えた際、メールやメモなどのiOS標準アプリの画面構成が大画面モデルのように「リスト」と「コンテンツ」の2画面にはならないからだ。

そして、残るもう1つのモデルには、6.1インチの液晶全画面モデルが用意されるとの予測が大勢を占める。Appleは昨年、有機ELパネルによって縁取りがない全画面デザインを実現したと説明していたが、これを液晶で実現しようとしている。

2017年には、iPhoneに先駆けて、Samsung GALAXY S8やEssential Phoneが全画面スマートフォンを発売しているが、後者は有機ELではなく液晶画面で全画面モデルを実現し、iPhone Xより先に、画面の中に切り欠きを用意してカメラを備える「ノッチ」デザインも世に送り出した。

日本のディスプレイメーカー、JDIは2017年6月に、四辺の額縁を細く抑えたスマートフォン向け「FULL ACTIVE」ディスプレイの量産を開始している。Appleもこの技術を採用し、液晶全画面モデルの実現を行おうとしている、と考えられる。

液晶モデル投入の理由

Appleに関する予測の正確さに定評があるアナリスト、Ming-Chi Kuo氏は、2018年モデルのiPhoneについても、詳細に関してレポートしている。

これによると、5.8インチ・6.5インチの有機ELディスプレイモデルが先行して発売され、6.1インチ液晶モデルは遅れて投入されるとしている。このパターンは2017年に、iPhone 8シリーズが9月に発売され、iPhone Xが11月に発売されたことと重なる。

6.1インチ液晶モデルについては、デュアルカメラのシングル化、上位モデルより少ない3GBメモリ、最大ストレージが256GB止まり、通信が2×2 MIMO止まり、アルミニウムフレームという差別化が行われるとみられている。

その理由は、価格を抑えることだ。Kuo氏は6.1インチ液晶モデルについて、600〜700ドルという価格を想定しており、iPhone 8と同程度の価格帯で登場させる予測だ。有機ELモデルも5.8インチで800ドル台、6.5インチで900ドル台と、5.8インチモデルは100ドルの値下げを想定しているが、さらに安い価格で、iPhone X世代のデザインを備えるiPhoneを準備しようとしていることがわかる。

iPhone Xのスタンダードを踏襲する理由

現在のiPhoneラインアップは、ホームボタンがありTouch IDで指紋認証を行うiPhone 8シリーズと、TrueDepthカメラによって3D顔認証を行うiPhone Xが混在している状態だ。

Appleは今後数年かけて、TrueDepthカメラをiPhone、iPad、Macといったラインアップ全体に波及させていこうとしており、2018年モデルのiPhoneすべてにTrueDepthカメラを用意しようとしていることがわかる。

Touch IDは指紋認証にしか使われなかったが、TureDepthカメラは生体認証のFace IDで指紋認証より大幅に誤認識率を減らせるだけでなく、表情を使ったインターフェイスや写真撮影にも使える仕組みだ。

例えば絵文字にアニメーションを付けられるアニ文字やMemoji、セルフィ撮影の際のシングルカメラでのポートレートモード、顔の表情を使ったAR効果やGarageBandアプリでのエフェクト操作など、多彩な用途がある。

iPhone Xで登場し、人気を集めているアニ文字

価格を問わず仕様を統一することは、アプリ開発者にとって、TrueDepthカメラを用いたアプリの開発を促し、結果としてiPhoneの魅力をアプリの面から高めることにつながるのだ。

TrueDepthカメラを武器にする

現在Appleのスマートフォンビジネスを取り巻く環境は、先進国を中心とする既存マーケットでの好調さと、新興国を攻めあぐねている状況が混在していることは先日の記事でも紹介した。

関連記事 : 新型iPhone控え「絶好調」のApple、ゆくさきに暗雲も?

不用意な格安モデルに取り組まない以上、価格以外の価値で勝負できる魅力をいかにたくさん用意できるかが重要になってくる。その際、セキュリティを強化し、顔を使ったインターフェイスであるTrueDepthカメラは、iPhone X世代のiPhoneにとって重要な優位性となる。

Phone Xの前面カメラに搭載されている「TrueDepth」カメラ

Appleは米国向け先端製造業ファンドを通じて、TrueDepthカメラに用いられるVCSELを製造するFinisarに3億9,000万ドルを投資した。AppleのTrueDepthカメラのセンサーにおけるサプライヤーの1社であるLumentum Operationsは2018年第4四半期の好決算とともに、今後の売上高の成長に関するガイダンスを示した

iPhoneすべてのラインアップにTrueDepthカメラが搭載されることを示唆しているだけでなく、iPadやMacにも、近い将来TrueDepthカメラが採用されるだろう。それは、iPhoneで初めて採用されたRetinaディスプレイやSiri、Touch IDなどがiPadやMac、Apple Watchに採用されてきた経緯と共通している。

TrueDetphカメラは、開発者だけでなくユーザーにとっても、Apple共通の体験として活用されていくことになる。

顔認証もノッチのデザインも、すでにAndroidスマートフォンにあふれている。しかしAppleが独自に投資を行い、アプリ開発者を巻き込んだ価値作りを行っている上、他社が簡単に追いつけない武器となっていくだろう。