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松原好秀

シェイクシャックが大阪上陸! 本格化するハンバーガー“夏の陣”

シェイクシャックが大阪上陸! 本格化するハンバーガー“夏の陣”

2018.06.06

「Shake Shack」(シェイクシャック)が日本で10カ所目となる新たな店舗をオープンした。場所は大阪・梅田。“黒船来航”にも例えられた日本進出で成功を収めたシェイクシャックが、満を持して関西に上陸する構図だが、それは何を意味するのか。

シェイクシャックの大阪上陸は何を意味するのか

国内10店目のシェイクシャックは大阪

6月1日のオープンに先立つこと1週間前の5月25日、「Shake Shack 梅田阪神店」の内覧会が開かれた。席数136席の広い店内には大阪・関西の報道関係者が集まったが、筆者が予想したほどには“ごった返す”感じではなかった。大阪のメディアは、まだ事の重大さに気づいていないようだ。

関西初のシェイクシャック。場所は第一期棟の建て替えが竣工したばかりの阪神百貨店梅田本店1階

シェイクシャックは米国・ニューヨーク発祥のハンバーガーレストランである。マディソンスクエアパークに慈善活動で出したホットドッグのカート(屋台)が評判を呼んで、創業者のダニー・マイヤー氏が2004年に常設店をオープンした。今では世界13カ国に176店を展開する。

日本のシェイクシャックは大阪の梅田阪神店で10店目。海外店舗数トップである中東・アラブ首長国連邦の11店まであと1店、2位のサウジアラビアと並ぶ10店の店を持つ日本は、世界でも「シェイクシャックが多い国」ということになる。

梅田阪神店のデザインコンセプトは「Through the Window」。御堂筋に向いた大きな窓の外にはテラス席が44席。「HEP FIVE」の赤い観覧車も見える

日本上陸は大成功? 運営会社社長の見解は

2015年11月の日本上陸以来、2年と7カ月で10店と、着実に店舗数を伸ばしてきたシェイクシャック。今や日本のハンバーガーシーンを力強く牽引している感さえある。これはもう、十分な「成功」と言えるのではないか――。

国内のシェイクシャックを運営するサザビーリーグの角田良太社長に聞いてみると、「まだ成功だとは言い切れない」とあくまで慎重な構えだ。「本当に成功だったかどうかは、あと2、3年してわかること。いま望むのは、日常生活の中で月に1度でも『やっぱり食べたいね』と思っていただけること。そして、その中できちんと店が回っていること」と、段階を踏んだ確かな成功を目指す。

5月25日に開催されたプレス向け内覧会で挨拶する角田社長

シェイクシャックが日本に上陸した2015年は、個人経営を主とするハンバーガーの「専門店」が、地道な努力の時期を経て、人気と実力をようやく確かなものとしていった、そんなタイミングと重なる。専門店が根づかせ、コツコツと築き上げていった「食事として十分に成立するような本格的なハンバーガー」の土台の上に、ちょうど折よくシェイクシャックが乗ってきた恰好だ。

シェイクシャックの「シュルームバーガー」(960円、以下すべて税抜価格)はポートベローマッシュルームとチーズ3種をコロッケのように揚げたものがビーフパティの代わりに挟まった「ベジバーガー」。これがベジタリアン向けとは思えぬおいしさで、筆者もおすすめの1品!

結果として、シェイクシャックは2年半で9店を順調にオープンさせ、都内・首都圏のハンバーガー市場はそれを"追い風"に、いよいよ活気づいた。さて、今度の大阪ではどんな化学反応を引き起こすのか。

迎え撃つ大阪の各店の反応は

大阪・関西の状況を見ると、増えては減ってを繰り返す、なかなか定着しない時期が続いたのちに、2016年辺りから2店目、3店目をオープンする個人店の動きが目立ちだした。今は東京同様、ちょっとした「開店ラッシュ」が続いている。そこへやって来た"黒船"シェイクシャック――。関西の専門店各店の反応は以下の通りだ。

シェイクシャック名物のオリジナルアイス「コンクリート」は全部で3品。写真は黒ごまピューレをトッピングした大阪限定のコンクリート「セサミオシャカ」(Small:490円)

「楽しみに待ってました」と語る北垣勝彦さんは、関西バーガー店の草分けのひとつ、兵庫・西宮「エスケール」(2003年創業)の中心メンバーだった人物だ。「東京に上陸しても関西まで来ない海外の店が多い中、2年半という早さで来たことに勢いを感じます」と高評価だ。

大阪・高槻の本店をはじめ、2店のバーガー店と2台の移動販売車を展開する「ティーズ・スターダイナー」の寺川裕之さんは「嬉しいですよ、東京行かんでいいから」と開口一番。「こうした1個1,000円近くするハンバーガーを新たに知ってもらえる機会ができて、ありがたいです。業界が盛り上がると思います」と歓迎ムードだ。

ポテトは波型にカットした「クリンクルカットフライ」(Small:300円、写真は内覧会用のミニサイズ)。オリジナルビール「シャックマイスターエール」のアテにぴったり

値段にシビアな土地柄

心斎橋、本町、梅田に「リッチガーデン」3店を構える安藤啓示さんは、「怖さもあるが、楽しみと3:7ぐらい。いい影響を及ぼしてくれそう」とした上で、「値付けが絶妙だと思う。1個1,000円を超えるハンバーガーが半ば当たり前なところへ、その"下をくぐる"感じで出してきている」とその価格設定を評価した。

人気店「バーガリオン」をはじめ、バーガー店3店のオーナー西村周平さんは「やっと来てくれた」と喜ぶ一方で、「正直、東京ほど盛り上がるのかな? 大阪で伸びる要素があるのかな?」と不安も覗かせる。「『いきなりステーキ』が大阪ではそれほど売れていない。それぐらい値段にシビアな土地柄」というのがその理由だ。

大阪限定Tシャツをはじめ、オリジナルグッズも販売している

商品と価格、そして大阪特有の気風・土地柄について、サザビーリーグの角田社長は「大阪の方々は前向きで元気。シェイクシャックもまさに、そんな元気な店なので、私は相性はいいと思っています」と店舗同様に前向きだ。「まずは体験していただいて、ジャッジしていただけたら。それでも十分に楽しんでいただけると思っております」と、「体験」という言葉を使ってアピールした。

ファストフードとグルメバーガーのあいだ

そうはいっても気になるお値段。シェイクシャックのハンバーガーは全部で5品ある。看板メニューの「シャックバーガー」(710円)はチーズバーガーがその正体だ。最低額のバーガーは、バンズにパティを挟んだだけの「ハンバーガー」(610円)。これにはトマト、レタスなどの野菜とソースが無料でトッピングできる。

看板メニューの「シャックバーガー」はチーズバーガー。パティはホルモン剤を一切使わず飼育された豪州産アンガスビーフ100%。バンズは生地にジャガイモを練り込んだポテトバンズを使っている

これを他店の商品と比較してみると、例えばマクドナルドで近い内容の「グラン クラブハウス」は490円。バーガーキングの「ワッパーチーズ」は570円。クアアイナの「チーズバーガー」(1/3LB=肉の量が約150g)は927円。大阪では梅田と万博公園に2店を展開するJ.S. バーガーズカフェの「チェダーチーズバーガー」はレギュラーで1,110円。西村さんの店バーガリオンの「チーズバーガー」は1,000円……そして、「シャックバーガー」は710円だ。

「リッチガーデン」の安藤さんがいうところの、1個1,000円超えの「下をくぐる」価格帯というのがこのこと。ファストフードといわゆる「グルメバーガー」の間、それがシェイクシャックの立ち位置だ。

大阪名物「岩おこし」を乗せた梅田阪神店限定のコンクリート「ツウテンシャック」(Small:490円)。コンクリートとは、"卵黄多め"で"空気の含有量が少ない"「フローズンカスタード」と呼ばれるフレッシュアイスを使ったスイーツのこと。通常のアイスクリームよりもしっとりとクリーミーに仕上がる

ハンバーガーを測る新たな物差し

他にも、創業のきっかけになったホットドッグやシェイク、名物のオリジナルアイス「コンクリート」、さらにオリジナルブランドのワインやドラフトビール「シャックマイスターエール」などもあって、シェイクシャックのメニューは目移りしてやまない。それこそ角田社長のいう「まずは体験して」というところだが、ここで筆者の体験に基づくアドバイスをひとつ……。

珍しさから、ついついアレもコレもと一気に注文しがちだが、あまりいっぺんに頼むと案外な高値になるので、欲張らず、何度も足を運んで、少しずつ試して行くのが長く楽しむコツに思う。

「店舗数ありきでなく、場所にこだわりを持ちたい」と話す角田社長。今後は「できればこの2、3年のうちにプラス10店、合計20店」を目標に挙げる

大阪のハンバーガーシーンに大きな影響をもたらす可能性を秘めたシェイクシャック。その噂を聞いて、大阪の人たちがシェイクシャックのハンバーガーを次々と口にしていったなら、従来、ファストフード店を基準に測っていたハンバーガーという食べ物の「物差し」が、徐々にシェイクシャックへと移っていく可能性があると、筆者は見ている。つまり、シェイクシャックは日本のハンバーガーの「新たな物差し」になりうる存在なのだ。

「まだまだブランドをご存知ない方もたくさんいらっしゃる」と角田社長は話すが、それはハンバーガーという食べ物そのものについてもいえること。これを機に、ファストフードからグルメバーガーの専門店、高級ホテルやレストランのものまで幅広く「体験」して、ハンバーガーについてよく知るきっかけになればと願っている。

“ふつう”が逆に斬新? 黒船バーガーとは一線を画す「FATBURGER」

“ふつう”が逆に斬新? 黒船バーガーとは一線を画す「FATBURGER」

2018.05.12

2018年のゴールデンウィークに、また新たなハンバーガーショップが日本へやって来た。その名も「FATBURGER」(ファットバーガー)。ロサンゼルスの店だ。「ヘルシー」や「オーガニック」など、いわゆる黒船バーガーは多様な切り口で日本市場攻略を狙うが、ファットバーガー最大の武器は至って“ふつう”なところだ。

ファットバーガーが日本に上陸した

ファットバーガー日本1号店の場所は、東京・渋谷。世界に知られる観光スポットである渋谷駅前のスクランブル交差点を見下ろす、「MAGNET by SHIBUYA109」の7階にある。世界20カ国に200店を構える同店ではあるが、路面店ではないビルイン型の店舗は珍しいそうだ。若者文化の発信地にして世界的観光地である渋谷の、しかもど真ん中にオープンしたファットバーガーとは、どんな店なのだろうか。

場所は渋谷駅前のスクランブル交差点を見下ろす「MAGNET by SHIBUYA109」の7階。食の新スポット「MAG7」の一角に「FATBURGER」日本1号店がある

やって来たのは昔ながらのハンバーガーショップ

2015年の「SHAKE SHACK」(シェイクシャック)と「BAREBURGER」(ベアバーガー)、2016年の「Carl's Jr.」(カールスジュニア)、2017年の「UMAMI BURGER」(ウマミバーガー)、「THE COUNTER」(ザ・カウンター)と、相次ぎ日本に上陸した米国のハンバーガーレストラン。ときに「黒船」とも呼ばれ、国内のハンバーガー市場を騒がせた彼らだが、しかし今度のファットバーガーは、既存の米国勢とはやや毛色が違う。新手なのに、ちっとも「新しくない」なのだ。

シェイクシャックのようにホルモンフリーのアンガスビーフを使っているワケでもなければ、ベアバーガーのようにナチュラル&オーガニックを徹底しているワケでもない。今度のファットバーガーは、そうした産地や銘柄、トレンドを売りとする店ではない。つまり、本場・米国でもトップを走る「最新・最先端のハンバーガー」がやって来たワケではないのだ。まったく逆。むしろ古めかしい、昔ながらのハンバーガー店の登場である。

「ドカ飯」系食堂を志向? ファットバーガー創業の背景

ファットバーガーが誕生したのは1947年。初めは「Mr. Fatburger」という店名だったが、1952年に”Mr.”が取れて「FATBURGER」になった。今のマクドナルドの前身となる店をマクドナルド兄弟が始めたのが1940年。カールスジュニアの創業者が前身のホットドッグ屋台を始めたのが1941年。「In-N-Out Burger」は1948年。いずれもロサンゼルス近郊で誕生したハンバーガーショップで、ファットバーガーもほぼ同時期に同じエリアで生まれた店である。

4月26日に開催されたプレス向けの内覧会の様子

創業者のLovie Yanc(ラビー・ヤンシー)は黒人の女性である。生活が決して楽ではなかった彼女は、大きなハンバーガーに何でもかんでも全て挟み込んで食べる贅沢を思い、「FATBURGER」という店名を付けた。日本でいえば、お金のない学生相手に大盛り・山盛りの定食をお腹いっぱい食べさせる、いわゆる「ドカ飯」系の食堂といったところだろうか。

明日のことを気にしない人が行く店

そんな「ファットバーガーが大好き」と語るのは、ロサンゼルスでフレンチシェフとして24年間活躍し、帰国後、東京・青山で人気ハンバーガー店「E・A・T」を始めた高橋路和シェフだ。「私の中では元祖アメリカンバーガーの地位はダントツでファットバーガーでした。カロリーとか健康といったことをまるで気にせず、出したいバーガーを何の躊躇もなく出している」――その営業姿勢を羨ましく思いつつ、頻繁に利用した。とにかく量と油が多くて、「明日のことを気にしない人が食べに行く店でした」というその感じは、日本でいうと「ラーメン二郎」のような店だろうか。

24年間ロサンゼルスで活躍したフレンチシェフ・高橋路和さんが、二日酔いの翌日、酔い覚ましの目的でよく食べたという「チリチーズフライ」(500円、以下すべて税抜価格)

バーガーメニューは全5品でシンプル

日本のファットバーガーを運営するGreen Micro Factory取締役の遠藤洋氏は、ロサンゼルスで数あるハンバーガー店を視察した中でファットバーガーとライセンス契約を結んだ理由を、「一番肉を食べている感じがしたから」と説明する。ファットバーガーの特徴をひと言で表わせば、それは「肉」――その「量」、その「枚数」だ。

「ダブルバーガー」(980円)にチーズのトッピング100円。味付け控え目。やわらかなパティによる食べやすい素朴なバーガーだ

メニューは至ってシンプル。日本のファットバーガーにはバーガーメニューが5品しかない。基本の「オリジナルバーガー」に「チーズバーガー」、あとは「ダブルバーガー」「トリプルバーガー」、パティを6枚重ねた「USキングバーガー」と、肉の「枚数」で決まる仕組みだ。

何か特別なソースもなければ、日本限定のバーガーもない。5つのバーガーとも内容は同じで、国産のバンズの間にパティとレリッシュ、刻んだオニオン、ピクルス2枚(「トリプル」以上は3枚)、トマト1枚(「キング」は2枚)、細切りのレタス、調味料はマスタードとマヨネーズ。あとは5種類のトッピングを好きに乗せるだけ。斬新でも特別でもない、いわゆる“ふつう”の一般的なバーガーだ。

注文ごとに1杯ずつアイスクリームをすくって作る「ミルクシェイク」は800円と強気の価格設定。フレーバーはチョコレート、バニラ、ストロベリーの3種類。上にホイップクリームがたっぷり

“ふつう”とお伝えしたファットバーガーだが、ちょっと変わったところもある。例えばマスタードはバンズでなく「パティの上」に塗る。チーズはパティの上に乗せて溶かしながら焼くが、積み上げる際には上下ひっくり返して「パティの下」に来る。その理由は定かでないが、創業者ヤンシー女史のやり方を今も変わらず守り続けている。昔ながらの調理法だ。

マスタードはパティの上に塗り、チーズはパティの下に位置。創業者ヤンシー女史以来の伝統か、ちょっと変わった作り方だ

ひたすら肉! パティ6枚重ねの「USキングバーガー」

完食すると認定証授与の上、店内に記念写真を掲示するという「USキングバーガー」(2,560円)は、115gパティが6枚重ね、ビーフだけで690gのバーガーだ。

パティはオージービーフの赤身8割に和牛脂2割を合わせた115g。営業中、キッチンの裏でずっと成形している。食べ口はしっとりとやわらかで、肉の脂が少ないので赤身肉の感覚でバクバク行ける。途中で味に変化を付けたければケチャップとマスタードを。ケチャップはポンプ式の大きなディスペンサーがあるので自分で調達、マスタードは店員に頼むと持って来てくれる。

看板メニュー「USキングバーガー」(2,560円)にチーズトッピング。チーズは1オーダーでパティと同数の6枚入って代金100円。ひたすら「肉」のバーガーは肉の補給に最適

この「キング」を完食すると“顕彰”があるのは上記の通りだが、制限時間がないので達成者が続出している。予想を上回る大好評で、ゴールデンウィークの半ばから1日あたりの販売数に制限が設けられた。ファットバーガーの大食い精神に共鳴・共感する日本人は少なくないようだ。

私も「USキングバーガー」完食の証を残してきた

ハンバーガーの原風景

そんな昔ながらのオールドスクールなハンバーガーショップ、それが今度新しく来たファットバーガーだ。オシャレでも時代の最先端でもない。そんな尺度や価値観でなく、純粋に大きなバーガーを口いっぱいに頬張ること、それ自体が大きな喜びであり幸せだった時代の、古き良きハンバーガーの「原風景」を見る思いがする。

数々の流行やトレンドを経て、米国本来のハンバーガーがようやく日本へやって来た。

ジャンクの概念を覆せるか? フレッシュネスバーガーが挑む新潮流

ジャンクの概念を覆せるか? フレッシュネスバーガーが挑む新潮流

2018.04.13

“ジャンクフード”のイメージが強いハンバーガーだが、フレッシュネスはその概念を覆すべく新たなキャンペーンを展開中だ。日本ではまだまだ認知度が低い「ヘルシーファット」なるトレンドで、ジャンクとヘルシーの“二律背反”に挑む。

春のキャンペーンの秘密

フレッシュネスバーガーの店舗入り口のポスター。春らしい淡い色合いのさわやかなデザインで、「春、キレイをはじめよう」とキャッチコピーが書いてある。道行く人を店の中から観察していると、このポスターに目をとめ、足を止める「女性」の姿が後を絶たない。キャッチコピーの他に、このポスターには一体何が描かれているのだろうか。

3月14日より始まったフレッシュネスバーガーの春のキャンペーン。春らしいライトな内容ながら、反響は上々だという

答えは「アボカド」。フレッシュネスバーガーは3月14日、女性に絶大な人気を誇る食材・アボカドを使った新商品「サーモンアボカドサンド」を発売した。レギュラーメニューの「クラシックアボカドバーガー」「クラシックアボカドチーズバーガー」とあわせ、食と健康、美容をうたったキャンペーンを展開中だ。

不動の人気食材「アボカド」の謎

それにしてもアボカドという食材に、ことに「女性」が弱いのはなぜだろう?

「アボカドバーガー」なるものを日本に紹介し、大々的に広めたのはハワイのハンバーガーレストラン「クア・アイナ」が最初ではないかと私は思っている。そのクア・アイナが日本に上陸したのは1997年。かれこれもう20年が経っており、今やアボカドはどこでも売られている全く珍しくない食材だが、それでも飲食店のメニューにアボカドと見れば「なぜか頼む」傾向が、ことに男性よりも女性に強い。実際のところ、バーガー各店の人気メニュートップ3、それも「女性に人気のバーガートップ3」には、かならずアボカドバーガーが入ってくるのだ。

レギュラーメニュー「クラシックアボカドチーズバーガー」はメキシコ産の熟したアボカド2分の1個を使用。グラスフェッド(牧草飼育)のオージービーフ113グラムパティをチェダーチーズとともに、まったりと包み込む

どうしてそこまで人気なのか――。そのヒントがフレッシュネスバーガーの今度のキャンペーンに隠されているように思う。

「ヘルシーファット」とは何か

「春、キレイをはじめよう」とうたったキャンペーン。その企画の背景には、あるキーワードが存在する。それが「Healthy fats」(ヘルシーファット)。日本でいう「不飽和脂肪酸」のことだ。

プレスリリースによれば、「ヘルシーファットとは、欧米で注目されている食と美容・健康に関するトレンドです。無理に脂肪の摂取を減らすのではなく、不飽和脂肪酸を適量摂取することで悪玉コレステロールを減らしたり、動脈硬化を防ぐなど健康につなげられるという考え方です」とのこと。つまり、これまで一様に「悪」とみなされてきた栄養素「脂肪・脂質」を避けるのでなく、むしろ上手に活用しよう、「取り入れよう」という発想の、積極的な美容・健康法だ。

フレッシュネスの調べでは、「#Healthy fat」「#Healthy fats」という英語のハッシュタグが付いたInstagramの投稿件数は80万件以上。日本語「#ヘルシーファット」の件数は、4月上旬時点でわずか7件しかない。うち2件は筆者が上げたものだ。

3月13日に開かれたメディア向けの試食会の様子。「ヘルシーファット」について解説するフレッシュネス商品開発部マネージャー・逆井里奈さん

そんな、国内ではまだまだ注目されていないトレンドに、フレッシュネスバーガーがいち早く反応した。こうして生まれた新商品が「サーモンアボカドサンド」である。スモークサーモンとアボカド4分の1個をタマゴサラダとともに挟み、バジルソースをアクセントに添えたサンドイッチだ。

3月14日発売の新商品「サーモンアボカドサンド」。スモークサーモンとアボカド4分の1個を、タマゴサラダとともにゴマバンズの間に挟み、バジルソースをアクセントに添えた期間限定メニュー

「サーモンアボカドサンド」はスーパーアンチエイジングサンド

メイン食材の「アボカド」、バジルソースに使われる「オリーブオイル」には「オメガ9」(オレイン酸)が、「サーモン」には「オメガ3」(α-リノレン酸)という不飽和脂肪酸がそれぞれ含まれ、美肌やアンチエイジングといった美容効果も期待できる――というのがその触れ込み。身体によいはたらきをする脂肪・ヘルシーファットの「三大食材」とも呼ぶべき、「アボカド」「サーモン」「オリーブオイル」を駆使したスーパーアンチエイジングサンドイッチである。

3月13日開催の試食会より。アボカドとサーモンについて、他にもさまざまな美容・健康効果が紹介された

「オメガ3脂肪酸で血中コレステロールを下げ、血流促進」「ビタミンEの1,000倍にもなる抗酸化力アスタキサンチンで免疫力UP!」などなど、特に女性には興味津々の情報ばかり。女性はこうした「食べ合わせを考えるのが好き」と話すのは、同社商品開発部マネージャーの逆井里奈さんだ。美容と健康を気づかいながら、ヘルシーフードを「オシャレ」に食べて、空腹だけでなく「心も満たして」欲しい、満足して欲しい。そんな思いから、この「食×健康・美容」というテーマを考案した。

「オイスターバーガー」では亜鉛とレモンの関係に着目

こうした栄養学を取り入れた商品開発は、今年2月に発売された「オイスターバーガー」からすでに始まっている。

2月7日発売の期間限定メニュー「オイスターバーガー」。広島産の牡蠣を使ったカキフライをトンカツソースとタルタルソースで食べるわかりやすい味付けで、こちらも大好評

「オイスターバーガー」では、牡蠣に含まれる「亜鉛」に注目。レモンと一緒に摂取すると吸収率が高められることから「塩レモンソース」を使ったり、フレッシュレモネードと一緒に食べたりなどの食べ合わせの提案も行っている。

さらに挟むバンズを、2015年10月より導入された「低糖質バンズ」に変えれば、糖質を同社比約50パーセント、カロリーを約40パーセント減らし、レタス約3個分の食物繊維が摂取できる。プラス50円(税抜)で全バーガー・サンドのバンズが変更可能だ。

2015年10月より導入された低糖質バンズは、通常のゴマバンズよりひと回り小ぶり。小麦粉の一部を食物繊維に置き換えることで、味を損なわずにバンズ1個当たりの糖質量を約半分に低減させることに成功した

栄養学からハンバーガーを再評価

こうした試みを「ジャンクフード」とも呼ばれる不健康の象徴「ハンバーガー」のチェーン店が率先して行っているところがなかなか斬新だ。「ジャンク」と「ヘルシー」という対局なイメージの同居。その矛盾を埋めて橋を渡す役が、栄養学の確かな知識である。

ハンバーガーはそもそも「栄養価の高い食べ物」なのだ。相応のカロリーは確かにあるが、トッピング次第でさまざまな栄養素を取り込むことができる。「アツアツの焼いた肉と生の野菜をパンの間に一緒に挟む」という、ハンバーガーならではの特殊な構造のなせる業で、その可能性にあらためてスポットを当てた試みとして、今度のフレッシュネスの取り組みを評価したい。

ハンバーガーの可能性にあらためてスポットを当てたフレッシュネス

ただ「おいしい」だけでなく、「ヘルシー」が加わったハンバーガーショップの新潮流。ことに女性はますます目が離せないだろう。