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山本明日美

女子文具に託すキングジムの想いとは? - 新ブランド「HITOTOKI」発足

女子文具に託すキングジムの想いとは? - 新ブランド「HITOTOKI」発足

2017.04.19

昨今の「DIY女子」ブームにより、既製品をそのまま使うのではなく、ひと手間加えて「自分らしさを表現」する、そんな市場が広がっている。また、その作品をインスタグラムなどにアップロードすることで、ユーザー間の交流も盛んになっている。

文房具メーカーであるキングジムでは4月18日、女子向けの文房具ブランド「HITOTOKI(ヒトトキ)」を発表。同ブランドのコンセプトにマッチする既存製品6品と、同日発表したテーププリンター新版「こはるMP20」を加えた計7製品でスタートする。

女性向け文房具ブランド「HITOTOKI」

キングジムといえばこれまで、「ファイル」や「テプラ」といったオフィスの情報整理用品や、ビジネスシーン向けのデジタルガジェットなどを開発してきた。一方、近年では新しいジャンルとして女性向けの文房具の開発にも力を入れており、すでに複数の製品を販売している。

これらの女性向け文房具の市場成長が見込まれることから、今回さらなる市場開拓とユーザーコミュニケーションの深化を図ることを目的に、新ブランドの立ち上げたを決定したという。

HITOTOKIは、「何気ない日々をもっと好きになる、そのきっかけとなる"ひととき"をつくりだせるような文房具を提供したい」をテーマに、いずれの製品も、「ほんのひとてま加えることで、暮らしが少し豊かになる商品」というコンセプトに基づいて開発している。

キングジムといえば、テプラやポメラなどビジネス向けのイメージが強い

同社によると、近年の市場の動向として、「家事や食事などの日常の物事を丁寧に行う」、「モノはケアやメンテナンスをしながらできる限り長く使う」、「普段使うモノの選び方や空間のしつらえなど日常のディテールにこだわる」など、自分たちの日常生活のなかでの「モノ」や「コト」へこだわりを持つ傾向が強くなっているという。そういった中、カスタマイズ性が高い製品や、コレクター性がある文房具に注目が集まっている。

ラインアップは、筆箱や手帳に入れて持ち運べるマスキングテープ「KITTA(キッタ)」、手帳やノートに日常の暮らしの出来事を記録できるノリ付きメモ「暮らしのキロク」、透明なシートに印刷された枠線に合わせて、マスキングテープを切り貼りしてオリジナルシールが作れる「マスリエ」、シールやマスキングテープを整理・収納できるシール専用ファイル「オトナのシールコレクション」、女性向けのデザインや書体を多く搭載したラベルライター「ガーリー『テプラ』」、専用マスキングテープを使用してオリジナルの手帳用シールが作れる「スケジュールシールプリンター"ひより"」、そして今回発表したテーププリンター「"こはる"MP20」の7製品だ。

ラインアップは全7製品。どれも可愛らしさや手作り感を打ち出している

また、新発表のテーププリンター"こはる"MP20は、専用のマスキングテープやフィルムテープに好きな文字やイラストを印刷して、ラベルを作成できる手のひらサイズのプリンター。インテリア雑貨のような北欧風デザインのおうち型で、煙突に見立てたカットボタンや、窓の形の液晶画面やプリントボタン、ドアの形をした電源ボタンなど、細部まで遊び心のあるデザインにこだわっている。さらに、搭載している絵文字やイラスト、フレームなどのデザインにも北欧風のモチーフを取り入れている。

テーププリンター"こはる"MP20
開発本部長の亀田登信氏

同社開発本部長の亀田登信氏は、「HITOTOKIの初年度売上は、約5億円を目指している。今後は、市場拡大に伴って、10億円を超えるブランドとして育てていきたい」とコメントした。また、新ブランド立ち上げに伴い、インスタグラム公式アカウントを開設。製品情報に加え、使用例や面白ネタまで幅広く投稿している予定だという。

矢野経済研究所の「文具・事務用品市場に関する調査」によると、国内の文具・事務用品の市場規模は、多少の伸び率はあるものの、ほぼ横ばいとなっている。

矢野経済研究所 文具・事務用品市場に関する調査

他社との大きな差別化が難しい市場だが、ターゲットを女性に絞ることにより、市場のさらなる拡大が狙えるだろう。また、インスタグラムを使うことで、ユーザーの投稿自体がブランドのPRになるほか、ユーザーの使用例を製品開発に活かせる狙いもある。今後も、女性向け文房具と同社HITOTOKIブランドに注目していきたい。

ホームパーティー需要を狙う日本のイースター - 第2のハロウィンになるか?

ホームパーティー需要を狙う日本のイースター - 第2のハロウィンになるか?

2017.04.17

日本では、東京ディズニーランドのイベント開催や、輸入菓子や専門店でのイースター商品の販売も盛んになっている。「ハロウィン」に続くイベントとなっており、富士経済調べ「スイーツ市場のチャネル別需要分析調査2015」によると、イースター市場規模は直近4年間で373.9%(予測)と伸長傾向にある。クリスマス、ハロウィンに続き、イースターを祝う習慣は日本に根付くだろうか。

富士経済調べ「スイーツ市場のチャネル別需要分析調査2015」

そもそもイースターとは、十字架に掛けられて亡くなったイエス・キリストが3日目に復活したことにちなんだ「復活祭」。また、欧米では春の訪れを喜び合う祝祭の意味合いも強く、装飾をしたイースターエッグで部屋を飾りつけ、エッグハント(カラフルに染められた卵を探す)などの遊びをしたり、家族でご馳走を囲むことが習慣になっている。春分の日が過ぎてから最初に訪れる満月の次の日曜日をイースターと定めており、毎年日付が変わる複雑さがある。

ロッテが2016年3月に行った「イースターに関する意識調査」によると、イースターを認知している人は70%、その中で内容まで理解している人は12%となった。しかし、「興味がある」と答えた人は30%(「ある」「ややある」の合計)と減少した。

あなたはイースターが何か知っていますか
あなたはイースターに興味がありますか

その理由には、キリスト教文化が薄い日本で「なにをお祝いするか分かりづらい」という問題が考えられる。現に、イースターの過ごし方を調査した結果、「何をしたらいいか分からない」という回答が最多となった。しかし、次点には「ホームパーティー(自宅で祝う)」を挙げており、"イースターには、家族/子供とゆっくり過ごしたい"という需要が推測できる。(ロッテ「イースターに関する意識調査」2016年3月より)

イースターで家族や友人とやりたいことを教えて下さい

「イースター=ホームパーティー」を狙う

製菓メーカーのロッテでは、この"ホームパーティー需要"に着目し、イースター施策として、家族で楽しめる「コアラのゲーム」を推進している。コアラのゲームは、「コアラのマーチ」の外側ビスケットにプリントされている絵柄を、スマートフォンのカメラで読み込むことで、全365種のコアラを見つけ出すゲーム。

コアラのマーチを使った「コアラのゲーム」

イースター特別企画として、「エッグコアラ」を見つけると、限定キャンペーンに参加できる施策を行っている。カメラ認証により見つけられたコアラのマーチは、サイト内のコアラ図鑑に登録され、最初に見つけた人は自分の名前を登録できる。

4月5日より開始したが、スタート45時間でコンプリートされるなど、予想以上に盛り上がりを見せ、イースター当日の4月16日には第3弾をローンチした。

コアラのマーチの絵柄をスマートフォンで撮影すると、コアラ図鑑に登録できる

菓子市場は過去10年横ばい

近年の製菓業界動向についてロッテでは、「少子高齢化もあり、現状の菓子業界全体が大幅に成長していくというのは難しい状況だ」と分析。その中で、成長が見込める分野、成長が見込める催事などに注力し、シェアを伸ばしていくことでビジネス拡大を狙う方針を述べている。

「菓子市場の推移」全日本菓子協会調べ

イースターは、菓子が売れるバレンタイン、ホワイトデーと比べると、まだまだ市場は小さいが、第2のハロウィーンと言われているように、今後成長の可能性が見込まれる催事と思われる。しかし、イースターの認知度自体は高くなっているものの、「何の日なのか」「何をする日なのか」が分かりにくいことが懸念点となる。

イースターは、バレンタインなどの他の行事と違い、毎年「日曜日」となることから、ロッテでは、イースターを「家族みんなでホームパーティーを楽しむ」場として、みんなでお菓子を食べるイメージを定着させていきたいと考えているそうだ。

本来は、キリスト教の復活を祝うイースター。そこに、ホームパーティーのイメージを定着させることで、新たな消費を生み出せるだろうか。

目黒雅叙園が「ホテル雅叙園東京」にリブランディング - 3つの

目黒雅叙園が「ホテル雅叙園東京」にリブランディング - 3つの"文化"でホテル事業を拡大

2017.03.02

2017年4月1日から「目黒雅叙園」の名称が変わる。結婚式場としてのイメージが強い同施設だが、新たに「ホテル雅叙園東京」として、宿泊事業を強化すると発表。新たな歴史を歩むことを決めた同施設の狙いとは?

ホテル雅叙園東京

婚礼の雅叙園から、宿泊の雅叙園へ

目黒雅叙園は、1928年に「芝浦雅叙園」として創業。1931年に現在ある目黒に移転するとともに、「目黒雅叙園」に名称を変更した。創業以降、日本初の総合結婚式場として展開し、これまでに22万組以上が挙式利用をしている。現在でも、売上の半数以上が婚礼事業だという。しかし今回、86年ぶりに施設名称を変更し、新たにホテルとしてリブランディングを進めると発表した。

その背景として、2020年の東京五輪や政府が推し進める観光施策により、訪日外国人数が増加傾向にあることや、一時期の爆買いブームも落ち着きをみせ、宿泊費、飲食費、交通費などの「コト消費」のニーズが高まっていることがあるという。

これを受け、同社も"婚礼"事業が中心の"目黒"雅叙園から、"ホテル"事業に力を入れた"東京"の雅叙園へと新たな舵を切ることを決定した。

「和敬清心」の新エグゼクティブフロア

今回のリブランドに伴い、宿泊施設を大きくリニューアルした。従来は6階23室のみだった客室に加え、7階24室をリニューアル、8階13室をリノベーションし、全60室を有するホテルとして、運営を強化する。客室は3月1日から運営を開始した。

今回新オープンした7Fと8Fの客室フロアは、豪華絢爛なメインフロアとは打って変わり、「和敬清心」をテーマに落ち着いた空間イメージとなっている。茶道のわびさびに代表される精神性や、自然への思いなどをコンセプトに、客室自体を和室、そこに通じる廊下とEVホールを茶庭に見立ててたインテリアを施した。チェックイン時には、抹茶や煎茶といったウェルカムドリンクで宿泊者をもてなす。

客室をリニューアル
エグゼクティブスイートルームでは、披露宴も行える
ウェルカムドリンクの抹茶は、目の前で点てた物をいただけるため、目でも楽しめる

また、8階「エグゼクティブラウンジ -桜花-」では、ティータイムやカクテルタイム、バータイムなど、時間帯に応じて異なったサービスを実施。今回のリニューアルで大きな目玉となるのは、同ラウンジで提供する朝食だ。「1日の最初の食事である朝食は、栄養素のバランスを考えた内容が好ましい」との考えから、契約農家から取り寄せた新鮮な野菜などの食材をふんだんに使ったメニューを提供する。

8階「エグゼクティブラウンジ -桜花-」
フードシナジーを考慮した朝食メニュー

また、食べ合わせによるフードシナジー(相乗効果)を考慮。例えば、アボカドとトマトのサラダは、トマトのリコピンとアボカドの脂質を一緒に取ることで、リコピンの吸収力がアップする効果を狙っている。これらの栄養面を強調したメニューで、他社との差別化を図る。

新鮮な食材を使ったスムージー
神奈川県伊勢原産「寿雀卵」とほうれん草のオムレツ

同フロアには、「エグゼクティブラウンジ -桜花-」のほか、プライベートパーティーやカンファレンスルームとしても利用可能な「プライベート ダイニング -紫翠 SHISUI- 」や、「ライブラリーラウンジ -椿 TSUBAKI-」といった施設も併設。客室は、80~120平米の全室スイート仕様となり、1室1泊あたりの価格帯は18万円から。冠婚葬祭の家族利用や、企業の宴会利用を狙っている。

ライブラリーラウンジ -椿 TSUBAKI-

3つの「文化」を伝える雅叙園

ホテル雅叙園東京は、リブランドに際し、従来からの強みである「ハード(建物)」「食」「文化(婚礼)」の3本柱を強化していく考えだ。

「百段階段」は、国の登録有形文化財に指定されており、各部屋の天井や欄間に描かれた作品は、美術館の貯蔵作品にも劣らない価値を持つ。その空間で食事や宴会を行える同施設は、その豪華絢爛さから「昭和の竜宮城」とも呼ばれているという。スタジオジブリの長編アニメ映画「千と千尋の神隠し」の油屋のモデルになったとも言われ、海外からも高い人気を誇る。

国の登録有形文化財に指定された「百段階段」

また、飲食事業では、和食はもちろん、婚礼事業で培ったイタリアンや中華といった分野でも強みがある。さらなる強化のため、朝食の新メニューのほか、クラブラウンジ、イタリアン料理、パティスリーなど、複数レストランのリニューアルを発表。また、飲料顧問にエグゼクティブソムリエの石田博氏を迎えるなど、サービス向上に勤める。さらに、併設するオフィスビルのアルコタワーでも4月21日から、健康食をコンセプトにしたカフェの運営を開始する。

同社の1番の強みである婚礼事業では、和婚や着物といった、日本特有の伝統文化を強調したプランを用意することで、国内外の「コト消費」を狙う。ブライダルサロンを昨年リニューアルしたことで、数年間低迷していた婚礼数もV字回復を果たしている。また、訪日外国人向けのブライダルプランも用意し、新たな消費も狙う。

目黒雅叙園 代表取締役社長の本中野 真氏

同社の本中野社長は、「今回のリブランドにより、3つの"文化"を発信していくことで、2020年以降も愛される、個性的な施設を作り上げたい」と述べた。婚礼施設としてのイメージが強い同社だが、歴史のある有形資産を上手に活用しながら、老舗ブランドを再構築することで、複合施設として展開。今後は、婚礼事業に加え、訪日外国人やファミリー層の利用増加を狙う。