「冨岡久美子」の記事

冨岡久美子

東芝メモリ売却の優先交渉先決定受けウエスタンデジタルが声明を発表

東芝メモリ売却の優先交渉先決定受けウエスタンデジタルが声明を発表

2017.06.21

経営再建中の東芝が、同グループの財務体質の強化を図るために進めている、東芝メモリの売却。同社は、取締役会において、優先交渉先を決定したと発表した。優先交渉先として決定したのは、産業革新機構、ベインキャピタル、日本政策投資銀行からなるコンソーシアムで、候補者の中から、東芝メモリの企業価値、国外への技術流出懸念、国内の雇用の確保、手続きの確実性などの観点から総合的に評価した結果、上記のコンソーシアムの提案が最も優位性が高いと評価したとしている。

この発表をうけて、ウエスタンデジタルコーポレーションは、以下の声明を発表した。

東芝は、サンディスクの同意権及び現在進行中の二つの法的手続きを無視し続けています。JV 契約は、東芝にはサンディスクの同意を得ずに第三者に持分を譲渡する権利がないことを明記しています。サンディスクは売却手続きに同意しておらず、売却の差止救済及び仲裁裁定のプロセスを通じて自社の JV 持分を守り、自社の権利を主張し続けます。東芝は、過去に何度もサンディスクの同意権を認識し、かつ確認しています。さらにウエスタンデジタルは、東芝の発表に記載された一部の当事者に対し、JV 持分の直接的または間接的な譲渡への合意など、東芝とサンディスクの契約違反を支援する行為は、契約への不当介入になることを以前から伝えています。2017 年 6 月 15 日に、当社は、国際商業会議所 国際仲裁裁判所(ICC InternationalCourt of Arbitration)に求めている差止救済に関する仲裁判断がなされるまで、東芝が三つの NAND フラッシュメモリー合弁事業の売却手続きを中止する旨の差止救済をカリフォルニア州上級裁判所に求めました。5 月 14 日に国際商業会議所 国際仲裁裁判所に提出した仲裁申し立ての手続きも並行して進めています。当社は、自らの同意権及び法的地位に確信を持っています。差止救済のための裁判所の法廷審問は 7 月 14 日に予定されています。

東芝メモリの売却について東芝は、今後、6月28日の定時株主総会までの最終合意、各国の競争法などの必要な手続きを行い、2018年3月末までの売却完了を目指すとしている。

今までなかった足爪専用ケア商品、隠れていたニーズを見つけたビジネスモデルとは

今までなかった足爪専用ケア商品、隠れていたニーズを見つけたビジネスモデルとは

2017.06.21

医薬品の開発、製造・営業・マーケティングまでの総合的な支援業務を行う国内大手シミックグループが、国内の一般消費者向けの商品販売に乗り出した。第1弾は、足爪の色や質感、形を健康的に整える、足爪浸透補修液で、日本では化粧品として販売されている。医薬品メーカーのパートナーとして黒子に徹していた同グループがなぜ、一般消費者向けビジネスを始めたのだろうか。

国内初の足爪ケア商品

シミックが販売を始めたのは、足爪用浸透補修液「ザンミーラ ネイル」。昨年に東海地方で販売をスタートさせ、今年全国に地域を広げての販売を始めた。

足爪用浸透補修液「ザンミーラ ネイル」。就寝前などに、爪の表面や先端の裏側に直接液体を塗布する。成分が角質に浸透し、角質を柔軟にする作用によって表面の傷んだ古い角質を除去。滑らかに整え、うるおいを保つことで、色や形、質感を健康的な状態にできるという

シミックが行った、素足と足爪に関する調査によると、約8割の女性が、足の見た目について悩みを持っているものの、日常的に足爪のケアをしている人は1割、何をしたらいいのか分からないと感じている人が7割だったという。足爪ケアをうたう商品といえば、においや角質除去商品を頭に浮かべる人も多いだろうが、足爪専用の補修液は国内には今までなかったのだという。

ニーズがあるのに、応える商品がない。そんなところに、商機を見出したのだ。

シミックとは

シミックとは、国内外の医薬品メーカーをクライアントとする協力企業。メーカーが、薬を開発し、行政から承認を得て、販売するまでのプロセスの中で、薬の有効性と安全性を確認する臨床試験を引き受けるCRO事業からスタートした。

臨床試験は元々メーカーが自前でやっていたが、莫大な費用と期間がかかる新薬開発の効率化、迅速化を図るため、アウトソースしていく流れが欧米を中心に進んだ。日本では、同社が最初のCROとして事業を開始した。

その後、ざまざまなメーカーの薬の製造を受託するCDMO事業、医薬品会社の営業を支援するCSO事業、コールセンターやウェブサイトで薬の製品情報の啓発活動を担うヘルスケア事業が始まった。そして、最近はじまったのが、今回の一般消費者向けビジネスなどを含む、IPM事業なのだ。

海外医薬品メーカーの日本参入をサポート

「海外の医薬品メーカーが日本で医薬品や化粧品などを販売するためには、厚生労働省の承認が必要なのですが、その承認をとるだけでも結構大変なのです。そこで例えば相手先には商品を日本に輸出してもらって、シミックグループが、日本国内の製造販売元となって、必要な業務を引き受けるというビジネスモデル。それが今回のケースです。」こう説明するのは、シミックホールディングス事業開発本部でコンシューマーヘルスユニット ユニットヘッドの木山基樹さん。

シミックホールディングス事業開発本部でコンシューマーヘルスユニット ユニットヘッドの木山基樹さん

「日本国内販売に必要な業務をワンストップで引き受けられるので、海外のメーカーからすれば、シミックとだけお付き合いをしていれば、承認もとれるし、臨床試験もできるし、営業の組織もあるし、工場もある。効率的でリーズナブルなんです。その中で、一般消費者向けの商品も取り扱うことになったのです。」

これまで海外のメーカーが、日本に参入する場合、商社か、日本国内の医薬品メーカーとアライアンスを組むという形がメインだったという。「医薬品メーカー同士のアライアンスだと、国内の医薬品メーカーも自分たちの組織を、自分たちの商品と同じように使わないとならない。両社とも利益をとらないと事業としてなりたたないので、互いに薄利にならざるを得なかったのです。」

こういった流れで海外メーカーの参入サポートをシミックが始めたのが2014年。「海外で市場を確立していて、認知されている商品なのに、日本では販売されていない商品を探して、国内で販売しようとなったのです」(木山さん)。その第1弾が、先ほどのザンミーラネイルなのだ。この商品は、スウェーデンのモバーグファーマ社が製造しているものを、輸入している。今後、ザンミーラシリーズも第2弾、第3弾とアイテム数を増やし、ブランドの拡大を図っていくという。

一般消費者向けのビジネスに関しては、今年の売り上げ目標は50億円。「今のところ計画に対して順調に推移しています」(木山さん)。2020年には、店頭売価規模で100億円を目指す。今後ザンミーラ以外にも、さまざまなメーカーと商品を投入していく準備を進めている。潜在的ニーズがある商品をどれだけ、日本国内に持ってきて、根付かせることができるのか。新たなビジネスモデルとして注目していきたい。

東芝ライフスタイルの石渡社長が語った、東芝グループを離れた1年

東芝ライフスタイルの石渡社長が語った、東芝グループを離れた1年

2017.06.08

東芝グループでは、昨年末の原子力事業の巨額損失判明から、再び危機的状況が続いている。そんな中、昨年中国家電大手のマイディアグループの傘下に入った東芝ライフスタイルの石渡社長が、久々に公の場に顔を出し、この1年の歩みについて説明した。昨年度下半期の黒字化、そしてマイディアグループとのシナジー効果など成果が語られたが、一番強いメッセージは、東芝ブランドの家電が変わらないことだった。

変わらぬ東芝ブランドを強調

その時代時代の暮らしを見つめ、私たちは家電の1号機を作ってきました。

技術を尽くして思いを形にするーー。創業以来の思いを胸に、今、私たちは東芝ライフスタイルとして新しく歩み始めています。

そんなナレーションをのせたVTRから始まった、東芝ライフスタイルの発表会。

業界初の最先端技術が採用された、新しい洗濯機の商品発表会に、昨年の8月以来石渡社長が、公の場に登場した。

「これは、私たちが東芝ブランドを冠した白物事業において、高い品質、匠の精神、革新的な技術力、そして充実したサービスをこれからも責任をもって変わらずに継続して、そしてたかめていくという宣言です」登壇した石渡社長は、VTRについて説明。

「東芝ブランドの家電商品は、東芝基準に基づく管理はもとより、開発製造、販売、アフターサービスの体制も変わらず、私たち東芝ライフスタイルグループが維持する」と、以前記者の前にたった時と同じ説明を繰り返した。

マイディア傘下に入って1年

東芝の家電事業を担っていた東芝ライフスタイルは、グループの経営危機の中、昨年6月マイディアグループと東芝の戦略的パートナーシップによってマイディアグループから約80%の出資を受けた。

傘下に入った2016年度、下期は黒字化を達成した同社。これには、東芝グループに属していたときに行った構造改革の成果が出たこと。新商品が計画通りに発売でき、かつその商品が支持されたこと。マイディア傘下に入ったことで、11月から、製品開発やテレビ広告など大胆な成長投資を行うことができた。これら3つの大きな要因があるという。

さらに、石渡社長がマイディアグループ本社の最高意思決定機関であるエグゼクティブコミッティーのメンバーに就任、その一方で、マイディアグループのファン会長を、東芝ライフスタイルの会長に迎えた。これによって両社トップの意識と情報の共有、タイムリーな意思決定に繋がっているという。

現場における変化については、「走りながら考えるところも出てきている」とスピード面での変化を強調。「マイディアの持つ技術と東芝が持つ技術、互いに出し合って共同開発をしている」という。生産体制については、マイディアの商品を東芝ライフスタイルの工場で作るなど相互の資産をフル活用している。

中国市場においては、冷蔵庫クリーナーなど東芝ブランドの商品をマイディアの販売網を使って、マイディアが販売し始めており、これから成長が見込まれるミャンマーやカンボジアなどの新興国の開拓を昨年からスタート。市場の開拓にも力をいれていくという。

今後は、マイディアグループとのシナジー効果をより具体的に出していくために、「グローバルブランドのマーケティング強化」「製品ラインアップ補完・拡大」「製品競争力の強化」「クラフトマンシップ技術革新」の4つのプロダクトを加速させていくという。

そんな一方で、東芝グループとの関係については、「私たち20%くらい東芝ですから、東芝グループとの技術交流は続けていく」とマイディアグループと東芝ライフスタイル、バックの東芝グループ、含めて、技術開発を進めていくとした。

東芝ブランドの普遍性と、さらなる成長を力強く印象づけたい。そんな意図を感じた今回の社長の言葉。ブランドの品質は本当に変わらないのか、その一方で何か変わっていくのか。注視していきたい。