アバルト、ジープ、マクラーレン…安東弘樹の輸入車イッキ乗り!

安東弘樹のクルマ向上委員会! 第15回

アバルト、ジープ、マクラーレン…安東弘樹の輸入車イッキ乗り!

2019.03.06

アバルト「695C Rivale」には「もう一段、ギアが欲しい」

ジープ「ラングラー」で感じた「フットレストの重要性」

マクラーレン「570S」は「ブレーキペダルの重さ」が面白い

日本自動車輸入組合(JAIA)試乗会で次々に輸入車に乗る安東弘樹さん。今回はアバルト「695C Rivale」、ジープ「ラングラー」、マクラーレン「570S クーペ」の3台に試乗したときの模様をお伝えしたい。

※文と写真はNewsInsight編集部の藤田が担当しました

アバルトで味わったコンパクトカーの楽しさ

「695C Rivale」はアバルトがラグジュアリーボートブランド「Riva」(リーヴァ)と組んで作った台数限定のクルマだ。アバルト「595」と同じくフィアット「500」をベースとする。エンジンは直列4気筒インタークーラー付ターボ。「ATモード付5速シーケンシャル」というトランスミッションを搭載していて、自動変速と手動変速が切り替え可能なところも特徴だ。

安東さんは「アバルトの“屋根開き”の楽しさを体験してみたくて」このクルマを試乗することにしたそうだ。試乗したクルマは「カブリオレ」といって、屋根を開閉できるモデルだった。これまでに2台のフィアット「500」を所有したことがある安東さんは、アバルトがチューニングを施した「695C Rivale」から何を感じたのだろうか。

「695C Rivale」と安東さん

安東さん(以下、安):(クルマに乗り込んですぐ、マホガニーを採用したインストルメントパネルを見て)ウッドが渋いですねー。あ、ルームミラーは自動防眩(後続車のヘッドライトの反射を自動的に抑制してくれる機能)だ! あいかわらず、テレスコは付いてないんですね、チルト(※)だけで。

※編集部注:「テレスコピック」はステアリングの前後位置、「チルト」は上下位置を調整する機能のこと

:(しばらく走って)やっぱり“抜いた”方がいいな……。

編集部(以下、編):何をですか?

:いや、シフトアップするとき、アクセルを抜くとスムーズにいくんですよ。

:そうなんですね……。しかし、高速道路を走っているときの感じが、さっき乗ったジャガー「XF スポーツブレイク」と比べて、だいぶ違いますね。同じ速度でも、こちらの方が迫力があるというか……。

:そうですね。ジャガーからは余裕を感じましたけど、運転する楽しさという意味では、こちらが上かもしれません。ただ、もう1段、ギアが欲しいかなー。あと、足まわりは結構、ビシビシ突き上げがきますね。嫌いじゃないですけど(笑)

「695C Rivale」のサイズは全長3,660mm、全幅1,625mm、全高1,505mm。価格は422万円だ

:フィアットの「500」に乗っていたときって、サブカーみたいな感じだったんですか?

:いえ、乗っていた距離でいうと、メインカーでした。本当はMT(マニュアルトランスミッション)がよかったんですけど、クラッチの左側に空間が少ないというか、足の置き場がなかったので、長く乗ると疲れるかなと思って、シングクラッチの2ペダルモデルをマニュアルモードで変速しながら乗ってました(※)。

※編集部注:シフトレバーでシフトを上げ下げできる機能のついたATがある。安東さんはシフト操作に悦びを感じるタイプのクルママニアだ

:3台目のクルマが買えれば「695C Rivale」みたいなクルマもいいかもしれないんですけど、ただ、距離を乗ることになると思うので、やっぱりディーゼルエンジンのクルマにしちゃうかな……。そういう意味では、「リーフ」の「e+」(※)も興味ありますね。

※編集部注駐車場の都合もあって、今は2台のクルマを所有している安東さんだが、もし3台目を買えるなら、日産自動車の電気自動車(EV)「リーフ」のハイパワーバージョン「e+」にも興味があるという。リーフの航続距離はWLTCモードで322キロだが、e+は約40%向上して同458キロになった

:長距離を乗ることがあるので、内燃機関に比べて航続距離の短いEVは選択肢に入らなかったんですけど、「e+」は航続距離が伸びましたもんね。航続距離を伸ばそうとして高性能なバッテリーを積むと、ハイパワーのモーターと相まってパワーも向上するところはEVの面白いところだと思います。内燃機関だと、パワーを上げると大抵、燃費が落ちますから。ただ、500万円近いですよね? 値段には驚きました(価格は「リーフ e+ G」というグレードで473万円弱)。その価格帯だと、どういう人が買うのかなー。「ちょっとEVに乗ってみよう」という人には高いですよね。

アバルト「695C Rivale」を運転しながら電気自動車について思いを馳せる安東さん

:アバルト、小粋でいいと思います。それに……(信号待ちで隣に止まったクルマを見て)あっ、「アルトターボRS」だ! ああいうクルマに乗っている人というか、ああいう嗜好を持っている人にとって、このクルマ(695C Rivaleのこと)は憧れかもしれませんね。運転されてる方も、こちらを見てましたし。しかし、こういう小さいクルマって、楽しいですよね!

スズキの軽自動車「アルト ターボRS」。大磯を試乗中、このクルマと信号待ちで隣り合わせになった

:フィアット「500」って、向こう(イタリア)では“足”として使われてますよね。すごいのは、新しいフィアット「500」が発売になったとき、イタリアでは、そのセレモニーが全国ネットでテレビ中継されたそうです。それを聞いて、国民的なクルマなんだなと実感しました。

こういうクルマって、運転を楽しむのには合っていると思います。フィアット「500」でも十分ですけど、もうちょっとスポーティーに走りたいっていう人にとって、「695C Rivale」は非常にいい選択肢でしょうね。

それに、4人乗れますしね! 「500」に乗ってたとき、小柄な女性を後席に乗せたことがあるんですけど、「快適だ」っていってましたから。ただ、前提として、前席に乗る人も小柄である必要がありますけどね。大柄な人が前に乗って、シートを後ろに下げちゃったら、さすがに厳しいので。

ジープ「ラングラー」で考えたクルマの合理性

アバルト「695C Rivale」の試乗を終えた安東さん。次に乗ったのはジープ「ラングラー」だ。実は、この時点で試乗時間が残りわずかになっていたので、あとの2台については少ししか乗れなかったことを、ここでお伝えしておきたい。

ジープ「ラングラー」と安東さん

:(乗り込んで)わ、いいなー! 以前、フォードの「エクスプローラー」に乗っていたので、こういう感じ、懐かしいですね。あ、フットレストがないのか……(※)。右ハンドルだから、仕方ないんでしょうけど。

※編集部注:安東さんが気にしているのは、運転中に左足を置いておける「フットレスト」があるかどうかということ

:ラングラーに試乗しようと思った理由は何ですか?

:(走り出しつつ)乗ったことがなかったんですけど、1度、この世界観を体験しておかないとまずいなと思っていて。ヘビーデューティーなクルマって、嫌いじゃないですし。

試乗したのは「UNLIMITED SAHARA LAUNCH EDITION」というグレード。価格は530万円、サイズは全長4,870mm、全幅1,895mm、全高1,845mm、ホイールベース3,010mmだ。「ラングラー」について弊紙では、モビリティジャーナリストの森口将之さんに詳しく解説してもらっているので、こちらの記事をご覧いただきたい

:過酷な使われ方を想定した、合理的な感じのクルマですよね。

:合理的という概念は好きです。クルマの場合、スポーツカーなのかSUVなのか、車種によって理想とする合理性は違うと思うんですけど、その車種の中では、最も合理的であって欲しいというか。

ラングラーもオフロードを走るクルマとしての合理性を突き詰めていて好印象なんですけど、右ハンドルにしたときフットレストが付いていないといういうのは、少し引っかかりますね。だって、ラングラーのようなクルマは、足を踏ん張って身体を支えなければならないわけじゃないですか。市街地で乗るなら影響はないのかもしれませんけど、本当のオフロードを走るときに、どうなるんだろうっていうのは、ちょっと気になります。ただ、こういうことはインポーターが頑張るといっても、限界がありますよね。

:合理性を追求しているクルマだけど、右ハンドルにした結果、少し不合理な部分が生まれてしまったという感じですか。

:踏ん張りづらいんじゃないかなー。「695」なんかもそうなんですけど、左ハンドルだと大きなフットレストがちゃんと付いてますからね。

マクラーレン「570S クーペ」は操作感が面白い

最後に、別の媒体が安東さんの試乗用に用意していたマクラーレン「570S クーペ」にも同乗させてもらったので、その様子をお伝えしておきたい。

マクラーレン「570S クーペ」で疾走する安東さん

:楽しいですか?

:やっぱり、楽しいですね! ブレーキペダルが重くて、かなり踏まないと効かないんですけど、それも、いかにも操作しているという感じがして、面白いです。

:本来は高スピードを出すクルマなので、あまり敏感にブレーキが効いても、ガクガクするというか、かえってよくないのかもしれませんね。

:「明確に踏む」って感じが必要なのかもしれませんね。普通のクルマの感覚で踏むと「あれっ!」って感じになりますから。

スーパーカーではありますけど、普通に乗れるといえば乗れるんで、そこがマクラーレンのすごいところですね。ソリッドな乗り心地ではありますけど。ただ、最低地上高が極端に低いので、普段使いに適しているかどうかは疑問ですね(笑)

「570S クーペ」は3.8リッターV8ツインターボエンジンを搭載するスーパーカーだが、安東さんによれば「普通に乗れる」とのこと。ただ、最低地上高が低く、高額なクルマでもあるので、段差を乗り越える際などは冷や汗をかきそうだ

慌ただしく3台の試乗を終えた安東さん。次に乗るのは、今回の試乗会で「最も乗ってみたかった」というテスラ「モデルX」だ。このクルマにはじっくり乗ってもらったので、その模様は次回、お伝えしたい。

洗練のエンジンを堪能…安東弘樹、ジャガー「XF スポーツブレイク」に乗る!

安東弘樹のクルマ向上委員会! 第14回

洗練のエンジンを堪能…安東弘樹、ジャガー「XF スポーツブレイク」に乗る!

2019.02.27

輸入車一気乗り企画、最初はジャガーのステーションワゴン

ジャガーのSUV「F-PACE」を所有する安東さんが2台を比較

タイヤは4つなんだから…安東弘樹、四駆へのこだわりを語る!

日本自動車輸入組合(JAIA)の試乗会を訪れた安東弘樹さん。計8台の輸入車一気乗りは、ジャガーのステーションワゴン「XF スポーツブレイク」から始まった。同社のSUV「F-PACE」を所有する安東さんだが、愛車と比べ、「XF スポーツブレイク」には洗練された部分があると感じたそうだ。

※文と写真はNewsInsight編集部の藤田が担当しました

「XF スポーツブレイク」と安東さん。このクルマのエクステリアで気に入った部分を指差してもらった。愛車「F-PACE」と比べるとリア全体の面積が狭いので、ひとつひとつのパーツが大きく見えるとのこと

購入を検討していたジャガーのステーションワゴン

JAIA試乗会は、参加するクルマ(今回は計69台)から乗ってみたいものを選んで事前に申込み、抽選で当たったクルマに乗るというシステムになっている。つまり、今回の試乗会で乗った8台は、何らかの理由で安東さんが乗ってみたいと考えていたクルマなのだ。

それでは、「XF スポーツブレイク」に乗ってみたいと考えた理由とは何か。ご本人に聞いてみると、「個人的に興味があったのと、これの四輪駆動が出ると聞いたので、それが出たら購入を考えてみようかなと思っていたので」とのことだった。

確かに、「XF スポーツブレイク」には先頃、四輪駆動のモデルが追加となっている。すでにメルセデス・ベンツ「E220d 4MATIC オールテレイン」の購入を決めた安東さんだが、この「XF スポーツブレイク」も、購入検討リストに入る寸前だった模様だ。

ここからは、「XF スポーツブレイク」に同乗して聞いた、安東さんのインプレッションをお伝えしたい。

「全長はこちらの方が少し長いと思うんですけど、ほんと、F-PACEを低くした感じのクルマですね。私のクルマと色も同じだし」(安東さん)

安東さん(以下、安):(走り出してすぐ)軽っ! 「F-PACE」に乗りなれているので、だいぶ軽く感じますね。

自分のクルマよりも重心が低いので、走りが安定してますね。その代わり、やっぱり、道が悪いところとかだと、SUVには絶大な安定感がありますよね。縁石とか、「普通のワゴンだとこすってた」って思うことがありますし。一長一短というか。

編集部(以下、編):室内の感じはいかがですか?

:乗ってみると、すごく開放的というか、明るいですね! パノラマルーフもF-PACEより広く感じます。パノラマルーフの真ん中に開閉用の線がないことも、見た感じに影響しているんでしょうね。ただ、グラス部分が開かないところは、ちょっと残念かなー。解放感と利便性と、どちらを求めるかで評価は変わってきますけど。

:F-PACEと比べて乗り心地はどうです?

:こっちの方が安定してはいるんですけど、ただ、サスペンションストロークが、おそらくF-PACEの方が長いので、路面からのコツコツ感というか、凸凹が直接伝わってくるような感じはありますね。“硬い”とまではいいませんけど、その分“スポーティー”ではあります。

単純に乗り心地でいうと、F-PACEの方が“ゆったり”していていいのかもしれませんけど、走りとしての軽さは、断然こっちですね。同じエンジンですけど。こういうところ(※)を走ると、やっぱり重心が低いので、圧倒的に走りやすいですね。

※編集部注:「XF スポーツブレイク」では、試乗会の拠点となった大磯プリンスホテルから箱根ターンパイクに向かった。「こういうところ」とは、ターンパイクの曲がりくねった山道のこと。

:あー、トルクがあるなー! ここ(ターンパイク)は何回もF-PACEで走ってますけど、いい比較になります。重量の差もあるし、XF スポーツブレイクはFR(後輪駆動)っていうのも影響していると思いますけど、はるかに軽快ですね。

しかし、こんなに良いエンジンだったかな……。やっぱりこれ、気のせいではなく、エンジンが(愛車のF-PACEと比べて)洗練されてますね。音も静かになっているし、スペックこそ全く変わっていませんけど、全然違いますね。回り方も滑らかだし、振動も少なくなってます。

試乗した「XF スポーツブレイク」(画像)は、安東さんが所有する「F-PACE」よりも後に発売となったモデルだった。新しい分、エンジンを含む各所に改良が加えられているのだろう

:ジャガーって、サルーンかスポーツカーのイメージが強くて、最近はSUVに力を入れている感じですけど、あえてステーションワゴンを選ぶ方の気持ちとは?

:オシャレなんでしょうね、セダンよりも。ちょっとアクティブな生活を送っているイメージというか。ただ、クロスオーバーワゴン(※)みたいなクルマがあるといいなと思いますね。「レガシィ」(スバル)のアウトバックとか、ボルボのクロスカントリーみたいな。

※編集部注:セダンとSUVの“いいとこどり”のようなクルマ。この車種の特徴や歴史については以前、自動車ライターの大音安弘さんに解説して頂いたことがあるので、こちらの記事でご確認いただきたい。

:日本車にはクロスオーバーワゴンの選択肢が少ないと思いますが、増えて欲しいですか?

:そうですね、今はレガシィくらいしかないですもんね。昔は日産の「ステージア」にすらあったのに……。ステージア、よかったけどなー! クロスカントリーみたいなクルマで、私も欲しかったですもん。ボルボのクロスカントリーには乗ってたことがあるんですけど、すごく便利でした。

ジャガーに乗りながら、日産「ステージア」を懐かしむ安東さん

:先ほど、FRの走りについてお話になっていましたが、やはり「クルマといえばFR」みたいな感覚って、あるんですか?

:私には、それはないですね。このクルマも、四輪駆動だったら購入を考えたんですけど。

最近は、東京でもドカ雪が降ったりするじゃないですか。カチカチになった路面で、スタッドレスを履いたFRのクルマが全く動けなくなっている状況を見たりもするので、いざという時のことを考えると、四駆がいいですね。あと、タイヤが4つ付いているので、折角なら(?)4つのタイヤが駆動して欲しいという気持ちが、どこかにあって。サーキットを攻めるような走り方というか、ドライ路面で振り回すんだったらFRの方が楽しいんでしょうけど、僕はやっぱり……。ポルシェも四駆ですしね(※)。

※編集部注:安東さんの愛車「911 カレラ 4S」は四輪駆動、マニュアルトランスミッション(MT)、右ハンドルという仕様だ。

:FR至上主義みたいな考え方って、なぜ生まれたかというと、昔はFF(前輪駆動)のクルマがよくなかったからですよね。サーキットをFFで走っていると、アンダーステア(カーブの時、外側にふくらんでしまうこと)が出て、まともに曲がらない、みたいな。

以前、「トップ・ギア」という番組で、当時は出たばっかりだったオペルの、確か「アストラ」のスポーツモデルだったと思うんですけど、そのクルマに乗っていつもの飛行場サーキット(?)で攻めようとしたら、面白いほど曲がってなかったですもん。ジェレミー(※)が「アンダーステアー!!」とか、「このステアリングは何のために付いているんだ!!」とか叫んでて。昔のFFって、そういうところが確かにありましたからね。そのクセを知っている人が、FR至上主義みたいになったんだと思うんですが、今はFFや四輪駆動のクルマもよくできているし、ネガティブな要素は限りなく減ってきていますから。

※編集部注:「トップ・ギア」は英国のBBCが放送している自動車番組。ジェレミーとは、以前司会者を務めていたジェレミー・クラークソンのこと。クルマ好きの人に話を聞いていると、しばしば話題にのぼる番組だ。

試乗した「XF スポーツブレイク」はFRだったが、四輪駆動モデルも購入できる

XF スポーツブレイクの試乗では、愛車のF-PACEと比べ、洗練の度合いを増しているエンジンに何度も感嘆の声を上げていた安東さん。次に乗るクルマは、FCAジャパンのアバルト「695C Rivale」とジープ「ラングラー」だ。ひょんなことからマクラーレン「570S Coupe」にも乗ることができたので、その時の様子もあわせてお伝えしたい。

注文の多いクルママニアは何を選んだのか…安東弘樹、クルマを買う!

安東弘樹のクルマ向上委員会! 第13回

注文の多いクルママニアは何を選んだのか…安東弘樹、クルマを買う!

2019.02.20

クルマ向上委員会「輸入車一気乗り編」のプロローグ

安東さんがジャガー「F-PACE」から乗り換えるクルマは?

“駐車場問題”で心が折れた…重視したのはクルマの横幅

年に一度、神奈川県・大磯を舞台に開催される日本自動車輸入組合(JAIA)の試乗会。たくさんの輸入車を一度に楽しめる同イベントを、安東弘樹さんに取材してもらった。

※文と写真はNewsInsight編集部の藤田が担当しました

夜には「バラいろダンディ」(TOKYO MXで放送中、安東さんは火曜レギュラー)の生放送が控える2月5日、朝から夕方までの間に安東さんが乗ったクルマの台数は、アストンマーティン「DB11」やテスラ「モデルX」などを含む計8台。最初のクルマはジャガーのステーションワゴン「XF スポーツブレイク」だ。

ファルコンウィング(ドア)を広げたテスラ「モデルX」を背にポーズをとる安東さん。編集部からは「ヒーロー風に」と注文させてもらった

早速、「XF スポーツブレイク」の話に入りたいところなのだが、実は試乗の開始直後、安東さんからあるクルマの購入を決めたという話を聞いたので、まずはプロローグとして、そちらから取り掛かりたい。というのも弊紙では、安東さんがクルマ選びに悩む様子を以前から追っていた経緯があるので、その結果をご本人から直接聞いた以上、本連載にてお伝えしておきたいと思ったからだ。

大前提として、安東さんは現在、ポルシェ「911 カレラ 4S」とジャガーのSUV「F-PACE」を所有しているのだが、TBSを退職してフリーとなって以降、クルマ(F-PACE)で仕事現場(特に東京都内)に通勤する機会が増えると、深刻な“駐車場問題”に直面することとなった。つまり、横幅が1,935mm、高さが1,665mmと大柄なF-PACEだと、基本的には立体駐車場に入れられないなど、クルマをとめておく場所を探すのに苦労が多いのだ。

購入検討リストに入っては消えていったクルマは、マツダ「アテンザ」やミニ「クラブマン」など枚挙に暇がない。そんな安東さんのクルマ選びが、ついに結論に達したと小耳に挟んだので、「XF スポーツブレイク」に乗り込んですぐ、そのあたりの話を聞いてみた。

クルマ選びが決着!

編集部(以下、編):次のクルマ、決まったそうですね?

安東さん(以下、安):そうなんです、メルセデスの「オールテレイン」にしました。最終的に「ヴェラール」と悩んでたんですけど、やっぱり駐車場に入らないんで……。実はメルセデスって、以外に幅は、そんなにないんですよ。(全幅が)ヴェラールは1,930mmなんですけど、オールテレインは1,860mmしかありません。ちなみに、「Sクラス」でさえ1,910mmです。

「オールテレイン」とは、メルセデス・ベンツの「E220d 4MATIC オールテレイン」(画像)というクルマのこと。Eクラスのステーションワゴンをベースとするクロスオーバー車で、2.0L直列4気筒のディーゼルエンジンを搭載する。最高出力は194ps、最大トルクは400Nm。サイズは全長4,950mm、全幅1,860mm、全高1,495mmだ。公式サイトで見ると、車両本体価格は893万円となっている
「ヴェラール」(画像)はSUV専門メーカーであるレンジローバーから2017年に新登場したクルマ。弊紙ではモータージャーナリストの御堀直嗣さんに試乗して頂いたことがあるので、こちらの記事をご覧いただきたい

:実は年末に遅刻したんですよ。しかも2件。所属している事務所で打ち合わせや雑誌の取材などを行う事が多いのですが、その立体駐車場にF-PACEが入らないので、いつもは近場のコインパーキングを利用して打ち合わせなどをするのですが、その日は近くの駐車場が全く空いてなくて。どうにもならなくて、1キロ以上も離れたところにとめて、そこから歩いて事務所に向かったら遅刻してしまいました。それが1件目。

もう1件は共演者のライブ。場所が代官山だったのですが、空きが有っても立体駐車場では「サイズが大きすぎる」と断られるところばかりで……。1カ所、「空」と表示されている平置きの駐車場を見つけたんですけど、そこは1台ごとにバーで区切られている所で、よく見ると「横幅1,900mm以上はご遠慮ください」って書いてありました。結局、かなり離れた、しかも超高額な駐車場にとめた挙句、開演時間に少し遅れてしまいました。

:“横幅問題”が身にしみたわけですね。

:ええ、クルマを3台所有できるなら、1台は横幅を気にせず選んでもいいんですが、家を改装して(3台目のクルマをとめておく)駐車場を作れないことも分かりましたから……()。

※編集部注:安東さんは自宅の庭を改装して3台目のクルマのために駐車場を作るつもりだったが、建築法上の理由で断念した。このあたりの事情は以前、本連載でお伝えした通り。

:F-PACEを買い換えるということですか。

:F-PACEって、とってもいいクルマで、(駐車場問題以外には)何の不満もなかったんですけどね。オールテレインが5月に納車なので、それまで、計2年8カ月で手放すことになりますね。もっとも、走行距離は計算上、5月には9万キロ前後になるので、買い換え時ではあるかもしれません。

安東さんがとても気に入っていると話すジャガー「F-PACE」

:納車待ちでウキウキしてますか?

:そうですね。ただ、あまりにもF-PACEが気に入ってるんで、少し複雑ですけど。それと、人に自分の所有車を言うときに「メルセデス・ベンツです」というのが、若干その……。何に乗っているんですかと聞かれて、「メルセデス・ベンツです」と答えると伝わりきらないというか、「Eクラスのオールテレインです!」まで、全て言いたい、というか()。

※編集部注:「メルセデス・ベンツ」だから買ったのではなく、こだわって選んだクルマが「メルセデス・ベンツ」だったということを伝えたいけど、クルマにあまり興味がない人には伝わらない、というニュアンス。

安:テレビ局やスタジオなどの現場にクルマで行く時は、事前にマネージャーが先方に車種を聞かれるわけです。マネージャーはクルマもナンバーも把握しているので、それを先方に伝えるんですけど、車種を聞かれた時に5月からは「安東は“ベンツ”です」って答えることになるのですが、「あー、フリーになったからねー」みたいな感想をもたれるのかなと思うと……。

実は、実際の購入金額はF-PACEよりもオールテレインの方が低いんです。少し複雑で、F-PACEの方が「何円から」というカタログの表記ではオールテレインよりかなり安価なのですが、オプションや諸経費を含めると、実は、F-PACEはかなり価格が上がってしまったので、最終金額は逆転するのです。これはオールテレインにほとんどの装備が標準で付いていることが大きいです。

※編集部注:クルマの値段を見る場合、ほとんどオプションが付いていない状態での価格表記なのか、“コミコミ”での価格表記なのかには注意する必要がある。例えば、サンルーフやシートベンチレーションのような「あったら嬉しい装備」のみならず、カーナビなどの「ぜひとも付いていて欲しい装備」すら付いていない“素”の状態で、かなり安く見える値段を提示している場合もあるからだ。

:オールテレインとポルシェ、しばらくはこの2台体制ですか?

:ですね。ドイツ車2台、しかもベンツとポルシェっていうと、人によっては反感を買うかもしれませんけど(笑)。「ポルシェ 911 カレラ4Sの右ハンドルのマニュアルトランスミッション(MT)です!」とか、いちいち全部説明したいくらいですよ! 2台とも、結構マニアックだと思うんですけどね。

ただ、クルマに詳しくない方には、「ベンツとポルシェ」としか言いようがないので、「フリーになると違うな」などと思われるんでしょうね(笑)。かといって、その都度、「メルセデスですけど、社員時代に乗っていたクルマより安いんです」とか言うのも変だし。難しいですね。

「オールテレイン」の気になる点は?

:オールテレインの少し気になるところは、最低地上高(地面からクルマの最も低い部分までの距離)が140mmで、それって“普通”なんですよね(※)。「E 220 d」のステーションワゴンは115mmともともと低いので、それでも25mm上がってはいるんですけど。

※編集部注:もっと高くてもいいのに、という意味。クロスオーバーSUVだと200mm前後のことが多いので、確かに高くはない。

:オールテレインはエアサス(エアサスペンション)で車高が上げられるんですけど、それでも20mmしか上げられなくて。(車高上昇時の)160mmって、これでも下手したら“普通のクルマ”なんですよ。さらに、車高は時速35キロを超えると、(自動的に)下がっちゃうんですよね。

メルセデスとしては、本当に速度が出せないような道でしか、車高を上げさせたくないと考えている、ということなんでしょうね。メルセデスは他のメーカーより、そういった部分でマージンをとるので。この手のクルマは200mm位の最低地上高にしているメーカーが多いのですが(スバルやボルボなど)、メルセデスとしては、そこまで上げた時の安定性を担保できない、ということなのかもしれません。

:クルマづくりの話で、メルセデス・ベンツは乗り手をあんまり信用していなくて、逆にBMWは乗り手に委ねる、というような言葉を聞いたことがあります。

:よく言われてますよね。

:車高についても、メルセデスが考えている以上に、乗り手に上げたり下げたりして欲しくないから、クルマ側である程度は制御する、ということなんでしょうか?

:そこが残念といえば残念ですね。

ジャガー「XF スポーツブレイク」で箱根ターンパイクを疾走する安東さん

かなり吟味して購入を決めたのだから、おそらく、オールテレインが届くのを楽しみにしているのだろうとは思うのだが、「ちょっと気になる点」として最低地上高に言及するところなどは、クルママニアの安東さんらしい観点という気がした。MT車のシフト操作を喜びと語る安東さんだけに、自分で運転するクルマに関することは全て、自分で考え、自分で決めて、(最低地上高の調整も含め)自分で操作したいのだろう。

さて、クルマ選びの顛末をお伝えすることできたので、編集部としてもひと安心だ。次回からはいよいよ、JAIA試乗会の模様をレポートしたい。最初に乗るクルマは(すでに乗ってはいるが)、ジャガーのステーションワゴン「XF スポーツブレイク」だ。ジャガーのSUV「F-PACE」を気に入って乗っている安東さんだけに、この2台の比較も気になる。