日産「エクストレイル」が進化! “自動運転技術”搭載で販売が加速?

日産「エクストレイル」が進化! “自動運転技術”搭載で販売が加速?

2017.06.09

日産自動車がSUV「エクストレイル」をマイナーチェンジして発売した。変更点はいくつかあるが、最大の目玉は“自動運転技術”の「プロパイロット」を採用したことだ。現行モデルは登場から3年半が経過しているが、新技術の追加は販売の活性化につながるのだろうか。

日産「エクストレイル」がマイナーチェンジ

「プロパイロット」とは何か

エクストレイルは2000年に登場した日産のSUV。これまでに2度のフルモデルチェンジがあり、現行モデルは2013年12月に発売となった3代目だ。今回のマイナーチェンジによりエクストレイルでは、日産が“高速道路同一車線自動運転技術”と表現する「プロパイロット」の搭載をオプションで選べるようになった。

プロパイロットとは、フロントガラスの中央上部に取り付ける単眼カメラで前方車両や車線を3次元的に捕捉し、その情報を元にクルマのステアリング、アクセル、ブレーキを自動制御するシステムのこと。この機能を使うと、ドライバーが設定した車速(時速30~100キロ)を上限にクルマが自動で走行する。高速道路でしか使えない機能だが、前にクルマがいなければスピードを維持し、クルマがいれば追従・停止・停止保持を自動で行ってくれるので、長距離の巡航走行や渋滞時の運転でドライバーの負担軽減につながるというのが日産の売り文句だ。

中央に見えるのが単眼カメラだ

エクストレイルに新機能を入れた意図

日産車でプロパイロットを搭載するのは、2016年8月に発売となったミニバン「セレナ」に続く2車種目。セレナで20万円以上だったプロパイロットのオプション価格は、今回のエクストレイルでは14万400円(税込み)に抑えた。価格が安くなったのは、オプションパッケージの内容がセレナとエクストレイルで異なるため。具体的に言うと、プロパイロットは他の機能を含めたパッケージでのオプション販売なのだが、そのパッケージに入っている機能の内容が、エクストレイルはセレナに比べて少ないということだ。

エクストレイルには「20X」と「20S」というグレードがあり、それぞれでガソリンエンジンとハイブリッドが選べる。価格は219万7800円~309万8520円(税込み)。プロパイロットを搭載できるのは「20X」で、付けた場合の価格は268万9200円からとなる。

左がセレナ。プロパイロット搭載車はエクストレイルが2車種目となる

ミニバンのセレナでは、大勢の乗員を乗せたドライバー(例えば家族づれの父親)が、行楽や帰省などの際にプロパイロット機能を使い、長時間にわたる高速道路の運転で負担の軽減を図る様子が想像できた。エクストレイルに同技術を展開した日産は、どのような利用シーンを想定しているのだろうか。

日産が想定する自動運転の利用シーン

日産で日本事業を担当する専務執行役員の星野朝子氏は、新型エクストレイルの発表会に登壇し、クルマでレジャーに出掛ける若者を例に引きつつプロパイロットの利用シーンを説明した。要約すると、目的地では思い切り遊んで、疲れた帰り道はプロパイロットを使って安全かつストレスなく帰宅しましょう、という感じだ。

発表会会場で話を聞いた説明員によれば、家族向けが中心のセレナに対し、エクストレイルは30代男性が主なターゲットで、女性ユーザーが乗っているケースも意外に多いとのこと。この説明員は、「目的地に到着するまでに疲れてしまってはもったいないので、出掛ける際には往路でもプロパイロットを使って頂ければ」と補足していた。

スノーボードも縦に積める車内。荷室にはウォッシャブルラゲッジボードを採用

レジャーでの長距離移動も多そうなエクストレイルに、プロパイロットが付いた。これは販売面でも新たな訴求ポイントになりそうな要素だ。このクルマは年間4~6万台程度の販売台数がある人気車種だが、今回のマイナーチェンジで勢いは加速するだろうか。

販売への影響、セレナではどうだったか

プロパイロットが販売面にもたらす影響を考える場合は、セレナの例が参考になる。昨年8月に発売となった現行セレナは、現在も好調な販売をキープしているそう。気になるプロパイロットの装着率は、発売当時で約7割、現状でも5割程度の水準を維持しているという。2017年3月に日産が発表した情報によれば、新型セレナ(昨年8月発売)の累計販売台数は発表当時で約6万5000台。そのうちプロパイロット搭載車は約3万6000台とのことだった。

プロパイロットはステアリングに付いているスイッチで起動させる(画像はエクストレイル)

もちろん、プロパイロットがなくてもセレナは売れていたかもしれないので、この技術が直接的に販売台数の増加に寄与したかどうかは判断できない。しかし、現行セレナを買ったユーザーの半数以上がプロパイロット搭載車を選んでいるという事実は、この技術がユーザーの関心を引くものであったと考える1つの理由にはなるだろう。

では、エクストレイルの販売にプロパイロット搭載効果は現れるだろうか。

ハイブリッドは販売に寄与、プロパイロットの効果は?

ここで近年のエクストレイルの販売台数を振り返っておきたい。まず、12月にフルモデルチェンジがあった2013年度は、約4万3000台で前期比61.8%の増加だった。その後は2014年度で4万8000台、2015年度で6万3000台、2016年度で5万3000台という具合に推移している。2015年度に急増しているのは、この年にハイブリッドタイプの投入があったからだと考えられる。

ハイブリッドタイプが登場した2015年度は販売台数が急増した

「ハイブリッド」と「プロパイロット」では、かなり知名度に差がありそうだし、燃費に関わる技術が身近に感じるのに比べ、自動運転に関する技術についてはユーザーごとに感じ方が大きく異なりそう。なので、プロパイロットの搭載が、ハイブリッドタイプ登場時と同じくらいエクストレイルの販売を押し上げるかどうかは疑問だ。しかし、先進技術に関心のあるユーザーに対して、プロパイロットが効果的な訴求ポイントになることは間違いないだろう。

今回のマイナーチェンジで日産は、リアバンパー下部に取り付けたセンサーにより、クルマの下に足を入れて引くだけでバックドアを開閉できるハンズフリー機能「リモコンオートバックドア」を新たに搭載したり、内外装に新デザインを採用するなど、エクストレイルの商品性を向上させている。こういった改善点も販売面ではプラス材料になるはずだ。新型エクストレイルの販売目標は月間5000台。日産ではこれまでに3300台の予約注文を確保しており、そのうち8割程度がプロパイロット搭載モデルだという。

「プレミアムコロナオレンジ」は今回のマイナーチェンジで新たに用意された色。SUVに鮮やかなカラーリングは不可欠だと個人的には感じる

もしも、プロパイロットの導入でエクストレイルの販売台数に目覚しい伸びが見られたとすれば、それは市場が同技術を求めている証左になる。この技術を他の車種にも展開していく方針の日産にとっては朗報となるはずだ。

新技術の横展開に感じる可能性

クルマの「電動化」と「知能化」は日産の2本柱で、プロパイロットは知能化を具現化した技術だ。電動化を代表する新たなパワートレイン「e-POWER」も好評だそうで、このシステムを積んだ「ノート」はコンパクトカーセグメントでトップの販売台数をキープしているという。これらの技術を他の車種に展開することに日産は積極的だ。

プロパイロットやe-Powerといった新技術を商品化する中で、星野専務は日産の技術力を評価する声を聞く機会が増えたという。これらの新しい技術について同氏は、フルモデルチェンジのタイミングを待たずとも、適当なタイミングがあれば他の車種へ横展開していくという考えを示した。

日本市場での販売に対する手応えを語った星野専務

エクストレイルのマイナーチェンジは、新技術を既存車種に展開する流れのモデルケースとなる。この手法は、大小さまざまなクルマを扱う日産にとって強力な武器になり得る。エクストレイルの売れ行きとプロパイロットの搭載比率は、日産の今後を考える上で重要な指標となりそうだ。

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

2019.03.22

ネットの学校「N高」の卒業式に潜入

開校時に入学したN高1期生が卒業した

世間の注目を浴び続けた生徒は、何を想う?

3月、角川ドワンゴ学園「N高等学校」の卒業式が東京・お台場にて開催された。

「ネットの高校」として、3年前に設立したN高。この日、2016年の開校時に入学した第1期生と、途中転入・編入した生徒をあわせ、計1593名が卒業した。3年前、『VR入学式』で世間を賑わせたこの学校を巣立つ卒業生たちは、N高での日々をどう捉え、今後はどのようなキャリアを描いていくのだろうか。

卒業式は2019年3月20日、お台場にて行われた

卒業式を彩る最新テクノロジー

N高は、ドワンゴとKADOKAWAの経営統合で誕生したカドカワが設立母体となり、2016年4月に開校された通信制高校だ。同校は開校後、2年次編入なども受け入れてきたため、これまでも卒業生を排出してきてはいたが、「1年生~3年生をN高で過ごした生徒」が卒業するのは、初めてのことだ。

卒業式には多くの報道陣も参加した。生徒にとって、「卒業式に記者がいる」「自分たちが卒業する様子がテレビやWebで取り上げられる」というのは不思議な感覚だろう。とはいえ、もう「VR入学式」に「ニコニコ超会議」へのブース出展(N高ではそれを「文化祭」と表現)などの経験を経て、メディアへの露出には慣れてしまっているのかもしれない。

そして、今回の卒業式も例によって独特だった。

卒業式は任意参加で、会場には袴や制服に身を包んだ生徒が集まる一方、その様子をライブ配信することで、会場に来られない生徒生徒も参加できる仕組みになっていた。会場のスクリーン上にはニコニコ生放送さながら、リアルタイムでコメントが表示されており、こうした演出は「N高らしい」といった印象を受けた。

卒業式の様子。オンライン参加者のコメントがスクリーンを流れる

中でも印象深かったのは、当日来られなかった生徒を代表して、米シリコンバレーに留学中の佐々木雅斗さんが「ロボット」に自分の顔を映して卒業証書を受け取ったシーンだ。

使用したのは、ANAが“未来の移動手段”として開発する、視覚・聴覚・触覚などを備えた、ユーザーの分身となるロボット「ANA AVATAR」。同校ではこのロボットを試験的に授業にも導入しているそうで、こういった最新のテクノロジーを使うあたりもN高らしい。

遠隔操作ロボット「ANA AVATAR(Beam Pro)」を用いて卒業証書を受け取った佐々木さん

と、テクノロジーにばかり目が行きがちではあるが、そもそも「高校生がシリコンバレーに留学している」という事実も驚くべき点だ。高校に通いながらも、シリコンバレーでビジネスを学ぶ――、というキャリアを選べるのは、学校という場所の制約を受けない、ネットの高校のメリットと言えるだろう。

卒業式にはほかにも「異色のキャリア」を持つ生徒たちが集まり、特に活躍した卒業生に対する特別表彰も行われた。

表彰を受けたのは、東京から鹿児島県に移住し、農業や水産業を手伝い地域活性化に貢献する白鳥優季さん、第18回アジア競技大会ジャカルタ・パレンバン「ウイニングイレブン 2018」eスポーツ 金メダリストの相原翼さん、N高のプログラムを最大限に活用し、スタンフォード大学やオックスフォード大学のサマープログラムに参加した冨樫真凜さんなど。その活躍の幅は広い。

さまざまな分野で活躍したN高生に対しては、特別表彰が行われ、記念品としてクリスタルトロフィーが贈呈された

メディア露出が多いがゆえに高まる期待値

N高を卒業した個性豊かな面々は、今後は大学進学、就職とさまざまなキャリアを歩む。

日本初で唯一N高にのみ実在するという「起業部」に所属し、かつ起業第一号として「Easy Go」という会社を創業している、鈴木颯人さんと山田陽大さんから「N高で過ごした時間」についてコメントをもらった。

「元々は地元の進学校に通っていたのですが、『自分が好きなことをしたい』『起業したい』という想いがあり、N高に入学しました。年齢や場所に縛られず、多くの人とコミュニケーションを取れ、充実した3年を過ごせました」(鈴木さん)

「以前通っていた学校が自分と合わず、ネットで見つけたN高で『ここだったら新しいことができるかも』と入学を決意しました。今振り返ってみて、やはり『この学校に来てよかった』と思います」(山田さん)

Easy Go代表取締役の鈴木颯人さん(左)と取締役の山田陽大さん(右)

2人に限らず、卒業生のコメントを聞いていくと「この場所で挑戦してみたい」という想いの元、N高を選んでいる生徒が多い印象だ。

普通の高校とは違い、メディアに露出する機会の多いN高での生活は、良くも悪くも、世間からの注目を浴びる。まだ高校生の彼らにとっては、その視線が時に辛く感じることもあっただろう。ただ、その一方で鈴木さんは「初めて会う方とお話しする際、『N高出身です』と言うだけで、会話が広がることがよくあります」とその知名度を好意的に捉えている。

若くして、覚悟を持ってN高という環境に飛び込んだ生徒たちは、周囲の視線を浴びつつ、たくましく成長してきたことだろう。「N高出身」というキャリアは、彼らにとって1つの大きな武器になりそうだ。

カドカワは新たに2019年4月から、「N中等部」も開校する予定だ。「ネットの学校」という、世間の注目が集まる新しいコンセプトの学校だからこそ、在校生・卒業生の動向は、今後もしばらくは注目され続けそうだ。

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スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

2019.03.22

中国スマホメーカーのOPPOが独自のカメラ技術を説明

開発競争が続くスマホカメラ、トレンドは「望遠」へ

高倍率ズームスマホの登場で、デジカメの優位性に危機?

中国のスマホメーカーとしてシェアを急拡大するOPPOが独自に新開発したカメラ技術、「10倍ハイブリッドズーム」が面白い。実際に2019年の新機種からスマホへの搭載を進め、日本市場へも製品を投入するという。

OPPOが「10倍ハイブリッドズーム」技術を紹介

メーカー間の開発競争が続くスマホカメラだが、「望遠」が次のトレンドになりつつある。デジタルカメラに匹敵する10倍もの高倍率ズームを、OPPOはどのように実現したのだろうか。

1年で7機種を投入、気付いた「日本市場の難しさ」

OPPOは世界のスマホ市場で熾烈な4位争いを繰り広げている。サムスン、アップル、ファーウェイのトップ3社に続く集団の中で、2018年は中国Xiaomiに僅差で迫る5位になった(IDC調べ)。

OPPOは2018年、日本市場で7機種のスマホを発売した。OPPO日本法人の鄧宇辰社長は、これまでに国内販売チャネルを12に拡大し、あわせて認定修理店を全国に展開したことを挙げ、「日本のSIMフリー市場でいち早く成長するブランドになった」と振り返る。

オッポジャパン 代表取締役社長の鄧宇辰氏
2018年の1年間にスマホを7機種投入

2019年は国内展開をさらに加速する。日本の消費者に向けたコミットメントとして、件の「10倍ハイブリッドズーム」機能を備えたスマホや、FeliCa・防水対応のスマホ、新たに立ち上げたブランド「Reno」シリーズの市場投入を約束する。

また、話題の「5Gスマホ」の市場投入も急ぐ。日本では5Gの周波数がまだキャリアに割り当てられていないものの、ドコモ、KDDI、ソフトバンクを含む世界の事業者と標準化に向けて連携しており、準備を整えていることを強調する。

MWC19のQualcommブースではOPPOが5Gスマホを実演

一方で鄧社長は、日本市場の難しさについて、「1年の経験を通して、日本市場は他の国と違うことに気付いた。消費の習慣や求めるレベルも高い。グローバルのやり方を日本に持ってきても通用しない」とも述べている。日本市場における品質やサービスの要求水準の高さは、多くのメーカーが直面してきた課題だが、OPPOも同じ壁にぶつかったといえそうだ。

スマホカメラ、次のトレンドは「望遠」に

そのOPPOが市場攻略にあたり、特に注力をしはじめたのが「カメラ」だ。その中でも、業界では次の進化ポイントとして「望遠」技術に注目が集まっている。

そもそもスマホはデジカメと違い本体が薄いため、搭載できるレンズに物理的な制約がある。このレンズの制約から、スマホのカメラはどうしても焦点距離の狭さが弱点になってしまっていた。そこで最近はスマホに複数のカメラを内蔵し、それぞれで広角や望遠を使い分けることで、この弱点を克服しようと進化している。

OPPOの「10倍ハイブリッドズーム」技術は、この弱点に対し異なるアプローチで挑む。プリズムを使って光を屈曲させるペリスコープ(屈曲光学)構造をカメラモジュールに採用することで、レンズを従来の垂直方向ではなく水平に配置できるようにした。これにより、薄型のスマホであっても、光学レンズでは従来不可能だった高倍率ズームが搭載できる。

光を曲げるペリスコープ構造を採用

ただ、35mm換算での焦点距離は16~160mmの10倍となっており、一般的なコンデジの感覚では5倍ズーム程度の性能だ。8.1倍以上はデジタル処理を組み合わせた「ハイブリッドズーム」としているなど、いくつか注意点はある。とは言え、これまでにない望遠レンズをスマホで扱えるのは面白い。

10倍ハイブリッドズームによる画角の違い

OPPOは既に報道陣に向けて、この10倍ハイブリッドズーム技術を搭載するスマホの開発デモ機を公開している。2019年の第2四半期には製品化する計画で、日本市場へも2019年中に投入する見込みだ。

10倍ハイブリッドズームのデモ機。5Gにも対応できるという

特にカジュアルなカメラ需要の受け皿としてスマホに押されがちなデジタルカメラだが、高倍率ズームはスマホには無い、デジカメに残された得意分野のひとつだった。だが望遠もスマホで十分撮れるとなれば、いよいよその優位性も危うくなる。今回のズーム技術は、デジカメ市場をもう一段縮小させてしまう可能性を秘めているのだ。

最大のライバルであるファーウェイも「HUAWEI P30」シリーズで望遠カメラを搭載するとみられており、今後は各メーカーが高倍率ズームで競い合うことは間違いなさそうだ。

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