今夏発売の「CX-3」から! マツダが新燃費基準にいち早く対応する理由

今夏発売の「CX-3」から! マツダが新燃費基準にいち早く対応する理由

2017.06.10

マツダは、この夏に発売を予定する小型SUV「CX-3」のガソリンエンジン車について、世界統一の燃費試験サイクルであるWorldwide-harmonized Light vehicles Test Cycle(WLTC)の認可を取得したと発表した。日本国内では、2018年10月以降にWLTCによる燃費表示が義務化される予定だが、マツダはなぜ、前倒しでの対応に踏み切ったのか。

コンパクトSUVの「CX-3」にガソリンエンジン車が登場。新しい燃費基準「WLTC」で認可を取得した

WLTCでカタログ燃費と実用燃費の差が縮まる?

WLTCとは、国際連合の自動車基準調和フォーラムによって成立した乗用車などの国際調和排出ガス・燃費試験法(WLTP:Worldwide-harmonized Light vehicles Test Procedure)に沿った排ガスと燃費の表示方法である。

日本国内では現在、排ガス浄化性能と燃費値について、「JC08モード」に従って認可されている。JC08モードとWLTCでは燃費測定方法にさまざまな違いがあるのだが、その1つがコールドスタートとホットスタートの比率だ。

JC08モードでは、エンジンが止まった状態からクルマを始動させて(コールドスタートで)測る数値と、すでに走行を始めてエンジンが温まった状態で(ホットスタートで)測る数値の双方を一定の割合(コールド比率25%)で使用する。一方、WLTCではエンジンが冷えた状態からの計測が100%となる。コールドスタートの場合、排ガス浄化触媒を働かせるための温度上昇に燃料を消費するため、ホットスタートよりも燃費測定の結果が悪くなる。

WLTCではこのほか、平均車速の向上、アイドリング時間比率の減少、車両重量の増加などの変更が生じるため、全体的な燃費性能の評価がJC08モード値より厳しくなる傾向が考えられる。実際、マツダがCX-3のガソリンエンジン車で示した例でも、JC08モードに比べWLTCの方が6~8%ほど燃費値が悪くなっている。

マツダは2010年10月の「SKYACTIV」発表のときから、原理原則に基づいた新車開発に大きく舵を切った。SKYACTIVと名乗る次世代技術は、まずガソリンエンジンで導入され、以後はディーゼルエンジンやトランスミッション、車体、シャシー開発においても導入が図られた。また、その技術を適正価格で実用化し市販するため、モノづくり革新として工場での生産方式まで改革を行ってきた。

「SKYACTIV TECHNOLOGY」を取り入れて誕生したマツダの新世代商品群

SKYACTIVの中でも象徴的なのは、ガソリンエンジンの高効率化へ向けた取り組みである。エンジン効率の基本である圧縮比に注目し、これを従来以上に高めることで高効率化を進めた。それにより、ドイツを発端とする、小排気量エンジンに過給機を装備して低燃費と高出力を両立させるダウンサイジングに対抗し、自然吸気エンジンのまま、低燃費と高出力を両立する道を歩んできた。なおかつそれを、レギュラーガソリンで達成している。

低燃費・高出力の実現へ何を重視するか

ダウンサイジング過給エンジンとは、まず排気量を小さくすることで燃料消費を下げ、不足する出力は過給で補うという手法だ。したがって、過給器が作動するまでは小排気量エンジンの出力しか得られず、結果、運転者は余計にアクセルペダルを踏むことになり、実用域での燃費との間で開きが生じる傾向にある。また欧州は、国内よりガソリンのオクタン価が高いため、日本で使用するにはプレミアムガソリンを給油する必要がある。

一方、マツダが取り組んでいる、自然吸気エンジンでありながら根本的な圧縮比を高める方式は、十分な排気量を備えているため、運転者がアクセルペダルを踏み始めたところから適切な力が発生し、必要以上にペダルを踏み込ませないようにする。その上で、エンジン自体の効率の高さにより低燃費を実現する。したがって、実用燃費との差が少ないというのが、マツダ独自の燃費計測結果からも明らかにされている。

低燃費と高出力の両立において、何を優先するかという発想の違いがそこにある。そしてマツダは、エンジンそのものの高効率化に重心を置き、カタログ諸元での数値競争ではなく、実用性能に重きを置いた新車開発を続けている。なおかつ、より安価なレギュラーガソリンでの利用にこだわる。ただし、カタログなどでの表面に出る数値の比較が難しいため、営業政策上はなかなか強みを消費者に示しにくい面があった。

そこに現れたのが、WLTCである。

実用燃費へのこだわりは実を結ぶか

三菱自動車工業の燃費不正問題や、スズキの燃費計測における指定方法以外での抵抗値の算出など、2016年に噴出した燃費問題を受けて、国土交通省は国際的な指標となるWLTCの導入を検討してきた。そして、2018年10月の義務化が定まって間もなく、マツダは他社に先駆けてWLTCによる燃費表示を導入し、話題を得たことになる。

原理原則を見極め、何が理にかなっているかを追求することで課題解決することを、マツダはSKYACTIVで行ってきた。それにより、単にカタログ上のモード燃費値で他社と競うのではなく、実用燃費で顧客に利点をもたらす開発を続けてきたのだが、そこを単純明快に説明しきれずにきた。それが、他社に先駆けてWLTCに対応し、実用燃費により近い燃費表示を採用することへと踏み切った背景といえるのではないだろうか。

一言では説明できない商品改良の数々

本質を極める開発のやり方は、「G-ベクタリング コントロール」という姿勢制御の採用でも見られる。これは、運転技量の高い人がクルマの前後の荷重移動(アクセルのオンオフやブレーキなどで行う)を利用して姿勢制御を行っている操作を、電子制御による出力調整で一般の運転者が無意識のうちに実現できるようにした機能である。G-ベクタリングにより直進安定性が高まったり、カーブでの旋回が的確かつ安定したものなったりする。

G-ベクタリングをはじめ、さまざまな技術を採用しているマツダの新世代商品群だが、一言では説明しにくい要素も多い(画像は「CX-5」)

ほかにも、新世代商品群に用いられる新開発のプラットフォーム開発においてマツダは、アクセルとブレーキのペダル配置を適正化し、運転しやすく、かつペダルの踏み間違いを起こしにくい運転姿勢を追求してきた。これにより、運転支援機能の追加装備などと合わせた効果として、ペダルの踏み間違いによる死傷事故件数を、旧型車に比べ86%も改善している。

しかしそれらも、詳しく説明すれば消費者に理解が届くだろうが、一言では表現しにくいモノづくりであった。

新たな商品性としての燃費表示

一目瞭然の新しい機能を取り付けることや、性能差という数値で商品性を訴える手法は、各自動車メーカーが永年にわたり続けてきたことだ。

それに対して、マツダのSKYACTIVやG-ベクタリング、あるいはペダル配置などは、説明を受けなければなかなか気づきにくい商品性の向上であり、営業促進的には訴求点を見つけにくい事柄である。とはいえ、手にした消費者にとっては嬉しい機能であり、カタログ値に近い燃費を実用上得られたり、より安心して運転したりできれば、マツダ車を買って良かったとやがて実感できるだろう。

そうした一目見ただけではわかりにくく、原理原則に基づき、消費者にとっての価値を第一とした物づくりを、「魂動デザイン」という見栄えで飾り、人目を集めたのが今のマツダ車である。そこにもう1つ、他社にさきがけ、いち早く実用燃費に近いカタログ燃費値の表示になると期待されるWLTCの認可取得が、分かりやすい商品性として加わることになる。

マツダは新世代商品群の次に投入する「次世代商品群」を準備中。JC08モードに比べ、実用燃費の良さを示しやすいWLTCの導入は、次世代商品群を広くアピールしたいマツダにとってプラス材料となるかもしれない

WLTCはCX-3の“売りもの”になるか

WLTCは実用燃費により近い数値が示されるとともに、市街地/郊外/高速という3つの場面に応じた燃費値も公表される。ことに日本においては、クルマの使われ方は多様であり、こうした利用形態に応じた燃費表示は、各自の利用の仕方に適したクルマ選びの参考にもなっていくはずだ。

WLTCを採用する第1弾となるCX-3は、実はこれまでディーゼルエンジン車のみの販売であった。マツダが、ガソリンエンジンだけでなくディーゼルエンジンの魅力も訴え続けてきたのは事実だが、なぜCX-3だけディーゼルエンジンしか選択肢がなかったのか、そこは理解しがたい点だった。

発売から2年以上を経て、ようやくCX-3にガソリンエンジン車を加える時、WLTCの話題が営業的に一役買うことは間違いないだろう。

マツダの実直なクルマづくりがブランドの礎を築いていく過程で、魂動デザインという見栄えの分かりやすさと共に、こうした的を射た営業施策を採り入れることもまた、企業経営の妙といえるだろう。

新快速をより快適にするJR西日本の「Aシート」の存在意義

新快速をより快適にするJR西日本の「Aシート」の存在意義

2019.04.23

プラス500円でより快適な乗車を提供するJR西日本の「Aシート」

京阪神圏を走る新快速は大きな輸送力を持つ

新幹線が通らない区間を新快速がカバー

JR西日本の新快速は、12両という長い編成を組んで、京阪神間を越えた区間に至るまでサービスを提供している

2019年3月16日のダイヤ改正では、JR西日本が注目すべき施策をいくつか打ち出した。そのうちのひとつに、京阪神圏の近郊輸送(アーバンネットワーク)の主力列車である新快速に設けられた、「Aシート」がある。既存の新快速用車両2両を改造し、片側3カ所の扉のうち中間を埋めて、客室内にはリクライニングシートと荷物置場を設置したものだ。

上下各2本、計4往復の新快速でサービスを開始した「Aシート」の車両

利用するには乗車券と別に「500円の乗車整理券」が必要だが、前売りは一切行われず、空席がある場合のみ、着席後に乗務員が下車駅を確認して発売する。こうすることによって着席を保証するもので、昨今、各社に広まっている「着席保証サービス」の一種でもある。その一方で「乗ってみるまで、座れるかどうかわからない」という欠点も指摘されている。

シートの乗車整理券は車内で、下車駅を指定して乗務員から購入する

現在のところ、12両編成中1両、野洲~姫路・網干間に1日2往復だけの設定で、「お試し」という域を出ない。だが、「グレードアップした座席を新快速に設けては」という議論は以前からあり、古くはJR西日本が発足した初期にも、グリーン車連結構想があるとの報道が見受けられた。

Aシートの登場から1カ月あまり。春休みの「青春18きっぷ」利用期間も終わって、試乗も一段落。動向も落ち着いたかと思われるが、利用客には一応の評価を得ているものと思われる。利用率次第で、今後の拡大は視野に入っていることであろう。

Aシート車には独自のロゴを入れて、ほかの車両と区別している

長距離客の需要をつかむか?

こうしたサービスへの潜在的な需要は、JR西日本も十分に把握していたはずだ。新快速用の電車は、2人掛けの「転換式クロスシート」と呼ばれる座席を装備し、普通や快速の一般的なロングシートや4人掛けのボックスシートの車両より快適といわれている。さすがに最新式の特急用リクライニングシートとは比べものにはならないが、普通列車よりも乗り心地が上なのは間違いない。

実際に乗車してみたが、座り心地がまったく違う。大型テーブルやフリーWi-Fi、電源コンセントも完備されている。それが500円の追加料金で利用できるとあれば、1両46席を埋める程度の需要は、十分にあるものと思われる。

新快速の特徴に長距離運転が挙げられる。最長で、福井県の敦賀発、兵庫県の西端に近い播州赤穂行きというものがある。大阪~姫路間、あるいは大阪~彦根間など、利用が多い区間は営業キロで100km前後となり、130km/h運転が自慢の新快速でも、所要時間は1時間かそれ以上になる。

首都圏で類似した区間としては、上野~水戸間や新宿~甲府間などがある。いずれも全車座席指定の特急が、およそ30分おきに走っており、本来なら特急列車が輸送の主役でもおかしくはない。JR各社が50kmまでの特急料金を設定しているように、もっと短い距離でも速くて快適な特急を利用する客は多いのだ。大阪~京都間(42.8km、新快速で約30分)ぐらいの区間でも、ほかの地方や私鉄では特急、ひいては着席への欲求は高い。非常に盛況で、今後の増強が伝えられる京阪特急の「プレミアムシート」が、よい例だろう。

しかし、JR西日本では特別料金不要の新快速が輸送の主軸を担ってきた。山科~京都~大阪~三ノ宮~姫路間では、12両編成で15分間隔運転という、大きな輸送力を提供しているが、それだけ需要は大きい。裏返して見れば、特別料金という収益源を、これまで逃してきたと言えはしないか。薄利多売と言うが、均一的なサービスよりも値が高くても質が良いものを求め、出費を惜しまない客は、どんな分野においても必ず一定数、存在するはずだ。現に新快速は、運賃がほかの私鉄より高いにもかかわらず、スピードで私鉄特急を圧倒して、顧客を確保してきた。

サービスアップと収益アップの一挙両得をねらう

新快速はもともと、京阪神間における私鉄特急との競争上、快速より上位の列車として誕生した。1970年のデビュー当時の運転区間は京都~西明石間で、日中のみの運転であった。それが国鉄~JR西日本の「安価な高速サービスを関西一円に広げる」という戦略に基づき、東は米原・長浜方面、西は姫路方面まで延長され、朝夕ラッシュ時間帯にも運転されるようになったという経緯がある。JR西日本となってからは収益の柱のひとつと位置づけられ、転換式クロスシートの快速列車は、ほかの線区でも多数、運転されるようになった。

「プレミアムシート」の連結が成功をおさめた京阪特急。新快速のライバルといえる存在だ

現在の新快速の運転区間の大半は、新幹線が並走している。もちろん、スピードでは新幹線が圧倒的ではあるのだが、新大阪駅や新神戸駅あるいは西明石駅が市街地の中心部にない。また、米原~京都間には新幹線駅がないという事情もあって、関西圏内の輸送では新幹線の占める割合は小さく、その分、新快速に人気が集まっている。

そこに存在する特別料金を支払ってでも快適性を求める需要に対して、まったく応えないというのも、今日ではサービス改善という面でマイナス評価につながる。それ以上に収益アップの可能性をみすみす見逃すというのも、一部上場企業の経営上、いかがなものだろうか。

今回のAシート導入の背景としては、やはり京阪のプレミアムシートが、JR西日本の並行路線、しかも大阪市内~京都市内という「短区間」で成功をおさめたことがあるだろう。京阪神間の私鉄の特急列車と、それに対抗する国鉄~JR西日本の新快速は、長年「特別料金不要で快適な座席を提供する」ということが、ひとつのポリシー、あるいは鉄道会社としてのアイデンティティとなっていた。それは、大筋においては今後も続くと思われるが、その一方で、混雑して座れなければ意味がないというジレンマも抱えている。

これまで「着席保証サービス」というものに対して慎重、あるいは懐疑的であった京阪神間の各鉄道会社。しかし「座りたい」という欲求は全国共通のはずだ。首都圏の座席指定制特急の利用客、特に朝夕ラッシュ時間帯に、年配者や小さな子供連れといった交通弱者が目立つのも、立席では移動が厳しいからに他ならない。バリアフリーとは、すなわちどのような人でも移動の自由が保障されるという意味。今日の鉄道会社にとって、最重要課題だといっていい。

お試し期間を終えた後は?

もちろん、Aシートのサービスは現状が完成形であるはずがない。まず供給量の拡大を図るのが先決であろう。片道2本しか連結列車がない今では、わざわざ「Aシートに乗ろう」と運転時刻を調べなければ利用できない。いつでも乗れるよう、すべての新快速への連結されることが理想だ。

同時に、座席指定制つまりは事前予約を可能としなければ、支持は得られないと思う。乗ったが満席で座れない可能性があるという今の制度は、当然ながらJR西日本も不十分と考えているだろう。

ただ、新快速はほかの在来線特急と比べて運転本数が圧倒的に多く、かつ停車駅も多い。車両の改造もさることながら、JRの予約システム「マルス」の改修、ひいてはそのための投資が可能かどうかに今後がかかっている。完全にインターネット予約・チケットレス乗車だけにして、マルスとは切り離した座席予約システムとすることも、あるかもしれない。

有料チケットで成功したLJL、日本eスポーツイベントのお手本になれるか?

岡安学の「eスポーツ観戦記」 第3回

有料チケットで成功したLJL、日本eスポーツイベントのお手本になれるか?

2019.04.23

よしもと∞ホールで開催された「LJL SPRING SPLIT 2019 Final」

リーグが進むにつれて増えていったチームや選手の固定ファン

有料チケットにも関わらずリーグでは会場がほぼ満席状態

4月13日、よしもと∞ホールにて、『League of Legends(LoL)』の国内プロリーグ「League of Legends Japan League(LJL)」の王者を決めるプレイオフ決勝、「LJL SPRING SPLIT 2019 Final」が行われた。

対戦カードは2019年春季シーズンのリーグ戦を20勝1敗の圧倒的な強さで勝ち上がった「DetonatioN FocusMe」と、プレイオフのセミファイナルにてリーグ2位の「Crest Gaming」を3連勝で下し、リーグ3位からファイナルに勝ち上がった「Unsold Stuff Gaming」だ。Unsold Stuff Gamingのリーグ成績は12勝9敗と、DetonatioN FocusMeと比べると見劣りするが、チーム状態は上り調子なので、成績差以上の拮抗した試合が期待できそうだ。

20勝1敗の好成績で1位抜けしたDetonatioN FocusMe
リーグ戦3位からセミファイナルを勝ち抜き、ファイナルに進出したUnsold Stuff Gaming

観戦が前提のeスポーツリーグとして成功を収めたLJL

ファイナルの形式は「BO5方式(5戦3勝勝ち抜け)」だ。Unsold Stuff GamingがDetonatioN FocusMeをあと一歩まで追い詰めるシーンがあったものの、結局はDetonatioN FocusMeがリーグ戦の強さをそのままに、3連勝で優勝を果たした。

LJLで優勝したことで、DetonatioN FocusMeは、5月1日から19日にかけて、ベトナムと台湾で行われるMSI(Mid-Season Invitational)に日本代表として出場することが決まった。DetonatioN FocusMeは、昨年のWorldsでプレイインステージで初勝利をあげ、強豪C9をあと一歩のところまで追い詰めるなど、大活躍しただけに、MSIでもそれ以上の成績を期待したいところだ。

決勝に相応しい熱戦を繰り広げたが、結果は3-0でDetonatioN FocusMeで優勝した

今回の「LJL SPRING SPLIT 2019」は、よしもとクリエイティブエージェンシーが運営に加わったこともあり、会場もよしもと∞ホール。観客席が常設されている劇場を使用することにより、観客が観戦することを前提に行われたリーグ戦となった。試合はすべて有料(2500~3500円)で、日本のeスポーツイベントとしては画期的なリーグ戦と言える。

しかも、多くの試合でほぼ満席状態。もっとも少ない日でも6割以上の席は埋まるそうだ。開幕戦と今回のファイナルに限れば、立ち見席まで埋まるほどの人気ぶり。“観るeスポーツ”の先駆けとして、大きな成功を収めたのではないだろうか。

ファイナルは立ち見が出るほどの人気。チケットもあっという間に完売した

徐々に増えていったチーム/選手の固定ファン

観客についても、最初のうちは『LoL』のプレイヤーがプロの試合を観に来るという印象だったが、終盤になるにつれ、選手を応援するファンが増え始め、まさにスポーツ観戦やライブ観戦に近い状態になっていた。観客席を見回すと、誰がどこのチーム、どの選手のファンかひと目でわかるほど、応援が本格的になっていた。

DetonatioN Gamingのユニフォームを着て応援する観客もちらほら。Ceros選手やEvi選手を応援する手作り応援グッズを携えた人も

リーグ戦では、試合終了後にロビーでファンとチームの「ファンミーティング」が行われる。これは昨年も行われていたが、ファンにとっては選手と近づける貴重な場になっていた。

今回のファイナルでも、試合の終了後にフォトセッションやファンミーティングが行われた。死力を尽くした試合後に1時間以上立ちっぱなしでファンに対応するのは、選手にとって決して楽なことではない。しかし、それでもファンを楽しませるのが「プロ」である。

ただ、今後、さらに観客が増え、会場が大きくなった場合は、アイドルの握手会のように、1人あたりの時間を設定する、「はがし」と呼ばれる係員を配置するなど、多少の対策は必要になってくるかもしれない。

試合終了後、ロビーでファンミーティングを行うUnsold Stuff Gaming

今回のSPRING SPLITは、全試合をよしもと∞ホールで行っていたが、今後セミファイナルとファイナルは、もう少し大きな会場で実施してもよさそうだ。

今回は初めてリーグを通して有料チケットでの開催だったこともあり、どれだけの人が訪れるか未知数な状態で席数を増やすのは難しかったかもしれないが、SPRING SPLITを通じて運営の見通しもある程度できたはずだ。2年前のSUMMER SPRITのファイナルは、幕張メッセの幕張イベントホールで開催しており、その席数は固定席だけで3888席。このときもほぼ満席となっていたので、さらに大きな会場での開催も見込めそうである。

日本のeスポーツのなかでは、もっとも観客を集められるプロリーグの1つであるLJL。SPRING SPLITをさらなる飛躍のステップとして、SUMMER SPRITの成功も願いたいところだ。LJLがほかのeスポーツタイトルへも大きく影響することは間違いなく、日本のeスポーツの発展のきっかけとなるのは言うまでもないだろう。

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