消費市場としてのASEAN、セブン-イレブンがベトナム進出する意味

消費市場としてのASEAN、セブン-イレブンがベトナム進出する意味

2017.06.19

先進各国の内需は成熟しきっており、新たな消費市場を求めて多くの企業が国外に打って出ている。そのターゲットは中国、ASEANと広がってきた。特に近年はASEANの市場開拓が進むが、中でも未だ開発が端緒に就いたばかりのベトナム、ミャンマーが、新たな有望市場として注目されていることをご存じだろうか。

そのような状況にあって、ついにセブン&アイ・ホールディングスがベトナムはホーチミンシティに「セブン-イレブン」の第1号店を開いた。日本のコンビニがベトナムに進出するのは、ファミリーマート、ミニストップに次いで3番目となる。

セブン-イレブンの出店が象徴するように、日本企業がベトナムに熱視線をおくる背景とは何なのか。わかりやすいデータとして、世界的に消費者市場の調査を手掛ける英調査会社ユーロモニターが今月に入り、ASEAN主要6カ国における人口や平均年齢等のデータを公開している。

なおデータはいずれも2016年までが実績値、2017年以降が予測データとなっている。

ASEAN主要6カ国の人口推移(出展:英調査会社ユーロモニター)
ベトナムの人口推移(出展:英調査会社ユーロモニター)

まず、ASEAN主要6カ国の人口について。ベトナムの人口は2017年現在では、約9,500万人と6カ国中3番目に多い。日本の人口が1億2,673万人(総務省統計局より 5月1日現在)であることを考えると、これだけの人口規模は消費市場として見逃すわけにはいかない。平均年齢も若く、人口は、今後も増加し続けることが予測されている。

ASEAN主要6カ国の平均年齢(出展:英調査会社ユーロモニター)
ベトナムの平均年齢(出展:英調査会社ユーロモニター)

平均年齢で言えば、ベトナムは2017年現在、31.2歳と非常に若い。46歳を超えるともいわれる日本の平均年齢とは比べるまでもないだろう。すでに約9,500万人の人口を抱え、平均年齢も若いことから、労働の質の高さ、消費意欲の高さ、市場拡大の有望さで期待が大きいのだ。

ASEAN主要6カ国のコンビニ市場推移※(出展:英調査会社ユーロモニター)
ベトナムのコンビニ市場推移※(出展:英調査会社ユーロモニター)

コンビニの例でいえば、現時点ではタイ、インドネシア市場の成長が目立っているものの、ユーロモニターの予測する市場規模の推移では、ベトナムは2021年、2017年現在より約240%の成長が見込まれるという。

※市場規模の値は、コンビニコーヒーやレジ横で売っているようなファストフード類は含まれない。2016年の年間平均為替ルートをすべての都市に適用しており、為替の影響は省く。実績値についてはCurrent(インフレ込み)、予測値についてはConstant(インフレなし)を使用。

ASEAN主要6カ国のコンビニ店舗数推移(出展:英調査会社ユーロモニター)
ベトナムのコンビニ店舗数推移(出展:英調査会社ユーロモニター)

また、コンビニ数の変化を見てみると、こちらも市場規模の変化と同じような傾向がみられる。ベトナムにおける小売店舗へのニーズは、いつか爆発する潜在力を持つと見るのが自然だろう。

セブン-イレブンの今回のベトナムへの進出は、これからの同国の成長余地を見越してのことだ。セブン&アイ・ホールディングスは、今回の開店に伴い、同国における流通近代化と顧客の利便性向上を図り、将来的なフランチャイズ展開も視野にいれているという。

近年、東南アジアのフロンティア各国は急激な経済成長を遂げている。ベトナムは政治情勢等の影響から、ASEANに加盟したのが比較的遅く開発が遅れていた。だが平均年齢の若さ、さらに人口の多さからその市場としての価値は非常に注目されており、今回のセブン-イレブンの進出は、同国の経済的成長を象徴的に裏付ける。

そして、世界中の小売り企業が進出してくるだろう中で、マーケティングやサービスなども含めて、日本ならではの特色を持つ「コンビニ」がベトナムで勝てるのか。日本企業の世界での競争力を測るうえでも、象徴的な出来事となるかもしれない。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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○カレー沢薫の時流漂流
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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu