LINEショッピング、ヤフー・楽天をおすすめショップにする意外な戦い方

LINEショッピング、ヤフー・楽天をおすすめショップにする意外な戦い方

2017.06.20

LINEは6月15日、「LINEショッピング」を公開し、ショッピングポータル事業に参入した。ネットショッピング事業で先行するAmazonやYahoo! ショッピングなどに対する強みはどのようなところだろうか。

LINEショッピングはAmazonやYahoo! ショッピングなどに対抗できる存在になれるか

ライバルすら取り込むショッピングポータル

LINEショッピングはLINEアプリ内から直接アクセスできるショッピングポータルだ(PC用のウェブサイトも用意されている)。スポーツ・インテリア・家電・コスメといったジャンルの、100を超える企業/ブランドへのリンクがあり、LINE内部で商品名に対する検索が可能なほか、ジャンルや店名での絞り込みも可能だ。

まだLINEアプリ内部にタブは作られていないが、LINEショッピングに関するバナーなどでアクセスは容易だ
ネットショッピングモールが対象になっているのはかなり意外。名前と裏腹に、完全にポイント付与だけに絞り込んだからできることだろう

ユーザーがLINEショッピングを通じてアクセスした先のブランドで買い物をすると、購入金額の最大20%をLINEポイントとして受け取れる。このポイントは1ポイントを1円としてLINE PAYや、スタンプ購入のためのLINEコインに交換できる。ポイントの還元率はブランドによって異なるが、現在のところキャンペーン対象となっているアパレル系が15%と大きめの数字がついているものの、その他の業種では1~3%程度のところが多いようだ。

一方、LINEショッピングではLINEが提供するのはポータルのみであり、決済機能などはまったく提供しない。この点、ショッピングモールというよりは、商品紹介やポイント交換サイト的なポータルということになる。商品の購入等は各ブランドのウェブサイトにジャンプして行うため、ブランドは自社サイトの中で、ブランドごとの世界観や体験を顧客に提供することができる。また、各ブランド内で独自のポイントカードなども展開しやすい。

驚いたのは、ライバルであるはずのYahoo!ショッピングや楽天市場すらもがショッピング可能なブランドに入っていることだ。さすがにポイント還元率は1%程度と低いが、LINEショッピングを通じてこれらのモールで購入すれば、それぞれのモールのポイントとLINEポイントが両方手に入る計算になる。これはポイント好きなユーザーにとってはかなり注目すべきポイントになるだろう。

LINEが目指すのはLINEポイント経済圏の構築か

LINEショッピングを使うユーザー側のメリットとしては、LINEアプリから移動せずに買い物ができることと、LINEポイントへのポイント還元が挙げられる。一方、出店者側のメリットとしては、まず国内で6800万人といわれるLINEのユーザーが潜在的顧客になることだ。

顧客とのコミュニケーションという点においても、メールアドレスを登録させて定期的にニュースレターを配信するなどの手間を考えると、LINE@を使って友達登録させるほうが顧客の心理的な障壁も低い。クーポン等を配信するのも手軽で、手間が省けるというのは大きな魅力だろう。今後の展開としては、位置情報やビーコン等を使ったリアル店舗への誘導や購買促進なども考えているということで、いわゆるオムニチャネル戦略にも踏み込んでいく。

ただし、LINEショッピングへの掲載には審査が必要で、LINE側は審査基準を公開していない。LINE自身が「既にLINEショッピングと連動している ECショッピングサイト/ECショッピングカートに商品を掲載いただくと、そのECショッピングサイト/ECショッピングカートを通じてLINEショッピングへ掲載されます」と説明するほどで、LINEとしては個人商店などはあまり相手にしていないように見える。

LINEショッピングのヘルプページに掲載法などが紹介されている(画像:LINEショッピングヘルプページより)

LINEショッピングへの掲載自体は初期費用を含めて無料だが、LINEショッピングを通じた売上の一定割合が手数料として必要になる。LINE側の収入源はこの手数料収入になるわけだ。手数料の割合も非公表だが、他社の例に倣えば、5%前後になると思われる。

LINEショッピングがLINEにもたらすものとしては、この手数料収入に加え、ユーザーがLINEポイントに接すると、LINEユーザーの購入履歴という行動データになる。後者については今後、AIクラウドサービス「Clova」などと組み合わせてリコメンドなどに利用すると予測され、直近はLINEポイントの影響力拡大を目指していると予想される。

ポイントサービスは各社が展開しているが、多業種間で利用できる共通ポイントということになると、楽天スーパーポイント、Tポイント、dポイントなどある程度限られる。こうした競合と比較したとき、LINEポイントはまだまだ知名度が低く、貯められるケースも、利用できるシーンも限られている。

しかし、日常の購買行動でLINEポイントが貯まるとすれば、ユーザーはそれをLINE PAYなどに転用するなどしてポイントをうまく回してくれるようになるはずだ。LINEポイントからはWAONやPonta、nanaco、Amazonギフト券などにも交換できるが、いずれにしてもLINEというサービスを使うきっかけになればいい。こうしてLINEポイントがユーザーにとって無視できない規模にまで成長すれば、行動データもさらに集めやすくなる。こうしてLINEポイントによる経済圏の確立を狙っているのではないだろうか。

ネットショッピング全体で見れば、Amazonの影響力は大きく、楽天やYahoo! ショッピングなども正面から当たって戦うには相手が大きすぎる。しかし自社ではサイトの紹介と検索、ポイントの付加に絞り込み、ポイントでユーザーを囲い込む、というようにやるべきことを絞り込めば、少ない労力で戦うことも可能だ。

LINEは以前「LINEモール」というCtoCのフリーマーケットアプリを展開していたが、フリーマーケット市場は激戦区ということもあり、昨年撤退していた。LINEショッピングはLINEモールの轍を踏まないよう、かなり工夫してきた感がある。あとはLINEユーザーの間でどれだけ受け入れられるかに注目したい。

「音声」巡り覇権争うアマゾンとグーグル、立ち止まるアップル

「音声」巡り覇権争うアマゾンとグーグル、立ち止まるアップル

2019.01.21

CESで存在感を放つアマゾンとグーグル、各社の最新動向は?

レノボはGoogleアシスタント、Alexaに対応した新製品を発表

アップルは各社にプライバシー問題を警告、独自路線を貫くか

米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES 2019」で、別格の存在感を放っていたのがアマゾンやグーグルだ。2018年はグーグルがCESに初めて本格出展したことで話題となったが、2019年も大がかりなブースを設置して来場者の注目を浴びた。

ラスベガスのCES会場前に設置されたグーグルのブース

アマゾンやグーグルは音声アシスタントで競争しており、家電製品への組み込みを進めている。2019年のCESではどうだったのか、両社の最新動向をレポートする。

グーグル対アマゾンの音声争いが加速

グーグルは今年もCES会場に「Googleアシスタント」を目玉にした大型ブースを設置。巨大な壁面広告やモノレールのラッピング広告で存在を示し、家電メーカーのブースには白い帽子のスタッフを派遣するなど、CESを乗っ取る勢いだった。

「Googleアシスタント」に対応した家電製品が並ぶグーグルブース

一方、Alexaで先行するアマゾンも展示エリアを拡大。業界やメーカーの枠を越えた「Alexa対応製品」を一挙展示することで、エコシステムの強大さを示した。家庭向けのスマートホーム用途だけでなく、オフィスで使う事例も示すなど、応用範囲を広げている。

アマゾンは「Amazon Alexa」対応製品をブースに集めた

具体的な対応製品として、音声で操作できるスマートスピーカーやスマート電球はもちろんだが、これまでにないジャンルの製品も増えている。たとえばレノボは「目覚まし時計」と「タブレット」の2機種を発表した。

レノボの目覚まし時計「Smart Clock」(左)とタブレット「Smart Tab」(右)

Googleアシスタントに対応した「Smart Clock」は、目覚まし時計の置き換えを狙った製品だ。音声だけでなく画面のタッチ操作にも対応しており、カレンダーの予定や寝覚めのいい音楽、室内の照明と連動した目覚まし機能を提供する。

一方、Amazon Alexaに対応した「Smart Tab」は、一般的なAndroidタブレットとして使えるほか、ドックに置くと音声とタッチで操作するスマートディスプレイに早変わりする。自宅でも外出先でも1台2役で使えるお得さが特徴だ。

アップルが投げかける「プライバシー」問題

CESに両社が注力する背景には、音声アシスタント市場におけるシェア争いがある。「Amazon Echo」や「Google Home」といったスマートスピーカーの売上ではグーグルがアマゾンを猛追しており、2018年第1四半期には逆転劇を果たした(英Canalys調べ)。しかし第3四半期にはアマゾンが再び首位に立つなど、接戦が続いている。

その勢力はスマートスピーカーを越えて、家電全体に広がりつつある。家電の操作といえばスイッチやリモコン、タッチ操作が一般的だが、音声に対応する製品は増えている。これまで独自の音声アシスタント「Bixby」を展開してきたサムスンも2019年にはグーグルとアマゾンとの連携を発表した。

サムスンはスマートTVでグーグル、アマゾンと連携

このまま音声が普及していけば、世界中の人々がインターネットのサービスやコンテンツにアクセスする手段になる可能性がある。音声アシスタントのシェア争いは、スマホOSのシェア争いと同じくらい重要というわけだ。

ただ、音声操作はプライバシーに関する懸念もある。音声操作を受け付けるには、マイクが常時オンになっている必要があるからだ。マイクをオフにする機能はあるとはいえ、家庭内のプライベートな会話を常にマイクに拾われるのは心地よいものではない。

この問題に一石を投じたのがアップルだ。CES会場からよく見えるホテルの壁に意見広告を掲載。ラスベガスの有名なコピーをもじって「iPhoneで起きることはiPhoneの中にとどまる」と訴え、サードパーティと広く連携するアマゾンやグーグルを牽制した。

アップルはCESでプライバシー重視をアピール。元々の言葉は、「What happens in Vegas stays in Vegas.(ラスベガスで起きたことはラスベガスに残る)」というもの

アップルも独自の「Siri」をiPhoneに搭載し、スマートスピーカー「HomePod」も販売している。だがサードパーティとは積極的に連携していないため、音声のシェア争いでは不利な立場に追い込まれている。アップルがこのまま「プライバシー重視」路線を貫くかどうかも、音声アシスタント市場の行方を左右しそうだ。

一度は姿を消したワイヤレス充電が再びメジャーになった理由

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第30回

一度は姿を消したワイヤレス充電が再びメジャーになった理由

2019.01.21

いまや当たり前の「ワイヤレス充電」スマホ

開発も販売も、実は日本が世界初だった

過去にナゼ廃れたのか、今はナゼ流行っているのか

最近、ケーブルに接続する必要なく充電ができる、ワイヤレス充電に対応したスマートフォンが増えてきている。一時は姿を消していたワイヤレス充電が、ここにきて再び脚光を浴びるようになったのはなぜだろうか。

世界初のワイヤレス充電対応スマホは日本製

スマートフォンを充電する際、多くの人は充電用の電源ケーブルに接続して充電していることだろう。だがここ最近、スマートフォンをケーブルに接続することなく、専用の充電台に置くだけで充電ができる「ワイヤレス充電」に対応したスマートフォンが増えているのだ。

例えばアップルのiPhoneシリーズであれば、2017年発売の「iPhone 8」シリーズ以降からワイヤレス充電に対応している。他にもグーグルの「Pixel 3」やサムスン電子の「Galaxy Note 9」、そしてファーウェイの「HUAWEI Mate20 Pro」など、海外製のハイエンドスマートフォンを中心として、ワイヤレス充電に対応したスマートフォンは着実に増えている。対応スマートフォンの広まりとともに、ワイヤレス充電をするための充電器も数が増え、家電量販店などで目にする機会も増えている。

ワイヤレス充電対応機種は急増しており、「iPhone XS」など最新のiPhoneもワイヤレス充電に対応している

充電をするためにケーブルに接続するというのは手間がかかるし、何よりケーブルは絡まりやすく取り回しが面倒なもの。それだけに、スマートフォンを置くだけで充電できるワイヤレス充電は消費者にとって非常に便利だ。したがってスマートフォンに搭載するという動きも比較的古くから進められていたのだが、現在のように広く普及するまでにはかなりの時間を要している。

実は、スマートフォン単体でワイヤレス充電ができる機種が最初に投入されたのは日本で、開発したのも日本企業である。2011年にNTTドコモから発売された、シャープ製の「AQUOS PHONE f SH-13C」がそれに当たり、Wireless Power Consortium(WCP)が策定したワイヤレス給電規格の1つ「Qi」に対応。Qi対応の充電器に置くだけで、スマートフォンを充電できる仕組みを備えていたのである。

世界初のワイヤレス充電対応スマートフォン「AQUOS PHONE f SH-13C」は、2011年にNTTドコモが提供。専用の充電器も提供していた

しかも当時、NTTドコモはQi対応のワイヤレス充電ができるスマートフォンの開発に力を入れており、「おくだけ充電」という名称まで付けて積極的なアピールを進めていた。さらにシャープだけでなく、NTTドコモと関係の深い他の国内スマートフォンメーカーともQi対応のスマートフォン開発を進め、市場に多くのワイヤレス充電対応スマートフォンが存在した時期があったのだ。

規格や充電性能の問題が解決し採用機種が増加

だが2013年を境に、NTTドコモのラインアップからワイヤレス充電対応のスマートフォンが一時期姿を消し、ワイヤレス充電は急速に存在感を失うこととなる。当時ワイヤレス充電に力を入れていたパナソニックモバイルコミュニケーションズやNECカシオモバイルコミュニケーションズなどが、iPhoneなどに押されてスマートフォン市場から撤退した影響も大きいが、より本質的な要因は2つあると考えられる。

1つは、急速充電に対する消費者のニーズが高まっていたためだ。当時はバッテリーの性能が現在より低かったため、スマートフォンを使っているとあっという間にバッテリーを消費してしまい、不満の声が多かったため、何よりも素早く充電できることが強く求められていたのだ。しかしながら当時のQiは電力の出力が弱く、充電速度が遅かったことから、消費者のニーズとマッチせず姿を消してしまったのである。

そしてもう1つの理由は、ワイヤレス給電規格が複数存在し、業界全体で、どの方式を採用するか方向性が定まっていなかったため、後続するスマートフォンがなかなか出てこなかったことだ。実際、2015年に日本でも発売されたサムスン電子の「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」はQi規格だけでなく、Power Matters Alliance(PMA、現在はAirFuel Alliance)が策定したワイヤレス給電規格も採用することで、ワイヤレス充電に対応させている。

2015年発売の「Galaxy S6 edge」は、当時まだ事実上の標準規格が定まっていなかったこともあり、複数のワイヤレス給電規格に対応していた

そして最近になってワイヤレス充電が再び日の目を見ることができたのは、それらの課題が解決したことが大きく影響している。急速充電に関しては、当初Qiのモバイル機器に向けた「Volume I」という規格では、送信できる電力が5W以下とされていたため充電速度が遅かったのだが、その後10W、15Wといったより大容量の送信ができる規格の策定が進んだことで、より速く充電できるようになったのである。

また規格の統一に関しては、アップルなど影響力の大きな主要スマートフォンメーカーがQiの採用に傾いたことで、Qiがスマートフォン向けの事実上標準規格となった。そのため多くのスマートフォンメーカーがQiを採用しやすくなり、急速に数が増えたといえる。

さらにもう1つ、高いデザイン性や防水性能など、スマートフォンに求められる要素が年々増えていることも、ワイヤレス充電が復活した大きな要因として挙げられるだろう。一方で、かつて必要だったPCへの接続など、スマートフォンに何らかのケーブルを接続する必要性は年々薄くなっている。将来的にはスマートフォンのワイヤレス充電対応が当たり前となり、充電用のUSB端子やLightning端子がなくなることも十分あり得るだろう。