法的整理へ向かうタカタ、複雑化する自動車産業に残した警鐘と教訓

法的整理へ向かうタカタ、複雑化する自動車産業に残した警鐘と教訓

2017.06.21

日米を中心に約1億個の巨大リコール(回収・無償修理)となったタカタ製エアバッグ問題は、2008年にホンダがリコールし、2009年に米国で初の関連死亡事故が発生してから、10年近くが経過したことになる。この問題は、負債総額1兆円超の負債を抱えたタカタが民事再生法を申請し、事実上の倒産となって次の段階へと進みそうだ。

タカタ問題が残した教訓とは(画像はタカタ本社が入る品川の東京フロントテラス)

タカタは6月27日に株主総会を控えているが、事業を継続しながら再生手続きを進める方針。再建を主導するスポンサーには、中国資本の米自動車部品大手キー・セイフティー・システムズ(KSS)が入り、同社が事業を買い取ることになりそうだ。

インフレーターの異常破裂でリコールに

エアバッグは、自動車の衝突時に乗車人員を保護する安全部品として知られている。タカタは、そのエアバッグで世界2割のシェアを持ち、日本車や欧米車など多くの自動車メーカーに供給していた。しかし、そのタカタを有名にしたのが、同社が製造し、自動車メーカーに供給しているエアバッグ部品「インフレーター(膨張装置)」の異常破裂による大量のリコールだ。

具体的には、インフレーターの火薬の材料が長く高温多湿にさらされ、水分が侵入すると作動時に破裂し、金属片が飛び散るおそれがある。これを受けて、自動車メーカーは日米でリコールを進めた。

複雑化の一途をたどるクルマの安全対応

この間、「エアバッグ破裂事故」によるリコールが広がるにつれ、自動車メーカーの品質保証対応コストの引当ては増加。一方で、この問題対応で露呈したタカタの経営体質には非難が続出した。結果、タカタは大きな経営危機に直面し、経営支援を求める「身売り」も時間の問題とされていた。

しかし、この「タカタ問題」は、タカタという個社の存亡ということだけで決着するものではなく、クルマの宿命的な課題である安全対応と、問題発生時の対応の在り方に大きな警鐘を鳴らすことになった。また、リコールの拡大や再発を防ぐため、自動車メーカー、部品メーカー、国の監視当局が何をしなければならないか、この教訓を役立たせる事が最も大事なことである。

すでに自動車産業では部品とプラットフォームの共用化が進み、かつ電動化に自動運転、コネクティッドカー(つながるクルマ)からIT(情報通信)・AI(人工知能)と、一般ユーザーから見るとクルマがブラックボックスばかりになりつつある。「安全対応」においては予防安全を重視するとともに、リコール制度の本質をあらためて確認しつつ、完成車メーカーとサプライヤーの社会責任の在り方などを、ここでしっかり見直しておかねばならないはずだ。

リコール1億台超、費用総額1兆3000億円の衝撃

米国における欠陥エアバッグの最初のリコールが2008年だから、すでに9年が経過したことになる。米国内で起きたエアバッグの破裂事故が、タカタ製のインフレーターが原因とされ、この間、不具合の原因を究明することに時間がかかっていた。

そして2015年11月、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)がタカタのエアバッグの欠陥を企業の不祥事と位置づけ、同社が適切なリコールや情報開示を行なわなかったため米国内で被害が拡大したとして、最大2億ドル(約220億円)の民事制裁金を課すと発表した。同時にタカタと自動車メーカーに対し、2019年までにリコールを完了するよう命じた。

「タカタが製造した硝酸アンモニウムを搭載したエアバッグの事故で亡くなった方、けがをした方に心からお詫びを申し上げます」。2017年5月10日の決算説明会で、タカタの野村洋一郎取締役はこう謝罪した。世界シェア2割のタカタ製エアバッグのリコール台数は、世界で1億台を超える。費用総額は1兆3000億円以上に膨らんだ。解決にかかる期間、規模ともに異例の状況だ。

ここまでの事態に発展した背景を考えると、火薬を使う安全装置というエアバッグそのものの特殊性も考慮すべきだが、やはり、安全関連部品企業として世界シェアも高かったタカタの企業体質に問題があったことは見過ごすことができない。また、リコール制度の日米の違いや、自動車メーカーのリコール責任、運輸当局の備え不足も指摘される。

危機管理対応に問題も

もちろん、タカタ製エアバッグの不具合については、タカタの製造プロセスに問題ありと原因が特定されている。また、高温多湿の環境下において、タカタのインフレーターがガス発生剤として使う硝酸アンモニウムが破裂を引き起こすということで、タカタと供給先である自動車メーカーの因果関係も問題とされている。

これに関しては、タカタという企業が、エアバッグだけでなく、シートベルトやチャイルドシートなど安全に関する部品を作るメーカーであり、交通安全や社会貢献を追求する「タカタ財団」も有していながら、そのオーナー系の企業体質と危機管理対応のまずさが指摘されてきたのは言うまでもないことだ。

筆者は、かつて前任の新聞社時代、タカタ創業家の先代社長夫人である高田暁子氏から、「タカタ財団」理事長として訪問を受けたことがあるが、同氏は「交通事故ゼロを目標に安全を使命としてやってきたのがタカタ」と強調されていた。

そもそもリコール制度は、完成車メーカーが市場責任で対応するものだ。①危険責任の原則、②信頼責任の原則、③賠償責任の原則の製造物責任三原則から、リコール制度に向き合うべきは、本来は自動車を完成車として製造・販売する自動車メーカーなのだ。

自動車メーカーサイドは、タカタ製エアバッグのリコール費用の引き当て対策、特別損失を前々期決算までに計上したことで、業績面に少なからず影響を受けることになった。

エアバッグは保安部品に指定すべき

かつて1987年に、ホンダが「レジェンド」に日本初の運転席エアバッグを搭載して発表した際、現役記者だった筆者は、エアバッグを開く実験で強烈な火薬の爆発音に驚いた覚えがある。それがいまや、クルマの安全装置としてエアバッグは常識化し、最近の新型車には歩行者保護のエアバッグまで搭載されるようになった。

ホンダ「レジェンド」

現在の法律上、クルマにエアバッグを搭載する義務はない。だが、型式指定をとるためには保安基準を満たす必要がある。この保安基準を満たすには、エアバッグの搭載が最もコストに見合うとされ、型式指定の必要からもエアバッグはクルマに不可欠なものとなっている。

しかし、エアバッグが乗員の人命を保護する重要な機能を持つことからすれば、エアバッグは保安部品に指定されるべきだし、本来は車検などで定期交換すべきなのである。

予防安全の重要性、サプライヤーも再認識を

2015年11月のNHTSAの発表後、ホンダは「タカタの提出データに不適切な報告の形跡がある。今後の新型車にタカタ製インフレーターを使わない」と発表し、当時の岩村副社長はタカタを強く非難した。かつてエアバッグ開発以来、タカタと関係が深かったホンダは、世界販売で最も多くのタカタ製エアバッグの供給を受けてきただけに、リコール費用が嵩み、業績に多大な影響を受けた。強い非難を行った背景には、ホンダの焦燥感があったのかもしれない。これを受けてトヨタ自動車、スバル、マツダなど、各社が相次いでタカタ製エアバッグの使用を止めることを表明した。

タカタは、中国寧波均勝電子傘下の米キー・セイフティー・システムズ(KSS)に事業譲渡し、旧会社が債務弁済する方向となりそうだが、今後の損害賠償などは明確になっていない。

タカタ問題が物語っているのは、サプライヤーの部品企業であっても、いつリコールの矢面に立たされるか分からないという教訓だ。そういった場合、サプライヤーには相応の対応が求められる。また、電子部品からIT関連の半導体、センサー、さらにはAIへという具合に、複雑化していくシステム障害については、クルマの安全を完成車メーカーとサプライヤーがどう忖度し、対応していくのかが問題になってくる。あらためて今、予防安全の取り組みについて、リコール制度の中身を含め、見直していく重要性が増しているということだろう。

CESで大注目の「折り曲げられるスマホ」、普及の見込みは?

CESで大注目の「折り曲げられるスマホ」、普及の見込みは?

2019.01.18

中国メーカーが自在に折り曲げられるスマホを実現

「大画面×コンパクト」を両立する夢のデバイス、実用性は?

端末の魅力を引き出すアプリ登場が普及のカギか

米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES 2019」では、2019年のトレンドを先取りする新ガジェットが一堂に会した。その中でも一際大きな注目を浴びたのが「折り曲げられるスマホ」だ。商品化にこぎ着けたのは世界初という。

折り曲げられるスマホ「FlexPai」

スマホの画面サイズが大型化を続ける中、iPhone SEのような小型スマホを求める声は依然として多い。そこで登場した折り曲げられるスマホは、「大画面」と「コンパクト」を両立する夢のデバイスに見える。果たして普及の可能性はあるだろうか。

自在に折り曲げられるスマホ、中国メーカーが実現

折りたためる2画面のスマホというアイデア自体は、実はそれほど目新しいものではない。NTTドコモとZTEが共同開発した「M Z-01K」などは、現行モデルとして国内で販売中だ。

だが、従来の2画面スマホはヒンジを用いて2つの画面をつなげたものに過ぎなかった。その後、液晶とは異なる特性を持つ有機ELが登場したことで、ディスプレイを紙のように自在に折り曲げられることも夢ではなくなった。

有機ELの「曲げに強い」という特性は、多くのスマホに活用されている。サムスン電子のGalaxyシリーズが画面端を曲面にしたスマホを発売後、ソニーモバイルシャープもこの形状を採用している。

これを推し進め、開くとタブレットのような大画面、2つに折り曲げるとスマホサイズという端末の可能性が見えてきた。そして2018年10月、中国のRoyoleが、世界で初めての折り曲げられるスマホ「FlexPai」を商品化したのだ。

中国Royoleのブース。フレキシブルディスプレイを使った様々な製品が並んだ

CES 2019では韓国のLG電子が巻き取り式のテレビを発表するなど、「曲がるディスプレイ」が会場全体で話題になっていた。そうした下地もあって、Royoleの出展ブースには来場者の行列が絶えず、展示機がバッテリー切れを起こすほどの盛況となっていた。

実用性はさておき、スマホの進化の可能性を示した

FlexPaiの特徴は、開いた状態ではタブレットに近い形状になり、そこから自由に折り曲げできる点にある。従来の2画面スマホとは異なり、広げた状態でも画面の境目がないため、タブレットと同じ感覚で利用できる。

広げた状態ではタブレットのように使える

メーカーが挙げるメリットは、複数のニーズごとの端末を1台に集約できることだ。大画面が欲しい人の中には、スマホとタブレットを両方持ち歩いている人もいるだろう。だがFlexPaiなら持ち歩くのは1台で済むというわけだ。

折り曲げた状態では一般的なスマホと同じように使える

折り曲げというギミックから、耐久性に不安を覚えるものの、20万回程度の折り曲げに耐えられるという。ただ、折り曲げると厚みが出るため、スマホのようにコンパクトに持ち歩くことはまだ難しい。

アプリの対応も課題だ。FlexPaiを折り曲げた状態では「表面」と「裏面」に加え、折れ曲がった「エッジ」の3画面を利用できる。FlexPaiの魅力を引き出すには、これら3画面を活用するようなアプリの登場が待ち望まれる。

そこでRoyoleは、FlexPaiをアプリ開発者向けに1,318ドルの価格で先行販売している。まずは開発者にデバイスを手に取ってもらい、どのような活用方法が考えられるか、アイデアを募っていく段階といえる。

会場で実機を試した印象だが、現段階での折り曲げスマホは実用的とまではいえないと思えた。しかしRoyoleという会社の名前を世界に知らしめ、フレキシブルディスプレイの技術を示したという意味では、この発表は大成功を収めたといえるのだろう。

また、サムスン電子など大手スマホメーカーも折りたたみや折り曲げ端末の開発を進めており、グーグルはAndroid OSとして公式サポートを表明している。スマホの次なる進化の可能性を真っ先に示したFlexPaiを、この場の実用性で語るのはお門違いなのかもしれない。

日本車のインテリアには独創的な未来がある? 「1kg展」で感じた可能性

森口将之のカーデザイン解体新書 第12回

日本車のインテリアには独創的な未来がある? 「1kg展」で感じた可能性

2019.01.18

国内主要メーカーの内装デザイナーが集まり展示会を開催

テーマは“1kgの価値”をどこまで高められるか

実車に応用できる? 独創的な作品の数々

国内主要自動車メーカー8社のインテリア・カラーデザイナーが参加する団体「JAID」が初の作品展を開催中だ。“1kg”という重さにこだわり、最新の3Dプリンターを駆使して各社のデザイナーが生み出した作品は独創的で、会場の「GOOD DESIGN Marunouchi」(東京・丸の内)は小さな現代美術館のような雰囲気になっている。

ダイハツ工業のデザイナーが出品した「受け継がれる樹脂」という作品

雑誌の対談が契機となり生まれた「JAID」

「JAID」という名前を初めて目にした人も多いだろう。「ジャパン・オートモーティブ・インテリア・デザイナーズ」の略で、「ジャイド」と読むそうだ。

創立のきっかけとなったのが、自動車雑誌「NAVI CARS」(ナビカーズ)での対談だったと聞いて、「あの号だ!」と即座に思い浮かんだ。クルマのインテリアを特集したナビカーズの2015年7月号で、筆者も別の対談に参加させていただいていたのだ。その号に国内メーカーのインテリアデザイナーが語り合うページがあったことは記憶の片隅に残っていた。

雑誌の売れ行きが落ちているといわれて久しい。それだけに、1つの雑誌の企画からJAIDのようなコミュニティが生まれたことは、モータージャーナリズムに身を置く者として嬉しい気持ちになる。

日産自動車のデザイナーが出品した「∞ Fluff」

価値ある1kgの創造に挑んだデザイナーたち

そのJAIDが企画したのが「1kg展」だ。なぜ“1kg”にこだわるかといえば、クルマの開発に携わる人たちにとって切実な「kg単価」という指標に理由がある。

「kg単価」とは、クルマの開発で使われる値段の単位だ。インテリアデザイナーとしてはkg単価が高い、いわゆる良い素材を使いたいという気持ちは大きいだろう。快適性や安全性の追求、さらには電動化への対応、重量の削減といった視点も持ちながら素材を選んでいるはずだ。

しかし、贅を尽くしてばかりでは車両価格の上昇を招くので、妥協が必要になる。おそらくインテリアデザイナーは、このような状況で悩みながら、新しい素材や仕立て、色などを取り入れるべく、奮闘の毎日を過ごしているのだろうと想像している。

では、そういった制約がなくなったとき、デザイナーたちはこのkg単価をどこまで価値あるものに仕上げられるのだろうか。これが、今回の展示会のテーマだ。最新の3Dプリンターを駆使し、時間や空間、物質としての限界などを飛び越えた作品を独自の着眼点で製作すると同時に、広くカーインテリアデザインの魅力を伝えたい。そんなメッセージのこもった展示会なのである。

ホンダのデザイナーが出品した「風速1kg」

素材と色のコーディネートが味わえる「ハンバーガー」

会場のGOOD DESIGN Marunouchiは、2013年度から通算5回、今年度も含めてグッドデザイン賞の審査員を担当している筆者にとってはなじみ深い場所だ。ところが、「1kg展」の内覧会を訪問した時には、状況がまるで違っていた。いつもは展示物をゆったりと眺めることができる空間なのに、この日はラッシュ時の駅のようにごった返していたのだ。それだけ、インテリアデザイナーの斬新な発想に期待する人が多かったということだろう。

日産のデザイナーが出品した「4D flower」。「1kg展」に作品を持ち寄ったのは、国内大手自動車メーカー7社(ダイハツ工業、ホンダ、三菱自動車、日産自動車、スバル、スズキ、トヨタ自動車)だ

作品の中には、クルマのインテリアデザインとは関係なく、最新の3Dプリンターならではの表現能力の高さをアピールするような作品も見られた。それらを業界の枠を飛び越えた独創的な作品と捉える人もいたようだが、クルマが好きで今の仕事に携わっている(はず)の方々だからこそ、もっとインテリアにこだわって欲しかった。

ただ、クルマのインテリアとの関連性が高い作品が大半を占めていることは確かで、中には独創的な発想や興味深いアイデアも見られた。本稿では独断と偏見で、そのうちの3つを紹介していこう。

まずは、会場の入り口近くに置かれていた「CMFバーガー」だ。「CMF」とはカラー、マテリアル、フィニッシュの頭文字で、ナビカーズでの対談が行われた頃から、自動車に限らずデザイン分野でひんぱんに使われるようになってきた言葉だ。造形だけでなく色や素材、仕立てにも気を配ることで、より完成度の高いデザインが生まれるというような意味が含まれている。

「CMFバーガー」はトヨタのデザイナーが出品

この作品は、CMFのコーディネートを1kgのハンバーガーに見立てて表現したもの。レザーのバンズ、クリアレンズのトマト、加飾素材のチーズやパティ、シート素材のレタスがさまざまな色で用意してあり、好みのバーガーを作り出せる。

3つの作例では、CMFの違いでかなり雰囲気の異なるバーガーを作れることが分かった。バンズを肉抜きタイプにすると総重量が1kgを切るなど、計量化を実感できる仕掛けも盛り込んである。ディーラーが車種別にCMFハンバーガーを用意すれば、顧客は楽しみながらカラーコーディネートを試すことができるかもしれない。

ディーラーに「CMFバーガー」が置いてあったら面白いかも

インテリアをボールにした斬新な作品も

続いて紹介するのは「トランスフォームステアリング」。自動運転が実用化された未来を想定した変形機構を持つステアリングで、手動モードでは伸びて操舵できる状態となり、自動モードでは縮めて格納しておける。全てがマットブラック仕上げだが、グリップ部分、変形部分、外枠部分を別のメーカーのプリンターで製作することで、素材の違いを表現している。

トヨタのデザイナーが出品した「トランスフォームステアリング」

製作したデザイナーはステアリング機能だけを想定していたようだが、左右のグリップをねじることでアクセルやブレーキの操作ができれば、この部分だけで基本的な運転操作ができる合理性の高いインターフェイスになると思った。ペダルがなくなれば、室内レイアウトの自由度も高まりそうだ。

伸ばせば手動運転に使えるし、自動運転中は縮んだ状態で格納しておける

最後は「インテリアボール」だ。写真を見てお分かりのとおり、クルマのインテリアを構成するパーツをボール状のアートとして表現したもので、多くのパーツをまとめ上げ、世の中というフィールドにデザインを“投げ”かけているインテリアデザイナーの仕事をボールの形に込めたのだという。

「インテリアボール」はホンダのデザイナーが手掛けた

展示してあるのは1個だけだが、スポーツの世界では競技によってサイズの違うボールを使うことにも製作者は着目している。使用する材料や加工方法を変えることで、同じ1kgでもサイズや見え方の違った表現ができるそうだ。

しかしながら筆者には、これがボールではなく卵に見えた。卵から生まれる前のクルマ、そのインテリアデザインは、こうなっているのではないかと想像したのだ。同じクルマのエクステリアデザインを卵の殻で表現することで、多くの車種を球形にできれば、一風変わったミニチュアになるのではないだろうか。

JAIDが企画した1kg展の作品群は、それ自体が柔軟かつ斬新な発想から生まれているだけでなく、見ているこちらも創造力が掻き立てられるものだった。この展示会を訪れて、日本の自動車メーカーにインテリアデザインの実力者が多いことに感心するとともに、メーカーには、この実力を引き出して製品に結び付ける能力が求められていることを教えられた。

1kg展の会期は1月25日まで。入場は無料だ。時間に余裕のある方は、一度訪れてみてはいかがだろうか。