ソフト面とハード面で「働き方改革」を支援する日本オラクルの姿勢

ソフト面とハード面で「働き方改革」を支援する日本オラクルの姿勢

2017.06.23

外資系企業というと、どういうイメージをお持ちだろうか? 一般的には「高い報酬」を得られるのがメリットと捉えている方が多いのではないだろうか。ただし、経営陣は“ドライ”で、業績不振・業務上のミスのフォローがない印象も受ける。

では、本当にそうなのだろうか。日本に進出して32年目となる老舗の外資系企業、日本オラクルの従業員への対策を取材してみた。

日本オラクル フェロー(理事) 社員エンゲージメント室長 赤津恵美子氏

日本オラクル フェロー(理事) 社員エンゲージメント室長 赤津恵美子氏は、同社が働き方改革について多くの施策を行っていることを解説してくれた。

そのなかでも重視しているのが「社員の働きがい」を感じられるような環境をつくりあげること。そのシンボルとなるのが「ミッション85」というプロジェクトである。これは2020年に、社員の85%が満足できる企業風土を醸成するのが目標だ。

一般的に外資系企業の離職率は、3年でおよそ3割だといわれている。つまり、100人の社員を雇用したとして、3年のあいだに30人が会社を離れるということになる。単純な比較はできないが、“社員の85%が満足する”ということは、そうした一般的な離職率となる企業に比べ、不満を持つ社員が約半数という計算になるといえる。

赤津氏は、「企業は経営陣からの“トップダウン”で動くことが多い。“ボトムアップ”も増やしていくべき」と、同社が目指すやり方について前置きした。そのために取り組んだことは、社員が提案したアイデアに対して経営陣の“顔”を使ったり、予算を取ったりすること。つまり、アイデアがあっても、放っておいてはそれが実現する可能性は低いが、仲間同士を結びつけ、役員の支援を得て、必要があればお金も出すようにした。

結果、約60人がボランティアとして手をあげ、仕事の環境や職場のコミュニケーション改善についてのアイデアが寄せられた。しかも彼らは、自らの本業をこなしつつ、こうしたアイデアの実現に向け活動を行っているという。

また、ミッション85では、社員同士の“協働”や“つながり”を重視している。そうした交流の柱となるのが「キャリアストーリー」や「オープンキャンパス」といった企画だ。前者は「あの人のキャリアを聴きたい!」といった要望に対しイベントを開催し、“憧れの人”のトークに耳を傾ける。後者は“大人の文化祭”と位置づけられる催しで、普段は接点が少ない他部署の社員と交流できる。役員とも気軽にコミュニケーションできるそうだ。

充実したコミュニティと中途採用者への対応

そのほか、LGBTが対象の「OPEN (Oracle Pride Employee Network) Japan」や、女性のリーダーシップ育成のための「OWL」(Oracle Women’s Leadership)といったコミュニティが用意され、ダイバシティへの取り組みも積極的に行われている。

前出の赤津氏は、「コラボレーション(協業)がなければイノベーションは生まれにくいし、ずっと孤独にがんばるのは精神的にもきびしい」と話す。だが、以前の同社に足りなかったのは、そのコラボレーションだったらしい。こうした数々の取り組みにより、つながりを大切にした仕事環境が整ってきたのだという。

徹底しているなと感じたのは中途採用者への導入研修の手厚さだ。一般的に中途採用者は“キャリア”として雇用され、即戦力として期待される。乱暴ないい方をすると、右も左もわからないまま、仕事現場の“荒波”に放り込まれるようなものだ。ところがオラクルでは、中途採用者といえども、5週間の研修を用意する。これは結局「急がば回れ」という考え方で、業績に貢献するには、社風に慣れ、仕事内容を理解し、職場メンバーとの関係もできていなければ難しいということだ。

このように、働きやすさを追求するソフト面の取り組みは多彩だ。一方、ハード面においても充実している。

その象徴ともいえるのが、昨年秋に新設された「デジタル・カフェテリア」の存在だ。このカフェテリアでは、社員の健康を考え、約600kcalのランチや10種類のスムージーなど、ヘルシーなメニューが用意されている。ランチ以外にも、社内のちょっとした打ち合わせや外部の方との会議、個人の集中タイム、記者発表会などにも利用できる。コーヒーといった飲料を購入しなくても利用可能だ。単なる“食堂”ではなく、多目的に使え、協働を促進する空間といえる。

多目的に使えるカフェテリア。ここからの眺めもグッド

また、ユニークなのは最上階に用意された茶室。案内されて驚いたのが、フロアの入り口から日本庭園のような趣きになっており、自分がオフィスビルのなかにいるのを忘れてしまうほどの造り込みになっていること。これは、創業者ラリー・エリソン氏の発案というが、いかにも“日本通”で知られている彼らしいアイデアといえる。

「にじり口」まである本格的な茶室。右は茶室までの通路。日本庭園を備えた老舗旅館の風格だ

社内で“最高の癒し”は健在!

ハナシは前後するが、ソフト面に戻そう。というのも、日本オラクル最大の“社員の癒し”について触れるのを忘れていたからだ。

日本オラクルといえば、「社員犬」制度を採り入れていることで有名。この制度は1991年から導入されているもので、現在は4代目となる「キャンディ」という女の子が務めている。彼女のおもな業務は、毎週水曜日にフロアをめぐってほかの社員たちに癒しを与えること。取材当日も水曜日で、筆者のいる会議室に出向いてくれ、愛らしい姿を披露してくれた。

写真ではわかりにくいが、社員証をかけている。非常におとなしい女の子だ
打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

2019.01.22

低温加熱式のJTがライバルと直接競合する高温加熱式に参入

専用リフィルも異なる3種類の製品で広範に網を張るプルーム・テック

海外市場でも兆し見えた加熱式たばこ、日本での成功がより重要に

日本たばこ産業(JT)が加熱式たばこの新製品、「プルーム・テック・プラス (Ploom TECH+)」「プルーム・エス (Ploom S)」の2製品を発表した。シェアトップのiQOSを追撃したいJTだが、ライバルに先行を許している今、どのような戦略を描いているのか。

JTが発表した加熱式たばこの新製品、プルーム・テック・プラス(左)とプルーム・エス

新たに高温加熱式に参入、ライバルと直接競合へ

新製品は、従来のプルーム・テックを改良したプルーム・テック・プラスと、シェアを争う「iQOS」(フィリップ・モリス)や「glo」(BAT)と同様の加熱方式を採用したプルーム・エスの2つ。iQOSとgloが高温加熱式であるのに対し、もともとプルーム・テックは低温加熱式と呼ばれる方式をとっていた。30度という低温で発生させた蒸気をたばこカプセルを通して吸うため、においが少ない一方、吸いごたえに乏しいともいわれていた。

低温加熱式で吸いごたえを追加したプルーム・テック・プラスと、高温加熱式のシェア奪取を狙ったプルーム・エスを投入

そこで、たばこ葉を増やすなどして吸いごたえを高めたのがプルーム・テック・プラスだ。その結果、本体が太く大きくなり、加熱温度も40度と少しだけ高くなったが、においの少なさはそのままに、吸いごたえをアップさせたことをアピールする。

プルーム・エスは高温加熱式を採用し、iQOSやgloと同様の吸いごたえを目指した。こうした高温加熱式は、たばこ葉を高温で蒸すことで蒸気を発生させるため、従来のたばことも異なる独特のにおいを発生させる。

JT副社長・たばこ事業本部長の岩井睦雄氏は、この独特の「におい」のせいでたばこの味わいに違和感を覚える喫煙者が多かったと話す。そのため、「満足度を高めるのは味わい」として、このにおいの低減に取り組んだという。

プルーム・エスでは、たばこ葉を熱する温度を200度に抑えた。これはiQOSの300度、gloの240度に比べて低く、これによって特有のにおいを抑えたという。

吸いごたえや加熱方式が異なる3製品をそろえる意味

JTは新製品投入後も既存製品の取り扱いを継続する。つまり、プルーム・テックのラインアップは3種類となる。iQOSも複数の製品があるが、こちらは機能の違いによって3種類に分けられており、プルーム・テックはそれに対して、吸いごたえや加熱方式によって異なる製品を用意したかっこうだ。

3つの製品を投入することで、選択肢を提供する

岩井副社長は「温度で選ぶ時代」と表現し、低温のプルーム・テック/プルーム・テック・プラスと、高温のプルーム・エスという選択肢によって「好みや生活環境、ライフステージの変化に合わせて、いつでも最適な選択ができる」ことを狙ったとしている。

たばこ事業本部長の岩井睦雄副社長

たばこ部分に互換性がないという問題はありそうだが、現在でも、においの少なさを重視して自宅ではプルーム・テックを吸いつつ、味わいを求めて喫煙所では高温加熱式の加熱式たばこ、と双方を使い分けている人が少なくない。そうしたユーザーに対して、「それぞれで求められるニーズを高いレベルで満たし、両方を提供するのが顧客満足度の最大化に繋がる」(岩井副社長)と判断し、製品開発に取り組んだ。

加熱式たばこ最大市場の日本から、海外市場を見据える

岩井副社長は新製品でiQOSからシェアを奪取し、「中長期的にはRRPカテゴリでもシェアナンバーワンを目指す」と意気込みを語る。

「RRP」とは「リスク低減製品」のこと。「喫煙にともなう健康へのリスクを低減させる可能性がある」と位置づけられる製品だ。

日本では法律上、液体にニコチンを含ませて販売することはできない。電子たばこは、このニコチンを含む液体を蒸気化させるため日本で販売できず、結果、加熱式たばこが普及したという背景もある。加熱式たばこの市場規模では日本が世界最大だが、iQOSが韓国や欧州の一部で販売を強化しており、グローバルでの市場拡大を狙っている。

JTは海外ではlogicブランドで電子たばこを販売している。海外での電子たばこ事業はありつつも、まずは製品の国内ラインナップを拡大して加熱式たばこのシェア拡大を図るとともに、紙巻きたばこを含むすべての製品の価値を向上させることで、市場の拡大に繋げたい考えだ。「日本での成功がグローバルでの成功につながる」と岩井副社長は強調する。

紙巻きたばことRRP製品の双方を拡充する
日本では加熱式、海外では電子たばこを提供中

紙巻きからの移行、数年以内に大きな山場

2018年は加熱式たばこが踊り場を迎えたと言われた。日本ではここ数年で急激に加熱式たばこの普及が進んだが、市場シェアが20%を越えたところでユーザー需要は一巡したとみられる。

ただ、プルーム・テックの全国販売の開始や、他社では直近のiQOSの新モデル投入などを経て、その動向から、需要の伸びは「足踏みしていたが、止まったわけではない」(岩井副社長)との認識にあるという。加えて、紙巻きたばこによる健康懸念の高まりや、オリンピックによる喫煙場所の規制といった外的要因もあり、「必ずシガレット(紙巻きたばこ)からRRPに移ってくる」(同)という見通しだ。

課題は、紙巻きたばことは異なり、デバイスを購入しなければならないというハードルの高さだ。一度購入した後、他社のデバイスへ移行しづらいという難題につながる。

他社の後追いとなった高温加熱式では、「差別化のポイントをしっかりと伝えていく」ことで買い替えを促進する。JTが主導する低温加熱式では、「若干下方修正したが、手応えも感じている」と岩井副社長は説明する。今後は製品の良さをアピールするために、喫煙者に直接説明をする営業スタイルを重視していく方針をとるそうだ。

JTは日本市場で紙巻き、加熱式のいずれでもシェアトップを目指す

JTは1社で複数の選択肢の製品を用意することで、消費者のニーズの受け皿を最大化しようと目論んでいる。この先にグローバルで展開する上で、ユーザーからどのような示唆が得られるのかを検証していき、海外での加熱式たばこの市場拡大にも乗り出していきたいと考えているようだ。

加熱式たばこは間もなく、国内市場シェアだけでなく、海外市場の争奪戦の行方も左右する正念場を迎える。

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

2019.01.22

セブン、ローソンに続きファミマも成人誌を販売中止

インバウンドの増加、オリンピックの開催も影響か

コンビニ最大手のセブン-イレブンと業界3位のローソンが成人向け雑誌の販売中止を発表したのに続き、業界2位のファミリーマートも同様の方針を打ち出した。大手3社の足並みがそろい、日本国内のほとんどのコンビニ店頭から成人誌が消える。

国内のセブン-イレブン店舗数は2万店を超え、ローソンとファミマが1万5,000店前後でこれに続く。それぞれ今年の8月末までに取り扱いを原則中止するという。これまで一部店舗で成人誌の販売を中止していた例はあったが、今回は各社全店舗で取り扱いを中止する。業界では昨年1月から、ミニストップが他社に先駆けて全店で取り扱いを中止していた。

もともと諸外国にくらべ、女性や子どもの目につきやすいコンビニ店頭などに成人誌が置かれている日本のゾーニングの現状は特殊であるとの批判があった。また、インバウンドで訪日外国人が増え、この論調に拍車がかかっていたほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、イメージ低下を防ぐ要請が強まっていたという背景がある。

コンビニでの成人誌の購買層は近年、高齢男性に偏るとともに売り上げの減少も顕著であったといい、ゾーニングの問題が取り扱い中止の大義名分になったという見方もある。ある出版関係者は、「一部では電子版などネット展開を強化している流れはあるが、今でもコンビニは重要な販路なので、相当な混乱があるだろう」と話す。どちらにせよ、日本の成人誌は岐路に立たされることになる。