あの爆発的ブームはどこへ!? 粒状から液体に姿を変えた調味料の可能性

あの爆発的ブームはどこへ!? 粒状から液体に姿を変えた調味料の可能性

2017.06.27

2010年台初頭ごろ、爆発的なブームを巻き起こした調味料がある。そう「塩こうじ」だ。各メーカーは大量のCMを打ち、テレビの料理番組では塩こうじを使ったレシピが紹介され、料理とは関係ないバラエティ番組などでも取り上げられていた記憶がある。

これほど“垂直立ち上げ”的に人気が爆発した調味料は、いや食品全体をみわたしても、塩こうじ以外に思い当たらない。連日のテレビ露出に、料理をまったくしない筆者すら、「今度試してみるか……」と思わせるほどのブームだった。

ハナマルキ 常務 執行役員 マーケティング部長 平田伸行氏

ところが、数年経った現在、あれほどのブームだった塩こうじの名前をすっかり聞かなくなった。塩こうじブームの勢いはすさまじかったようで、市場規模は、ブーム全盛期と比べると1/3ぐらいの規模になっているという。人々の生活にとけこみ定着したのか、それとも忘れ去られてしまったのか……。当然、筆者も塩こうじを使った調理を試すことなく、この調味料の名前を思い出すこともなく数年を過ごした。

「ブームがひと段落して以降、ここ2年ほどでは、ジワジワと塩こうじが伸びています」と、ハナマルキ 常務 執行役員 マーケティング部長 平田伸行氏は話す。その牽引役となっているのが「液体塩こうじ」という商品だ。

基本的に塩こうじといえば、粒状だ。肉や魚に塩こうじをまぶし、数時間つけ込んでおくことにより、食材はやわらかくなり、旨味が増す。ただ、粒状の場合はその形状から、使える料理・食材が限られるほか、焦げやすいという難点もある。その点、液体ならば使用範囲が広がり、使い勝手もよくなる。

塩や醤油、味噌、お酢といった調味料が、どのように我々の生活に馴染んできたのかわからないが、塩こうじのように“一気に”というワケではないだろう。おそらく、長い年月をかけて、日本人の食生活にジワジワととけこんできたのではないか。実際、ハナマルキも、塩こうじはポテンシャルのある調味料として捉えており、定番調味料としてどんどん根づいていくだろう、と考えているようだ。

ただ、ある食品業界関係者によると、「塩こうじは爆発的にブームになったあと落ち着いた。その濃淡がかえって“ブームが去った”という印象を色濃くしてしまったのではないか。ある意味、ここからが食卓に常備される調味料となるのかの出発点だろう」と分析する。

このブームにより、塩こうじという調味料の名は知れわたった。そして、今ここからが“真に食生活に根ざす”調味料として、塩こうじが生活に馴染むためのスタートなのではないか。

その点、液体の塩こうじにはアドバンテージがある。まず、粒状の塩こうじは、基本的に「まぶす」調理法しかできないが、液体の 塩こうじの場合、目玉焼きのように、手で直接触れることができない食材に液体をかけることで味付けもできる。

「液体塩こうじは、粒状の製品を使っていたカスタマーの方との意見交換からアイデアが生まれました」(平田氏)という。その意見を参考に液体の塩こうじを開発し、製品化してみると、さまざまな料理に使えることがわかってきた。

さらに、“塩こうじ=和食用の調味料”というイメージからの脱却にも“液体”という形態が功を奏し始めているという。その一例が「クレープ」だ。クレープの生地に液体塩こうじを混ぜることにより、ふっくらと焼き上げることができる。粒状では生地にとけさせることはできないが、液体ならばそれが可能だ。実際、 渋谷のクレープ店では、液体塩こうじを使った、その名も「ふっくらもちもち塩こうじクレープ」 が期間限定で販売されているそうだ 。

ここで気づいた方もいらっしゃるだろうが、クレープといえば洋食のデザートだ。塩こうじは、和食用の調味料のイメージが強いと前述したが、洋食への活用が進んでいる。これも液体化したからならではのメリットといえる。

平田氏によれば、「液体塩こうじは外国人シェフにも好評で、ミシュラン1つ星を獲得しているあるフレンチシェフが、“液体塩こうじは、白ワインの代わりになる”と 、そのホテルのメニューで使用しています」という。また、とある国内のイタリアンレストランでは、液体塩こうじを使用した「ペペロンチーノ」のレシピも存在している 。ある老舗中華料理店でも恒常的に利用されているそうだ。

業務用でも注目され始めており、コンビニやスーパーでのお総菜でも利用が進んでいる。特にコンビニ製品ともなれば、製造効率が求められるので、粒状ではなく液体のほうが、効率アップには適しているといえるだろう。

このように、発売以来、家庭料理を中心に利用されていた塩こうじだが、昨今では、“外食”“中食”市場でジワジワと浸透し、知らず知らずのうちに口にしている。平田氏は、液体塩こうじの売上について「家庭用・業務用共に伸びており、2016年6月~2017年5月の期間で、対前年売上130%の成長と、毎年堅調に推移している」と話す。 今後さらに、“あのお店のあの味を!”と、家庭でも和食以外のさまざまなジャンルの料理にまで塩こうじの用途が広がっていけば、それこそが“ブームに左右されない生活に根ざした調味料”ということになるのだろう。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu