コーエーテクモのVR筐体「VR センス」が完成! 見えてきた2つの商機

コーエーテクモのVR筐体「VR センス」が完成! 見えてきた2つの商機

2017.06.28

コーエーテクモのグループ会社であるコーエーテクモウェーブが手掛けるVR筐体「VR センス」が完成した。ゲームセンターやショッピングセンターなどに向けて販売するもので、受注開始は2017年8月、納入は2017年末が目標だ。価格は320万円(税抜き)。この筐体が売れるかどうかも気になるが、コーエーテクモが見据えるもう1つの商機も見逃せない。

コーエーテクモウェーブのVR筐体「VR センス」が完成した

戦場では硝煙の匂いが!

VR センスはプレイステーションVRの技術を用いた筐体で、特徴は豊富なギミックだ。ゲームの内容に合わせて、振動や傾きを再現する「多機能3Dシート」や「香り機能」などの6種の仕掛けを仕込んである。

実機は東京ビッグサイトで6月30日まで開催中の「コンテンツ 東京 2017」で確認できた。ちなみに、この展示会はビジネス向けの商談展で、一般の方と18歳未満の方は入場できないとのこと

操作方法については、開発当初はモーションコントローラーの「プレイステーションムーブ」を採用する方針だったが、コントローラーが筐体にぶつかったりして危険なので、最終的には一般的なプレイステーション4のコントローラーを使うことに決まったそうだ。

コーエーテクモが特にこだわっているのが香り機能だ。VR センスのプロジェクトマネージャーを務めるコーエーテクモウェーブの藤井久徳氏によると、ゲーム内で戦場に立つ時には「硝煙の香り」がしたり、競馬を体験する時には「草原の香り」がしたりと、シーンに合わせて10種類以上の香りが体験できるという。この機能は筐体に搭載する香りのカートリッジで実現している。

これまでに発表されていたソフトは、「超 真・三國無双」(画像左)、「ホラー SENSE ~だるまさんがころんだ~」、「ジーワン ジョッキー SENSE」(画像右)の3本

ソフトは現時点で5本が公開となっているが、現在もメジャーな作品を含め複数のタイトルを開発中だ。サードパーティーのIPを使った大型タイトルにも期待していいとのことだった。販売する筐体には3本のソフトを入れるが、筐体自体の容量としては5本までソフトを入れることが可能。ソフトは入れ替えることもできる。

今回発表になったソフトは、「超 戦国コースター」(画像左)と「DEAD OR ALIVE XTREME SENSE」の2本

継続的に収益を得るビジネスモデル

筐体は320万円で販売し、プレイ代金に応じた従量課金制度も取り入れるという。コーエーテクモホールディングス代表取締役会長の襟川恵子氏は販売目標を「3年で1000台」としたが、コーエーテクモウェーブは現実的な路線として300~500台という数字を挙げていた。筐体の価格として320万円が高いか安いか分からなかったのだが、コーエーテクモウェーブに聞いてみると、例えばレースゲームの筐体は1台あたり200万円程度とのことだった。

筐体を売って、従量課金で継続的に収入を得つつ、追加ソフトも販売していくというのが、VR センスを展開するコーエーテクモのビジネスモデルだ。だが、同社のVRビジネスにはもう1つの商機が見込める。

VRは敷居が高い?

VR センスの開発を始めた当時は、市場が見込めず苦労も多かったと振り返った襟川会長。2016年はVR元年とも呼ばれたが、現時点でVR市場がそこまで成長しているような感じもしない。そんな中で世に出るVR センスには、VRと世間のタッチポイントとなり、VRの敷居を下げる効果も期待されている。

襟川会長によると、VR センスのソフトはプレイステーションVR向けにも展開するそう。つまり、家庭用ゲームソフトとしてのVRタイトルを拡充していく方針なのだ。ゲームセンターでVR センスを体験して面白いと感じた人は、プレイステーションVRを家庭でプレイできる環境を整えようと動くかもしれない。あるいは家庭でVRソフトを体験済みの人が、更なる没入感を求めてゲームセンターに足を運ぶ可能性もある。この相互送客が2つ目の商機だ。

コーエーテクモホールディングスの襟川会長

VRプレイ環境の普及を後押しできるか

VRは体験しなければ面白さを感じにくいものなので、体験の敷居を下げる意味で、VR筐体を展開するのは重要な一手だと思える。VR センスがきっかけで家庭にVRソフトのプレイ環境が整えば、家庭用ゲーム向けにコーエーテクモが開発するVRソフトの売れ行きにもプラスの効果が見込める。

コーエーテクモ代表取締役社長のシブサワ・コウこと襟川陽一氏は先日、あるラジオ番組に出演した際、ゲーム業界で今後が楽しみな技術としてVRを挙げていた。まだまだアイディア段階のようだったが、コーエーテクモゲームスの人気タイトル「信長の野望」にVR活用の可能性があることも示唆した。VR技術を使った面白い家庭用ゲームソフトを販売する上で重要になるのは、プレイステーションVRのような家庭向け機器の普及率だろう。VR センスはVRを使ったゲーム体験自体を普及させるという重要な役目も担っている。

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

2019.01.22

低温加熱式のJTがライバルと直接競合する高温加熱式に参入

専用リフィルも異なる3種類の製品で広範に網を張るプルーム・テック

海外市場でも兆し見えた加熱式たばこ、日本での成功がより重要に

日本たばこ産業(JT)が加熱式たばこの新製品、「プルーム・テック・プラス (Ploom TECH+)」「プルーム・エス (Ploom S)」の2製品を発表した。シェアトップのiQOSを追撃したいJTだが、ライバルに先行を許している今、どのような戦略を描いているのか。

JTが発表した加熱式たばこの新製品、プルーム・テック・プラス(左)とプルーム・エス

新たに高温加熱式に参入、ライバルと直接競合へ

新製品は、従来のプルーム・テックを改良したプルーム・テック・プラスと、シェアを争う「iQOS」(フィリップ・モリス)や「glo」(BAT)と同様の加熱方式を採用したプルーム・エスの2つ。iQOSとgloが高温加熱式であるのに対し、もともとプルーム・テックは低温加熱式と呼ばれる方式をとっていた。30度という低温で発生させた蒸気をたばこカプセルを通して吸うため、においが少ない一方、吸いごたえに乏しいともいわれていた。

低温加熱式で吸いごたえを追加したプルーム・テック・プラスと、高温加熱式のシェア奪取を狙ったプルーム・エスを投入

そこで、たばこ葉を増やすなどして吸いごたえを高めたのがプルーム・テック・プラスだ。その結果、本体が太く大きくなり、加熱温度も40度と少しだけ高くなったが、においの少なさはそのままに、吸いごたえをアップさせたことをアピールする。

プルーム・エスは高温加熱式を採用し、iQOSやgloと同様の吸いごたえを目指した。こうした高温加熱式は、たばこ葉を高温で蒸すことで蒸気を発生させるため、従来のたばことも異なる独特のにおいを発生させる。

JT副社長・たばこ事業本部長の岩井睦雄氏は、この独特の「におい」のせいでたばこの味わいに違和感を覚える喫煙者が多かったと話す。そのため、「満足度を高めるのは味わい」として、このにおいの低減に取り組んだという。

プルーム・エスでは、たばこ葉を熱する温度を200度に抑えた。これはiQOSの300度、gloの240度に比べて低く、これによって特有のにおいを抑えたという。

吸いごたえや加熱方式が異なる3製品をそろえる意味

JTは新製品投入後も既存製品の取り扱いを継続する。つまり、プルーム・テックのラインアップは3種類となる。iQOSも複数の製品があるが、こちらは機能の違いによって3種類に分けられており、プルーム・テックはそれに対して、吸いごたえや加熱方式によって異なる製品を用意したかっこうだ。

3つの製品を投入することで、選択肢を提供する

岩井副社長は「温度で選ぶ時代」と表現し、低温のプルーム・テック/プルーム・テック・プラスと、高温のプルーム・エスという選択肢によって「好みや生活環境、ライフステージの変化に合わせて、いつでも最適な選択ができる」ことを狙ったとしている。

たばこ事業本部長の岩井睦雄副社長

たばこ部分に互換性がないという問題はありそうだが、現在でも、においの少なさを重視して自宅ではプルーム・テックを吸いつつ、味わいを求めて喫煙所では高温加熱式の加熱式たばこ、と双方を使い分けている人が少なくない。そうしたユーザーに対して、「それぞれで求められるニーズを高いレベルで満たし、両方を提供するのが顧客満足度の最大化に繋がる」(岩井副社長)と判断し、製品開発に取り組んだ。

加熱式たばこ最大市場の日本から、海外市場を見据える

岩井副社長は新製品でiQOSからシェアを奪取し、「中長期的にはRRPカテゴリでもシェアナンバーワンを目指す」と意気込みを語る。

「RRP」とは「リスク低減製品」のこと。「喫煙にともなう健康へのリスクを低減させる可能性がある」と位置づけられる製品だ。

日本では法律上、液体にニコチンを含ませて販売することはできない。電子たばこは、このニコチンを含む液体を蒸気化させるため日本で販売できず、結果、加熱式たばこが普及したという背景もある。加熱式たばこの市場規模では日本が世界最大だが、iQOSが韓国や欧州の一部で販売を強化しており、グローバルでの市場拡大を狙っている。

JTは海外ではlogicブランドで電子たばこを販売している。海外での電子たばこ事業はありつつも、まずは製品の国内ラインナップを拡大して加熱式たばこのシェア拡大を図るとともに、紙巻きたばこを含むすべての製品の価値を向上させることで、市場の拡大に繋げたい考えだ。「日本での成功がグローバルでの成功につながる」と岩井副社長は強調する。

紙巻きたばことRRP製品の双方を拡充する
日本では加熱式、海外では電子たばこを提供中

紙巻きからの移行、数年以内に大きな山場

2018年は加熱式たばこが踊り場を迎えたと言われた。日本ではここ数年で急激に加熱式たばこの普及が進んだが、市場シェアが20%を越えたところでユーザー需要は一巡したとみられる。

ただ、プルーム・テックの全国販売の開始や、他社では直近のiQOSの新モデル投入などを経て、その動向から、需要の伸びは「足踏みしていたが、止まったわけではない」(岩井副社長)との認識にあるという。加えて、紙巻きたばこによる健康懸念の高まりや、オリンピックによる喫煙場所の規制といった外的要因もあり、「必ずシガレット(紙巻きたばこ)からRRPに移ってくる」(同)という見通しだ。

課題は、紙巻きたばことは異なり、デバイスを購入しなければならないというハードルの高さだ。一度購入した後、他社のデバイスへ移行しづらいという難題につながる。

他社の後追いとなった高温加熱式では、「差別化のポイントをしっかりと伝えていく」ことで買い替えを促進する。JTが主導する低温加熱式では、「若干下方修正したが、手応えも感じている」と岩井副社長は説明する。今後は製品の良さをアピールするために、喫煙者に直接説明をする営業スタイルを重視していく方針をとるそうだ。

JTは日本市場で紙巻き、加熱式のいずれでもシェアトップを目指す

JTは1社で複数の選択肢の製品を用意することで、消費者のニーズの受け皿を最大化しようと目論んでいる。この先にグローバルで展開する上で、ユーザーからどのような示唆が得られるのかを検証していき、海外での加熱式たばこの市場拡大にも乗り出していきたいと考えているようだ。

加熱式たばこは間もなく、国内市場シェアだけでなく、海外市場の争奪戦の行方も左右する正念場を迎える。

メルカリ出し抜くラクマ、売上金の「楽天キャッシュ」チャージ額が5億円を突破

メルカリ出し抜くラクマ、売上金の「楽天キャッシュ」チャージ額が5億円を突破

2019.01.22

ラクマ売上金の「楽天キャッシュ」チャージ額が累計5億円に

同様のサービスを構想しているメルカリを先行する形に

楽天は1月21日、フリマアプリ「ラクマ」において、取引で発生した売上金のうちオンライン電子マネー「楽天キャッシュ」へチャージした累計額が2018年12月末に5億円を突破したと発表した。

ラクマでの売上金を楽天キャッシュへチャージする機能は、2018年7月より提供開始されている。チャージした電子マネーは、楽天会員向けのグループ各種サービスで利用できるほか、ローソンやファミリーマートなど「楽天ペイ」対応店舗での決済でも利用可能だ。

2017年8月1日から開始されたローソンでの支払いに続いて、2018年12月4日からはファミリーマートでも楽天ペイが使用できるようになった

同じくフリマアプリを展開するメルカリは、100%子会社「メルペイ」で同様のサービスを構想している段階であり、この分野においてはラクマが1歩先行する形になった。

現状、メルカリで得た売上金をメルカリ以外で使う場合は、一度口座に振り込む必要がある。また、売上金には180日という「振込申請期間」が設定されており、その期間中に「口座に振り込む」か、メルカリ内で使える「ポイントを購入」するか、選ばなければならない。ただし振込の場合、1万円未満だと210円の手数料が発生する(2018年1月21日時点)。ラクマの売上金チャージ機能と比較すると、どうしても見劣りしてしまうだろう。

ちなみに筆者もメルカリユーザー。現状、売上金が合計1万円に満たないため、振込手数料を発生させずに現金に換えるためには、あと1540円分の売り上げが必要になる (画像はメルカリアプリより)

しかし、少し古いデータではあるが、2018年5月31日のニールセン デジタルの発表によると、スマートフォンからの利用率の高いオークション/フリマサービスは、1位がYahoo! オークションで25%、2位がメルカリで23%、3位がラクマで11%であることがわかっており、同じフリマサービスであっても、ラクマの利用率はメルカリの半分であるのが現状だ。

メルカリのダウンロード数は2018年11月14日時点で7500万、ラクマが同年10月時点で1500万と、両サービスの普及率にも差があることからも、日本におけるフリマ市場のバランスがすぐにひっくり返ることはないだろう。

だが、ラクマが売上金をさまざまなサービスに使えるという実用性で、メルカリとの新たな差別化ポイントを生み出したことは、新規ユーザーの獲得に少なからず貢献しそうだ。

ラクマ売上金のチャージ額が5億円突破したことは、ユーザーの「アプリ内の売上金を別の場所で使いたい」というニーズの強さの証明ともいえよう。こうしたユーザー視点に立った機能の追加による消費体験の向上が、フリマ市場にどのような影響をもたらすのか、キャッシュレス決済市場への参入が期待される、メルカリの動向と合わせて注目したい。