トヨタに次ぐ2社目に、ソフトバンク最終利益が1兆円超え

トヨタに次ぐ2社目に、ソフトバンク最終利益が1兆円超え

2017.05.11

ソフトバンクグループは、2017年3月期決算で、連結業績が営業利益、純利益ともに1兆円を突破した。純利益の1兆円超えは、事業会社においてトヨタ自動車に次ぐ2社目となる。

純利益1兆円超えは金融を除く事業会社で国内2社目になると説明する孫正義代表

ソフトバンクグループの連結業績において、純利益は前期比約3倍の1兆4,263億円だった。保有するアリババ株の一部売却(3,597億円)、テンセント関係会社へのスーパーセルの全株式売却(5,265億円)により、利益がかさ上げされた形だが、営業利益も前期比13%増の1兆260億円と伸びており、本業も好調だ。

ソフトバンクグループの2016年度連結業績の概況

では、どの事業が営業利益に貢献したのか。セグメント別で見てみよう。基本的には、流通事業を除く、全事業が好調だったが、国内通信事業、スプリント事業、ヤフー事業の3つが全体を牽引している形だ。

円ベースでの営業利益。棒グラフ右側が2016年度(左が2015年度)

国内通信事業は顧客をつなぎとめる効果が高い光回線の契約が大きく伸びた。ヤフー事業もストア数、ショッピング取扱高が順調に増加、日本のイーコマースで最も伸びている会社と評価する。全体から見ると小さいが、昨年買収を発表したARMも業績に貢献した。

こうした中でソフトバンクグループの孫正義代表が最も長く時間を割いたのは、米国のスプリント事業についてだった。

買収直後の米スプリントはネットワーク、顧客の質、財務において悲惨な状態だった。かつて孫氏は「買わなきゃ良かったとずいぶん後悔した」と回想したこともあるほど。売りたくとも買い手がつかず、自力再生するほかなかった会社だが、今回の決算説明会が温和なムードで進行したのはスプリント事業が軌道に乗り始めたからでもあろう。

孫氏はスプリント事業の説明にあたり、「1年ほど前から、そろそろ反転すると伝えてきた。いずれ成長エンジンになると予告してきた。その実態が現れている」という。

各種指標は孫氏の言葉どおりだ。携帯電話の契約純増数(ポストペイド)は前年度比2倍以上の93万増に、解約率もスプリント史上最良の1.48%となった。結果として、売上は前年度比4%増の333億ドルとなり、コスト削減も進め、営業利益は前年度比6倍増の18億ドルとなった。

売上は4%増の333億ドルに
ポストペイドは93万増
解約率はスプリント史上最良に
2年で34億ドルレベルの大幅コスト削減を実施

連続1兆円突破に自信

スプリント事業においては、今後も手を緩めることはない。さらなる成長のために実施するのが、通信環境の改善だ。ひとつはHPUE(High Power User Equipment)と呼ばれる通信技術の活用。これにより、電波の直進性が高くビルなどの屋内には入り込みにくい、周波数2.5GHzの電波でも、1.9GHz並みの周波数を運用するのと同等のエリアをカバーできるようになるという。

HPUEにより高い周波数でも広いエリアがカバーできるという

また、5G時代の到来を見据えて、スモールセルを数百万局開設していくという。5Gはミリ波とも呼ばれる高周波数の利用が想定されており、エリアカバーの広いマクロセルと呼ばれる基地局では対応できない。基地局の場所取りにいち早く着手しようというわけだ。

屋内、屋外にスモールセルを数百万局開設する。5G時代に備える

さらに、決算当日に発表されたクアルコムと業務提携も見逃せない。5Gにおいて低周波数帯となる2.5GHzを活用しようという試みだ。クアルコムとの提携で対応チップを搭載した端末を2019年後半にリリースし、他社に先駆けてサービス提供しようというわけだ。

少し先の話になるが5G時代を見据えてデバイスレベルでも手を打つ

ソフトバンクグループはここ数年、連結業績予想を出していないが、「来年は確実に営業利益で1兆円を突破する。今年よりも増益になる」と孫氏は公言する。その根拠は国内通信の順調の伸びに加え、スプリント事業が成長エンジンになると見ているからだ。

国内通信事業において、激変が予測しづらい今、言葉通りに実現できるかどうかは、前提となるスプリント事業が大きく関わることになる。スプリント事業におけるネットワークへの取り組みをはじめ、ポストペイド契約者数の推移、解約率の動向が気になるところだ。これまでお荷物だったスプリント事業だが、今度は成長ドライバーになりきれるのかが注目されることになりそうだ。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu